● 「この程、世界中を騒がせている『ミラーミスにしてフィクサード』ラトニャ・ル・テップの真の狙いと言えるかも知れないものが判明しました。がんばったイヴちゃんに拍手とねぎらいと差し入れを」 『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)の目の下にも隈ができている。 万華鏡をフル回転させて、絶望の中から希望を拾い上げようとしているフォーチュナたちの戦いも架橋には言っている。 「おさらいを兼ねて、三ツ池公園についてのお話をします。俺も資料でって部分多いしね。一緒に」 資料が配られ、モニターに数年閉鎖されたままの公園が映し出される。 「この所、日本では神秘的影響を増大させる『特異点化』という現象が進んでいます。『特異点』と化した地帯では様々な神秘が通常より濃い濃度で顔を覗かせる事がありまして、『賢者の石』等が多く観測されたのもその影響の一端」 皆もあっちこっちの神社仏閣的パワースポットで色々してくれたでしょ? と、四門は作戦終了箇所とそれによる効果のビフォアアフターを示した。 「数値的には、5%程世界は臨界点から遠ざかりました。それに付随するエリューション現象も沈静化が確認されてます」 おかげで、皆をここにぶっこめます。と、フォーチュナは淡々と言う。 「日本に『閉じない穴』をこじ開けたジャック・ザ・リッパーの事件は記憶に新しい――っていっても、もう二年以上前の話だけどね。俺も、このあたりは一般人だったし。その視点では、いきなり街中の大きな公園一つが隔離されるってどんな事態だってインパクトはおっきかったね――で、これは前回の特異点化の発生に拠る事件。アークは、近くこの特異点化が数年振りに最高潮を迎えるという事実を観測しました。揺らぎってものがあります」 太陽の黒点現象みたいだね。という四門は空中に波を描く。 「万華鏡の観測したイメージは断片的な情報に留まってます。ゴメンね。ひきつづき、がんばります。だけど、あのラトニャが三ツ池公園に出現したという報告と合わせれば答えは確実」 断片をつなぎ合わせるのは、人間の英知だね。 「『神話』になぞらえて、この時を『星辰の正しく揃う時』と称したラトニャは、自身の行使する神秘影響力が最大限に増大するこの時を利用して、己の世界とこのボトム・チャンネルを完全に接続・結合しようとしている」 言っとくけどね。ここ、最底辺だからね? 「彼女の上位世界がこの世界と結合してしまえば、言葉は結合でも、実態は吸収に過ぎない。今の世界は破滅だ。終わりだ。圧倒的大多数が何でそうなったかわからない内に消滅する」 おためごかしは言わない。 フォーチュナは、イヴ張りの無表情だ。 「ラトニャの圧倒的な能力を考えれば、分のいい話じゃない」 でも、しない訳にはいかない。 「今回の事件は、日本やアークの浮沈をかけたものと言うよりも、この世界の命運を占うものと言っても良い。で、こういう時動く為のうちだから。オルクス・パラストは加勢してくれるけど、およそ、当てにしてられないから」 というより、自分の命運は自分でどうにかできる者は幸いだ。 「じゃあ、がんばろう。えいえいおー」 ● 「という訳で。引き続き、担当区域の説明に入ります。みんなの仕事はこの水晶柱をへし折ることです」 水晶柱。それが一番誓い表現だろう。 だが、グネグネと湾曲し、光を乱反射させるそれが果たして本当に水晶――石英なんだろうか? 「壇示の石舞台と組成は似てるけど、ハンガリーの『黒き石』 ではないから、そこは安心していいよ」 『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)は、一生悪夢に取り付かれるってことはない。 と、サラッと言う。 「星辰正しき夜に、特異点で然るべき儀式を遂行してこその次元結合。ということは、儀式が行われなければいい訳だ」 へへっ、へへっと、四門は笑い出した。 「みんなの努力はちゃんと形になってる。連中が思ってたほど状況は奴らに味方してない。この柱に関しては、絶好の座標から最大共鳴部位が五%ほどずれてる。損で、強度も5%線と他より低い。そんで……」 理系フォーチュナが細々と説明してくれたことを要約すると、他の柱より20%ほど倒しやすいそうだ。 「で、ここでこの柱を倒しちゃえば、連中の儀式には著しく支障が生じる。最悪ラトニャを仕留め損ねた時、儀式を邪魔することで連中の足を引っ張ることが出来れば、こっちに微笑んでくれる別の神様が間に合うかもしれない」 フォーチュナの頬もこけてきていた。 「俺、子供だから良く分からないけど、更に、利害が一致した大人の事情で攻撃補助と支援に限るという制限付ですが、外部からサポートが入ります」 利害が一致した大人の事情という時点で、フィクサードだな。という見当はつく。 「『恐山』 所属の『借金取り』の方々です。戦闘計算と座標算出と損得勘定にはすごく強いらしいので、皆さんは破壊に専念して下さい」 モニターに、180秒。と、表示された。 「この時間帯だけ、この柱の周りから他の敵性存在がいなくなる。その間に速やかに破壊。とっとと離脱。これより時間が過ぎると、他の現場から敵が流入してくるから、みんなの損耗率が一気に上がる。助っ人は3分たったらどうなってようと帰る。そういう契約なんだ」 フォーチュナは、リベリスタを見据えた。 「柱はもちろん完全破壊してくれたほうがいい。けど、見切りをつけるのも大事だ。そのあたりはチームに任せる」 ● 「困りました。割に合いません」 先輩は、困っていた。 「――ですからね。先日真知の学資保険を一括契約したんです。どうせ払うなら利子がない分、その方が安いですので」 差額計算がぺらぺらと振られる。 「問題ないですよ。俺ら、いつどうなるかわからないし」 後輩は、のんびりと言った。 「それもこれも、世界が続くという前提です。明日滅びてもらっちゃ大赤字じゃないですか。今まで私、世界が私が死んだ後どうなろうと知ったこっちゃないと思って生きてきましたが、ことここに至って、真知の子孫が自然消滅するまで世界を存続させる方向で行くと決めました」 「遺伝子大事ですね」 「真知の今後の人生の功績によっては模倣子も視野に入れます。弟子は子も同然です」 「そうですね。先輩、嫁来そうにないですし」 「別に結婚しないとは行ってません。私より真知を優先してくれる真知の母に相応しい女性が現れれば考慮しないこともないです」 「センパイ好きな女の人なら、先輩の溺愛ぶり見たら嫉妬の鬼になるんじゃないですか? そんな条件でよって来るのは、クレイジーサイコレズですよ」 キラキラした目で、駄女について語るな。というか、そう言う女に引っかかって、ここに流れてきちゃった後輩の人生に思いをはせるが、三秒でやめる。それどころではない。 「背に腹はかえられません。今回は通学路にエリューションの拡大解釈として、正義の味方に加勢します。上から言ってきてるし、あの御仁に追従しといて損はないですしね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年07月14日(月)23:27 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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● 三ツ池公園・北門。 神経質そうな眼鏡で吊るしのスーツに、ブランド物のジャージの兄ちゃん。 眼鏡の方がクリスタで、ジャージの方がプロアデプトだ。 「アークもきっちり保険かけてきますね。そういうの、きらいじゃないです」 スマートホンに入っている怪しげなデータを全てどこかに転送させる眼鏡――『借金取り』 北浦聡介。 「えっと、見たことある人多いですね」 のほほんとしているジャージ――『駄目ウォーカー』 西村洋平。 「それ以外に注目しなさい。日本の喧嘩売っちゃいけない革醒者リストは、教えたはずですけどね。ぶっちゃけ、あれは敵の中枢に頭から飛び込んでくための面子です。顔見た瞬間、帰りたくなりました」 恐山フィクサードで長生きする者の共通認識は「命は大事に」 だ。 「帰ったら怒られません? 戦力のバランス取ったのに。とか」 「その人が還ってこなくてもおかしくない現場なんです、ここ」 虚ろに笑う先輩に、後輩は首をかしげた。 「先輩、何で来たんですか」 「だから、いつも言ってるでしょう」 先輩は、人が後ずさりする笑みを浮かべた。 後輩は、先輩のこういうところにはついていけないなぁ。と、いつも思う。 この人は金貸しとして優秀だが、それはあくまで人生の手段に過ぎない。 「僕、死に者狂いで一生懸命がんばる人を応援するの、大好きなんです」 にまぁっと笑う顔は、道を踏み外した人間の顔だ。 絶好の位置で観戦するためなら、多少の危険も惜しまない。 道楽の為に生きているのだ。 「先輩、ほんとにどうしようもない人なんですねー」 「君には及びません」 先輩は、はははと乾いた笑い。 「ここがどういう所かも知らず、一応共闘する相手も知らず、のこのこついてきちゃう君に言われたくありません。君こそなんで来たんですか」 「俺、真知の保護者ですから」 さわやかな笑顔は、常軌を逸した人間の顔だ。と、先輩は思う。 幸せな道が用意されてない女の踏み台になる為に生まれてきた男だ。 それで本人がいいというなら構わないが。 「ほんとに、君は女で身を滅ぼす星の下に生まれてるんですね。真知は駄女にはしませんけどね」 ● 「また、意外な所で会ったわね。一大事だし、猫の手も借りたい状態ではあるのだけど」 『レーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)が戦う理由も、おそらくこの二人と同じだ。崩界を防ぐことこそ全て。 「ええ、もう。ねずみの手くらいのお役に立ちたいと思ってますよ。ええ」 「久しぶり。真知って言ったっけ? あの子は元気にしてる、って訊くまででもないか」 「待ち受け、見ます?」 『狂気的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)は、なんなら私も学費だそうかと申し出たが、低調にお断りされた。 「別にいいのに。アークで稼いでるし」 「お金は貸すものであって、もらうものではないんですよ」 代の維持費は、経費です。と、北浦は言う。本心らしい。 『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)は礼儀正しい少女なので、命を預けあう相手にはきちんと挨拶をするのだ。 「娘、のような存在のために世界を救おうなど、父親というのはそんなものなのかな?」 そうキラキラした目で見上げられた先輩は、申し訳ないですが。と、雷音に言った。 「私、真知にはそれなりに投資してるんで、きちんと元を取らないと収まりがつかないんです」 雷音には、エネミースキャンするまでもなく、借金のかたとはいえ、少女に理不尽な未来を用意するタイプには見えない。損得勘定ではなく、美学的意味合いで。 だが、このくらいの年頃の――中年入りかけのかつての虎鐵とそう変わらない――男を余りつつくと取り乱すので、雷音は矛を収めた。 「それはさておき、フォローは助かる。恩に切るのだ。今はアークも恐山も関係ない。目の前の標的を穿つだけだ。『契約』は果たしてくれるのだろう?」 「魔界の悪魔くらいの誠実さでお応えしますとも」 「3分間だけでもすごく助かるから。がんばろっ」 ありがとう、よろしくね。と、微笑む『囀ることり』喜多川・旭(BNE004015) の目には覚悟がある。 (だいじなの。欲張りだけどね。家族もお友達も、仲間も、恋人も。過去も今も、未来もなにひとつなくしたくないの) そのためには、この世界が必要だ。 (だから、絶対にまもるの) 「ひとつひとつは決定打にならなくたって。小さな罅からダムが決壊するみたいに、少しずつ積み重ねて」 歌うようにつむぐ言葉。金貸しは、査定をするように真顔で先を促した。 「そーして流れを引き寄せればきっと。出来ないことなんてない。出来なくてもやるの。わたしはこの世界を、ぜったいに諦めない」 どこまで本気なのか、金貸しは拍手までした。 「悪魔のハートもガッチリキャッチですね」 信用していいのか悪いのか。煙に巻く返答に、『舞蝶』斬風 糾華(BNE000390)は、小さく笑みを浮かべた。 「フィクサードに手伝って貰えるとは思いもしなかったわ。まあ、世界への根差し方によって、崩界に対しての考え方も様々というわけね」 「聡明なお嬢さんですね。ご理解いただけてこちらもやりやすいですよ」 「先輩、口説いてます? この子、まだ結婚できないお年ですよ?」 「君、どういう耳してるんですか?」 先輩は、後輩を蹴り飛ばした。口も悪いが足癖も悪いらしい。 その漫才を視界の隅にとらえながら、糾華の目は木々の向こうの黒い柱に吸い寄せられる。 (恐怖神話と呼ばれる一連の怪異騒動――上位世界からきたミラーミス、ラトニャの下僕、アザーバイドによる――異世界からの侵略。あんな思いを、あのような事を……これ以上この世界を……私の日常を侵すことは許しはしない) 「思い通りに行くとは思わないことね、ミラーミス。この儀式、何をしてでも阻止してみせるわ」 糾華と同じ方向を見ながら、『咢』二十六木 華(BNE004943)は、眉間のしわを深くしていた。 (なんだ、化け物退治か) リベリスタといっても、その得意分野は千差万別だ。 華の場合、前身がフィクサード狩りのフィクサードであるところから、フィクサード戦を得意とするリベリスタだ。 (いつもエリューションを相手にしているが、初めましてのアザーバイドが――) 吼える柱とかぞっとしない。そもそも生物なんだろうか。いや、世の中にはE・ゴーレムとかそもそも分別不能のキマイラなんてものもいる。 「初めまして」 と、柄の悪い兄ちゃんからのきわめて簡素な挨拶に、剣林の現役フィクサードは輝くばかりの営業スマイルで応える。 別件で遭ったら、ご容赦にあずかれなさそうだ。 「――まあ仕方ない。これを止めないとまずいんだろう? なら、やってやろう」 「ラトニャに負ける気はないけど、だからと言ってこの柱を放置するわけにもいかないよね。残しておいたら何があるかわからないし……」 『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)が鷹揚に言うのに、北浦はこそこそとスマホをいじった。 「この項目間違ってますよ」 「どこですか」 西村が手元をのぞき込む。 「弱気とか」 「あー」 なんともいえない視線を受けて、悠里は苦笑いを浮かべざるを得ない。 「――聞いてたけど、ほんとに口悪いんだね」 弱気だろうがなんだろうが、ミラーミスにも負ける訳には行かない。諦めないことを決めたのだ。 「世界を騒がせる出来事、多すぎ!」 『尽きせぬ祈り』アリステア・ショーゼット(BNE000313)は正しいことを言っている。 「この世界が底辺だからって何をしても許されるの? 下に見てるから、何をしてもいいって思われているの?」 無数の世界のひずみとエゴが全てこの世界に流し込まれている。 「そんなのは、嫌」 そう言えるアリステアは強くなった。 「きっとみんなおんなじだよね。だいじょうぶ。だいじょうぶだから、笑顔でいこ」 微笑め、少女達。 この世界では、笑顔の女の子が最強だ。 「正真正銘、世界の命運を賭けた戦いか……絶対に成功させる!」 世界を破壊する危険性を内包し昇華させる試練を乗り越え、更に主人公的当事者性を上げている『不滅の剣』楠神 風斗(BNE001434) は、意気揚々だ。暑苦しさも健在だ。 「……風斗さん、張り切るのは大変結構ですが、あたら命を粗末にするような真似したら、ぶち殺しますからね?」 化け物ですらない建造物の手にかかるくらいなら自分の手でやってやる。と、『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)の顔に書いてある。 冗談は言わない。不要な暴力ではない。必要な暴力だ。 それは、親友である風斗はよく知っている。腹の底から。 コクコクと頷いてみせる。 「これっぽっちも分かってませんね。まあいいです。いつものことです。もしもの時は、私が首根っこつかんで引きずり回せばいいだけです。ええ」 親友ですからね。少なくとも。 実際の所、風斗としてはその一線を越えてしまって複雑としか言いようがないのだが。 今、それについて話している余裕はない。 「そっちもよろしく頼むな。あの子の住む世界を、きっちり護らないとな」 何しろ、この柱にだけ攻撃できる好機は、たった三分足らずの奇跡なのだから。 「北浦さんと、西村さん? かな。頑張ろうねっ。宜しくねっ」 ちゃんとしたご挨拶は大事。他組織との共闘を幾度となく経験して、アリステアが覚えたことだ。 「よろしくお願いします。爪の垢をいただきたくなるようなお嬢さんですね」 「素敵なお嬢さんの爪の垢・深窓ブレンド」 とか、売り出したりしないことを祈る。 「おいっす、北浦さん西村さん。お元気してました?」 狸のおててを上げるうさぎに、西村はおいっすと返し、北浦はお蔭様で。と折り目正しく挨拶した。 「なれば重畳、お元気なまま娘さんの所にお帰り下さいましね」 「ええ、もう。言われるまでもなく」 (北浦さんはクセモノかつクレバーだ。腹芸何か効きゃしねーでしょーし、一利も無いです) 初めて会ったときは、うっかり口車に乗って、おでんと肉まんで厄介なアーティファクトの始末を丸投げされてしまった。 素直かつ誠実な対応が、結局はアークのためだ。情けは人のためならず。 「それじゃ、うちの西村がそちらから提示されたルートと座標から最適解を出しますので、根性入れてダッシュして下さい」 北浦は、アキレス腱を伸ばし始めた。 「この人、伊達にジャージではないんです」 柄の悪い都会の金融業者肉体系には、ダッシュと持続性とパルクールの心得が必要なのだ。 「行こう、皆! 異界の神様なんかにこの世界は好きにさせない!」 悠里の声に、リベリスタは走り出した。 ● いこいの広場に向かう道すがら、すでに突入しているチームの戦闘は始まっている。 向かって左側の池のほとりでは、鉄筋コンクリートの建物が横転し、ほぼ粉砕されていた。 そこを進路を右に取る。 直進した先では、アザーバイド殲滅任務が進行中のはずだ。爆音が木々の向こうから聞こえてくる。 「水晶って、もっちょい綺麗でキラキラしてるものだと思ってたんだけど……何だか禍々しいなぁ。美意識の違い? なのかな」 アリステアの美意識は、正常だ。 「敵の群れ、移動します。カウントダウン入りますよー。アークの皆さん、準備して下さい」 この辺りの瘴気がすべてそちらに「消費」されているのが、三分の「空白」を誘引しているらしい。 その昔、怪盗集団はストップウォッチ片手に何度も突入・作戦・離脱の練習をしてから、実際のお仕事に入ったらしい。 現在の犯罪者集団も似たようなものらしい。カウントダウンが、やけに手馴れている。 「じゃ、風斗君。かばうから、ジャガーノート発動」 悠里がさらりと言う。 「風斗くんがジャガーノートを使っているか使っていないかで大きな差があるからね」 「はい!」 (さあ、俺の役目を、俺にできることを全力でやろうか) 今ここで、完全に破壊の為の存在になることが、風斗の役目。 破壊の神は、今宵最高の舞踏をお望みだ。 柱が吼える。 びりびりと空気を震わせるそれは、引き抜かれることを恐れるマンドラゴラの悲鳴のよう。 どうかどう稼動か堂かどうか側にいて一緒になろうよ一つになろうよここはどこでどこがこことか関係ないよそこがここでここが外で何がいけないの一つ一つになろんるなれ融合誘導誘惑どうかどうかして世どうかしてしまえばいい世同じになるなじもうよ境目もないほどくっついてついてつくねね根ねねえねええええねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ意味はない共鳴音に意味があるように感じるような気がしてきた刹那、耳の奥からトロリと温かな感触がして、気がつくと肩が冷たくなっていて、何かが耳から滴って、耳の中の血管が切れたかなと思うと、色が見たことのない流動体で、いったいこれは何なのなんなのののおおおおおおおおおっ触ってみれば何にも触れなくて、さっきのが幻なら、今こうして呆然と立ってる赤い空で影みたいな建物が乱立しているここはどこなのかと目玉を懸命に見開こうとしているんだけど、気がつくと目玉もまぶたも真っ黒な影に変わっていてここは公園で久しぶりに会った人と待ち合わせをしていて挨拶したら木で鼻をくくったようなような対応されてはしれはしれはしれははしれはしれれはしれはしれはえええええええええっ。 「みんな、しっかり!」 頭からきれいな水が降り注いでくるような清らかな感触がした。 芝の匂いが戻ってきた。 アリステアの呼んだ上位存在が、石の叫びに呑まれかけた心を洗い流してくれたのだ。 庇護してくれる誰かを探していた少女は、いつの間にゆるぎない『絶対』 に成長していた。 永遠を誓うプラチナの指輪が、少女の心を落ち着かせている。もう戦場で泣いたりしない。 「みんな、笑顔がないよ! 笑って。私も笑うから。大丈夫だよ」 (全部終わらせたら、また会えるから) 「そうだね、笑顔!」 旭が応える。 一瞬飲まれた混沌の得体の知れなさに、まだ心は衝撃の余韻を覚えている。 それでも、大丈夫と微笑むのだ。 こんなことでは負けない。 風斗には、仲間たちが顔をゆがめるのも、破壊神の加護を受ける法悦に満たされた風斗には夢現のことのように感じる。 残酷な神は、彼の眷属が自分から目を逸らすことを許さない。 加護の代償として風斗の魔力はもとより、契りの証と血肉さえ抉って血化粧を施していくあいだ、革醒者はつかの間神の所有物だ。 「――確かに、これ、まともに浴びたら、体硬くなるね」 かしゃりと銀の小手が鳴る音で正気づく。 自分が食らうはずだったダメージを悠里が引き受けてくれたのだ。かばわれるとはそういうことだ。 「設楽さん、ありがとうございました!」 「どういたしまして。世界を守ってくれればいいよ」 それも期待だ。 風斗を極限まで研ぎ澄ませるための布石だ。 膨れ上がる筋肉の脈動を感じる。ならば自分の極限を越えて応えなくてはならない。 風斗の高揚に剣が応える。びりびりと手のひらに伝わってくる振動は、鼓動の音とシンクロしていた。 しっかり踏ん張り、姿勢を正し、最も力を乗せやすい体勢から。 (いつもやっている素振りの鍛錬の延長みたいなものだ) 力まず、自然に繰り出されたそれが、限界を突破し、石の柱に叩き込まれる。 かばった甲斐がある音だった。 「アークの人は人使いが荒いですね。こんな自虐技使いたくないんですよ。ほんとにもう。私たち、戦闘向きじゃないって、資料提出してましたよね。聞いてますよね」 「安全圏からでけっこうですから!」 ウサギは、懇願の域である。頭下げてどうにかなるなら、いくらでも下げる。 「当たり前です。前に出ろとか、契約違反です」 その美学、絶対不可侵。 北浦は、肺に溜め込んだ空気を吐き出した。 「ですが、こんな腐れ毒電波撒き散らされちゃ、返済中の皆さんのお仕事に関わりますからね。気持ちよく稼いで気持ちよく返済していただくのが、うちのモットーです。障害はすべて排除します。――気持ち悪かったですしね」 北浦は、非常に愛想よくアリステアに微笑んだ。 「お嬢さん、この先私は完全に治さないでけっこうですよ。落とし前に上載せする分が減りますから」 「え」 アリステアの治癒プランに添えば問題はない範囲の要求だし、理由も分からなくないが。 「先輩、マゾの人ですか」 「身を粉にして働く上司の傷に塩をすり込むあなたは、サドの人ですね」 ジャラジャラと憎悪の鎖が実体化する。 マグメイガスが召喚する血や雷あるいはダークナイトが召喚する瘴気とも違う、絶対的有罪を下し、ない首さえも縛り上げる無法を行使できる存在なのだ。 「吊りますよ」 柱の上部に鎖が絡みつき、ばきりと砕いた。 折れた首のように、ばらばらと石が砕けた。 「相手の射程は20m、射程外からなら反撃されずに攻撃できるわ」 彩歌は、常に冷静だ。 「そうですね。ここなら、ダメージコントロールが容易じゃないですか?」 「それを前提に、私がどう行動するかというと――」 論理演算機甲χ式「オルガノン Ver2.0」から、湧き上がる気糸がアウトレンジから一点に向けて叩き込まれる。 極小点に叩き込まれるダメージに、実際以上の付加が柱にかかり、耐え切れず表面が割れていく。 柱と彩歌の距離が縮まる。 走っている。アウトレンジからの攻撃が十二分に可能だと言うのに、彩歌は近接でことを成し遂げようとしていた。 「無茶しますね。」 北浦は、後輩に前進を命じた。 「え、自分は危なくないとこいるくせに!」 「僕は、これから一回死ねるくらい、体ゴリゴリ削れるんですよ。君も少し身というか精魂を磨り潰してらっしゃい」 ● 相手を翻弄するように、叫び声が神秘の力を失う境界で、虎美は引き金を引く。 癒し手の手を煩わせることなく、雨だれが石をうがつように同じ場所を丹念に銃弾を当てていく。 虎美の銃弾は容赦なく石を削り、間断なく叩き込まれ続いている。 狙いは基底部。 (破損が酷ければ、自重で傾いたりするかもしれない) めり込んで出て来ない弾丸が、破壊の楔となる。 その脇を彩歌が駆け込んでいく。 「――ったく、人が言った事をきれいさっぱり脳みそからすべり落として。というか、いっぺんに一つしかできないのか。そうなのか」 オーバーロードで、筋肉から水蒸気が上がっている風斗のお蔭様で、うさぎのストレスはマックスである。 「気配りできる者がフォローするしかないのよ。でも、そこがかわいいんじゃないかしら」 糾華的には、察して余りある。 ロイヤルストレートフラッシュは、ゲーム上ならばスペードでなくてもかまわない。 だが、ナイトクリークが繰り出すそれは皆一様にスペードなのは、中に含まれる10の札が「耐えがたい苦痛」の意味を内包しているからだろう。 地面を蹴る五人の糾華が柱に取り付き、死を告げる蝶で飾り立てる。 ごくわずかに傾いた黒い柱。 反対側から五人のうさぎが、刃で出来たタンブリンの五重奏を響かせる。 「來來、朱雀!」 こちらは、比喩としてではなく、実際に符を使うインヤンマスター。 朱色の符が折り重なり、火の鳥を形作る。 少女の吐息を浴びて、仮初の命を吹き込まれた火の鳥が黒い柱に反射する。 (多少、燃費は悪いが……) 石に火炎が聞かないのは分かっているが、背に腹は変えられない。と、雷音は思う。 無数の火の粉に変わる火の鳥の儚さ。 炎は黒い水晶の上をすべるが、純粋な破壊力が柱を砕く。 「なんか、彼女には、とても幸せになってもらいたいような気がする……」 西村がそんな雷音の背中を見て、その心に寄り添った。慈しみの魔力が雷音の空隙を満たす。 「俺に出来るのはこんなことだけだけど……」 『駄女ウォーカー』 は、幸せの王子のように自分の精一杯を女性に捧げるのだ。主に自分のために。 「えっと、がんばって。そこの魔女っ子みたいな子!」 花の様に愛らしいドレスに杖を持っている雷音は確かに魔女っ娘のようだ。 雷音は手の中の杖をぎゅっと握り締めた。 (言えないのだ。少女として、あのお兄さんの夢を裏切ってはいけないような気がする。いや、別に恥じてはいないが、そう、例えば、可愛い小花柄のワンピースと思ってよく見たらどくろ模様だったときの。がっかりするじゃないか。そんな感じの――) その杖の属性が、魔性と即死で出来ているなんてすごく言いにくくなってしまった。 おかしい。あっちがフィクサードだ。 「恐山の人達がいる間が攻撃の勢いを上げるチャンス。攻め手の勢いを付ける為に時間いっぱい手伝ってもらうわね。私にもお願い」 糾華は、西村の魔力を徹底的に絞り上げる所存だ。 火の鳥の余韻の中、彩歌が駆け込んでくる。 握り締められたオルガノンが、音を立てた。 今この瞬間は、彩歌が法律だ。 「総合火力はこちらの方が高く、バリアシステムも3分あるならかなりのダメージが期待できるわ」 (更に、絶対者でBSは無効化できるから体力が減る以外のリスクはほぼ無い) 「無茶しますね」 うちの先輩が、すッげえ喜んでて気色悪いです。と、後輩は魔力を充填した。 「体力はね、お金と同じでリソースなのよ。真面目に運用するならしかるべき時につぎ込まないと!」 勉強になります。と、大学出のプロアデプトは、ぼそぼそ呟いた。 「改めて確認するけど、旭さん、悠里さん、混乱耐性は――」 「これ、耐性あるよ」 さりげなく恋人からの贈り物をかざす悠里も、彩歌のハイパーピンポイントに巻き込まれないようこまめに位置取りを気にしている。 「大丈夫! 対策済みだよ。 味方殴ってる暇ないもんね!」 繊細な造りのオルガノンと異なり、旭の魔力鉄甲はまさしく殴りつける為にこの世に生まれた存在だ。 「この手は運命に干渉する手――」 握り締めた拳は、世界のために。 アークの皆が望んで大成した、誰よりも速く確実に崩壊の芽を砕く為に生まれた技だ。 「この世界は、滅びたりしない。絶対、大丈夫!」 それは、柱に崩界の運命を刻み込む一撃。 韻々と悲鳴を上げる柱から賭けた推奨が、次々とリベリスタの体に食い込む。 不可視の獣が噛み付き、血肉を抉っていくような様は正視に耐えないが、リベリスタを制止させるに至らない。 「――この場所は、花子さんが、創太くんが、皆が命がけで守ってくれた場所なんだ」 戦場にあっても、悠里からはどこか日常の匂いがする。 もっとも苛烈に戦っているリベリスタの一人であるにも拘らず。 逝った戦友のことを忘れない。 ひたりと当てられた掌から、丹田の底から湧きあがるものを集約し、練り上げ、5%ずれた組成の全てを砕く為に徹される波は、簡潔だからこそ恐ろしい。 ぶわりと湧くように柱がざわめく。 彩歌が、再び拳を握る。 「世界は広すぎて、自分一人では小さな望みすら叶わないかもしれない。矮小な存在の足掻きに見えるかもしれない。だから、力を合わせるんだ!」 ● 柱の悶えは、脳味噌の中をかき乱していくし、芝生が、流された血のせいでぐちゃぐちゃになってきて、時間がたつほど環境が劣悪になっていく。 アリステアの回復がなければ、みんな、失血したまま立ち尽くす死体と化していただろう。 「もう少しだ! 今までの破壊力なら、3ターンでいける。みんな、もう少しだけ――」 エネミースキャンで、柱の強度を確認した雷音の声を掻き消すように、アラームが鳴り響く。 事前に旭がセットしていたのだ。3分経過まで、残り十秒。 「それでは、皆さん。破壊の途中ではありますが、そろそろお暇させていただきます」 北浦が口上を述べ始めた。三分は短い。 一応手は動いているので文句のつけようがないが、剣林の辞書にサービス残業という言葉はないらしい。 「皆様の無事のご帰還をお祈りしております」 「そっちの方が、物音少ないから逃げやすそうだよ」 あらゆる物音を分析する虎美の言葉に、北浦は素直に頷いた。 「では!」 北浦と西村は走り出した。 「池の方からすごい勢いで何かが這い上がってくるよ! 形は良く分からないけど、べちゃべちゃしてる! 何で、みんな気持ち悪いのかな!?」 千里眼で周囲を警戒していたアリステアが全員に警告した。 「だよね、やっぱり後方からか」 最も柱から遠い場所。つまり、最も早く造園にエンカウントする位置にいた虎美は、銃を今まで向けていた方向とは別に構えなおす。 「そっちから来ると私一人で少しは耐えなきゃいけないしね。接近するまでの時間は稼ぐよ」 銃口から、流星雨。 星屑を打ち落とす弾に、星辰ごときどれほどのものか。 いっそ星ごと砕いてしまえ。 「続行でしょ?」 糾華は、増援が攻撃範囲に入るまでは。と、最大火力を叩き込む。 「角度的には、こうきて、こう、ね」 彩歌は、増援ごと貫くために、立ち居地を変更した。 その間も、風斗が剣を振るう音が途切れることはない。 「護りたい人たちがいる。護りたい場所がある。それを取りこぼさないように、手を伸ばし続けると誓ったんだ」 回避も移動も頭の中から消しさり、ただ破壊のための存在となった少年は、仲間に癒やされ、時にはかばわれ、それゆえに剣を止めない。 「絶対に失わせてたまるかっ!!」 搾り出される言葉は、命の味がする。 「お願い、華くん!」 覇界闘士の悠里が華の前に立つには、先に全力移動して位置取りするしかない。 先に走り出した悠里の声に、それまで地道に柱を殴っていた華の頬に不敵な笑みが浮かんだ。 「殴るだけというのも案外つまらないものだな――任せろ」 単独突破で、場を切り開くのがアークリベリオンの「華」。 瞬間、体が熱くなる。武者駆け用に温存していたが、魔力はほぼ底をついていたのが急速に満たされる。 さっき逃げた剣林のフィクサードが、最後のおまけにチャージしたのだ。 そのまま、すたこらさっさと逃げていく背中。 (フィクサードから施しを受けるのは個人的にはムカつくが。まあ……敵も悪い奴ばかりじゃないんだな。なんだろうかこの少しばかりの感謝の意は、俺はどうしてしまったんだ。フィクサードはあんなに憎かったのに……いや、今は目の前の敵に集中しよう) 非情になりきれないのが、華の華たる所以だ。 「――頼りにしているぞ、俺の仲間たち。否、箱舟の先輩たちよ。俺は、捨て駒でも構わないんだからな」 怒りに呑まれた化け物をひきつけておくのが自分の仕事だと、華は心得ている。 華に陣中を乱された異界存在が、ゆらゆらと敵意の陽炎を揺らす。 「何言ってんだ!」 追いついた悠里が叫んで、追い越す。 「仲間という《剣》を護る《篭手》 それが僕だ! ボーダーラインのガントレットだ!」 目にも留まらぬ速さで氷の拳が、鎖を編む。注意深く華を拳の範囲からずらして。 「その僕の前で捨て駒とか。今度言ったら、本気で怒る!」 この一撃は、八つ当たりのとばっちりかもしれない。 効果範囲の芝生の上は、凍てつき、あらゆる敵性生命体は死に絶えた。 その只中に立つ悠里が立つ場所は、生死を分ける線であり、勝敗を分ける線であり、次元を分ける線だ。 悠里の怒りがBSではなく、異界存在に向けられているのが幸いだ。 「僕が! 僕達が! この世界を護る境界線なんだ! 一人たりとも欠けさせてたまるか!」 ● 雷音の分析は、正確無比だった。 きっちり3ターン。 5%傾斜していた柱が、ぱらぱらと解けるようにして崩壊していく。 基底部は、黙々と埋め込まれ続けた虎美の銃弾が粉々に打ち砕いた。 「柱にはもうなんの力もない! 逃げよう!」 雷音は温存しておいた最後の魔力を朱雀招来に託した。 「來來、朱雀! 僕らを逃がしてくれ!」 特別に大きく炎に包まれた朱雀が、悠里の作り出す氷の原野に突っ込んでいき、池から上がってきた異界存在とリベリスタの間に水蒸気の壁を作り上げた。 『お蔭様で、この道を通ったら、楽に出られました。ご参考まで』 AFに送られてきた簡素なメモは、さっき、剣林の二人が逃げていった方向だ。 「皆で帰ろう!」 アリステアが声を上げる。 「とっととりだつ!」 旭が応じた。 「帰るよ、華君!」 集中攻撃を浴びた華は、土壇場で恩寵をなげうつことになった。 「殿は俺が一番適役だろう、時間は一瞬もてばいいんだからな」 「もう一撃食らわせて足並み揃えて撤退するよ。――後でゆっくりお話しよっか」 「世界の命運がなんてとても重いことですが、今を切り抜けないと終わってしまいます。ボクはそんな終わりは嫌です」 走りながらでも、終了メールを手早く入力して義父に送る雷音。 無事に送信、向こうの着信を確認して、息をつく。 大丈夫。まだ世界は終わっていない。 「……『家族仲』は良好な様ですし、ね」 首根っこを引きずる事態にならなくてすんだのも、あの二人のおかげだ。無事に脱出できてよかった。 うさぎの頬に花が綻ぶような笑みが浮かんだ。 「――うさぎ」 戦闘の余韻から我に返った風斗は、何かすごいものを見た気がした。 「なんですか」 「今笑ったろう! もう一回今の顔しろ!」 「藪から棒に。そんな作り笑いなんかでよければいくらでもしてあげますよ。ほら、にこー」 「違う!なんか、今、こう、ぱああって感じで笑ったろう!」 「見たいんだったら、少しは私の喜ぶ様なことして見せて下さいよ。そんなほいほい微笑みかけてもらえるとか、どこのラノベ脳ですか?」 (異世界でもへんてこな建物見ちゃったけれど、最近こんなの多い気がする) 「全部終わったら美術館とか行って、綺麗なもの沢山見てこよう」 アリステアは、うんと一つ頷いた。 もちろん、一緒に行く人は決まっている。 いこいの広場は、水をたっぷり含んでぐちゃぐちゃだ。 それでも、もうここに儀式の為の柱はない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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