● 昔々、といってもこの星の寿命から比すれば刹那に過ぎないけれど、矮小な人という生物の観点からすればそれなりに昔。 時は大航海時代と呼ばれ、夢と浪漫と希望に満ち、けれどもその実は過酷な現実が陸で、海で繰り広げられた時代。 彼の生涯は海と共に在った。 始まりは喰い詰めた親に売られ、船漕ぐ奴隷として。 過酷な扱いに耐えかね、叛乱を起こして、幸運にも其れが成った後は1人の海賊として。 彼は海から全てを得る事が出来た。全ては海が与えてくれた。 殺し、奪い、金をばら撒き、成り上がり成り上がり成り上がり、決して大きくはないけれど船団を率いる長となる頃には、とある国からの私掠免許を得て社会的な地位すら手にした。 彼は海に愛されていた。彼は海を愛していた。 彼は海を信仰していた。彼は海の加護を得ていた。 故に其の出会いは彼にとって必然だった。何時かそんな日が来る事を確信していた。其の日の為に海で生きて来た。 だれもそんな彼を理解してくれはしなかったが、其の日は遂に訪れた。 偉大なる海の化身、彼を愛して囁き続けた、彼がずっと探し続けた異形の神との出会いの日が。 そして彼は愛しい神に財宝も部下も船も全てを捧げ、海の中へと消え去った。 ● 「さあ諸君、仕事の時間だ」 集まったリベリスタ達を前に『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)が口を開く。 逆貫が口にする何時もの台詞。だが其の表情はいつも以上に厳しく険しい。 「日本全国を舞台に同時多発的に大規模な事件が起きる事が予知された」 そう、今日のアーク本部は何時に無く人の出入りが多く、常ならぬ緊張状態に包まれている。 昨今頻発している極めて無残なアザーバイド事件群、あの恐怖神話の題材にもなった異形等が其のターゲットをこの国に定めたのだ。 そして其の動きには当然、先日アークと接触し、アークに興味を持ったと思われる『ラトニャ』、ミラーミスかと目されるかの少女の思惑が絡んでいる事は間違いないだろう。 「今回諸君に相手してもらうのは其の尖兵、過去に異形の神と出会って其の眷属と化した人間の一団だ」 資料 敵は太平洋を北上して日本を目指す船団。船団構成はガレオン一隻とキャラックが四隻。 船自体は大きく昔の物だが、船自体も異形と化しており肉とも木とも判別できぬ材質で構成された化物。 階位障壁を有する為に通常兵器での迎撃は出来ず、搭載する大砲の砲撃も実際の其れとは比べ物になら無い程に強化をされている。 船には異形(其の身の半ばを蛸や烏賊の様な姿)に変異させた乗組員達が乗船している。 乗組員達は砲手や戦闘部隊長、白兵要員や操舵士、そして船長等に分類されるが詳細は不明。 旗艦のガレオンに乗船する船団の提督はリベリスタをも上回る力を持っていると推察されるが矢張り詳細は不明。 彼等が日本の鹿児島県の辺りを目指していると予想され、乗組員等は元海賊である為に虐殺略奪行為に長ける為、上陸を許せば大きな被害が出る事は予想に難くない。 「彼等は己の奉ずる神に導かれてこの国を目指している。殺し、奪い、異形の神に捧げる為に」 敵の数は多い。 けれども全国で多発する緊急事件の対応に手を取られ、この案件に割ける要員は決して充分な数では無い。 アークは必要とするならば人数分までの高速艇を用意する準備があるが、その操作は自前で行なう必要がある。 「何もかもが足りない事を本当に申し訳なく思う。だが数多くの異形が蠢く今、此れが精一杯なのだ」 必要以上の戦力は割けない。他にも凶悪な異形の出現が予想される案件が数多くあるから。 情報も足りない。時間も足りない。唐突な事件の頻発に万華鏡の予測も追いつかず、結果準備に使える時間が減っている。 だが被害が出る事が予想される以上放置する事もまた出来ない。 アークには、逆貫には、リベリスタ個々人の武勇、持てる力に頼る、縋るより他に無い。 「送り出すばかりで何も出来ぬが、諸君等の健闘を祈る」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年05月25日(日)22:56 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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● 海原を滑るように船団が走る。 世に恐怖神話を伝える書物では水の邪神と風の邪神は兄弟でありながらも対立する仲とされているが、水の眷属である海賊船にも今は風が微笑んでいた。 追い風を帆に受け、波を味方に付け、それでも説明の付かぬ速度で5隻の遠目には古めかしい、近くで見れば吐き気と侠気を誘う脈打つ素材で出来た船は日本に刻一刻と近付いていく。 海賊船に乗るは、当然ながら元ではあるが虐殺と略奪に長けた海賊達。長が水の邪神の信徒となった為、狂気と共に捧げられ変質したナレノ果て。 遥か昔には欲深な海賊であった彼等だけれど、今は欲など残っていない。だが決して其れは喜ぶべき、安堵すべき、気を緩める事が適う材料になりはしない。 彼等には自らの欲など無く、彼等の神の望む事が全てである。財貨に目が眩む欲も、怯える相手に肉欲を満たす欲も、自らの命を存えさせる欲すらない。 神が殺しを望むなら自らの命尽き果てるまで、最後の一人になっても殺しを続けるだろうし、神が陵辱を望むのならばその精尽き果てる事無く地獄の責め苦をばら撒くだろう。 彼等は何も恐れない。命乞いも聞かない。彼等は神の駒であると同時に、髪の毛先の細胞の一つの様なものでしかなくても彼等の神の一部である。 そんな物が上陸してしまえば、戦いを知らぬ人々に抵抗する術は無いだろう。散り散りに散られて虐殺を行なわれれば、日本を守護するアークが如何に巨大組織とは言えど、恐怖神話に由来する異形事件が相次ぐ今は、到底対処の人手は足りなくなる。 故になんとしても船団は此処で、ばらけずに船団として行動してる今、殲滅する必要があるのだ。 「許さんよ。ボトムだからって馬鹿にしたら痛い目みるんだかんな!!」 戦意を瞳に宿し、強い向かい風に目を細めながらも遠くに見えはじめた海賊船団に対し、『真夜中の太陽』霧島 俊介(BNE000082)が吼える。 異形と化した海賊達に対する、人類側の希望は6名。敵方の船に比べれば遥かに小さいが、新しい高速艇を足として。 「私は世界と人々を守るリベリスタなんです。どんな苦境であっても、勝利してみせます!」 刃、霊刀東雲を抜いて臨戦態勢に入った『エンジェルナイト』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)の言葉は誓いの如し。 俊介も、セラフィーナも、そして1人を除いて他のリベリスタ達も、本拠から遠い洋上で、不安定な慣れぬ揺れる足場、そして海戦に長ける数多い敵といった数々の要素に臆さず、何処か表情に余裕の色を漂わす者さえいる。 「い、今話しかけないでくれ……手一杯なんで……」 だが唯一人の例外が、仲間から同意を求められても高速艇の運転に必死で額に嫌な汗を滲ませて呻く『陰月に哭く』ツァイン・ウォーレス(BNE001520)だった。 出発のギリギリまで高速艇のマニュアル本を読み込んだだけの初体験の操船に、ツァインの顔色は蒼白を通り越して土気色になっている。 敵船の一隻に乗り移るまで持てば良い足とは言え、いざとなれば『わんだふるさぽーたー!』テテロ ミーノ(BNE000011)の翼の加護と言う保険があるとは言え、マスタードライブも持たぬ操船初心者が初動の鍵を握るのだ。その緊張も仕方あるまい。 アークの用意した最新の高速艇は、異形と化して不自然なほどの機動力を持つ敵船に対しても僅かであるが速度で上回る。 その利を何処まで操手のツァインが活かせるか、両者の速度に彼我の距離はみるみる縮まっていく。 「ヨーホー」 狂気を発する敵船に、それでも気楽に、気楽に、『トーレトス』螺子巻 言裏(BNE004974)の発した掛け声が海原に響いた。 ● 迫る高速艇を、……正確には乗員である6名のリベリスタの力を察知し、脅威を認めた船団が回頭する。 先頭のガレオンと、其れに続くキャラック2隻は右へ、残る2隻は左へと、高速艇に対してハの字を書いて動く。数に劣る相手を包み込み、握り潰すように様に。 キャラック側の頭を押えんと舵を切るツァインだったが、高速艇の周囲に砲弾が降り注ぎ水柱が上がる。海賊船の大砲はその殆どが左右の腹に備えられており、頭を抑える事で砲撃を避けようとしたツァインの行動は正解だ。 しかし海戦に慣れた敵は当然の様に其れを理解しており、数の利を以て高速艇を砲撃範囲から逃がさない。 だが此処で活きたのは、キャラックやガレオンに比して高速艇のサイズが小さかった事だ。元海賊達の常識を外れて小柄で、かつ速度と小回りに優れた高速艇の存在は、驚愕等と言う人間らしさを狂気で塗り潰してしまった彼等であっても意表を突かれたのだろう。 ギリギリで砲弾の雨を掻い潜り、高速艇は狙う敵船への距離を縮める。 けれど、矢張り、プロならぬ素人でしかないツァインの操舵でそんな奇跡が何度も起きる筈は無く……、キャラックの一隻へと近付いた高速艇は、近付かれたキャラックをも巻き込みかねない、敵の躊躇無い一斉砲撃の前に文字通り海の藻屑と化す。 本来ならば、足を失ったリベリスタ達は此処で終わりだっただろう。タフなリベリスタ達が更に執拗に続く砲撃を耐え切ったとしても、まさか泳いで船に追いつけるはずも無く、成す術なく敵船を見送ることしか出来なかった筈だ。 こう言う時の為の備え、正にワンダフルなサポーターであるミーノの存在がなければ。 「はねっ! でもペナルティあるからとびすぎにちゅーいだよっ!!」 その警告は実にメタく……。ミーノの翼の加護によって背に小さな羽根を得たリベリスタ達は、敵船への残り僅かな距離を、トドメと放たれた砲弾を宙を飛んで掻い潜り、更に詰める。 海戦、船と船の戦いならば異形の海賊側に圧倒的な分があったけれど、 「吹っ飛んじゃえっ!」 可憐な声に、けれども起きるは大爆発。『アメジスト・ワーク』エフェメラ・ノイン(BNE004345)がエルバーストブレイクで甲板の敵を吹き飛ばしてこしらえたスペースにリベリスタ達が舞い降りる。 そう、海戦ならば海賊達が圧倒的に有利だったけれど、一度乗り込んでしまえば、力と力、白兵戦に持ち込んでしまえば、それはリベリスタ達の本領が発揮される場だ。 海賊達が体制を立て直すその前に、甲板を蹴って駆けたのは言裏。彼女は超直観、異常に冴えた目端に拠ってこのキャラックのリーダーの所在を的確に見抜き、槍を振るって繰り出す技、移動の力をも衝撃に変えるアクセルバスターで其処へ至る障害を吹き飛ばす。 集ったリベリスタ達の中では経験の浅い言裏には単身で敵船の船長を討つ力は残念ながら持ち合わせていない。 しかしそれで良いのだ。だからこそ彼女は己の持てる力を的確に活かして……、次へと繋ぐ。 言裏が作った敵陣の穴を潜り抜けたセラフィーナが敵船長と切り結ぶ。雷光を全身に纏い、肉体の電気信号までをも制御する事で高められたセラフィーナの反応速度は、例え敵中にあろうとも切り抜けれるだけの速度に回避、身のこなしを彼女に与えている。 そうして敵中に孤立しながらも落ちないセラフィーナのアル・シャンパーニュが敵船長を魅了し、指揮系統を混乱させれば……、この船での勝利はもう見えたようなものであった。 リンク・ユグドラシルで強化されたエフェメラのエル・バーストブレイク、大規模な火力攻撃が甲板を薙ぎ払う。 敵海賊の攻撃はカトラスによる物理攻撃ばかりでなく、変異した触手は神秘属性を帯びていた為にエル・ユートピアでは防ぎ切れずエフェメラが手傷を負う場面もあったものの、しかしリベリスタ側にはミーノが居る。 ミーノの祈りに応じて発動する聖神の息吹はエフェメラやセラフィーナが負った手傷を癒し切り、そうなればもう1人の癒し手である俊介の手が空く。 無論手が空いたからといって、俊介の力が無駄になる事は無い。優れた癒しの力は、逆転すれば敵を屠る力へと転用されるのだ。 エフェメラのエルバーストブレイク、炎に次いでキャラックの甲板を薙ぎ払うのは閃光。俊介が放った裁きの光、ジャッジメントレイ。 普段は説得や殺さずを好む甘っちょろい所もある彼だが、相手が完全に狂気に飲まれ説得の余地が微塵もないともなれば寧ろその気は楽なのだろう。 敵を纏めて薙ぎ払う大規模攻撃が2枚重なれば敵の殲滅は更に加速する。 海賊達がせめてもとリベリスタ側の支えであるミーノを狙うも、その前に立ちはだかり庇うは守護者たるクロスイージスのツァインだ。 敵と相対して剣を振るう彼は、操船時の顔色の悪さは何処かへ吹き飛び、活き活きと己の力を存分に振るう。 つまりは、敵の射撃手が一斉射撃を行う事でリベリスタ達が一時的に押し込まれる場面の一つくらいはあった物の、足場を確保しての力のぶつかり合い、白兵戦に於いてはリベリスタ達は敵海賊を圧倒しており遅れを取る要素は殆ど無かった。 「面舵一杯ヨイサホー」 操舵士をアクセルバスターで弾き飛ばし、言裏はキャラックの操舵輪を思い切りまわす。 握った操舵輪はまるで生きてるかの如く脈打ち、抵抗するかの様に……、まあ実際抵抗なのだろうが非常に重い。 だが言裏はそんな事を気にもせず、革醒者としての腕力で其れを捻じ伏せ舵を取る。 ギシギシと船体の軋む音はせめての抵抗か、或いは抗議の罵声か。……けれども船は船である事を辞められず、操舵に従わぬ術を持とう筈が無い。 最早どちらが海賊かわからぬ様だけど言裏の意識は、リベリスタ達の戦意は次の船へと。 「あの船処女かなぁ?」 処女航海はとっくに済ませてるんで全く以て処女じゃないです。船尾に衝角喰らった事は無いので後ろは無事です。 ● 次々と船を乗り換えては異形の海賊達を殲滅していくリベリスタ達。例え船を切り捨て、船ごと砲撃で沈めようとしても翼の加護があるリベリスタ達は次の船へと辿り着く。 数の差も、俊介が聖神の息吹で傷と体力を癒して、ミーノがインスタントチャージで精神力と戦う力を賦活すれば持久戦での負けは無い。寧ろ5隻の船にわかれて敵が乗船していた事で各個撃破が容易になったとも言えてしまう。 だが無論、海賊とて唯黙ってリベリスタからの蹂躙を許しはしない。 彼の船団の長は、奴隷から提督にまで成り上がった海の申し子。例え狂気に思考を埋め尽くされていようが、海戦に於いての狡猾さを失っては決して無い。 4隻目の、最後のキャラックを攻略するリベリスタ達に向かって接近したガレオンから近接射撃された砲弾は対船用の通常の其れではなく、乗員の殺傷を目的としたぶどう弾。 キャラックの甲板に残った海賊達を見捨て、平然と撒き沿いにして放たれた無数の小弾シャワーは、咄嗟に俊介に庇われたミーノ、エルユートピアで弾いたエフェメラ、雨の様な小弾をブリッツクリークで底上げした反応速度で回避して見せたセラフィーナ以外の3名に致命的は損傷を与える。 小弾と言っても異形の力で強化された砲弾だ。腹にまともに受けた言裏は身体に大穴をこさえたし、言裏よりも頑健さに勝る俊介は……、穴こそ開かなかったものの体の肉と骨がグズグズに叩かれ潰された。 けれど其れでも彼等は運命を対価に耐えて見せた。 しかし言裏よりも俊介よりも頑丈な筈のツァインは運命に頼らず……、されど耐え切るには足りずに血溜まりをこさえて倒れ伏す。 リベリスタ達にとって想定外の、強烈過ぎる隠し球。 だがその隠し球を出しても尚、ガレオンを攻め切れるだけの戦力をリベリスタ達が残した事が、海賊船団の提督にとっての想定外。 一隻目が落とされた時点で残りのキャラックが落とされる事は判っていた。だからこそ残るキャラックも見捨ててでもリベリスタ達の意表を突いてぶどう弾を叩き込むタイミングを窺っていたと言うのに。 その成果は想定よりも遥かに小さい。正しくはリベリスタ達が敵提督の想定よりも遥かに、遥かに遥かに遥かにしぶとい。 倒れたツァインを放置は出来ぬと言裏が抱え、残る4人が接近していたガレオンに空を飛んで乗り移る。 セラフィーナが敵を引き付け、エフェメラと俊介が最大火力で薙ぎ払う。倒れたツァインに其れを抱えた言裏、戦える人員は二人欠けたが、その分を埋めるは矢張りミーノの万能のサポートだ。 回復の手が空いたならば俊介と同じく攻撃にすら手を出して、放たれるは生命を蝕む漆黒の光、シュヴァルツ・リヒト。……て、あれ、この子ダークナイトなの? インスタントチャージは兎も角、なんでホーリーメイガスじゃないのに聖神の息吹とか持ってるの? なんと更に鬼謀神算、指揮能力すら持つのである。そりゃ同じ癒し手の俊介も身を挺して庇おうと言う物だ。 良く判らぬ生き物、わんだふるさぽーたーの八面六臂の活躍もあり、海賊はみるみる数を減らしていく。 「――――――――!!!」 人には聞き取れぬ、聞き取れたとしても理解の出来ぬ、呻きとも怨嗟とも悲鳴ともつかぬ異形の提督、邪神の信徒の声を、 「海が好きなら、陸にあがろうとすんじゃねえ!」 俊介の放った閃光、ジャッジメントレイが飲み込んだ。 ● 渦が巻く。空が荒れる事も無いのに海だけが荒れる。 最後の一人となっても粘った、己を邪神に捧げし提督が倒れた瞬間、巨大な気配が辺りを満たす。 海が盛り上がり煮え立つ。大渦が巻き、乗り手を失った異形の船達を飲み込んでいく。 大慌てで空へと逃れたリベリスタ達が見た物は、海の中に居る巨大な影。 船よりも、もっと、もっと、もっと大きな、圧倒的な存在感を持つ何か。 その邂逅は恐らくほんの僅かな時間だったろう。恐ろしげで、あまりに巨大な気配は時間の感覚を狂わせたが、船を余さず飲み込んだ渦はすぐに霧散し、巨大な影も再び海の底へと消え去った。 ごくりと、誰かがつばを飲む音が嫌に大きくはっきりと聞こえる。 帰還には手間取るだろうが異形の海賊達の侵略を防いだ。 勝利だ。そう、リベリスタ達は勝利した筈なのに……、背筋に走った怖気はいつまでも、いつまでも、決して彼等を放さない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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