● 「死にたくないの」 夕陽に紅く染まった病室で、未来の無い少女は悪魔に縋る。 分厚い本を音を立てて閉じた悪魔は、何故?と問う。 何故、生きたいではなく、死にたくないなのか、と。 「生きてて良い事なんて無かった。これからもきっと無いと思う……でも」 生まれ付き体が弱く、生まれて直ぐに厄介払いをするかの様に病室に押し込められた少女には幸せな記憶が無い。 生への希望が、無い。 「でも、死にたくないの。忘れられたくないの。消えたくないの。だって私は未だ、ここに居るの」 彼女の入院費を払っている両親も、彼女の世話をしてくれる看護師も、彼女が死ねば直ぐに彼女の事を忘れるだろう。 生への希望は無くとも、迫り来る絶望からは逃れたい。矛盾した言葉だが、その言葉は悪魔の心の琴線に触れる。 運命に抗う事なんて考えたことも無く、また其の力もない少女。 伸ばされた彼女の手に指を絡め、悪魔は囁く。 自分と契約するならば、万に一つの可能性をあげようと。 そして、悪魔と呼ばれるフィクサードは、世界に小さな穴を開けた。 だが悪魔は知っている。彼女は運命に愛されていない事を。都合の良い奇跡なんかは、起こらないから奇跡と言うのだと。 悪魔は、彼女が運命に愛されない理由を知っている。 ● 「ある大型病院の入院病棟にエリューションが出現するので、これを処理して欲しい」 集まったリベリスタ達に、真白イヴは何処か申し訳なさそうに頭を下げる。 そして彼女に手渡された資料の内容は、胸の悪くなる物だった。 資料(要約) ターゲットの名称は片桐美緒。覚醒でエリューションと化している。何らかの力によって人としての姿と人格は未だに覚醒前のまま保たれている様子だが、フェーズの移行がなされればそれも失われる模様。 また彼女がフェイトを得てリベリスタとなる未来は観測されていない。 人格を失った後は周囲への被害をが予測される為、人としての人格を失う前の処理が推奨される。 片桐美緒を覚醒させたのは、その行動パターンから『悪魔』と呼んでいるフィクサードであり、未だ病院内に潜んで居る可能性が高いので注意されたし。 悪魔は非常に危険度の高い相手である為、処理対象には含まない。交戦はなるべく避ける事を推奨する。 また病院が戦場となる為、細心の注意を払って貰いたい。 片桐美緒: 死期が迫る13歳の少女。古く格式のある家に生まれたが、それ故に長生きの出来ないであろう彼女は最初から厄介者として病院に押し込められた。 読書と勉強を趣味とする(他にやる事が無い)為、会話能力は年相応かそれ以上に備わっている。 既にエリューションと化しているがフェーズ1の間は人としての姿と人格を保っています。 悪魔にリベリスタ達が殺しに来ると教えられており、人格を失うまでは基本的に逃げます。 完全に人としての意識をなくした後は、姿も変化し、手当たり次第に襲い出す。能力は肉体的な強化と超回復(程度は違うが人間時も共通)です。 悪魔: 善悪の区別無く、琴線に触れた者を救うフィクサード。 ただし彼の救い方は、虐待された動物を助ける為に飼い主を虐殺する様な物。 小を救う為に大を殺す事を厭わない。 容姿は少年と青年の中間辺りで、他人を誑かすのには足るだけの物。 片桐美緒を維持する為に力を割いている為、その実力は低下中である。 詳細な能力は不明だが分厚い本を常に所持している。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年04月22日(金)23:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 人気の少なくなった病棟内を一人の少女が駆け、一人の看護師とすれ違う。 「こら、病院内では走らな……えっ?」 当然の様に其れを注意しようとした看護師は、其の少女が本来は走る所か歩く事すらままならぬ身だった筈な事を思い出し、思わず首をかしげる。 ベットの上から動く事も出来ずに死を待つだけだった筈の少女、そう片桐美緒は己の両の足を使って、時折転びそうになりながらも駆けていた。 本来ならばそれはとても喜びに満ちた物だっただろう。だが今の美緒に其の余裕は無く、何かに追われているかの様な必死の表情で走り続ける。 一瞬、追いかけて問いただしたい気持ちに駆られた看護師だったが、美緒の足が速すぎて到底追いつけそうにはなく、そして何より自分の受け持ちの入院患者からの呼び出しを受けて急いでいた事を思い出し、頭に一杯だった疑問を端へと追いやり足早にその場を離れていく。 そんな看護師を、窓の外を飛行して美緒を追跡する『シスター』カルナ・ラレンティーナ(BNE000562)の体が作った影が覆い、そして通り過ぎる。 丁度其の頃、 「アイヤー、おっちゃんちょっとミスっちゃったアルね」 美緒の追跡者の一人である『肉恋い蝙蝠』李・灰蝠(BNE001880)は己の張った強結界が想定よりも遥かに低い効果しか出ていない事に表情を僅かに曇らせた。 『強結界』は用事の無い人間を効果範囲内に立ち入らせず、また内部での出来事を意志の弱い外部の人間に悟らせないと言う人払いには便利な能力ではあるのだが、既に効果範囲内にいる人間を無理矢理どかす事は出来ないし、今この病院にはこの場に用事の無い者が基本的に存在しない。生活の場が此処である入院患者然り、彼等の命を守る医療従事者然りだ。 何らかの工夫と共になら強結界の使い様もあったのだろうが、今は其れを考える時間も、過ぎ去った失敗を悔やむ時間も無い。『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)から端末に送られて来た病院の構造図を見やり、李も美緒の逃走ルートを潰す為に移動を始める。 一方、この物語の鍵を知る人物であるフィクサード、悪魔の下にも、彼をターゲットとするリベリスタ達が集いつつあった。 悪魔の居所は、カルナや影継らの入手した病院の見取り図を『超直感』の持ち主である『原罪の蛇』イスカリオテ・ディ・カリオストロ(BNE001224)や『Dr.Friedhof』ニコラス・D・ワイスマン(BNE001666)等が見る事で直ぐに割れる。病院内を逃走するであろう片桐美緒を見守ったり、あるいは救おうとするならば、それを可能とする場所は非常に限られてくるからだ。 屋上への扉を乱暴に蹴り開け、躍り出た『不退転火薬庫』宮部乃宮 火車(BNE001845)とイスカリオテの二人を見やり、 「ようこそ、リベリスタ。番犬、守護者、己の敵。けれど己は貴様等を歓迎する。口惜しいが、貴様等こそが彼女にとっての救いの鍵であるが故に」 悪魔は両腕を広げて微笑んだ。 ● 体内の魔力を活性化させたカルナの詠唱により、中空に描かれた魔法陣から魔力で構成された矢が美緒の背に向かって放たれる。 無人の病室へ転がり込む様に飛び込み、何とか魔力の矢を回避した美緒だったが、其の病室の天井からは『残念な』山田・珍粘…… 『私の名前は那由他・エカテリーナです。そこを間違えないよう』 ……那由他・エカテリーナ(BNE002078)がまるで天地を逆にしたかの様に、天井に足をつけ、長い髪を垂らして立っていた。 驚きと恐怖、そして必死さの入り混じった美緒の表情を真正面から見、エカテリーナの瞳が僅かに揺らぐ。しかし、その揺らぎは直ぐに強い意志によって押し殺され、エカテリーナの両手のナイフが煌めき、振るわれる。 ソードミラージュの能力により身体のギアを一段階跳ね上げたエカテリーナの高速攻撃は、痛みも感じさせずに美緒の首を刎ねる筈だった。実際に、美緒の目はその攻撃を捉え切れておらず、避けられる要素はなかった。 だが血飛沫を上げたのは刎ねられた首ではなく、半ばより断たれ、千切れそうになっている美緒の腕だ。 まるで主人の意識とは無関係に、目覚めたばかりの能力に身体を突き動かされるかの如く致命傷を回避した美緒は、攻撃を放って隙を見せたエカテリーナの横をすり抜け、そして窓からその身を躍らせる。 意味深げにリベリスタ達を出迎えた悪魔は、恐らくは何らかの話をする心算だったのだろうし、尋ねれば其の目的について語ったかも知れない。 だがこの場に現れたリベリスタ、火車にとってそんな事情は無関係だった。火車にとって重要なのは彼の気に入るこの世界を脅かす敵を打ち砕く事、それだけだ。 相手は邪悪で、悪趣味で、ゲスな奴である方が殴り倒すには都合が良い。ならばそうであると決め付けてしまう。悪魔の目的は本当に美緒を助けたいだけなのかも知れないが、そんな事はありえ無いと決め付けてしまう。その盲目的とも言える火車の精神は、それ故に曲がらず強い。 「始めまして、悪魔殿。私の名はイスカリオテ。知識を食む原罪の蛇。貴方のご同業ですよ、以後お見知り置きを」 共に屋上へとやってきたイスカリオテが悪魔に向かって名乗る間にも、火車は己の精神を象徴するかの様な業炎を腕に纏い、悪魔に向かって真っ直ぐに、愚直に、無謀に突っ込んでいく。 相手が同格、もしくは格下なら火車はその勢いのままに打ち砕く事も可能だろう。だが恐らくは格上であろう悪魔に対する物としては明らかに無謀すぎるその行動に、火車の『2人』の仲間も同時に動いた。 ● 駐車してあった車の屋根を大きく凹ませながらも、立ち上がった美緒。だが彼女の窮地はまだ終わっていない。 千切れ掛けていた腕は恐ろしい程の回復速度で既に修復を始めているし、落下で受けたダメージも無視できる程度の物ではあったが、 「俺があんたの死神だ。未練はあるだろうが、その命貰い受けるぜ」 既に逃走ルートを先読みして回りこんでいた若干ドヤ顔気味の死神、影継や、追い詰められた美緒を見、少し唇を噛みながらも彼女に最後の救いと安息を与えんと、まるで死を告げる天使の様に空から舞い降りたカルナ、そして壁を足場にしている為に垂れた髪で表情は隠れているが、瞳には覚悟の色を湛えたエカテリーナも追いついて来ている。 そしてこの場には李が人が居ない事を確認した上で改めて強結界を張っていた為、部外者の姿は存在しない。 「忘れられたくないのなら、あんたの存在を俺に刻み付けてみろ!」 と吼える影継の言葉にも震えるだけで攻撃の意思を見せない美緒。 血の気を失い蒼褪めた美緒の顔を、沈みかけた夕陽が紅く染める。美緒に最期の時が近づいていた。 繰り出された火車の業炎撃は、急にピタリと動きを止めた悪魔の顔面に真っ直ぐに叩き込まれ、其の身を大きく吹き飛ばす。 良く見れば、悪魔の身体には細い気の糸が無数に絡み付いており、その糸の先は今まで気配を絶って姿を隠していたワイスマンの手へと繋がっている。 そして本を持っていた方の悪魔の手にも、ワイスマンの物とは別の、今正に悪魔の落とした赤黒い背表紙の本を回収せんとするイスカリオテの放った針の様に鋭い気の糸が突き刺さっている。 本来ならばワイスマンは悪魔の能力が判明するまでは気配を絶って隠れている心算だったし、イスカリオテもどちらかと言えば対話等を混ぜながら相手を翻弄するタイプになるのだが、結果的に真っ直ぐすぎる火車の行動に付き合う形になっていた。 1対1の戦いなら兎も角、複数がぶつかり合う激しい戦いの最中では、イスカリオテの得意とする言葉による虚実は行い難い。イスカリオテの悪魔に関しての推論は意外と鋭い所を突いていたりもしたのだが、……まあそうそう思い通りには運ばないのが戦いだ。 「出来ればもう少し見定めたかったものですが、大切な『戦力』を失うわけにはいきませんからな」 ワイスマンにとっては不本意な登場となってしまった筈だが、それでも彼は愉しそうに唇を歪める。 身体に巻き付いた気糸を、頬を焦がした悪魔は引き千切りながら立ち上り、 「素晴らしい。正に貴様は良きリベリスタ、誇り高き己の敵だ。正論で少数を踏み躙る世界の犬だ。吐き気がする。最悪だ。本当に素晴らしい」 火車に向かって喜びを吐き捨て、そして視線を己の本に手をかけて顔色を曇らせたイスカリオテへと移す。 「無駄な事はやめておけ。己の魔本は貴様等番犬を打ち殺す為の鈍器。犬の血を吸う毎に重く硬くなる。誇り高き敵を幾多も打ち殺せしそれは、既に貴様程度に扱える重さには在らず」 言葉を吐き散らしながら近づいてくる悪魔に対し、イスカリオテは本の回収を諦め、手放した。両手で抱えて尚ふらつきかねない重量の本を抱えながら戦闘をこなす事は不可能だし、何より恐ろしい事は悪魔が其の本を片手で事も無げに持っていた事だ。つまりそれだけの膂力、特に握力を持つ相手に掴みかかられれば遠距離戦をメインとするイスカリオテでは成す術が無い。 だが幾ら回収を諦めたとは言え、素直に返してやる義理もリベリスタ達には無い。ましてや其れが武器であると言うのなら尚更である。 下がるイスカリオテを支援するかの様に飛び掛るワイスマンと火車。 ● 千切れ掛けていた腕が既に完全に修復してしまっていると言う美緒の超回復能力を前に、彼女の苦しみを少しでも少なく彼女を逝かせるには自分達の火力を集中させるべきだと、それぞれの獲物を構えるリベリスタ達。 カルナと李は中空に魔法陣を描きマジックアローの準備を、影継はクローを構えて己の持つ一番攻撃力の高い攻撃であるメガクラッシュの構えを、エカテリーナは己の身体を撓め、バネを活かした最速の一撃の準備を、……だが、彼等の攻撃は放たれる事無く一人の人物によって制止される。 其の人物とは、今回の任務に集まったリベリスタ最後の一人『飄飄踉踉』繁森 虎太郎(BNE000542)だった。 100を守る為の1の犠牲となる片桐美緒に対して無関心では居れないと、彼女の病室を調べていた虎太郎は美緒に向かい、彼女が一番読み込んだであろう、一冊のボロボロになった絵本を渡し、語り出す。 美緒が何故追いかけられ、殺されようとしているかを。美緒がこのままだと人を襲う怪物となり、そして別の世界へと通じる穴となってしまうであろう事を。 其れは素直に虎太郎の中から出た同情であり、優しさであったのだろう。そして其の優しさは形は違えど他のリベリスタ達も同じくだ。思えばカルナや李は少しでも彼女の苦痛を少なくしよう心を砕いていたし、影継は己に美緒を刻もうとした。そしてエカテリーナもかつての自分と美緒を重ね合わせ……。 けれど、けれどもだ。それを語られる事が美緒にとってどんな意味を持つのかを、どんなに残酷に響くのかを、今の虎太郎は理解していない。恐らくは未だ乗り越えていない者と、既に乗り越え強者となった者の感覚の違いだったのだろう。 追い詰められた美緒の心に、虎太郎の優しさを素直に受け止めるだけの余裕が無い。 ならば自分は一体どうすれば良かったのか。あの病室で誰にも知られぬままに死んでいくのが最良の道だったのか? 迫り来る死から逃げ、理不尽から目を逸らし、そしてリベリスタ達の攻撃からも只管逃げるだけだった美緒の瞳に暗い炎が宿る。 「何故、何故、何故、私が、私を愛さず、私に一つも優しくしてくれなかった世界の為に死なないといけないの!」 それは美緒の魂の絶叫。そして、初めて美緒自身の意思で繰り出された攻撃が、甘んじて受ける虎太郎の胸を貫いた。 戦況は突如として一変する。 膂力は馬鹿げてるとは言え、さして動きの速くない悪魔に対して3人は手数とコンビネーションで有利に戦いを進めていた。 ワイスマンのギャロッププレイは悪魔を切り裂き其の動きを止め、イスカリオテのピンポイント部位狙いが悪魔を貫く。更に、仲間達のお膳立てを受けた火車の覇界闘士としての豪腕が悪魔の片腕を叩き折る。 ……しかし、重傷を負ってこのまま削り倒されるかと思われた悪魔の動きがある瞬間を境に急に素早く、そして鋭い物へと変化する。喜びに唇を歪め、戻って来た己の力を思う存分に振るい出す。 「宮部乃宮君、避けなさい!」 咄嗟に警告の声を発したのはイスカリオテだ。異常事態の発生に直観力の高いワイスマンとイスカリオテの二人は危険を感じ、悪魔と大きく距離をとる。 だが、引く事を潔しとせずに警告の声を聞いても尚一人で踏み込んだ不退転が、悪魔の魔本に薙ぎ倒された。 ● カルナの紡いだ言の葉が生み出す微風が、膝から崩れ落ちかけた虎太郎の身体を癒し持ち直させる。 だが美緒が繰り出した攻撃は、先程までの力や衝動に突き動かされた様な突発的な物ではなく、確かに彼女の意思の元、彼女の制御下に置かれた物だ。 そして其の瞳にははっきりとリベリスタ達に対する怒りと憎しみの色が浮かんでいる。つまり…… 「フィクサードに、……なった?」 呟かれた疑問は誰の物だったのか。烈火の如く襲い掛かる美緒の攻撃をエカテリーナのナイフが巧に捌き、叩き落す。更に影継のメガクラッシュが繰り出され、美緒の身体を大きく切り裂き、そして吹き飛ばすが、攻撃を繰り出した影継の腕も吹き飛ばされる瞬間に蹴り出された美緒の蹴りによって圧し折られていた。 むくりと起き上がる美緒の表情からは既に死を前に怯えていた少女の面影は窺えない。 しかし戦いの勝敗は火を見るよりも明らかだ。戦いの経験があるリベリスタ達とフィクサードとなったばかりの美緒では経験値に絶対的な差があり、そして数の差もある。何より大きいのはリベリスタ達には癒し手の存在がしている事だ。先程圧し折ったばかりの影継の腕も既にカルナの天使の息によって接がれているし、今は魔法の矢での攻撃準備に入っている李も実は回復を得手としている。このままぶつかり合えば、時間はかかれど何れリベリスタ達が勝つだろう。 美緒が口惜しげに撤退を決意した其の時、屋上から悪魔が降って来る。 「己達は引こう。感謝するぞリベリスタ達。、己の予測した万の可能性の中にこの結末は存在しなかった」 2人に増えたフィクサード達の撤退を許さず戦い続ければ、此処にいるメンバーだけでも美緒だけは討ち取る事が可能かも知れない。だが其の場合確実にリベリスタ達にも幾人かの犠牲者が出る事になる。不足した戦力のまま挑むのは勇気ではなく無謀だ。 引き上げようとする美緒の背に、虎太郎が戦いの中で地に落とされていた絵本をもう一度差し出すが、けれど立ち去る美緒が振り向く事はなく……。 きつく結ばれた唇の奥に、失敗の後味が苦く残る。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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