●春 だっらー。 ゆーるー。 ポカポカウラウラ、浮かれ陽気の春が来た。 この陽気で瞼も緩む。並みの怪異よりよっぽど恐怖の「花粉症」もモーレツで、なかなか目をあけてもいられない。 眠りたい午後2時。科学のベテラン教師の授業は堂に入ったもので、おそらく十年前から一字一句変わっていない化石のようなしろもの。授業のくせになんで白衣着てんだよ、というツッコミもなんのその、インタラクティブ要素ゼロの、聞くだけ授業は、バリバリに睡魔の召喚を手伝ってくれる。 やべ、昼飯食いすぎたか、あの焼きそばパンが余計だったよな……賞味期限が迫ってるとか、学食のオヤジが脅すから……思考が寸断され、意識がポカポカ桜色に染まってゆき、世界がゆっくり遠ざかってゆく……。 これではイカンと、ふとももにシャーペンを突き刺す真面目生徒。 ぐっと顔を上げると、他に顔を上げる者は誰もいない。 生徒ひとりのこらず、爆睡モード。先生も。 そっかー、今日寝ちゃってもいいのかー。 ゆっくりと彼は床に崩れ落ちる。 仰向けになると、五月の空が広がっている。あれ、飛行機って、あんなに低く飛んでたっけ……。 ●和泉さんはほんとうに立派だと思うの 「もう、髪がぐしゃぐしゃだもの」 『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)は、眠そうな目をこすりこすり、タブレットを操作し始めた。 「えっと、春が来てます。山にも、野にも、里にも来てます。これを退治することが、今回のミッションになります」 若干呂律のあやしい感じで、和泉は続けた。 「『春』は、大きめのトカゲみたいな感じです。ショッキングピンクだそうです。『春』っぽいですね。これを退治しないと、みんな眠くてしょうがなくなっちゃいます」 連日の激務がたたっているのか、和泉は眠気に屈してしまいそうである。 「こいつに勝利すれば、めでたく春が来ます。みんな気持ちよくお昼寝ができるようになります。がんばってください。私は……すみません……もう……」 言うなり、デスクに突っ伏してしまう和泉。いまいち釈然としないものを抱えながら、リベリスタ達は部屋を後にするのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:遠近法 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年05月13日(火)22:41 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●サティをBGMにしてお読みください。 『そらせん』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329) は ねむってしまった! 『本気なんか出すもんじゃない』春津見・小梢(BNE000805) は ねむってしまった! 『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439) は ねむってしまった! いきなり高戦力、高レベルのリベリスタ達が寝こけてしまうという……意外すぎる……驚くべき……展開ッ……! これはいったいどういうことなんだ、と驚きの諸兄とともに、出発の時点に遡ってみよう。 眠気を武器とするE・ビースト殲滅の命を受けて、リベリスタ達はそれぞれ準備に余念がなかった。 「春の湖畔の森で、サイコーのお昼寝日和……やーん! おはなし聞いてただけで誘惑に負けちゃいそう……」『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)はAFにイルカの人形を押し込む。 「まだ少し寒いですが、それでもずいぶんお昼寝しやすい時期になってきました。つまり、眠気に負けてしまっても仕方ないのです。私たちが悪いわけじゃない」レイチェルは究極の速さを実現し防護服をさっぱり脱ぎ捨て、体を締め付けないウェアに着替える。生地はしっかり保温性抜群、しかも安価で汚れても安心。「存分に惰眠を貪るとしましょうか」 「……あ、そういえば女子会だねっ!」真独楽が言う(トカゲもいるよ)。 「今回は居眠りパラダイスって話だしよ」緋塚・陽子(BNE003359)が枕を叩く。 違う、そうじゃない。 「睡魔を受け入れる、抵抗なんて無駄。私は睡魔さんと添い遂げる」毅然として言い放つソラ。 完全にお昼寝モードのリベリスタ達。 しかし、真面目に敵の対策にまい進する勇者たちもいた! 小島 ヒロ子(BNE004871)はミントタブレットを臼歯で磨り潰しながら、目覚まし系のアプリをインストールする。5分毎に鳴る優れものだ。任務前に摂取するコーヒーも準備済み、手際の良さは歴戦の中で身につけられたものというよりも、ブラック企業での勤務時に覚えたものだろう。 この一連の動作も、ヒロ子にとっては毎朝の儀式のようなもの。毎朝スヌーズ機能と格闘、それも毎朝のこと。 (まあ……それでも寝坊するときはするよね~)皮肉気に口元をゆがめるヒロ子。 ドス黒いオーラを放つヒロ子を横目で見つつ、リリウム・フェレンディア(BNE004970)はタブレットと冷却シートを真新しいAFに収める。彼女の傍らには、無言で銃器の手入れをする『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)がいる。なぜかカレーの準備をしている小梢もいる。 決めるところは決める。さすが革醒者といったところか。 「春だから眠いわ。夏でも眠いし秋だって眠い、冬は冬眠したい。一年中いつだって睡魔は襲ってくるのよ。その睡魔にどう立ち向かっていくかは永遠の命題よね」全員の準備が整ったところで、総括するようにソラがいった。「私は立ち向かわず受け入れるけどね!」 リリウム嬢ならずとも、イヤな予感はぬぐえない。 ●そういうゲームだったのか、これ 湖に姿を現した巨大なトカゲに向け、陽子がカードを構える。 「ふぁ~、死神のカードをお見舞いしてやるぜ」ふぁ~、と生欠伸とともに放たれたカードは、へにゃりと滑空しトカゲの頭に刺さる。 「だいじょーぶ! 気合で眠らないようにする!」キリッとした顔つきで、真独楽は跳躍する。相手と吐息の交わせるくらいの距離で爪を一閃。ムーンサルトを描くと、春の日差しがまぶしい。「眠気対策には太陽の光がいいって言う……あ、だめだ、ぽかぽかして余計気持ちいぃ……」 前線で荒々しく戦う少女たちも、眠気に屈してしまいそうだ。 そして遠くには、開始早々寝始めた人達。 びしっと、一分の乱れもない寝姿で寝入るのはソラ。 眠りのプロを自認する彼女は言った。 「睡魔を受け入れる。抵抗なんて無駄。私は睡魔さんと添い遂げる」 その言葉に嘘偽りはなかった。プロの居眠リストである彼女は自分に厳しい。寝言、寝相などはもってのほか。状況に応じ「立ったまま寝る」「目を開けたまま寝る」なども自在に使い分けることが出来る(自己申告)。一応戦闘配置に立ち、陣形を構えたものの、そのときすでに寝ていたらしい。結構周囲が堂々と寝てるもんだから自分も堂々と寝たものと思われる。 起きて活動しつつも居眠りしているという彼女は、眠りという概念を覆すべく進化した存在なのかもしれない。 居眠りの国からの来訪者、まさに『もぎたて居眠り大使』とでも言うべき存在なのだ。(よい子はマネしないように! アザーバイドの正面で居眠りしてフェイトをゼロにしちゃだめだぞ!) 岸辺近くで寝ているのは小梢。戦闘開始と見るや、彼女はカレーを取り出しつつ、翠緑色のオーラをまとった。ゆらゆらと波打つエメラルドの光に、もわっと漂う香辛料のかおり。 「今なら……イケる!」圧倒的な防御を誇るオーラの聖骸布、それを毛布がわりにして(……)枕頭にカレーを置いて、小梢はすーすー寝息を立て始めた。 「ああっ、そんなにらっきょのっけて……カレーへの冒涜……」カレーを愛してやまぬ彼女は、寝言もカレーだ。枕元のカレーは、起きて食べる用であり、寝ながら食べる用であり、さらにカレーの夢も見るという初夢効果も狙ったものだったのだ。 ちょっと離れたところで毛布にくるまるのはレイチェル。到着してすぐ超直観で観察したのは、敵の襲撃に備えるためではなかった。素早くベストポイントを見出した彼女は、携帯を右手に握り込み、枕にして横になる。 「おっと、つい忘れるところだった」彼女は眼鏡をはずした。「フレームが歪んじゃいますから」 そんな状況(惨状、というべきか)をまのあたりにしながら、生真面目なリリウムは眠気をこらえていた。 「私は……覚醒したの、に……戦えるのに……こんな相手に……」額に冷却シート、タブレットをごりごり噛みつつ、必死にリリウムは頑張る。 何しろ彼女は今回が初戦。いきなり相手の前で居眠りこいたなんてなったら大変なことになる。眠ったままシナリオが成功したら、経験点が入ってしまい、寝ているうちにレベルアップなどという昔の某RPGみたいなことになってしまう。それだけは避けなければ。(わからない人は、近くのマインドシーカーに聞いてみよう!) その時、あばたが一歩歩み出た。 ガチリ。改造に改造を重ねた、化け物じみた中にもどこか流麗さを見せる二丁の銃をトカゲに向ける。 すさまじい爆轟とともに銃閃がひらめく。攻撃するとともに、目覚ましの意味もあった。。 硝煙がゆっくり晴れると、そこにはあばた達の姿が。(含む寝てる人) その中でもひときわ輝く雄姿は、ヒロ子のもの。カフェインとミントでばっちり眠気を抑え、研ぎ澄まされた集中力で火箭を放つ! その口からは、独り言が漏れる。 「爬虫類ごときがよぉ……この時間寝たら夜寝られなくなるだろうが……」照準を合わせつつぶつぶつしゃべり続けるヒロ子さん。「ババアだから夜は早めに寝ないと肌にくるんだよ……」 仲間に話しかけて眠気を覚ますつもりが、もはや余人の立ち入るすきのない大ブツクサモードに突入するヒロ子さん。大丈夫ですって! 今、がんばってるヒロ子さん見て好感度スゴイっすから! ヒロ子の姿を見て、陽子は自ら奮いたた……なかった。 「オレは沈むぜ」枕に顔を押し付けて、翼を巻き込まない様に眠りに落ちていく陽子。「人生は何事も博打」という彼女には、そういう刹那的な判断もまたお似合いなのかもしれない……。 そうこうしているうちに真独楽も限界。「こりゃダメだ!」言い放つと彼女はAFからイルカの人形を取り出し、ぎゅっと抱きしめながら寝入ってしまう。一回攻撃したからがんばったよね、というあたりに、十代女子のタクティクスがほの見えて怖い。 「……えへへ、パパ、だいしゅきぃ……」重度のファザコンである彼女は枕をムギュムギュしつつ、甘々な寝言を呟く。幸せなのはいいけどその寝言は勘違いされるかもしれない。 リリウムはなすすべもない。 ヒロ子もがくりと崩れ落ちる。頑張って! 自分に負けないで! 好感度、すごい上がってるから! その時、あばたが一歩前に進み出た。 死角のない眼球が高速論理演算を開始し、瞳に無数の星が散る。この世ならぬ手段で、眠っている仲間たちと交感を試みているのだ。 (――……――よ…… きこえていますか いまわたしは あなたのあたまのなかに なまりだまをぶちこもうとしています……) 直接脳内に! しかもかなり物騒な内容を! それを受け、ソラがむっくり起きる。居眠りストたるもの、他人に寝ていることを悟られてはならぬという矜持があるか。 「んー……ほぅいえば、戦闘中だったかひらぁ?」 ごしごし目をこするソラ(寝ぼけているというのが「寝ていない」ことの証明ってのもすごい状態だ)。とりあえず氷の霧を放つも、これは攻撃というより、少し気温を下げたいという快適さ目的のものだったようだ。 「早く終わらせて……帰っへ……お布団で寝ましょ……ぅ」 びしっと戦闘態勢をとるソラ。もしかして寝たのか。 がくり。ヒロ子さんアウトー。でもいいよ。好感度すごい高いよ、きっと。 あばたの脳内には、交感した相手の思念、情念が逆流してきた。あばたはこれをとらえることで、相手の夢を読み取り、覚醒を促そうとする。 ぎりぎり歯ぎしりをするヒロ子。彼女の夢を見ることははばかられた。せめて彼女が、ブラック企業での仕事の夢を見ていないことを祈るばかりだ。 すぅすぅと寝息を立てるレイチェル。お昼寝慣れした彼女は、うまく自分をコントロールし、夢を見るほど深い睡眠をとろうとしない。ようするに起きない。 「う~ん、パパ~……」特大イルカのぬいぐるみを抱きしめ眠る真独楽。彼女の夢を覗いたあばたは、眉をぴくりと動かし、ターゲットを切り替える。十代女子の夢なんて、おっかなくって書けないよ。 陽子はもがいていた。神秘界隈の巷では、狂気神話の代表格がリアルに暴れている昨今、彼女のような有能なリベリスタには、心の休まる時がないのだ。こういうタイミングを見計らって、彼女は意識を飛ばす。とおく、宇宙的恐怖の触手の及ばぬ、意識の深淵の彼方へと……。夢も及ばぬ、虚空の先へ……。 「む、爬虫類もカレーにしたら美味しいね」トカゲをびびらす寝言をいいつつ、寝ながら枕元のカレーを貪る小梢。夢の中でカレーを食べて、現実でカレーを食べて、すぐにドリームズカムトゥルー。 これは提案だが、彼女はカレーの中で寝てみてはどうか。 あばたの瞳の奥で、輝点が消える。どうですか、と進捗を尋ねるリリウムに、あばたは無情にも首を振る。 そしてその場に、ぱたんと倒れる。 もうよいです。どうでもよいのです。無言でそう告げていた。 リリウムは、ひとり立ち尽くす。 午後の日差しが優しい。 野鳥の声が長閑だ。 彼女は剣を取り、トカゲを弾き飛ばす。 トカゲはそのまま寝てしまった。 リリウムは不意に弛緩した。モモンガのぬいぐるみをとりだし、それを抱えて崩れ落ちる。 リベリスタ 完 全 敗 北 。 ●数時間後 さて。 最初に目を覚ましたトカゲが見たのは、堂々お昼寝を愉しむリベリスタたち。 人形もってるし。カレー食べてるし。 それをじーっと見ているトカゲ。 諸君。いかにゆるいエリューション・ビースト(通称ゆるーション)である彼であっても、この状況をみて「こいつら倒せるんじゃね?」と考えても、然程納得できなくはないだろう。 自分も手傷を負っている。見れば名のあるリベリスタもいるし、若い目は摘むに限る。 トカゲは肢をふりあげ、リベリスタ達を一撃した。 げしげしげしげしげしげしげし。がん。 ――その瞬間! お昼寝タイムを邪魔されて、正義の怒りが爆発した!! ばちっと目を開くあばたは跳ね起きざまに跳躍、トカゲの頭部に一撃を加えるや否や、改造銃のどてっぱらに特注のマガジンを装填し、何の躊躇もなく引き金を引き続ける。 「……わたしは他人が眠いのはどうでもいいが、自分の眠気を邪魔されるのは大嫌いなんだ!」 『静かなる死』(サイレントデス)――かの地イギリスにおいて敵味方ともに恐怖のどん底に陥れた『倫敦で二番目に危険な男』セバスチャン・モランの奥義、それをあばたが改良した、必殺の一撃が静かな湖畔に炸裂する。 それに応じてソラとレイチェルが覚醒。 ソラは完全にシームレスな動きで、意識の通じる前の全身にコマンドを叩き込む。自動化された反射的な動きが考えるよりも早く術式を結び、一切本人の自覚なく灼熱の大火球が渦を巻く。無造作な投擲動作とともに放たれたファイアーボールは、見事にトカゲの頭部に着弾し、盛大な煙を上げる。 その間レイチェルは右手が感覚をなくしていることを確認、手首をぷらぷらさせつつ、攻撃術式を組み上げていく。寝起きはよいほうだが、超超高位魔術を無謬の状態で、しかも滞りなく組み上げられるというのは尋常ではない。掌に生まれた絶対零度の冷気の渦は、やがて万象を凍てつかせる恐怖の銃弾となる。まっすぐ銀の尾をひいて、トカゲを貫通する氷の弾丸。 悲惨だったのは陽子だ。もともと翼を挟み込まない様に微妙な態勢で寝ていたのが、トカゲの一撃で寝返り失敗。思いっきり翼を挟み込む。 「イテー!」絶叫とともに跳ね起きる。挫傷気味の翼をさすりさすり、トカゲに向き直る。 「お前のせいで翼痛めたじゃねーか! どうしてくれんだよ!」超痛い。怒りに燃えたぎりにながら、陽子は死神の啓示を持つカードを乱れうちする。完全に八つ当たりである。「ギリギリの攻防をしてるバトルでもねーのに痛すぎるぞ!」 そしてこの期においても起きないリベリスタが一名。オーラの鎧はそう簡単に崩れない。先ほどのトカゲアタックの時のへんな手ごたえは、自動で反撃を繰り出したものだ。 ヒロ子が重火器を構える。カフェイン、ミントの力で目覚めはさわやかだが、寝たりない気分が苛立ちを増加させる。ぶつぶつつぶやきながら、いくつも火箭を放つ。 その援護を受けつつ、真独楽は再び至近距離から爪を乱れうちする。 「トカゲちゃん、ぬいぐるみみたい! 自分のスキルで眠っちゃうあたりカワイイところもあるけど、ここは心を鬼にして!」真独楽はびしっとトカゲを指さし、敢然と言い放つ。「お昼寝は『させられる』ものじゃだめ! やるコトをきっちりやって、余った時間にノンビリするからこそ、もっと幸せになれるんだよ!」 しつけの良さを発揮する真独楽。不用意に起こしたことを後悔しまくっているトカゲにとどいたかどうかはわからないが。 そして覚醒したリリウムは、自分の手番がいきなり回っていたことにあせりつつ、再び大剣を横薙ぎにする。。 「てい」 トカゲはうめき声をあげながら、ゆっくりと全身を光の塵にかえて消え去っていった。 「エリューションじゃなかったら、お友達になれたかな」真独楽が呟く。 リリウムの、赫々たる武勲の第一行目が、こうして記されたのだった。 ●で 戦いは終わった。 となれば、することは一つ。 「お昼寝を継続しましょう」レイチェルはごろりと横になる。まだ陽は高い。 「えへへ、夢の中で、パパといっぱいラブラブできますよぉに……」再び人形を抱きしめ横になる真独楽。 「別に倒してすぐ帰る必要もねーよな?」この機を逃すかとばかり、陽子は再び枕に顔を押し付けて眠り始める。 「ふわぁ……」再び眠気のきざしてきたソラ。帰って寝なおすつもりだったが、ここで昼寝を取った後、うちでゆっくり寝るというのもいい。 ここに至ってごそごそ起きだしてきた小梢は、カレー見て喜んでほおばる。野外で食べるカレーはまた格別だ。 ふと手を止める小梢。「……そういえば何しに来たんだっけ」 こっちのセリフだ。食事がおわったら、また寝るわけだ。 その横でごろりと倒れるあばた。「わたしの麗しいまどろみを邪魔していいのはわたしだけです」さすがにフルオートマガジンぶちこまれるのは怖いので、邪魔しません。 ヒロ子もこれでやっと眠ることが出来る。しかし日焼け止めはしっかりつけて、日陰で。女子の肌はデリケート。 そしてリリウムは心得たように、どこからともなく取り出したピンクのもこもこパジャマに着替え、ももんがのぬいぐるみを小脇に抱える。 「かわいー! そのパジャマ」真独楽が早速反応する。 「知り合いからの借りものなんですよ」 寝ようとしたリリウムのもとに、一通のメールが届く。 「よくうとうとしているタイミングでメールが届くんですよね」ふにゃふにゃ操作しながらつぶやくリリウム。「微妙にズレてたり、意味不明な内容を返信してたり、後日自分で読み返しても判読できなかったり、なんでこんな返答したのかわからないとかよくあります」 「私くらいになると、完全に意識が覚醒した後、記憶にない約束をしてたとか日曜茶飯事よね」ぽつりと答えるリリウム。はっと目を見かわす二人。駆け出しのリベリスタと、歴戦の居眠リスト、互いに通じ合うものを感じた一瞬だった。 ごろりと横になる一同。 お日様ポカポカ。陽気ほわほわ。 8人のリベリスタ達は、戦いを忘れて眠りにつくのだった…… …永遠(とわ)に。(なにが「永遠に」じゃ!) |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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