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アイドルになろう!

●アグレッシブ現実逃避
 ある時、彼らは考えた。
 自分達はアイドルが好きだ。とても好きだ。大好きだ。
 これまで何年にも、十何年にも渡ってアイドルを追いかけてきた。
 しかし、いつだって彼女らは自分達を裏切るのである。
 結婚、引退、不謹慎行動。彼らの夢はいつも現実的な俗世間的な理由でそこに引き戻されてきた。
 だからこそ思うのだ。渇望するのだ。この世に完璧な偶像は存在しないのかと。自分達の思うままが存在だっていてもいいんじゃないのかと。
 だったらと、ひとりが言う。
 作ればいいのではないか。自分達で思い通りの偶像を。
 ナイスアイデア。自分達には不思議な力だってある。あんまりこの件には関係ない気もするけどきっとうまくいくはずだ。
 いちからアイドルを育て上げる。それは妄想を育んだ。最初期会員ナンバーの独占。握手会の確実な参加。サインだってもらい放題。なんかずれてる気がするけどまあつまりは妄想ってそんなもの。
 問題は、彼らが本当にそれを実行してしまっただけで。

●センセーショナル行き違い
「女の子は誰だってアイドルに憧れる。あちしも昔はそんな時期があったもんニャ」
『SchranzC』キャドラ・タドラ(nBNE000205)のたわ言はどうでもいいとして、事の経緯は以下の様であった。
 新人アイドル発掘オーディションと題されたイベントに参加し、最終選考まで残った女性が何人か行方不明になっているそうだ。ただの誘拐事件であればアークの出る幕ではないのだが、どうにも犯人グループはフィクサードのようである。
 万華鏡からの情報でも、戦闘面で優れた相手ではなさそうだが、それでも一般警察などには手に余る相手である。
 また、持ち回り審査役はひとり、残りの実行犯二名がアジトで待機といった動きをとっているようで、その隠れ家までは特定することができなかった。
「つまーり、アイドル選考に勝って誰か攫われて見るしかないわけニャ」
 いや、そのひとりとっ捕まえて聞き出せばいい気もするけど。
「いやほら、そんな面白くな……にゃふんにゃふん、連絡取り合ってて逃げられるかもしんないニャ?」
 まあつまりは、そういうことらしい。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:yakigote  
■難易度:EASY ■ リクエストシナリオ
■参加人数制限: 6人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年04月19日(土)22:29
皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

アイドル選考会に出て、これを利用した犯人フィクサードグループをとっちめてください。
彼らは狡猾で、けして選考会場には全員で姿を現しません。
彼ら全員をその場に置くには、最終選考に残り専用会場と称した彼らのアジトまで連れて行って貰う必要があるのです。
そんなわけで、今回はアイドルっぽい活動をしてきてください。
たぶん、自己紹介したり歌ったり踊ったり水着審査とか厚着鍋審査とか熱湯風呂審査とかそういうのです。

あ、敵情報はありません。
三人組ですが、取り立ててまともな戦闘になるほど強力ではないので。
参加NPC
 


■メイン参加者 6人■
★MVP
ハイジーニアスデュランダル
雪白 桐(BNE000185)
ジーニアスデュランダル
芝谷 佳乃(BNE004299)
フュリエマグメイガス
リンディル・ルイネール(BNE004531)
ジーニアスインヤンマスター
神谷 小鶴(BNE004625)
フュリエミステラン
セレスティア・ナウシズ(BNE004651)
ハイフュリエソードミラージュ
フィティ・フローリー(BNE004826)

●思い違い白熱
 アイドル。偶像。分かりやすい指標、という言い方もできるかもしれない。万人共通の嗜好。そういえば、アイドル歌手というものはわざと少し下手に歌っているらしい。その方が、身近に感じ取れるのだとか。成る程、頻繁な握手会にせよ、アイドルというのは手の届く錯覚というやつを楽しむものなのかもしれない。

 何と言ったらアイドルではなくなるのか。そんなジョークにもならない疑問を横に置き、さてはてオーディション会場である。偶像化を目指す上での登竜門。その只中というのだから、張り詰めた空気は相当なものだ。間違えれば、殺意とも捉えられかねない。目指すもの、夢を叶えるための競争場でもあるのだから当然だが。まあ、彼らを除いては。
「なぜ私はここにいるのでしょう……」
 諸君は雪白 桐(BNE000185)の性別をご存知だろうか。そう、その通り。だいたい男である。ある程度女だと言っても差支えはない。よって、かの―――げふん彼がこの場に居ることは何の問題もないのであった。しかしまあ、周り全てが敵意の視線を送っているというのも、なかなか鳥肌の立つ思いだ。そういえば、「キャドラさんもアイドルを目指して一緒に行きませんか!」なんてあの猫を誘いもしたのだが、断られてしまった。どうやら、アピールポイントを『はいてない』と書いたら書類選考で落ちたようで。当然だ。
『天邪鬼』芝谷 佳乃(BNE004299)は思い返していた。自分よりも遥か年上に『熟女』だなんて言われてしまったことをである。そりゃあまあ、実年齢とは別に向こうのほうが見た目は若いのだけれど。それを言い出したらこちらの壮年者も自分より見た目若いなんてごろごろいはするのだが。それでもまあ、なんというか。
「何でしょう、この……やるせなさと、それに伴うゾクゾクした快感は」
 変態だった。あっれー、おかしいな。今さっきまでアラサーの憂鬱を書いてなかったっけ。ともあれ、なんだ、身体が火照る。つまりは、そういうことだった。
「リンディル・ルイネールです。エルフっ娘です! 実はハイエルフです! そんな感じの設定とか言ったら泣いちゃいます!」
 という『興味本位系アウトドア派フュリエ』リンディル・ルイネール(BNE004531)の挨拶は、練習段階で見方によって検閲が入っていた。当然である。相手がフィクサードだと理解しているのはこちら側の持つアドバンテージであり、また会場にいるのは自分達だけではないのである。行き過ぎたがんじがらめも良いとはいえないが、ある程度の規律はあってしかるべきだろう。皆で広げよう秘匿の輪。
「今晩は、小鶴Pです」
 流石にその手のオーディションは昼からだと思うが、神谷 小鶴(BNE004625)。
「今日は私が手塩に掛けて育てたアイドル候補生5人をオーディションに合格させようと思います!」
 他の仲間がアイドルなら、彼女はプロデューサー。一般公募のオーディションである以上、ライバルは自分達だけではない。なんとしてもひとりは選ばれる必要があるのだから、それを支援する役も必要ということなのだろう。
「もちろんオーディションの前に、きちんと訓練には付き合いますよ!」
 しかし、フィクサード倒すためにアイドルの訓練するんだから。大変だな、リベリスタって。
「女装ショタっ子を愛でて愉しむことに何の間違いがあるというのか!」
 何から何までである。ともあれ、セレスティア・ナウシズ(BNE004651)曰く桐をhshsするとのことだが。hshsってなんや。彼女自身も、知り合いが今回の任務を聞いて「えーなにそれいいなー、hshsしたい」とか宣ってたのできっと良い物なのだろうとかなんとか。つまりよくわかっていないのだろう。
「まあ程々にしとこう、仕事に支障があっても困るし」
 それは裏を返せば仕事に支障さえなければなんでもするという意味ではあるが。
 ここに来て今更だが、フィティ・フローリー(BNE004826)は悩んでいた。
「……私は何でここに居るんだろう」
 確か自分は、リンディルに「少しフィクサード退治するから手伝って」と誘われたのだ。だから武器を用意し、スキルを確認し、作戦を立てて入念な準備を行っていたはずだ。もしかしたら、何が必要になるのかを彼女に尋ねたかも知れない。その結果なのだろう、自分が水着を持っているのは。なぜ、水着。仲間に再度確認すれば、皆当然のようにそりゃあ審査があるからだと言うのだが。なんだこれは、どういうことなのだ。

●日常インタビュー
 その錯覚を勘違いしてはいけない。錯覚は錯覚であるのだと理解していなければならない。そこに手が届くのだと思い、実行に移してはならない。それは暗黙の了解のはずだ。しかし、明文化されていないルールを理解できない輩はどこにでもいる。今回も、その手合である。

 アークという組織は、比較的見目の良い者が多い。老若男女様々ではあるが、美醜の観点言えば美に傾いているといえよう、無論例外はあるが。
 それでも、これだけ『アイドル候補』という枠組みで人間が集まる場というのはなかなか圧巻ではあった。
 だからこそ、何かをどこかで間違えたのかもしれない。この目の前の男。値踏みするような目でひとりひとりを観察しているが、どこかびくついた印象を受ける。
 慎重なのだろう。だから手の込んだ真似をする。こちらも労力を割く必要があるのだ。
 それでは始めよう。思い思いに黒歴史を期待する。

●白目オッドアイ
 何をまじめに書いているんだろうとそろそろ我に返る頃合いだ。

「芝谷 佳乃、30歳にございます」
 場内に電流が走る。アイドルといえば基本は十代。高くても二十代前半がいいところであろう。そこを三十路と来たもんだ。まさか。ごまかしもせずに。サバも読まずに直球で。
 続くアピールポイント。彼女は見事に演歌を歌いきり、続く審査員からの質問にも年齢を感じ取れる物静げな言葉遣いで受け答えしていた。
「趣味はサド……もとい、茶道とお花、日本舞踊を少々やっておりますので」
 一瞬すげえ不穏当な発言が聞こえたような気がするが大丈夫。オールオーケー。しかしどう見ても演歌歌手のオーディション。いや、最早選考会と言ったほうが表現として正しいだろう。
「え、恋人ですか? 私のような未熟な女を好いてくださる殿方がいらっしゃったら、そうですわね、考えさせていただきますが。別に恋人を作るためではなく、自分探しとして今は女を磨くので精一杯でございます」
 本来、婚活に勤しんでもおかしくはない年齢であるというのにこの余裕。見よ、これが大人の女である。アイドルとしてはぶっちぎりで間違っているが。

「特技は前向きなことと、旅行が趣味で、一度行った場所のことは忘れません! あと旅行レポーターとかたぶん得意です!」
 リンディルは精一杯の大きな声で自分の魅力をアピールする。
「あ、山手線の駅とか全部言えますよ」
 貴様本当に異世界出身か。
「月並みですか? じゃあ宗谷本線の旭川から稚内まで全部……長すぎますねごめんなさい!」
 それが長いのかどうかも関西人STにはわかんねえよ。
「あと駅弁とか駅そばについて語れますよ! 10時間ぐらいぶっ続けでも行けます! とりあえず我孫子駅あたりから!」
 何度でも言うぞ貴様本当に異世界出身か。
「水着審査とかOKですよ! 割とナイスバディには自信ありますし! ちょっと大人びて見えるはずです!」
 VC様方には頭が上がりません。
「熱湯風呂とかも頑張っちゃいますよ? 「あ、ああんっ、熱い、いや、いやーっ」ってビクンビクンと身体を震わせながら耐えれば高得点だって誰か言ってました。あたし、割と我慢しちゃうタイプなんです! なのでやってやれないことはない筈です!」
 フュリエは紆余曲折を経てその在り方を変え始めています(公式設定)。

「べ、別にアイドルになるなんてどうでもいいけど……その、あたしが向いてるっていうなら、考えてあげなくもないわよ? う、嬉しくなんかないんだから……!」
 セレスティアの発言に、会場から拍手が送られた。審査員だけではない。それはライバルであるはずの同じアイドル候補達からも贈られている。皮肉の意味は無い。まじりっけなしの賞賛である。ブラボーとまで聞こえた気がした。
 そう、つまりこれはアレである。最早古典テンプレート扱いまで受けるほどの定番。男がやっても女がやっても受けるキャラ付け。ただし創作に限る。現実でやっていいのは好きな女子にちょっかいかける男子小学生くらいのものだ。
 そんな、定番中の定番が今目の前に。拍手を贈らずにはいられなかった。アピールタイム中、それが鳴り止むことはなかった。他にも演劇とか歌とかダンスとかいろいろしていた気もするがそれはまあともかくとして拍手が鎮まることはなかったのである。
 その時、奇跡が起こった。会場全体が同じことを考えている。これは奇跡である。

 小鶴Pのいとも容易く行われるえげつない行為。
「雪白さん。まず脇とかすねとか毛を剃るところからはじめましょう」
 男性アイドルでも処理をしているあたり、まだまともな注文である。冒頭に定型文を貼り付けてはおいたものの、取り越し苦労だったかもしれない。
「あと、あそ(不適切な表現が入りましたことをお詫びする機会音)」
 高速のフラグ回収。
「ちょっとかわいい冗談じゃないですか」
 その冗談を通すと怒られるのは筆者である。
 しかし、なんのかの言って桐は男である。姿と声、つまりは外観だけごまかしておけば特にやることはない。『理想的なアイドル』を演じるのは女性よりも向いているだろう。なまじ、相手の気持に立ちやすいのだから。
 さてと、そこで小鶴はフィティにも目を向ける。
 種族違いによる特性は別として、こちらもこちらで『売り』を作っていかねばならない。
「割と生真面目な子なのでインパクト重点で育てればいけると思うんです……え、私もオーディション、出るの?」
 まあほら、せっかくですから。
「プロデューサーが出ちゃっていいのかしら」

 こちらから見た視点において、浮世離れした感のあるフュリエだが、羞恥心等の知的生物として基本的な思考がないわけではない。無論、フィティとて女として見られたくない部分は隠さねばという感性は持っている。
 故に、水着審査というものには流石に抵抗があった。水中での活動を妨げないために、というのなら理解できるが。アイドルとしての水着は所謂セクシャルアピールである。そこに不自然さがつき纏うのは仕方のない事かもしれなかった。
 とはいえ、仕事は仕事である。歌って、踊って、水着で飛び跳ねて見せなければならないのだ。幸い、あのプロデューサーは自分に「素のままやればいいよ、気楽に」なんて言ってくれた……はずだ。
 種族的な特徴は隠している。相手がフィクサードである以上、見破られる恐れはあったのだが。訝しがられる様子もない。こちらの能力を看破できないのか、それとも単に異世界種族への知識に疎いのか。どちらにせよ、やはり大した相手ではなさそうだ。
 流行りの歌を特にアレンジなく歌い、踊り、ターンを決めてちょっとポーズも取って見せて。きっとこれも、貴重な体験。

 桐のアイドルオーディションは、開始前から大変だった。
 仲間の一人が「私Pだから!」と意味不明なことを供述しながらめかしてくれるのを受け、その挙句必要以上にべたべたしてくるのを牽制し、あまつさえ危険発言に陥りかけたところを機会音というなの拳骨殴打で(そんな大人的な意味で)修正を施し、何故か他の面子にももみくちゃにされかけるのを振り払い。
 まあともかく、大変だったのである。
 オーディション本番だって準備時間に劣らない。まさか男性アイドルとして参加するわけにもいかず、無論女装である。割といつもと変わらないが。
 もうやけくそなのか、流行のアイドルソングを振り付けありで懸命に。衣装が衣装なのでスカートは短い。あなたの視線はどこに。泣くな少女よ、いや少年よ。
 水着審査だって上等だ。もうビキニだろうがスク水だろうがなんだって来い。パッド入れてパレオ撒いたらわかんねえよわかんねえって。骨格とか気にすんな。
 熱湯風呂にも入るもんさ。暴れない。叫ばないよ我慢の子。規定時間まできゅっと身体を縮めるんだ。
 あがったら潤んだ目で、
「熱かったです、私がんばりました?」
 そりゃもう、高得点。

●デッドエンド普通
 アークのはいてない系アイドルキャドラをよろしく。

 さて、時間は結構進むのだが。
 とりあえずフィクサードは退治された。予定通り、オーディションに受かり彼らフィクサードグループのアジトに攫われたフリをして潜り込み、一網打尽にしたのである。
 済まないが、戦闘シーンは割愛である。なんというか、無双シーンだったとだけ。
「あなた達がこんな事をしてたせいで……」
 そんな恨み節も聞こえてきたとか、なんとか。
 了。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
なんと言ったらアイドルではないのか。