● 最初に“視えた”のは、見渡す限りの雪景色。 月と星々に照らされた雪原は、真夜中だというのにほんのりと明るい。 雪が積もる前と後で闇の深さがまるで異なるのが、北国の夜というものだ。 足跡ひとつ見当たらない雪の上に、ぽこり、ぽこりと半透明のシルエットが幾つも浮かぶ。 瞬く間に形をなしたそれは、デフォルメされたぬいぐるみにも似た――小さなパンダだった。 短い手足をぱたぱたと動かし、パンダたちは雪の上で遊び始める。 彼らの仕草は、まるで雪にはしゃぐやんちゃな子供のように思われた。 ● 故郷には雪が降るのだと話した時、自分を見る幼い瞳が輝いたのを覚えている。 いつか連れて行ってやるよという約束を果たす前に、あの子は旅立って。 自分はといえば、未だにかの地を踏めずにいる。 血縁は絶えて久しく、帰る理由も特に無いのだが――故郷を離れてから、もう十六年になるだろうか? フォーチュナが“視る”ものに、本人の願望が反映されるかどうかは知らない。 けれど、自分が故郷や、そこに似た風景を“視る”ことが多いのは確かで。 そういう時は、長い時を経てもまだ繋がりが残っているものかと、妙に安堵したりもする。 こんなことを考えるあたり、自分ももう若くないなと思わなくもないが……。 あるいは、それが年齢を重ねるということなのかもしれない。 ● 「雪山に、E・フォースの群れが出た。 この寒い時期に申し訳ないんだけど、ひとつ頼まれてくれないかな」 アーク本部のブリーフィングルーム。集まった面々を前に、『どうしようもない男』奥地 数史(nBNE000224)はそう言って話を切り出した。 「E・フォースは識別名『悪戯パンダ』。パンダのぬいぐるみっぽい見てくれだけど、小さな子供や動物の『腕白さ』だとか『悪戯心』とか、そういう思念が集まって具現化したものらしい」 戦闘力は殆ど皆無と言って良いが、エリューションである以上は放っておく訳にはいかない。 彼らは『存在しているだけで崩界を促進してしまう』ものであり、それの対処にあたるのが世界の守り手たるリベリスタの使命だからだ。 幸い、『悪戯パンダ』は六時間ほど人の近くに居れば自ずと満足して消滅する。 現場に到着するのが日が変わった頃になるので、そこから夜明けくらいまで粘れば良いということだ。 「連中は悪戯盛りだから、黙ってても色々とちょっかいかけてくるだろうけどな。 基本的には無害だし、ガチで危ないことはしないんで適当にあしらっておけば問題ないと思う。 寒いから温かい格好しないとキツいけど、暖を取るためのかまくらも作るし、鍋つついたりするならアークの経費で落ちるから、仕事ってよりは遊びに行くつもりで付き合ってもらえると有難い」 どうやら、今回は数史も同行するつもりのようである。本人曰く、「雪には慣れてるし」とのこと。 ここまで黙って話を聞いていた『Eile mit Weile』フェルテン・レーヴェレンツ (nBNE000264) が、初めて口を開く。 「僕(やつがれ)は構いませんよ」 ドイツも、冬になると雪が沢山降りますから――という彼の言葉に、数史は少し笑って。 「そんなわけで、一緒にどうかな」 と、その場のリベリスタ達を見回した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:宮橋輝 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年03月11日(火)22:29 |
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■メイン参加者 24人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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