● 「ホーンテッドハウスからやってきたファニチャーがレテを乗り越え、現世にカミングバックだ」 『駆ける黒猫』将門 伸暁(nBNE000006)は、今日も絶好調だ。 「それがメニメニメニ。おまえらにはホーリークロスでワクシング・パブテスマのソウルピュリティファイ・イニシエーションに勤しんでもらう」 うん、何言われてんのかわかんない。 しかし、アークのリベリスタたる者、NOBUとのコミュニケーションとれずして、どうしてアザーバイドと相対せようか。 諦めちゃいけない。 やつはとりあえず同じ人類発祥のはずだ。 古来より死体がアンデッドとなるのを防ぐため、死体の口に塩や金貨を置くしきたりがある。 生ける屍が日光を苦手とするのは万国共通。 つまりあれだな。そういうことをすればいいんだな。 ブリーフィングルームには、サンドペーパーの束と、オリーブオイルのビンがずらりと並び、なぜかすすけた木造家具のリストが積まれている。 「エーゲ海の祝福を与えるんだ。おっと、追いオイルは慎重にな。かけすぎたら元も子もないぜ」 なんだろう、この違和感。 「――おい。具体的にどうすればいいか言ってくれないか」 「まずマン・イーターなムービング・ファニチャーをホールドし――」 「人食い家具をふん捕まえて――」 「あるべき姿にリペアし――」 「壊れているところを修理して――」 「ラスピングからファイリング」 「荒いのから細かいのに変えつつ、やすりをかけて――」 「パブテスマ・オイルをホーリークロスにインプレグネイト」 「オリーブ油を布にしみ込ませ――」 「オーバータイムでデグレイディドしたファニチャーにワクシング・パブテスマだ」 「経年劣化した家具にワックス代わりに塗り込めろと」 無言で頷いてんじゃねえ。 サムズアップ。 「おまえら、完璧だ」 よぉし。 使えよ。スチール机撤去して、思いっきりでっかいデスクセット差し入れしてやるからな! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2013年12月22日(日)23:46 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 「Eゴーレムなら倒せばいいだけな気がするけど……アークってよく分からない」 『ロストワン』常盤・青(BNE004763)君13歳の素朴な疑問。 それはね、今、海外に駆り出されたり、七派のお偉いさんが調子こいてたりで、リベリスタが何人いても足りないんだよ。 だから、リベリスタにはなるたけ元気でいてほしい。 これだけの数のE・ゴーレムを討伐するとなると、三チームは動員しなくてはいけない。そんで重傷なんて食らわれたら損耗率が跳ね上がる。 穏便な手段でどうにかなるなら、それに越したことはない。 似たようなケースは、アザーバイドをなだめすかして送還するケースとかがあるよ。 という訳で、分かってくれたかな。殴り殺すのはいつだって最終手段だよ! そう言う大人の事情で、職員食堂ならぬ倉庫は、地中海な香りに包まれようとしていた。 「E・ゴーレムは九十九神みたいな存在らしいけど。修繕要求の為に暴れるとか、傍迷惑と言うべきか、気合入ってると言うべきか……」 『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)に、手に軍手、足に安全靴。紺の作務衣に頭に白手ぬぐいの『無銘』佐藤 遥(BNE004487)がそうだねえと頷く。 「器物百年。歳月を経た器物には魂が宿る。きっと、打ち捨てられてロクに手入れもしてもらえなかったから怒っちゃったんだ」 家具は邪悪な想念に取り付かれているだけである。 浄化儀式さえきちんとすれば、元のいたいけな家具に戻るのだ。 さあ、市役所職員よ。過不足なくオリーブオイルを垂らすがよい。 「趣味がDIYとしては修理修繕には一家言ある……訳でもねえがな」 『チープクォート』ジェイド・I・キタムラ(BNE000838)は、片目だけをすがめて家具を見回していた。 「アンティーク家具として見栄えする位にしてやるぜ」 手元には、各種木の端材。 木粉パテだの接着剤だのこてだのへらだの紙やすりだのが用意されている。 口調の割には、やる気満々なのだった。このつんでれめー。 「商売道具の分解清掃以外はサッパリで……」 『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)、自分を偽らざるは美徳である。 「いわゆる一つのザ・片付けられない女! それが私、ユウさんです!」 清々しいことこの上ない。 (って、自慢になりませんよね……でも頑張りますよー。きっとジェイドさんが褒めてくれます!) なぜ、枯れ気味のうだつの上がらない系中年男にでっかいおっぱいの女はついていくのだろう。幸せそうだからいいけど。 「今の日本は物であふれかえってますからな……ちょっと手をかければまだ使える物でもすぐに捨ててしまう…」 『三高平のモーセ』毛瀬・小五郎(BNE003953)がふるふるしているのは仕様だ。消費社会への怒りのあまりではない。 「わし等の若い頃は今ほど豊かではありませんでしたからな、物を直し、長く大切に使う事は当たり前じゃった……」 小五郎がふるふるしているのは仕様だ。使命感からではない。 「どおれ……久々に日曜大工と行きましょうぞ……!」 だが、そのやる気はホンモノだ! 「パブテスマを」 シェラザード・ミストール(BNE004427)は、ノブの素敵に分かりにくい作業工程をメモって音読してしまう程度に真面目だった。 「これの意味は、オリーブオイルをかけて磨くということです。合っていますか?」 礼儀正しいフュリエがノブトーキングに毒されていく。僕らにはそれをなす術もなく見ているしか出来なかった。と、後にボトム・チャンネルの住人は涙する。 「NOBUさんの芸風知ってるよ!」 遥がニコニコしながら言う。 いや、芸じゃないから。あれはアーティストスピリッツのほとばしりだから。 「わけわかんないように見えてトーク上手だよね、あの人」 誰か遥さんをNOBUのライブに連れて行ってあげてください。 「簡単な家具の手入れや修繕位ならある程度の経験があるっす」 『プリックルガール』鈍石 夕奈(BNE004746)、仕事は真面目だ。 「家政婦ってのは広く浅く色々出来た方が……何というか、ま、ウケが良いんすよ」 メイドさんではなくて、家政婦さんはどじっ子では務まらない。そんな属性住み分け。 ● 「回避を高めておく。何があるか分からないので」 浮腫ー譜シュート謎の音を立て、がちがち引き出しや扉を開閉させる家具の大群を前に、義衛郎は体のギアを切り替える。 「とらロープ♪」 黄色と黒の工事用ロープのごときそれをびんっっと音をさせて引き伸ばした『箱庭のクローバー』 月杜・とら(BNE002285)の笑顔が怖い。女王様とお呼び。 「ラボの汚れ系ロリコン白衣に特注した縞々模様の憎いやつだぜ!」 引き出しをパクパクさせているたんすを縛り上げるとら。 「家具を押さえ込みから始まるんですか? 腕力には自信がないですが、それがお仕事なら頑張ります」 シェラザードがこうですか? とたどたどしくお獅子パクパク的開閉を見せる机の引き出しを押さえるのを、とらはうむうむと首肯する。 「ケケケ、動けまい☆」 喉で笑って、唇を吊り上げる。手にしているのはムチでも、ろうそくでもなく、紙やすり。 ああ、なんてエキセントリックDIYガール☆ 文句があるなら三高平にいらっしゃい。 ユウは甲斐甲斐しくジェイドの隣に座り、オペ看よろしく工具を差し出し、汗を拭いたり。 畜生、倉庫の中が暑くていけねえや。 「はい、接着剤ですねって――ギャー! 自分の指が接着されちゃったー!」 前世で、「神様、この銃弾が当たれば、後は何にもいりません」 とか、うっかりお祈りしてしまったんじゃないかなかな。 神様はユウにたくさん技量をくれましたが、それは全部戦闘に関するものだったのです。 (不器用そうなのに良くこんな依頼に参加したな……) 椅子の角度をハイバランサーの能力を活用して微調整していたジェイドは、ユウのくっついてしまった指から接着剤を拭い取ってやる。 よくなついた姪っ子みたいで、どうも目が放せない。 (あー、俺は面倒見の良いおっさんだよ、悪いか) 「木工用ボンドの力を思い知るが良いっす!」 一方、夕奈の手つきによどみはない。 抉れたところにボンド塗られてパテで埋められるというのは、人間に変換すると水絆創膏を塗られるくらいに相当するだろうか。 ちなみにむちゃくちゃしみる。 「ギャー!?」 君は最大速で閉められる引き出しに指を挟まれたことがあるか。 夕奈の指は紫色に膨れ上がり、声もなくしゃがみこむしかすべはない。 「あら? シャルマ、お願いしますね」 妖精の粉が夕奈の指を癒やす。 「……お、おどれ人が修理したっとんのになんじゃいボケぇ! 接着剤が乾くまで動くなっちゅうんじゃあ!」 がぶがぶ噛みつかれながら、夕奈、決死のホールド。根性みせたるわあ! とかかかかかかか……。 虎吾郎が軽やかにかなづちを打ち込んでいると思ったら、震えで間断ない音がしてるだけだった。 「この程度の事でしたら若い人達には負けませんじゃ……」 いつ指を打ち付けるか見ている方の胃が縮んじゃうよ! ● 義衛郎が持ってきたお味噌汁、とらが持ってきたトマトとモッツァレラチーズにカルパッチョとハードタイプのパン。夕奈のおにぎり。緑茶と紅茶。遥の経木に包んだおむすびとたくあんは、プロの味とおふくろの味の競演となった。 「おむすびが三角なのは、お山を模して力をもらうためなんだって。梅干が入ってると最強」 経木の香りと交じり合うオリーブオイルの香り。 ああ、日本のユニバーサルな食卓。それをつなぐのはオリーブオイル。 ちなみに食用にしたオリーブオイルは給料から天引きです ないすな家政婦は座布団も忘れない。倉庫は、おしりから冷える。 「あ、膝掛もどうぞ、寒いっすからね」 ひざ掛けも手作りだよ。 「年寄りには心遣いがありがたいですな……。最後の1台まで頑張りますぞ……。男に二言は……うっ……!?」 小五郎の腰に電流走る。 「腰が……に、二言はありません、じゃ……。どなたか、まっさーじを……」 がくがくがく。 修繕したので、かなりおとなしくなった家具のあまがみでいいですか? 「マッサージも出来るっす! 喜ぶ雇い主多いし結構真面目に習た事あるんすよ」 「かたじけないぃ……!」 おじいちゃん、号泣。お小遣い上げようねの世界だ。 「丁寧に愛情込めて解しちゃうっす☆ 実際、正味筋肉張りそうな仕事っすしね」 情けは人のためならず。自分に帰ってくるのだ。かさこじぞう。 作業再開。 油塗る前に薄く前の皮膜をはがしておいた方がいい。 そう言う訳でささくれ立ったところをざりざり。 「全くどうしてこんなに、ささくれ立っちゃったのかなぁ?」 とらの妄想スタート。 「古い家の蔵にしまいっぱなしで、棲みついたぬこに子供とか生まれて……」 雨露をしのいでいたのは、白いスレンダーな日本猫。当然尻尾はすらりと長い。 美貌の猫から生まれたのは、あたりのボス猫の子だったがすでに彼は車に轢かれて天国へ。 彼女の戦いが始まった――! 「――って、それじゃむしろハッピーじゃないか」 そんな自分基準。ぬこは正義。 (いあ、ぬこに爪砥ぎされたのかもしんない。それだったら、バリバリだね! ささくれ立つね、hahaha☆) さっきまでの修繕と違って、比較的地味な作業だからなんかこう無口になるよね。 (引っ越しや慣れない依頼、テスト勉強で最近睡眠不足だったから……ちょっと、眠い……) 人生何が起こるかわからない。去年の今頃は、両親の機嫌を損ねないよう時間をどう潰すか考えていたというのに。 「この家具って直したら貰ってもいい? 三高平に来て間もないからまだ家具が少なくて……勉強机と椅子が欲しいな」 もらえることを確かめて、青は椅子に頭を預けて眠ってしまった。 その眠りは深い。 「ひギャー!!」 ユウの悲鳴が響いても目を覚まさなかったのだから。 (やすりの方の面を持ってました!) なんと言うことでしょう。紙やすりのざらざらな方を握って一気に手を滑らせたのです。 手の皮はげる。指紋なくなる。 「て、丁寧に……丁寧にさせたらんかいワレえ!」 またも盛大にかまれて、シェラザードに冷静に癒やされてしまっている夕奈のシャウトが倉庫に響く。 「これを幾つもこなしていくのですよね?」 シェラザードは、ずっとしゅりしゅりしゅりしゅりとやすりをかけ続けている。 割りと凝り性らしい。丹念に丹念に丹念に丹念に。 木肌に顔が映りそうになるほど磨いて、なお手が止まらない。夜が明けてしまうよ、シェラザード。 ● 食べてよし、塗ってよし。そう、まさしくぬったくるためにあるのだ。オリーブオイルは! 「トルコ名物・ヤールギュレシ!」 黒ズボン一丁で体中にオリーブオイルを塗りたくり、相手を地面につけたら勝ちだけど油ですべるからなかなか勝敗がつかず、昔は疲労で死人も出たという恐ろしい競技だ。 ちなみに、今はそんなことが起こらないよう、公式戦は40分1本勝負――それでも長いわ! 金髪碧眼隻眼隻腕、三高平が誇る残念美少女、『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)! こんなあなたにどうしてなった。 脳内弟子が見てる状態から見事に吹っ切れ、娘が冷たいのは反抗期だからじゃないんじゃないのマジでマジで、『無銘』熾竜 ”Seraph” 伊吹(BNE004197)、そんなあなたにどうしてなった。 ギャンブルはいけないので、賭けないで下さい。生暖かい目で見守るのがいいと思います。 「熾竜伊吹……、決着を付ける時が来た。身に纏うのは、祝福の聖なるオイルのみ!」 凝りをほぐすには、運動が一番。とか言っているが、それならおでこにごま油をたらすア-ユル・ヴェーダ・シロダーラ辺りにしておきなさいよ、女子力高めな感じで。 「必勝法とは、相手のズボンに手を突っ込むこと。相手のズボンに手を突っ込むこと」 伊吹は大事なことなので二度繰り返してみた。 「つまり何も身につけなければ――負けないということ」 そして、身元はばれないように目だし帽、股間に乾坤圏。というか、固有武器で身ばれしてます。 先生! 舞姫さんと伊吹君が悪霊にトリツカレテイマス! 「かかってこい、舞姫」 この期に及んで、誘い受けか! でも、嫌いじゃない! 「って、これ、床の上だと、マジ危ないです!? ふおおおっ! めっさぬるぬるしてすべるるうう! ちょ!? ぶっきー、どこ触ろうとしてんですかーっ!!」 「ズボンに手を入れたほうが勝ち」 全年齢的にそこまでだ。ジャストアドリーム! これは夢です! ぜひとも、そう言うことにしておいてください! でも使った分のオリーブオイルは天引きです。 「ぜーはー……後はオイル……」 夕奈は肩で息をしている。 「もう大人しくなってるから流石に……」 がぷぅ。勢いはないが、それでも噛む。 「おどれ……」 とりわけ気性が荒い箪笥に当たったらしい。 「わたいはそんなに美味そうか? あ? ああ!? 何とか言いさらさんかい!」 何とか言ったらすごく怖い。 「あら? これはお料理に使う油ですね。お掃除にも使える新事実、メモしておきましょう」 シェラザードのお話メモが厚みを増していく。 (今度こそ……!) ユウは燃えていた。 接着剤とやすりのダメージで、ユウの指先のHPはかなりやばいことになっている。 シェラザードのフィアキィさん、ありがとう。 「使うのは、もこもこロードさん(仮名)おすすめのアレですか」 ええ、すごくたくさんあります。 「うーん、気分はヨハネさんですよねー。家具の頭からオイルたらーっと。悔い改めよー!」 人食い家具、断末魔のプルプル。 「家具に使うなら普通のワックスでも良い……でも私は……オリーブオイル!」 どやー。 (同じ事言ってる人が絶対居ると思う) あなただけです、おめでとう! 「何言ってんだ、お前は」 顔を手で覆いながら、その時間は確実に寝てそうなおじさんのツッコミ。 「え、あの、その……」 元ネタがわからない人に、ギャグについて説明しなくてはならないのに匹敵する苦行もない。 「ほら! 怖くない! 怖くないですから! ほら! オイルですよ!」 子供に粉薬入りのゼリー飲ませようとする母親みたいにオイル塗りしていた『天の魔女』銀咲 嶺(BNE002104)は、防災無線スピーカーから茶摘歌が流れると、やおら顔を上げる。 「!!……定時ッ! いけない。上がらないと!」 そいつの通り名は、『ミス定時』。 五時になると帰るのだ。 「あ、義衛郎さん。先に帰りますので、お夕飯は先に作っておきますね」 あっさりしたものにしますとか言ってパタパタ退出していく背を見送る義衛郎。 だが、嶺は失念している。 全ての家具を浄化するまで、帰れないのだ。 今日のお夕飯が明日の朝ご飯だの、明日の昼ご飯だの、明日のお夕飯、場合によっては明後日以降のお夕飯になる可能性だってあることを。 「楽しくなってきました」 シェラザードが家具を磨いている。隅々までオイルをたらし、塗りこめている。 木肌に顔が写りこみ、美しい人はより美しく、そうでない人もそれなりに見えるほどつるつるになって、なおシェラザードの手は止まらない。 ● 「オリーブオイルの蓋が開き難い!」 「おうふ!」 「引き出しみぞおち直撃!」 「ささくれ立った心を潤す魔法のオイル、オリーブオイル☆」 「地味な作業は好きです」 「丹念に丹念に」 「さらに楽しくなってきました」 「ピカピカになったら、手放したくなくなってきた……でもそういうわけにもいかないか」 「二分だけ、夢見させて」 「綺麗にな~れ、萌え萌えきゅん☆」 「早く次に取り掛かりましょう」 「現実に帰ってくる時間だ、おらぁ!」 「マイクチェック!?」 「おお、ばーさんが手を振っておるな……。わしはここじゃよ……」 「近頃の人たちは古い物を修理して使うことも少なくなったらしい」 「ふぉーどこに貰われていくのかな?」 「家で使う下駄箱」 「椅子かテーブル。事務所に置きたいんだよ。折角直したんだしな」 「オリーブオイル余ったら、刀の手入れに使わせてもらっていいかな?」 「ここで更に追いオリーブ☆」 「長い、戦いでしたな……ばーさんの手招きが見える……お迎えかのう……」 「相棒のおめかしはちゃんとしておきたいから」 「マッサージもオリーブオイルを摺り込んでリンパを流しちゃうよ」 「……ふう、何かすっごい疲れたわ。何でやろ。楽な仕事や思てんけどなあ……」 ● (決して嫌がらせではないよ、決して) と、義衛郎は嘯く。 えっさえっさと、リベリスタは疲れた体に鞭打っておみこしのようにそれを運んでいた。 皆一様に目の下に隈をこしらえ、体から独特の芳香を放っているがそんなことはどうでもいい。 「NOBUの机はどれかな?」 ひぃっと、声を引きつらせる赤毛のフォーチュナが恐る恐る指差すと、リベリスタはてきぱきと机から中身を取り出し、ありふれたスチール机と椅子を撤去するとそこにアンティークデスクセットを運び込み、中身を机の中に収めてしまった。 「NOBUによろしく言ってくれ」 そんな言葉を残してリベリスタはスチール机を担いでクールに去っていった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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