● それは、はるか高位世界。 人々はすでに感情を失い、それははるか昔の魔法のように語られる。 とある底辺世界の存在ごときは発音することもかなわないその高位存在は、「恋」と「格闘技」を混同している。 そして、また新たな高位存在が、底辺世界に干渉して来た。 「さあ、『決闘』 だ!」 ● 「確かに、間違ってはいない」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の無表情が、それでも「解せぬ」 と言っている。 「高位存在――例によって、名前は発音できない。便宜上『ムッシュー』 と称するとして」 無貌の仮面にボディスーツ。それにシルクハットをかぶっている。 しかし、だから『ムッシュー』 なのか。いいのか、それで。 「彼は、『お嬢様』 から聞き及んで、みんなとのカードゲームがご所望」 王侯貴族の楽しみ。 それは民を駒に見立てての遊戯である。 「で、ルールが送られてたんだけど、これがなかなか」 なかなか? 「『お嬢様』が善良なのが良く分かる。悪人ではないみたいだけれど、厄介な人と言わざるをえない」 なんだ、その回りくどい言い様は。 「用意するのは、この五枚のカード」 イヴがそう言って手元を操作すると、ちょっとおどろおどろしいデザインのカードがモニターに表示される。 「『先導者』 1人と残りの『従者』 に分かれ、同数の相手と対戦する」 誰を先導者にするかは、みんなで相談して。と、イヴは言う。 「従者をベットして、まず三枚のカードを取り合う」 より多くの従者を繰り出した方が勝つが、上限があるから大盤振る舞いはできない。その辺の駆け引きが必要だ。 「このカードは、相手への攻撃に使うか、従者一人を生贄にして先導者の盾にするの二通りの使い方がある」 肉の壁で退場ですね、分かります。 「『先導者』 は、従者の助けがない限り、あらゆるダメージを一人でこうむる。ちなみに、このダメージは恒久的ダメージに発展することを先にインフォームドコンセントしておく」 ……なんですと? 「あの世界の住人は、感情という概念が分からない。お嬢様が『恋愛』 を格闘技と混同しているように、『ムッシュー』 は、『黒歴史付与』 を遊戯と思っている」 ……付与って、どういうことですか? 「彼は、人の過去を改竄する」 意味が分かりません。 「正確に言うと、記憶を改竄し、偽の記憶を植えつけることができる」 HAHAHA。なんだ。 「ちなみに、その偽記憶、本人の関係者全員に伝染する」 ちょ、ま、それ。 「誰も過去に戻れない以上、それは既成事実として後世に……」 すいません。脳が腹痛なので医務室に行ってきます。 「却下」 ここは、電磁ロックがかかるブリーフィングルームです。 「その『黒歴史』 は、攻撃カードの形をとっている。先に5ダウンしたほうが負け。つまり、最大五つ黒歴史を背負うことになる」 ひぎぃ。 「ちなみに従者がブロックすれば、先導者は無事。その従者に黒歴史が発動する」 先導者の人望が鍵となる。 「『ムッシュー』 は人望がないので、全部本人に降りかかる」 ないのか。 リベリスタのどこか温かみを帯びた哀愁に満ちた視線にも、イヴは無表情だ。 「ちなみに、黒歴史の内容はこっちで決めていいとのことなので、みんなで決めるといい」 それから、これが大事。 「誰が『先導者』 をやるか。それが、色々左右するから」 イヴは無表情。 「決まらないときは、こっちがランダムに決めるから」 ディベートが物を言うのですね、分かります。 「あの世界の住人は皆無駄にセンシティブ。これ、お接待だから、楽しく全力で遊んでくること」 イヴは無表情だ。 「『辛い』 とか、『楽しくない』 とか、相手に感じさせたら負けだから」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年12月11日(水)22:23 |
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■メイン参加者 4人■ | |||||
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● 「歴史とは過去の積み重ねである」 『悪木盗泉』霧島・撫那(BNE003666)が厳かに言うが、その根底になにやら不穏な欲望が渦巻いている。 「今ここにある事実のみが現実であり、過去は記憶の連鎖でしかないと――記憶改変もここまで広範囲だと大災害! さすが『お嬢様』の同類ですわね!」 高位存在、しゃれならない。しかも悪気はないから、更にあれ。 底辺世界の吹けば飛ぶよな存在は、道化に徹しなければならないのです。 「過去改竄のチャンスきた!」 『狂気的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)は、ピンチもチャン巣に変えて見せるガッツに満ち溢れていた。 (勝たずとも盛り上げて楽しめばいいんだよね。ハイリスクハイリターンだけどやる気十分) 「待っててね、お兄ちゃん!」 お兄ちゃんの現在過去未来、全て私のものだよ! そんなある意味、黒歴史ドンと来い。な、女子二人とは一線を画した男子。 そう。この手の「遊戯」否「博打」に命を懸ける、あるいは今後のリベリスタ生命を賭ける「ギャンブラー」である。 (ゲームと聞いて勝負を挑まずにはいられない。内容はアレだけどそんな事で怯む俺じゃない) 博徒として数多くの修羅場をくぐり向けていたら、いつの間にか革醒していた鼎 ヒロム(BNE004824)が今回の先導者つまり一番泥かぶる役を自ら買って出たのだ。 「高位世界の来訪者さん、しがない博徒が相手になるよ」 ビシィッ! 本職さんの登場にムッシューもご満悦である。 全身メタルスーツに、かの世界の貴族の証である無貌の仮面。 そして、紳士の証であるシルクハットを小粋にかぶったムッシューが、ステッキ片手に回廊に現れる。 「うむうむ、今回の従者はお互い三人だね。よろしくお願いするね」 お嬢様のときは押すな押すなの大盛況である天井桟敷はガラガラ。 背後に控える従者も横向いてあくび。 ムッシュー、いまいち従者に不人気。 「うちのご主人様、ポーズとか決めないから」 主人たるもの、目配せ一つで従者を悶絶させなくてはいけないらしいが、ムッシューはどうやら若干シャイらしい。 「ご主人様のポーズは福利厚生の一環ですよ」 向こうの世界もなかなか大変。 ● ゲームを始める前に、攻撃カードについての確認が始まった。 「完全決着を希望するので攻撃カードは9枚用意させてもらう」 「いいですな」 「参加人数が4人の為、攻撃カードは複数用意させてもらう」 「構いませんぞ」 「上記を踏まえ、可能ならムッシューにも1枚用意してもらう」 「え……」 なぜに無貌の仮面を赤らめるのだ、ムッシュー。 どんな黒歴史を思いついたというのだ、ムッシュー。 背中を震わせながらカードに書き込むムッシューの手元を見た使用人達が、あんまり人望のないはずのムッシューに向けて音のない拍手で賛同を示す。 リベリスタに電流走る。 明らかに黒歴史の有り様が異なる異世界の黒歴史をくっつけられる訳にはいかん。 リベリスタが用意した黒歴史カードとムッシューが用意したカードが良くシャッフルされる。 「さぁ始めようぜ……スタンドアップ・即・センドーシャ!!」 (決め台詞は言うくせに結局人任せに後ろに下がる男、それがSHOGO) そんな自分が結構好きです。 (若人に道を譲って今回は「従者」に。押し付けたとも言う) そんな自分も結構気に入ってます。 「お互い、悔いの無い勝負を」 第一ターン。 場に出された攻撃カードは、「先生(上司)をパパママと呼んでしまった」 読み上げられると、撫那が思わず身を捩じらせる。 (やたら恥ずかしい子供の頃の思い出、わたくし的ナンバーワン。皆経験してるとアレですけど、これを周囲の知り合いが皆知ってるとなると……ああああ) 声もなくうずくまり、不定期に背筋がビクンビクンと痙攣を起こしている。一体どんな目に遭ったんだろう。 「昔お兄ちゃんとラブラブで付き合っていたけどある時お兄ちゃんが嵌ったゲームのヒロインの行動をコピーしたらヤンデレキャラで破局。今でも相思相愛だけどその一件が尾を引いて再構築には至ってないどころかお兄ちゃんに彼女が出来た!」 きら~ん。と、虎美の目が光った。 現状、お兄ちゃんにラブらぶな彼女がいることを念頭に入れた見事な過去改竄。中に『今でも相思相愛』 と書いているあたりがもう自分が食らって過去改竄を計算に入れた計画的犯行。おまわりさん、この人です。 「腋毛が直毛」 SHOGO提案のこの黒歴史カード、特にコメントは控える。 「一枚目、従者は?」 ヒロムとムッシューはそれぞれこのカードを得る為の従者をベットする。 「俺は一人だ!」 「私は誰も出さないよ」 リベリスタ、『先生をパパママ』ゲットだぜ。 「次はムッシューにくれてやれ」 虎美が振り返りもせずにヒロムに言う。 言わずと知れた、虎美作のヤンデレな黒歴史カード。 「間違っても取るな向こうに打たせろ大丈夫だからちゃんと私がかばってあげるから問題ないまったく何の問題はないいいからそうしろというかそうしないと呪う」 三高平に着たばかりのヒロムは、三高平の常識講座で教わったことを思い出していた。 『こと、任務に影響しない範囲のアレなことはスルーしろ。君子あや雨季に近寄らず。触らぬ神にたたりなし』 「じゃ、じゃあ、一人……」 それでも自分のプランを崩さぬヒロム、ぎゅあんぶらぁ。 「私は、ぜ――」 と、空気読まずに言いかけたムッシューに、恐れながらと従者から耳打ち。 「では、二人」 攻撃カードは、ムッシューの元へ。 虎美が大きく頷いたのはいうまでもない。 結果、「腋毛が直毛」は、同数で消滅した。 「攻撃のお時間です!」 勝負フェイズは同時に処理されるクロスカウンターありの危険な戦場なんだぜ。 「さあ、リベリスタ諸君殴ってき――」 致命的に空気が読めないムッシューを従者が止める。 「――こちらから行くぞ!」 虎美の目が、らんと光った。 (OK,、カモン。その黒歴史、がっちりうけとめるようふふあはは) それ以上に、SHOGOの目がきらんと光った。 「ヒロ君を信じて、ブロックは最低限にしようと思っていたけど――」 びしっとおったてたのは、小指だった。ピンキーリングもはまってるよ。 「カードゲームはここ一番のアタックをしのぐ時が見せ場なんだぜ」 このカードだけは、俺がブロックする! その、嫌がらせにも似た特攻精神は、ヤンデレ妹の野望を打ち砕いた。 「ごめんねりゅーにゃん。悪いけど去年あたりの君、オレのコレだったから!」 『虎美のお兄ちゃんと関係がこじれちゃったけど、今でも相思相愛』 になりたいのか、SHOGO! それは何のためだ。そんなのアークに改竄記憶拡散したら、ソープオペラになっちゃうじゃないか! 面白ければいいってもんじゃないぞ。いいの? いいならいいんだってそんな訳あるかー! しかし、虎美は周到である。 自らライバルを減らすことはあっても増やすような真似はしない。絶対にだ。 「――あと。書いてあるお兄ちゃんっていうのは、付与された人のお兄ちゃんだよ」 良く見ると、カードにはちっちゃく注釈が入っている。フォントちいさ過ぎだけど、書いてはある! 「存在しないはずのお兄ちゃんとのラブラブちゅっちゅな過去を付与されて悶え苦しめ! 男子なら兄弟ホモォ!」 虎美、狂喜乱舞。キャッシュからのパニッシュからのプギャー。 テロだよ、これは! ちなみに、SHOGOさん! ご実家をお継ぎになるお兄さん、あるいはお義兄さんはいらっしゃいますか!? ちょっと耽美系な香りがしてまいりました! 「なんて恐ろしい……」 撫那、わなわな。 (こんな恐ろしいことが降りかかってくるかもしれないなんて! ああ、でも、わたくしの一番恐ろしいカードがまだ残って――ここはこの場で身を投げ出すべき!?) わが身の不幸は、暗黒騎士の喜び。 でも、ここでブロックしたら、なんだかプレゼント交換で自分のが当たった感じ。 それに、ここで従者一人になったらほぼ負けだし。 「ち、畜生……」 しかし、ブロックした従者はそのまま黒歴史カードと一緒にフェイドアウトなのだ。 ありがとう、SHOGO! 君の勇姿を忘れない! そして、これから非実在系兄に恋慕する君の前途に幸あれ! ● 「ううう、俺は小学校の先生をママって読んでしまった過去を持つ男だぜ」 ヒロム、悶絶。 この場合、小学校高学年で『ママ』 って読んでしまったダメージもドン。更に倍。 第二ターンの黒歴史カードは、次の三本です。 「電車待ちの際に間違って緊急停止装置押しちゃった」 ムッシューがピクリと反応した。 「今朝お母さんにエロ本見つかった」 ヒロムがちらりと撫那を見たが、いや。と、首を横に振った。 まだ、ヒロム本人は無傷。 4ダメージ――ギリギリまでは自分で受け止めると決めたのだ。 それが博徒の心意気。 「女装(男装)した経験があり、それを自分で見て似合ってると感じてしまった」 (ナルシス的な満足を得てしまったという事実! そしてそれを皆が知ってるという恥ずかしさ! これ程の屈辱はありませんわね!) 撫那さんが両手のひらに赤くなった顔を埋めくねくねとうねっているが、年末のお楽しみにヴァーチャル性転換マイムマイムが行われる三高平市民には、割と該当者がいるんじゃなかろうか。 残った従者、虎美の表情はニュートラルだ。 先ほどまでのヤンデレの気配はまったくといっていいほどない。 つまり、虎美はかばう気全然ねえ。 「それでは、一枚目、従者は?」 ムッシューの無貌の仮面がキラキラしていた。物理的にキラキラしていた。 「0!」 さあ、取れ、すぐ取れ。とっとと取れ。と、空気が読めるリベリスタには分かった。 「じゃ、1で」 黒歴史カード、ゲットだぜ。 二枚目。 「三人!」 いきなり、ドカンとかけてきた。 さきほどSHOGOが飛んだので、ヒロムは手が出せない。 そして、自動的に三枚目はヒロムの下に来たのだ。 「アタックタイム!」 ムッシュはわくわくしている。攻撃してこない。ヘイカモン状態。 ならば、行くしかない。カード二枚あるから、どうとでもなる。 それいけ、黒歴史・人生改竄アタック・どっかん! ちなみに、AR的に爆発エフェクトがついております。心と人生以外のダメージは0ですのでご安心下さい。 「私は異世界の電車を止めたね。私はいけないことをしたね――」 ムッシュー、ご満悦。 なんか、そういうの嬉しかったらしい。異国の乗り物、エキゾチック。 異世界でうっかりしちゃった失敗旅行エピソードを進呈しちゃったみたいで、お接待的にはグッジョブっぽいけど、やっぱり黒歴史食らったら、血反吐はいて嫌がって見せるのが作法ではなかろうか。 だから、使用人さんたちが渋い顔してるんだよわかれよ。 「あ、あちらにもカードは一枚……」 撫那は来るものは選ばぬ勢いだが、ヒロムの決死の顔にここは耐えどころとブロックを放棄する。 向こうも人望のなさからノーガード。つまり――クロスカウンター。 「ならば、こちらから行く! 連撃だ!」 更なるどっかん! 「それではこちらもね」 互いのカードが交差し、お互いに着弾! 「うあぁ、見られた。実家に置きっぱなしで処分しそびれた古本処分していいのかって連絡が来た……」 今朝っていう新鮮さがまたアレだよね。 いつの間にか、そんなショックを抱えたままここに来てしまったことになっている。 もう数瞬すれば、そんな意識もなくなるのだ。 恐るべし、記憶改竄。母親も実家も存在するかどうかさえ定かじゃないのに。 「あぁあ、私、羽根帽子も似合うね……」 向こうでは、なにやら身悶えているムッシュー。 (そうでしょうとも。屈辱ですわよね。間違いありませんとも!) 妙な共感をして、うんうん頷いている撫那の姿があった。 ● とかやっている内に、4対4。もはや、事態は待ったなし。 「中二までお兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってたけどある時避けられるようになって逆切れってこれだけだと黒歴史でもなんでもなくただの事実・歴史なので、一緒に入った際お兄ちゃんの身体を洗う振りをしてくまなくチェック、弄んだ事がある」 細かいところを突っ込みたいけど突っ込まないほうがみんな幸せになれそうな気がする黒歴史が読み上げられると、場内は戦慄した。 (こ、これは食らいたくない……っ!) 実在兄はもとより、非実在兄が不憫すぎる! 「旅先で泥酔して宿泊部屋を間違えて、危うくその部屋の客(おばさん)と一線を越えかけた」 視線がヒロムに集中する。 実話じゃないよ。ほんとだよ。俺の考えた黒歴史攻撃であって、俺の黒歴史ではないよ!? 目が語っている。 まあ、世の中、いろんなおばさんがいるから。 なぜだろう。おばさんが不憫って感じがしない。 「博打の資金獲得の為に、変態資産家に体を売りました……」 エ、バクチッテイッテルジテンデ、ヒロムダヨネ、コレ。 視線が集中する。 実話じゃないよ。ほんとだよ。俺の考えた黒歴史攻撃であって、俺の黒歴史ではないよ!? 虎美が目をすがめる。薄い本が厚くなるな。 さて。 従者が二人の時点で、リベリスタ側の勝利条件は非常に厳しい。 手に入れられたカードが一枚なら、ノーガードの差し違え。 カードが二枚なら、ガードが使えるので、逆転勝利だ。 しかし、ムッシューが使える従者は3人。 ムッシューが3枚ガチ掛けでもしない限り、二枚とるのはほぼ無理だ。 ムッシューの無貌の仮面にキラキラはなし。 3枚かけてくるような興を引く黒歴史はなかったようだ。 「ならば、俺は、ここにすべてを賭ける!」 ヒロム、『お風呂でチェック済み』カード、ゲットだぜ。 ムッシュー、ヒロムの黒歴史カードを二枚ともゲット! そして、これが最後の飛び交う黒歴史砲撃。 「仕方ありません。ここは……」 撫那は、「おばちゃんと一線越えかけ」を選んだ。 ちゅどん。 途端に、頭の中身を書き換えられる。 「これは敗北主義者としてご馳走ですわ!」 まもなく、記憶が改竄されているという記憶さえなくなる。 「相手の力に負ける……変えられる! たまりませんわ! もっと! もっとわたくしを黒く染めて! 記憶をグチャグチャになさって!! ハァハァ」 お嬢様然とした容貌を裏切る歓声を上げつつ、ダブルピース。 撫那は、より絶望的なおばちゃん像を脳裏に構築するのだった。 しかし、砲撃はもう一つある。 そして、ブロックに必要な攻撃カードがない。 ヒロムが見たのは、ムッシューの胸元で爆発する『お風呂でチェック済み』カード。 「俺、博打の資金獲得の為に、変態資産家に体を売りました……」 悶絶。 ああ、人生、大博打。 ● 「いや、楽しかったね。また来てほしいね」 ムッシューはキラキラしている。 「喜んでいただけて恐悦至極です……」 リベリスタは、自分の抱えている黒歴史の何が捏造された絵空事なのか、もう分からない。 もちろん、回りも分からない。改竄はすでに拡散されてしまったのだ。 「これからも、みんなを応援させてもらうね」 何らかの神秘に関与しているのだ。ムッシューも。 こうして、リベリスタの苦悩を糧にして、今日も底辺世界はかろうじて存続している。 ありがとう、ありがとう、リベリスタ! いつか、なにかあったとき、この記録が残っていれば、君らの潔白が証明できwmvpietm,3258g¥1v c……(文書データが破損しています。判読できません) |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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