● どこまでも黒い海。今日は星もでてはいない。 遠くで汽笛が鳴っている。 潮の香りがする。 こんなうらぶれた港の廃れかけた倉庫ですることと言ったら、人目を避けたいけない会合と相場が決まっている。 「どうして、男の子は女の子が好きなんだろう。もっと他にあるだろ、お兄さんの大胸筋とか、大殿筋とか、上腕二頭筋とか」 頭から麻袋をかぶった女子が一杯である。 あまりにも年齢に幅があるので、みんなひっくるめて女子である。 「女子の大胸筋も大殿筋も魅力あふれてるからじゃないかな。いや、それならそれでいいんだけど、それだと『×右』 にならないじゃん」 ×右、大事。 「絶望すればいいんじゃないかな、女子に。性的な意味で」 女子の風上にも置けない、風下女子の集団である。 腐女子と一線を画すのは、かわいい男の子が泣いてもだえてくれるなら、別に相手は男でなくてもかまわないよ。という、節操のない点にある。 「具体的には」 「イケナイお姉さんに完膚なきまでにおもちゃにされれば、女の人が怖くなるんじゃないでしょうかね、ハニバニ?」 「それはこれからの対策として、今すぐどうにかは出来ないですよね」 「大丈夫。神秘の世界には人が望んだものを具現化させてくれている、素敵な先達がいるんだよ」 ぱかり。 大事なものを入れるのはジュラルミンケースと相場が決まっている。 中にはずらりと並べられた、ラッパ上の吸盤にゴムっぽい素材の握りがついた――。 「じゃじゃ~ん、年齢吸い取るポンプ~」 こういう台詞の声は甘くしゃがれてなくてはならない。基本である。 「一シュポ、1d6年!」 「つまり、これをいい感じの男の子に使い」 「キュートなショタにして」 「堪能し」 「トラウマになって、『女の人怖いよう』 というまで堪能し」 「しかるべき後、元に戻す」 「結果、男に走るといいなぁ」 「少なくとも、過程は楽しい」 「よし、それで」 欲望を垂れ流した女たちの視線が、一人の青年に集中した。 「あんたたち、どこから入り込んで……」 絶叫。 どんどん高くなり、あえかになり、すすり泣きに変わる、絶叫。 ● 「女の人、怖い……っ!!」 『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)の目はマジで怯えていた。 「あんなひどいこと、なんで思いつくんだろう。人間の尊厳とか踏みにじる、限りなく野蛮かつ破廉恥な計画が推進中です。その計画を支えているアーティファクトを破壊・該当作戦に参加したフィクサードは死なない程度にぼこって下さい」 四門が敬語のときは、すごく私情が入っている。 「件のアーティファクトの効能時間は一時間。一つのポンプで吸い取れるのは、二十年分。とはいえ――」 四門の表情は暗い。 「一時間あったら、取り返しがつかない目に十分遭えるのは分かってるよね?」 沈黙は肯定。 ブリーフィングルームの空気が重すぎて、家鳴りが始まる。 ポルターガイストは、不安定な精神が招きます。 「このお仕事は、どっちかというと年齢が上の方が有利です。うまくやれば、複数のポンプを無効化できますし。ですが、うっかり若造な外見をみんなに晒しちまうぜ。ということになりかねません。あれです。若いときのアルバムを見つけられちったいたたまれなさをリアルに感じることになります」 むくつけきおっさん、昔は紅顔の美少年という事実判明とか、今後のリベリスタ人生に影響しかねない。 「詳細はチームに任せます。手始めに。すでに襲われているかわいそうな倉庫番さんを助けて。今から、行けばぎりぎり間に合う」 もう、おっぱじまんのかよ! 「ポンプは全部で八個あります。内、一つは倉庫番さんにもう使われてる。一人に複数使われることもあるからね」 ワントップは危ないってことですね。 「貴重なものだから、自分が戦える間は守ると思う。戦闘不能にして壊すのが一番やりやすいんじゃないかな。」 つまり、最低八人の何してくれるわからないフィクサードと戦えってことですね。 「ポンプをみんな壊せば、後の雑魚は逃げるから」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年12月07日(土)22:32 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「作戦は簡単。男子はGO!それで全部済んでるから――」 ビデオカメラチェックおっけー動く動く。と、にたぁと笑う『腐敗の王』羽柴 壱也(BNE002639)。 「最近の女子って本当に怖いでござる」 (それとも雷音以外の三高平女子はみんなこうなのかと思ってしまうでござる) 『家族想いの破壊者』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)、それは誤解だ。世の中にはたくさんまともな女性がいる。三高平周辺で見かけないだけだ。 (ショタ好きで色々弄られても美人さんなら問題なし。つか、美女美少女に玩具にされるとかご褒美だろ! 是非ともいじめてくれるのが美女美少女である事を願うぞ!!) 『さすらいの遊び人』ブレス・ダブルクロス(BNE003169) は、もうそれくらいしか楽しみがない。 (そういうのが好きなのは別にかまわねぇ、だが無理やりは駄目だろ無理やりは……と思って来たんだが) 『(自称)愛と自由の探求者』佐倉 吹雪(BNE003319)の義務感が今回ばかりは裏目に出た。 いつもは、押せ押せの姿勢であるが。お姉さんとショタでは、ショタは受身だ。 (もしかしてあいつらより味方の方がヤバイんじゃねぇかこれ) うん、アークの依頼で、数例ほどそう言う案件があった。詳しくは、WEBで。 (気は進まないが、他に良い手が思いつかないのも事実なんだよな) 『OME(おじさんマジ天使)』アーサー・レオンハート(BNE004077)は、ひっそりと野に咲く月見草のように地味にその場にいた。 着流し。ちらリズムエロティシズム。 長ランとドカン、サラシとバタフライナイフを装備した岡崎 時生(BNE004545)は、スクールエイジでシュポシュポが途切れることを願ってやまない。 (その間僕は仲間のイケメン達と連携して逃走準備) 「――俺は、フラッシュバンを駆使することも厭わない」 イケメン仲間と連携して脱走を図ろうとする時生――って言われても、誰のことって98%に聞き直されちゃうよ。以下、ザキオカ。 ごくりとのど仏を鳴らす面々にザキオカはシリアスに言った。 「奴らは、もうリベリスタじゃない……ただのモンスターだ」 違うといえない辺り、ちょっとどうしようかなって感じである。 ● という訳で、電光石火の突入劇なのである。 「倉庫番のおにいさんっ! と思ったら、もうショタだわっ!」 「大丈夫。私たちが来たから安心してね! ちゃんと元の姿に戻れるからね!」 『ヴァルプルギスナハト』海依音・レヒニッツ・神裂(BNE004230)と壱也と明覚 すず(BNE004811)が突貫してていく。 「あ、あんたたち何者っ!」 「「「さあ、楽しいお仕事のお時間です!」」」 有無を言わさぬ天罰ちゅどん。 雑魚い風下女子は木っ端微塵になった。 「はぁい、よからぬ事を考えてる女子さん」 120%で振り下ろされた羽柴ギガントが、倉庫に積んであったコンテナを『粉砕』した。 壱也の八重歯むき出した笑顔が不穏だ。 (命までは奪わないよ武力制圧だもんっ) 「はいはーい、おとなしくしててね」 その隣では、すずがせっせと影人を作っている。戦争は数だ。 がっくんがっくんヘッドバンキングのように頷く風下女子。 「男子、カモン!」 ふらふらと踏み越えてはいけない境界もとい倉庫の敷居をまたいだ男性リベリスタの表情は一様に暗い。 ザキオカは、早々に軍門に下ることになった風下女子に黙祷をささげる。 しかし、その二の舞となる訳には行かないのだ。 人間にはモンスターに立ち向かう権利と義務がある。人間だもの! 「うおおおおおっ! 自由へのファーラウェイ!」 我を張ることが男のたった一つのオーダーだってこの胸に――! 「さっさと入れっての!」 ブレスがザキオカのケツを蹴った。 「ハニーコムガトリングで掃射でもいいし、1¢シュートでピンポイント射撃でもいいか」 なんと言うことでしょう。匠を満載したブレスの銃剣が、同胞に向けられようとしているではありませんか。 「言ったよね、フラッシュバンも辞さないとぉ!」 神秘の手榴弾をお見舞いするぜ! とばかりに振り上げられたザキオカ、フリーズ。 おてては、いつまでもすっからかん。 AFに設定されてないんだもん。『他のスキルを外して下さい』 とアラートが鳴りっぱなしである。 万策これに尽きた。 ザキオカの心が大体折れたのを確認すると、海依音は微笑んだ。 「いい、ここに生贄を用意したわ」 「全員、覚悟完了しちょる筈や」 すずが、穏やかに微笑む。 日本男子は、時として身を投げ出さなくてはないときもある。浮かぶ瀬、あるといいな、マジで。 「「ミドルティーン? ロウティーン? そんな甘いことは言わないわ、このオス共を完膚無きまでに9歳以下に迅速にショタ化しなさい。そのためなら協力は惜しまないわ!」 海依音のハイパーテンションに、風下女子そうしたらいいのかわかんない。 えっと、アークだよね。抵抗しないといけない? 「そんなに敵意むき出しにしなくても! わたしは餌を持ってきたにすぎないよ。そのしゅぽしゅぽの効果をしりたくてさ、男の子にやるからいいんじゃない、ね。理由なんか、ショタが好きだからで十分だよ!」 キラキララミネートが施されたYSSメンバーカードをかかげる壱也。 YSS――やっぱりショタが好きの略。ショタを積極的にめでる淑女の集まりだ。業が深い。 「そのカードは……」 風下女子のネットワークは、かの集団のこともご存知である。 「これでわかってもらえた? ショタが好きなの!!! この男子のショタがみたいの。イケメンから渋いおじさんから過去がわからない感じでいいんじゃないしゅぽってみたいじゃない思う存分しゅぽって!」 互いの顔を見合わせる風下女子。 「いいわね、わかったなら返事をする前にしゅぽる! いい、女をロリ化させようなんて思わないこと!」 ポンプの許容量に限界があるのは分かっているのだ。 海依音の周囲に収束する、審判光線。躊躇している暇はない。 「貴方たちが何をするべきかを考えなさい!」 恫喝されたポンプを持っていた風下女子は、即座に男性リベリスタの元に走った。 シュポシュポする以外に彼女達に道はなかった。 それに、高圧的に命令されるのって、結構いいかも。 人は免罪符があると割りと何でもしちゃうのだ。インドルガンツィア。 (クッ! あの二人に連中をけしかけ手、ポンプを無駄に使わせる俺の計画が!) ブレスの一蓮托生作戦がもろくも崩れ去った。 ● (囮って、確かに俺はそんなに強くはねぇけど) シュポシュポ。 割りとガチムチワイルド系ミドルサーティな外見の吹雪だが、じつはまだヴァンサンカンである。 (こうなったらやられる前にやるしか――っ) 不穏な気配を察したのか、鈴の影人が吹雪をぎゅうぎゅう人海戦術で取り押さえ出した。 今まで戦々恐々としていた風下女子共、その男性が×右的状況に鼻息が荒くなる。 「――て、やめろしゅぽるな……くっ」 そんな声出したら、喜ばれるだけだ。 「あらぁ、意外とかわいい系」 薄れ行く意識の中、吹雪は自分に風下女子の無遠慮な視線がまとわり付いてくるのを感じる。 (……そういえば昔は今とは全く違って綺麗な顔してたもんだな俺も。体型も細身だったからたまに女に間違われたりも……) ワイルドなカウボーイ風スタイルが徐々にゆるくなっていく過程を、服の隙間からのぞく素肌を責めてくる攻撃的な視線の暴力。視線には物理的力があるのだイッツ邪眼。 (――まずい、意識が薄れて、今子供に戻ったら何をされるかわからねぇってのに、主に味方にだが――) 「うぅ、や、やめてください!何だかよくわかりませんけどそのしゅぽってするのでこれ以上しゅぽってされたら危険だってボクの中の何かが! うぁ、そんな風にされたら、またおかしくなっちゃいますっ、やめ、あぁっ!」 「催眠退行系、いいですな!」 風下女子、俄然やる気出てきた。 「おねーさんたち、なにしてるの? もしかしておねーさんたちがたすけてくれたの? わぁ! おねえさんたちすっごくつよいんだね! ありがとう、やさしくてきれーなおねーさんっ!」 吹雪君は、イケナイお姉さんになつきそうだ。 こちらにも薄れていく記憶と戦う男がいた。 すでに、長ランにドカンはぶかぶかでウエストからずり落ちている。 「ずり落ちたさらしと白ブリーフもそそりますな」 「包帯萌え」 「こう、人体いっそ改造系」 バイクを盗むどころか男の子の一番大事なものを盗まれそうになっている。 (あの赤いシスター服のおばさんは大変危険。何があろうと忘れるな、僕。赤いシスター服のおばさんは大変――) ザキオカは何度も何度も自分の深層意識に刷り込むようにその言葉を繰り返し、幼き頃の自分にも危機管理が出来るように努力を惜しまない。 (何せこの僕の幼き頃だ、その天使の様な無垢な姿に誘惑された悪女共が群がってくるとも限らないからね) 富士山口も小学生なら許される。 「「「「「ショタショタショタショタ!」」」」 自分の命より目先の欲望を優先した風下女子のシュプレヒコールの中、ザキオカからシュポシュポと歳月が吸い取られ、桃尻の小学生が――。 「ウホホウホホオホホホウホウホホウホウホウホオオホホホウホ」 野性に返っていた。 涙目で、赤いシスターに威嚇のドラミング。 「薄い胸板が打撃でピンクに染まる様子は、心打つものがあります」 「エロ蹲踞になっていることをまったく意識していない所がいい」 「ブリーフずり落ちてるし」 「あわやな風情がたまりません」 「ホァァァァァーーッ!!!!」 風下女子、獣人系もおいしくいただけます。 「ウホ! ウホウホ、ウホホーッ!」 赤いシスターばかり警戒していたので、伏兵の餌食になった哀れなザキオカに励ましのお便りを。あて先は三高平ケーブルテレビまで! ● 「うわーこんなに気が乗らない依頼も久々でござる……」 「初めてでござる」と言えない正直者の虎鐵にも、励ましのお便りを。 (ここに来てから何かほぼ男としての物を全部無くしてる気がしなくもないでござるが) 恐怖の余り、震える手がダブルアクションを産むのか、虎鐵はみるみるショタになっていく。 目は開き、額の傷は消え、しわは減り、分泌された男性ホルモンの恩恵にさよならした結果、第二次性徴に起因する体毛は消え、とぅるとぅるに。 「――」 無表情無感情系、というか、愛嬌がない。 このふてぶてしさ。 壱也は、こういう雰囲気を持っている人間を知っている。そっちは女子高生だが。 「剣林っぽい」 そう、目は死んでいない。 好きあらば斬らんという戦人の目だ。 しかし、虎鐵・推定小学校低学年。 「……死ね」 彼の銘刀を振り回すには、悲しいかな膂力も足りなければ、物理的に背丈が足りない。 となれば、と拳を振り回すが、神秘を受け止め切れぬ器では駆け出しモブ風下女子にさえももみくちゃにされてしまうのであった。舞台補正。 倉庫に、風下女子の喜びの咆哮がこだまする。 「あの刀を引きずる感じがたまらんねっ!」 「この必死に抵抗するのがまたそそる!」 「落城直後、戦の前に頭数として訳も分からぬ内に元服させられた下級武士の子が敵方の攻め手に、とりあえず抵抗の意を見せた図ですな!」 これは、一部の歴女系風下女子のハートを射抜いた。 「おばさん達やる気あるの?」」 「ヤル気ならある。なぜなら樫の会だから!」 樫は英語でオークである。 「モブ多数!」 「われわれのことでござるよ!?」 「もちろん、周囲はみな自害してるはずだから、君の味方はいないよ!」 「多勢に無勢。適当に小突き回されて、息が切れてきたとこをボコられる訳ですな!」 「よきかな!」 勝手にシチュエイションを捏造して薄い本を厚くしていく作業をやめるでござるよ。 とか、虎鐵なら考えたかもしれんが、ショタ虎鐵には今周囲で次々に捏造されていく設定と趣向など言ってることの半分も分からない。 ブレスは、ある意味幸せだった。 「俺はガキになっても然程かわらねーな」 声が高いよ。ボーイソプラノ。 (女好きは骨の髄からだし、玩具にされても全然OK。むしろご褒美ですと楽しんじゃうわ) そんな朧になっていく、大人の下心。 (8歳なら逆におねーさま方の胸に飛び込める!! んでもって、胸を堪能できる!!!) そんな八歳のエロガキの純粋なスケベ心! 「エロガキはお仕置きだよね」 「しばって、逆さに吊るそう」 風下女子には、カギャク趣味のおねー様系も一杯いるのだ。 それは想定していなかった。全年齢向け! R-18Gはご勘弁! 「顔真っ赤になるとか、かわいいよね」 「色白だしね。おしっこ我慢してもらうのもいいよね」 「したくなったら言ってね。行かせないけど」 「泣き出すまで、そのままね。放置、放置」 畜生、こいつら女子の風上にも置けねえ。ああ、それゆえの風下女子。 そして、一方。 「お姉ちゃん達……誰?」 着流しの渋い着物の中から、ぴるぴると小さな翼を震わせるアーサー。 マジでポンプ三つ消費の甲斐があったぜ、マジエンジェル。 辺りは、ぱぷっとヘモグロビンとアドレナリンとA-10物質が駆け巡る赤い噴水がしぶいている。 「よし、ここで成長を止めてもらおう」 「激しいショックを与えて成長を止めさせるのですよね、分かります!」 「時の流れの残酷さに目から心の汗が止まりませんっ!」 海依音さんと壱也さんとすずさんは、はじめからずっと見ていた。 シュポシュポが終わるまでじっと見ていた。 シュポシュポは、異常な欲望の充満した空間の中でしかその効力を発しない。 なればこそ、ここまで風下女子を放置していたわけだが。 ことここにいたっては、もはやお前らの自由にはさせん。 「風下女子なんぞに好きにさせるか! ショタはワタシのものよ!」 そ~れ、天罰てっきめえええええええん! 殺しきらない程度に全員を打ちのめした裁きの光。 「はいありがとー、でもいけない女子さんにはお仕置きが必要なの」 「そんな――」 いまだ未使用のポンプを懐に逃走しようとしていた風下女子に壱也は微笑む。 「理不尽? 腐女子は理不尽を好むものよね。命まではとらないから大人しくお縄になってね」 羽柴ギガント、フルスイング。風下女子は星になった。 「ショタは渡さないんだよ」 「アークにはショタっぽいリベリスタも少なからずおるでの、仲良くやれるなら楽しめるやん?」 イタイイタイの中、優しく話しかけられればそれにすがるのが人の性。 「というか、いくら外道に墜ちたとは言え、元は同志やった筈や。大人しく投降してくれれば……のぉ?」 すずの甘言に頷く風下女子が次々と恭順していく。 「Let's リベ墜ち!」 すずは、微笑んだ。 倉庫の扉は閉ざされる。 (うちの男共は囮になることを快く許諾してくれたわ) 赤い服のシスター、これにて作戦終了と宣言する。 「だから海依音、貴方は自分の思うがままにふるまいなさい」 もしも、男性リベリスタがいつもの状態だったなら、きっと命を賭けて反撃するか逃走するかしただろうが、いたいけな9歳以下にされてしまった彼らには、そもそも彼女らの笑顔の意味が分からない。 「危なかったね、大丈夫? 痛いところない? もう大丈夫だからねよしよしぎゅっぎゅ」 お姉さん、お胸がフルフラットだよ。いや、誰のとは言わないが。 「一時間のサービスタイムああもうショタかわいいなあ素直じゃない子もかわいいなあお姉さん優しくしてあげるからね、あめちゃんほしい? ペロペロしていい?」 ひゃっはー。 「いいわよね、hshsクンカクンカああ、糞ムカつくザキオカですら可愛いとか。ここは天国、イエス神の国、神様ありがとう!!」 私のことなんか信じてないくせに! とか、どっかの高位存在が言ったとか言わなかったとか。 「チョコレート食べる? ほっぺぷにぷにだね。1時間したらここにお姉さんのお仲間迎えにくるから大丈夫だよ。それまで一緒に遊ぼうねハァハァ」 鼻息が荒い。 「大丈夫、先生が守ってあげるからね、落ち着いて?」 すずのゆるぎない標準語。普段のババア口調の方がよっぽど不安定。いや、深くは追求するまい。 三高平は、人生リセット・革醒デビューが許される街。 ね、怖くない。 ぺたぺたぺたぺた。あくまでソフトなスキンシップ。 およそ一時間後、風下女子の護送のために別動班が来るまでは、誰もこの戸を開けてはならぬ。 というか、別動班さん、この人達です。 ● 「もう……失うものはない気がするのでござる……」 別動班は何も言わずに虎鐵を毛布でくるんで、温かいミルクが入ったマグカップを渡してくれた。 「酒飲んで忘れよう」 アーサーは、目に涙を浮かべている。なぜか口の周りが甘い。 「……いいかお前ら、今日ここでは何もおかしなことはなかった、一般人を襲おうとしてたフィクサード達を倒した、ただそれだけだ、そうだな?」 吹雪の念押しに、ヘッドバンキング気味頷く男性リベリスタ。 「よだれ塗れで少年を襲う女の妖怪」の本当にあった怖い話。 来年の夏、ネットTVで放送予定。 (転んでもただでは起きない。それがこの僕、ザキオカさ☆) 視聴率が取れるかどうかは、また別の問題である。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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