●“事故”発生 「――犯罪組織に屈するなどあってはならん事態だ」 黒塗りで固めた車の中。二人の男が隣合わせで座っている。 窓から見える進む景色はゆっくりに。そう早くは無い速度だ。昼間だからか、人だかりはそこそこに多い様だが、よもや車の中の会話が外に聞こえはしないだろう。故にか。二人の男は“神秘”の会話内容を憚らず話を続けて、 「近頃は厄介な化物が現れていると聞くが……情勢はどうか?」 「御安心をテイラー卿。確かに厄介ではありますが――それ以上には至りませんよ。 この国が一体どういう国家なのか、お忘れですか?」 ここはイギリス。グレートブリテン。伝統と紅茶の国。 そして何より――妖精や怪物といった“神秘の物語”に事欠かない国である。 「見た事が無い。そんな“程度”の化物など……この国には昔からの馴染みでしょう」 「フッ、確かに。我が国にとってみれば馴染みの一つ、か」 遥か昔より相手取る馴染み一つ。御せぬ程度、“彼ら”は弱くない。 欧州二分組織。イギリスを守るリベリスタ組織。 “スコットランド・ヤード”の彼らは。 「ヤードの支援は変わらず続行しよう。君らには、期待している」 車が止まる。テイラーと呼ばれた男はそのまま車内に。もう一人、ヤードの一員と思われし男は車から降りて。一言二言、挨拶の会話を成して別れとする。 ヤードが見送る車の影が遠くへと。帰ろうか、踵を返してヤードの男は視線を外そうとした、 その時だった。 「……ん?」 何か、見えた。テイラーの乗る車に、何かが飛び付いた気がして―― 同時。強烈な破砕音に加えて、 閃光と熱が瞬き走った。 「なッ――!? テ、テイラー卿!? テイラー卿――!!」 爆発である。小規模ながらも確かな爆発が二度、三度、四に五に六に七に八――果ては、十を超えても成り止まぬ。 男が駆け付けた時にはもう遅い。車は塵となり、熱が万物遠ざけて。 勢い強し黒煙がロンドンの街中に生まれていた―― ●ロンドンへ 『……日深夜。ロンドン近郊に置いて爆発事故が発生。車内に居たハンス・テイラーさんは死亡。同乗していた運転手も死亡が確認され、市民の間では“立て続け”に起こる事故に不安の声も――』 モニターの画面から流れるのはイギリスのニュースだ。 突然の爆発に巻き込まれ、命を落とした者がいる“不運な事故”の話である。まぁ最もそれは、 「“表向き”は、の話であるがね?」 『ただの詐欺師』睦蔵・八雲(nBNE000203)が言うは、“実際”の所の話だ。 「近頃、イギリスのリベリスタ組織“ヤード”の支援者が襲撃されている。 襲撃しているのはエリューションだが――これがまぁ、只のエリューションではなくてな」 ヤードが見たエリューションは蜘蛛であったらしい。 体長にして一メートル程の蜘蛛。しかしその身からはいくつか機械の様なモノが混じっていて――純粋に蜘蛛か、と問われれば即答し辛い姿の、蜘蛛。 何かが混じった姿の化物。日本では見た事が有る。それらの事を、 「いわゆるキマイラタイプ、だな。かの六道の者が使用していた技術を使用しているのだろう……記憶に覚えのある者もいるとは思うが」 エリューション・キマイラ。 六道に所属していた“六道紫杏”が開発した人造エリューションの事である。元々は六道紫杏自身が日本に居た故に日本でしか観測されていなかったが――彼女がイギリスに渡った為、かの地に出現する様になったのだろう。 キマイラの出現によってヤードは押されている。使い捨て可能なキマイラが大量投入され、手が回っていないのだ。故に、戦力の海外派遣をつい最近決定したアークに協力を求めて来た訳である。 「今回諸君らにやってもらいたいのは、ヤードを支援する一人。エミール卿の護衛だ。 これ以上“不運”な爆破事故に巻き込まれぬ様にエミール卿自身がヤードの手が回りやすい場所に避難する様なのだが……そこに至るまでの人員が足らぬ、と。どうしようもないらしくてな」 狙われているのはエミールだけに非ず。 他にも警護対象は居て、そちらにも人数を割く必要はあり。人員が足りぬ。 故に外部に。アークに人員の派遣を求めたのだ。 「爆破事件を引き起こすキマイラは自爆特攻による物量攻めが主体らしい。とにかく人数がいる。エミール卿は車に乗って移動する故、諸君らもヤードの用意した車に乗って追随してくれ。エミール卿にキマイラを近付けてはならん」 キマイラの総数・詳細は不明だ。何せ万華鏡は国外まで届かない。 ヤードからの情報と、各々の臨機応変性が重要となるだろう。 「日本から持ち出された技術が元だ――我らにとっても無関係な話とは言えん。 頼んだぞ諸君」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年11月30日(土)23:07 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●裏通り ロンドンの街並にしてはやけに人が少なかった。 決していない訳ではない。車の外を見れば幾人かの通行人が交差しているのが見える。ただ単に、人通りの少ない所を優先して通っているだけの事だ。 通る車は二台。あまり距離を離さずに道を進む片方に乗りこんでいるのは日本のリベリスタ達で、 「…………こちらアーク。今の所は異常ありません」 運転をしているのがジークリンデ・グートシュタイン(BNE004698)だ。連絡を取っている相手は前方の車に乗っている護衛のヤードリベリスタである。連絡は蜜に。いつでも対応出来るようにと。敵がどこから来るのか分からないのなら尚更に。 今の所は報告にあったキマイラの姿は見えない。不審なモノも見えず、平穏だ。 「いやぁ。ロンドンは日本の雑多な街並とは違いますなぁ。 アレはアレで好きなんですがね? 西洋の整然とした街並も悪くない! 流石ロンドーンですなハハハ!」 だからこそ。未だ戦闘の気配見えぬ貴重な機会に『終極粉砕機構』富永・喜平(BNE000939)は、車の窓より映りし景色を楽しもうと。 ロンドンの街並は昔からさほど変わらない。高層ビルが増え、車の行き来の発生は変化の一つだが、大筋、建物のほとんどは未だ歴史ある外観を保っている場所が多い。だから楽しい。いつも見ている日本の街並とは違うこの地が。面白くて仕方ない。 無論、仕事を忘れた訳ではない。景色は楽しみ、注意もする。日本より離れしキマイラが、どこにいるか分からぬのだから。 「――とかまぁ色々思って、まぁ。そのなんですな。こっちも色々準備はして来たわけですが……」 語るは『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)である。如何な存在であろうと。生物であれば大なり小なり熱はある。少なくともこのキマイラはそうだ。熱感知を持ちし者で周囲を視て。集音装置の技能で足音を探る。 そう思考し、そう推察し、そう対応した。それに間違いは無く。効果はあった。 あった、が。 「……いやー、これは……」 「想像以上、と言うべきでしょうか? ……相応の数に囲まれてますねこれは」 故に分かった。故に見えた。 気のせいかとも思った、妙な影が幾重にも。段々と。 見える。聞こえる。分かってしまう。 音を捉えしは九十九に加えて雪白 桐(BNE000185)。周囲を蠢く八つ脚音が耳触りに。 “何十”もの影が彼らの瞳に映り見える。 「地下からも幾らか来ています……! かなり近いですよッ! 自爆テロ隊のお出ましです!」 「行きましょう――エミール卿の車を止めて、迎撃の態勢を!」 地下からの動きすら捉えたのは千里眼。『贖いの仔羊』綿谷 光介(BNE003658)の目だ。 敵は何時の間にやら近くにまで来ている。なればと、車を止める様に声を放ったのは『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)で、だから。 即時。対応。急停止。 蜘蛛群接敵まで――後十秒。 ●蜘蛛は唐突に 「ッ、しゃあああああ! 来いよ虫野郎! ブッ潰してやるぜええ!!」 最も先に跳び出たのが窓側の席に座っていた『きょうけん』コヨーテ・バッドフェロー(BNE004561)だった。 急停止した車のドアを蹴破る様に即開き、速度を追い求めて疾走する。位置するはエミール卿の車両後方側。 護衛対象を中心に円陣形態だ。ヤードのリベリスタもその布陣に加わって、車両そのものに近付けさせぬ様にすれば、 「さぁーて。お仕事と行きましょうかね」 『魔性の腐女子』セレア・アレイン(BNE003170)が神秘の空間を創造する。 陣地結界――本来なればその空間を練り上げるのに二十秒は掛る魔術だが、彼女の手にかかればその様な時間など意味を成さない。 超速の魔道構築。溜めると言う行為そのものの無意味化。一般人は排除され、神秘だけが残る。 事前に蜘蛛達の動向を掴むべく探査系統の技能の駆使した事もあってか――十秒。リベリスタ全員が初手の準備が出来る十秒が生まれていた。気を蓄え身体の向上と成し、あるいは翼を付与せし加護を皆に行き渡らせ、万全と成す。そして、 『――ァ、ァァァ!』 蜘蛛が殺到した。 ビルの上から。隙間から。マンホールを突き破り地下から。左から右から前から後ろから。 真上を除くほぼ全てから――多数の“蜘蛛”が車目がけて突き進む。ただ一つの殺意をもって。 「ハッハッハ。こいつは大量ですな……無駄な事を」 喜平が構える。群がる蜘蛛、その一体を、 「何処へ逃げ。何処へ往き。何に執着し。何を得ようと――末路は同じだ」 撃つ。銃撃。射撃音。 ――殲滅する。 その意思を一点に。引き金を絞り上げ、放つ。連射する射撃音が一体に集中して。頭部に直撃。さすれば、 「ヤードの皆様方は卿を守るのにご尽力を。私達は近寄る敵を薙ぎます故」 九十九も撃つ。眼に映る限りの蜘蛛を含めて、蜂の如く。 片手撃ちだ。左から右へ流れる様に掃射すれば数多の敵を穿ち砕く。月なる女神の加護を付与している彼の集中は通常よりも遥かに高まって。撃つ。砕く。撃つ。砕く。撃って、 「こちらに来る連中は任せて下さい。越させませんよ」 砕く。されどそれでも弾幕の嵐を突き抜けてくる個体は勿論居る。数が多い上に全方位だ。対処し切れぬ角度も個体も存在する。 故にジークリンデが迎撃した。位置的には九十九の前。彼の前衛として抜けて来た個体に相対すれば。 「――フッ!」 呼吸一拍。己が刃で蜘蛛を裂く。 刃越しに伝わる感触は包丁で柔らかい肉を切った様な感じだ。然程の抵抗もなく刃が肉に突き刺さる。どうやらこの蜘蛛達、防御面は脆い様だ。自爆性能への特攻。要らぬ耐久、と言う事だろうか。その代わりに数が多いと考えれば納得も行く。 「うへぇ! どっから湧いてんだってレベルでウジャウジャいるな……だが良いぜ! こんだけいりゃあ――」 コヨーテの両腕に炎が宿っている。拳を握り締め、業火を纏い、彼は。 「ブチ殺し甲斐もある、ってなもんだよなぁッ! 来いよ虫野郎共ォオ!!」 接近する蜘蛛三匹を纏めて相手取った。 跳び込んで来た一体を左手の甲で弾く様に叩き、続く二体目を踏み込んで掌底。直後、両肘回し、業火で円の軌跡を描く様に態勢を整え。地を砕く様に叩けば。 最後の一体諸共全て炎で包み込む。 「“事故”は起こさせませんよ。 不注意の事故はともかく“故意”に引き起こされる事故など……冗談ではありません」 前方側にても。桐が迫る蜘蛛を大剣で薙いで接近を阻んでいる。 数が多い。その為に武器を大きく振り、己が前方に居る複数個体。巻き込み倒す。命を、護る為に。 事故とは、酷く広い範囲で言えば全ての事象が事故に繋がる。しかし、それでも“故意”は駄目だ。許せない。止めれるものなら止めてみせよう。必ず。 「ヤードのスポンサーの護衛、となると幾らか政治的な意味合いも含みそうですし……しくじれませんね、これは!」 そこから更に、追い打ち掛ける如く、光介の魔力矢が小さな魔法陣から射出される。 ヤードの支援者が減ってしまえば直接人的被害は無いものの、間接的に被害が生まれるのは必至だ。卿がどれだけの資金を投入している者かは知らないが、大でも小でも被害は被害。見過ごせない。 「蜘蛛って、どうにも苦手なんですけどね……それでも、そうは言ってられませんか」 そして全体の戦線を小夜が支えていた。 回復手として彼女は己が魔力の循環付与も行いつつ。全体を視て癒しの力を放ち続ける。蜘蛛は数が多いが、代わりに個体個体の性能は高くない様で。彼女の回復があれば少なくとも即座にリベリスタの誰かが危険な状態に陥るのは避ける事が出来そうだ。更には光介も回復参加出来るのならば尚更に。 さて、円形布陣は見事に機能していた。布陣としては改めて纏めるとこうだ。 車の前方側を光介・桐。 左側を喜平・セレア。 右側を九十九・ジークリンデ。 後方側をコヨーテ・小夜。 そしてヤードリベリスタは卿を守る為に右左側に一人ずつ布陣している。 人数配分は的確だ。穴は無く、認識に間違いも無い。実に順当である―― が。順当であっても致し方の無い事はある。 ここは万華鏡の無い異国の地。超性能を誇る万華鏡の情報取得。アレがあればもう少し詳しい情報が分かっていただろう。 そう。例えば、 「ちょっと、本当にもう、このキマイラ達……何体いるのよ?!」 低空飛行しつつ雷を落とすセレアが叫ぶ、キマイラ達の正確な数等、が。 ●無数 まだ来る。今何体倒しただろうか。十は超えた。二十辺りか? 終わらない筈は無い。幾ら使い捨ての戦力とはいえ無限はあり得ない。しかしまだ来る。どれだけいるのだと億劫になってしまう程に。どこから湧いたのかは分からない。トラックか何かが有ったのだろうか。それとも近くに拠点でもあったのだろうか。 ハッキリしないが、なによりも面倒なのは、 「皆さん、蜘蛛に接触しない様に気を付けてください――こいつらの自爆は、結構効きますよッ……!」 そう。桐の言う通り、蜘蛛らの性能は低いが代わりに自爆の威力は特化している。 先程も接触された桐が至近で自爆された。彼は己が傷を癒す超再生で被害を少なく出来ているが、何度も受けてしまえば、さて。その中で起爆しても誘爆はしないのは幸か不幸か。近距離で倒しても無駄なダメージを受けないのは良いが、敵に巻き込ませての戦法が取れない。 しかし現状、被害が最も大きいのは彼のいる前方では無く――むしろ逆。 「ケッ! どんだけ数が多かろうがなぁ……こんの程度で、俺が音を上げる訳ねーだろうがァ――!」 車後方側。コヨーテと小夜の位置だ。 小夜が基本回復手に回っている為に攻撃の手が他と比べると明らかに少ない。それ自体は彼も彼女も悪い訳でなく、どうしても仕方のない部分だ。回復も攻撃も両立させるのは至難である。特に相手の数が多い場合は。 コヨーテの身が爆発の威力で削られる。シードの効果で通常攻撃すればノックBで蜘蛛を突き放せるが、数が多い故範囲で削らねば間に合わない。業火の色と血の色が彼を包む。構えた腕が重いが、それでも負けない。折れない。通さない。 「さぁ、もちっと暴れようぜヘヘッ!」 「無理はなさらぬ様に……お願いしますよッ!」 コヨーテの奮戦に、ジークリンデからの檄が飛ぶ。 彼女は刃を蜘蛛の口に突き刺して、そのまま上に突き破る形で刃を躍らせる。己のよりも、寧ろキマイラの血が彼女の身を濡らすが頓着している暇が無い。次はまだまだつかえているのだ。 「んー。“聴く”限り、減ってはおるのですがなぁ。こんな数で圧殺自爆戦法とはなんとも……卑劣で風情の無い仕打ちですよな。自分の手を汚す気が無い所が特に、とッ!」 九十九の耳に届くのは蜘蛛の足音。初期に比べ段々と減っているのは分かるのだが、面倒な事実は変わらず。どこぞにいるかも分からないが、どこぞの者へと愚痴を吐く。汚いぞ、と。 瞬間。己が横にまで蜘蛛が迫っていた事に気付く。口開き、噛みつこうとする蜘蛛。気付いて反射的に銃の引き金を絞れば、蜘蛛の頭が炸裂した。 全体的に蜘蛛が車に迫っている。ヤードも接敵する蜘蛛に相対して阻んでいるが、果たしてどちらが先だろうか。 蜘蛛の全滅か。車への大量接敵か。 その時とうとう一体辿りついた蜘蛛の個体がいた。車に取り付き、今、正に爆発しようと言う――刹那。 「まだ、まだぁ! させませんよッ!」 喜平が散弾銃をフルスイング。鈍い衝撃音が響いたと同時に、蜘蛛の身が車から引き離されれば、 「言っただろう――御前らの末路は同じなんだよ。“あっち”でも、“こっち”でもな」 殴る為に握り締めた銃身を、慣れた手つきで回して脇下へ。射撃体勢へ即時入る。 射撃音。熱感知の眼で見据えた、熱量の高い……およそ爆発物が詰まっていると思われる胴体に連続射撃。ついでに周囲、己が目線の通った個体にも狙いを定めて放ち続ける。 日の本でも、ロンドンでも、関係無い。全て潰す。在り来りな終局は、粉砕する。 決意は心に。秘めて燃やして意思と成す。 「でも、全くなんなのかしらねこいつらは。“自爆アリ”との混ぜ合わせ的な気もするけど……植物だったら“ホウセンカ”かしら? 起爆する条件がその辺怪しいけれど、ハッキリしないわね……」 死肉と成っている蜘蛛を見下ろし、セレアが思考するは彼らの混ぜ合わせ。 爆発する特性はなんだろうかと。普通の爆弾との混ぜ合わせも考えられるが、生物ならば先述した二つのどちらかだろうか。雷を叩き落としつつ、出来得る限り腹部を狙いながら思考すれば、 その思考の一瞬の隙を突かれる。 『――ヵ、ァア!』 蜘蛛が、至近で自爆した。彼女の身が一瞬光と炎に包まれるが、 「あーもう! ちょっと遅めのガイ・フォークス・ナイトのつもり? 人形だけを焼いてなさいよ!」 爆風払って再度の雷撃。リベリスタ達の被害も着実に溜まりつつあった。 しかし幸と言うか、一般人への被害は0である。陣地結界が張れたのは本当に幸いだった。一般人の被害が無いのはこれに尽きる。故に戦闘の際に何も気に掛ける必要は無い。リベリスタも、蜘蛛も。 激突は最初から全力で。互いが互いに死力を尽くし。蜘蛛は死を、リベリスタは生を目指す。 「誰一人倒させませんよ……それが、ホーリーメイガスの……」 渦中で小夜は回復行動を行い続けた。 高次元からの息吹を。時として一人に神の如き癒しを振り降ろせば。間違い無くこの戦場における被害を減らしているのは彼女の活躍あってこそだった。 これはホーリーメイガスの――いや、 「私の闘い方ですから!」 振るい奮って味方を立たす。本来ならば場を持たせる彼女が一気に攻められても不思議ではないが、この度ここに“効率”と言う名の“判断”は存在しない。目標を駆逐すべく、蜘蛛はただ一点を効率度外視で目指しているのだから。 「術式、迷える羊の博愛!」 そうして光介の回復も時折参加すれば更に堅牢と化す。 被害はある。だが、時を経て。蜘蛛を倒し。味方を守り。車を守り。人を生かして。さしていれば。 明らかに、蜘蛛達の勢いが減っていた。 「さぁもう一息ですかね……踏ん張り所ですよ! ここが!」 蜘蛛の進撃を防御の力で固めた己で阻みつつ、ジークリンデが叫ぶ。 横目に見えたのはヤードのリベリスタ達だ。彼女としては車内で卿を庇っていて欲しかったが、車が大爆発を起こしてしまえば流石に庇いも何も無くなってしまう。一般人の身となれば防御に耐性が無く、尚更に。その為、彼らは自らの判断で外に出ていた。 西のリベリスタと東のリベリスタが協同して。敵と相対。蜘蛛と戦闘。斬って。撃って。放って。倒して。次を見据えてもう一撃。完全に多数の敵を相手取って闘っていた、気の遠くなる様な闘いは―― 「さぁこれで終わりです……!」 桐が往く。見える限りの最後の一体に跳んで。 「事故はもう――起きません」 斬り伏せる。直上より大剣で一閃し、動きの停止を確認。 周囲にはもう、生きた蜘蛛はいなかった。 「――ッ、倒し切りました、かね? どこかに伏せて居たりとかは……」 「視る限り変な熱源はありませんねぇ。これ以上の戦力はないだろうし、あったとしても、まぁ。対処出来る数だけだろう」 小夜の疑問に答えるは喜平。彼の目が周囲を見据えるが、もう蜘蛛はいなさそうだ。少なくとも攻撃の波が止んだことにより安全が確保されたのは間違いない。もう一度攻勢に出られる数は無いだろう。 「やれやれ……犯罪者の、犯罪者らしい手口でしたな。支援者から狙うは定石ですが。 私達も参戦しはじめた以上いつまでも続く手だとは思わないで欲しいものです」 「俺としちゃあテンション上がりまくりで悪かぁなかったけどな。 外国でも暴れてOKなんてよ……マジでアークホワイト企業だな!」 九十九は敵の手腕を考察しつつ、コヨーテは傷を負いながらもやたら上機嫌である。 「お疲れ様でした――It's splendid! 握手させてください!」 そして光介の言葉はヤードのリベリスタ達に。ヤードのスポンサーの手前、となれば己れらよりも現地の彼らの顔を立てておいた方が無難だろう。そして彼らもまた、アーク諸君の活躍に礼を述べる。 ヤードだけでは明らかに対処出来ない数だった。卿の命は守りきれなかったろう。 守りきれたのは、紛れも無くアークがいたからだ。 故に、あぁ。車から降りてエミール卿も礼を述べる。 己が命を救ってくれたアークに。異国の言葉なれど。 感謝の言葉として述べる。 「Thank you……! Welcome to London!」 ようこそロンドンへ。アークの皆さん。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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