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<アーク傭兵団>愛撒倫ランドヴェッティル

 スノッリ・ストゥルルソン著『ヘイムスクリングラ』曰く。
 昔、デンマーク王が魔術師を派遣して、アイスランドを征服しようとした。
 しかし、東西南北どこへ行こうとも、精霊が魔術師を撃退し、とうとうデンマーク王はアイスランドを諦めた。
 北東を守るは苛烈なる炎を吐くドラゴン。
 北西を守るは猛禽たる肉食鳥。
 南東を守るは山の岩の巨人。
 そして南西を勇猛なる雄牛が守る。
 四の精霊こそランドヴェッティル――アイスランドの守護者。

 国章にもなっている彼らのレリーフがアイスランドの国会議事堂たるアルシング議場の壁に飾られている。
 だが、そのレリーフからエリューションが現れ、ツアー観光客を襲う。
 アークに寄せられた支援要請書には、そう書かれていた。
「詳細は分かっていないが……敵は、長年のアイスランドの人々の畏怖の心から成るE・フォースだと推測される」
 資料をめくり、『黄昏識る咎人』瀬良・闇璃(nBNE000242)はブリーフィングルームの一同に告げた。
「アイスランドを守らんが為、異邦人を攻撃するのだろうが……。金融業が一度崩壊したアイスランドにとって観光業は重要な産業だ。止めなくてはな」
 四人以上の異邦人を感知すれば、エリューションは出現する。
 サガ(伝承)にあるように、エリューションは四体。竜、猛禽、巨人に雄牛で、アルシング議場のレリーフが面する広場に出現する。
 アイスランド独立の祖、ヨン・シグルズソン像があるこの広場は、ツアー客の絶好の写真撮影場なのだ。
「奴らは四隅……つまり伝承にある己の守護すべき方位から動かない。相手の陣形が変化する心配はない。ただし向こうはかなりのロングレンジらしい……万華鏡の守備範囲から遠く離れた場所だから、攻撃方法の詳細は分からない。フェーズも二ないし三と推測される。万全の体制で臨んでくれ」
 アークは事前に現地と連携し、しばし広場周辺は工事中ということで人の立ち入りを禁じている。
「……しかし、周辺は国会だけでなく、ビジネスビルや議員会館、教会、市役所まである。レイキャヴィクでもかなり重要な地域だ。それに長期間、観光地を閉鎖するのはアイスランドにとって多大なる損失だ。本件は、事態の早期解決を強く要請されている」
 時間がない、と闇璃は眉をひそめた。
 そんなシリアスな空気の中、一人底抜けに明るく挙手する美女。
「アイスランド! 行った事ない! 楽しげ! あたしも行くー!!」
 キリエ・ウィヌシュカ(nBNE000272)、完全に旅行気分のように見えるが、気合に満ち満ちた様子で拳を打ち鳴らしているので、事情は分かっているようだ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:あき缶  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年11月24日(日)23:36
 お世話になっております。あき缶です。
 海外編だよ、アイスランドだよ!

●成功条件:エリューション全滅

●敵 E・フォース4体(なお吼える事はあっても喋りません)
 ドラゴン(北東):炎を吐く神秘攻撃 
 肉食鳥(北西):鋭い爪や嘴による物理攻撃
 岩の巨人(南東):大地を操る神秘攻撃
 雄牛(南西):オーラ突進による物理攻撃

 全て己の配置から移動せず、『遠2』の攻撃を使用しますが
 アイスランドは万華鏡の範囲外のため、効果の詳細は不明です。
(EXに該当するような危険かつ規格外の攻撃ではありません)
 また、Pスキルとして【絶対者】を使用します。
 容姿については、アイスランドの国章をご参照ください。

●場所 アイスランド首都レイキャヴィク アルシング議場前広場
 アイスランド独立の祖、ヨン・シグルズソン像が真ん中に立つ約70m四方の広場です。
 三方をビルに囲まれていて、南東が道を挟んで議場に面しています。
 アルシング議場の横にはレイキャヴィク最古の教会があり、30分ごとに鐘が鳴ります。

●日時 冬の平日
 作戦開始時間は相談して決めてください。
 冬のアイスランドは日照時間が非常に短く、
 8時~16時くらいまでしか明るくありませんが、
 戦場付近には街灯がそれなりにあるので、夜も薄暗い程度でしょう。
 条件がよければ夜はオーロラが見えます。
 また、天候も変わりやすく、戦闘中に雨・雪が降ることもあるでしょう。
 吹雪いた場合、有効なスキル・装備がなければ、命中・回避に若干のマイナス判定をします。
 気温は摂氏0度前後なので、さほど寒くはありませんが、
 日没中は路面が凍結しますので、
 有効なスキル・装備がなければ、命中・回避・速度に若干のマイナス、
 ファンブル率上昇判定をします。

●NPC
 キリエが同行します。
 指示がある場合はどなたかのプレイングに記載してください。
 特に無ければ、基本的に「ガンガンいこうぜ」状態で突撃し、バテるまで撃ちまくります。
参加NPC
キリエ・ウィヌシュカ (nBNE000272)
 


■メイン参加者 8人■
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
スターサジタリー
雑賀 木蓮(BNE002229)
マグメイガス
羽柴 双葉(BNE003837)
ナイトクリーク
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)
ナイトクリーク
アーサー・レオンハート(BNE004077)
スターサジタリー
我妻 湊(BNE004567)
ダークナイト
シャルン・S・ホルスト(BNE004798)

●おいでませ、アイスランド
 アイスランドが、貴方の好きな天候じゃなかった時は?
 ――十五分ほど待てばいい。(アイスランドの土産物Tシャツより)

「確かに……天候に脈絡がなさすぎる」
 時計を見ながら、『神速』司馬 鷲祐(BNE000288)は、アルシング議会の隣にあるレイキャヴィク大聖堂の傍らから、ヨン・シグルズソン像の立つ公園を眺めていた。
 ここはアイスランドの首都、世界で最も北にある首都レイキャヴィクだ。
 アイスランドの守護精霊の形をしたエリューションが出現する事案を解決すべく、リベリスタは極東の日本よりこの北の果てに降り立った。
「でも、寒さは思ってたよりマシだよな!」
 と、『銀狼のオクルス』草臥 木蓮(BNE002229)が言うまでもなく、寒いとふんで来たものの、東北の冬よりずっと温かい。北の果てだが、暖流が側を流れるアイスランドは、名称から想定されるよりは温かい国である。
 しかし、それでもやはり何か防寒具がないと耐えられない。
 ガチガチ歯を鳴らして震えている『口と手は同時』キリエ・ウィヌシュカ(nBNE000272)の首に、そっとマフラーを巻いてやる『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)だ。
『二枚用意してきてて良かった。どう見ても寒そうだ』
 ロアンに続き、『野良リスタ』シャルン・S・ホルスト(BNE004798)もキリエに吹雪対策用のゴーグルを渡す。
「キリエねーちゃん、綺麗だな! ……耳寒くない? これもどうぞ」
 人間よりも長い耳を心配そうにシャルンは見上げ、ニット帽もついでに渡した。
「うー、ありがと。シュヴァイヤーちゃんとホルストちゃん……助かるよぅ……」
 雪女のような容姿のくせに、寒さに弱いらしいキリエは二人の優しさに非常に感動していた。
「それにしてもだ。アイスランドはユキウサギとかホッキョクキツネがいると聞いたんだが」
 ふわもこ大好きおっさん、『OME(おじさんマジ天使)』アーサー・レオンハート(BNE004077)は、ヨーロッパの中小都市程度には発展している海辺の都市で、まっしろふわもこアニマルと触れ合う機会は皆無であることを悟り、がっかりしていた。
 どうも車で何時間も移動して高山地帯に行かないと、北極圏に住む野生動物には会えないようだ。スケールの大きい大自然が広がるアイスランドで、ふわもこアニマルと触れ合う時間はなさそうである。そもそも隠れ場所が大量にある広大な荒野の国では、小動物を発見するのはかなり難しい。
「温泉に入ってお酒飲みつつ、ふわもこアニマルと戯れる……至福のひとときが待っていると思ったのに!!!」
 血涙流す勢いのアーサー。しかしアイスランドは、風呂で酒を飲む文化がある。前半は叶うので、心を強く持って欲しいものである。
「……ここは車乗り入れ禁止か」
 作戦に車を利用しようとしていた『てるてる坊主』焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)は、想定とはだいぶ違う公園の状況に悔しげである。
 そもそも公園は思ったよりも手狭に感じる。ベンチが四脚あるのもそうだが、中心に据えられたヨン・シグルズソン像の台座が大きいのだ。バイクくらいでないと自由な行き来はできない上に、石畳の広場なので車の乗り入れは常識的に遠慮すべき場所なのはすぐに分かった。
「ま、吹雪になってもすぐ終わりそうだし、今は晴れてるんだし、大丈夫でしょ。やるしかないんだし、やっちゃおう!」
 と『魔法少女マジカル☆ふたば』羽柴 双葉(BNE003837)が一同に言う。
「終わらせて観光! 任務だけで帰って来いとは言われてないし、俺様は土産も買うつもりだぜ!」
 木蓮のテンションは高い。
「よっしゃあああっ!」
 キリエは銃火器片手に広場へ飛び込んでいく。『落とし子』我妻 湊(BNE004567)がくれた安全靴のおかげで、朝の寒さで凍結し、昼の太陽で緩み始めている地面でも滑らない。
「ちょ、焦るな! 周りから離れるな!」
 鷲祐が慌てて後を追う。常に最後尾をついていくつもりだったが、お目付け役を自らかって出たフュリエの独断専行を放置もできぬ。
 とはいえ、行かないと始まらないので鷲祐に続き、リベリスタは全員広場へと走った。
 全員が広場に入ると、音もなくアルシング議会のレリーフが輝き、音もなく広場にエリューションが出現した。
 敵の背後へ回りこむ暇など無い。フツが叫んだ。
「敵は既にオレ達に気づいてる! 隊列を整えろ。来るぞ!」
 
●アイスランド人は精霊の存在を真剣に信じています
 北東を守るは苛烈なる炎を吐くドラゴン。
 北西を守るは猛禽たる肉食鳥。
 南東を守るは山の岩の巨人。
 そして南西を勇猛なる雄牛が守る。
 四の精霊こそランドヴェッティル――アイスランドの守護者。

 隅といっても少し内側に現れたエリューション。エリューション自体が巨大なため、幅が一メートル以上はある。そしてヨン・シグルズソン像の台座は、しっかり測ってはいないが一メートル四方は優にあるだろう。
 かなりピッタリ像に張り付いていないと、彼らの射程圏内に入ってしまう。
 しかもリベリスタは九人。
 一箇所に固まっていると、誰かしらが、いずれかの射程圏内に入り、
「あつっ!」
 ドラゴンの炎に舐められたり、
「いった!」
 肉食鳥の爪に削られたり、
「くっ」
 巨人の投げる岩に潰されかけたり、
「げほっ」
 雄牛のオーラに轢かれたりする。
 これは仮に車を乗り入れても、優に相手の射程内に入れてしまい、瞬時にスクラップにされてしまっていただろう。
「中央は絶対安全圏じゃないってことだな。……安全圏を広げるには、どれかを速攻で倒すしか無いってことか」
 ヨン・シグルズソン像にロープを巻こうと思っていたフツは、台座の広さにすぐ諦めた。そもそもロープを巻く作業をするのは、敵射程内にいつ入ってしまうかわからない危険すぎる行動だ。
 射程範囲内に色がついているわけでもない。いつ相手の射程に入ってるのかもわからない。
「敵陣に飛び込むしかないってことだよな。Eile mit Weile. 急げ、しかし慌てるな。ばーちゃんの口癖だけど、物事は落ち着いて、だな」
 シャルンが言い、リベリスタは覚悟を決めて、まずは巨人の前へ。
 ギリシア神の彫刻のような容姿をした山の巨人は、大地の岩をひっきりなしに投げてくる。
「……ランダム攻撃ってところだな」
 滑らぬように己の翼で浮遊している湊が、冷静に呟いた。
「護る……護る、か」
 鷲祐は、異邦人をアイスランドから排除しようとする守護精霊に敬意を示した。
「守護者を倒すだなんてちょっと複雑だけど大丈夫なのかな?」
 双葉が首を傾げる。しかし、依頼を受けたからには倒さねば。
 ランドヴェッティルの行動は、ある意味では正しい。だが、アイスランドの人々を困らせるならば。
 巨人へフツの式符から現れた大量の鳥が襲いかかる。
「ぶっ潰してやる!」
 木蓮は意気揚々とサブマシンガンを構えた。
 精密すぎる狙いで、巨人の関節を狙うが、概念の存在に部位による弱点はあるのだろうか。
「晴れている間に終わらせよう」
 ロアンが巨人へ死の刻印を贈る。
 絶対者たる守護者に、妨害行為は通用しない。
 だから、力押しだ。
 アーサーは回復役としてじっと戦況を見守っている。今はまだ、回復は必要なさそうだ。
「すぐに天気が変わると言っていたな……」
 事前に地元民に『吹雪く時間』や『吹雪の前兆』について尋ねたものの、天のみぞ知るといった反応しかなかった。
 そもそもアイスランドで天気予報は、占い程度の扱いだ。
 キリエが嬉々として銃火器をぶっぱなす。
「ヒーャッハァ! クリーンヒットォ!」
 上手くあたったらしい。巨人は沈んだ。
 楚々とした美女のはずのキリエなのだが、クリティカルヒットに大喜びする様子は、正直残念である。
「よし、一旦中央へ退くんだ!」
 フツが再び仲間へ指示を飛ばす。
 中央は安全圏ではないと分かってはいるが、事前に決めておいた通りの動きを守ることは、戦闘の基本である。
 しかし、これで南東の一角は安全圏だ。
 安全地帯が確保されただけでもだいぶ違うだろう。
 それに精霊は、自分の持ち場からはなれない。つまり、あまり端へ行かない限りは一対多数の有利な状況を維持できるのだ。
 いくら万華鏡の範囲外として、敵の攻撃がわからないとはいえ、歴戦の覇者が揃ったリベリスタの一団が相手をしているのだ。
 一対多数なら、勝ちが見える。

●鐘が鳴るなりレイキャヴィク大聖堂
 続く敵は雄牛だ。
 雄牛自身は動かないのだが、雄牛がブレたかと思うやいなや、オーラの分身がこちらへまっすぐに突進してきて、縦一列を貫く。
「ってぇえ!」
 雄牛に跳ね飛ばされ、像にぶちあたり、痛みに顔を歪めながらもシャルンが皆に叫ぶ。
「貫通攻撃だ! 縦に並んじゃダメだ!」
 アーサーの癒しがすかさず飛ぶが、真後ろにいた木蓮が飛ばされた先が、肉食鳥の射程内。
「うっわ!」
 肌を切り刻む鋭い爪の一撃に、
「まだお前は出番じゃない!」
 木蓮は慌てて己の持ち場へと走る。
「紅き血の織り成す黒鎖の響き。其が奏でし葬送曲。我が血よ、黒き流れとなり疾く走れ……いけっ、戒めの鎖!」
 双葉の葬送曲が走る。
 雄牛を巻き取る黒い呪縛。
 本来ならば、木漏れ日浴びて育つ清らかな新緑――魔法少女マジカル☆ふたばとして、ひらひらな魔法少女の制服とも言える格好で来たかったのだが、ここは極寒の地と聞いていたので、戦闘服セブンスレイ・ファントムの下には温かい下着で防備している双葉である。
 お洒落も、寒さには代えられない。弱冷気魔法を使えば、寒くはないだろうと踏んでいた双葉だったが、やはり寒いものは寒い。弱冷気だって冷気は冷気だ。
 冬に冷房を起動すれば、暖房時と同じ設定温度でも寒く感じるのと同じく、冬のアイスランドでの弱冷気魔法は寒い。
「うー……寒いって、そういえば、これ吹雪いてる?」
 双葉は、知らぬ間に降りだした横殴りの雪を見て、呟く。
 だが、想定よりも吹雪は薄い。強風さえ耐え抜けば、視界が著しく損なわれる程ではなかった。
「対策した割りに、……吹雪ってそこまででもないな」
 フツは呟く。
 ちなみに、フツは物理攻撃と神秘攻撃を順に当て、どちらが効果が高いか見極めようとしていたが、相手はまるで銅像のように反応を返さない。
 しかたがないので、威力の高い方で攻撃するフツである。
 想定していたことのほとんどが現地で使えなかった。
 天候については心配し過ぎ、現場については調べなさすぎたといえる。
「お前ら守護者なんだろ……守るべきものが今どうなってるのか、知ってくれ!」
 吹雪の中、木蓮の比類なき正確なショットが、雄牛を砕いた。
「よし、次こそお前だ!」
 木蓮は先程、フライングで傷つけられた猛禽の肉食鳥へと走る。
「お仕事お疲れ様だけど、働き過ぎは厳禁! 周りにも迷惑がかかるからね」
 ロアンがオーラの爆弾を鳥に植える。
 炸裂する爆弾にも、E・フォースたる肉食鳥は微塵も反応を示さない。
 それ自体が硬いオーラのような物体らしく、表情というものがまるでない。
 このエリューションは『自動的』らしい。どんな言葉も届かないだろう。異邦人が複数いれば、排除する。それだけの機械的な存在なのだ。
「視覚がないっぽいな、これ」
 遮蔽物たるベンチの影から、湊が魔砲杖にて鳥を素早く狙撃するも、鳥は反射のように爪を飛ばす。
 意外にも全体攻撃だった鋭利な爪と牙のオーラは、湊が隠れていようがいまいが、お構いなしのようだった。
 視覚以外の何かで敵対者を察知しているらしい。
 一般的な戦闘における危険を避ける方法は、通用しないようだった。
 もはやこれは、力比べ。
 守護者がリベリスタを削るか、それともリベリスタが守護者を削るかの競争だ。
 だが、守護者がどれだけ攻撃を重ねても、アーサーのインスタントチャージを交えた聖神の息吹が、リベリスタを支える。
 故に、時間がかかろうとも勝負は見えている。
「俺に出会った不運を呪え!」
 シャルンの禍々しい黒をまとう槍が、肉食鳥を串刺し、残るは竜だけである。

●アイスランドは魚介と羊肉と温泉が有名です
「この炎を以って浄化せん。紅蓮の華よ、咲き誇れ!」
 竜を囲うように双葉の魔の焔が噴き上がる。
 竜の吐く、デンマーク王が遣わした魔法使いをも諦めさせた炎と押し合い、相殺する。
 竜の炎は一定範囲を焼き尽くす業火。リベリスタの肌を焦がし、溶かす。
 アーサーがひっきりなしに回復をしていなければ、倒れるものも出ただろう。
「こいつさえ落とせば!」
 フツの符が、式の鳥を呼ぶ。
 アルシング議会の公園とは逆の方向には、多くの水鳥が遊ぶチョルトニン湖があるが、フツが呼ぶのは、その湖に浮かぶ優雅な白鳥や可憐な鴨とは決定的に違う、死肉をむさぼる凶鳥である。
 キリエと木蓮、湊の弾丸が竜を貫く。四方八方からの狙撃を、竜は避ける事も出来ず甘んじて受けていた。
 速度を極めた鷲祐の攻撃は、一瞬過ぎて誰の目にも残らぬ。一秒間におぞましい数の斬撃を与えているのだが、もはや電光よりも高速で、視認できぬ。
 それでも涼しい顔で業火を吐くドラゴンだが、疲弊が見えずとも、攻撃は確実に竜を苛んでいた。
「安心しろ。お前達はいつだってこの国の、人の守護者だ。今ここにいる現実が――証明だッ!」
 吐出された炎を掻い潜り、鷲祐が再びの時間すら切り刻まんとする高速斬撃を見舞う。
 炎が消え、口をつぐんだドラゴンは、すうっと掻き消えた。
 知らぬ間に、吹雪はやみ、鉛色になっていた空は抜けるように蒼い。
「日本の空より、青い気がする」
 湊がぽつりと呟いた。

「じゃあ、任務も終えた所で観光といくか」
 アーサーはふわもこアニマルを諦めたとはいえ、まだまだアイスランドに楽しみを残している。
 温泉と、酒である。
 アイスランドには、地酒であるポテトウォッカがある。
 これで、サメを発酵させた『ハカール』という食べ物を流し込むと旨いのだと、アイスランドの天候について聞きこんでいる最中に、耳にした。
「酒と温泉ならブルーラグーンだ。バスが出ているらしい」
 鷲祐が行きたい場所を口にする。
「あたし、調べた! 青白いお湯が出てるとこでしょ! 世界一広い露天温泉で、真ん中にバーが有るんだよね!」
 キリエが行きたい行きたいとはしゃいで跳び跳ねる。
「俺様はアルコール飲めないから、温泉だけで」
 木蓮も、はじめてのアイスランドを楽しめそうなプランに顔がほころんでいる。
「そんなこともあろうかと、水着持ってきたよ!」
 双葉はわくわくを隠さず、水着を入れた手荷物をしっかと握りしめた。
「オーロラもそこで見れるといいね」
 観光と飲みを一挙に叶えられそうな場所の提案を受け、ロアンは満足気に頷く。
「じゃ、写真撮りながらバス停へ行こう」
 カメラ片手の湊を先頭に、リベリスタは滅多に来れない北の国を堪能すべく、大通りへと続く道を歩いて行くのだった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 お世話になっております、あき缶でございます。
 ほぼリプレイが、アイスランドのステマ状態ですが、ぜひ機会があれば皆様も、実際にアイスランド行ってみてください。
 安全で、料理が美味しくて、温泉もあり、チップがない……なかなか日本人に向いている国だと思います。
 ただ……リコリス菓子には気をつけてください……。