● 闘いだけの世界に居た。 終わらない闇は、昨日も健在していた。 変わったのは、今日だ。 闇から目を覚ませば、光が溢れていた。それは一般的には電灯と呼ばれた類なのだが、それを理解する事は難しいだろう。捻り潰せば、なんともあっ気なく。光は壊れて崩れていった。 その光がある方へ、ある方へ。 またひとつの光を捻り潰して、自ら闇を求めていた。 終わらないのは、終われないのは、きっと自分のせいなのだと気付かないまま。 ● 「皆さんこんにちは。今日も依頼をひとつお願いします」 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)は集まったリベリスタ達へそう切り出した。彼女の今回の依頼のお相手はアザーバイドだ。 彼等の帰り道はすぐに消滅する。片道切符の、フェイト無き存在。そういえばもはや討伐して下さいなんて言わなくても解るのだろうが、事態はほんの少しだけ厄介で。 「場所は大きい森林公園で、本日の午後八時ち丁度に現れます。 数は八体、見た目は髑髏でしょうか。それも全部が全部バラバラの場所に現れるので……おそらく一対一という形になると思います。さっきも言った通り、すぐに消滅するDホールですので、この森林公園内で彼等全てを止めましょう」 その八体は、全て別々の能力値で活動している。それの穴を上手く突いて倒せば難無く依頼は終わるだろう。 「一般人は此方で入れないように手配しておきますので、対策は不要ですよ。ただ、非常に暗いのでそれだけは気を付けてくださいね。 それではよろしくお願いします」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年11月13日(水)22:33 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●髑髏髑髏 誰のものかも解らない車に手を置いた『騎士の末裔』ユーディス・エーレンフェルト(BNE003247)。其の影に身を潜めて駐車場の中心を見れば、紅色の武具を纏った髑髏がゆっくりと歩いていた。 力を込める、手の平。己が得物を持ち、そして神秘を身に纏ってから影から出でるユーディス。 「無差別な破壊は赦しません。――お相手願いましょうか、『紅』の戦士」 「……カカカ」 カチカチと歯音を鳴らしてユーディスを見た髑髏。刹那、人の身体を切るために沿っている刃が上へと振りかぶられた。されどユーディスの眼はその振りの大きい攻撃を見極めたのだ、金属の擦れる高音をたて、ユーディスの盾を髑髏の刃が滑っていく。 確かに盾に当たる衝撃は驚くべきものだっただろう。だが、彼女の身体に傷はひとつもない。ほぼ同時に盾が淡い色に光ったかと思えば、反射の反動が髑髏に伝った。ぽきりと鳴ったのは、髑髏の腕か。それに手応えを感じてユーディスの口端は笑った。盾を回し、今度は槍の出番である。 「少々、痛いかと思います」 槍を回してねじ込む――髑髏へと。武具を突き破り髑髏の脊髄を突けば、雷撃が彼女の手から放たれた。 コトン、と置いたカンテラが暗い夜を照らした。 「自分は天風亘と申します」 丁寧至極に『幸せの青い鳥』天風・亘(BNE001105)は一礼をした。其の先に居たのは蒼色の武具を纏った髑髏。 髑髏へ名前を問うてみる亘だったが欲しい返事は返って来ない。少しだけ残念に思いながらも、思う。此の世界に愛されずに厄災を撒く彼の存在。来てしまったものは仕方ないと言えるだろう、だからこそ彼等の流儀と己の流儀を交わせたい。 (彼が眠る場所はこの世界になってしまうのですから――) 「――ッ!?」 速度に慣れていない者の眼から見れば、目の前の髑髏は消えたのだと言うのだろう。後ろへ回転しつつ振り向き、短刀を出し、刹那腕に響いた衝撃。 「自分よりも早く動きますか」 否、そうであったほうがきっと面白い。 「負けませんよ!」 更に亘の姿が消えたかと思えば、亘が居た場所に蒼い羽がひとつふわりと舞っていた。刹那、髑髏の死角から出現した亘は光を飛沫を従えて、振り落した短刀。同じく振り向いた髑髏の刃が短刀にぶつかり攻撃が通らない――しかし、衝撃音だけ残し亘は再び消えていた。 「こっちですよ」 響いた声は髑髏の真上。 同じく光の飛沫は夜空と重なり満天の星の様にが輝いていた。ウィンクした亘は反応が一歩遅れた髑髏へ短刀で突く。 ゴルフ場の土を一歩踏みしめ、其処から神秘を纏わせた『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)。 「その鉄壁の防御は素晴らしいものだ。鎧の精巧さも秀でた者であるのだろうが、それ以上に」 二歩目進んだ、その足の下の草が焼け焦げた。 「その鍛錬の厳しさや努力、培われてきた熾烈な経験を伺わせる。だが……」 其れが三歩、四歩と進んでいく。間に振り上げた手の平、腰から回転させて一気に髑髏の胸を捕えて弾き、骨にヒビの入る音が多重に鳴った。 「いくら防御が高くとも、内側から破壊してしまえばいい。一気呵成に撃ち貫く!」 解放した力に衝撃破。 焔と髑髏を中心に薙ぎ倒されていく草がその威力を物語っていたであろう。麻痺が通らぬ髑髏だ、すぐに刃を振りかぶり伸ばしていた腕を斬られて数メートル後退した焔。 溢れ出る血を片手で抑え、されど焔はにやりと笑った。 少しずつ離していく手にべっとり着いた血と、その液体を辿って奔っていくのは電撃だ。二度目と殴りかかってきた髑髏が彼の近接(テリトリー)を侵した瞬間、焔の足下から放電したそれが髑髏を弾き飛ばして感電させていくのであった。 「ここは貴方のいた世界じゃないから帰った方がいい」 けれど。 「なんて言おうにも、既に帰り道はなし。あっても、聞き入れそうな感じじゃないよね」 『先祖返り』纏向 瑞樹(BNE004308)は短刀を前に突き出しながら、言った。「戦おう」と。即座に撃ちだした気糸が直線を引き、そして紫の髑髏の細い背骨を射抜いて倒れさせた。あっ気も無いと己の命中の力を再確認した瑞樹は少しだけ笑ったようにも見える。だが油断はできぬと緩んだ顔を両手で叩き、瑞樹は意志の籠った瞳を作り上げた。 「!?」 直後だ、敵に気づいたのであろう髑髏は顔が瑞樹の方へ向き、そして呪いの言葉を放つ。其れをギリギリの所で身体を捻って避けてみせた瑞樹は、後方へ後ずさりしながら呼ぶのだ。 「ほらほら、しっかり狙って! 私はここだよ!」 彼女の狙いは足場の悪い場所での戦闘。元よりハイバランサーを持っている彼女に足場の悪さなんて到底関係無いからこその、戦術。 入口のゲートを潜った『一人焼肉マスター』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)は燈色の武者鎧を着た髑髏と会った。言葉を交わす間も無く、竜一は露草を一直線に振り落しては髑髏の左腕が胴体から離れて茂みへと消えていく。 いける――と思った瞬間だった。竜一の右頭部に衝撃がひとつ、左側へと体勢がよろけた。ツー……と流れる、額の血を舐め取った竜一は体を回転させてJe te protegerai tjrsで切りつけた。 型の無い、自由奔放な動きを展開した竜一の斬撃に胴体から落ちた髑髏の頭。しかし浮遊した髑髏の頭が胴体に戻り、ついでに茂みへ消えた左腕が戻ってきた。 回復し続けるというのは割と伊達では無いのだろう。 ビキリと鳴った、竜一の腕。筋肉が硬くなり、筋が割れ、青色の露草が流れた血によって赤く染まっていく。飛び出した竜一は、最大限の力を以てして髑髏へと一撃を放つのだ。 ――ガァン、と銃声。 「ボトムへようこそ! 歓迎するぜ、盛大になぁ!」 『乳狩童子』藤倉 隆明(BNE003933)は満面の笑みで髑髏を迎えた。その髑髏こそ不意打ちの弾丸にて顔面の一部が吹き飛んだ所だ。同時に反射かそれとも呪いか、チクリと痛んだ隆明の肩。しかし気にする程の傷では無いだろう。 戦うだけの簡単な仕事。それも仲間というものに捕らわれずに、一人で自由に戦えるのは隆明の性格には合っていたのだろう。 相手が体勢を立て直してくる前に隆明の身体は髑髏の正面に来ていた。振り落されてくる刃と、振り上げる拳。勝ったのは拳か――髑髏の頬を穿ち首骨が回転すれば自然に髑髏の頭も回転する。それで正面が見えなくなった髑髏の刃は起動を大幅に間違えて隆明の頭上を掠っていった。 神秘攻撃を通さないのだろうが、そんな事は隆明には関係無い。元より物理で殴るのみだ。 「こんな風になァ!!」 再び右の拳が髑髏の頭を穿った。ボキィと鳴らし、軋ませたその音が隆明の耳に心地よく響いていく。 少しの不安を胸に抱え、されど負ける気は無いと強いものを持った『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)。 「御機嫌よう、異界の武者さん。望まずこの世界に訪れた事は理解しています。ですが、これ以上暴れてもらう訳にはいかないのです」一礼したミリィはそのまま果て無き理想という名の指揮棒を舞わせた。 さあ、さあ、戦場を奏でましょう。 透き通った声に反応した白色の武者。突如前触れも無く斬りにかかってきたその髑髏をミリィは瞳で射殺した。だがほぼ同時に返って来たのは反射の攻撃だ。 少しの痛みに眉を動かしたミリィだが、それだけに気を使ってはられない。迫ってきた刃を指揮棒で弾くのだが、直後呪印の光が胸に刻まれ、身体が言う事を聞かないのだ。 見誤ったか、それとも予想外の敵の二回攻撃だったか、たらりと流れた頬の汗。 続いた髑髏の攻撃にミリィの胸に大きく風穴が空いたのであった。 ●月が夜に終わりを求めて 闘いを求めて辿り着いたのが最下層か。帰る道が無ければ壊すしかないのだ。其処にユーディスの容赦も慈悲も無い。 只――――全て、此処で私達が討ち果たしましょう ユーディスの防御であるからこそ、紅髑髏との交戦に勝てたのだろう。其れは紛れも無い彼女の強さ。 振り落された刃に、彼女の腕が取れかけたものの事前にかけた付与が其れを治療していく。痛みはまだ残る、だが負ける訳にはいかないのだ。 口で槍を持ち、空いた利き腕を紅髑髏へと伸ばした。引き抜いたのは、敵の精神力と体力。其れを糧に己の力としたユーディスは再び槍を持った。 「グ……ガガ?」 「これで、終わりにしましょう――おやすみなさい」 どうか闘いばかりの世界が此処で終わる様に。その願いを込めて、槍を十字に敵の身体へ刻むのであった。バラバラになって弾けた髑髏――亡骸は拾い弔おう。 「負けちゃいましたか」 通信から聞こえる声。 もう既に決着がついてる場所がある様だ。速さでは負けない亘だったが戦闘を終える早さは二番手か。ちぇ、と残念がってみせたものの、次には短刀を逆手に持ち傷のついた髑髏へと刃を向けた。 「もう一歩も譲れませんね」 「ギギギ」 駆けだした亘。再び元居た場所に置き去りにした蒼い羽がふわり、風に舞う。 亘とほぼ同条件の敵であった。何が違うかと言えば、意思と、一刃一刃を見極め敵を学習しつつ挑んだその秀才力か。 正面から飛び込んだ亘。だが攻撃は相手の方が早い。大振りの拳が突っ込んで来た亘の顔面を捕えようとしたが――数ミリの所で体勢を下へとずらして回避。そして、逆手の短刀を持った拳を丁度上に上げていく様に、それこそ相手の顎を捕える下からのパンチをするかの様に、股から脳天まで切り裂いたのであった。 腕に刻まれた呪印が浸食し、焔の視界を混濁させた。 頭を抑えて脳内で抵抗し、されど無暗に足下から放った電撃は焔の周囲で爆発した。 されど背中で聞こえたのは、瑞樹の声か。 此処で闇雲に戦っている姿なんて見せられるものだろうか。強制的に動かした拳で己を殴り、正気を取り戻した彼は再び一歩二歩と髑髏へと近づく。 「彷徨いし亡霊よ。ここで戦を終わらせてくれる」 再び奮い立たせた足にしっかりと重心を置き、そして振り上げた手の平に力を込めた。 同時に落された刃を左手で掴み、右手で武者の胸を掴んで込めた力を解放した。 だがそれでまだ敵は終わらない。左手を裂くとでもいうのか、刃を進めていく髑髏。腕を流れていく血の量にクラっと視界が歪む焔だが、しかしまだ、終われない。 自由なのは右手。再び精神力を込め、今度は髑髏の頭を鷲掴んだ。 「これで、終わりだ!!」 吼えた――その声が響き終わる時、髑髏の頭が粉々に砕けて崩れた。 足場の悪さからのペナルティは髑髏のみに存在する。上手く策にハマってくれた髑髏に瑞樹は勝てると確信しただろう。 だが、敵も敵とて命中特化。 ペナルティがあれど、当てて来るのは意地というのか。だが呪いが付与されるまで瑞樹を追い込むことには失敗していた。 呪いの言葉がまた一つ、また一つの瑞樹の身体を切り刻む。その度にその箇所が抉れ、千切れ、瑞樹の精密さが失われていく。痛みにブレる、気糸を放つ腕。 「優希達も頑張ってるのに、私がここで倒れる訳にはいかないよ!」 近くで戦っているであろう、彼の事を思えば痛みなんて存在しないと思い込むには有効か。されど体力はあと二割。当てられただけ、当て返す――其処で見出すひとつの弱点。 「一意専心。……貫け!!」 指の先に力を込めた。淡く光る、その腕から放たれた気糸は空を裂いて、夜の闇を照らして、髑髏の小さな鎧の隙間を突いて背骨の一つを押し外した。刹那、上と下に別れて崩れた髑髏。 ふう、と溜まった力を解いた瑞樹は歩んだ。 上半身だけで蠢く敵に両手を合わせ、そして―――短刀を突き立て髑髏の頭を砕いた。 髑髏の刃が竜一の肩を抉り呪いの印を残した。しかし即座に戦気の纏いがそれを弾き飛ばした。 効かない混乱と呪いに、表情があったのであれば苦い顔をしたであろう髑髏は其の侭意地で刃を竜一の肩から腰まで切り裂く。舞う鮮血の間を縫って、露草を突き出した竜一。その刃はサレコウベの口から入って後頭部を貫いた。 一心不乱の体力の削り合いと殺し合い。もはや脳内で考えている事は次、何をするかだ。幼い頃から剣を教え込まれた訳でも無く、ただ思うがままに力を奮って敵を倒してきた竜一だからこそシンプルに敵を潰せるデュランダルというジョブは天職であったに違いない。 息をするのも忘れ、剣と己だけを信じる。 (そうだろう、露草……!) 返事は無い。するまでも無いのだろう。 髑髏の刃から教えて貰うのは戦術。かわりに、教えてやるのは戦う意味を持つ者の差。其の時、声が響いた。 ――三時の方向。 「三時ってどっちだ!?」 ――右。 「うぃっす!!」 右側より振られてきた刃を弾いた露草。反動により、がら空きになった髑髏へもう一方の刃――Je te protegerai tjrsを叩き落せば、全ての骨がバラバラになって爆ぜたのであった。 混乱呪縛は隆明にとっては嫌な呪いであっただろう。まともにその攻撃を受けてしまっては、何も行動することができなくなるのだ。 動きたい、倒したい、今目の前の敵を。 その思いが溢れて止まらない隆明の歯と歯が擦れ、全身に力を込めてたった一つ己が身体に命令するのだ。 『動け』と。 粉砕の拳に、ついた能力はレッドベルセルク。 避ける事さえ忘れ、ただ目の前の敵が活動を終えるまでキラーマシーンと化すのだろう。意地だけで呪いを打ち破った隆明、そして。 「うるぉおああああ! さっさとおっ死ねやぁあああああ!」 咆哮は大地を揺らした。 攻撃を当てるごとに己の身体も傷ついた。 ただその痛みなんて感じない。振り回した己の拳に全力を込め、穿った髑髏の頭が闇夜に消えて行った。 呪縛の攻撃に悩まされたミリィだが、しかし呪いを退け、早さをミリィが制した時こそ彼女の本領発揮の場所であっただろう。 舞う指揮棒で指したのは髑髏の足下。其処が眩い光で弾け、髑髏の視界を奪った瞬間動きが鈍ったのだ。 此処だ、と認識できた瞬間に見開く瞳。レイザータクトの中でもスキルの中でも特に範囲の長い一発を放った瞬間、髑髏の顔が半分砕けた。 「終わらないのならば私が終わらせてあげましょう」 終わらすという概念が髑髏にあるのかは解らない。それでもだ、ミリィは彼等の世界を終わらすためにもう一度指揮棒を髑髏へと向けた。 「――お休みなさい」 ミリィの瞳が淡く光った瞬間射抜く、髑髏の頭。其れが砕けた瞬間、指揮棒は空を舞って止まり演奏の終演を知らせたのであった。 終わった戦場に冷たい風は流れていく。アクセスファンタズムからおもむろに出したのはアルパカで、それに跨った彼女は仲間の下へと駆けて行く。 ……走った方が速いのではないかという疑問はさておこう。シュール。 ●金の髑髏 全ての人間性を捨てれば、果たして強くなるのだろうか。試してみようと戦場に臨んだ者『Type:Fafnir』紅涙・いりす(BNE004136)。 されどやはり七つの色より遥かに強かった金色の髑髏武者だ。アークの中でも指折りの強さを持ったいりすだが、少々薄い防御を貫かれてか、体力は削れて息は上がる。 「こんな所で、負けられんのよね」 口元を拭った腕についた血。そして、身体を切り刻まれた時にできた傷から血。もはや全身が赤色に塗れているいりすだが、走った。跳躍し、足下とした木を蹴り、相手の後方を取りナイフを振るう。されど、それを刃で抑えられ弾き返された。しかしもう一度走っては同じく攻撃を放った。 折れず。曲がらず。貫くのみ。これで八回目のアルシャンパーニュ。 公園の一番奥であったことや、戦闘時間が誰よりもかかってしまっていたからだろう。集まって来たのは、仲間のリベリスタ達だ。 「はっはぁ! どうしたこんなモンかぁ!?」 「今、助けます!!」 隆明に、ミリィの声。 だがしかし、いりすは後方から走ってくる仲間に手を振って止めた。 「いいや、手出しは無用さ」 時間にして二分手前か。その時間すべてを無駄にしてきた訳では無い。此方の息も上がっているが、彼方もきっと同じはず。 それに自分で、一番強そうなの希望して「負けました」じゃあ、カッコ悪すぎるからな――。 足を止めたリベリスタ達。其れを見て、更にナイフを掴む腕に力が籠った。金、金色、素敵な色。確かに強い、確かに強敵、いりすでさえ追い込まれる程――これぞ上位の修羅を生きた戦士か。 「――だが、その世界に小生は居なかった。そうだろう?」 戦うのみに生きている髑髏に継続できた事の力はあっただろう。だがそれを止められるのは彼等より強い者だけに与えられた役割か。 竜血竜血竜血。三色の液体を飲み干して体勢を低く獣の様に構えた。 刹那、亘の眼でも捕えられなかったか、いりすがその場から消えた直後―――金色の髑髏の遥か後方にいりすは居た。 「これで、依頼は終わりかしらね」 いりすの掌――乗っかっていたのは金色の髑髏の頭。いりすはそれを軽く手の平の上でテンポよく投げて遊んで見せたのだが、少し遅れて、髑髏が膝から崩れて倒れたのを仲間たちは見ていた。 八体の髑髏の墓は、此処に在り。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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