● 「十月十日は晴れの特異日!」 『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)は、高らかに叫んだ。 足元には大量のバケツにストロー、大量の針金。 「だから、シャボン玉しよう! 公園で!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月23日(水)00:30 |
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■メイン参加者 18人■ | |||||
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● 「モンちゃん誕生日おめでとー☆ オトナじゃーん! ひゅーひゅー♪」 とらがはやし立てる。いや、まだ未成年だし。 「誕生日を祝して、シャボン玉に何人はいるか挑戦するよ! やりたい人この指とーまれ☆」 「イリュージョン! とらの呼びかけに答えて俺参上!」 竜一君だよ! 「シモン君はお誕生日おめでとう!シャボン玉で盛大に祝おうぜ!」 琥珀君だよ! 「ありがとう、皆さん! という訳で、シャボン液作ります!」 「で、えー、作り方か……」 最近はこんなもののレシピもあるんだぜ。 「洗濯のりに洗剤……へぇ、ガムシロやゼラチンまで。へぇ~」 「ラム酒もいれると色がきれいになるそうなんですがぁ……」 未成年はお酒を売ってもらえません。 大体すぐそこに、そんなとこに注ぐなら俺の口に注げとか言い出しそうな酒屋がいるから、そこらへんは自重してみました。未成年が飲んじゃったら大変だしね。 「そんなこんなで割れにくい巨大シャボン玉を作り出そう!」 おー。 それから数十分後。 「それじゃ、俺、シャボン液配ってきまぁす」 巨大なシャボン玉を可能にする為の強力シャボン液を作る為の道は近くない。 あれだこれだそれだと錬金術めいてきたリベリスタを放置――いや、後をまかせて。 灯油タンクの中に、特製シャボン液。折りたたみ式ビニールバケツとストローたくさん持った小館・シモン・四門が皆様のご機嫌を伺いに参ります。 ● 「ほわ~しゃぼんだまですねっ! すっごいひさびさなきがするですっ」 駄菓子や行かなくなると、シャボン玉から遠ざかるの法則を提唱する。 ぽわーぽわー。と、空に上っていくシャボン玉に、歓声を上げる少女。 「できるだけおっきいのをつくるですっ。ふぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~」 ぱちん 「しっぱい」 てへと舌を出すライオンビスハ、ぬいぐるみにしてください。 「あ、あと、しもんさんおたんじょーびおめでとうございますですっ。おねーちゃんたちのぶんもミミミルノがおいわいするですっ」 「ありがとー。えっと、お姉さんは――」 み、みみ、みみみと指折り数える四門。 「ふ、二人だよね!」 うん、合ってる。 「ひゃー。いい天気ですねえ」 ユウが空を見上げる。 「こんな日はそう、凧揚げ!」 「え……」 四門、悲しげな瞳。ドナドナ。手にしたシャボン液タンクとストローがむなしい。 「 ……は、風が無いからあがりませんね……」 お正月の風に期待しましょう。 「そう言う訳で、今日は楽しんでもらえると俺も嬉しいです」 みんなで、童心に帰ろうという試みだ。それでいいのか、19歳男子年齢イコール恋人いない暦。 彼女いない暦と価格と危ないんですよ。「彼氏はいたんだよね?」 と深読みする生き物がいますからね。 「丈夫なシャボン液を下さるんですか? ありがとうございますー」 「お礼にパッキーあげちゃう! チョコ掛かって無いヤツ!」 ペリッツ、塩味。20秒で一袋、四門の腹の中に消えていった。 快は、天丼野郎になってしまった。 「天気がよくて風のない日にやりたいものといえば! バドミントン!」 「新田さん新田さん新田さん」 四門は、名前を続けざまに三回呼ぶ。意味は、某K-1王者にしてPRIDE王者の『お前はなにを言っているんだ』 と、ほぼ同義だ。 「……いや、判ってる。ちゃんと話は聞いてたよ。こいつが使えるんじゃないかと思ってさ」 快はそう言うと、持参のラケットをズドンとプラバケに浸して、地面と垂直に構えて――ダッシュ! 「必殺! シャボンランチャー!」 細かいシャボン玉が弾幕のように広がり、それぞれ風に流されて空に上っていく。 「どうだい、シャボン玉がジェット噴射みたいだろ? さらにブンブン振り回せば振り回すほど、泡みたいにシャボン玉が湧くよ」 なんとなれば、タコの卵のように房状になったシャボン玉がふよふよと頼りなく漂っていく。 「四門君もやるかい? ラケット、もう一本あるからさ」 「シャトルコックの代わりが泡ですか」 あはは。と笑いながらラケットを振り回す四門に、快は胸をなでおろした。 (本気でバドミントンするつもりでラケット2本持ってきたの、上手く誤魔化せたかな……) 「シャボン玉、幼き日の思い出ッスねー。一人でストロー使ってぷーっと」 ちょっと寂しいボッチの誰かさん。 そこに一人でぶらぶらしてる女の子(見た目)が! 「あ、そこのお兄ちゃん、ちょっといいですかー? シャボン玉遊びってどこでやってるんでしょーそこですねー」 真咲は、あははと笑った。 「ここに来るのって初めてだったから。ありがとうございます」 ぺこんとお辞儀をする真咲に、 「おー、君一人ッスか? んじゃ、一緒に遊ぶッスよ!」 鳴未は気さくに声をかける。 「一人より二人が良いッスからね! でも二人だけってのも物足りないッスね。そこのお二人も一緒に遊ぶッスよー、ほら、仲良く!」 そこのお二人――ショーゼット姉妹はお散歩の途中だった。 「シュスカぁ。シャボン玉してるよ。みんなで」 「シャボン玉? アンタ幾つだと思ってるの。子供じゃないんだから!」 本日の主催者は、19歳です。 「まだ何も言ってないよ」 「目が遊びたいって言ってたわよ」 以心伝心。 「お姉ちゃんたちどうしたの、シャボン玉で遊ばないの?」 きらきらとした瞳がまぶしい。 「ボクは中山真咲、最近この街に来たばかりなんだ、よろしくね!」 「お兄さんは門倉鳴未ッスよー。よろしく!」 「アリステアです。おねぇちゃんです!」 「シュスタイナです。保護者です」 アリステアはぶーたれているが、実際そうなのだ。どうしようもない。 「でっかい針金枠で、でっかいシャボン! ほらほら、凄くないッスか、コレ!」 革醒者なんだから、これしきの針金はぐりんぐりんに曲げられるが、実際自分でやってみようとは思わない女の子のハートをガッチリキャッチだ。頼りがいのあるお兄さんとして。 三人の頭がすっぽり入りそうな大きさのシャボン玉がぶるぶる震えながら、空に上っていく。 「きゃー」 「きゃー!」 「大きいのも小さいのも色々作れて楽しいねっ」 「私は眺めるだけにしようかと思ったんだけれど、参加しない方が逆に申し訳ないわよね」 シュスタイナの弁明。もしくは、自己正当化。 やると決めれば、几帳面に、大きなシャボン玉を作るのに専念する。 真咲のほっぺは、興奮で真っ赤だ。 (真咲さんを見てると微笑ましいわ。鳴未さん…も、童心にかえって……る?) 「まあ、良いじゃないスか」 何しろ休日で、誕生日のお祝いなのだ。 虹色の玉が風に乗ってふわふわ飛んでいく午後。 「こういうのも悪くないかしらね」 もちろん、そうに決まっている。 「たのしっ、楽しい……」 走り回り、笑い転げ、幾分咳き込みもしながら少女たち三人は、木陰に転がり込む。 「真咲ちゃん、眠い?」 アリステア、おひざポンポン。私のひざで眠るといーよ。 「ん……。ありがと……」 にこっと笑って、こてんと伏せ、スーッと寝息を立て始める真咲に、アリステアは相好を崩した。 「可愛いね。初めましてなのに、和気藹藹とできて嬉しいなっ。妹がいたらこんな感じかな?」 アリステアがそう言うのに、シュスタイナは若干の違和感を感じ、まじまじと姉を見た。 「しゅすかはほごしゃだし。じぶんでそういってたもん」 アリステアの目が半分閉じかけジト目だ。眠いのだ。 確かに言ったが。妹と紹介されるのには抵抗はあるが。だが、その言い様はいかがなものか。 はくはくと口を雨互角シュスタイナに。 「じゃあ、ほごしゃさんはこっちでねてくださいー」 反対側の方をポンポンと指し示すアリステア。 そこによっかかって寝ろと。 「……ん。わたしもちょっと、眠いかな……」 背後の木に頭を預けて、アリステアが寝息を立て始める。 「隣で眠ってるお子様2人をみてると、眠くなってきたわね」 シュスタイナは誰に言うわけでもなく呟く。 「私の意識も緩んで行きそう……」 こてんと提供された肩にこめかみを預ける。その重みを喜ぶように姉の方がふんわりと受け止める。 寝息が三つ重なるのを、鳴未はほほえましく見守った。 ● 女の子が三人でいちゃいちゃしているとかしましい。 (小学生、いや幼稚園だったか) 明奈の胸をかつての栄光が去来する。 「『白百合のシャボンプリンセス』 と呼ばれたワタシのシャボンテクニックを見せてやる!」 明奈っさん、やっぱり基本的に育ちがいいよね。流れるようにシャボン液に合成洗濯のりをぶち込ンでるけど。 「最近は砂糖入れるのが流行なの? おのれカミナリ先生」 砂糖を入れると、色艶がよくなります。最近の流行というわけではないよ。 「ほんの少しだけ香水を入れてみたら、いい匂いになるでしょうか?」 (晴れた公園にシャボン液……勝負でしょう) そんな夢乃は、昭和のバラエティ臭漂う青いレオタードである。 安全靴より白いタイツをはくべきだ。押すなよ。絶対押すなよ。 「まあともかくアレだ! 大きな泡を作るのも楽しいけど、やっぱ戦いは数だよ!」 珍しく力説する明奈に、四門は首を傾げる。 「何か、辛いことでも?」 「山みたいに押し寄せる羊と蟻の合いの子に、ひざの皿砕かれた」 戦いは数。明奈は、もう一度繰り返した。 「粗い網を使って小さな泡を沢山作るのだ! ぶんぶん」 「大きく作るのも良いですが、ここはひとつ、細かいながらも大量に、美しく舞うしゃぼん玉を作ってみようではありませんか!」 「あ!さっき、新田さんにラケットもらったよ!」 あ、後で返すよ、心配しないで。 「見よ、このファンシーな世界! まるで少女漫画みたいだよヒャッホウ! 点描的な……エフェクト?」 背後にシャボンを背負っていいのは、女の子だけだよ。 乾電池扇風機のようなしゃぼん玉機を用意して来た夢乃。 「……よし。ある・しゃんぱーぬ!!」 ソミラの代名詞的技名を叫びつつ、振り回す。 蓋がちゃんと閉まってないのは、仕様です。 どうなるか。頭からかぶるのが世界の必然である。 その脇で。美月は一人でこそこそと。 「……おお、本当に丈夫だ……これなら……」 きのこの椅子的大きさのシャボン玉を作って、にんまりする。 おそるおそる触る。割れる。シュンとする。ここまで、不分化の1セット。 も一つ作る。地面すれすれのシャボン玉をよいしょと踏んでみる。もちろん割れる。シュンとする。もちろん、ここまで1セット。 「あの? 美月さん?」 女子には高圧的に出ない四門、恐る恐る。 「……あっいや、何でもない! 何でもないよ!? ファンタジーやメルヘンや黙示録型伝奇アクションじゃあるまいし!」 「部長! それゲームだから! 泡には入って飛べないし踏めないからね!」 「し、してないよ!? してないってば!!」 ならば、そのびっちゃり濡れたふくらはぎはなんだ。 ● 火車は、日向ぼっこをしていた。 「はーぁ良い天気だぁ~あ、暑くも寒くも無くお天道さんがポカポカとー」 いい若い男が。 「シャボン玉で喜ぶって歳でもねぇしなぁ……」 (ドライアイス使ったシャボン玉実験でもして、ガキ共がはしゃぐ所でも見て楽しむとするかぁ?) どれ、ドライアイスはどこで手に入るかなと立ち上がりかけた――。 「わー、すっげえ、凍ってるー!!」 ――火車のいとこのアンちゃん的思いつきをぶち壊す四門の歓声。 「こいつをフーっと吹いたしゃぼん玉に吹きかけるとー、屋根より高く飛ぶ前に凍って地面に向かうー」 ゴキブリを透視させる冷却スプレーを握った岬が、四門に解説中。 「そのまま落ちると割れちゃうけどキャッチすれば体温で溶けるまで残るよー。凍っても虹っぽいプリズムは残るんだー液体だからじゃねーんだねー」 きゃっきゃ。 「こーゆー日は焚火でも起こして 芋でも焼きたいトコなんだが……」 公園って、普通焚き火禁止じゃないのか。――いいのか、今更。 「別に良かんべ。邪魔になるような場所ではしないどこう」 火車は、芋を買いに旅立った。 「晴れてッから、お日様が反射してキレーだなッ!」 「シャボン玉かぁ、小さい頃は妹と良く遊んだっけ」 コヨーテと真昼は 「でも、キレーなだけじゃ物足りねェ!なんかねェか、なんかッ」 「シャボン玉をぶつけ合ってシャボン玉合戦をしようじゃないか」 長い前髪の下から、真昼が不敵に笑う。 「えッ、シャボン玉ぶつけ合いバトル……? すっげェ楽しそうッ! 乗ったぜッ!」 喜ぶコヨーテに、真昼は微笑む。 (うん、正直に言うとこれならコヨーテにも勝てると思ったんだ。ほら、スポーツとかだと中々勝てないし) ストロー構え、開戦! 「喰らえ、必殺の一撃ッ!」 コヨーテ、律儀に叫んだ後、フーッと吹くも息が強すぎ、液が飛ぶだけ! (……アレ? おかしィなァ、このストロー壊れてンじゃねェの?) 説明しよう! バブル・バトルには、ブレス・コントロールが必要なのだ。 真昼は、きょとーんとしたコヨーテの顔に向けて、フーッと噴く。 (顔の近くで破裂すると意外とびっくりするよね。オレは目隠ししてるから平気だけど) 「ぐおォ! め、メインカメラやられたッ!」 コヨーテの目玉は機械なので、中二病が重症化した小二病ではない。 強く吹くしか知らない男が勝てるわけがない。 たっぷり勝利の余韻に浸った真昼は、ストローの先端に切れ目を入れて開いて、息は細く、ゆっくり過ぎず早過ぎず。という、極意を伝授したのだ。 「さすが真昼……頭脳派だな、してやられたぜッ! だが、武器が何だろォがバトルはバトル! 死んでも負けねェぜッ!」 諦めない男、かっこいい。 「だから、オレが勝てるまでもーいっかい! もーいっかい!」 諦め悪い男、かっこ悪い。 「シモン、誕生日なンか……よし、おめでとう込めて、ぶつけとくかッ!」 「なぜっ!?」 ラウンドガールよろしく補給に来た四門は、泡まみれにされた。 ● 一回りした四門が戻ってきたら。 シャボン液で、若干ぬめぬめした人たちがいた。 がばっと四門にとらがへばりついた。 「モンちゃんは拒否権はありません、あしからず。きゃっきゃうふふで、皆くっつけー」 (きゃっきゃうふふでくっつけって言われてるのでくっつきますよ!) 竜一君は、汚い大人になっちゃったなぁ。 (存分に! べったりと! 言われたんだもの! 仕方ない! げへへっ!) もう大人なんだから、主体性を持つといいんじゃないかなぁ。 「へーいシャボン玉の中に入るぜー俺も参加ぁ!」 琥珀は、他派は~。と笑っている四門をみて、涙ぐんだ。 (シモン君は殺伐とか性分に合わなさそうなのにいつも一生懸命頑張ってるからなぁ。今日は仕事を忘れて思いっきり楽しめるよう盛り上げるぜ) 「みんなかわいいなあ、もふもふもぐもぐきゅいきゅいっ」 竜一は、そんな台詞を口走ったが。 彼が望む少女なんかいない。だって、四門、女の子と一対一でお話できない系男子だもん。 とらは、今、中の人、男だもん。 周囲にゃ、男しかいねえんだよ、わかれよ! (シモンにアイコンタクトを送って協力も求めよう。ふふふ、人との繋がりが俺の武器さ) そんなことを考えていた時期も、竜一にはありました。 「依頼だってなんだって立ち位置ってのが一番大事なんだよ!」 四門のアークの恋愛立ち位置を読み違えたのが、竜一の敗因だ! 「限界まで挑戦だ、童心に帰った気分でワクワクするなぁ」 「ねー!」 はしゃいでいる三人がまぶしすぎて見られない。 「あ、小館さん。お誕生日なのですね、おめでとうございます」 「――おそれいります、夢乃さん」 きゃーとか、シャボン玉の中に入って遊んでるときに、恭しくお頭を下げてもらうと、四門も深々と頭を下げてしまう8分の5日本人。 「ゆめのんは……うん、防御力高いし平気だな!」 明奈は目をそらした。戦わなくちゃ、現実と! 「これなら、入れるかな」 美月はファンタジーを忘れていない。 「全体がさっと凍るような大きさじゃないと一部が凍った時点で、凍ってない部分が割れちゃうから凍結出来ないんだよなー。残念ー!」 岬が、しきりにうなづいている。 「女子! シャボン玉入ろう、女子!」 飛んで火にいる夏の虫に、竜一は必死に声をかける。 「「「「え? やだ」」」」 にべもなかった。 ● 「夏の間に駿河湾絶叫ダイブは叶わなかったけど、代わりに丈夫なシャボン玉がどこまで飛んでいくか確認しに行こう!」 とらは、四門を抱えて空に躍り上がった。 「え、嘘。何。それ。やめて!? 神秘は秘匿するもの!?」 「TVで城の天守閣まで飛んでるのは見たから、そのくらいかな? 他にも希望者居たら運ぶよ~☆滅多にない機会だと思うし」 四門の悲鳴をネタと確信しているリベリスタは、のんきに拍手をしている。 琥珀は、これを追っていけー。と、目じりに涙を浮かべつつ、シャボン玉を膨らませている始末だ。 「き~やぁああぁあぁぁ」 芋を焼き始めた火車は、間抜けな悲鳴に空を見上げた。 「お……おーおー?」 「火車さん、助けてぇ! 拉致られるぅ!」 「シャボンが空高く上ってくなぁ。焚火で発生する上昇気流かなんかかねぇ?」 「聞こえてるでしょお!? 火車さ~ん!」 「やっぱシャボンは 天まで飛ばんとなぁ」 「せーの、ふーっ。あは、いっぱい出ましたねえ」 (あ、自分で空に上がって吹いてみましょうかね。どうなるかしら。怪奇現象になっちゃうかしら) 「ユウさ~ん!」 空の上からじたばたしている四門に、ユウは鷹揚に手を振った。 「気持ちよさそぉ」 大いなる誤解だった。 青は、シャボン玉をぼんやり眺めている。 『そう言えば、フォーチュナの子がしゃぼん玉やるって言ってたから、公園にいってみたらどうかしら』 (職員さんが教えてくれたイベントだけど、思いの外ここは呑気な人が多いのだろう) 彼らは、この顔のまま死線を越えて行く。 (シャボン玉…最後にやったのはいつだったかな) 青の目が現実の向こう側のシャボン玉に焦点を合わせようとする。 両親に囲まれて笑ってシャボン玉を見送ったおぼろげな記憶……。 おぼろげでしかない現実が、青を三高平に引き寄せた。 「……シャボン玉綺麗だね」 シャボン玉はどこまでも空に上っていく。 入れ違うように、涙目で空から下ろされるフォーチュナと、それを迎えるリベリスタ。 これからは、あの騒々しくも暢気な人達の中に混じって生きていくのだ。 (ああ、あの人誕生日なんだ) 「おめでとう」 その声に、こっちにおいでと手招きされる。 青は、立ち上がった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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