● 「だれか、だれかある!」 「はい、お嬢様」 「これは何かしら?」 「盤上を人が動いておりますな」 「集団戦! 恋のステップね!」 「助け合いの精神でございます」 「先日Wデートをして、更にあの次元の人たちと理解を深め合ったと思う」 「手順を踏んでおられます」 「だから今回は、このラブゲームをしてみたい」 「それは、舞踏会状態ということでございますか」 「互いをサポートしつつ、自分のお目当てを落とす!」 「友情パワーも必要ですな」 「水際での攻防!」 「飛び入りもありですな」 「最前線はカオスなものよ」 「しかし、お嬢様。こちらの数も向こう様に合わせねばなりませんが……」 「わたし。おまえ。サーヴァント」 「私もで、ございますか」 「それも、執事の役目と、お父様からうかがっている」 「きちんと先代様のお言葉を覚えてらっしゃる。さすがです、お嬢様」 「讃えなさい」 「聡明であらせられる」 「より情熱的に」 「お嬢、力ある!」 「なんだか物理に訴えたくなってきたわ」 「申し訳ございません」 「――そういう訳だから、面子の選定をしなさい」 「ですが、お嬢様。ことこの場合の面子には、力量もさることながら属性も大事でございます」 「属性」 「ツーといえばカーな人選が必要でございます。偏りがあっても向こう様に失礼。先様のご希望をうかがった上でということで……」 「クールでホットでひねくれてて素直」 「複雑怪奇でございます」 「お待たせしても悪いわね」 「何、当お屋敷のサーヴァントは可変式でございます。いかような属性にも対応、可でございます」 「着脱可能」 「機能変更、随意でございます」 「フラクタルね」 ● 「――アザーバイドの接待。ここは一つラブゲームに勤しんでもらおうと思う」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、職務に忠実だった。 「……とはいえ、先様にそういう感情はない。そういう感情を催した場合の行動をしてみたいということ。いうなれば、ごっこ遊び」 左様でございますか。 「ちなみに、お嬢様……名前、人間には発音できない。まあ、ミドルティーン。お屋敷から出たこともないような深窓の令嬢と思ってくれれば……つまり、知識はあるけど、まったく経験を伴っていない。その知識も、とんちんかん」 昨年の早春、リベリスタ達が一対八の変則異種格闘組み手、初夏には陣取り合戦にかり出され、半数が重傷を負い、今年の春先はタッグマッチの団体戦をやらされたのは記憶に新しい。 「恋愛とそれにまつわる行為を、殴りあうことと思っているのは、相変わらず」 ちょっと待てぃ。接待ってデートとかじゃないのか。 「燃える想いを拳にこめて、相手のハートに内角をえぐるようにして打つべし打つべし打つべし」 サンドバックに浮かんで消えるのは愛しいあの方なの。ぽ。 「お嬢様は、非情に頭脳明晰。更にケンポーをたしなまれている。また、こちらの技を研究なさっているので、びっくりドッキリラブアタックして来る」 色々な趣向をお試しになりたいのですね、わかります。 「こちらは武器を使っても構わないし、回復飛ばしてもいい」 異文化コミュニケーション。 「とにかく、お嬢様は、限界まで戦えば満足なさるから。逆に言えば、お嬢様を満足させない限り、延々と続く。魔力をきらさないように」 モニターに、どこまでも続く長い廊下。 壁には桟敷席。 「ただ、今回はこちらの流儀に合わせるとおっしゃってきて……」 イヴは無表情だが、顔にはどうしてこうなった。と、書いてある。 「なんだか、ゲーム漫画とかTVCMとかアニメとか人間将棋とか大河ドラマとか色々ザッピングなさったらしい。で、それっぽいルールを執事さんがひねり出してきた」 なんかいやな組み合わせだな、それ。 「みんなには、いうなればTCGカードとか将棋やチェスのコマになってもらう」 リベリスタカード、ジョブ効果起動! デュランダル、必殺! 「まあ、みんなのすることはいつもと変わりない。普通に戦闘。ただ、みんなの体力はこのコマに吸い取られ、一蓮托生にされる」 やめて、リベリスタのHPはもうゼロよ。 「親衛隊の残党は出るし、世界中から連絡が来ているし、悪いけど、みんなには、のんびり怪我を癒やして。なんていってあげられる余裕はない。何とか交渉して、本体には傷はつかないようにしたんだから」 イヴは無表情だ。 「お嬢様の『おこ』 だけで、あなた方は1ターンも持たずに壊滅する。それだけの力の差があることを理解して」 お接待! お接待よ! 赤と黒の領域、24に仕切られた遊戯盤。 それに、赤いコマと黒いコマが15個ずつ。 「バックギャモンあるいは盤すごろく。みんながしってる絵すごろくとルールは一緒。サイコロを振って、出た目の数だけコマが動く。違うのは、コマが複数で、相手のコマが二つ以上あるマスには止まれないこと。マスごとにイベントがないこと。遊戯盤にあるコマを全て上がらせれば勝ち――普通は」 でも、パッショネイトなお嬢様の恋がそんな和やかに終わる訳がない。 「競技場は24のマスに分かれている。陣地は赤と黒に分かれ、1~6までがインナー、7~12までアウター。四つのエリアに分かれる」 モニターに映し出された模式図。 「一番遠いコマが相手側インナーの1から始まって自分側1を目指す」 一番遠いコマ? みんなスタートから始まるんじゃないの? 「コマは、相手側2に2つ、相手側12に5,自分側7に3、自分側6に5。各エリアに分散されている。競技者は、各エリアに二人づつ配置が配置される。だから、一人が三つのポイントを担当することになる」 なんか難しいよ。 「六面体サイコロが二つ振られて、出た目の数コマが動かされる。みんながおなじみ絵双六と違うのは、どのコマを動かしてもいいこと。数の多い目から処理すること」 なんか難しいよ!? 「大丈夫。みんなはカードだから、その辺は何も考えなくていい。サイコロとコマの移動はオートだから」 じゃ、何でわざわざ説明するのさ。 「分からないと、いつ自分に災難が降りかかるか分からないでしょ」 ごもっともです。 「動かされるコマは、相手のコマがいないか一個だけのところに止まれる。一個のコマは盤上から排除される」 ここからは、耳の穴をかっぽじってよく聞け。と、イヴの無表情が言っている。 「排除されたコマは、防御担当している競技者に呪いとして付与される」 はい? 「後一発で戦線離脱ってことになる」 え? 個人の資質は? 紙装甲マグメも重装甲クロイーも一緒なの!? 「その辺は、アドバンストの開発を待ってほしい」 好評なら考えます。by開発担当。 「コマが二つ集まったら、戦闘不能。退場。そして、コマ二つは向こうのものになる。退場者の穴はサポートメンバーが埋める」 15個のうち、2つ持っていかれるって結構痛くない? 「一個はフェイト復活でスタート地点に戻せる。退場もしなくていい。ただし、マジでがけっぷち。みんなが頭を使うのはこの後」 はい。 「各ジョブに特殊効果があるから、それを使って、相手のコマを飛ばしたり、回復できたりする。ただし、発動に制限があるから、詳しくは資料参照」 なんか、色々大変そうだなぁ。 「面倒なことは、みんな向こうが判定してくれる。全力で遊ぶのが美徳の気風だから、遊戯中にずるをするという概念は存在しない」 おままごとの道具になってこいってことですね。 「そう言うこと。出来るだけ、かっこよく。お嬢様がほれるかっこよさを期待している。フレーバーテキスト、大事」 お接待とは手加減して戦うことではなく、お嬢様の勘違いを追及せず、淑女に恥をかかせないよう気をつけるということだ。 「戦闘は、直接殴りあうものではないけれど、ダラダラやってると桟敷席からブーイングが来るから。場をしらけさせると、お嬢様、お怒りになるからね。勝利条件には、相手のデッキを全て破壊する。も含まれている」 それはつまり……。 「全員を戦闘不能にする。も、含まれている」 うわぉ、バイオレンス。 「それに、微妙なカードから潰したくなるもの」 目指せ、レインボーホロ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月20日(日)23:19 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 7人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● 「まずは、5ターン。私のハーレムエンドでないことを祈っているわ」 すなわち、全員恋の渦に落とす。物理攻撃=恋愛と誤解されているこの次元回廊で、すなわちそれは全滅エンドを意味する。 「モテまくりでございます、お嬢様」 「最後は船がほめられる」 「風光明媚でございます」 ナイスボート。中には誰もいませんよ。そんなマリー・セレストの幻。 「先攻はオレが貰う!」 『SHOGO』靖邦・Z・翔護(BNE003820)のキャッシュからのパニッシュからの宣言。 開口一番。挨拶もそこそこにというか、それが挨拶なのかもしれない。 「積極的な殿方は嫌いではない」 お嬢様、でも照れちゃうのポーズ。 使用人の一割が、かわいくて倒れた。 (多分超大事) SHOGOの勝負勘が言っている。ここ大事。 「では、先手はそちらに。コマの運用は公平に動くようになっております。どうぞ大船に乗ったおつもりで」 鷹揚に応じる執事。 消失点が発生する『回廊』。 使用人が密集する天井桟敷。 競技盤ならぬ競技場にコマが並び、リベリスタに合わせた侍従、侍女、小姓が競技ラインに控える。 「さいころの目は気まぐれ。そのきまぐれまでも愛したい」 本日のお嬢様は、メタリックスカーレットのボディスーツ。同系色のウェッジヒール。 本日は、垂れ下がるリボンが美しい大きなお帽子。 無貌の仮面は、期待で蛍火のように輝いている。 「私達の運、あなた達の運」 リベリスタとお嬢様+使用人連合から吸い上げられる何かが盤上で渦を巻く。 「え、なんだ、これ!?」 参加しているリベリスタがすっとんきょうな声を出す。 「心配すんな。たいしたことじゃねえ」 『ラック・アンラック』禍原 福松(BNE003517)は、慌てず騒がず。 「少しばかりなんか吸われたとしても、取り返せばいいだけだ」 逆巻く渦は、各々15個のコマとなって所定の場所に配置される。 「あれは、あるときは味方、あるときは敵。全てを正しい道順であがらせるか、相手のものをそれ以上に奪うか、あるいはお互いを篭絡せしめしめるか――」 お嬢様は仮面の下で微笑まれたような気がした。 ちなみに、この場合の篭絡は殴り倒すと底辺世界においては同義である。 「そんなときめきラブゲームを速やかに開始したい!」 お嬢様、待ちきれないのポーズ。 あまりの鮮烈さに全桟敷席が泣いた。 「どうやら今回のお嬢様は、ボードゲームをご所望のようだな」 福松は口の中で某付きキャンディを転がしながら、苦笑する。 わがままな女に付き合うのは、男の甲斐性である。福松は11歳だが、甲斐性のある男はゆりかごの中から甲斐性があるものだ。 「要するに、恋愛的なあれこれを殴り合いじゃなくてカード+ボードゲームで表現すると。恋の陣取り合戦ね」 エグザクトリィ。 『レーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)が微笑む。 「全力で勝ちは狙いに行くけど」 すでに色々攻略法は考えてきているのだ。 「お嬢様はじめましてっす!」 割烹着にお団子頭で三白眼。 『сука』鈍石 夕奈(BNE004746)の手は自動的にもみ手を始めている。にぎにぎ。 「いやー、世界は違えどやんごとなき立場の方はやっぱ違うでやんすねえ。ただ立ってるだけでもこう、まとってるオーラが違うっすよぉ~! しかもお美しい! そしてこのゲームを発案する頭脳と発想! 天は選ばれし者にこそ、二物所じゃない数の物を与えるって事っすね」 留まることを知らないおべんちゃら。 無礼討ちは勘弁である。夕奈の心に保身が走る。 「恋は難解とは言え、初めてやるゲームはいつだってルール把握が大変だ」 『一人焼肉マスター』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)は、ルールサマリーを握り締めている。 「だが、それもこれもお嬢様の為。ミドルティーンのお嬢様の為!」 恋人もハイティーンに足を踏み入れている今、愛を囁いてくれるミドルティーンという響きは大事である。 「さあ、始めよう!恋のラブボードゲーム!」 ● という訳で、各々配置につく。 リベリスタ側がデュランダル、スターサジタリー、ホーリーメイガス、プロアデプト、レイザータクト、クリミナルスタア、マグメイガス、ソードミラージュをパーティとして、覇界闘士、プロアデプト、ホーリーメイガス、そしてアンノウンがサポートとして入っていた。 ローブ姿。頭からすっぽりフードをかぶり、顔には笑い面をつけていて、誰だかさっぱりわからない。 「仮面舞踏会はいかがですか? 正体の判らぬ相手とミステリアスな逢瀬。ミステイクなダンス。ミッシング・ユー、お嬢様」 大物っぽい演出。 誰か、BGMにそれっぽい荘厳なものを。 お嬢様は、ふむ。と小さく頷いた。 「恋では秘密も素敵なスパイス!」 そういうのやぶさかではない。の、ポーズに、桟敷席から紙テープが投げ込まれる。 「こちらもサポートの一人は内緒にしておくわ」 1ターン目裏、さしたる動きはなかった盤上に波乱。 地味地味と上がりに向けて、半数以上のコマを進入させてポイントを進行中のリベリスタ側に対し、お嬢様側は単数で移動しているコマが多い、いうなれば、「乙女心は揺れやすいの」 状態だったのが。 手番は、お嬢様側。 「ダイス目は2と1。それでは、2でそのコマ戴くわ。寄せては返すアプローチはタイダルウェイブ!」 ポイント22からコマを二つ前進させ、攻略されたポイントは20。 「きゅあっ!?」 「ガーディアンは、こちらの方!」 いきなりスポットライトを浴びる『From dreamland』臼間井 美月(BNE001362)は、きょろきょろと辺りを見回す。 盤上から浮かび上がり、ぎゅうんぎゅうんと音を立てて飛んでくる赤いコマはラブアタックというか、真面目に体が半分くらいぶっ飛んでいきそうだ。どこまでも恋愛力は物理。 「ぴゅぎゅるっ!?」 顔面に食らったよ、ハートアタック。動悸が止まらない。 赤いもやもやが美月の背後に絡み付いている。後がない感いや増しである。 こんなの後一発食らったら、ほんとに危ない。いや、これ視覚エフェクトじゃないの、マジで重い? 「演出だけでは迫力不足かと、それなりの重圧が掛かるように設定してございます。疲労、倦怠、虚脱感などの諸症状がでますので、気持ちが悪くなる前に係員にお申し付け下さい」 足元に控えているお世話係侍女の手にちらりと見えるエチケット袋。 いつでも美月の友達。 取り決めでは、美月のジョブ効果使用が最優先だ。コストプールはまだ残っている。 「癒やし発動!」 叫んだ途端に、荘厳な音楽と荘厳なナレーションが場内を満たす。 『異界より召んだ高次の癒しの力が、どれほど傷ついた戦士であろうと蘇らせ、戦場に戻す。その権能は正に伝説に語られる天の御使い、或いは聖なる神そのもの』 (……良いなあ感動だなあ、自分にフレーバーテキストが付くなんて……!) ゲーマー魂がうずく。たっぷり盛ったフレーバーテキストは、雰囲気重視だ。 (うん、オートマティックだから、僕はドジを踏みようがない。素晴らしいよ、このシステム!) 「Healing……!」 バリトンネイティヴ発音吐息混じり付きのコールと共に、美月の周囲を取り巻いていた赤いもやが再びコマとなって、振り出しに戻された。 「つれないあなたに更なる攻略。この想いは止められないの」 ポイント9から一つ前進。更に襲ってくるお嬢様のラブアタックは、ポイント8で炸裂する。 「ガーディアンは、こちらの方!」 スポットライトは、夕奈に。 「あたしっすか!?」 表舞台より裏方にいたい夕奈が、突然の脚光に周囲を見回す。 「ささ、遠慮なさることはございません、どうぞお名乗りくださいませ。合同コンパの自己紹介のようなものでございます」 それは、つまり、ツカミが超大事ってことではないのか、JK!? 「え、ええ~……」 夕奈、人をよいしょするのは朝飯前だが、自己PRはあんまり得意じゃありませんよ!? しかし、桟敷席からはいまや遅しと期待に満ち溢れた視線が降り注いでくる。 負けられない戦いがここにある。 「――誰だお前と言わば言え! 鍛えた観察眼の前には防壁や結界の隙間など筒抜け、治療の妨害だってお手の物」 だむっと地面を踏みしめる。 「レイザータクトはあたい。夕奈がつとめるっすよ!」 「ラブアタックッ!」 ずむっと背後にのしかかる愛の重さにひざを突いてしまいそう。 やんややんや。 (あれ?) ここで、美月、自分のうっかりに気づく。 (ひょっとして、さっきのって自分のことを言うんだったかな? 思いっきり、エフェクトよいしょなテキスト提出して読んでもらったんだけど、あれって僕のこと……ってことになってるってことは、ぼくじぶんもちあげげげげげええええええ) やっちまったぜー。 (いや、大丈夫。みんな、あれが癒やしのフレーバーだって分かってるよ。あれ? それじゃ、ひょっとして、僕の自己紹介飛ばされちゃった……?) ドンマイ! (そっか、ああいう風にしたらよかったのかぁ) 美月、覆水盆に帰らず。 大丈夫だ、美月。君の出番はまだこれからあるさ多分きっとおそらく。 「スキルフェイズよ。ポイント7のコマを一個排除するわ」 女の子ばっかり愛をぶつけられている百合ん百合んな盤上。 ゲームは更にろりんろりんな方向に。 「わ、私、侍女見習い、ふー45342番でございます。狙撃発動させていただきますっ 」 なんかロリっぽいメイドさんがストック付きモーゼルなんてもんで狙いを付けている。 「ガーディアンは、こちらの方!」 スポットライトは、竜一に当たる。 「い、一発いかせて戴きますっ!!」 どもり系ロリ、キタコレ。 ここは襟を開くしかない。 「あれはっ!?」 「全てを受け入れるポーズでございますな、お嬢様」 「お嬢様、すまない。俺は、お嬢様と愛を語るために、今日この地に再来したというのに……」 竜一、苦悩するイケメンのポーズ。 桟敷席の侍女から花が投げ込まれる。 「こっちのかわいこちゃんの狙撃を避けようとする気がこれっぽっちも起こらないっ!」 ラブドキュン。 「この重みがすでに快感~!!」 訓練された変態です。ありがとうございます。人生色々充実していますが、それとこれとは話は別です。ありがとうございます。 「恋はじらすもの。ここまでにしておくわ。終了よ」 お嬢様は、コストプールを7温存したまま手番を終了した。 ● リベリスタ側手番。 ダイスロール。5・4。使えるコストプールは3だ。 ポイント13から、ポイント8のコマを相手方プロアデプトに乗せた後、一気にポイント4まで移動。 「癒やし発動!」 「はぁい。ナースメイド、いー56号。ばびっと癒やしちゃいまぁす」 ポジション・センター的アキバ系メイドさんが、きゃるんと片足を上げる。 「おっと、そうは問屋がおろしません!」 スポットライトも忙しい。 お嬢様側のホーリーメイガスから、夕奈にぐるんと焦点が移る。 「治療の妨害だってお手の物。対人職のハイエンドたる家政婦業を舐めてはいけない!」 その治療行為、却下である! お嬢様側のスターサジタリー、さっきのどもり系ロリ侍女見習いが赤いもやもやを背負うことになる。 リベリスタが築いたお嬢様側インナー前の砦を越えるのは容易ではない。 これでお嬢様のコマは、侵入できないので、せっかく築いた砦を崩して前進するしかないのだ。 「恋の障壁は厚いわね」 お嬢様は無謀の仮面の下で笑う。 「あなた方のスキルフェイズよ」 「コンボはなしだな」 今、1使っちゃったので、残りは2である。 パーティスキルを二つ使うか、サポートスキル一つでぶっ飛ぶ。 それを、相手の攻撃が終わるまで持たせなくてはならないのだ。 緊縮、緊縮。 「うむ。癒しに回す分がなくなる」 「終了だ」 引き続き、お嬢様の出目は、3・2。ポイント21に手堅く領地を形成する。コストプールは、7。 「あなたの心のガードを崩し、一心不乱、怒涛のアタック……」 お嬢様、コンボの構え。 「アンノウンよ。そのベールを脱ぎなさい!」 場に現れたのは、無表情系性別不詳浅黒系が立っている。 「私、小姓・ねー189番です。ポイント参加ですが、最善を尽くさせていただきますので」 慇懃に頭を垂れたその小姓は三白眼だ。口元が仮面で覆われている。 「前回来た方、感じのいい方でしたな!」 常に使用人の属性バリエーションもアップデートを心がけております。 「急襲発動します。ポイント7のコマのうち一つをポイント8に後退」 二つ重なっていた不可侵ポイントが、逆に攻略可能ポイントに変わる。 「インヤン、いない!」 「くっ! 打消しできないっ!」 「更にソードミラージュ!」 スポットライトが、いかにも細身の侍女に当たる。 「貞淑な人妻系でございます」 執事の解説が入る。執事的に、どうしても今回の召使ラインナップの中に入れたかったらしい。 「侍女のこー2356号でございます。それでは、失礼して」 レイピアを持ち目元のみを覆う仮面をつけた侍女が、クラシカルなスカートの裾をつまみ上げて一歩踏み出す。 「連撃発動!」 ポイント7、ポイント8のコマが吹っ飛ぶ。 竜一と夕奈に、再び魔の手が迫る。 二人ともすでにコマを一個背負っている。 これを食らったら、退場だ。 「割り込め! 癒やしだ!」 ゲーマーSHOGOから、美月に指示が飛ぶ。 「え。ど、どっち!? どっち治せばいいの!?」 美月はゲー研の部長だが、こういうときの選択の速さに定評がない。 ADVで、アイテムの選択迷ってる間にクリーチャーにやられるタイプだ。もちろん、セーブしたのは三時間前、そうでなければきっとデータが飛んでいる。 「落ち着け臼間井! SHOGO、解説を頼む。今何が起こった?」 高校三年生の美月をなだめにかかる小学六年生の福松、マジ男前。 説明しよう! 「このコンボは――」 「知っているのか、SHOGOー!」 知っている訳がない。というか、今、初めて行われるゲームだ。コンボ名などない。 「竜巻旋風(トルネードバースト)――」 なぜ、ため息交じりでコンボ名を言うのだ、SHOGO。 「堅牢な陣地を突き崩し、築いたときには砦は影も形もなくなっている。そんな恐ろしいコンボだ」 「なんてこった!」 福松も調子を合わせる。 あくまでお接待を忘れない二人の繊細さ、イエスだね! 「ねぇ、どっちを治したらいいんだいっ!?」 美月、涙声。 今日は、仕方ない。といいつつ助けてくれる白石黒石も、白黒小僧もいないのだ。 敵のユニットに止めをさすデュランダルの竜一、相手の防御を突き崩すレイザータクトの夕奈、どっちも大事。 「ふはは。決まっている。癒やされるのは夕奈たんだ」 竜一のイケメンモードがとどまることを知らない。 「俺には、フェイトがある!」 ばっちこーいの構えである。もとよりラブアタックを避けるような竜一ではない。エビバディカモン。 「じゃ、じゃあ、夕奈を治すよ! 癒し発動!」 「此処でミッ――」 夕奈。はるか異次元でも油断してはいけない。夢の国の勢力圏は無限大だ。 もちろん家政婦たる者、そこらへんの心遣いはばっちりだ。 「――ウス美月の癒し! まさに転ばぬ先の杖!」 (あ、紹介してもらっちゃった。後でお礼言わなくちゃ) 自己紹介のタイミングも、フレーバーテキストもさっぱり思いつかなかった美月、なんだかほっこりした気分になる。 夕奈からべりっとはがれた赤いもやもやは収束して、振り出しに戻る。 「そして、俺様はフェイトふっかぁつ! 運命はまだ俺にこの場に立てと言っている! なぜなら、美少女の愛を受けるのが俺の存在理由だから!」 そのとき、竜一に激しい異変。 ぐりん。 竜一の天地がひっくり返った。 足の裏が上、頭が下で宙ぶらりん。 「後がないのを、分かりやすくアイコン化してみました」 執事、手札席から解説。 彩歌は、自陣の手札席を振り返った。 慌てふためく、平均的なリベリスタ。 「ハングドマンか」 「知っているのか、SHOGOー!」 「タロットカードの大アルカナ。自己犠牲のカードだよね! ぼ、僕だってそれくらいは知ってるんだよ。この間やったゲームのモチーフだったからっ、まだクリアできてないけどっ」 状況を解説に走る、あんまり普通ではないパーティユニットのリベリスタ。 謎のフード男は、無駄な大物感を醸し出しつつ座っている。 慌てふためくほど細い神経でもなければ、場のノリに付き合えるほど子供でもない彩歌さんは。 「まだ、私の出番ではないわね……」 と、何か含みがあるっぽい台詞を言うにとどめた。 ● 「あ」 「来た」 「お」 リベリスタ側のふりだしには、4個のコマがたまっている。 出目は、2・1。コストプール、9。 ポイント3のコマをお嬢様方のホーリーメイガスにくっつける。 「癒やし発動!」 「おっと、また邪魔させてもらうっすよ!」 夕奈も見切り発動に慣れてきた。割烹着がまぶしい。 コストプール、残り8。 「戦場を先駆ける鏑矢! これがオレの迅雷進撃(ブリッツコード)だ!」 満を持して、スポットライトを浴びるSHOGO。 (敵コマが3つ以上あるマス――) ポイント19。ちょうどこれからの進撃に立ちふさがる4個積みのマスに狙いを付ける。 ここを崩競れば、向こうの進撃はかなり阻まれる。 「狙撃発動! それでは、皆さんご一緒に」 桟敷席まで巻き込んで、キャッシュからの……パニッシュ! ごんっとはじき飛ばされる黒いもやもや。 「ちっ、また他に分散してやがるっ」 背中に黒いもやもやを背負った使用人が三人。 あの三人がどのポイントを守護しているのか。 期せずして、見えない敵をすくな情報から推理する海戦ゲームの様相を呈してきた盤上である。 「ふむ。簡便なルールをとるか、戦略性をとるか、考えどころでございますな――」 執事、感慨深い様子。 しかし、盤上はヒートアップだ。 「ここでオレ、つまりクリミナルスタアの効果を発動!」 極道拳から八岐大蛇で荒れまくるぜ! 天井桟敷からは、前回のタッグ戦で同年代の侍女見習いからお姉さま系侍女のハートをガッチリキャッチした福松のためにレースのハンカチやヘッドドレスが白雪のように投下されている。 「効果は襲撃……ダイスで出た目によりランダムに敵のコマを排除する!」 ごろごろと転がるサイコロ。なにが出るかな、なにが出るかな、それはサイコロ任せよ。 サイコロが、スネークアイを見せて止まる。 盤上では、まさしく蛇の鎌首に弾き飛ばされるポイント1のコマ。 どもり系ロリに飛んでくる恋のとどめ。 リベリスタがフェイト復活するように、召使たちも一度の復活が許されている。 「ふっか……」 そこに……。 「悪いが、君には俺の一撃でノックアウトされてもらうぜ」 コンボの締めは竜一である。上下ひっくり返っているが。 「そう! 狙いすました相手を必ず仕留める! それが恋の必殺技さ! 君に届け、この想い! 必殺発動!」 「きゃああああああっ!」 かわいい声を上げながら、スターサジタリー脱落。 リベリスタの陣地に黒いコマが二つ入る。 リベリスタ、逆転。竜一は、ひっくり返ったままだが。 「2ダメージとフェイト復活阻止による確実なユニット退却が狙いだ!」 SHOGO、抜け目ねえな。 「余剰コストでプロアがホリメのスキルを封印すれば効果はより確実に!」 「さすがは指揮を執るは靖邦さん! 生まれた瞬間から既に双六のダイスを握り、新しいカードゲームの考案を始めたと言う伝説を持つ遊戯の王っす!」 やすくにと、誰も覚えちゃいねえ正しい読みを披露されてしまったSHOGOは、ちっちっちと指を振った。 「オレの名前、よろしければ半角「SHOGO」でどうぞ」 「半角っすね!」 「文字数節約大事だからね!」 さりげない心遣いに、桟敷席の侍女達がむせび泣いた。 「なんてこと。私のハートがガッチリキャッチされてしまうわ」 お嬢様がため息交じりで呟いた。 ● リベリスタはコストプールを5残し、お嬢様のターン。 ダイス目は、6・2。コストプールは4。 定石ならば、砦のコマを交換するような、お嬢様的にうまみの少ない出目だ。 「――あえて」 お嬢様の、恋は冒険、破れかぶれのポーズの鮮烈さに、桟敷席では失神者続出。 「ここをこうしたら、一体どうなるのかしら!?」 わざわざ砦を崩し、ポイント2のリベリスタのコマに攻撃を仕掛ける果敢さ。 お嬢様は、火遊びを夢見るお年頃。 「ガーディアンは、この方!」 彩歌にスポットライトが当たる。 「あら」 いかにプロアデプトとはいえ、通常攻撃はいかんともしがたい。 彩歌の背中に赤いもやもや到来。 「癒やし発動だよ!」 それをぶっ飛ばして、振り出しに戻す美月。何気に大活躍である。 「せっかくのラブアタックをないものにされる……」 お嬢様、ちょっと切ないポーズに桟敷席が身悶える。 「これが、そう、フラグブレイカー!」 いきなりどっかの白黒小僧か、サポート席でふんぞり返ってる人みたいなこと言われましたよ!? 「え? そんなことないよ!」 異論承ります。 「スキルフェイズに移るわ。ソードミラージュ・連撃発動! ポイントは13!」 ポイント13のリベリスタの二つのコマがポイント13と14に分散される。 リベリスタ達はインヤンマスターがいないので、連撃を守護結界で打ち消すことは出来ない。 「更に、覇界闘士として、私が発動。ポイント13,14もらったわ!」 ポイント13はSHOGO。ポイント14は竜一。 フェイト復活している竜一には後がない。 「しまった。誰もかばってねぇ」 「リバースカード、オープン!」 いや、そんなシステムじゃないから。正確には、手札から出す。です。これは特殊演出です。 手札を伏せる奴がいたら、『こいつ、あのカードをデッキに入れてやがる』 と思っていいです。 とにかく、外套と仮面をかなぐり捨てた彼の人は、『ラグ☆マスィーン』新田・快(BNE000439)その人だった。ウワー、ダレダカゼンゼンワカンナカッター。 「お初にお目にかかります。人呼んで"守護神"。お見知り置きを」 「フードの下は盤石の要と謳われる我らがアークの守護神! そう、ヒーローは遅れてやってくる物でやんす!」 夕奈の人物煽りは途切れることを知らない。 「ま」 お嬢様、まんざらでもない。 「"守護神" 発動!」 ””の中は、ガーディアンと呼んでください。効果は、ただの防壁です。この場合は、お嬢様の一掃を打ち消します。 元祖フラグブレイカーの面目躍如。 はい、新田さんはサポートなんで、このまま退場。 「――と見せかけて、このカードの特殊効果『不撓不屈』 発動!」 なんだとぉ!? それでなくともSTコメント欄からあふれて半分以下に削ったのに、目が滑って仕方がないルールを更に煩雑にするんじゃねえ! ディベロップさせるぞ! 「効果:フェイトを使って、もう一度手札に復活!」 え~。ルール審議中。 審議終了。効果を認める。ただし、全てのサポートユニットに。手札に戻るタイミングは自分のターンの最初とする。 「さあお嬢様、二曲目と参りましょう。こんな素晴らしい夜を、ただ一度の踊りで終わらせるなど出来ませんから」 あ、投げた外套と仮面は拾って再び身につけて、待機するように。 ● 「ラスト・ダンス!」 泣いても笑っても、このターンで終了だ。 お嬢様、コストプールを2残した状態で、手番はリベリスタに。 サイコロの出目は、4・3。コストプール、5。 通常攻撃で、お嬢様のコマは取れない。 それでもポイント10に砦を作り、ここで一か八かの賭けに出る。 「ここは華々しくいこうじゃないか」 「あれか、SHOGO!」 福松、盛り上げに余念がない。 「貴方こそ混迷の世を導く調べ。戴くは大輪超鋼華(フロルク゛ランテ゛・アセーロ)!!」 これが、勝負師SHOGOのもう一つの仕掛け。 狙いは、敵コマが2つある、ポイント18。 「いけぇっ! フッ君!」 「若き身体に鋼の魂! 禍原センセのジョブ効果発動! 来た! メインコンボ来た! これで勝つるっす!」 夕奈のあおりも、これが最後の大盤振る舞い。 効果範囲は、あえて、自アウター。一箇所ゆえ、あえてサイコロを振らず確定攻撃。 クリミナルスタアの襲撃を止めるものなど誰もいない。 ガツンと吹き飛ばされるコマが、黒いもやもやに変わって人妻系侍女の背中に乗っかる。 人妻系がスカートの裾を抑えつつ、頭を下にひっくり返るのを見届けつつ、SHOGOは解説に入る。 「迅雷進撃と同じくユニット退却を狙うコンボだ」 サポートユニットから、仮想お嬢様が優雅に立ち上がられる。 「――先のそれと異なるのは、コマのばらける中盤以降、コンボが完全成立しなくてもエリア内にダメージを行き渡らせることができる点。ゆえに頻度が高く、深く考えずお嬢様にのびのびとご蹂躙いただける仕様となっております!」 レッツゴー、お嬢様(仮想)! 「一掃発動!」 「いけませんな、それでは私が……」 お嬢様同様、サポートユニットに入っていた執事が場に躍り出ようとするのを……。 「任せて。計算発動! クロスイージスのスキルを封印!」 スポットライトが彩歌に集まる。 「ヴェイル先輩が阻止! 流石! 世界の全てを計算出来るとばかりっす!」 夕奈の煽りに桟敷席から花が。 「そうね。ここで、執事を止めるのがこの場では最善の手ね」 対お嬢様的にいうならば。と、今まで我慢の子だった彩歌が解説モードに入る。 「世に言う、気になるあの人をやきもきさせる為に他の人にアタックする的な、束縛するのもされるのも嫌いなのはスキル構成で理解して欲しいわ」 束縛系ではない、どんどん手綱伸ばしちゃうぞ。だけど、最後の曲だけは私と踊って。 「カッコいい所を見てもらいたいと思ってしまうのは見栄よね」 ここで、カメラ目線。 「あなたのハートをピンポイントに真っ直ぐ貫く、彩歌・D・ヴェイルです」 うぉぉんっ! と、桟敷の侍従席が鳴動した。 「いけません。これで手詰まりですな」 執事は、不撓不屈の精神により、頭を下にして手札に戻る。 本物のお嬢様と区別をつけるため、2Pカラーのメタリックグレージュのボディスーツのお嬢様がポイント21と23のコマをぶっ飛ばす。 「更に、俺の出番だ。たとえ何があろうと、俺以外のイケメンが盤上に居座ることは許さん!」 すでにコマを得ていたイケメンデュランダルの上下反転を許さない。 「その身に原初の混沌を封じた”Dragon”竜一の必殺が炸裂っ!」 デュランダルの必殺には誰も逆らえないのだ。 「フラグをへし折られて、『いいお友達』 になってしまえー!!」 恋愛ヒエラルヒーにおいて、『いいお友達』は、発展性が潰えた時点で『他人』の下である。 「弱点はスペイン語がグーグル先生翻訳なこと」 SHOGO、舞台裏披露。 大丈夫。技名には適当造語が許されているのだ。全次元規模において。 ● これが最後の攻防。ここで絶滅させられなければ、リベリスタの面目は保たれる。 お嬢様側の出目は、3・2.コストプールは7。これが全て攻撃に回される。 そして、リベリスタに残されたコストプールは、0。 「ポイント3のハート、戴くわ。」 「うわぁ、あたいっすか! フェイト使うっすよ!」 ぐりんと、夕奈の頭が下になる。 「うえっ、気持ちわるっ!」 「恋愛に酩酊は付き物」 お嬢様の今夜は酔っちゃったのポーズのあざとさに、天井桟敷から花が降る。 しかしながら、この酩酊は、三半規管に来る乗り物酔いの類である。人間、不安定な姿勢による血行障害で十分死ねる。 「スキルフェイズに移行するわ。あなた方、それにしても固いわね。まるで、道を説く君のよう」 リベリスタは耐えた。 人妻系ソードミラージュからの連撃から崩された後から、お嬢様がサポートユニット席からゆらりとお立ち上がりになられた。 「それじゃ、蹂躙するわ。あなたたちの恋心、たっぷりゲットよ!」 ポイント10とポイント11。 「うひゃあ!?」 美月、涙目。 「また」 彩歌、ここは沈黙。 まだ、大丈夫。もう一撃耐えられる。 「畳み掛けるわ」 いじめっ子眼鏡男子系マグメイガスの受難が彩歌を襲う。 「悪いけど。ここで退場はしかねるわ」 たとえ頭が地面に近くなって、スカート押さえなくてはならなくなって、仮面がずり落ちそうになってもだ。 お嬢様のコストプールは残り3。 すでに、スターサジタリーとデュランダルは退場し、使えるカードは後一つ。 クリミナルスタア。 攻撃対象を決めるさいころの出目は、ポイント4。 唯一赤いもやもやを背負った夕奈を通り過ぎ。 「フラグ生かしきれなかったわ。これで、お開き」 お嬢様は、盤上遊戯の終焉を宣言した。 ● 「それでは、結果を集計いたしますぞ。奪ったコマの数、リベリスタの皆様の方が一個多いですな。攻略された者も当方が三名。やられてしまいましたな。そもそも、リベリスタの皆様を陥落させることが出来ませんでしたぞ、お嬢様。先代がお聞きになったら、どれほど嘆かれるか」 お嬢様、このままでは帰さないのポーズ。桟敷席が色めき立つ。 「今まではチュートリアル」 「魔法の言葉ですな」 「ここからが、本番」 うん。割りとみんなそう言うことを言う。 そう、ここからがお接待。リベリスタの奮戦が期待される。 「次の勝利条件は、ハーレムエンド!」 全員倒れるまでのデスマッチが宣言された。 ● 戻ってきたリベリスタが、アンタップ、ガードキープ、ダイスロールアンドムーブ。と、うわごとをいうようになったのは、両世界の有効の為の尊い犠牲といって言えなくもない。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|