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今は(以下略)・リベンジ!


 三高平に電流走る。
 そんな、まさか。
 性別変わるまでは聞いてたけど、そのまま帰還になるなんて!


「これ以上の混乱はごめんこうむる。アークの沽券に関わるから」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、今度はこうはいかない。と、無表情の中に不敵な笑みを漂わせた。
「前案件参加者からの貴重なヒアリングのおかげで、対処方法がいくつか浮かんだ。今度は逃がさない。確実に粉々に割ってきて。サンプリングとか、こんなにぼろぼろにしたら、別動班さん悲しむだろうなとかいう気使いはいらない。万が一にでも一般人に照射されたら、世を儚んでもおかしくないレベル」
 一気にまくし立てると、モニターの映し出される明朝体三文字。
『平常心』
「どこが出っ張って、どこが引っ込んでも、そういうもんだと戦闘を続行する平常心で望んで欲しい」
 
 イヴ先生の攻略講座、開始。
「対策その1。ある程度どんな風に変身させられるのか想像しておくこと。今回性別のみならず、年齢の変動も見られた。ヒアリングの結果、対象者の潜在的願望もしくは恐怖など、強い想念に影響される傾向にある。だったら、戦闘に有利になるように想像しておくべき」
 イヴ先生の攻略法講座は続く。
「対策その2。服は変化させられる性別に合わせたものを着ていくこと。下着や靴も然り。前回破れたり、ずり落ちたりで、行動がかなり阻害された。なんなら、全員マントとかコートとかローブにビーチサンダルとかで行っていいと思う」
 すごく怪しい集団になりそうだが、イヴは大真面目だ。
「対策その3。心の変化に流されないように。女性が男性になると、やけに精神が高揚し逸脱行動に出る傾向があった。逆に男性が女性になると、戦闘放棄する傾向が見られた。これは鏡の根本的成り立ちから来る内分泌系操作と推察される。個人差は見受けられるが、そういう衝動が湧き上がっても流されないように」
 なるほど。ホルモンまで操作とは。なんて恐ろしい鏡なんだ。
「総括的には、これくらい。後は自分達でいろいろ準備して。『とりかへばやの鏡』はこの時間を味方にして、進化を遂げると推察される。舐めてかかると二の舞。そんなことにはならないと信じている」
 景気づけのため、と、イヴは、息を吸い込んだ。
「今回、バックアップは衣料品を持っていかない。何がどうなっても、着る服はないから。バスタオル一枚で帰ってきたくなければ、死ぬ気でがんばって」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:田奈アガサ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年07月22日(金)23:04
 田奈です。
 リベンジ! 
 城跡公園に潜む鏡をガッツリ割ってくるお仕事です。
 一般人に迷惑かける前に、もう粉々にしちゃうといいよ!
 はた迷惑な鏡のスペックはこちら。

 *E・ゴーレム「とりかへばやの鏡」
 <注意>進化しています。 
  *本体は、掌サイズの柄鏡です。
  *外見は姫君の姿を模しています。落城時の娘武者姿です。その顔面がひび割れた鏡です。
  *スターサジタリー初級スキル全部を使います。
  *「とりかへばや」:神遠全・ダメージ無・命中率きわめて高し
    性別が変わります。戦闘終了まで、そのままです。

 *現場:城跡公園・崖下
  *時間は深夜。足元は乾いています。足元良好。
  *今は晴れています。戦闘中雨が降る心配はありません。
  *広さは、半径10メートル半円。
   鏡は、最奥中央にいます。
 
 但し書き
  *今回は、戦闘メインです。
   性別変換はBSの一種と考えてください。
   外見の変化、行動に影響が生じることが確認されました。
   性別を変えられても、かっこよく戦ってください。
  *「とりかへばや」を受けたときの外見・口調・行動は必ずプレイングに盛り込んで下さい。
   ない場合、田奈に白紙委任と解釈します。
   ちなみに田奈は「より愉快な方向に」変換いたします。
   田奈のノリは、拙作「今はなき姫君~」やイージー依頼を参照でお願いいたします。
  *ちなみに、戦闘に負けた場合、性別変換は重傷扱いとします。
   性別変換したまま三高平に帰ることになりますので、それはもうがんばって下さい。
  *魔法の呪文は、『平常心』
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
スターサジタリー
不動峰 杏樹(BNE000062)
スターサジタリー
ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)
プロアデプト
鬼ヶ島 正道(BNE000681)
インヤンマスター
依代 椿(BNE000728)
デュランダル
斜堂・影継(BNE000955)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
覇界闘士
付喪 モノマ(BNE001658)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)


 あの夜と同じ深夜。
 ゆらゆらと月明かりの下で、揺らめくひび割れた鏡面が万華鏡のごとき拡散させた光を放ちながら、姫武者の姿を形どる。
 E・ゴーレム「とりかへばやの鏡」。

「砕きゃいいんだろうが、砕きゃ!」
 血みどろの長身の神父が、犬歯を光らせ、姫武者に襲いかかった。
「突き抜けろぉぉぉぉ!!」
 解き放たれた喜びに、青年は本性を揺るがす一撃をその腹に叩き込む。
「普段以上に気障ったい? ははは。きっと気のせいさ」
 ナポレオンコートを羽織った中性的な王子様が、軽やかに笑いながら、針の穴に糸を通す射撃を披露する。
「やだ、もう、恥ずかしいの。こんな格好、最悪! 早く終わらせなくっちゃ!」
 と、もじもじと手でむき出しの足や腹をかばいつつ、美少女はその身を疾風の爪に変える。 
「皆さん、冷静に……。慌ててもいいことなど一つもありません」
 やけに落ち着き払った着流し姿の中学生男子は、身の丈にあったハルバートを取り回し、
「平常心平常心平常心平常心平常心平常心ですわっ!」
 金髪ドリルロールの黒い雪だるまアンヨ付きバージョンは、雷と共に剣を振り回す。
「ほほほ、美しい後姿に思わず劣情を催すが良いがよいわ、オスども」
 黒髪ストレート、引き締まった体。邪魔にならない程度に大きい胸。抜群のスタイルのバックシャンが、見事な椰子の実割りをかまし、
 「うちを変化させるとはえぇ度胸や……自分、覚悟できとるんやろうなっ!!」
 長めのウルフヘアをなびかせて、着流しを着た柄の悪いお兄さんが、ダウン寸前の姫武者の頭をむんずとつかみあげてぼてくりかまそうとする。

 ……どうして、こうなった。どうして、こうなった!? 
 話は、ちょっとだけ遡る。


「目一杯頑張っちゃうんだからね! 性別変化は元の姿を思い浮かべておくよ! えへへ、元の姿が一番戦いやすいもんね!」
 爆炎が吹き上がり、姫武者の腹をぶち抜く。
 前任者代表『回転ダイレクトお布団アタック』付喪 モノマ(BNE001658)。
 あと一日二日で戻るといいよねと腫れ物を触るように言われちゃった期間限定女子は、プールのお着替えに便利だね、なラップタオルにマント着用。
 このゴーレムの恐ろしさを体現している。
 モノマの普段の姿を知っている者にとってはなおのことだ。

(ふふふ……前回の惨事は間接的にボクも被害をかぶったからねー。たたき割ってやるのだー)
『キーボードクラッシャー』小崎・岬(BNE002119)に、どんなとばっちりがあったのかは詳しく聞かない方がいいかもしれない。
 某格闘ゲームのバランス崩壊技を引き合いに鏡を叩き割る気満々だ。
 着流しを腕まくり、今のところは裾をまくって帯に挟んでいる。
 噴き上がる闘気に後押しされながら、赤い目を不気味に見開いたハルバートが袈裟懸けに姫武者に叩き込まれる。
「わがりゅうはに攻撃いがいのもじはないのだー! ボク自己流だけどー」

(平常心を忘れず、倒すべき敵が誰かを心に刻んで!)
 手にしたクローは、最速の獣、チーターの爪。
 速さを刃にして、姫武者の鎧をズタズタに切り裂いた。
(にしても……お手軽・リスクなしで女の子に!)
 なんかリアルだ。
『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)は、かなりわくわく。
 お腹の出る短いトップスにショートパンツ。
 背中とかがばっと開いてるギャル系。お尻尾出したりしなくちゃいけないし、ローライズ。
 念のため、マントと大き目スカーフを巻いている。
(暫く女の子でいたいキモチもあるけど、誰かをキケンに晒すワケにいかないし! でも戦闘終了までのつかの間、女の子を満喫する!)

「我が心、明鏡止水。俺は今、平常心に満ち溢れている」
 悟りきった顔をした『《力》よ在れと叫ぶ者』斜堂・影継(BNE000955) 、ちょい悪イケメンになるといいね系15歳。が、もぐっていた地面から姿を現した。
「見ろ! これが勝利の為の姿! 検討の結果、戦闘服とマントを組み合わせた!」
 全く新しい『黒い球体』的な名状し難い何か、母なる大地から爆誕。
 足が生えた黒い雪だるま。素足で足元サンダルなんだぜ?
「平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心……」
 溢れんばかりの魔法の呪文を口にしながら、刀身に雷撃を纏わせて、姫武者目掛けて振りぬいた。
 反動でブスブスと黒雪だるまを焦がしながらも、衝撃をものともせず、口だけ休まず動いてる。
「平常心平常心……」 

(色々な意味で恐ろしい相手だけど……対処法は分かっているもの)
『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)は、スタイリッシュだ。
 上半身はトレードマークのナポレオン・コート。
 ドレスシャツに、スラックスはずり落ちないようにサスペンダーで止めている。
(先駆者達のリベンジ、此処で果たさせてもらうわ)
 万が一のときのための対処もばっちりだ。
 ロングバレルのリボルバーで、ひび割れた鏡面を更に粉砕するべく、精密射撃を加える。
 
(鏡は人の心までを映しだすとか聞くけど、この鏡は何を思って革醒したんだろうな)
 ばっちり具合なら負けてはいない、『Chase of Bullet』不動峰 杏樹(BNE000062)は、年より幼い見目から行くと、かなり大きめの神父の衣装――カソック――を身に着け、つかの間思案にふける。
(主の願いを叶えるために革醒したのか知らないけれど、前回のこともある。その怨念ごと、すべて打ち砕いて、姫君のもとへ送ってやろう)
 お人よしの乱暴シスターは、姫武者が避ける間もなく、魔性の矢をその喉笛に叩き込んだ。

「なるべく元の自分に近いアタシでもイメージしておきましょう。普段は拳撃で戦うのですが……この為に昨晩はムエタイのビデオを鑑賞しました。多分大丈夫です」
 ニュアンスはマダァムですが、声が完全におっさんだ。
 アーク本部を出発する前から、『静かなる鉄腕』鬼ヶ島 正道(BNE000681)の言動はすでにレディ。
 今も空気をひんやりとさせている。
 スーツにレガースをつけているのが救いの種だ。
 いつもの周到さで女性化対策されたら、とりかへばやに遭遇する前に皆の気持ちがくじけていたかもしれない。
 主に外見的な部分で。
 
「性別反転な…とりあえず、反転前の衣装の皆撮影しとこか。余裕あるよぉやったらビフォーアフターも撮りたいところやな……」
 と、突入前に写真を撮っていた、デジカメにビデオカメラ持参の『イエローシグナル』依代 椿(BNE000728)。
 残念ながら、撮影の余裕はない。
 今回の回復は、椿が一手に担っている。
 全体にばら撒かれる光の矢が、リベリスタ達を貫き続ける中、立ち止まる間もなく、体形変化対策に着流しの裾を蹴立てて、癒しの符を張っていく。
(うちはあれや、大人しくて可愛い感じの草食系男子がえぇなぁ……)
 モノマの変容ッぷりを見た後では、うん、それ無理と簡単には言えない。

 出て来る願望。あふれ出る妄想。
 とりかえばやの鏡は、全てをさらけ出させるのだ。
『とりかへばや弐式』、全体照射、ピカーッ!
 
 辺りは、真白き闇に飲み込まれ、魔女っこアニメバングシーン的輪郭を残してうごめくレインボーが八人分グネグネしたのだ。


 少なくとも、一名は幸せをかみ締めていた。
「やっぱり、元の体が一番だぜ。貴重な体験させてもらったな」
 ラップタオルからにょっきり突き出た足は、鍛え上げられた男の足だった。
 手にしたライター型AF、発動。
 着慣れた戦闘服にガントレットを戦隊ヒーロー張りに一瞬で装着。
 さよなら、かわいいモノマちゃん。夏の夜が見せた、はかなかったけれど鮮烈な幻。僕らは君の事を忘れない。
「お礼はたっぷりさせてもらうぜぇ!!」
 体の感触を確かめるように、拳を打ち合わせ、足を踏ん張り、必殺の一撃のために集中に入った。

 影継君は思った。
(女性化で気弱にとか……ありえん)
 三高平の女性陣ばかりが、この世の女性じゃないんだよ?
 黒い雪だるまから突き出した足は、女性のものだった。
 突き出た頭は金髪ドリルロールだった。
 第一声は、脳天突き抜けるような高笑いだった。
「このタロットが意味するのは、真に《力》を制する者は女性であるという魔術的事実!」
 声もオペラ系、ガンガン頭蓋を揺さぶるドラマティック・ソプラノ。ブラーヴァ。
「ならば神秘探究同盟の《力》たる斜堂・影継が女性化した処で、《力》に陰りがあろうはずも無いですわ!」
 惜しむらくは、お召し物が雪だるまであることです。何でそんなのにしたし。
「平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心……」
 口にするのをやめたとたんに何かが崩壊する勢いそのままで、ぶちまける雷撃。焦げる縦ロール。
 分かってる? 回復役、椿さんしかいないんだよ? 今回、HPは、値千金なんだよ?
 それでも、ギガか。
 ……その捨て身な姿勢、イエスだね!

「やったぁ、女の子だっ♪」
 弾む胸。
 物理的に弾むまではかなり足りないけど、とにかくお胸だ。
 ほんのちょっと細くなったウエストとか、サイズは変わらないけどよりピーチになったおしりとか。
(……女の子……)
 キュゥンと締め付けられる胸。カアアッとカフェオレ色の肌に登る赤。
 体の奥から沸きあがってくるソワソワ感。
「やだっ、このカッコ、お腹とか脚とか出しすぎっ!」
 なんで、真独楽、こんなかっこしてきちゃったの、バカバカ。
(それに、ぱ、パンツが……もぉサイアク!)
 どう最悪なのかは聞いちゃ駄目です。いいね。絶対だめだよ。
「みんな、早くやっつけちゃおっ! へ、平常心!」
(はぅ……女のコって、こんなに恥ずかしいんだっ……!)
 体はもとより、女の子の「はじらい」まで体験しちゃうとは、さすがの真独楽君も考えてないなかった。
「もうっ! はやく、はやくっ!」
 大胆な格好を恥ずかしがりながら、大胆な技を使うオンナノコって……、イエスだね!

 いやん、恥ずかしい、という目にあっている方が、もう一人。
 確認するべき部分に指が触れ、流石に驚いて赤くなった。
「きゃ、やだっ……こ、こほん。これはお姫様が魅せる一時の幻だよ」
 レアだ。常にスタイリッシュなミュゼーヌさんの「きゃ」は、レアだ。
 さらに、中性的な王子様の気障ったい台詞は、ご馳走です。
 そして、その取り乱した様子をごまかすように、鏡面に向かって怒涛の精密射撃。
 そんな照れ隠し、乙女だね。イエスだよ!


 人には、いろんな意味で心に住まう人がいる。
 どういう意味でかはさておき、とりかへばやにその心に住まう人の姿を具現化された者たちがいた。

「変わった!」
 岬は、大変貌を遂げていた。
 背は高めで痩せ型、全体的に鋭利な、いかにも理系。眼鏡がついたら最高だ。
「……取り敢えず落ち着きましょう。焦ったことにより事態が好転したという記録はまずありません。どのような事態に置いても落ち着く一択です」
 そういって、たくし上げていた着物の裾の長さを調整し、今は身の丈に会うハルバートを構えた。
 ノリとその場の勢いが身上の岬が落ち着いている。
 台詞の漢字含有率が通常比で三倍以上!
 誰知ろうか、これこそ岬言うところの「馬鹿兄ィ」眼鏡抜き・中学生バージョン。
 兄を人前で馬鹿呼ばわりする妹の八割はブラコンである。
 ほんとにいやなら、存在自体抹殺するからね!
 
 杏樹の顔立ちは、中性的になった程度。
 ただし、背や体格は変わった。
 捲り上げていた袖口を直し、不機嫌そうに片目をすがめる。
 口は、平常心平常心と呟いている。
 やや乱暴な口調が、誰かの模倣であることに気がついているものがいるだろうか。
 まさしく誰知ろう、リベリスタだった杏樹の養父に似た姿。
「どんな子羊でも救うのが、俺の流儀だからな」
 巨大な弓を軽々と取り扱い、姫武者の鏡面に深々と矢が突き刺さる。
「まずは、串刺しからな。それから、血ぃ吸ってやる。あればの話だがな」 

 正道は、レガースやベルトを締め直し体のサイズの変化に対応。
 靴は、どうにもぶかぶかになったので脱ぎ捨てた。 
(服も、どうしても邪魔になるようなら……脱ぐわ! お仕事ですもの)
 その決意は尊い。
 確かにナイスバディだが。出来れば生でおみ足も拝ませて欲しい脚線美だが。
 お願いだから、脱がないで下さい。
 だって、顔はいつもの正道さんだもの! ノーメークでよかった。マジでよかった!
(万事思惑通りにいけば苦労はしません。決して自分に雑念があったわけでは御座いません)
 平常心。
「さあ、息切れしているのではなくて!? アタシのキッスで元気を出すのよっ!」
 チュバッと、熱い投げキッス。
 心からの応援、インスタントチャージだから、避けないように。
 繰り返すけど、今回すごく前のめりチームだから。
 とっとと大技突っ込まないと、こっちが穴だらけにされるから。
 実際、みんなわりと血みどろだし。

 そして、話は冒頭に戻るのだ。
 

 王子様には、流血が似合う。
 耽美的な意味で。
 鏡に肩を打ち抜かれたミュゼーヌは、苦悶の表情を浮かべながら、額に玉の汗が。
「なんや、自分えらいダメ喰らっとるな。しゃーない、ちょっと痛いけど我慢せぇっ!」
 椿にーちゃん走りこんできて、背中に紅葉咲かせる勢いで、平手ばっちーん!
 いえ、掌底じゃありませんよ。癒しの符ですよ。癒し系ですよ。
「………っ!!」
 声にならない声で苦悶する王子様、マジご馳走です。本当にありがとうございました。
 進化を遂げた「とりかへばや」から放たれる光の粒は、リベリスタ達の体を引き裂く。
 定期的に姫武者の首筋に顔をうずめている杏樹や、行動もクレバーな兄と化した岬、特殊な呼吸法で自らを鼓舞するモノマ以外はかなりのダメージを受けていた。
「きゃっ」
 攻撃を急ぎすぎた。真独楽目掛けてカウンター気味に打ち込まれる光の弾。
 ダメージが蓄積していた。ここで食らったら倒れる。
 覚悟した衝撃は、真独楽には届かなかった。
「大丈夫かい、真独楽ちゃん?」
 着流しの背中。クレバーな判断で真独楽をかばった岬だった。
「うん」
 頷いて、さっきの仕返しと岬の分まで姫武者に傷を負わせる。
「やったな、色男ぉ!」
 椿から平手という名の傷癒符びったーん!
「そんなんじゃないですよ。冷静な判断の結果です」
 どこまでも冷静理系男子、岬。
 いかに鏡が進化を遂げていたとはいえ、所詮は1対8。多勢に無勢。
 永遠に続くかと思われた姫武者の抵抗も、息切れが見え始めていた。
「女になろうが男のままだろうが俺は戦い続けるぜ!!」
 モノマの鎧を素通しする一撃がじわじわと積み重ねられていた。
「今すぐに神の身許へ速達してやるよ、鏡の子羊さんよ」
 口元をぬぐい、再び弓を構える杏樹。
 鏡の化身からこぼれる血も、甘美な赤とはいかなる神秘か。
 つかの間の神父が放つ矢が、姫武者の鏡面を再びつらぬき、今度こそ無数のひびを入れる。
「僕のベーゼで眠らせてあげる……いけないお姫様」
 ミュゼーヌは姫武者をかき抱くようにして、耳元で囁いた。
 鏡で出来た唇に、銃口という名の唇を押し付けて。
 霧散する鏡面、からりとおちる砕けた漆塗りの鏡の柄。
 懐中電灯の明かりに照らされて、鏡の破片はきらきらとしばらく城跡の周りを浮遊していた。
 
 そして、リベリスタの性別転換は解除された。


 真独楽は、恥ずかしさが治まっているのか、真っ赤だった頬が元の色に戻り始めている。
 影継は、AFを操作すると、布団を出し、手早く自分の体に巻き付け、すたすたと公園を後にしようとしている。
 せめてシーツに……、ごめん耽美が過ぎるから前言撤回。
 杏樹は、AFの画面を見ている。
 服は特に破れていないしそのままでもいいような気がするけど、巻くの? シスター。布団巻いて帰るの!?
「言葉通りにすることが必ずしも意思を適える事になるとは限りませんが……お楽しみ頂けたならば案外供養にはなったのやもしれませんな。結果的に」
 正道さんは脱ぎ捨てた靴をはき直しながらそんなことを言う。
 ミュゼーヌさんは、指先見つめながら、頬を赤くしている。
「はぁ、やっと終わったんかって、ちょっと待ちぃや肌蹴過ぎやろうち!?」
 もろ肌脱いでなかっただけましじゃないかな。
 椿さんは、くるっといい笑顔で振り返った。
「……自分、今見たか? 見たな?」
 気合の入ったグー。お手手に血管が浮かぶ。
 じりっと下がるリベリスタ。
「よし。大丈夫、ちょっと記憶飛ばすだけや!!」
 いや、それ、危険だから。みんな怪我してるから!
 追っかけてくる椿。
 折り重なるように逃げるリベリスタ。

 この台詞で〆るのが、世界の真理だろう。

「「「うわ~ん、とりかへばやなんて、もうこりごりだよう!」」」

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 リベリスタの皆さん、お疲れ様でした。
 今までの字数、あっさり更新。怒涛の字数削り作業。
 うわ~ん、とりかへばやなんてもうこりごりだよう!?

 戦闘は、回復が薄い分、HP的にかなり危ういものになりました。
 だから、記憶処理の拳骨は若干甘めにお願いします。重傷になっちゃうからね!
 とりかへばやの鏡をかわいがっていただいてありがとうございました。
 ゆっくり休んで、次のお仕事がんばって下さいね。

 あの、ところで。
 お布団セット、変わった使い方するのって流行ってるんですか?