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バーガー・バーガー

●バーガーでいこう
 アジアンバーガー
 アップルバーガー
 アボカド&シュリンプバーガー
 アボカドチーズバーガー
 アボカドバーガー
 アメリカンチーズバーガー
 アメリカンバーガー
 イタリアンハーブえびフィレオ
 イタリアンハンバーガー
 イノシシベーコンバーガー
 エッグマフィン
 えびクリームコロッケサンド
 オールドファッションバーガー
 オムレツ野菜サンド
 カリビアンサマーバーガー
 カリフォルニアバーガー
 カレーコロッケバーガー
 カレーチキンバーガー
 くじら味噌カツバーガー
 グラタンコロッケバーガー
 クラッシュドペッパー&ベーコンステーキバーガー
 クリーミーアスパラベーコンバーガー
 クリームきのこバーガー
 グリルドチーズバーガー
 グリルドバーベキューバーガー
 グリルビーフハンバーガー
 グリル野菜のチーズバーガー
 ゴールデンフィッシュバーガー
 コロッケバーガー
 サウザン野菜バーガー
 サラダマリネベーグル
 サルサバーガー
 シーザーサラダバーガー
 しめじとチーズのハンバーガー
 ジューシービーフのチーズバーガー
 ジンジャーチキンフィレオ
 スイートチリえびフィレオ
 ステーキバーガー
 スパイシーチリバーガー
 スパムライスバーガー
 スモーキーチーズバーガー
 スモークバーガー
 ぜんざい餅チーズバーガー
 ソーキバーガー
 ソーセージエッグマフィン
 ソーセージマフィン
 タルタルチーズバーガー
 タルタルチキン南蛮バーガー
 タルタルバーガー
 タンドリーチキンバーガー
 チーズ・マッシュルーム・オニオン・バーガー
 チーズカレーバーガー
 チーズグラタンコロッケバーガー
 チーズてりたまバーガー
 チーズバーガー
 チーズハラペーニョバーガー
 チーズ月見バーガー
 チェダー&モツァレラバーガー
 チキンサルササンド
 チキンバーガー
 チキン梅バーガー
 チャイニーズチキンバーガー
 チャイニーズバーガー
 チリビーンズバーガー
 チリビーンチーズバーガー
 テキサスバーガー
 デニッシュハムエッグ
 デミグラきのこバーガー
 デミグラスチーズバーガー
 デミたまバーガー
 テリヤキチキンバーガー
 テリヤキバーガー
 テリヤキユズコショウバーガー
 ドーナツバーガー
 トマトグリルチキンサンド
 ニューヨークバーガー
 ネギミソバーガー
 バーベキューベーコンチーズバーガー
 パインバーガー
 バジルえびフィレオ
 ハム&チーズベーグル
 パワーガーリックバターベーコンバーガー
 ハワイアングアバチョリソーチーズバーガー
 ハワイアンバーガー
 ハンバーガー
 ビーフレタスバーガー
 ヒレカツバーガー
 フィッシュタルタルバーガー
 フィッシュバーガー
 フィッシュフライ&アボカドハンバーガー
 フィッシュマリネバーガー
 フォアグラバーガー
 フライドエッグベーグル
 ブルーチーズバーガー
 プルコギバーガー
 ベーコンエッグチーズバーガー
 ベーコンオムレツバーガー
 ベーコンチーズスモーキーバーガー
 ベーコンチーズバーガー
 ベーコンデミグラスハンバーガー
 ベーコンマッシュルームチーズバーガー
 ベーコンレタストマトバーガー
 ベジタブルバーガー
 ペッパー・ベーコン・チーズ・バーガー
 ホットチリストレートバーガー
 マッシュルーム・オニオン・モツァレラバーガー
 マッシュルームチーズバーガー
 マンハッタンチーズバーガー
 ミシシッピマッドバーガー
 みそかつバーガー
 もちもちナンのチーズメンチ
 もみじおろしバーガー
 ヨコスカネイビーバーガー
 ラタトゥーユチーズバーガー
 ラムバーガー
 レッドホットサンド
 レッドホットチキンバーガー
 レッドホットチリチーズバーガー
 レッドワインバーガー
 ロースかつバーガー
 ローストターキー&スイスチーズバーガー
 ローストビーフバーガー
 塩焼きチキンバーガー
 海老かつバーガー
 季節野菜のハンバーガー
 牛すき焼きバーガー
 牛フィレサンドバーガー
 激辛テリヤキバーガー
 国産タケノコたっぷりの和風バーガー
 黒トリュフバーガー
 黒豚バーガー
 黒豚メンチカツバーガー
 春雨中華海老カツバーガー
 上海スパイスチキンバーガー
 酢豚バーガー
 粗挽きグリルチーズバーガー
 炭火焼アボカドチーズバーガー
 炭火焼チェダーバーガー
 炭火焼バーガー
 炭火焼ベーコンチェダーバーガー
 豆腐バーガー
 豚角煮バーガー
 半熟タマゴ照り焼きバーガー
 北海道ジンギスカンバーガー
 目玉焼きバーガー
 柚子おろしカツサンド
 和牛と国産ポークのハンバーガー
 和牛ハンバーガー
 和風ベーコンエッグバーガー
 焙煎ごまえびフィレオ


●3段でいこう
「このメニュー作るのに3時間費やしマーシた」
「バカじゃないかお前」
 真顔の『廃テンション↑↑Girl』ロイヤー・東谷山(nBNE000227)に労いの言葉を掛け、リベリスタはそれでと口にした。
「まぁ日頃の慰労を込めて自由に食べ放題って流れだよな」
「バカじゃないデスかアナタ」
 朗らかな会話を楽しみつつ、働かざるもの食うべからずと指を振り。
「お疲れ様会なのは勿論デスけどネ。きゃっきゃうふふとスマイルを販売したりバーガー作りを体験しながら楽しんで美味しくいただくのが目的デースよ」
 可愛い衣装を着てバーガー店員として接客体験。男性でも問題ないといいつつ女性用の衣装しかないのが不思議だが。いや、ロイヤーだし着せる気全開だ。
 上記メニューを参考にオリジナルバーガーを作って仲間と食べ比べるのもいいだろう。
 勿論メニューのバーガーをただ食べるのもありだ。大食い大会もあるらしい。
 どの場合でも最終的には美味しくバーガーを食べれるわけで。
「ただし食べる時は3種選んで3段に重ねて食べてください」
 まぢですか。
「ちなみにどのバーガーもアメリカンサイズね」
 致死量ですよそれ。
「飲み物もたっぷりありますので楽しみまショーMiss.Mr.リベリスタ」
 小脇に挟んだバケツコーラを指し示し、ロイヤーはウィンクを見せ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:BRN-D  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年09月05日(木)23:34
 日がな一日バーガー食べたい。

●何すればいいの?
 とにかくバーガーパーティです。
 材料はなんでもあり、作りたいものが作れます。ただし食べ物を粗末にするような行為はヒーローとして許されません。
 好きに食べ、好きに話し、好きに気絶するなど楽しく過ごして下さい。

 主だったやれること

①バーガーショップで美味しくまったり。
・客として食事します。ただし必ず3段バーガーになります。カフェ形式で大人数用のテーブルも完備。飲み物やサブメニューもあります。友達とおしゃべりを楽しむのがいいかも。

②可愛い店員さん!
・店員としてスマイルサービス! お客様に色々勧めてあげてください。お仕事の後は勿論バーガーがサービスです。男女とも可能ですが制服は女子(プリティ)です。

③あなただけの手作りバーガー!
・好きな具材を使ってあなただけのオリジナルバーガーを作りませんか? 作ったバーガーは仲間で食べあいましょう。

④食べ続ける。
・バーガー大食い大会やってます。

●参加NPC
 ロイヤー・東谷山 (nBNE000227)
  バケツコーラを小脇に抱えてバーガー食べてます。呼べばどこにでもいきます。

 他、ブレンディの依頼NPCは誰でも誘えばいます。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。
・誰かとご一緒の場合は『時村沙織(nBNE000500)』と言った風にIDと名前を表記してください。
【グループ名】タグで一括でも大丈夫です(タグ表記の場合はID、フルネーム表記は必要ありません)
・NPCと絡む場合はID、フルネームは必要ありません。名前をお呼びください。

●補足
 グループは必ずしも同じ事をしないといけないわけではありません。
 客と店員としてスマイルといちゃラブ0円もいいでしょう。オリジナルバーガー作って大食い大会参加者に食べさせるのもいいでしょう。お任せします。

 それでは皆様のご参加をお待ちしております。
参加NPC
ロイヤー・東谷山 (nBNE000227)
 


■メイン参加者 41人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
クリミナルスタア
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
ホーリーメイガス
天城 櫻子(BNE000438)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
マグメイガス
二階堂 杏子(BNE000447)
プロアデプト
氷雨・那雪(BNE000463)
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ソードミラージュ
リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)
クロスイージス
祭 義弘(BNE000763)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
デュランダル
斜堂・影継(BNE000955)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
スターサジタリー
桐月院・七海(BNE001250)
デュランダル
歪崎 行方(BNE001422)
デュランダル
蘭・羽音(BNE001477)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
プロアデプト
銀咲 嶺(BNE002104)
マグメイガス
セッツァー・D・ハリーハウゼン(BNE002276)
スターサジタリー
ルヴィア・マグノリア・リーリフローラ(BNE002446)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
クリミナルスタア
加羅慈史 ぼたん(BNE003228)
プロアデプト
離宮院 三郎太(BNE003381)
クロスイージス
日野原 M 祥子(BNE003389)
ソードミラージュ
カルラ・シュトロゼック(BNE003655)
ソードミラージュ
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)
レイザータクト
伊呂波 壱和(BNE003773)
スターサジタリー
靖邦・Z・翔護(BNE003820)
レイザータクト
テテロ ミミルノ(BNE003881)
ナイトクリーク
鳳 黎子(BNE003921)
ダークナイト
街多米 生佐目(BNE004013)
ホーリーメイガス
テテロ ミミミルノ(BNE004222)
ホーリーメイガス
丸田 富江(BNE004309)
ソードミラージュ
蜂須賀 朔(BNE004313)
ナイトクリーク
無敵 九凪(BNE004618)
デュランダル
篠塚 華乃(BNE004643)
ナイトクリーク
プリムローズ・タイラー・大御堂(BNE004662)
   

●ようこそバーガー
 雑踏を隔てたあの透き通った扉の向こう。
 1歩足を踏み出してごらん。
 音をたてて開いた扉から君を包み込む美味しい匂い!
 お腹をすかせて食べに行こう。
 素敵な笑顔が待ってるよ!

「おや、いらっしゃい! 何を食べてくんだい?」
 これしかないだろってくらい素敵な笑顔で出迎えてくれたお母ん、もとい店員さんはいつものエプロンの代わりに可愛い店員の制服を着込んだ富江だ。
(ずいぶん可愛い制服だね。ナンパなんてされたらどうしようかねぇ)
 ふふっと笑みを零してレジを打つ手馴れた動作はさすがのもの。
「……アンタなんだか調子悪そうだねぇ。そういう時はこのメニューがお奨めだよっ!」
 幾人もの客に接してきた。人との繋がりを大切にしてきた。その健康状態を気遣う気持ちも、富江にとって極当たり前のこと。
 ――好きなものを腹いっぱいってのはもちろん、心身とも気分良く帰してあげたいからね――
 温かく微笑んだなら最高のリラックスをお届けして。美味しく楽しい時間へようこそ。
 君もいらっしゃい。とっても温かなお母ん店員が最上の笑顔で出迎えてくれるよ。
「さぁいらっしゃい! どれも極上のおいしさだよっ!」


「えへへ、やっぱりこのお洋服可愛いよね。着てみたかったんだー」
 くるりくるりと裾を翻せば色鮮やかに世界が回って。鼻歌交じりに笑顔で回る華乃があっと表情を変え。
「お洋服で遊んでばかりじゃ駄目だよね。お仕事、お仕事!」
 ぱたぱたとカウンターについて用意万端。さあお客さんは誰かな?

「ハローロイヤーさん、一緒にバーガータイム楽しみませんか?」
 御機嫌よう、より此方でしょうかと笑う亘にロイヤーは二つ返事。笑顔でカウンターに向かえば「いらっしゃいませ!」と元気な華乃の声が響いた。
 とにかく笑顔でと言われたから、カンペを読み上げながらも決して笑顔は忘れない!
 なんになさいますかと問われれば、普段は小食な亘も今日はガッツリ食べてワイルドさをアピールしていく構えでメニューに目を通す。
「えっとね、僕のおすすめは、ボリューム満点! ステーキバーガーだよ!」
 とっても美味しそうだよねと華乃が目一杯の笑顔を見せれば亘がそれならとお勧めをお願いして。
「頑張ったら、僕もあとで貰うんだ♪ おにーさんやおねーさんたちもいっぱい頼んでね!」
 うん、まずはいい感じ。初接客の感触にはにかんで。
「いっぱいいっぱい頑張ったら、お仕事の後のサービスもその分たくさんくれるよね!」
 華乃の頭の中で、沢山のバーガーを抱えた華乃をおとーさんとおかーさんが笑顔で迎えてくれる姿で描かれて。さあがんばるぞー!

 さて、テーブルでロイヤーと雑談をしていた亘。そこにトレイを抱えて駆け回るぢょしだいせー店員が登場。
「ウェイトレスさんなのよ! ステーキバーガーとそれからお勧めのイノシシベーコン……」
 じゅるり。思わず凝視してからぼたんは慌てて手を振って。
「な、なによー! 涎なんか垂らしてないんだからね!」
 フリフリせーふくで走り去るぼたんを一瞥し、ついで視線をバーガーに戻し。
「え、何これ凄い」
 亘、完全にアメリカンサイズを甘く見ていたことが判明!
 一段目、華乃お勧めステーキバーガー。
 二段目、ぼたんお勧めイノシシベーコンバーガー。
 三段目、牛と猪ならこれだろとロイヤーお勧めチキンサルササンド。
 もはやバーガーなのか肉なのかわからない。何の冗談かと目線を上げればすでにロイヤーは齧り付いてた。さすが母国があそこの人。
 ……ここで退いたら男がすたる。
「……ロイヤーさん」
 神妙な顔の亘にんっと疑問を向ければ。
「スマイル、お願いできませんか」
 ある意味かっこいい発言だ。実に楽しげに反応を返し、ロイヤーがお得意のスマイルを見せ。
 その楽しそうな笑顔を見てれば……いけそうだ!
 返した笑顔は極上のもの。お腹とハートをIgnition。笑顔に急きたてられた少年はいざ食という名の戦場へ……
「……頂きます!」
 大きく開けた口元でガシュッと実に美味そうな音をたて。


「いらっしゃいませー!」
 意識した笑顔は少しだけ硬く、初々しさと相まって少女の可愛らしさを表現して。
 普通のお仕事ってどんな感じなんだろうと興味を惹かれたセラフィーナ。将来の役にも立ちそうだしと可愛らしい制服に身を包み。
「えへへ、こういうバイトってやってみたかったんだ」
 さあ早速お客さんが来ました。
 ――ハンバーガーだね。ドイツではホットドッグの方が多いから、食べてみたいと思ってね。
 ドイツ貴族の生まれであるセッツァー。日本にくるまでは自国の料理こそ至上だと思っていた。
 だが、他の国にも美味しいものがある事を実感した。文化が違うからこそ違う食文化が生まれ、それが他国の者に深い感動を生む。
 だからこそ。
「折角ニホンにいるのだから和風テイストなものを注文するとしよう」
 食を知ることはその者の世界を広げることなのだ。
「本日のオススメは和風ベーコンエッグバーガーですよ」
 一所懸命お勧めするセラフィーナにセッツァーは柔らかな笑顔を向け。
「ではそれに、このテリヤキバーガーとチキンタツタバーガーを頂こう」

「すでにレシピにはありとあらゆるハンバーガーがあるのです。これはすごいのです」
 可愛らしい制服の上にエプロンをつけ、裾から覗かせる尻尾がプリティ。愛するさおりんの好みでメニューを考えるそあらはまるで新妻のようである。
 作るのは海老とオニオン、ネギ味噌ソースのハンバーガー。
 ――さおりんマヨネーズダメだったはずですから。
 さすがよく知っている。
 作りたいのは美味しいバーガーかさおりんからの褒め言葉か……さおりんのためならレタスどころか玉葱だって切っちゃいます。わんこなのに。
 ネギ味噌ソースをかけて……完成!
(シンプルながらにきっと美味しいのです)
 ぽーかーふぇいすを自称するそあらも今はにっこり。喜ぶ顔を想像して……尻尾をぱたぱた振り回して駆けていった。
「ふむ」
 ハンバーガーを平らげながら、セッツァーは食に対する人々を静観する。
 ――食は音に通ずるものがある。
 それぞれが独自の味(音)を作り出し発展させている。人を穏やかに、そして笑顔にして――

「タクサン食べるのには結構自身がありますっ。過去にハンバーガーを一度に6個も食べたこともあるんですっ!」
 三郎太本日の意気込み。ご飯も抜いて万全の空腹具合、目指すは勿論消費量No1!
 ――そう思っていた時期もありました。
「これがアメリカンサイズ……」
 年にしては高い三郎太の体格も、アメリカンサイズバーガーの前では形無しである。
「まだまだ修行が足りないです……」
 三郎太の悲痛な表情を横目で捉え。
「これも一つの音の表現だね」
 セッツァーは穏やかに笑顔を見せ。


「へい、そこなエセメリケンな店員さん!」
 指をぱちんと鳴らせばロイヤーを指差し。
「スマイル一つ! テイクアウトで」
 竜一のドヤ顔がむかつく。
「ついでにもうひとつ、ロイヤーバーガーを……もちろん、具材は君さ」
 指でっぽうでバキューンとかポーズをとったならばどやぁの音すら聞こえそう。
 この時点でロイヤー珍しく無表情。帽子に隠れてビキリと音をたてた青筋が見えなかったのが竜一の敗因。
「で、ロイヤー的にはどれがおすすめなん? おすすめのを素直に食うよ!」
 バーガーくらい余裕だぜと言わんばかりの得意げな顔に、ロイヤーが満面な笑顔を向け。
「OK、そんなMr,竜一にオススメがありマス。そこのカウンターナンバー14へ行け」
 不吉な言葉が聞こえた気もするが気に止めず向かう竜一に。
「ボンボヤージュ」
 どこかしんみりと見送って。

「いらっしゃいませ~、ご注文をうけたまわるのです」
 カウンターナンバー14を任された女性。ご存知E・M・T(エナーシア・マジ・テンイン)である。
 この店員さん、可愛らしさとミラーミス級の危険(ドジ)を秘めた存在であった。
「本日のオススメはバーガー満漢全席。いわゆるメニュー表に載っているやつを全部というフィクションとかではよく見かけるお大尽なご注文なのですよ」
「食えるか! しかも3段バーガーという前提無視か!」
「じゃあ全部3段ずつで」
「しかも増やすの!?」
 せっかくのお勧めを否定されるエナーシア。しかしそれでめげるような彼女ではない。
「むー、無理でしたらいわゆる裏メニューのレジェンド・バーガーはどうです?」
 素人にはおすすめできないのですがと口にすれば、通らしさとレジェンドという響きに竜一は興味を惹かれ。
「よし、じゃあそれで!」
「OK、レジェ1つなのです」
 さて、ここでバーガー作成に入ったエナーシアが用意した素材を説明しよう。
 食用ミミズ肉。
 ネズミ肉(カビパラ)。
 牛の目玉。
 バーガーにまつわる都市伝説の再現である。この後の描写は竜一のために割愛させていただこう。


「店員の仕事が終わったらバーガーサービスってことは、飲み物もつくの? あ、つく? いいね、こんな豪快なバーガーだったら、是非ビールと一緒に楽しみたい」
 店員役として訪れた快はロイヤーに渡された衣装の袋を手に奥へと向かう。バーガー店員の衣装は可愛いながらもさほど露出があるわけでもない。多少の恥よりバーガーと地ビール!
 ホップをふんだんに利用した深い苦味と香ばしさ……仕事を終えた後のご褒美に心はすでに占められて。鼻歌交じりに快はロッカーへと入ったのだ。

「メニューなっが!」
 手にしたメニューは細かい文字で1枚に纏められた150cm、夏栖斗の呆れ顔も当然である。
 待ち人が来るまでの時間を店内を駆け回る制服姿の女の子を眺めて――
「バーガーって、こんなに、たくさん種類あるのね……」
 可愛い制服に身を包んだ那雪はメニューに十分目を通してから。
 ――メニューいっぱいだし、戦闘モードで……
 ちゃきっと眼鏡を装着した。
「予習はばっちりだ。お勧め商品も抑えてあるから、困った人がいるなら手を貸すとしよう」
 スイッチが入るように切り替わった那雪がてきぱきと配膳に向かって。
 そんな女の子たちを眺め和む夏栖斗が待ち人に声を掛けられた。
「ちっす、学園祭ぶり。彼氏できた? デンジャラスちゃん、綺麗なのに見る目のない男が多いな」
「今いないこと前提で言ったでしょアンタ」
 縁あってメル友のアフロデンジャラス。「まぁいないけどね」と直球ストレートにも笑顔で返せる程度には大人の女。
「出会いの範囲が広がった分、焦らなくなっちゃったわね」
「あー周りがアフロばっかりの頃とは全然違うだろうね」
 そんな雑談を続けていればテーブルにトレイが置かれ。
「お待たせ。アボガド、トマトグリルチキン、パインの三段重ねだ」
 那雪の言葉にパインとバーガーの相性がいいんだよねと夏栖斗が講釈し。
「デンジャラスちゃん半分こする?」
 アメリカンな大きさだからこそ、こういう楽しみ方もあるのだと。今日は雑談とともにのんびりした時間を過ごすのだ。
 ただしこれは忘れてはならない。戻ろうとする那雪に注文が足りないよと笑顔を見せ。
「ん、スマイルをくれ、だと……?」
 まさかの注文に戸惑う那雪。
「生憎、私のスマイルは高額なんだ……まぁ、払って見るほどのものでもないだろう」
 客が、店員が。わいわいと楽しい時間を共有する。こういう日常が嬉しいんだと、笑う少年の横顔が――

 ――横顔が凍りついた。
 視線の先に店員が居た。
 ビール缶のロゴがプリントされた、丈の短いワンピース。
 ぶっちゃけバド●ール。
 他の店員とは異彩を放つキャンペーンガールの衣装は決して可愛くないわけではない。とても色っぽい。
 ただ問題があるとするならば――筋肉質な青年、快が着ていることであろうか。
 表情を失った夏栖斗たちの脳裏に、精一杯の引きつった笑顔が焼きついて。


●君とバーガー
「お客様、ついでにアジアンバーガーなどいかがでしょう?」
 元気一杯の陽菜の声が店内に響く。可愛い制服に身を包んだ陽菜がこれぞスマイルという理想の笑顔を振りまいていた。
 が、よく見ると担当するカウンターにはスマイル100GPの文字があったり。
「それではこちらのアップルバーガーなどいかがでしょう?」
 客に熱心にお勧めをする陽菜。
「こちらのアボカド&シュリンプバーガーなど……」
 あれ? 最初の客にまだ粘ってる。
「アボカドチーズバーガーなどなど……」
 全メニューを勧める気だ!
 客の行列もなんのその。いたずらな表情を笑顔に隠して陽菜は今日も我が道を行く。


「三段重ねのハンバーガーってどれ位凄いのかしら♪」
 とっても楽しみだと櫻子が笑えば、そんなもんかねとルヴィアが零す。
「まぁオレにとっては見慣れたもんだが、こっちの人間にゃ辛いんじゃねーかなぁ。しっかしお前ら姉弟は大食いでもないのに、よく来るねこういう場所に」
 テーブルに座ったメンバーは3人。
「今日は杏子もルヴィちゃんも一緒ですぅ♪」
 双子の片割れに大好きなルヴィア。一緒できる機会が嬉しいのだと笑う櫻子に「まぁいいけどな」と頷いて。
 さて3人の前にそれぞれ届いたハンバーガー。
「またとんでもなくアメリカンサイズで、食べきれるかしら……」
 杏子はカリビアン・フィッシュ・海老かつの3段の前にすでに戦意喪失。ちなみにコーラもバケツサイズです。
「コレを縦に重ねて齧ったら……顎が外れちゃうと思うのですにゃー」
 チキン・フィッシュマリネ・焙煎ごまえびフィレオ。日頃ならば美味しそうなそれも櫻子の前にあるのはアメリカンサイズです。
 双子がどうしようかと目線を重ねた先で、すでにもりもり食しているルヴィア。
「んー久しぶりに食ったら美味いな」
 アボカド&シュリンプをすでに食べ終え、バーベキューベーコンチーズを食べ進める現状、BLTまで行き着くのも目前である。
 とても真似できないとわかった櫻子が取り出したのはナイフセット。細かく切ってもきゅもきゅと口に入れていく。
 こうなると自分も食べなくてはならない。黙々と口にするも、すでに場の空気に満腹感を覚えている杏子の食が進むはずもなく。
 かくなるうえは――

「流石、ルヴィアさん。良い食べっぷりですよねぇ……」
 バケツコーラにルヴィアの顔が隠れた、その隙にバーガーを紛れさせる! 成功!
「あ! ルヴィちゃんっ、杏子がずるっこしてますにゃー♪」
 ……1人ならばれなかったんだけどねぇ。
「ノルマはノルマだ、女に負けてどーするよ? 男を見せろー二階堂弟」
 ルヴィアからいい笑顔で突っ返されれば万策も尽き。
 諦めて渋々食べ進めていく杏子……の眼前でどさどさ音をたて。
「罰として……残りは杏子におすそ分けですぅ♪」
 櫻子の満面の笑顔に、最早ため息しか出なかった。


「マッシュルーム・オニオン・モツァレラバーガー、バジルえびフィレオ、アボカド&シュリンプバーガーの三つで。それでよかったんだよね、れーちゃん」
 義衛郎が振り返れば嶺は「はい」と頷いて。
「えびが好きだったりするんです」
 はにかむ嶺にチョイスを任せたのは、この2人が至極真っ当な常人サイズの胃の持ち主であるためだ。
 1人で三段など食べれるはずも無く。故に2人で食べ進めるべく選択した、わけなのだが。
 実際に出てきたものを見つめ無言になる。アメリカンサイズって恐ろしい。
「大きい……でも『ご飯を残すのはお行儀の悪いことです!』と亡き母に言われていましたし、頑張って食べるのです」
 嶺の決意に頷いて。それでも食べきれるか不安甚だしい内心から今は目を背け、義衛郎が嶺が食べやすいようにナイフとフォークで切り分けて。
「おいしそうですね!」
「じゃ、いただこうか」
 切り分けたバンズからぷりぷりのえびが姿を見せれば、笑顔の嶺を促して食べ進める。
 熱々のバーガーはとっても美味で、雑談を交えながら食は進む。
 ――のも初めのうちで。

「れーちゃん、辛かったら無理しなくて良いから」
 無言で烏龍茶で流し込む姿に苦笑して義衛郎が伝えれば、嶺が申し訳なさそうに頭を下げた。
「……ごめんなさい、リタイアです。義衛郎さん、残りをお願いしてもいいですか?」
「大丈夫、任せて」
 本当はちっとも大丈夫じゃない。正直苦しい。
 が、女性に無理はさせられない。ここはオレが平らげねばと表情を崩さず食べ進める義衛郎は今最高にかっこいい男であった。
 ――恐ろしい、これがアメリカンの洗礼というものなのですね――
 もっとも青ざめた嶺の心を占めるもの、それは……この日摂取したカロリーなのだけれど。


「みてみてっ! メニューがながすぎてすごいことになってるのっΣ」
 \むおーーーーーーっ!/
 ミーノの発見に妹たちの驚きの声が店内に響く。姉妹たちは頭を重ねるようにしてメニューを覗き込み、それぞれがうんうんとうなり声を上げていた。
 さてこの姉妹、顔は似ていても中身は大きく差があるようで。
「うーんうーん」
 あれもたべたいこれもたべたい。悩めば悩むほど時間だけが経過して。
 そんなミーノの横で手が上げられて。
「うえから10こ! だいしきゅー!」
 メニューも見ずにミミルノがそんな注文をして、頼んだばかりなのにもうそわそわと肩を揺すっていた。ちなみにその頼み方だと大体似たようなバーガーが来ます。
「うーんうーん」
 まだ悩んでるミーノの横で、もじもじと膝を動かすのはミミミルノ。
 すでに注文するものは決めていたのだけれど、引っ込み思案な彼女は大人しくお姉ちゃんの注文の番を待っていた。
 そわそわもじもじいつまでも。

 \きゅるるる/

 お腹の音に思わず皆の視線が動く。と、ミーノがメニューをテーブルに置いた。
「むぐぐぐ……こーなったらめをつむっててきとうにちゅーもんするのっ!」
 どうやらお腹の虫はミーノだったらしい。早く食べたい気持ちが勝って、てきぱきと指を指し示していき。
「あとナゲットとポテイトとオレンジじゅーす!」
 ポテトだけやたら綺麗な発音だった。
「えっとじゃぁ……びーえるてぃーさんどセットをくださいっ」
 ミミミルノがほっと息を吐いて自分の分を注文し。
 そわそわもじもじとそれぞれの様子でバーガーの到着を心待ちにするのだ。

「にゃっほい! おいしそ~なにおいっ!」
 出てきたハンバーガーたちを前に超笑顔の姉妹たち。
 \いっただきまーす、なの~/
 手を合わせる音が響いたなら、美味しい時間の始まりです。
「おいしいですっ!」
 一口食べて頬を緩ませるミミミルノに。
「ついかっ! うえから10このしたから10こ!」
 すでにミミルノは次へと目を向け。
 賑やかな姉妹の食事は気付けばポテトが散乱しソースがお口と服を汚す状態となっており。横に並びすごい勢いで食べ尽くす姉妹。その正面で。
「……お前等の胃袋ドウナッテルンダロウナ」
 姉妹たちの様子を最初からずっと眺めていたリュミエールがポツリと漏らした。
「ごちそうさまでしたですっ、つぎはてりやきばーがーをたべるですっ」
 ミミミルノすら次々と注文を頼む現状、無数のメニューを本気で制圧するのかと心配になる。
 ――ソレニシテモタベスギダヨナ。
 バーガーを切り分けていたリュミエールが一旦ナイフを置いて。
「お前等一端とまれ拭いてやるから……汚しヤガッテナー。
 チャントユックリ食えよー。ヒトの物をトルんじゃない。あー、ナクナ。
 ソースがオチルゾ、マヨが手にクッツイテル。
 コラ、まだ口の中に入ってんだろ。アー……モウホラジュース飲め」
 気付けば姉妹の世話をしていたリュミエールの手がふと止まった。
(アレ、サッキから食べた記憶がネェ……)
 そんな4人のテーブルにバーガーがまだまだ到着し。


●楽しくバーガー
「笑顔は、楽しいこと考えたり、口の両端を上げるといいですよ」
 口の端を上げてこう、と壱和が見本を見せれば、ぎこちないながらもカルラに笑顔が作られて。
 ずいぶん良くなりましたよと微笑む壱和が、「付き合ってくれてありがとうございます」と頭を下げた。
「アルバイトはしたことないですが、頑張ってやりましょう。この機会に、人見知りも克服です!」
 決意を見せる壱和だが、カルラはその本意を知っている。このところ鬱屈としていた自分を、少しでも気晴らしになればと誘ってくれたことを。
 ――こういうの、やっぱり嬉しいよな。
「今の。一番良い笑顔でしたよ」
 突然そんなことを言われカルラはきょとんとした。そうか、人の優しさを感じたとき自然に笑顔も出るものか。
「やっぱり、笑顔が見れると嬉しいです」
 自己暗示でもなんでも、笑顔を作ると、楽しくなれるから。
 壱和の笑顔に、心配をかけていた自身を振り返って。
「ありがとな」
 気遣いに感謝を告げて、よしと着込んだ制服を叩いて。せっかくの友達の気遣い、楽しまなくちゃあ嘘だろう。
「やりきってみせるぜ!」
 叫びカウンターへと向かうカルラの、その姿。
 可愛らしい制服が意外なほど似合うその姿を、楽しげに眺めて壱和も後を追う。


「芸人の飲み会に潜り込むの、いいアイデアだと思ったんだけどなあ……まさか全員キャッシュなかったなんて」
 テーブルを狭しと囲み頭を悩ませる一同。お金がないけど女の子にチヤホヤされたい『キャッシュないけどキャバ行き隊』は今日も今日とて作戦会議。
「まずはなんとかして中に入らないと」
『肉の量が多すぎて牛丼食ってるみたいバーガー』を頬張るレインボーが……なんで混ざってんだ。
「最低限の身銭がないと足も踏み入れられんぞ。これ以上は爆弾マークが出る」
『ほぼ牛丼バーガー』に齧りつくパンダーの意見。試行と錯誤と挑戦と脱出を繰り返した挙句、七派とか全く関係ないヤクザに目をつけられている一行です。
「リーダー、何か案はないか」
 2人が目を向けた先で、『牛丼』を平らげていたSHOGOがゆっくりと言葉を告げた。
「一人暮らしのおじいちゃんとか誘うってどうだろう? 孫と遊びに行く感覚で」
「それだ」
「それだ」
 全員が立ち上がった。SHOGOが。パンダーが。レインボーが。アフロ戦闘員たちが。一つの目的を持って邁進していた。
 今はオレオレ詐欺同然の発想してるレベルのアレだけど。いつかキャバで豪遊する未来(あした)が来るって――信じてる。


 ――タワー系バーガー食った事無ぇんだよな……普通にステーキ食うよな?
 ライスでガッツリの方が食べやすい。が、今日のところはバーガーなのである。
「んな訳で帰国子女のオメェが食い方教えろ……って、あいつどこいった?」
 火車が周囲を見渡していると、対面のカウンターからひょこっと顔が出る。
「いらっしゃいませ宮部乃宮さん! おすすめは全部のせバーガーですよ!」
 スマイルはいつも0円でーすとにっこり笑う黎子。その態度に、いつもなら怒るであろう火車は――
「……全部のせ寄越せ」
「えっ」
 本当に? 目をぱちくりする黎子に口元を吊り上げて。
「全部のせだよ」

 小皿に切り分けたバーガーはフォアグラと酢豚にチキン南蛮。私結構食べるんですよと黎子は適度な大きさを口に放り込む。
「食べ物はのこしません! 女子力維持のために普段少食ですけど」
「ほーほーえらいねぇ」
 一方火車はというと、その何倍もの大きさのバーガーに直接齧りついている。
 ――何も考えずかぶりつくのです。さあ!
 と、先ほど黎子にお勧めされたためだ。
 食べ終わった黎子がにこにこと楽しげに見つめていた。勿論火車のバーガーはまだまだ残っており、齧りついたため当然顎も痛い。
 が、火車はどこか余裕の表情を見せていた。
 ――言葉の重み思い知らせっからな。
「あー食いきれねぇなぁ」
 大げさに嘆きの声を上げる火車。案の定食べきれてないじゃないですかと得意げな黎子に。
「じゃ共同作業だ。食うの手伝えよ」
 え”。凍りつく黎子に朗らかに。
「食べ残ししないんだよな。オレはするがオメェしねぇんだよな」
 ひょいっと黎子に手渡した。
「女子に余り物を食べさせるなど! 残さないとは言いましたけどひどいですよ宮部乃宮さん!」
 悲鳴も何処吹く風。火車は茶を一服、にやりと笑って見守った。


「すいませーん。メニュー下から順に。全部で」
「おいぃ! 本当に食べ切れるんだろうな七さん!」
 ツァインの悲鳴にも「だって豆腐と黒トリュフ食べたいですし」と全く悪びれない七海。ちなみに最低でも16品はかかります。
「食べる時こそ皆で食べるのが美味しいんだよな」
 うんうん頷く翔太がそのままにやりと笑って。
「ツァインマネーだしな」
「ツァインの奢りか、この時を待っていた!」
 嬉々とした声音は優希のもの。かつて奢らされた男はこの復讐の機会を決して見逃さないのだ。
「ええい! ここまで来たら腹括ったぜ! 決戦お疲れさーん! 食って食って食いまくるぞぉー!」
 ヤケクソ気味なツァインの覚悟完了の号令がMGKのパーティ開始を意味して。

「おー、それじゃ遠慮なく食っていこう。ロイヤーもメニュー考えるのお疲れさん、食おうぜ」
「イエー、ご相伴預かりマス」
 翔太の言葉に当然のように混ざるロイヤー。テーブルのあちこちでグラスの音が響き渡り。
「んー今回はバーガーが主役だしあんまり飲みすぎないようにしないと」
 言いつつ当然のようにビールをあおる七海。
「おー、皆ツァインの奢りだけに食うなぁ。……お、トリュフってこないだ千円だったな。……おお! これは『くじら味噌カツバーガー』!」
 そういう影継はメニューと睨みっこしつつ高そうな品物ばかり選んでいる。
「んーみんなすごいわねー。さすが男子高校生。あたしはそんなに沢山食べられないから、ひろさん、2人で食べよっか」
「ああそうしよう。のんびり食べればいいさ」
 祥子と義弘がビールのグラスをかちんと鳴らし。
「ツァインの兄さんの奢りだし、あまりあれでは悪いしな」
「ふふ、ツァインさんのお財布がんばれ!」
 グリルビーフにBLT、アボカドえびバーガーを切り分けて。向かい合い2人、楽しもうと笑いあって。

「タメっちー、じゃんじゃん作って持ってきてくれー! 常識的な奴でねッ!?」
「街多米の女子力が試されるな……」
「お任せを。私の女子力は深淵をも飲み干す……」
 という訳でツァイン・影継の呼び声に応え、生佐目の手作りハンバーガーです。
「似合ってるわよさっちゃん」
 自分のスナックを持つ祥子から借りたエプロンを着用すれば、いつも以上の腕を発揮できる気になります。まぁ格好からという言葉もあるし。
「合挽肉と木綿豆腐を大体同じくらいの量で。長ネギ、生姜、アーモンド、ニンニクを細かく刻みごま油で炒め、粉砕した桜えびを加え、余熱で混ぜます。このタレをハンバーグ生地に混ぜ……」
「長い。一言で」
「美味しい」
 断言した。

「んー、流石に食いきれるかだな」
「しかし皆さん本当に手加減しませんね……」
 翔太、七海、一気に頼みすぎです。
「つーかロイヤー、米国人的にクジラはどーなんだ」
「美味しいよ?」
 影継の問いに平然と。
「あたしたちの分はいいわよ。さすがに学生さんに奢らせるわけにはいかないから」
「良心的な(胃袋の)皆、大好きです……でもせっかくだし今日は奢らせてもらうぜ」
 遠慮する祥子にツァインが任せろと声をかければ。
「祥子も義弘も気にせず食おうぜ、楽しいのが一番だしさ」
「いやお前は気にしろ」
 翔太が遠慮なくバーガーに齧りついている。
「はは、賑やかだな。ああ、みんなで楽しもう」
 笑顔で溢れる店内、義弘も笑ってバーガーを平らげて。
「……ん、しかしうまいなこれ。また近い内に2人で来てみるかな」
 祥子に向かって微笑んだ。

 さて、一行の食は進み。
「七海ー、いつもどおり酔ってるか? ……あれ、寝てるわ」
 酔い潰れてる人も出ています。
「うごごごご……2段はいけるけど3段は流石にキツイな……」
 無理やりねじ込んで食べるツァインの横で、涼しい顔で3段を平らげるカウガール。
 むむ。ツァインの中で悪魔が囁いた。
「優希、スペシャルバーガーワンプリーズ♪」
「ああツァイン、遠慮なくもっていけ」
 今回も満を持して登場。優希が手にしたそれが空気すら赤色に染め上げる。
「唐辛子にタバスコ、チリソースを贅沢に使用したレッドホットチリ唐辛子スペシャルインフェルノ爆炎3段バーガー。今回は芸術品に仕上がっているぞ」
 やり遂げた男は満足げな表情を見せ。
「辛さが目に染みる、その刺激が爽快だ。インパクトでは負けぬ心算だぞ」
 負けてたまるか。
「さあ食え!」
 赤熱した何かを掴み押し問答のツァインとロイヤーを満足げに眺め。
「皆もどうだ、遠慮はするな」
 爽やかだ。
「流石に激辛は遠慮しておくって……俺に寄越すなー」
「あれ、懐かしい感じ……辛さが目に染みるわ」
 阿鼻叫喚である。
「フ、皆が楽しそうで何よりだ」
 本気で言っているのか優希。

 誰もがテーブルに突っ伏した戦場跡。
「いやぁ、ツァイン今日はサンキューな。お持ち帰りで上から下まで全部よろ」
「なん……だと……?」
 翔太に来てない皆へのお土産だよと言われれば言葉もない。荷物を手分けする優希たちを尻目にツァインは震え声だった。
「で、いくら? ……ア、ハイ、働いて返させて下さい。…えっ? 制服女子のしか無いのッ?」
 バド●ールもあるよ?












●バーガー・バーガー
「いらっしゃいませー」
 店内に足を踏み入れた家族にきらきらの超笑顔が向けられて。戸惑う男に、店員はあっさりと表情を素に戻した。
「あぁ瀬戸君か。よく来てくれた」
 瀬戸一家を迎えたのは強い者との闘争を好むことで有名な朔。かつて剣を合わせた者の余りのギャップに家継は言葉も出なかった。可愛らしい制服がいっそうそれを強調して。
 一家を招待した朔がたまにはこういう趣向も悪くないだろうと笑って――
「そちらが奥方殿かな。以前、彼には楽しませて貰った」
 問題発言をさらっと言った。

「……家継?」
「戦っただけ! 暴走してたんで記憶も――」
 絶対零度の声音に言い訳を紡ぐ、より早く。
「覚えていないか? 無理も無い。あの時の瀬戸君は本能のままに衝動に身を委ねる獣のようだったからな」
「なぜわざわざそんな言い方を!?」
 嘘は言っていない。詳しくはフィクサード聖戦物語で!

「私は君の事は好きだが、奥方殿がいるのにどうこうしようという気はない。だから奥方殿もそう心配するな」
 朗らかに言う朔の言葉はすでに夫妻には届いておらず。
「ふむ……あぁ君がすだち君か。強くなりそうないい目をしている」
 朔は特に気にせず流したのだけど。


 さて店員たちの仕事は終わりを迎えようとしていた。
「よし、バイト代代わりにイノシシベーコンバーガーを……え? イノシシベーコンもうないの?」
 一日楽しみにしていたぼたんの受けた衝撃は計り知れない。
「お仕事した後だととっても美味しいね」
 テリヤキバーガーをぱくつくセラフィーナが笑顔を零し。
「お疲れ様、なのよ」
 眼鏡を外した那雪も、アボカド&シュリンプバーガーをゆっくりと口に運びながら一日の終わりを実感していた。

「ほら壱和、フィッシュバーガー。野菜多目にしといたからさ」
「え、ボクに作ってくれたんですか?」
 目を丸くする壱和に、カルラがせめてものお礼になと口にして。
「……誘ってくれてありがとな」
 口の端を持ち上げて、壱和に学んだ笑顔を見せて。


 一方、手作りバーガーはまだまだ盛況。
 己の好きなものを好きなだけ。それはとても魅力的なものなのだけれど。
 パンズとバンズの間に敷き詰められた肉、肉、肉。申し訳程度のレタスが埋もれて肉、肉、肉。
 30段を越える肉のタワーを九凪は腕を組んで見つめていた。
「三段重ねと聞いたんで思いついたわけだが……食いにくそうだなこれ」
 先に気付け。
「知り合いとか居ないし一人で食うが? ……三十路前でぼっちか、辛いものがあるな」
 命名は『1人暮らしバーガー』としよう。

「どうせならお肉山盛りで作るわよ!」
 こちらも元気に手作りバーガー。肉食主義のお嬢様プリムローズは張り切ってエプロン下の袖を腕まくり。
 お肉は大好きだけれども……3段全部が肉っていうのも面白味が無い。
 乙女として彩りは重要である。美味しいけれど茶色しかないお弁当とか乙女として問題である。今は関係ないけど。
「そうだわ! なにも全段を肉にしなくても、1段の肉の量を3段分と同じにすればいいんだわ!」
 その発想はなかった。
 で、作ってみました。
 一段目:チーズ
 二段目:牛肉と豚肉の合い挽きパティ(300グラム超)
 三段目:キャベツ
「こんな感じで解決ね♪」
 プリムローズがウィンク一つ。大きく口を開けて――
「……大き過ぎて顎が外れそうだわ」
 オチがつきましたとさ。


「自分だけのバーガーを作れるなんて素敵だよね……」
 楽しみだねとにこにこ笑顔を見せる羽音。今日は妹分を誘っての手作りバーガーに挑戦だ。
「行方は、どんなのにするの……?」
 朗らかに問いかければ。
「別に、適当に野菜突っ込んで食べるだけデスガ」
 行方のそっけないようでいつも通りの返事が返る。
「肉食べられないのデスガ、別に肉いらないデスヨネ」
 ベジタリアンなので。

「バンズは少し焼いて……テリヤキチキン、牛フィレ、黒豚を挟んで。……ステーキ、ラム、豚角煮も追加しよっ……♪」
 肉食。羽音姉さん超肉食。
「串で崩れないよう固定したら完成……っと。行方のは……」
 綺麗に出来たと笑顔を見せれば、妹分の調子を覗き見て――
 レタス。
 レタス。
 レタ……
「……なんデスカ、その目は」
 羽音のおおらかな笑顔にどことなく映る「しょうがないねこの子は」的なものを感じ取ったらしい。全粒粉とかバンズには多少凝ってるのデスけどネと口にしつつ。
「少し変化を加えればいいのデショウ。トリプル豆腐トー……はいはいわかってマス。トマトにシマス」
 ついでに肉を羽音の皿の上にぽいぽいすれば、幸せそうに笑う羽音がいたり。

「んー……おいし♪」
 とろけた表情で舌鼓を打つ羽音。その横顔を、もしゃもしゃと口を動かしながらじっと見る。
 羽音が自分を誘ったわけを推し測る必要はない。正直者の羽音の考えなどばればれである。
 ――人の心配してる場合じゃないデショウニ。
「ね、ね、行方」
 肉の塊を飲み込んで、羽音が振り返り。
「また、一緒に遊ぼうね……♪」
 それは約束。極上の危険に相対せんとする行方を想う、願いの指きり。
 ――まったく世話の焼ける人なのデス。
「別に遊びに行くのはやぶさかではないのデスガ」
 そっけないようでいつも通り。2人の絆は変わらない。


 楽しい時間はいつまでも。
 日が暮れても、日が変わっても。
 思い出はいつまでも心に残り。
 高カロリーが残した傷跡も深く残ったのだとか。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
楽しい時間と高カロリーをありがとう(問題発言)