●風の格闘家 舞うように扇をかざせば風が生まれ、風は刃となって敵を裂く。 主を守護するようにその周囲を飛び交うのはカマイタチと呼ばれる妖怪か。長男が態勢を崩し、次男が切り裂き、長女が癒す。三位一体の風の妖怪。 「そこのフィクサードとエリューション! この水無瀬夕子が相手してあげるわ!」 鎖でつないだトゲトゲ鉄球を手に、一人のリベリスタが名乗りを上げる。水色の着物を着たフィクサードは名乗りを上げたリベリスタを見て、 「貧相ね」 「どどどどどど、どこみて言ってるのよ!」 胸の辺りを隠すように抱きながら、そのリベリスタは叫ぶ。着物は体のラインが出やすくなっている。そのフィクサードの胸部は隠すつもりがないのか、見事なものだった。和服もそこを強調するように作られている。 フィクサードの扇が一閃する。晴天だった空から突如振り出す雨が、夕子をずぶぬれにした。 「ほら貧相」 「へ? ひぃあああああああ!」 夕子の濡れた服が体に張り付き、体のラインをはっきりと示していた。ついでに薄く透けた服が、下着の色をうっすらと写している。 「出直してきなさい」 扇がさらに一振り。突風が夕子を包み込み、遠くに吹き飛ばす。 「うわああん! もうやだー! 服があるだけ今までよりはマシだけど!」 濡れ濡れ透け透けの状態で夕子は撤退した。 ●アークの水着達 「お前ら水着の準備は十分か?」 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)は集まったリベリスタ達に向かって、説明を開始する。 「え? 今回の依頼はフィクサード退治じゃないのか?」 「ザッツライト。だが不用意にあのフィクサードに近づけばあの少女のように酷い目にあう。お前達がトゥーン並にのた打ち回るのは確かに見てみたい気もするが、仕事は仕事だ。 あのアーティファクトは雨と風を操るモノだ。一説では中国の『芭蕉扇』をコピーしたものとか何とか」 「……で?」 突如降った雨があの扇によることは想像できる。その先を促すようにリベリスタは問いかけた。 「あの雨に打たれれば碌に戦闘できないだろう。そして雨を避けることなどで気やしない。だから逆転の発想だ。 服が濡れるなら初めから着なければいいじゃないか」 「まさか最初の質問は」 「イエス。水着を着て戦ってもらおうということだ。それなら濡れても問題ない」 やだなー。そんな顔をするリベリスタたち。 「フィクサードは覇界闘士の前衛タイプ。アーティファクトの扇をそのまま使って戦ってくる。 後Eビーストが三体いる。バッドステータス系が一体と攻撃系が一体、後癒し系が一体だ」 「見た感じは悪事を働くようなフィクサードに見えないんだけどな」 「まぁな。強さを求めて戦う求道者タイプだ。組織に所属しないのは性格だろうな。厄介なのは強さを求めるために倫理を無視するところか。放置するとこのあたりのリベリスタの小組織が痛手を蒙る」 「ああ、あの鉄球娘はそのあたりから依頼を受けたのか。そういえばあの娘は?」 「近くの路地裏で隠れてる。触れてやるなよお前達」 レディには優しさだぜ、と伸暁は告げる。そのままリベリスタを送り出した。 「水着の前披露と思えば気も楽になるだろう。自慢の水着を見せ付けてこい」 そういう依頼ではないのだが。 ともあれその声に背中押されて、リベリスタはブリーフィングルームを出た。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年07月11日(木)22:53 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●突然の雨 炎天下の日差しに降る雨。わずか十数秒の神秘の雨は、精々服を濡らす程度の効果しか生まない。 しかしそれで十分。服が濡れればその分重くなり、また相手に掴まれやすくなる。 故にリベリスタは濡れてもいい服を着てきていた。 ●おっきい順ですよ(裁定はどくどくです) 「日本の伝統的水泳用着衣、スクール水着。通称スクミズ装着完了!」 元気に拳を上げたのは『ピンクの変獣』シィン・アーパーウィル(BNE004479)だ。童顔、フュリエ耳、でも巨乳。そんな彼女がスク水を着れば、胸部のところがとんでもない山盛りになっていた。胸元にある名札の『しぃん』が少し歪んで見える。 「胸がきつくても我慢! スクミズはキツキツになるからいいものだって聴いたのですよ」 誰にだよ。いや、アークにはそういうこといいそうな人いるけどさ、沢山。 「戦闘で水着は~、実はアークでは珍しくないですしね~」 間延びした口調でユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)が着ていたシャツを脱ぐ。中から現れたのは黒のスリングショット。肌を極端に露出する水着は、ユーフォリアのボディを隠すことなく見せ付けていた。 「も~。シャツがびしょぬれじゃない~」 「ふむ、一時の涼には最適じゃが、夏の暑さを吹き飛ばすには不向きじゃのぅ」 『還暦プラスワン』レイライン・エレアニック(BNE002137)が着ていた服を脱いで幻想纏の中にしまう。服の下からのぞくレイラインの肌――はスクール水着に覆われていた。こちらのスク水も胸が山盛りになっている。 「胸元キツいのが難点じゃの……」 競泳用である以上上部で動きやすくはあるが、サイズだけはどうしようもなかったらしい。 「あの扇を水不足の地方とかに使えば……だめか。スキルと同じで十秒しか降らないのか」 最近の夏の暑さに辟易していた『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)ががっくりとした表情で肩を落とした。濡れたパーカーの下から健康的な小麦色の肌とワンピースの競泳水着。戦闘用に頑丈なものを用意してきたのだ。 「パーカーを脱いだら水着とか、撮影っぽくね?」 落ち着けアイドル候補生。 「『水着だらけのリベリスタ』……それはいいわ。しかし『浴衣もあるよ(敵だけ)』と云うのは頂けないわね」 第四の壁を突破したセリフを『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422)が吐く。そんな彼女の姿は腰の帯から下が黒の競泳水着で、上がノースリーブで袖は別パーツの白の浴衣風。腕に袖付き。そんな改造水着である。 「水着を着る、浴衣を敵だけにしない。両方やらなきゃいけないのが天邪鬼の面倒な処よね」 「雨と風はとっても気持ち良いね!」 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)は雨をタオルで拭きながら気持ちよさそうに微笑んだ。白いTシャツを脱げば、健康的な体と青と白の縞々ビキニ。エネルギーあふれる肉体だ。 「さぁ、がんばるよ!」 「今回の面子は女性だけだから、濡れ透けでもあまり恥ずかしくないわよね」 『マグミラージュ』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)が濡れた白衣をぬげば、青いスクール水着が現れる。十歳前後の肉体相応に水着は似合い、黙っていれば保護欲を沸き立たせる可愛さがあった。 「でもそれだと、恥ずかしがる女の子たちの表情が見れないので物足りないのよね」 あくまで黙っていれば、である。 「まさかこの水着の封印を解く事になろうとは……もう絶対に装備しないと心に誓ったはずなのに」 自らを包む白いスクール水着を見ながら『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)が呟いた。なんとなくデジャブ。いやなら売るかあげるかすればいいのだが、それもできない乙女心であった。あと回避と速度修正高いし。 「……この運命からは逃れられないんですか……?」 運命に従うか、運命に逆らうか。リベリスタは常にその二択を突きつけられている。リンシードは逃れられぬ縛鎖に抗うため剣を握った。 「さすがアークのリベリスタ、と褒めておきましょう」 月原は全員水着に着替えたリベリスタを見て、賞賛の声を上げる。それはこの雨のことを予知できた『万華鏡』に対してか、あるいはこの人数をそろえたアークの采配に対してか。 月原が二本の扇を構える。浴衣のなかで形のいい胸が揺れた。重量のある揺れだ。一部リベリスタに殺意が生まれる。 ともあれ両者の戦意は十分だった。静かに対峙し、そして両者ほぼ同時に動き出した。 ●ぶつかり合う戦意 「大きければいいってものじゃないのよ!」 最初に動いたのはソラだ。ソードミラージュの素早さを持ちながら、マグメイガスの如く高い魔力で敵を討つ。『万華鏡』による敵情報を鑑みれば、遊んでる余裕はあまりない。放たれた稲妻が月原とカマイタチをなぎ払う。 「チェインライトニングのおかわりはいかが?」 二の稲妻がソラから飛ぶ。速度を兼ね備えた魔術師の先制攻撃が、カマイタチに稲妻の残滓を残す。 「剣は透けてますが、水着は透けませんからねっ……!」 稲妻を追うようにリンシードが駆ける。『Prism Misdirection』と呼ばれる透ける様な刀身を持つ剣を掲げて。走る勢いを殺さぬままに剣を振り下ろした。リンシードの速度がそのまま破壊力に変わる。 「無い方が、速く動けます……貴女も更なる強さを求めるなら削ったらどうです?」 「じゃあ速度重視のあなたは一生『無い』のね。可愛そうに」 月原の同情とも取れる言葉に反論が詰まるリンシード。 「わらわは『ある』けど速いぞえ」 ぽよん、と胸を揺らしてレイラインが月原に迫る。花柄の二対の扇は万華鏡のよう。その扇を構えて舞うように月原に攻撃を仕掛ける。相手の視界をふさぐように扇を展開させ、その隙に月原の胴に一撃を加える。 「お主も扇使い……どちらが華麗に舞うか、勝負と行こうじゃないかえ」 「あなたが花の舞なら私は風の舞い。花びらは風の前に散る運命です」 四枚の扇が、蝶のように舞う。演舞にして円武。優雅に見えて苛烈に。 「見分け方なんて知らないけど、薬が目印かな?」 ティセはカマイタチの長女に向かって走る。身を屈めて空気抵抗を低くし、猫のようにしなやかにカマイタチに迫る。その爪に低温の空気がまとわりつく。跳ね上がるような爪の一閃がカマイタチを凍らせ、その動きを封じる。 「回復には行かせないよ! ……でもその薬ってカマイタチに傷つけられた人につけるんじゃなかったっけ?」 首をかしげるティセ。まぁそうなんですが、そこはそれエリューションということで。 「それじゃあ~、いきますよ~」 間延び口調とは裏腹にスリングショットの水着で動き回るユーフォリア。背中の羽根を広げて両手にチャクラムを回転させながらふわりと飛ぶ。回転するたびに威力が増す円環の刃がカマイタチの次男を襲う。 「破界器の水着なら~、どんなに動いてもずれませんよ~」 それはBNE倫とかいうやつなのであって、破界器でもポロりする時はします。油断したら駄目ですよ。 「そうだぞ! ギャグシナリオは油断したら駄目なんだからな!」 以前、というかこれまでに散々な目にあっている明奈が力説する。巨大な盾を持ちカマイタチ次男の体を掴んで足を止めていた。カマイタチの鎌で血だらけになりながら、手にした盾でカマイタチを殴打する。 「こちとら破かれる前提だ! かかってこい! 数多の(アレな)依頼経験がワタシを強くした!」 普通のフェイトや社会的フェイトとかを削って仲間を守るクロスイージス。それゆえの言葉である。開き直ったとも言うが。 「社会的フェイトは置いてきたです。この戦いについて来れそうに無かったですからね」 ボトムチャンネルにきてよくない言葉を覚えたシィンは、フィアキィに命じて冷気を生む。菫色のフィアキィが円を描きシィンの魔力を冷気に変換する。二にして一。一にして二。ラ・ル・カーナからともにある相棒との絆は記憶を失ってもなお深く。 「雨風を呼ぶなら、濡れた身体を凍らせるか、風邪をひくかしてしまえばよいのですよ!」 氷風はカマイタチを襲い、体温を奪っていく。 「Partyの装いは十全かしら?」 『PDW』を構えエナーシアが大地を蹴る。長年なんでも屋として生計を立て、体の一部といってもいい銃器。その祝福を受けているエナーシアの抜き打ちの速さはまさに神速。狙うと思って視線を向ければ、すでに弾丸は放たれている。 「暑さには丁度良い雨だわ、ゆるりと参りませう」 腕につけた袖がひらりと舞う。矢次に放たれる弾丸。時折悪運が重なり射撃が止まるが、それでも連続で放たれる弾丸がカマイタチ次男を地に伏した。 「なるほど。数の優勢で後衛を守り、集中砲火で各個撃破。基本に忠実な攻め方ですね」 達人の歩法を使い、攻めの速度を加速する月原。リベリスタの戦い方を褒める口調に悪意は無い。戦いなれているリベリスタたちを素直に評価していた。 それでもその顔に焦りは無い。まだ勝敗は決していないという顔で攻める月原。 リベリスタも油断はしない。戦意を高めて攻め続ける。 ●ぶつかり合うおっぱい? リベリスタはカマイタチの数を減らす方針で戦っている。その間月原の相手はレイラインが行っていた。 「さぁて、ここからが本番じゃ! わらわの全開、受けきれるかえ?」 扇の速度ならレイライン。打撃の重さなら月原が勝っていた。その速度を加速するためにレイラインは自らの神経に神秘の力を通わせる。扇の回転速度がさらに増す。あとおっぱいの揺れも。 「年寄りの冷や水です。無理をすると腰に来ますよ」 「年の話はすんにゃ!」 別にこの精神的ダメージというわけではないが、月原との攻防でレイラインは運命を燃やす。ぽよん。 「というか、近接職で激しく動き回ってる貴女の胸って、形が崩れてきてるんじゃないですかね?」 スィンがフィアキィと共に仲間を回復させながら月原に言う。動くたびに揺れる胸は、確かにスィンの言うように戦闘開始時の形を保ってなかった。たゆん。 「ええ。直すのが大変なんですよ。こういうときは貧相な方がうらやましいです」 ため息をつく月原。持つものの悩みである。それでもある程度の形を維持できるのは、正中線を保つ武術動きゆえか。ぽわん。 「貧相……誰がフラットトップですかっ……何が普通のマウスパッドですか……白い平原とか……上から下まで一直線とか……! ってどくどくSTが何か追加しました!」 リンシードの剣を持つ手に力がはいる。すとん。 「胸の大きさだけで人を判断するなッ! 重要なのはバランス、そして、愛嬌だ!」 激昂する明奈。色々大きな胸に思うところはあるのだろう。ぱゆん。 「現実的に見て、男の歓心を引くのはどちらでしょうね?」 「「ぐ……っ!」」 月原の鋭い一言にリンシードと明奈が悔しそうに押し黙った。アークの男衆の趣味は様々だ。むしろ特殊なほうが多いが、一般的には胸の大きさに惹かれる男性は多い。第一印象は重要なのだ。 「そうよ~、かなしいけど~、これが現実なの~」 ユーフォリアが悲しそうに頬に手を当てて言う。羽ばたくたびにわずかな布で覆われた胸が小刻みに揺れる。たぷんっ。 「強さは認めてあげる。でも色気はまだまだね」 ソラがロリロリボディの胸を誇示しながら稲妻を放つ。物量で負けて、なお胸を張る。その自身がどこから来るのかわからないが、それに鼓舞されるロリコン共……もとい、仲間がいる。ぺたん。 「そうだよっ! ティセはまだ十五歳だからまだまだ成長するよ」 十五歳と思い込んでいる二十二歳のティセは、将来の可能性を信じて胸を張った。革醒者の成長は様々だ。二十二歳で成長が止まらない可能性も、無いではない。ぽゆんっ。 「どうでもよかろうなのだわ。私の目的は半分達したし、残りの半分のためにあなたにはとっとと倒れてもらうのです」 エナーシアの銃が火を噴く。浴衣風水着の披露が目的の半分。残りの半分のために邪魔なフィクサードには倒れてもらわないといけない。ゆさっ。 八人の水着が戦闘で動く。小麦色から白色までの肌が乱舞し、大小さまざまのおっぱいが揺れた。 「よくわからない技だけど……回復なのは間違いないようね」 ミステランのスキルは見たことが無いが、EPを回復するスキルを放つスィンに向かって月原が扇を向ける。扇で足元を掬うように動かせば、風が投げ飛ばしたかのようにスィンが背中から地面に叩きつけられた。スクミズに覆われた胸がぱいん、と揺れる。 「ひゃん! よくもやりましたね!」 運命を燃やして立ち上がるスィン。 蔑むような視線を向ける月原。その笑みに怒りを燃やし、リベリスタはさらにヒートアップする。 ●戦闘終了までダイジェストでお送りします。 「何で私ばっかり狙うんですか!? もしかして自分のセリフが地雷だったとか!」 「違うわ、スィンさん。普通に回復から落とそうとしてるだけよ。庇うから安心しなさいな」 「はぁ~い。これで最後のカマイタチもおわりです~」 「ふふん、どうやら散りゆくのはおぬしのほうじゃな。花びらは風に舞うものじゃ!」 「胸を強調するような和服は邪道ッ! 秘めてこそ引き立つ色気もある……それを分からぬようでは、アンタは二流!」 「そうはいいますが隠し切れないので。ならばこのような形にするのが妥当かと」 「貴女の胸を整地しきるまで、私は諦めない……この世から、駆逐、してやります……!」 「おっぱいの大きさが戦力の決定的差でない事を教えてあげる」 「これでトドメだよ! 攻撃は最大の防御!」 「くっ! ……御見事です。これが噂に聞いた箱舟の水着部隊なのですね……」 「「「「まて、それはどんな噂だ!」」」」 ●あなたは(アレな目にあう)運命に従う? それとも逆らう? 「安心、してください……殺しはしませんが、反省はしてもらいます」 月原を布団で包み、アーティファクト効果で雨を降らせて濡れ布団にするリンシード。月原の胸の辺りをきつく縛るあたり、若干私怨が入っているのかもしれない。 「のうお主、アークにきて適度に雨風を吹かせて涼を運んでくれんかのぅ?」 「お断りします。敗者の理で扇は諦めますがプライドまでは譲れません」 レイラインの提案を一蹴する月原。アーティファクトの扇は微妙な調整が必要なのか、ちょうどいい雨風を生むのは難しい。アークに預けるのが最良だろう。 そして他のリベリスタはというと、 「あ~、あそこにいますよ~」 ユーフォリアが指差すのは小さなバス停。木造の停留所の壁に隠れるようにしてシャツを絞っている夕子の姿があった。シャツを脱いでいるので上半身はブラのみ。視線に気づき、慌ててカバンでブロックする。 「なななななななー!」 「別に濡れて透け透けでも女の子しかいないから恥ずかしくないよ。あたしたちは水着着てるから恥ずかしいわけ、ないけど」 「水着と下着じゃ大違いよー!」 ティセの言葉に涙目になって叫ぶ夕子。そんな夕子にタオルをかけてやるスィン。その優しさに剣幕もわずかに和らぎ―― 「胸の価値が、女の価値ではないのですよ」 「私は普通なのっ! ……普通より少し小さいだけなの!」 やっぱり和らがなかった。 「あー、もう。一人で戦うからこんな目にあうんじゃない」 何度か邂逅している明奈が優しくフォローする。行き違い(?)もあって夕子はアークを毛嫌いしていた。 「そろそろアークを許してくれない? 一人で戦うのも大変じゃないかな……」 「ううう。そうなの! フォーチュナの情報は曖昧だし! 毎回こんな目にあうし!」 明奈の同情に涙する夕子。ぴこん、とNPC加入フラグが―― 「ところでソラさんとエナーシアさんは何をしてるんですか?」 スィンの言葉に撮影機を持ったソラと、カメラを持ったエナーシアが悪びれなく答える。 「ん? リベリスタの戦いの記録とか? 次回の学園祭で使う資料? あ、その恥じらいいい表情!」 「三高平に来てから写真という趣味ができたのだわ。せっかく水着と田んぼというミスマッチなのだから、撮っておこうと思って」 「え……だめ、こんなとこ撮らないで! 撮っちゃやだぁぁぁ!」 BNE倫に引っかかりそうなセリフを吐いて、夕子が脱兎の如く走り去る。上半身ブラジャー&濡れスカートの姿で。 「夕子ちゃん服ー……ああ、行っちゃった」 「大丈夫よ。彼女も革醒者。ピンチの運命はきっと努力で乗り越えるわ」 「連絡先とか……知りませんものね……」 「大丈夫ですわ~。地元の組織もあることですし~」 「……それって、知り合いにあの姿を見られるってことだよね」 色々想像して、いたたまれない気持ちになるリベリスタであった。 幻想纏いから服を取り出し、着替えるリベリスタたち。 少し早めの水着披露となり、我に返れば恥ずかしさも湧き出てくる。 「これ、報告書に残るんだよね」 「でもマシなほうじゃない? まだ」 「…………ですね」 そんな会話をしながら、リベリスタたちは三高平に戻るのであった。 夏は近い。水着の季節はもう間近だ―― |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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