●異世界の結晶 「あ~あ、失敗したなぁ」 呟きながら少年は、コンビニの袋を手に帰り路を急いでいた。 「ちゃんと見ておけば、スーパーとかでもっと安く買えたのに……」 一人暮らしを始めたばかりというのもあるが、自分のうっかりさ加減というものに、軽く凹む。 夜になるとほとんど人気のない地区を、できるだけ足早に通り過ぎようとして…… 「……あれ?」 少年は交差点の中央に、何かが立っているのを見てギョッとした。 昔、理科の実験か何かで見かけただろうか? 三角形……三角柱? の、ガラスのような……プリズムとか言っただろうか? あれを幾つか組み合わせて無理やり人型にしたような何かが……交差点の中央に、立っている。 いや……わずかに地面に浮いている。 (……な、何かの撮影かな? ど、ドッキリとか?) どこか現実味を伴わない光景のせいか、それほど怖さは感じなかったものの……わけの分からぬ不安がこみ上げてきて…… (……と、とにかくこっそり引き返そう!) 少年がそう考えた時だった。 その何かが、頭部らしきものを少年の方へと向ける。 次の瞬間、そのガラスの塊のような身体から光が周囲にあふれ出した。 ●ガラスと十代 「アザーバイドは彼を襲った後も周囲をうろつき、発見した生き物を襲おうとします」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう説明した。 今はまだ、少年も襲われてはいない。 コンビニに行った帰りに異世界の存在に襲われて命を落とすなどと、今の彼は夢にも思っていないだろう。 もちろんそのような事態は、実際に起こらぬように対処しなければならない。 場合によっては被害はさらに大きくなる可能性もあるのだから。 「道路の封鎖などはアークの方で行います」 そう言ってフォーチュナの少女はスクリーンに地図を表示させた。 幸いアザーバイドが現れる時間帯となる深夜には、周囲には建物含め一般人はいないようだ。 「ですので、皆さんは戦いに専念してください」 彼女はそのまま端末を操作し、スクリーンに画像を表示させる。 透明な三角柱を幾つか組み合わせ人型にしたような何かが、地図とは別のウインドゥに表われた。 「こちらが今回出現するアザーバイドです」 アザーバイドは深夜、街の中の交差点に姿を現し、周囲をしばし確認してから動き始める。 そして生き物を発見すると、攻撃を開始するようだ。 「無差別に周囲を破壊する訳ではありませんが、人間に限らず小動物や鳥なども攻撃対象にするみたいです」 D・ホールは出現直後に閉じてしまうようで、追い返す手段は無い……つまりは、被害を無くそうとすれば倒すしかない。 「アザーバイドの体は、受けた攻撃の一部を反射する能力を持っています」 体そのものが結晶か何かのような構造で、防御力や耐久力が高いようだ。 精神系や麻痺系、呪い系等の異常も受け付けないらしい。 「動きはそれほど機敏ではありません。回避能力等も低いみたいです」 ただ、攻撃の方はなかなか回避するのは難しいらしい。 攻撃手段は1つだけ。 「体から周囲に向かって七色の光を放つ、という攻撃を行ってきます」 遠距離まで届くこの攻撃は、範囲内の全ての対象に神秘系のダメージを与えるようだ。 「加えて範囲内の十代の対象を結晶というか、ガラスに変化させてしまう効果もあるんです」 石化のような感じだとお考え下さいとフォーチュナの少女は補足した。 石ではなくガラスになってしまうという部分以外は、効果は石化と変わらないようである。 「それなら、アタシも少しは役に立てそうかしら?」 マルガレーテの話を聞いていたトニオ・ロッソ (nBNE000267)が、そういって微笑んだ。 「ほら、アタシ十代じゃないし……みんなと比べれば弱いケド、その点は少しは役に立てるかしらって」 「あ、すみません。十代じゃない人は……普通に石化するみたいで……」 「あら……そうなの?」 「す、すみません……」 「いいのよ、アタシが早とちりしちゃったダケだし?」 十代のうちは綺麗で輝いてて脆かったりもするけど、それを過ぎると固くて地面に埋まっている何かに変わっちゃうって事かしらね~と、呟いたのち…… 「……そうなると微妙だけど、折角だしアタシもお邪魔しちゃって良いかしら? あ、もちろんホントに邪魔にはならないように頑張るわよ?」 「あ、はい。問題ありません」 「ありがとう。それじゃ、みんなも宜しくね~?」 青年はそういって、リベリスタ達に向かって微笑んでみせた。 「色々と変わった処がある相手ですが、皆さんでしたらきっと大丈夫だと思います」 とはいえ、油断せずお気をつけて。 フォーチュナの少女はそう言って、リベリスタ達を送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月18日(火)23:16 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●自己主張というもの 「こんばんは! アークのアイドル、セレアさん17歳です! 今日も元気に頑張ります!」 「きゃー! セレアちゃん、ステキー!!」 『┌(┌^o^)┐の同類』セレア・アレイン(BNE003170)に向かって、トニオ・ロッソ (nBNE000267)が歓声をあげ拍手する。 「霧里まがや、10歳でーす☆ミ ……なんて戯言、男がやってもさして面白いもんでもないな」 「まがやちゃんもステキーッ!!」 ただの日課として痛覚遮断発動中、『霧の人』霧里 まがや(BNE002983)の言葉にも、トニオが黄色い声をあげて拍手を繰り返した。 「……ま、いい」 呟いて、まがやは持ってきたICレコーダーを準備した。 セレア・アレイン自称17歳に、今一度年齢確認をする為である。 「自分で宣告してくれたら手間が省けるのだけどねこの辺」 「え、17歳には見えない? 大人びてる? それはそれで嬉しいけど、嫌がる人も居るからあんまりそういうこと言っちゃ駄目よ?」 何事もなく手間は省けた。第一段階、完了。 (あ・と・は、敵の攻撃で石化したら耳元で録音したやつを再生して差し上げるだけっと) 「私ったらちょうしんせつね」 レコーダーを手に、まがやは変わらぬ調子で呟いた。 (あれでほんとに17歳なら大したものだけど) 「ま、どーせ17歳と108ヶ月とか言うオチなんだろうねぇ。お約束は必要だ、様式美様式美っと」 ネタは多い方が良いから、他にも年齢回収できる人がいるならICレコーダーで。 (とはいえこの状況で、サバ読める度胸のある人どれだけいるかな?) 度胸が大事であって、気にしない人だとネタにはあまりならない……そんな気もする。 こういうのはきっと、事実がハッキリしたの瞬間のリアクションが大事なのだ。 性別とかは関係なしに。 ちなみに、ミルト・レーヴェ(BNE004277)も年齢特に気にしない派の女性の一人である。 (……今回の相手、人によっては色々と大変なんだろうなぁ……僕には余り関係ないけど) 「10代の子供達をガラスに変えるアザーバイドさん、かぁ」 どういう意図があるのか……そんな事を考えてから、ミルトは短く口にした。 「どんな意図があっても、放って置く訳にもいかないんだけどね」 ●十代のコロ、ココロ (若い人だけガラスになるというのは、何かちょっと神秘的ですね) 「素敵、と言ってしまっていいのか判りませんけど」 クラリッサ・ベレスフォード(BNE003127)のそんな呟きを耳にしながら。 (昔々の歌のタイトルだそうね) 「最近でもその例えを聞く事があるけど……」 『屍喰鳥』花喰・珠々璃(BNE004547)は考え込んだ。 それなりに、酸いも甘いも知ってるつもりなのに。 「年齢制限に満たないからって、アザーバイドにまで線引きされたくないわね」 表情に、不満げな何かが浮かび上がる。 (単純に経験不足だと言われてるようで癪よ) 「ここで仕留めて不足分の血肉に換えてやるわ」 感情を滲ませたまま、少女はそう呟いた。 「十代の人間だけがガラス状になり、それ以外は石化する攻撃、ですか……」 一方、どこか思い詰めたような表情で『戦士』水無瀬・佳恋(BNE003740)は、今回のアザーバイドの事について口にする。 「どうにも腑に落ちません」 (10年、という単位で時間を捉えるのは人間だけだと思います) 「もちろんアザーバイトでも、一部、そういうことはあるかもしれませんが……」 言い聞かせるように口にしても、やはり気持ちはそちらに向いてしまう。 こちらの世界のことをある程度知っている存在か、そうでないのかは判らない。 (何かしらの意図を持つ相手が、このアザーバイドを送り込んできたのだとしたら) 「……そうでなくとも、故意に産み出された存在である可能性は高いように思えます」 「どうしたの? 水無瀬ちゃん?」 「あ、いえ……」 小首を傾げたトニオの問いに佳恋は軽く、かぶりを振ってから呟いた。 「考えすぎ、でしょうか」 「アタシには難しい事は分からないケド……考えたり悩んだりするのって、大事なコトだと思うわ」 そう言って微笑んでから、青年は……でも、と続けた。 「今はそれよりも、目の前の事じゃないかしら?」 「……そうですね」 (それにしても、十代、ですか) 頷いて、佳恋は一旦考えていたことを頭の片隅へと追いやった。 自分はつい先日、20歳になったばかりだ。 十代の頃は、ただ、リベリスタとなるために訓練を積んでいた記憶しかない。 「良いも悪いもない、私が私であるために費やした時間、でした」 淡々としているようで、どこか気負ったものを滲ませながら、佳恋は言葉を紡ぐ。 「私はただの剣です、年齢など取るに足らない要素です」 その言葉に青年は目を細め、何か言おうとして……唇を震わせたあと、そう、と……一言だけ、呟いた。 「ティーンエイジャーの頃は私、ガラスのように綺麗だったのでしょうか」 どこか遠い目をしながら、クラリッサも呟いた。 少しだけ、思い出せたような気がする。 毎日が新しくて……でも、何かに閉じ込められているようで。 それでいて、それすら楽しめる。 「そんな不思議な経験をしていたような気がします」 そんな言葉に、トニオが先刻とは違う仕草で、目を細めた。 「“あの頃はよかった”という言葉を使う人を、たまに見かけます」 半呼吸おいて、彼女は続けた。 「私のティーンエイジャーの頃を思えば、“あの頃もよかった”でしょうか」 「……ステキね? そんな過去も、今のアナタも」 そんな言葉に短く礼を言って、クラリッサは表情を引き締めた。 「さて、人の命を奪いかねないアザーバイドは何とかしないと」 ●アザーバイド・プリズム 珠々璃は翼を羽ばたかせ、低く飛びながら前衛に位置を取った。 仲間が範囲攻撃撃ち込むスペースを確保する為に、他前衛との間隔に気を付けて。 (自己申告で十代と言ってた人がどの辺りに位置取ってるか) 硝子化した人が壊れないように注意する為、その位置は把握しておきたい。 さまざまなものに気を配りながら、少女は自身のギアを切り替えた。 (さて、色々と考えていても始まりません) 「まずは目の前の敵を倒すことに集中しましょう」 自分には石化を防ぐ手立ては無いのだ。 佳恋は真正面からアザーバイドへと距離を詰めた。 白鳥の羽を思わせる白い長剣へと殲滅の闘気を注ぎ込み、叩き付ける。 ガラスのような外見をしていても、アザーバイドの体は強靭だった。 とはいえ、その強靭さを以てしても押さえ切れぬほど、佳恋の一撃も強力である。 (小細工してどうこうなる相手じゃないですし、正面から火力でねじ伏せるわ) 続いたセレアは息も尽かさぬ高速の詠唱を用いて、自身の血を黒い鎖として実体化させた。 「ガラスのくせしやがって、他人の年齢を判別するとか何様のつもりですか、このアザーバイド野郎! 何とか言えってんです! 噛むわよ!(吸血的な意味で)」 その言葉と同時に、無数の黒鎖が濁流と化してアザーバイドに襲いかかる。 それらの攻撃でダメージは受けているものの、アザーバイドに揺らぐ様子は無かった。 ミルトは世界から借り受けた癒しの力を自身に付与し、決して倒れぬようにと長期戦の構えを取る。 なるべく早く倒せるようにはしたいとは思うものの、慎重に動かねばならなかった。 今回、アザーバイドの石化を無効化する能力を持っているのは自分だけしかいないのだ。 石化、今回の場合は硝子化も含むが、それを解除する力を使える者はならば他にもいるが、相手の攻撃圏内に留まるとなると、石化を耐える事は難しいだろう。 「ま、とりあえずお遊びが上手くいくかは置いといて。やることはやりましょう」 味方の癒しの範囲を確認して移動すると、まがやは自分を中心に複数の魔方陣を展開させた。 クラリッサは皆から離れすぎないように回復を意識して後衛に位置を取る。 もっとも相手はまだ動いていなかった為、癒しを必要とする味方はいなかった。 彼女は詠唱によって展開した魔方陣でマジックミサイルを作り出し、アザーバイドを狙う。 皆の様子を見ていたトニオは、アザーバイドの動きに意識を集中させているようだった。 そして……アザーバイドの結晶のような身体の内側に、光が宿る。 プリズムから放たれたように様々な色に見える光が、一瞬で周囲を包み込んだ。 (できれば石化したくないなぁ) 「だって17歳ですもん」 呟いたり思ったりしつつ、セレアが光の直撃を受ける。 痛覚遮断をしたまま故か、痛くないことにかこつけて。 まがやは目茶苦茶適当に回避動作を……というか、寧ろカッコよさを重視する感じで右手で羽織ってる着物を無駄にバサーっと……無駄に洗練された無駄のない無駄な動きで広げて。 どこか満足げに、石化した。 かくして戦場には、幾つかの石像とガラスの像らしき物が一時的に存在する事となったのである。 ●ココロとガラスのカ・ケ・ラ 「あたし、ガラスみたいに透明で綺麗だったでしょ? ぴっちぴちの10代ですものね!」 そりゃもう素敵な笑顔で、セレアが問い掛ける。 「うっさいですよ、誰かも言ってました、一発だけなら誤射だって。よく狙って直撃コースで葬操曲を誤射しますよ!」 否定を否定する言い方も堂に入っているというか手慣れていると言うべきか。 「よく狙うのを誤射とは言わない、とか常識論なんて知ったことじゃないです!」 そんな危険な発言をしつつも、そこで止めずに彼女は続ける。 「まぁ、本気で味方を誤射するほど性悪じゃないですけどね! 言ってみてるだけです! 厨二病なめんな! あ、厨二病ってことは14歳前後ってことじゃないですか! やっぱしあたし若い!」 メンタリティだけ14歳前後、というのは当然禁句なのだろう。 珠々璃の方も、ガラス化させられた事を憤っていた。 もっともセレアのように、ハッキリと表には出していない。 「いやだ私、傷付いちゃった」 静かに、表面上は静かに。 「脆くてぱりんと割れた硝子の破片は鋭い凶器になるってこと」 ……されど、内に秘めたものを…… 「倒す前に教えておいてあげるよ」 少女は滲ませながら、燃え上がらせる。 もっとも、それで何かを誤るという事は無かった。 アザーバイドを見つめる彼女の瞳には、内に燃える何かと同時に冷めた輝きも宿っている。 幾つものプリズムを組み合わせた人型。 「綺麗ね」 別の者のように、少女は呟いた。 (人の皮を剥いだら中身はきっとあんな風に、思い出一つ一つが組み合わさって形作られているんでしょう) 「さあ、その結合部は弱点になり得るかしら」 若いから脆いとは思われたくない。 攻撃という面で力が不足している自覚はある。 「少しでも削れる方法を試していかないとね」 それを精確に狙うのも容易ではないと判断する冷静さも、持っている。 だから珠々璃は、まずアザーバイドの動きに意識を集中させた。 ●それぞれの、真っ直ぐ ひたすら、闘気を籠めた白刃を。 佳恋はアザーバイドへと振るい続けた。 もっともその一太刀一太刀が、未熟なリベリスタやフィクサードであれば一撃で倒せるだけの破壊力を持っている。 単純な戦闘能力という点で見れば、彼女の力は圧倒的だった。 それに驕ることなく、佳恋は冷静に戦況を判断する。 石化しないという能力を持っているミルトは、今回のメンバーの中で重要な存在だった。 敵の攻撃よって彼女の負傷が蓄積するようであれば、庇う事も考慮に入れて。 佳恋は刃を振るい続ける。 攻撃の方を主に、石化の解除は味方が失敗した場合のみ……そんな風に考えていたミルトは、結果として邪気を退ける光を生み出し皆の異常を解除するという役割にほぼ専念するような形になっていた。 彼女より先に動ける者のほとんどが、ガラス化したり石化したりしてしまう為である。 セレアが動ける場合は無論解除を行ってくれたが、それが可能なのは彼女が自身の力で動けるようになった場合のみだった。 アザーバイドの攻撃を避ける事は、セレアだけでなくこの場にいる誰もがほぼ不可能だったのである。 威力そのものがそれほど強力でなかったのは、不幸中の幸いと言えるだろう。 「めんどいなぁもう」 まがやは呟いたのちに詠唱によって魔方陣を展開し、創り出した魔力弾をアザーバイドに放った。 味方を巻き込まないなら魔炎を炸裂させようと考えてはいたものの、直接切り結ぶ者がいると、巻き込まないように攻撃するというのは中々に難しい。 数度に1回、というところだろうか? 本人的にはお茶をにごしているという気分だった。 自身の内で気を練り上げている為、消耗は決して大きくは無い。 加えて彼の肉体は、負傷と同時に高速で再生を開始していた。 もっとも、流石にそれで全ての傷が塞がるほどではない。 それら仲間たちの負傷には、クラリッサが気を配っていた。 皆から離れすぎないように気を付けて、彼女はもっとも負傷していると感じる者に癒しの力を施していく。 自身の負傷にも注意して、自分が耐えるのが難しいと判断すればアザーバイドの攻撃範囲の外へと退避し、彼女はそこから仲間たちに癒しの微風を送り続けた。 充分に狙いを定めたトニオが、気の糸を放ってアザーバイドを締め上げる。 それでも、アザーバイドは意に介さぬという様子で七色の光を周囲に放ち続けた。 もっとも、既にプリズムのような体の所々は砕け始めている。 その一点を狙うようにして、珠々璃はレイピアを振るって刺突を繰り返した。 連続攻撃は仕掛けない。 狙いを定めたのち、幻惑するような動きで創り出した幻影と共に動き、不意を打つように守りの薄そうな箇所を狙って突きを放つ。 敵が逃走や上昇した場合なども考えていたものの、今の処その気配は無さそうだった。 ダメージが蓄積しても、相手に逃げる様子は無い。 そもそも、そういった思考があるのかどうかも分からない。 石化して動けない時以外は、佳恋は長剣を振るい続けた。 直撃を受けたアザーバイドの体が、音を立てて半壊する。 光が放たれ、ほとんどの者たちが石化、あるいはガラスと化し、幾人かが自分を取り戻し、セレアかミルトが光を放つ。 最後となったのは、まがやの放ったマジックミサイルだった。 攻撃を受けたアザーバイドは、澄んだ音を響かせて……砕け散り、そのカケラさえも蒸発させ、この世界から消え失せた。 ●事件の終わりに 「リベリスタに年齢は関係ないでしょう」 サバ読みには言及せず、珠々璃は短くそれだけ口にした。 「何か良いわね~言い方が尖ってて、思春期ってカンジ?」 そんな物言いに言葉を詰まらせると。 「……あら、ごめんなさい? いじめてる訳じゃなのよ? カワイイ~って思っただけで♪」 青年がそう言ってウインクする。 「アザーバイトが間違える程に大人びていた、ということにすれば良いのではないでしょうか?」 (落ち込みそうな方もいらっしゃるようなので) クラリッサが、そんな言葉を発した。 というか、実際に歳を取ってない身体の者もいるのだし、寧ろ精神年齢で十代かどうか判別していたという可能性もあるのだ。 もちろん、本当のところは分からない。 そもそもアザーバイドにすら分かっていたか如何か分からないのだ。 ハッキリしている事は、アザーバイドは倒され、一般人に被害は出なかった……という事である。 少なくともそれで充分なのだ。 「それじゃ、報告に行きましょ?」 促す言葉に、頷いて。 リベリスタ達は日常を取り戻した街を後にした。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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