●星を見る人が見落とした物 その日、人工衛星『かすみ』は自らの役目を終え、ゆっくりと軌道を大気圏へと変えた。 「―――ふう」 動作を確認して、オペレーターは大きく息を吐いた。 この瞬間を経験するのは何度目だったか。数える程もないはずなのに、その時々を思い出せない。 差し入れされていた珈琲に手を付ける。砂糖が多めに入れられていたのか、思ったほど苦くはなかった。 人工衛星『かすみ』は日本人になじみの深い『ひまわり』と同じ気象衛星だった。 その成果は決して輝かしい物ではなかったが、今日の気象予報に少なからず貢献している。 「それも後幾らかもすれば、燃え尽きて塵になる」 感慨深い。その観測データを受け取っていたのが自分だからだろうか。 スクリーン上では『かすみ』が大気圏に突入し、燃え尽きるまでの予測時間が弾き出されている。それが、長年星を見続けてきた物に残された最期の時間だった。 「………」 じっと、画面を眺めたまま、どれくらい経っただろうか。 画面上から、『かすみ』を示すマーカーが消失した。 (……お疲れ様、かすみ) 珈琲を飲み干したオペレーターは席を立ち、どこか小さな背中でコントロールルームを後にした。 その数分後、太平洋岸に大きな被害を及ぼす災害が発生した。 ●災害を止めろ 「――以上が、私が視た未来です」 フォーチュナ、天原和泉が視た未来は、役目を終えた人工衛星が大気圏で燃え尽きず、地球の、それも日本の太平洋岸に落下し周辺地域に甚大な被害を及ぼすという恐ろしい物だった。 どうしてそんな事が起こるのか。その答えはすぐに彼女の口から知らされる。 「人工衛星『かすみ』はエリューション化、発現した意志により軌道を修正、エリューション特有の生存本能を発揮した物と思われます」 説明と共に彼女が資料を配る。そこにはエリューションゴーレム『かすみ』迎撃作戦、と銘打ってあった。 「我々『アーク』は当該神秘をエリューションゴーレム、そのフェーズ1と認定。皆さんの出動を要請します。作戦内容は資料の通りです」 和泉に促されるまま、資料に目を通せば、そこには大まかに以下のような事が書いてあった。 1、空戦部隊による攻撃(非撃破) 2、地上部隊による破壊 「かすみが直接地上に落下した場合、その被害は計り知れません。ですが、作戦としては水際の物になってしまいます」 そこでようやく顔を上げたリベリスタは、和泉の顔がしかめられているのに気づく。 「第一に、対象の破壊自体はある程度の人数による最大火力の全力砲火でどうにかなる計算なのですが、それを早期に行った場合、飛び散った破片がやはり周辺地域に被害を及ぼす可能性があります。第二に、地上部隊のみで事に当たった場合、相手に付加された加速が無視できません」 超高度からの落下物である。それこそ大災害を起こす程の。その破壊力は推して知るべし、だ。 「ですので、空中で適度なダメージを与えて相手の加速を緩和しつつ、地上で全力を以て破壊するという訳です」 確認するように和泉が集められたリベリスタ達一人一人の顔を見て、力強く頷いた。 「重要なのは人数の配分、ダメージの配分、攻撃手段等になると思います。空戦部隊は過度にダメージを与え過ぎず、かといって少な過ぎても加速を殺せませんし、地上部隊の方は考えうる全力で攻撃を仕掛けるのは勿論の事、万一のフォローも含めた動きが要求されます。これは……」 それぞれに重要な役割があり、また当然連携も必要とされる、まさに難題と言ってもいい作戦です。と、和泉は締めた。 「………」 超高速で落下する物に攻撃を当て、落ちれば大災害を引き起こす威力を持つそれに水際で立ち向かえと彼女は言っている。 それはどう聞いても無茶な話としか思えないような代物だが、目の前の女性の瞳は疑いなくリベリスタ達を見つめている。 出来ると信じているのだ。 ならば、応えるしかない。 「人工衛星かすみは、私達の生活を影から……いえ、宇宙から優しく見守ってくれていました。その最期が人に仇なす形になるのって、あんまりだと思うんです」 和泉が頭を下げる。 「皆さん、どうかよろしくお願いします」 その言葉には、彼女の心からの願いが込められているようだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:みちびきいなり | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月10日(月)21:03 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●作戦時間前、ヘリポートにて その日、空は何処までも晴れ渡っていて。 「準備、出来ました! いつでも出せます」 「ありがとう」 整備員の声に、『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)はたおやかな笑みを浮かべて礼を言う。 「作戦時刻まではまだある、そのまま維持して待っててくれや」 『アッシュトゥアッシュ』グレイ・アリア・ディアルト(BNE004441)はそう整備員に声を掛けてから、恐らく作戦前の最後の顔合わせになるだろう今回集ったメンバーを眺めた。 「空で一人がんばって、ついに終わりの時を迎える、か。泣ける話だな」 「地上で産声を上げ請われるままに空へと旅立ち、生まれ故郷を一人でただ見つめ続けて来た者の末路。物とは言えそれは……」 「残念だの。せめて粛々と終われれば良かったものを、鞭打つ形になってしもうた」 竜ヶ崎 恋(BNE004466)を始め『ヴリルの魔導師』レオポルト・フォン・ミュンヒハウゼン(BNE004096)や『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)達は口々にその儚さを思う言葉を未だ見ぬ標的へと語る。 「っていうかレオポルトさんとシェリーさんはさっきまでどこ行ってたの? 集合時間ギリギリだったけど」 『白銀の凶愛』御厨・忌避(BNE003590)が、咎めるよりも興味を先行させた表情で二人の顔を覗き込む。 「うぉっほん。それは秘密ですぞ」 「まぁ、作戦に対して有益な実験を行ってきた、とだけ言っておこうか」 口々に含みのある言葉を返した二人に、忌避はふーんと一言返した後はあれこれ自分で想像し始めた様だった。 「破壊自体は容易、空中班としてはどれだけ上手くやるかが求められてるんですよね?」 「だね、だから灯璃はこの翼を上手に使うつもり」 改めて自分の役割を確認していたのは『さくらふぶき』桜田 京子(BNE003066)と『断罪狂』宵咲 灯璃(BNE004317)の二人。 「人工衛星を落下中に破壊しろって、中々無茶な仕事ですよねー」 「高度3000m以上ってやっぱり寒いだろうし、そっちのが大変だよ」 「防寒具と酸素ボンベの発注、礼を言う」 ぽんっと、不意をつく形で灯璃の肩にアラストールが手を置いていた。先程まで恋達を見守っていたはずだが、どうやら順繰りに挨拶して回っているらしい。 「AFに念の為パラシュートの予備を入れておいた方がいい。最も、灯璃殿には無用の長物かも知れないが」 「んーん、心配してくれてありがとう」 互いに気遣いあう姿に、それを眺めていた京子は場が少し温かみを増したような気配を感じていた。 (……うん、悪くない) 例え無茶な仕事でも、このメンバーなら出来る気が、した。 「大変だと思うけど、頑張りましょう!」 心の奥底からはっきりと出た言葉に、気づけば全員の視線が京子に向いていた。 「そーだね。絵本の朗読から隕石撃墜まで幅広く応えちゃうぞ☆」 忌避がウィンクしてみせて、そこで、作戦時間がやってきた。 やる事はさっさとやるもんさ。と、どこかつっけんどんな物言いでグレイが輸送機に乗り始めれば、緩やかで暖かな時の終わりを誰もが理解した。 一般人の避難は任されたと、彼らの要請に応え警備関係者に扮したリベリスタ達が言う。 巻き込んだ彼らの命も自分達が預かった。この作戦に失敗は許されない。 数分を待たず、輸送機は空へと舞い上がる。 残された者達も、飛び去るまで見送る事無く、自らの配置へと向かった。 ●高度3000mのエンゲージ 事前の作戦の通り、AF(アクセス・ファンタズム)による通話回線は常にONされている。 『やっほー、きぃちゃんだよー。こっちはクルーザーに乗りこんだけど、そっちはどうー?』 「寒い」 楽しげな忌避の声に対して、応える灯璃の声は震えていた。 高度3000m以上というのは、分かりやすく言えば“富士山の山頂と同じくらい”である。それも当然だった。 『聞いて聞いて、さっきから京子さんがボンボン影人さんを呼び出しててさー』 「寒い」 防寒着を着こんでいても、中々厳しい物を感じる。本当に用意していて良かったと灯璃は思った。 「では、その手筈で」 アラストールはヘリのパイロットと打ち合わせ、なるべく真下に近づける様お願いしていた。 交渉は成功したらしく、いざって時はしっかり俺も拾ってくれよと軽口を叩かれ、パイロットの命も預かった。 (おいおい、それってかなりの無茶じゃねぇのか?) 話を聞いていたグレイは自分の傷が疼く程に身の危険を感じていたが、そもそもが無茶な作戦なのだと少し後に割り切る。 (つまりは派手に一発決めようって事だろう。望むところだ) 「通信来ました。ターゲット、大気圏突破を確認。すぐに落ちてきます!」 軽口を叩いていたパイロットが、即座に口調を改めて叫ぶ。 「それじゃあ、駄々っ子な寂しがり屋さんを出迎えようか」 そう言い残し、フライエンジェの翼を広げて灯璃が大空へと躍り出る。 「配置に!」 「おう」 残った二人も即座に声を掛け合って自分のポジションに立つ。 直後、感覚を音に特化させていた灯璃は耳にした。 (空気が切り裂かれるような……それでいて遅れて来てるような……音速を、超えてる!?) それが持つ、圧倒的な速さを。 次の瞬間には、ヘリから十字の輝きが閃光と共に撃ち出されていた。 アラストールのここぞという時に優れた観察眼が、そうするべきだと判断させたのだ。 「グレイ殿!」 「分かってる!」 放たれた光を追う様に、闇の塊が空へと舞う。 (あいつらの言った通りだったって訳だ) 自由参加の作戦会議の段で、早すぎた場合を想定するべきだと言う声がギリギリに上がっていたのを思い出す。 どうやらその想定が正解だったのだろう。目の前の状況は自分達の攻撃をそう何度も許すとは思えなかった。 「ちっ、だったらフォローの一つも欲しいもんだぜ!」 心の中にある素直な感嘆を隠して、グレイは悪態と共にもう一度、今度は自らに傷を生む一撃を展開した。自分に出来る事をする。最初に決めていた自分の方針を曲げずに。 一方で外に飛び出している灯璃は、いよいよ自分の考えが正しいのだという確信を得ていた。 (生存本能なら態々日本を目指す必要がない。何より大災害レベルの衝撃が発生する着陸じゃかすみは耐えられない!) 「……やっぱりそうなんだね。かすみ」 赤と黒の双剣を構え、静かに呟く。 「帰りたいんだ。あそこに!」 空に閃光が見えたのが少し前、だからもう、溜めの時間は無い。 「気合入れな! 赤伯爵、黒男爵っ!!」 その姿を捉えた瞬間、彼女の手から放たれた刃達はかすみの胴部へと吸い込まれていった。 エリューション化して質量を増したのだろう、人工衛星『かすみ』はその原型を留めたまま一回りほど巨大化していた。 閃光、闇塊、刃。それらは正確に炸裂し、飲み込み、切り裂いて。かすみから速度を奪い傷を与えていった。 しかしそれらの攻勢に晒されながらも、ボロボロになりながらも、かすみは軌道を変えずただ真っ直ぐに落ちていく。 慌てて旋回したヘリと灯璃の間を切り裂き、更に下へ。 発生していたソニックブームが、ヘリや彼女を傷つけ弾き飛ばす。神秘の守りを得ている灯璃はまだしも、その衝撃にヘリのプロペラは耐えられそうもなかった。 「すまん持たない!」 接触前にそう叫んだパイロットに協力し最後までコントロールを保たせて、ヘリの落下軌道を安全な方向へと変えた後、アラストール達は脱出する。 AFには、そんなアラストールが叫んだ言葉が届けられていた。 「機会は一度だ! 後は、頼む――!!」 ●星屑の帰還 「―――任された!」 忌避の翼の加護を受け、水面に仁王立ちした恋が言う。 空には閃光が奔ったのが見えた。であれば、もう迷っている暇は無い。 「響け響け祈り……、響け響け幽かに………参りますぞ、モーガンさん!」 「魔道士と魔導師の一撃。どれ程のものか知らしめてやろうぞ」 同じく加護を受けて空へと舞い上がり凛と並び立つレオポルドとシェリー。この二人に共通したある種の凄味が、魔力の高まりだというのなら。 「傲慢とは、弱者の概念。妾に破壊できぬものなど無いわ!」 「魔道士と魔導師の二重奏でございます!!」 それは今この瞬間にも世界を揺るがさんばかりに震えている。 「忌避さん!」 「バッチリ、京子さん。狙いはだいたいここらへんでおっけぃ☆」 頷き合う京子と忌避。この場で先陣を切るのはこの二人だ。 「来た!」 忌避の指揮に空を見上げれば、小さな影が視界の中に一つ。 即座に大きく飛び上がるために、恋が両足に力を溜める。それと同時に、京子が動いた。 破片らしい破片は見えなかった。空で戦った仲間達は思った以上の仕事をしてくれていたらしい。 「全戦力展開! 忌避さんの言ったポイントで敵の進行をブロック、そこから神秘射撃!」 腕を振るって指示を出す。この時の為に作り上げた影人のその数、六体。 自らも攻撃に加わるべく京子は意識を集中する。 情け深い性格の彼女が強く思うのは、迫り来る人工衛星だった物。 (私達は知っている、キミがしてきた事、キミがどれだけ……ここに、地球に帰りたがっていたかって事) だから、その思いを苦しみを生む事で終わらせる訳にはいかない。 (見る、見届ける) その最期の時を、この目で。 心優しき少女の覚悟は、同じく集中した忌避の魔法の矢や、展開した影人の数多の矢弾と共に放たれる黒翼の式に乗って、かすみへと打ち込まれた。 それを合図に、他のリベリスタ達も動き出す。 「我紡ぎしは秘匿の粋、ヴリルの魔弾ッ!」 レオポルドの普段の紳士的な様子からは想像できない気迫に満ちた声と共に、空に数多の魔弾が奔る。 「今です、モーガンさん! 全てのマナを開放致しますぞ!」 「任せろ! ……なに、破片を拾って墓は作ってやるから往生するが良い!」 練りに練った二人の魔力が、遂に爆発の時を迎える。 「試し打ちの時の様にイメージを乱すでないぞ!?」 「いやはや全く、四重奏ではなく葬操曲を用います!」 心底試し打ちをしていた良かったと、レオポルドは自分のうっかりを笑う。 「合わせよ! シルバーバレット!」 「我が血を触媒と以って成さん……!」 シェリーの周りに大きく展開した魔方陣が、先程展開されたどの弾幕よりも厚く無尽蔵の弾の雨を空へと放つ。 「我紡ぎしは秘匿の粋、黒き血流に因る葬送曲!」 黒鎖が舞った。弾幕を掻い潜り次々にかすみへと襲い掛かる。 二つの大魔術の合体技。これこそが作戦前に二人が言っていた、作戦に有益な実験の成果であった。 だがそこで、かすみは思わぬ行動に出た。 ――炸裂音。 突如発生する、かすみの左胴部での爆発。 大きく軌道を逸らしたかすみは、それによりレオポルドの展開した縛鎖の直撃を避け、大きく傾きながらも未だ健在だった。 「なんと!?」 「内部エンジンを自分で爆破しおったのか!」 驚愕する二人の傍を、自らが起こした爆発すら味方にしてかすみが通り過ぎていく。 そこに不意に現れる、桃色の髪の少女。 伸びきった足は、力強く空を踏み切ったため。振りかぶった大鎌は、全てに終わりを告げるため。 落ち行かんとするかすみの姿が、彼女にはどこかスローモーションで見えていた。 (ああ、壊れるのは……いや、死ぬのは怖いよな) 恋は理解していた。先程の行動は、生きるために行ったかすみのあがきだと。 振りかぶった大鎌に、己の力を全て込め、振り抜く。 それはケーキにナイフを入れる様に、スッとかすみの体を通り抜けた。 「少し、ほんの少し眠るだけだから、な」 自由落下していくかすみが、真っ二つになったのを機に、遂に自分の体を保ち切れなくなり砕けていく。 「お前の事は己(おれ)が、そして皆が覚えてるから」 細かく散り散りになっていくかすみに、安心させる様に語りかける。 「だから、安心してお休み」 そして、かすみは多くのリベリスタ達の見守る中、故郷地球への帰還を果たした。 おかえりなさい。と、誰かが呟いていた。 ●海の見える丘で エリューション化した人工衛星『かすみ』の破片は、そう時を置かずに消えてしまうのだという。 それは運命の加護を得られなかった者の末路としては妥当な物ではあるのだが、それでもリベリスタ達に寂しさを与えるに十分だった。 シェリーの言葉通り、それでもと回収された破片は海の見える丘に埋葬された。 「酷い目に遭ったぜ」 「いやー、申し訳ない」 リスキーな作戦の代償は、ヘリの墜落以外にはなかった。リベリスタ達は皆五体満足で、任務は完勝というべき物だった。 守るべき物も守られ、災害なども起きはしなかった。 ハードなスカイダイビングを体験したグレイとアラストールにも、グレイが元々負っていた傷以外に怪我らしい怪我はない。 アラストールの視線がそっと、皆で建てた小さな墓へと向けられる。 ――守り神『かすみ』ここに眠る。 石に小さく刻まれたそこで、忌避や京子に始まり、灯璃や付き添う様に来たレオポルトが、それぞれの所作で祈りを捧げていた。 名を刻んだ当事者であるシェリーは、何処かぼうっとした様子で、輪を外れ遠くに立つ恋を眺めている。 (彼らの心に生まれる祈りには、別れの言葉も、迎えの言葉も、抱えきれない程に込められている) 祈りを捧げる者達を見つめ……ならば、と。アラストールは願う。 物言わぬ機械にも、天の扉が開かれるよう。 「……その位の度量はあっても、良いでしょう?」 「?」 その呟きは、隣にいるグレイにも聞こえない程に小さく。 「………」 そんな中、恋はただ一人青い空をじっと見上げていた。 今は見えない星達は、それでも自分達を今この瞬間に至るまで見守ってくれているのだろうか。 そんな、他愛もないのか途方もないのか分からない事を考えながら。 無意識に、両手を広げて空を仰いでいた。 後日、観測所に不思議な一通の封筒が届いた。 そこにはほんの僅かに懐かしさを感じる金属めいた香りと、たった一文添えられた手紙があったという。 可愛らしい女の子の文字で。ただの一文。 ――ちゃんと燃やしておきました! その手紙は彼らにとって理解しがたい物であったが、何故か不思議と邪険に扱われる事もなく、大事に保管されたのだという。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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