● 彼は雨が好きだった。 彼が外に出かける時、大体雨が降っていた。 きっと雨も彼の事が好きなのだろう。 雨合羽を雨が叩く音も好きだ。子供がずぶ濡れになりながら傘を振り回して遊ぶ様など心が安らぐ。 でも、でもでもでもでも、時折、本当に時折、彼がふらりと外に出ても雨の降らない時が在る。 酷く乾く気がした。 先ず身体が乾く。喉も渇く。ああ、痒みさえ感じる。何て乾燥してるんだ。 心も乾く。潤いが無い。 けれど在る組織に所属してから、其の悩みは解決した。 何時でも雨を降らせる術があると仲間達は教えてくれたのだ。 主流七派が一つ、『過激派』裏野部。 寧ろ今では外に出かけた時に雨が降っていると残念にすら思う。 血の雨は、晴れの日にこそ映えるのだから。 ● 「御機嫌よう諸君。諸君等は雨男や雨女と言う単語を知っているだろうか?」 世間話にも似た問いを発しながら、『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)は集まったリベリスタの顔を見回した。 置いたのは本の一呼吸。リベリスタ達の返事は待たず、逆貫は言葉を続ける。 「其れは一つのジンクスみたいなものだ。自分が大事に思う用事の日には、何時も決まって雨が降るというな」 遠足、運動会、野外ライブにイベント……、特定の人物が参加するときにそれらが重なれば、偶然であっても『雨男』『雨女』という称号を望まずとも与えられたりする。 そう、多くの場合、それらは単なる偶然と、『彼(女)がいると雨が降る』という印象が残った結果に過ぎない。 「しかし神秘溢れるこの世界で、本当に其れがただのジンクスに過ぎないのかどうかは果たして判らん」 彼が出る日は雨が降る。彼女が出る日は雨が降る。 そんな事も本当にあるのかも知れないが――それは与り知らない所だ。 「だが、……さて、雨に魅せられ、そしてやがて血に魅せられる様になった一人の裏野部が仲間を引き連れ犯行に及ぶ」 主流七派が一つ『過激派』裏野部、この国の災厄の一つにして、最悪の其れ。 資料 フィクサード1:『ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ』蘭・欄乱 常に黒い雨合羽を身に纏い、黒い蝙蝠傘を武器とする男性裏野部フィクサード。 傘は盾であり銃器であり刃。ソードミラージュのヴァンパイア。 戦闘指揮2lvと底力を所持。 所持EXスキルは『陰陽・血雨』、対象に手を向け念じる事により、皮膚や肉を裂き血管を破壊、大量の血を噴出させる、溜1、遠2単、致命必殺失血スキル。非常に威力が高い。 フィクサード2:『トロール』 蕗葉 身長が2m30cmを越える毛むくじゃらの女性裏野部フィクサード。 巨大な蕗の葉を模したアーティファクト(茎の部分は確りと硬く、葉に近付くとしなり、葉の縁は刃となっている)を武器として使う。独特な動きは見切るまで回避にペナルティがかかる。 針鼠と超再生を所持。 ジョブはデュランダルで種族は多分ジーニアス。タフなパワーファイター型。 フィクサード3:『ヤドクガエル』下呂・下呂 身長が130cmを下回る色鮮やかな皮膚色をした男性裏野部フィクサード。 武器は所持者の攻撃の全てに死毒や麻痺を付与する力を持つスリング。 ジョブはスターサジタリーで種族は多分ジーニアス。テクニカルな射撃手。 毒無効と魔術知識所持。 所持EXスキルは『酸性雨』、空に向かって大量の胃液を吐き、超強酸の雨を降らせる。溜1、遠全、ブレイク虚弱圧倒鈍化スキル。武器や防具をも溶かす酸。 「彼等の狙いは保育園。この夕時、迎えに来た親等の其の眼前で、彼等は幼子の首を跳ねて血の雨を降らすだろう」 何かに使う訳ではない。彼らが直接何を得る訳でもない。 ただ『雨を降らせたい』という願望に従って為される、余りに身勝手な暴虐。 裏野部は何時だってそうだ。血と死を自らの欲求とし、この国を負で満たす事を目的としている。 「自らが満足する為の、そして首領に恐怖と怒りと恨みを捧げる為の、残酷な犯行だ。……食い止めてくれ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月16日(日)23:29 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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● あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしいな ある晴れた日の夕時に『ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ』蘭・欄乱は唇を歪めて哂う。 現代日本では蛇の目の傘は稀少品だ。見掛ける機会は殆どないだろう。 けれど今日、この日、雨は降る。 かけましょ かばんを かあさんの あとから ゆこゆこ かねがなる 酷く乾いた晴れの日に、雨を浴びる事になる母親達はどんな顔をするのだろうか? 自らの子供達が噴出する血の雨に塗れて、響くであろう絶叫はこの渇きを潤してくれるに違いない。 あらあら あのこは ずぶぬれだ やなぎの ねかたで ないている 雨を遮る蛇の目は無い。慟哭の涙よ大雨となれ。 理不尽な暴力を遮る事が出来るのは、傘では無く抗し得る強い力のみ。 悲劇の時を今かと待つフィクサード達に、けれどもその瞬間に先んじて到着したリベリスタ達が刃を向ける。 「リベリスタ、新城拓真。……裏野部よ、お前達の思い通りにはさせんぞ!」 幕開けはフィクサードに占拠された部屋にいち早く飛び込んだ『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)の宣言で。 ● 高まる暴力の匂いに、部屋に響く子供達の泣き声が大きくなる。 部屋の扉を貫いて、フィクサード達に襲い掛かるは血の鎖。 高速詠唱により短時間で生成された、術の行使者である『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)自身の血液で編まれた黒鎖、葬操曲・黒が部屋内の3人のフィクサードを飲み込み縛る。 まるで少女を模した人形の様な白肌の魔女が放った精度の高い其の術は、フィクサード達が拓真に意識を向けていた事や幸運も手伝って狙う3人の内、回避の高いソードミラージュであるを欄乱を除いた2名を見事に呪縛に陥れた。 突如として、唐突に、思いもかけず、行き成り初手から訪れた千載一遇の好機に、保護対象である子供達とフィクサード達の間に割り込むようにリベリスタ達は布陣する。 「待ち時間退屈だろう? 遠慮するな。時間はたっぷり死ぬまでな」 スゥと、そして淡々と、何時の間にか、まるで其処に、『トロール』 蕗葉の前に最初から居たかの如く、当然と言わんばかりの澄まし顔をした『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)が引き金を絞るは小型護身用拳銃。 タフで巨体の蕗葉からすれば人形サイズの少女が、玩具の様な拳銃で、じゃれつくのと然して変わらぬ程度の威力しか持たぬ攻撃を放つ。 だが其の一撃に蕗葉の巨体は宙を舞う。恐ろしい程の精度で放たれ、威力や質量差等無意味だと言わんばかりにダメージを与えず蕗葉を吹き飛ばした小さな弾丸。 驚愕の表情を浮かべたままに、トロールの毛むくじゃらの体は壁面へと打ちつけられた。 更には色鮮やかな体色をした、凡そ人間とは信じがたい容姿の『ヤドクガエル』下呂・下呂に迫るは拓真の双刃、全身の力を切っ先に集めたメガクラッシュ。 仲間2人を吹き飛ばされて、けれども突然の襲撃者にもニヤニヤとした笑いを絶やさぬ欄乱に相対するは『アリアドネの銀弾』不動峰 杏樹(BNE000062)だ。 「その格好、暑くないのか? 日傘にはちょうどよさそうだけど」 子供たちへの視線を遮る様に、欄乱の注意を惹き付ける様に、彼の眼前で敢えて彼を外して吹き飛ばされた後ろの2人に魔力の烈火、インドラの矢を降らせてみせる。 例えどんな傘でも決して防げぬ、地を焦がす炎の雨を。 「血の気の多さなら、子供にも負けてない。ヴァンパイアの、ノワールの血は興味ないか?」 己の武威を示した杏樹の挑発に、欄乱の掌が彼女へと向けられた。 「よくがんばった。あと僅かの間耐えてくれ」 子供を抱えたまま震えて何かを叫ぶ保育士に一声かけ、蕗葉の抑えに走った『無銘』熾竜 伊吹(BNE004197)と、 「大丈夫ですから、子供達を落ち着かせて下さい。連中は我々に任せて、ここから動かぬように」 沈静化の為に保育士の1人を魔眼を試みる『蒼き祈りの魔弾』リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)。 だが不意に目を合わせようとしたリリの頬が、錯乱した保育士にはられる。 突然の事に驚きの表情を見せた彼女から、怯えた様に這って逃げる保育士の姿にリリは彼等の心を覆う恐怖の強さを思い知らされた。 如何にリベリスタ達が子供達を、そして保育士も、救おうとして駆けつけたのだとしても、其の心は彼等には届かない。 突然やって来た悪魔達は、果敢にも子供を守らんと抵抗した年嵩の保育士を、それは惨い手段で処分した。 子供等の親がやって来るまでの暇つぶしに、或いは他の保育士達が反抗する気力を失わせる為の見せしめに。 怯え切った、冷静さを失った心には、初めからいたフィクサードと、後からやって来たリベリスタの区別はつきはしない。 武器を持ち、暴力をばら撒く理不尽がプラスであるかマイナスであるかなど、無力な子羊に判断する術は存在しないのだ。 抵抗する保育士数名に全て魔眼を施す余裕はリリには無い。今この瞬間も、仲間達は裏野部と戦っているのだ。 人手の足りぬ今回の作戦で、一般人の避難の為に割け置ける人員の余裕は欠片も無かったから。 リリは首を1つ振り、許されざる悪魔達へと向き直る。 其れに彼等彼女等、保育士達が生かされていたのは、早々に反抗心を失った事、恐慌状態が見世物として面白かった事、縋る対象を失えば子供達が好き勝手に逃げ始め、予定より早い皆殺しを行なわねばならなくなる可能性があった為だ。 そうでないなら、冷静になるなら、子供達を逃がそうとでも考え始めるなら、フィクサード達は保育士を戦闘のついでに巻き込んで殺すだろう。 親が来るまで生かしておきたい、悲劇を演出する為の子供等と違い、保育士達には何の価値も見出していないのだから。 ● 戦闘面では機先を制したリベリスタ達だったが、けれどこのままむざむざと押し込まれて完封を受ける程に裏野部のフィクサード達も甘くは無い。 優れた速度と確かな精度を持ってフィクサード達を縛った氷璃の葬操曲・黒は確かに見事だったけれど、彼等が毎度それを許すかと言えば断じて否だ。 今度は欄乱と、黒鎖の呪縛を振り解いた下呂がリベリスタ達に襲い来る。 蕗葉こそ縛られ続けていたが、それでも動き出した下呂の存在は非常に大きな意味を持つ。 氷璃と下呂のどちらが先手を取るかは今回の戦いの鍵の1つだ。本来ならば速度により優れたるは氷璃だけれど、運悪く、或いは彼女の動きが傷の痛みにほんの一瞬鈍った隙に、下呂は氷璃に先んじた。 下呂の振り回すスリングより飛び出すは毒々しい色をした無数の弾丸、アーティファクトの効果により死毒と麻痺を帯びたハニーコムガトリング。 咄嗟に伊吹が腕を振るって己に迫る弾丸を叩き落すが、1つや2つ、否、例え10や20の弾丸を振り払った所で、幾重にも迫る全てを迎撃する事は不可能だ。身の内を抉る弾丸の、通常の其れとは違う寒気を伴った異様な感覚に伊吹の体が動きを止める。 下呂のハニーコムガトリング、……寧ろそれよりも大きな問題である付随した麻痺から逃れ得たのは、弾丸を掠める程度に留め置けたユーヌのみ。 伊吹も、杏樹も、氷璃も、拓真も、リリも、皆が麻痺に縛られた。 まるで初手でフィクサード達を縛った氷璃の葬操曲・黒への意趣返しの如く、あの時欄乱だけが逃れ得た様に、回避に優れたユーヌだけが逃れ切り……。 かあさん ぼくのを かしましょか きみきみ このかさ さしたまえ そして傘を揶揄された欄乱は、杏樹に向けた掌の、開いた指を握り閉じ出す。 途端に杏樹の胸に締め付ける様な、引き千切る様な、言い様の知れない痛みが走る。 違う、様なでは無く、実際に欄乱の指の動きに合わせ、杏樹の身体の奥は締め付けられて、引き千切られて居るのだ。 「ピッチピッチ、チャップチャップ、ラン! ラン!! ラン!!!」 大動脈がブチブチと音を立てて引き裂かれていく。欄乱がグッグッグッと腕を引き抜く動作にあわせ、杏樹の胸が内側からボコリと膨らみ……、そして爆ぜた。 常人で在らば即死間違いなしの無惨な、尋常ならざる攻撃力の一撃。噴出した血飛沫は天井を真っ赤に染め、ぽたりぽたりと雫が落ちて行く。 けれど杏樹は踏み止まった。衝撃に傾いだ身体を、無理矢理支え、運命を磨り減らして戦いの継続を選択する。 甚大な被害を受けながらも尚、戦いの意思を見せ続ける杏樹の姿に他の仲間も呼応した。 身を蝕む麻痺を振り解く氷璃、伊吹の2人。そして放たれた氷璃の黒鎖に、下呂と、漸く呪縛を抜け出したばかりの蕗葉が再び縛られる。 「化け物が、隙だらけだ」 再度の呪縛にもがく蕗葉の背後に超スピードで回り込んだ伊吹が、毛むくじゃらのトロールの喉首を掻き切った。 蕗葉の血が雨となる其の横で、下呂もまたリベリスタからの、限界手前である筈の杏樹からの一撃を其の身に受けている。 一度限界を超えるダメージを受けた事で逆に麻痺から解放された杏樹の手の内で吼えるは魔銃バーニー、フィクサード『朱神 蓮司』から彼女が奪取した逸品にして彼との繋がり。 そして仲間達の攻勢の陰に隠れながら、ユーヌは静かに、目立たぬ様に己が配下である影人を増やしていく。 符の生み出す影のヒトガタは子供達や保育士達、無力な一般人達の壁。 フィクサードも今は直接彼等を狙わぬとは言え、手段を選ばぬ連中がいざとなればどう出るかは誰にも読めない。 普段は敵の注意を引き付ける囮役の多いユーヌだが、今は逆に密やかに、最悪に備える保険を張り巡らせて。 ● 戦況はリベリスタの有利へと傾き始めていた。 欄乱こそ自由に動きリベリスタ達への被害をばら撒いているものの、蕗葉や下呂はそうそう自由を許されず、逆にユーヌのブレイクフィアーで麻痺を抜けたリリや拓真が戦線に復帰してくるのだ。 「神罰執行、致します―Amen」 チャンスを逃さず、隙を逃さず、天秤の傾きを確実な物とする為に、下呂の回避行動を見切ったリリはアーリースナイプ、逃れる暇すら与えぬ魔弾で瞬時に射抜く。 身を貫いた衝撃に、下呂の表情が醜く歪む。もし仮に、彼が牙持つ獣であったならば、手負いとなっても尚手強かった事だろう。 だが下呂は手負いにはなれど獣には非ず。それなりの実力はあれど牙を持たず。 下呂は、己の容姿を嘆いて他者を上から踏み躙る為だけに裏野部となったヤドクガエルは、痛みに動きを鈍らせた。 そして怯えは、怯みは死を呼ぶ。下呂に迫る死の名は、新城拓真。 裂帛の気合と共に拓真が踏み込み、双刃は翻り煌めきを放つ。デッドオアアライブ、殺意と共に放たれる其の技の前で生を保つ事は困難である。 「我が道を阻む者は……斬って捨てる、それだけだ!」 生か死かではない、選び取れるのは死のみだ。倒れ行く下呂に、拓真は刃を振るって血を払う。 変幻自在の軌道を描く蕗の葉をけれども慌てる事無く余裕を持って回避行動を取る伊吹は、不意の変化にも掠める程度の傷で事無きを得た。 下呂を失ったフィクサード達の勝ち目は随分と薄くなった。なのに彼等……、毛に覆われて何を考えているのか判らぬ蕗葉は兎も角、欄乱の唇には未だ笑みが張り付いたままだ。 リベリスタからの集中攻撃に、蕗葉も徐々に動きを鈍らせていく。 けれど欄乱の心を満たすのは、リベリスタが、そして彼の仲間であるフィクサードが血飛沫を上げる度に天井より降る血の雨。 ぼくなら いいんだ かあさんの おおきな じゃのめに はいってく ピッチピッチチャップチャップランランラン 傘を振り回し、上機嫌に、今度は氷璃の血管を引き裂いた。 彼女の柔らかい身体を突き破り、内側から血が弾け飛ぶ。 自分の身体から噴き出る熱い血を見やって氷璃は思う。 雨は嫌いだ。どす黒い赤も好きではない。 でもそれより何より許せないのは、この血を見て下衆を喜ばせてしまっている事実。 「空も見えない冥府の底へ、叩き落して上げる」 冷たい怒りを口にして、踏み止まった氷璃の血は鎖へと変わる。 ● 「死ねデカボックル」 雑言と共に繰り出される伊吹の乾坤圏。毛だらけの蕗葉はコロボックルよりもどちらかと言えばトトロに近しいがそんな事は如何でも良い。 タフな蕗葉とて其の体力は無限ではなく、リベリスタの猛攻の前に遂には沈む。 とは言えリベリスタ側にも被害が全く無かった訳ではないのだ。深い傷を負っていた者達は追撃の前に倒れ伏す。 傷付いた事により底力を発揮する条件の整った欄乱は今までにも増して暴れ続けていた。 だが永遠に続く戦いは無く、当然この戦いも終りは何時かやって来る。 無論、如何に欄乱が底力を発揮しようとも、リベリスタ達の堅実な戦いの前には結末は覆らない。 殺し易い筈の一般人達も、ユーヌの影人によってがっちりとガードされている。血も噴出さない影を壊した所で何が面白いものか。 刃に、銃弾に、宙裂く腕輪に、欄乱がゆっくりと倒れ行く。 己の胸から噴出した、天から落ちる血の雨に塗れながら、満足そうに、幸福そうに、周りに散々被害と迷惑ばかりを振り撒いて、仲間の命も自分の命も失って、実にクズらしく身勝手に事切れた。 血塗れの部屋をリベリスタ達は後にする。 フィクサード達の身勝手な凶行、そして発生した戦闘は子供達や無力な保育士達の心に深い傷を残しただろう。 そうだ、それが裏野部だ。血と死を振り撒き、負の想念を喰らうこの国の闇。 この部屋の被害者達に対して、リベリスタ達の出来る事はもう残っていない。 後始末はアークの職員達が行なうだろう。 救えた命に、覆った闇を払える程の、輝ける未来が待っている事を今は祈って。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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