●わんわんお! (∪^ω^)わんわんお! (∪^ω^)わんわんお! (∪^ω^)わん・わん・お――! ●猫はいないッ! 「というアザーバイドが三高平公園に湧いてだな。諸君らにはこの連中を全て捕まえて送還してもらう」 いきなりなんぞあれえええええ!! 「識別名“わんわんお”。犬の様な姿をしているアザーバイドだ。戦闘能力は無いに等しいので、怪我をする心配は不要だぞ。ちなみにこちらが現物と成る」 そう言って『ただの詐欺師』睦蔵・八雲(nBNE000203)が机の上に置いたのは件の(∪^ω^)わんわんお! である。何と言うことでしょう持って来たのか! 『近寄るな下郎ッ! 我ら誇り高き“わんわんお”の一族なり! 汝ら全て我が軍門に下るが良い!』 何コイツ、喋った?! 「あぁ、個体差はあるがそれなりに気性の荒い者が多い様だ。もっとも……こう、撫でるとだな」 『何をする貴様ァアア! 我らの体に触れるとは万死に値するぞッッ! そこに直れ! その細い首を噛み切ってくれるわァ――!』 と、言いながら腹を見せる服従ポーズを(∪^ω^)は取っている。ついでに尻尾ははち切れんばかりに振り回していて凄い勢いだ。何コレ可愛い。 「つまり喋る犬と戯れるだけの簡単なお仕事だ。気性の荒い者が多いとは言え、大体言葉だけでな。更には様々な口調の個体も確認されているから……まぁ好きなタイプの犬と戯れても構わんよ。ただ、最終的に捕まえて送還する事は忘れずにな?」 「わんわんおー! わんわ、わんわん、わんわんお――!! えへへー! 可愛いなぁ、可愛いなぁ!!」 と、その時。部屋の片隅でわんわんおを弄り倒しているのは『月見草』望月・S・グラスクラフト(nBNE000254)だ。わんわんおをまるで人形の様に。抱きしめ、頬を擦りつけて全力で可愛がっている。なにしてんの。 「あ、今回は私も遊びに……もとい任務に同行しますよ! 大切な仕事ですからね! しかたないですよねー! 仕事ですもんねー! えへへへへ――!」 己とどことなく似ている面があるアザーバイド故か。そのハイテンションは。 まぁそんなわんわんおフォーチュナともあれ。任務ならば仕方ない――犬と、戯れて来よう!! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月27日(月)23:12 |
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●たわむれッ! 三高平公園。そのあちこちから犬の様な鳴き声が響き渡る。厳密にいえばそれは犬では無い、が。まぁ些細な事だろう。犬とわんわんおの違いなんぞ住んでいる世界が違うと言うだけの話なのだから。え、結構違う? 知らぬ! 「ふ、ふふふ……ふはーッははは――!!」 ともあれ。そんな中で高らかに笑うのはベルカだ。 「軍門に下れ、だと? 笑止!! 貴様ら異界の雑魚共が如何に群れようと、我らアークの力の前には一片の羽毛に過ぎんわ!! むしろ蹂躙してくれよう。こちらが、そちらを! 我らの軍門に下るのは貴様たちだ!! はっーははははは!!」 『なんだとぉ!? 我らを愚弄するか、許さぬぞ娘ェ――!!』 言いあっている事は過激。されど、柴犬によく似たわんわんおの顎元を撫でるベルカに、成すがままとされる相手を見ればなんとも和む雰囲気だ。ベルカもあくまで彼らの特徴、というか芸風に合わせているだけだろう。笑みと共に、 「よーしよしよし良い子良い子――! はっーははははッ!」 と、戯れていれば尚更に。実に平和な事で何よりだ。 「オレっち犬とかちょお好き! もう大好きすぎてやべぇレベル!! マジマジマジで!」 そして千宗も。異世界の者である為、わんわんおは犬では無いのだが…… 「あっ? 正確には犬じゃねェ――って? っせぇな~いいんだよ犬に似てるならよぉ! オラ! 犬こい! こっちこいや犬ゥッ!」 言動は少々乱暴なれど、顔は笑顔で。 大好きな犬に似た生物へと手招きしながら接近を試みる――が、 「……ッンで逃げるンだよぉぉぉ、犬~~!! そりゃあねぇだろおおお!!」 何故か、逃げる。逃げられる。犬達が離れて行く! 待てやコラァ――! と即座にダッシュで追い掛けるが、果たして追いつけるのか! 「口では粋がっても身体は正直だなあ! そぅら、ここなんかどうだー!? フ、ヒヒ! ウッヒヒヒ!」 耳をくすぐり、腹を揉んで、背中を撫でる。 存分にわんわんおの心と身体の反応を明奈は楽しみ、モフる。モフり続けるのだ! さすれば、やめんか貴様――! というわんわんおの声が飛ぶが、その声すら愛おしい。 「あー……しかしこの可愛さ。どうにかしてアイドル活動に繋げられないものか…… ハッ! そうだ新アイドル“犬耳アイドル☆マキナ”とか!! どや!?」 『ないわー』 「ないかー」 ないなら仕方ないので、せめて存分にわんわんおをモフろう。愛い奴。愛い奴! 「うふふ、逃げても無駄です……この私の速度にかなう筈がないのですから…… さぁ。大人しく捕まって、モフモフされなさい……」 逃走するわんわんおら。それをリンシードが、踏み込み、跳躍する様に移動すればあっさりと捕まえて。 両脇に一匹ずつ。離せ――! と暴れる者らを抱える。なんとも容易い事だ。抵抗も然程のものではなく。抱える力に負担は無い。二体捕獲である。 「ま、まってリンちゃ――ん! 置いてかないでよ――!! ……って、あれ!? 何、もう何匹か捕まえたの!?」 その彼女の後方。追い掛ける様にアーリィが駆けている。 わんわんお捕獲の為、速度に身を任せた彼女の行動に一歩遅れたか。既に二匹程捕まえている事に驚き、されど、既に見た目からして柔らかそうな毛を持つ個体への興味が勝る。 気付けば手を出し撫でていて―― 『気安く触れるな下郎ッ! 我が牙の威力、その身で味わいたいか!』 「ひゃあ?! ご、ごめんなの! 何、触れるのは頭じゃなくて首元が良かった!?」 『そう言う事では無いわ――!!』 瞬間。威嚇に対し、思わず手を引っ込めるアーリィ。 突然の叫びに驚いた故か。引っ込めた手をどうするべきか迷い、宙を舞えば、 リンシードがその犬を胸に抱きかかえて。 「……今度暴れたり威嚇したら全力でモフり殺しますよ」 こっそりと、耳打ち。 犬の身体が一度大きく震える。恐怖か。恐怖なのか! まぁどうなのか定かではないが、途端にわんわんおの抵抗は弱々しくなり、どことなく鳴き声も素直なものになって。 「あれ? なんだろう、随分と大人しくなったね……やっぱり撫でられるの好きなのかな?」 『う、うおおお、この鬼ィ! 悪魔ァ! リンちゃん!』 「うふふ……何の事やら。それよりも見て下さいよこのだらしない格好……可愛いですよね。うふふ……」 モフられ撫でられ尻尾を全力で振り続ける。わんわんおは口では嫌がっているものの、嫌よ嫌よも好きの内――というヤツだろう。 ていうか少女にモフられるとかそこを変われわんわんお!! 「……っ! こ、これは……!」 シュスタイナは仕事と聞いてここに来た。 詳細は知らない。ただ、壱和と共に仕事をこなそうと思い来てみれば、 「見渡す限り犬の群れ……! 撫で、たい……! 撫でたい、けれ、ど……!!」 思わず彼女自身がうろたえてしまう程の、わんわんおの数。 出来うるなら思う存分に撫でまわして可愛がりたい所だ。しかしそこまで節操無しに行動するのもどうか。その理性が彼女の行動にストップを掛け、押し留める。が、 「あっちもこっちも、わんわんもふもふばかり……素敵です……! わんわ――ん!」 共に来た壱和はそんな事はお構いなしにわんわんおと戯れて。いや、そればかりか己の尻尾すら振りまわし、全力で楽しんでいる。故に。 「手触り、気持ちいいですよ?」 わんわんおから一歩引いて、様子を窺っているシュスタイナへ。一匹手渡す様に彼女へと近付ける。 抱きついてみれば普通の犬となんら変わらぬ。温かい感触と柔らかな毛で、むしろ気持ちいい程だ。だから、楽しもう。共有しよう。折角の機会なのだから、 「そう、ね……そうよね。じゃあ、ちょっとだけでも……!」 恐る恐る、というよりも遠慮がちにか。シュスタイナは手を伸ばした、 その時。 今にもわんわんおに触れそうな指先に柔らかな感触が走る。舌で、舐められたのだ。 「……かわいい……!」 「ふふ。シュスカさんシュスカさん、この子、お腹触ると喜ぶんですよ」 触れて揉んで戯れる。 自然と頬が緩むシュスタイナ。その瞬間を壱和に見られ、顔の体温が急激に上がるも、気持ちを瞬時に切り替えて。 そうだ。これは自身の柄ではないかもしれない。だが、心の底から湧く感情を取り繕っても仕方ないのだ。素直に一緒に楽しもうと、心を新たに。楽しみだす。 そんな良い雰囲気の一角で。 (∪^ω^)にゃんにゃんお! (∪^ω^)わんわんお! (∪^ω^)にゃんにゃんお! (∪^ω^)わんわんお! なんだこの状況。(真顔) 「にゃーっはっは!! 猫はいない? いいや、このわらわがいるのじゃ!」 レイラインだ。猫がいないと思ったら、そうか、お前がいたか! ともあれ、にゃんにゃんおは、わんわんおに対し、触り続けて遊んでいる。すると最初は反抗的だったわんわんおが、にゃんにゃんおに対して甘えてくる様になり、ていうか平仮名多いなおい。 「なーんじゃその目は。まさか、もっとして欲しいのかえ……? 猫に屈服するのかえ……? まったく卑しい奴じゃのう! じゃが今日は特別じゃ! こうしてくれようではないか――!」 言うなりレイラインは尻尾でわんわんおのお腹を高速で撫でる。器用な事である! 犬と猫。その関係は案外良好なようである――! 完ッ! ●いや終わんないよ!! わんこは好きだ。 尻尾を振って。お手をして。もふもふすれば喜ぶ。 そう。まるで彼女と接する時の自分に非ッ常に似ていて―― 「いやいやいやいや!! 僕まだ人間としての尊厳あるよ! 残ってるよ! セーフッ!」 「いきなり何を言っているのか分からないのだけれど」 夏栖斗とこじりだ。セーフどころか自分で“まだ”と言っている以上、ひょっとしたら近い将来は…… 「ま。でも私、あんまり犬は好きではないのよね」 元から犬は人間に従順、あるいは従順になりやすい個体が多い。 そんなモノは好きでない。なぜならば“そうでない者”を“そうさせる”のが楽しい故に―― 「控えおろう。控えおろう――! ――わんこさまだ」 『苦しゅうない』 「一瞬目を離した隙になにしてるの本当に」 気付けば何時の間にやら夏栖斗がわんわんおを連れて来ている。 ……そうだ。ならば、これが躾けられるのか試してみよう。屈んで命ずる様に手を翳し、 「お手」 『わふ』 「お座り」 『わふ』 「お手」 『わふ!』 「お座り」 『わん!!』 「わん!!」 「……なんで貴方まで横でしてるの」 「!! あ、いや、今のはそう――脊髄反射ってやつでさ! つまり僕は悪くない!」 ごくごく自然に人間の尊厳が失われた気がするが、気にしてはいけない。気にしたら負けだ! しかして。犬が好きなのは夏栖斗だけではない。いや、ここには結構な数の犬好きが集まっているが、 「よーしよしよし、良い子だ太郎丸!!」 彼も、竜一もそうだ。 近場にいた犬を“太郎丸”と名付け可愛がっている。若干噛まれたりしているが、竜一は気にしない。むしろ、ハハハこやつめ。とばかりに戯れて。 「そっちは次郎丸な。あ、お前は三郎丸で。君は四郎丸。やあ、五郎丸じゃないか。 どうしたんだ。餌の時間はまだだぞお前達!」 『勝手な名前を付けるでないッ! 我ら誇り高き“わんわんお”であ、撫でるなぁ――!』 なんだかんだ仲は良好の様である。 と、犬と戯れてつつ。竜一が視線を横に傾ければ、そこには望月が居て。 「あ、望月のグラたん! どうだった? この間送った、俺からの誕生日プレゼント。 大事に使ってね! 出来れば感想もあると嬉しいなぁ!!」 「え、あ、あぁ、はい。アレ、大事に仕舞っておきますね! 仕舞っておきますね!!」 竜一が望月に何を送ったのか。言及は避けるが―― 穿 け と 申 す か。(意味深) 「そこのワンちゃん! そーれ! とってこーい!」 そんな近くで。快が行っていたのはボール遊びである。 撫でて揉んで遊ぶのも良いが、やはり犬は広大な場所で駆け回るものであろう。一切のストレス無く、首輪も無く。己が興味を示すものを追い掛けて存分に。だからこそ彼はボールを投げる。最初は小さいボールを近くに。順に遠くへと飛ぶ様に遠投し、 「今度はこっちのワンちゃんだ! どんな感じに跳ねるか分からないラグビーボールを使うからよく見てるんだぞ……! そーれとってこーい! そこの望月さんも! そーれ、とってこーい!」 あ、素で間違えた。と快が思った時には時既に遅し。ボールは投げられた後で―― 刹那。ボール遊びにテンションMAX状態の犬達を追い越して、望月がラグビーボールへと噛み付いた。直後。身体は屈んだ状態のまま片手を挙げて、 「わーう!! 取りましたよ快さーん! えへへー褒めて下さ――い! あ、この間はハーブのプレゼント、有難うございましたー! わんわんお――っ!!」 「ねぇ望月たん。なんか俺の時と反応違くない? 気のせい!?」 きっと きのせいだから だいじょうぶだ りゅういち! 「ワンコ――! ワンコ超可愛いぜ!! ハ、ハハハハ!!」 公園を走りまわる琥珀。その前方には、琥珀の勢いに気圧されて逃げている大量の犬達の姿があった。 だからか。彼は気付いていない。己が駆け抜けている前方に人がいる事に―― 「――とッ! ごめーん!! そこの子! 気を付けて――!!」 「え、気を付けるって何が……うひゃあああ!? 何、この大群は――!?」 一歩遅かったか。逃げる犬に群がられ、一瞬にしてその姿が隠れ果てる。 やべ。と思考した琥珀が動き、犬の波を漁ったのは即座の事だ。手を突っ込み、相手の腕を掴めば力任せに引き摺り出して。 「ふー! ……もう、全く。唐突過ぎて驚いたわよ。なんだったのかしら、今の?」 中から出て来たのは黒き翼を持つフランシスカだ。埃を払う様に服を整えれば琥珀の方へと向き直り。 「あ、うん。助けてくれてありがとう。わたしフランシスカ。宜しくね」 「あ、ああ、うん。助けたって言うか俺が悪かったって言うか…… 巻き込んじゃってゴメンなぁ。俺琥珀っていうんだ、よろしくね!」 雨降って地固まる。とは少し違うが、思わぬ形で交友が広がったものだ。 突っ込んだわんわんおを何体か捕まえて暫く談笑といこう。何。時間はあるのだから。問題ない。 「うおおー! これがわんわんおか、めっちゃ居るな! めっちゃ多いな!!」 「あぁ、そうだな……わんわんお、か」 大量のわんわんおを視てはしゃぐ木蓮と、どことなく顔が暗い龍治。 なんだろうか。何か、わんわんおに不審な点でもあるのだろうか。 「いや、それそのものに特段、何かの罪がある訳ではないが――妙に、敵対心を抱かざるをえん存在でな」 「そーなのかー……敵対心、ねぇ。 なんか言動に相反して尻尾は正直とか、ついつい誰かさんを思い出しちゃうなー…… いやぁー。一体どこの誰の事なのかなー……?」 視線をちらりと。木蓮の見つめる先は勿論龍治だ。 彼は犬に似ている。正確には緑化の影響もあり彼はフェンリルと言うべき存在だが――似ているのは仕方ない。されど犬はあまり居心地の良い表現では無いらしく敵対心の様な心を抱いてしまっているのだ。 「お、俺には似ていないぞ……! それに、仕方がないではないか。何度鍛錬しても治らぬものは治らぬのだから……!」 「はいはい。分かった分かったから……とぉ!? こいつ、龍治にそっくりじゃん! ほら見ろよ! カラーリングとか尻尾とか雰囲気とか尻尾とか耳とか尻尾とか、似てね!?」 「に、似てなどいない!! いないぞ!! というか今何度尻尾と言った?!」 木蓮の抱えるわんわんお。片目を瞑り、凛々しく見え、体毛は銀色に近い。中々似てなくも無いだろう。 「へへー。よしよし。折角だしブラッシングしてやるからなー ……あ。そうだ。龍治も帰ったらやっておこうか。それとも今ここで――」 「こ、こんな所でしなくていい!! さっさと終わらせろ!」 流石と言うべきか、木蓮は龍治の視線には即座に気付いた様だ。 何の? 構われているわんわんおへの嫉妬か、それとも羨望か―― さてはて。なんともお熱い、結構な事だと、抱えられている龍治似のわんわんおは溜息一つ。 ●わんわんおの悪夢 「ほーらぽいぽいぽーい」 ボールやら骨やら。犬が好みそうな物をホールに投げ込んでいるのは、慧架だ。 態度がでかいが、それでも犬に近いわんわんお。なれば骨やボールが好きかもしれぬと。試しに投げ込んでみれば飛びこむ飛びこむ。なんと簡単な送還方法だろうか。 「ま、お仕事ですし仕方ないですよねぇ。引っ掛かるならこれが楽ですし」 「ソウサナ。仕事デある以上、仕方ネェ」 慈悲など無い。あると思うな。 慧架に続いてリュミエールがわんわんおを掴んでは放り投げて放り投げて。送還を。 「あー! ちょ、ちょっと待って! まだ戯れさせて――!」 「アンッ? そこらへんにマダマダ一杯イルダロウ。ソイツラ捕まえナ」 その容赦の無さは、戯れていたエフェメラのわんわんおを強制的に投げる程だ。狐も犬科の一種だが、それはそれ。これはこれである。そもそもこいつらはわんわんおであって、 「犬ジャねーシナ」 後、仕事をする気の有る者が果たして何人いる事やら。 故に無慈悲に。己が成さねば成らぬと言う一種の使命感すら帯びて、彼女達はわんわんおを捕獲し続けるのだ。 「ちぇー。まぁ、まだ沢山いるからいっか! この間会った子達も可愛かったけど、この子達もタイプが違って可愛いなー!」 『止めんか! 頬を擦り付けるな!』 以前は、四匹の犬達だった。今回の犬達は粗暴な言葉を吐き続ける為、驚きを隠せない面もあるが、 「えっ、何、嫌なの……? ホントかな……? こうしてくれる――! わっしゃわしゃ――!!」 『ぬああ! らめえええ!』 それも個性の一つと思えば可愛いものだ。 子供が犬を相手にじゃれる様に。彼女はわんわんおと戯れ続ける。 「あの、ちょっとだけ触ってもいいでしょうか……? え、駄目、ですか?」 どこかたどたどしく。緊張の様子を見せながらも、明里はわんわんおに話しかける。 これが彼女にとっての初仕事。なれば安全とは言えども緊張するものである。触る事が可能なわんわんおを探して歩き、暫くすれば一匹のとある個体に巡り会って。 「触っても、良いのですか? ……わぁ、とってもふわふわ……! すごく気持ちいいです……!」 『痛くはせぬようにな』 優しく、撫でる。 ついつい顔が綻びる程に。頭の裏から背筋に掛けて。楽しむように何度も何度も。 『……』 「あっ、え、えっとごめんなさいっ。もうちょっと優しくした方が良かった……?」 すると、少々犬の機嫌が悪くなった様な気がして謝る明里。 動物との心の距離の測り方は、中々難しいようだ。 「わー、わんこだ! うっわ~、くさ! わんこくさっ☆ くーさわんこ――!☆」 『なんだ!? お前はなんなんだ――?!』 わんわんおを横に倒して。まるで転がす様に可愛がるのは、とらだ。 いや、それだけでは終わらない。おもむろにお腹部分に頬ずりし、臭いを嗅げば、 「……うん! あー、くさいな~! やっぱり、わんこくさいな~! ひゃっほ――い!!」 『マジでなんなんだお前は――?!』 わんわんおが割と真面目に困惑する勢いである。噛んで抵抗しようかと、そんな事も思ったが、とらの突拍子の無い行動に対してどうすれば良いのか戸惑っている様で。 「あ。八雲さんも、やってあげようか?」 「い、いや結構だ。大丈夫だ、うむ!」 犬の身体はしっかりと抑え込みつつ。たまたま近くを通りがかった八雲に声を掛ける。 拒否されたならば仕方ない、とばかりに再び犬に集中。 くさーい!☆ と言いながらその臭いを、とらは存分に楽しむのであった。 「ああ、そちらの愛らしいわんわんお様! 美しい毛並みが乱れておいでです! わたくしがお直し致しましょう! さぁこちらへ! どうぞどうぞ!!」 『へぇ、良い心掛けね貴方!』 どことなく“高貴なお嬢様”というイメージがあるわんわんおを見つけて。リコルはブラシを取り出す。慣れた手付きで。膝元に犬を乗せれば、 「この美しい色艶……さぞ高貴な血統のお嬢様なのでございましょうね! 黒い円らな瞳はまるで上質なオニキスのよう……さぞや殿方達の心を連日連夜騒がせておいでなのでございましょう! あぁ、もう! まこと、罪なお方でございます!」 『あらあらそうかしら! そうでもあるわね! 何故なら私は私だから!!』 とにかく褒め称え、同時にブラシで毛並みを整えて。撫でて、モフる。 あぁなんと癒される事か。お互いに充足を得つつ、もう暫くこのまま。安息を感じて居よう―― 『な、なんだお前は! 離せ!!』 わんわんおは吠える。突如として背後より急接近して来た存在に。 抱きしめられ、撫でられ、耳の後ろを掻かれ。 腹をさすられ、頬ずりされ、高い高いされ。 あらゆる凌辱……凌、辱……? を、とにかくわんわんおは一瞬の内に受けた。それを行ったのは、 「諦めよ――おぬしには妾に弄ばれる未来しかなないのだ。捕まった時点でな」 シェリーだ。サーチ・アンド・デストロイの精神で捕獲次第可愛がりを行っており、 「妾に捕まった事、これからたっぷり後悔させてやるぞ!」 そう。まだまだシェリーは満足していない。故に本番はこれからなのだ! わんわんおの受難はまだまだ続く――!! 「もふ、もふ……?」 公園の影から。那雪が見据えるは、己が抱えられるぐらいの大きさの個体だ。 ターゲット・ロックオンッ! もふもふという擬音が似合いそうなわんわんおへと突撃し、即座に捕獲。全身で撫でまわす様に、頭と腹の感触を堪能しようとすれば、 『やめろぉ! ぼ、ぼくに触っていいのは、こうきないちぞくだけなんだからなっ!』 涙目かつ尻尾を全力で振りまわして何を言っているのか。 素直で無い、子供の様な個体を前に那雪は、 「……そう? さわっちゃいけないなら……これ、いらなかったかしら……?」 骨ガムやジャーキーをチラ見せ。わんわんおへの誘惑を行う。 「もふもふの、ご褒美……いらないなら、いいけど――」 『……く、くぅ~ん……』 一気に大人しくなった。高貴な一族何処に行った! ともあれ抵抗が無くなったのなら何よりだ。存分に、弄ろう。弄って―― 「わんわん、ごーなのよ」 『わんわんお――!!』 「ぐああああ!? なんだ!? いきなり何かが背中に――!?」 近くに居た、八雲の背中にわんわんおと共に突撃した。 何が起こったのかいまいち状況を把握できていない八雲。そんな彼に。 「ん、一言で言うと……つまり……油断大敵?」 簡潔な言葉を投げかける。 そう。この世は弱肉強食……油断すれば喰われる世の中なのだ……! つまり八雲が悪い!!(結論) 「んっ? この犬って、壱也になんか似てねぇ? なんつーか、人懐っこくてふわふわしてるし……耳もなんかツインテっぽく見えるぞ?」 「えー? わたしに似てるー? こんなにかわいいわんこにっ? つーくんどう思う?」 「お、マジだ、イッチーに似てんなぁ! あ。でも趣味までは似なくていいぞ! 似なくて良いぞ!!」 『ふしゅー(∪^o^)』 「駄目だこいつも手遅れではないかッ!!」 翔太・壱也・ツァイン・優希の四名は行動を共にしていた。 各々好きに犬と戯れて。時折己が構っている犬を見せあいながら楽しんでいる。 「こっちは優希に似てね!? なんかこう……苛めたくなってきて……わんわんおー!!」 「こ、こら。俺に似ている犬が苛めたくなるとはどういう事だ。全く、失礼な…… しかしツァインはこういう奴らを相手するのが得意そうだな」 子供や動物が好きそうなタイプ、とは優希の言。 ツァインのイメージだろうか。元より陽気そうな彼だ。わんわんお相手にも中々上手く対応が出来て―― 「ツァイン。首尾は上出来か……って、おお。おま、結構ちゃんと手懐けてるなぁ。すげぇ」 「あはは――! つーくんつーくん! 見て見てー! これ、しょーくんに似てるよ!」 「ん? マジだ! ダルそうにしてるのがどことなく翔太みたいな……おい、動けよぁ痛ーッ! 噛んできやがった――!」 「よっし!! 良い子良い子! ちゃんとがぶっと行ったね! えらいぞーえらいぞ――!」 ……うん、上手く対応出来ている様だ! どっちかというと身内に警戒必須か!? ともあれ。四人も集まれば騒がしいくらいに賑やかな面子である。特に楽しそうな壱也を見て優希は、 「やれやれ壱也も楽しそうで何よりだ……そのまま犬になった心算で戯れると良い」 己も犬を撫でながら。口の悪い、しかしそこが愛らしい犬と戯れている。 腹を、耳を。存分に撫でまわして。 「あ、忙しいとこ悪いんだが、餌まだあるか? ちょっと足りなくなってきてなぁ……」 そして、そんな中。翔太は翔太で犬を探している。 探す対象はある意味簡潔。 なるべく利口で、賢そうな、そんな犬である。なぜならば、 「そりゃあ言う事聞く犬を従えてむっつりーにを噛ませにいかなきゃ―― やべ、実行前にネタバレはまずいよなぁ。うん。 それより優希も結構動物好きだよなぁ。見かける度にわしゃわしゃして……」 「おい。おい、翔太。今なんと言ったかね? なんと言ったのかね!?」 「ハハハそういう翔太こそ相変わらずの犬好きであるな。 あぁ、むっつりーにへの攻撃は生かさず殺さずにするようにな。それが基本である故」 「君達目の前に本人いる状態でそういう会話は止めたまえ! 最終的には泣くぞ!!」 泣けよ! とツッコミ入れたのは誰だったか。壱也では無いだろう。彼女の場合“啼け”と言うだろうから。やだ冗談だけどマジで言いそうでこわい。 「誇り高き戦士の同胞よ! 我等の共通の敵は誰だ!? 猫か、人か!? いいや、違う。真なる敵はそこに居るッ!」 と、その時。ツァインが叫び声と共に指差す先。そこにいるのは――八雲だ。 唐突に視線が集まって、状況が良く分かっていない詐欺師に、ツァインは容赦なく、 「隊伍を組み、牙を研げ! 今こそ聖戦の刻ッ! 構え! チャァァ――ッジ!!! 「えっ。何故に戦闘態勢で……ちょ、ま、ツァイン!? ツァイン――!?」 スキルをマジ使用と共に。ツァインと友好を深めたわんわんお達の突撃が八雲に行われる。何故だ! 助けを求めるかの如く他の面子へと視線を投げる八雲だが―― 「ハハハ――まぁ奴は不死身だし大丈夫だろう。うむ」 「八雲さーん! はいこっちからもがぶー! あっ! わんわんお! お尻はだめだよ! 大事なところだから! 大事なところだから!」 「き、君らは鬼かァ――!!」 鬼では無い。犬が大好きな、リベリスタである。 悲鳴一つ。笑い声複数。 あぁ。色んな意味で犠牲はあれど、なんだかんだ平和な時間である。 ――フツは噛まれていた。 犬に、である。仲良くしようと手を出したが、相手の警戒の方が強かったようだ。 「痛いぜ」 苦笑しながら、その痛みを彼は甘受する。 あぁこのぐらいなんともない。相手は恥ずかしがり、こちらに慣れていないだけだ。 「大丈夫さ――オレは怖くないから安心しな」 『わん、わん、お……!』 段々と、相手の緊張が解けて行くのが分かる。 「落ち着いたみたいだな。オレ達はもう、友達だ! さぁ、遊ぼうぜ!!」 『わんわんお!!』 共に笑顔に。言葉では無く、心で通じ合う。 ペットのような感覚では無い。わんわんおと“友”になったのだ―― ……こんな真面目な展開で良かったでしょうか(震え声)。 「わんわんお! わんわんお! わん・わん・おーっ! お仕事だから仕方なし。つまり――合意と見て宜しいですねっ!?」 ミスターうる……ではなくて。ミス・ルナは目を輝かせて公園を走る。 わんわんお達を追い詰め、捕縛し、嫌がられてもこれは仕事なので仕方ない。仕方ない事なのだ! 決して彼女の、犬を構い倒したい私欲などでは決して無いッ! 「あいたたた! ちょっと噛まれた! いたいいたいいたい!」 『捕虜の辱めは受けず!! 最後まで抵抗するぞ!』 「あいたた……でも、口ではそんな事言いながら身体は正直なんだからー。このこのぉー。尻尾は元気だよー?」 腕に走る痛みが犬に噛まれた事を認識させるが、なんのその。 こんな事でへこたれる程弱い気持ちでわんわんおに触れていない。いやそこまで強い覚悟がある訳ではないが、とにかく、噛まれた程度では彼女は諦めぬ。まだまだモフるのだ! 言動は若干おじさんっぽいけれど! 「ふぅむ。喋る犬とは珍しい……中々かわいいなぁ。キミの名前は? なんて言うんだい?」 ヘンリエッタは近場の犬に話しかける。名前を問い掛け、親交を深めようとするが、 『フン! 気安く呼び掛けないでよね! 誰よ!』 「いやいや。とても可憐な姿だったからつい声を掛けてみたくなってね。 キミがよかったらで良いんだけど――オレと、遊んでくれないかな?」 『お断りよ! 私は高貴なる一族“わんわんお”だからねッ!!』 だが、どうやら取り付く島も無い。どうやら面倒な個体を引き当ててしまった様だ。 どうしたものか。折角の機会、無駄にはしたくないが。 ……あぁそうだ。そう言えば撫でればいいとか言ってたな。 八雲の言葉を思い出し、ヘンリエッタは静かに実行。ツンツンな犬に近付いて、 「……」 『はぅ!? 何をするの止めなさい!』 「…………」 無言で。しかし確実に。腹を撫でる。 さすれば最初は嫌がっていた先方も段々と態度が軟化して。 「ふふ――ふわふわだね」 最終的には彼女が抱き締めれる程に。戯れているのだった。 彼は犬派である。しかし猫も好きである。 茸と筍ではないが、まぁそんな両者の争い、今はどうでも良くて。 「あー可愛いなー至福だなーお腹柔らかいなー。 まぁ、僕の彼女の方がもっと・ずっと・かなり可愛いけどね。 普段はそんなでも無いんだけど、あれで結構拗ねたりとかしてねー そういうとこがまた可愛いっていうか好きって言うか……ねぇ聞いてる? ほーれもふもふ」 『ぬおおお! 貴様もげろおおお!』 犬を一匹捕まえて。自然と惚気ているのは悠里だ。 「あ。初めましてこんにちはー。亡き月の王……じゃなくて望月さん、だよね? 突然だけど望月・S・グラスクラフトってどれが名前なの?」 「え。あ、あー……うーん。どれなんでしょーね! えへへ! 多分“望月”じゃないですかね!」 多分ですけど! と元気よく。 どれが名前か本人もよく分かってないのだろう。マジでどれだろう。 「そっかー。いやー、それにしても犬可愛いよねーうちの実家でも犬飼っててさ。これがまた可愛いんだよね。賢くて滅多に吠えなくて、あ、それで言うと僕の彼女も可愛くて可愛くて仕方ないんだけどさ、この前も……」 以下ノロケにつき略ッ! もげて滅びろおおお! チャノが見つめるのはもふもふ、もとい、わんわんおの波。 見渡す限りの一面がソレだ。正直、心中で発生する胸の高鳴りを抑える事が出来ない程で、 ……こ、これはきゅんきゅんせざるを得ません……! 「さ、触らせて頂いてもいいですか……?」 思考と共に手を前に。恐る恐るとした動きで犬に触れる。 シェパードの様な、凛々しい個体だ。頭から背筋の方へ。流れる様に撫でれば優しい毛の感触が伝わる。さすれば段々と大胆に、遠慮なく。彼女は動きを速めて行き。 「な、なごむー。心の奥底があらわれるようで……疲れがふっとぶー」 大分わんわんおの感触に、御執着の様だ。和やかな表情で、犬と接している。 「かわいいでござるな。虎の拙者も可愛いって言ってしまう可愛さでござるな…… よーしよしよし、安心するでござる。拙者が元の世界に帰してやるでござるからなー」 猫科の虎鐵だが、だからといって犬の可愛さが分からない訳ではない。例え相手が態度上凶暴であろうと、可愛がろうとする気持ちさえあれば愛しく見えてくるもので。 「さあ! 折角なので餌を持って来たでござるよ! 一杯食べるといいでござる!」 『そんなものに高貴なる我が一族が釣られわんわんお――!!』 ドックフードやらドライフードやら生肉やら……とにかく犬が食べそうな物を投げて様子を窺う。 純粋に食べるのかという疑問あるが――何が好きか、見極められれば後の役に立つだろう。主に送還的な意味で、だ。 そう。 彼らには元の世界に帰ってもらわねばならぬのだから。 ●夕暮れ時! 楽しい時間は残念ながら終わる。 いつまでもは続かず、わんわんお達を送還せねば成らぬ時の訪れだ。 「……え、あっ! そうか! これそういう依頼か!!」 おまえは いまさら なにをいっているんだ したらゆうり。 「さあ、お帰り、おうちへ……フフフ……」 ミエスは掴む。片手で一匹ずつ、噛まれながらも気にせずに。 ホールの中へ投げ込みながら、怪しい笑みを浮かべているのだ。すると、 『無礼者め離せ! 何をするか!』 やけに怒りっぽい個体と巡り会った。 例に漏れず偉そうな態度だ。これもまた普通に送還しようと、した、 その瞬間。 ……怒っている、犬、態度。……似てる。誰かに。 さて。誰だったろうか。記憶の片隅に引っ掛かり、動きは停止。さすれば犬に不審がられて。 『む。おーい。どうしたのだ?』 ……ああそうか。なんだ、簡単な事だ。 「フフ……なんだ……博士、犬にそっくり」 知り合いの怒りっぽい博士の姿を思い浮かべて満足気な笑みを。 『いいから離さんか――!』 「フフフ……痛……」 ……噛まれた痛い。 「そうだ、こじり。最近うちも犬飼ってるからおいでよ――名前は営業部長って言うんだけど」 「もう一匹飼っていたのに、まだ増えたの? しかも中間管理職……」 どういう経緯でそんな名前になったのだ夏栖斗よ。 「……やっと仲良くなったのに、もうお別れの時間とはな……」 『わんわんお……』 「まぁ、またいつか会おうぜ!」 『かたじけのう御座る……某、この御恩忘れませぬぞ!』 「お前武士だったのか!? ていうか喋れたのか!!?」 折角仲良くなった者との別れは辛いが、仕方ない。 存分に撫でて、フツは見送る。友たるわんわんおの姿を。 「丁重に投げ込むのは……難しいな……」 「ほら、ちゃんとお帰り――あ、こら! 逃げるなー!」 ヘンリエッタにエフェメラも。逃げるわんわんおを捕まえて、ホールに投げ込みお別れだ。 「空にあるなら任せて――の、つもりだったんだけどね」 「地上にあるなら一緒に運ぶか! 今日はお疲れ様、だな!」 うん、お疲れ様。こっちも楽しかったよ、と言葉を交えるのはフランシスカと琥珀。 随分と打ち解けた様だ。共に犬を運んで、笑顔と共に、お疲れ様。 「せめてもの餞別でござる……とっておくでござるよ……ッ!」 涙を堪えて。虎鐵が投げるのはドッグフード。 Dホールの奥に投げ込んで。彼らが一番好きそうなソレを投げてお別れだ。 「こわがンなくていいからさァ……ほら可愛いヨ?ぬいぐるみだヨ?」 ほぼ一日中犬を追いかけまわして。千宗はようやく追い詰めた。 そして同時。はらわたの出ている……なんというか、その……と、特徴的なぬいぐるみを押しつけて、 「コレ、お気に入りだけどサ、キミなら噛んじゃっていいンだよ、なあ、なあ、なあ!!」 必死の形相に、わんわんお。自らホールへと逃げ込む事態。 ……なんできてくんねーの? 割と真面目に泣きそう。 しかして。皆の活躍でわんわんおは全て送還完了を果たし――任務は、達成した。 『さらば人類よ――また会おうわんわんお!!』 ホールが閉じる直前。奥の方から声がして。 また来るのだろうか。彼らは、いつか。 存在の密度が減り、すっかり静かになった公園内。 またいずれ。 会うのなら、その時また――楽しく騒がしくなりそうだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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