● 「よう木崎、こんな事になるなんて実に残念だ。何でもオマエの女が餓鬼孕んだらしいな。そのせいか?」 闘技場の舞台上から、主流七派が『過激派』裏野部の首領、裏野部一二三が上機嫌で語りかけてくる。 けれど一二三の機嫌の良さが、木崎と呼ばれた男にこれから己を待ち受ける凄惨な運命を悟らせた。 そう、一二三が立つ舞台は、木崎の処刑場。 「しゅ、首領……」 木崎・巳壱は裏野部フィクサードだ。其れも首領である一二三が名前を覚える程度には名の売れた。 「別に餓鬼を作るなとは言わねえがよ。だが餓鬼が出来るからもう手を汚したくないなんて虫の良い話はねェだろ?」 一二三の手招きに、木崎が舞台へと上げられる。そして其れと同時に舞台を遮断結界が包み込んだ。 もう、逃げられない。結界を解くには外の裏野部フィクサードが持つアーティファクトを操作するか、一定時間が経過せねばならない。 「けどな、俺は……そうだな。例えばルイの奴に比べりゃ優しいからよ。オマエに一つチャンスをやろう。俺にも餓鬼が居るしな」 木崎の武装な何一つ欠ける事無くそのまま彼の手の内にあり、対する一二三は手ぶら。 一二三は己の左胸を親指でトントンと突き、宣言する。 「抜けたいなら俺を殺してみろよ。殺れたらオマエが裏野部最強だ。抜けようが何しようがもう誰も追撃かけたりはできねェぜ」 確かにそうには違いない。状況だけみればコレは確かにチャンスでもあるのだろう。 だが其れが出来る者がこの国に果たしてどれ程いると言うのか。 例え素手であろうとも、相手がこの国で最凶のフィクサードである事には何の変化もありはしない。 「おいおい、そうみっとも無い面すんな。俺はコレでもオマエを買ってたんだぜ。ならオマエの嫁への授祝代わりだ。一分間は俺は手を出さねェよ」 そう、此れは見せしめの公開処刑だ。木崎が足掻き、其れでも届かず、一二三に惨たらしく殺されるのを、裏野部フィクサード達はモニターを通して固唾を呑んで見守っているのだろう。 しかし、木崎の口から細くシュルシュルと音を立てて息が漏れた。彼の瞳が獲物を狙う蛇の其れと変じる。 どうせ道は前にしかない。立ちはだかる壁が如何に凶悪強大であろうとも、乗り越えるより他にありはしないのだ。 「お、良いぜ。やっぱりオマエは其の目が一番似合う。さあ来いよ。オマエの牙を見せてみろ」 猫背になった木崎がだらりと垂らした長い両の手に、握るナイフは彼の牙。 『うらのべ? う・ら・の・べ! いっちにっのさーん!!! いぇーいどんどんぱふぱふ。さあはじまりました裏野部コロシアム。今日一二三とーさまに挑むのは、彼のアークに投降しようとした裏切り者『ブラックマンバ』木崎・巳壱! さあまもなく開戦です!!!』 壁面の巨大モニターに写った『びっち☆きゃっと』死葉こと、裏野部四八が公開処刑の始まりを告げる。 ● 「御機嫌よう、諸君。さて、今日の任務を解説しよう」 ブリーフィングルームでリベリスタ達を出迎えるは『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)。 逆貫はリベリスタ達の顔を一人一人見回すと、こう告げた。 「今回諸君等に救って貰いたいのは、一人の<裏野部>フィクサードだ」 主流七派が『過激派』裏野部。この国の闇に巣食う悪にして、其の中でも最悪の一つ。 ……その裏野部構成員の1人が、アークにある取引を持ちかけた。『組織の情報と引き換えに、女を保護して欲しい』と。 何でも彼、『ブラックマンバ』木崎・巳壱は自分の女に子供が出来た事を知り、人を殺すことに強い忌避感を覚えるようになったのだと言う。 だが裏野部に所属する者に其れが許されよう筈がない。人を殺せぬ、使い物にならぬ様になったと知られれば、其の原因である妻や腹の子がどうなるか……。 木崎は裏野部を抜ける事を決意したが、其れでも追っ手はかかるだろう。其処で彼が女の保護を求めたのがアークと言う訳だ。 「アークは其の申し出を受け入れ、彼の女の保護に向かった。だが其の最中に裏野部の襲撃を受けてな、女を逃がす為に殿に立った木崎は連中の手に落ちてしまったのだよ」 彼との取引は女の保護のみ、木崎の無事は其れに含まれては居ないのだが……、 「まあ、彼が死ねば対価である裏野部の情報を受け取る事も出来ん」 と言う訳である。 木崎も裏野部であった以上、例えどの様な場に行こうとも裁きを免れる事は出来ないだろうけれど。 「それにな。私は、せめて生まれてくる子供の顔くらいは見せてやりたいと思うのだ。彼はその為に命を投げ打とうとしたのだから。……諸君は甘いと思うかね?」 逆貫は、子供が絡むとどうも甘くなる。 一つ咳払いし、続きを語り始める彼。 「木崎・巳壱は裏野部コロシアムと称する公開処刑の場に引きずり出され、裏野部一二三の手により殺されるだろう」 裏野部一二三、裏野部首領にしてこの国で最も凶悪と言われる男。 資料 闘技場は中央に舞台(30m四方)があり、舞台は遮断結界により周囲と切り離されている。 舞台の周囲には警護のフィクサードが3グループ(1グループ3人)居り、其々のグループリーダーが遮断結界の解除アーティファクトを持っている。 舞台上 裏野部一二三 「さァ、オマエの牙を見せてみろ!」 裏野部首領にして、この国で最も凶悪と言われる男。 顔に彫られた刺青は『凶鬼の相』と言う名のアーティファクトで、怒りや恐怖等の負の想念を吸収して蓄え、一二三の力に変える。 所持EXは『布瑠の言』。 『ブラックマンバ』木崎・巳壱 蛇のビーストハーフ、クリミナルスタア。 裏野部の若き精鋭の一人……だったが、組織を裏切り、公開処刑の場に引きずり出された。 2本のナイフと毒を使う。 舞台周辺の警護 Aグループ Aグループリーダー:『裏野部の忌み子』裏野部・重 「わざわざ父さんがやらなくても、僕に任せてくれれば良いのに」 裏野部一二三の息子。年の頃は10を幾つか過ぎたばかりの少年。ジーニアスのソードミラージュ。 所持武器は『刃金』。所持EXで判明している物は2つ『コル・セルペンティス』と『忌み子』。 『刃金』 7つ武器と呼ばれる強力な武器の一つで、柄に赤い賢者の石がはめ込まれている。 この武器を用いての攻撃は、対象の物防を無視し、更にその物防の値をダメージに追加する。 『コル・セルペンティス』 蛇の心臓を意味する蛇殺しの技。目にも止まらぬ高速移動で敵の背後に回り込み、急所への一撃を突き入れる。遠、失血、必殺、致命。 『忌み子』EXP 他、マグメイガス1、クロスイージス1。 Bグループ Bグループリーダー:『コイバナ』八米 刀花 「本当に悪趣味ね……」 裏野部に所属するフィクサードだが、恋に恋する乙女(笑)。ゴシックな衣装に身を包み、プロアデプトの技を使う。 アーティファクト『魂砕き』と『魂吸い』を所持する。所持EXは『赤い糸』。 『魂砕き』 無鋒剣型。刃金と言う名の鍛冶師がクルタナを模した非殺の魔剣。この武器所持者からの攻撃を喰らった者は、其の威力分のEPを消失する。ただしHPへのダメージは0。(%HITによる50%や150%等の増減は起きるが、物理防御や神秘防御による減少が起きない)この攻撃でEPが0になった者は精神を砕かれ戦闘不能状態に陥る。 一度攻撃をする度にEPを150消費する(スキルの消費に追加で)。 『魂吸い』 リップのアーティファクト。このリップの所持者が心身を喪失、或いは精神的に衰弱した状態にある者に口吸い(キス)を行った場合、口吸いされた者は口吸いした相手の操り人形と化す。 また口付けを行った相手が己の操り人形に念じれば、其の生命力を燃やし尽くしての自爆を行わせる事が出来る。 『赤い糸』 赤い気糸を相手の心臓に放つ。乙女心のなせる技。神遠単、弱点、魅了、Mアタック(大)。 他、ホーリーメイガス1、デュランダル1(このうちデュランダルは刀花の操り人形となった刀使いのリベリスタ、灰崎・裕也)。 Cグループ Cグループリーダー:『マンドラゴラ』歪螺・屡 「やれやれ、あーはなりたくないもんだねぇ」 絞首刑になった男の精液から生じる植物の名前を称号に持つ20代後半の男。其の言葉は甘い毒。 ジョブはマグメイガス。所持EXは『マンドラゴラの悲鳴』と『マンドラゴラの雫』。所持アーティファクトは『虚弱の指輪』。 『マンドラゴラの悲鳴』 聞けば死に至ると言われるマンドラゴラの悲鳴。神遠全、麻痺、崩壊、Mアタック。 『マンドラゴラの雫』 麻薬効果を持ち、古くは鎮痛薬として用いられたとも言われるマンドラゴラの癒し。神遠単、HP回復、物神攻上昇。 『虚弱の指輪』 このアーティファクト所持者を除く、アーティファクト所持者の近接範囲に入った者は、虚弱の付与を受ける。 他、ナイトクリーク1(睦月・一)、スターサジタリー1(衣更着・憎)。 「非常に危険な任務となる。諸君、引き受ける引き受けないは君等の自由だ。……それでも敢えてこの任務に挑もうとするならば、私は諸君等の健闘を祈ろう」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:VERY HARD | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月23日(木)23:43 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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● 『今日一二三とーさまに挑むのは、彼のアークに投降しようとした裏切り者『ブラックマンバ』木崎・巳壱! さあまもなく開戦です!!!』 高らかに公開処刑の開始を宣言する『びっち☆きゃっと』死葉こと、裏野部四八の声が闘技場への通路を駆けるリベリスタ達の耳朶を打つ。 此処は都会の闇から更に地下へと潜った場所にある裏野部が所有する闘技場。しかし其の道中には見張りも無ければそれらしい障害もなかった。 此れは明らかに誘いだ。アークが取引を持ちかけた巳壱を、或いは彼が持つ情報を見捨てられずにリベリスタを派遣するであろう事を裏野部は、彼の組織のフォーチュナである死葉は予見していたのだろう。 其れは裏野部が首領、裏野部一二三の余興。数ヶ月前、OBPでの戦いに於いてアークのリベリスタが見せた生死の際の輝きは、一二三の興味を強く惹いた。 けれど主流七派の首領達は『協定』により自らが動くには一定の制約が課せられている。 もう七派の誰もが抑制する事を諦めている『トリックスター』の黄泉ヶ辻京介は割合自由に動いて居るが、流石の一二三にも彼の真似だけは到底しがたい。何故なら京介の頭は損得、善悪、生死さえもが抜け落ちた素敵な出来損ないだろうから。 一二三は裏野部が七派内でも出る杭である事は判っていた。 故に一二三がアークのリベリスタ達を間近で見たいと、あの輝きの確認を望むのであれば、『未だ今この時は』彼等の方から態々に彼の目的を邪魔しに出向いて貰う必要があったのだ。 其の為の生贄が巳壱である。無論配下達への見せしめや示威の意味もあるのだろうが、此れだけの手間をかける理由に其れだけでは足りない。 通路を駆け抜けたリベリスタの前に、広い空間が開ける。 空間の中央には闘技場の舞台。そしてリベリスタの登場に応じ、3グループに分かれて舞台を守っていたフィクサードが武器を抜く。 リベリスタ達もフィクサード達と同じく3つのグループに、……人数の大小はあれど分散し、予めの打ち合わせ通りの相手へと向かう。 『うらのべ! う・ら・の・べ! いっちにっのさーん!!! さあ、スペシャルゲストも登場しました所でぇー、本日のメインイベントスタートー!!!』 そして戦いのゴングは打ち鳴らされた。 ● 「ねぇ、なんだか私だけ割り当て多くないかしら?」 切っ先を逸らし損ねて掠めた『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 風斗(BNE001434)のギガクラッシュの雷光に僅かに顔を顰めながら、『コイバナ』八米 刀花が溢す。 闘技場に駆け付たリベリスタ達10名は2:2:6の3つのグループに分かれてフィクサード達と対峙した。 其の最も多い、過半数である6名のグループに狙われたのが刀花だったのだ。 「生憎と長々と付き合っている暇はない。我が双剣、その身に刻め!」 言葉以上に鋭く閃くは、『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)が両の手の双剣、Broken Justiceとglorious pain。 何れも強い力を秘める二本の刃から放たれた尋常ならざる威力の一撃、デッドオアアライヴは……、けれどもギリギリで回避した刀花の髪の数本を宙に散らせただけだった。 「ふぅん、つまり私なら突破しやすいとでも思われたのかしら? ……随分と舐められちゃったわね」 刀花が指先で弄る胸元の珠、ネックレスの先に拵えられた其のアーティファクトは、リベリスタ達が求める遮断結界操作のアーティファクト。 どんなに凶悪な一撃であろうと、当たらねばその効果は発揮されない。 刀花の目が輝きを放ち、彼女の頭脳が活性化状態に入る。己が身体に眠る力を全開に引き出していく。 だが風斗に拓真、アークが誇る二人のデュランダルの攻撃の前には、流石の刀花も其れ等を捌くのに多大な集中力を必要とする。其の間隙を突いたのが、『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)。 注意を割いた2人の刃の遥か向こうから飛来して刀花の腹を貫いたのは、恵梨香の詠唱に生み出されし中型魔法陣より放たれた貫通性魔力であるマジックブラスト。 刀花のゴシックな衣装の腹部に穴が開き、彼女の口から血が零れ落ちる。 歩行時、地に足をつける立脚相は踵接地から始まり足底接地へ、力の流れは踵部から爪先へと移って行き踵離地、そして足趾離地で地を蹴り推進力を得、足が宙を行く遊脚相へと移行する。 歩行の周期中には両足が地を噛んでいる同時定着時期もあるけれど、基本的には片足ずつ此れを繰り返し人は歩く。 地を蹴るからこそ人は進む。 けれど其の歩法は、脚部に集中させた気の力に拠ってまるで踵部がついた瞬間から地を掴み、足裏で其れを縮めるが如く常に推進力を得ての動きを可能とした。 達人クラスの覇界闘士のみが可能とする妙技、縮地法を使用して速度を増した『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)が相対するは七つ武器が一つ『刃金』の所持者にして裏野部が首領の息子、『裏野部の忌み子』裏野部・重。 姿は子供なれどあまりに鋭い殺気を宿した重の其の瞳に、悠里の背を冷たい何かが走り抜ける。 「たった2人で僕を抑えれる心算かい? アーク。今からでも向こうのお友達に助けを求めるなら少しだけ待ってあげても良いけれど」 其の言葉に恐らく嘘は無い。言葉を放った重が使用した自己付与はトップスピード。 悠里の縮地法に比べれば技としての格に劣る其れを使う理由は、眼前の2人に必要以上の力を割く事を嫌ったが為。2人を倒した後に、其の仲間達をも喰らわんとの貪欲な殺意故に。 だが重の其の傲慢さと貪欲さは、時間を稼いで食い止めたいリベリスタにとっては浸け込むべき隙でもあった。 無論重が凶悪な敵である事は変わらず、例え使用した自己付与の格が違えど覇界闘士の悠里ではハイレベルなソードミラージュとの速度差を埋め切るなんて到底出来ないのだけれど。 「重君、はじめまして。突然ですが結婚しませんか? なんならお母さんにでもかまいませんよ」 恐れない。耐え、凌いでみせる。 突然の『ヴァルプルギスナハト』海依音・レヒニッツ・神裂(BNE004230)の言葉に、重の唇に嘲笑が浮かぶ。 笑うならば笑えば良い。嘲るならば嘲れば良い。道化の様な物言いも、強かな女の計算高さ。 まあ裏野部と言う大きな組織(サイフ)を持つ2人は彼女が求める婚活相手として悪い条件では無いのだけれど、孕ませた女の腹を割いて我が子を革醒させる様な相手は流石の海依音とて御免であろう。 『誰も死なせない』わたしの願いは一つだけ。そのために、できることを全力で。 瞳を意思に輝かせ、少女『尽きせぬ想い』アリステア・ショーゼット(BNE000313)は『マンドラゴラ』歪螺・屡の前に立ちはだかる。 彼女は、アリステア・ショーゼットは願う少女。 裏野部、この国を覆う恐怖と死。余りに理不尽な暴力装置。それはまさに悪魔の如くだ。 しかし女は、『蒼き祈りの魔弾』リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)は知っている。どの様な悪にも審判は何れ訪れる事を。 月の加護を得たリリの身体が淡く輝きを放ち出す。フォームアルテミス、練達のスターサジタリーのみに宿る狩りの女神の祝福。 「さあ、『お祈り』を始めましょう」 彼女は、リリ・シュヴァイヤーは祈る女。 願いと祈りは良く似るが、其の本質を異にする。願いは乞い、祈りは捧げるものだから。 だが少女も、女も、今向く方向は一つ。願いを叶える為に、祈り届かせる為に、彼女等は己が全力を振るう。 悪に、恐怖に屈しない。 「ね。こんなの楽しい?」 眼前の敵に対して、口を開くアリステア。濃厚な暴力の匂いに怯える心を捻じ伏せて、精一杯の余裕を見せて。 「ああでも、私みたいな子供を倒せないようなら、おにぃちゃんも同じ運命をたどるんじゃないのかなぁ」 例え自己満足だとか使い捨ての駒と言われようが、 「俺は護りたいものを護る!」 意思在る言葉と共に輝き放つは刻まれし聖痕、『殴りホリメ』霧島 俊介(BNE000082)のジャッジメントレイ。 今日、今、この時の彼は其の称号通りに強火力の砲台だ。 普段は強力な癒し手として動く事の多い俊介だが、この場の強敵である刀花は肉体ではなく精神を砕く相手。 癒しの重要性は低く、寧ろその役割、戦線を支える回復支援を担うのは後方に控えて待機する『星の銀輪』風宮 悠月(BNE001450)のインスタントチャージである。 四方に放たれた神聖なる裁きの光が、完全には避け切れなかった刀花を焼く。 強い癒しを操る能力は、ひっくり返せば強い火力を放つ力へとそのまま転じる。 苛烈なリベリスタ達の攻勢。己が配下のホーリーメイガスから大天使の吐息を受けた刀花ではあったけれど、一連の攻撃に受けた傷を癒し切るには至らない。 主流七派の中でも特に好戦的な裏野部に於いて精鋭と呼ばれる刀花の戦闘経験は非常に豊富だが、そんな彼女でさえ過去の経験を振り返ってみても、此れだけアタリの強い攻勢を受けた事は数える程しかなかった。 「4度目は記録更新かな。改めて、アークの新田快だ」 最後に彼女に言葉をかけたのは、刀花との相対、或いは逢瀬は此れが4度目の『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)。 快の役割は刀花の操り人形と化した元リベリスタ、灰崎・裕也が彼女を庇いに向かえぬよう食い止める事。 「快、そう言う台詞はせめてちゃんと前に立って言ってくれないかしら。それともこの前のでもう私が怖くなったの?」 リベリスタからの攻勢の前に余裕なんて欠片も無い筈なのに、それでも刀花は挑発的な表情を作って快に言葉を返す。 どんな状態にあろうとも、コイバナは、恋愛主義者は、八米刀花の心は恋を求めて止まらない。 ● 主流七派が『過激派』裏野部。 この国の闇を司る7つのフィクサード組織の中でも最悪と呼ばれる物の一つだ。 彼等の理念は、この国を血と死で満たし、首領である裏野部一二三に恐怖、恨み、怒りといったありとあらゆる負の想念を捧げる事。 其の行いは最早人の形をした災厄である。落雷を、台風を、地震を、噴火を、避ける術がない様に、この国の人間に裏野部を避ける術は無い。恐れ怯え、頭を低くしてやり過ごすより他に無い。 「歪螺さん、殺りますか? 犯りますか?」 アリステアとリリ、2人のリベリスタを眼前に、グループリーダーたる屡に問うたのは睦月・一。 飢えた獣の目で2人を見るのは一ばかりでは無い、屡のもう1人の部下、衣更着・憎とて同様だ。 「あー、そりゃお前……」 一と憎、2人の部下が何を望んでいるかは明白だ。 屡がチラと眼をやるは中央の舞台。恐らく一二三も自分達が何をしていようと然して気にも留めないだろう。 それに何より、自分に対して生意気を吐いたアリステアの心を圧し折りたいとの欲が、屡の奥底で鎌首をもたげた。 「お前等の好きな方で良いけどさ、でも手足はちゃんと4本とも落とせよ」 さらりと吐かれた屡の非道な言葉に、フィクサード達は歓声を上げ、リリは其の下劣さに表情に嫌悪を浮かべる。 憎とリリが引き金を引いたはほぼ同時。2人のスターサジタリーから放たれしインドラの矢がこの場の敵味方のすべてに降り注ぐ。 「主は我等と共に在り。貴方達、悪魔などに屈しません」 けれどリリがその言葉を終えるや否や、降り注ぐ紅蓮の矢よりも赤い鮮血が彼女の腕から噴出した。 ナイトクリークである一の両手のナイフが、屡の言葉通りにリリの腕を落とさんと試み、それを半ばまで断ったのだ。 すかさず放たれたアリステアの癒し、聖神の息吹にもリリの血の噴出は止まらない。 放たれた葬操曲・黒の黒鎖をも切り裂いて、疾風にも負けぬ圧倒的な速力を武器に、悠里の四肢が次々に雷を纏いし武舞を繰り出す。周辺の空間ごと敵である重を飲み込む手数の奔流、壱式迅雷。 ……けれど、 「設楽君!」 背後から響いた海依音の警告、或いは悲鳴と、己が四肢に伝わる手応えの無さに悠里は咄嗟に身を捻る。 「Cor Serpentis」 次の瞬間、真後ろからズブリと悠里の肩口を貫いたのは七つ武器が一つ、刃金。 敵の防御力が高ければ高い程に切れ味を増す妖刀は、悠里の攻撃を潜り抜け、驚異的な速度で背後に回りこんだ重に拠って繰り出された。 もし悠里の反応がほんの少しでも遅れていれば、其の刃は彼の心臓を貫いただろう。コル・セルペンティス、其れは蛇の心臓を意味する蛇殺しの技。 けれど悠里は肩に走る灼熱の痛みを物ともせずに、刃が己の傷口を広げる事も厭わずに、振り返り様に一連の武舞の、壱式迅雷の仕舞いの一撃を叩き込む。 チリと、掠めた雷撃が重の頬を焼く。 無論悠里とて痛くない訳が無い。自らの傷を広げる事に、強力な敵と相対する事に、恐怖を感じぬ訳でもない。悠里は自らを臆病だと知っていた。 でも本当に、心底、何よりも怖いのは、眼前で仲間を失う事である事も、悠里は実体験と共に知っている。故に悠里は怯まない。 「設楽君!」 再び響いた海依音の声に、悠里の肩の痛みが消える。 それは海依音の放った神の愛。癒さぬホーリーメイガスである彼女が、神への愛を失った海依音が、己の主義を一時的に曲げてでも降臨させた救いの奇跡。 「支払いは終わった後でしっかり徴収します。だから設楽君、男なら存分に格好をつけなさい、女のワタシはソレを支えます」 拓真の双剣が鋭く煌めき、刀花がまた一つ血に染まる。彼女の大嫌いな血に染まる。だがそれでも刀花は微笑んだ。 リベリスタからの刀花に対しての攻撃は、此処までクリーンヒットを殆ど出していない。彼女の動きはリベリスタ達の想定を上回っている。 けれどもジワジワと刀花が追い詰められている事実は変わらない。 とは言え、だ。このままむざむざと削り殺させてくれる程に裏野部の精鋭の名は、七つ武器の一つの名は、八米刀花の名前は軽くは無い。 刀花の左手の薬指から伸びた赤の糸が、狙い違う事なく風斗の心臓を貫いた。刀花の攻撃は魂砕きの効力に拠って肉体を傷つける事は無いけれど、其れでも尋常ならざる命中力と、風斗の回避能力の低さが相俟って生み出された一撃は、彼の精神の力をほぼ根こそぎ削り取る。 技を放つ力も残らぬ風斗の精神。だがそれは然程大きな問題では無い。彼には快が付与したラグナロクの加護と、更には並みのリベリスタの精神力ならただの一度で全快する悠月のインスタントチャージがあるのだから。 しかし、本当の脅威は風斗の心臓を貫いた赤い糸が持つ魅了の力。 「風斗ッ!」 すかさず己が手に神秘の力を集め、邪気を寄せ付けぬ神の光を、仲間の異常を祓うブレイクイービルを放とうとする快。 けれど、刀花は知っていた。快に状態異常を退ける力がある事を、充分に心得て先の一撃を放ったのだ。 今正に手に集めた力を、光と解き放たんとした快の身体が、眼前の敵、操られし裕也のメガクラッシュによって宙を飛ぶ。 ● 時計の秒針は真下を過ぎて進む。 この時、戦っていたのはリベリスタばかりではない。舞台の上で裏野部一二三と戦うは、裏野部を棄てようとする男、木崎・巳壱。 地を這うように低空から迫る巳壱の二本のナイフに、一二三の身体が石の舞台を踊る。 しかし巳壱が如何に精鋭と呼ばれた男とは言え、彼等を統べる首領である一二三との力の差は明白だ。一分の間は一方的に攻めれるとは言え、巳壱のナイフは未だ一度も一二三の身体を捉えていない。 けれど力の差は最初から判っていた事だ。其の程度で折れるなら最初から裏野部に逆らおう等とは思わない。 裏野部の恐ろしさは、所属していた彼自身が他の誰よりも知っているのだから。 「ちっ!」 不意に投擲されて視界を覆った巳壱の上着を、舌打ちと共に一二三が払う。 だが開けた視界に巳壱は居ない。悪寒と共に一二三に絡み付くは蛇の殺意。 次の瞬間、咄嗟に喉を庇った一二三の腕を巳壱のナイフが切り裂いた。 俊介のジャッジメントレイ、恵梨香のマジックブラストに加え、魔陣展開で己が操る神秘の力を増幅させた悠月までもが魔曲・四重奏を用いて刀花に対しての攻勢に参加する。 けれど刀花の魅了は拓真にまで及び、リベリスタ達の前線は混乱状態に陥った。 状態異常に強い快は裕也のメガクラッシュとブロックに拠って仲間達から切り離され、ブレイクイービルの光を届かせること叶わない。快は裕也と刀花の切り離しを狙いはしたが、よもや自らが仲間達から切り離される事は想定の埒外だったのだろう。 仲間に対して牙を剥く、風斗と拓真、2人のアークが誇るハイクラスのデュランダルの刃。 だが刀花による其の撹乱を打開したのは、此のままでは押し込み切れぬ事を察知した俊介の聖神の息吹だった。 速攻の為の火力を重視し、ギリギリまで回復を我慢する心算だった俊介だが事此処に及んでは流石に其れを使わざる得ない。 俊介の詠唱により顕現した高位存在の力の一端は、魅了の力に囚われた片割れ、風斗の心から刀花の影響力を拭い去っていく。 恵梨香と悠月、2人のマグメイガスの詠唱が交わり響く。全く同時に完成した2つの魔曲・四重奏、異なる属性を秘めし四色の魔光が刀花に向かって放たれた。 そして我を取り戻した風斗の振り向き様の一撃、渾身の力を篭めたギガクラッシュは狙い違わず刀花を捉え、彼女の胸を大きく切り裂く。 ● 「ああ、思い出した。君は『岩喰らい』の時の死に損ないだね?」 刀身の血を振るって落とし、重は漸く喉の痞えが取れたとばかりに一つ頷く。 冷静に立ち回って攻撃を耐え凌ぎ、逆境状態に陥れば重の一撃を避けさえもする悠里の粘り強さと冷静な無謀さには確かに見覚えがあったのだ。 だが悠里に其の言葉に応える余裕は無い。人数で劣り、速度で劣り、手数で劣り、防御力は無視されるどころか相手の攻撃力へと転化され、どれ一つとして勝る手札を所持せずして此処まで凌いだ悠里と海依音は既に満身創痍にされていた。 悠里は復活の札を使い果たし、そして海依音も程度の差はあれ深い傷を負っている。 「窮鼠でも子猫程度なら噛みつけるんです」 けれど、睨み返す海依音の目はまだ死んでいない。嘗て仕えた神にすら噛み付くその反骨精神は、まだ折れずにそのままだ。 「…………せない」 そして悠里もまた、血に乾いた唇から言葉を紡ぐ。 行かせない。絶対に行かせない。殺させない。もう誰も自分の仲間は殺させない。 「僕が境界線だ!」 逆境状態になりながらも渾身の咆哮をあげる悠里。 誰一人死なせないと、-Borderline-を名乗る彼に、重の唇が吊り上がる。 ならば其の心を圧し折ろう。あの時の同じ様に身動き取れぬ様にしてから、彼の仲間を惨殺しよう。 「そろそろ鬱陶しいね、お前」 「なぁお嬢ちゃん、泣いて謝るなら今なら手足は残してやっても良いぜ? まあ一寸お仕置きはするけどよ、その後俺の下で働いてくれるならそんな酷い事もしねえって」 傷と疲労の溜まったアリステアに、囁くはマンドラゴラの甘い毒。 「お前は良く頑張ったよ。あっちの姉ちゃんも一寸は嫌な想いして貰うけどさ、お前が頷けば命は保証するさ」 弱気になった心に忍び寄る甘言。こう言う手合いは、自らよりも仲間の命を救えると言う言葉に弱い事を、マンドラゴラは知っていた。 リリは今、一と憎の二人の攻撃に窮地に陥りつつある。 嘘は交えず、条件を緩めて、最後に相手の欲しい物をチラつかせ、もし一度でも頷かせれば後は容易い。揺らいだ心を掴み取り、気付けば後戻り出来ない状態にしてしまう。 もしそれでも強情を張るとしても、心を溶かす薬の存在を屡は幾つも知っていた。 けれどアリステアは首を振る。マンドラゴラの甘い毒に、己の意思できっぱりと抗う。 「私の力は、皆を守るためにあるの。……たとえあなたを傷つけても」 放たれるは癒し、聖神の息吹が傷付いた己とリリの身体を賦活する。 大切な仲間の命の保証を、敵にして貰う必要なんて無い。守りたい物は自分の其の手で守り抜く。例えそれが誰かを傷つける事でしか成せずとも。 「降り注げ、天の怒りよ!」 果たして其れは幾度目か。引き絞られるリリの両手の銃から、天に登りて降り注ぐ炎、インドラの矢が放たれた。 敵は人数に勝り、火力に勝る。此の攻撃にも敵を倒し切るだけの威力は無い。 だがそれで構わない。己が身に、眼前の下種を、悪鬼を、打ち滅ぼすだけの力が足りぬ事は無念だが、彼女の役割は敵を此処に縫い止める事。 運命と言う名の切り札は、ついさっき使い果たしてしまったけれど、アリステアが自らも傷付きながらも、懸命に癒しをくれている。仲間達は信じて此の場を自分達に任せてくれた。 だからリリも祈りを止めない。祈りとは、意味も甲斐も見返りも求めず、ただ只管に捧げる物だ。 心を托して引き金を引く。リリは、祈りを決して止めない。 ● 「なァ木崎よ。オマエは殺すには惜しい男だな」 腕を流れる血を舐め取り、一二三は笑う。死に物狂いの巳壱が見せた牙への賞賛を篭めて。 けれど遂に時計の秒針は5/6に差し掛かった。 「だがもうすぐ約束の一分だ。オマエはどうせ折れないだろう? ほんと惜しいぜ。だからせめて見せてやる。俺の、裏野部一二三の牙をよ」 一二三の言葉に応じる様に、モニターに写る死葉、裏野部四八が瞳を細める。 斬りかかる巳壱を体裁きでいなし、己が顔の刺青、『凶鬼の相』に触れた一二三が紡ぐは言霊。ひふみ祓詞やひふみ神言とも呼ばれる、『布瑠の言』。 「一 二 三 四 五 六 七 八 九十、布留部 由良由良止 布留部」 『ひと ふた み よ いつ む なな や ここのたり、ふるべ ゆらゆらと ふるべ』 父に続いて娘が唱える。其れは古に物部氏が祖神である饒速日命が齎したと言われる十種神宝に働きかける言葉。 今この時、裏野部一二三が揺り動かす神宝とは、 「蛇比礼」『おろちのひれ』 胸を切り裂かれた刀花は、それでも運命を対価に踏み止まった。 意地か未練か、それとももっと此の瞬間を楽しみたかったのか。彼女自身にも判らない。 彼女の指令に、快にしがみ付いた裕也も己の生命力を破壊力に変えて自爆を果たす。 そうして放ったピンポイントスペシャリティ、伸びる気糸はリベリスタ達の精神を削り、刀花に重い一撃をくれた風斗に至っては今度こそ其の魂を砕いて地へと落とした。 刀花は出来る事をすべて終え、そうして迫り来る拓真の双剣、恵梨香と悠月の魔術、俊介の閃光、リベリスタ達の攻撃をぼんやりと眺めて、……気付く。 今日身に付けていたのが、お気に入りの下着で無い事に。服もボロボロにされた今になっては、本当に今更な筈なのに、そんな事が気になった。 更には、どうせ最期ならばアクセサリも一番似合う物をつけて居たかった事や、唇へのリップの乗りがイマイチ悪かった事等、下らない事ばかり。 でも本当に後悔しているのはそんな事じゃない。刀花はちらと、爆発を運命を対価にして耐え切った快を見る。 結局、身も心も焼き尽くすような熱い恋、体感した事も無いような唯一無二の、愛へと変わる其れを出来なかった事が他の何よりも悔やまれた。 「あーぁ、……やだな」 小さなぼやきすら掻き消して、刃が心の臓を貫き、魔術が肉体を、閃光が影をも焼いて行く。 そして床に転がる珠は、彼女がその胸に着けていた遮断結界操作のアーティファクト。 最も近くに居た拓真が其れを拾い、そうして漸く、リベリスタ達の舞台への侵入を防いでいた遮断結界が解除される。 ● けれどリベリスタ達は遅かった。遅すぎた訳では無い。巳壱は未だ生きている。 だが時計の秒針は一周を少し過ぎ、既に裏野部一二三は動き出していた。 布瑠の言によって完全に解放された凶鬼の相は、彼の顔の半ばだけでなく体の大半にまで広がっている。 身体を覆う闇のオーラは以前アリステアが一二三の姿を目にした時、あのOBPでの戦いの時よりも大きくそして濃い。 「走れ、木崎! 絶対に助ける!」 圧倒的な闇の前に、飲まれそうな巳壱に向かって俊介が叫ぶ。 快が、拓真が、舞台の上へと駆け上がる。 「死力を尽くし生き延びなさいブラックマンバ」 生まれ来る子供の為に、悠月が巳壱に退路を示す。 吹き付けるあまりに凶暴な鬼気に、恵梨香が懐の御守り、Dear My Baby、忠誠を向ける彼が少女にくれた、飴の小ビンを握りしめて心を奮い立たせた。 しかし遅すぎた訳では無くとも……、矢張りリベリスタ達はほんの少し遅かったのだ。 彼等の眼前で、裏野部一二三は二度動いた。まるで鬼の爪の様に凶悪な形な形を成した腕のオーラを、右と左、一二三は一度ずつ振るう。 容赦なく全てを破壊する其の連撃に、巳壱は一度は運命を対価に耐え凌ぎ、けれども2度目の其れは余りにあっさり彼の身体を石造りの舞台ごと引き裂いた。 破壊と死と血に染まる舞台。 「ようリベリスタ。ほんの少しばかり遅かったな」 異形と化した一二三が笑みを浮かべてリベリスタ達を歓迎する。 「退くぞ!」 いち早く衝撃から抜けた拓真が叫ぶ。対応の早さは彼が他の仲間達に比べても『七派の首領』と言う理不尽に慣れたベリスタであったが故に。 だが確かにリベリスタ達が一二三から逃れる好機は、今此の瞬間を置いて他に無い。 巳壱の死に遅れ過ぎず、しかし間に合わなかったからこそ、今一二三はリベリスタから遠い。 即座に撤退を始めたリベリスタ達に重が、屡が、厳しい追撃をかける。 けれど肝心の一二三は彼等の追撃に加わらなかった。一二三の目的はアークのリベリスタ達を見定める事。 彼等は自分を楽しませ得るのかを。彼等は自分の障害と成り得るのかを。 故に深い傷は負えども、リベリスタ達は犠牲者を出す事無く撤退を成し遂げる。 だけれども、何も得れず、何も救えなかった事は変わらない。 「畜生」 噛み締めた苦味に、誰かがそう呟いた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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