●サガ 影法師から逃れる事等出来はしない。 ――――『黒い太陽』ウィルモフ・ペリーシュ ●争奪戦 「或るアーティファクトを取得した『リベリスタ』が居ます」 『塔の魔女』アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモア(nBNE001000)は集まったリベリスタに何時もの通り、何時ものテンションで仕事の話を持ち掛けてきた。 「勿論、アーティファクトを取得したのはリベリスタなのでそれだけならば特に問題はありません。御存知ありませんか? ええと、ほら。女優の――潮見セリカ様。いやぁ、私結構ドラマとか見るんですけどね。この間、何年か前の再放送を……」 「それはいいから。でも、そう言えばその女優……」 「はい。休業中ですね。一応表向きは『撮影中の事故で怪我をしたから』という事になっていますが。ええ、まぁ。お怪我をなさったのは事実ですけどね。重要なのはそれが『表に出ない話を理由にしていた』方でして。はい、ご想像の通り『お仕事』で顔に傷を負った彼女は表に出る事が出来なくなってしまった……」 メディアの片隅でちょっとした事件として報じられたその情報をリベリスタが覚えていたのは偶然だった。芸能界は消費財の集まりだ。それなりの名声を得ていたとしても、時は全てを洗い流す。彼女が『それ以来』表舞台でスポットライトを浴びたという話は無かった筈である。 「……ま、気高い方ですから。『そういう不幸』があったとしても道を踏み外すような事はありませんでしたし、それ以後もリベリスタの活動は続けていらっしゃいました。唯ですね、最初に言った通り彼女は手に入れてしまったのですよ。彼女の望みを叶え得る特別なアーティファクトを」 「……勿体をつけるな。嫌な予感がしてきたぞ」 「はい。彼女が手に入れたのは『<ウェヌスの嘲笑(おんなのさが)>』。ヴェネチア・マスクにも似たこの仮面は顔に装着する事で持ち主と一体化し、持ち主が死亡するまで決して離れる事はありません。この仮面をつけた人間は『絶世の美貌』を手に入れる事になります。観る人間に不自然さを感じさせない形でです」 「それだけか?」 「いいえ」と首を振ったアシュレイは言葉を続けた。 「製作者は『黒い太陽』ウィルモフ・ペリーシュ。仮面をつけた人間は『最高の美貌』を得る代わりに『決して誰からも愛される事が無くなる』。当人の運命を捻じ曲げているのか、周囲の認識を弄っているのか――天才の仕事は私程度の凡才じゃ分かりませんけど。これを逃れる事は革醒者にも不可能。 つまり――本当に誰からも、って事になりますかね」 アシュレイの言葉にリベリスタは背筋を寒くした。ペリーシュという人物の作り上げる破滅は実に丹念に完璧である。そんな彼が用意した副作用が如何なる効果を及ぼすのか、結末は恐らく想像以上なのだろう。 「……問題はですね、この品物を『恐山』派が確保に動いている事です。 ペリーシュ・シリーズは神秘界隈の好事家にモテモテでして。これを手に入れればかなりの利益が上がるのは分かっていますからね。『まだこれを使っていない』潮見セリカ様の所にエージェントと部隊が派遣されようとしているようです。皆さんの仕事はこの恐山派を阻み、彼等のアーティファクト獲得を防ぐ事です。まぁ、渡しても碌な結果になりませんからね」 「成程な」 アシュレイはアーティファクトの確保自体は口にしていない。 その辺りは任意でリベリスタ達の動きに任せようという事だろうか。 意地の悪い彼女らしいと言えば彼女らしい話の動かし方ではある。 「一応話は分かったが、そのエージェントって……」 「はい、まぁ。皆さんには御馴染みの方なんですけどね……」 アシュレイの顔は最後までニコニコとしたままだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月09日(木)23:39 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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