●海といえばテンタクル 夏である。長く続いた梅雨も終わりを迎え始め、うだるような暑さが多量の汗を作り、強い日差しが肌を焼く季節。 本格的な夏はまだこれからだと、湿気を含んだ風がそれを教えてくれる。だけど、暑いものは暑い。 だから、人は海に惹かれて、海にやって来る。そこにある大量の塩水は、暑さでまいった体と心を受け入れてくれるからだ。 海。波は穏やかに浜へと打ち付けられて、上がった水しぶきは爽やかな気分を感じさせてくれる。とはいえ、海はもちろん、遊ぶためにも使われる場所だ。それによって、心地よい疲れを得ることができる場所である。という場所だから、その砂浜には既に客がいた。皆、水着に身を包んでおり、肌を小麦色に焼いている。 梅雨も終わったばかりの平日なので、その浜辺の人はまばらである。だけど、集まった気の早い人々はそんなことを気にするそぶりも見せずに、それぞれ思い思いの方法で海を満喫していた。 騒がしく、楽しい世界。それが、この水着だらけの世界を表す言葉だろう。 しかし、そこにやって来る、異形のものがいる。それは、とても静かに、海からやって来た。 ウネウネとした何かは七本。それに、それを束ねる巨大なタコが一匹。どれもエリューション・ビーストである。そんな異質な存在であっても、海の中に隠れるという単純な手段を使っていたそれらに、人々はそれに気付けなかった。浮かれて、騒いでいたからだろう。 「キャー!?」 黄色い悲鳴が上がる。タコが上陸を始め、同時にウネウネとした何かが、女性の水着に絡みつき始めたのだ。何というお約束。 人々は未知の驚異を前に、逃げ惑おうとする。しかし、それすら許さず、エリューション・ビーストはこの浜辺を占領した。伸ばした触手で絡め取る、という方法だけでこの場の人間すべてを拘束したのだ。 それはまさしく、地獄絵図のようであった。 誰も死んだ者はいないし、行方不明者もいない。だが、自由だけが奪われてしまった。 しかし、自由がないということはつまり、好き放題されるということ。その状況は、これから起こる惨劇を予感させた。 そして、起こるべくして惨劇は起こる。ウネウネした何かは水着に伸びて行き……。 「らめぇ」 男の水着が、ずり落ちそうになった。 男女平等とはこのことか。 ●夏はきっとテンタクル 何とも言えない海水浴場の様子をモニター越しに見ながら、リベリスタ達はそれぞれの反応を見せていた。ある者は目を覆い、ある者は覆った手の合間から見て、ある者は目をそらす。 「敵はエリューション・ビーストが八体。一体はフェーズ2、残りはフェーズ1だよ」 何とも言えない顔を浮かべながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は淡々と敵の説明をしていく。暑さのせいか、ウサギのポーチも垂れているように見える。 「フェーズ2のエリューション・ビーストは大きいタコの姿をしている。いっぱいある足を使って攻撃してくるよ。呪縛の力を持っているから、気をつけてね」 うんうん、とリベリスタ達は頷く。タコならそれも納得だ。 「フェーズ1の方は……。なんだかウネウネとした生き物。細長い体で捕まえてくる。こっちも呪縛能力があるよ」 少女はまだ知らない。それが漫画などでどんな風に扱われる存在なのか。なので、それを察したリベリスタたちは顔を伏せて「オゥ……」と呟く。 まぁ、そんな相手なのだろう。 「このエリューション・ビーストは浜辺で楽しく遊んでいる人をターゲットにするみたい。だから、被害が出る前の海で遊ぶ必要があるよ」 どうやら、海で遊ぶことも付いてくる依頼であるらしい。いや~な敵を出すためとはいえ、海で遊ぶチャンスだ。リベリスタたちは心を踊らせた。 そんなリベリスタたちの前に、浮輪やスイカのビーチボールが置かれる。真白イヴが部屋の奥から取り出したものだ。 「支援物資」 羨ましそうに、その親切な幼女は言った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年07月06日(水)22:42 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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