● 「フォールド」 男は獲物のチェックに余念がなかった。 「これもフォールド」 無駄に巻き舌だった。 「皆折れ耳さんです。これではフォールドでなく、フォールトです。ダブルフォールトですよぉ!? 日本はネコミミ発祥の地ではなかったのですかぁ!?」 しらねえよ。 「ですがぁ、ステイツのぉ、片側に頭すっぽり入ってしまいそうなのはゲンメツデェス。デカすぎでぇす。ワタシは頭のジャストポジションでぴんと立つ理想のネコミミバンドさんにお会いしたいのでぇす! でかすぎもいけませんがぁ、ささやかなのもあきあきでぇす! ヤマトナデシコのジャストねこみぃみバンド、ゲットなのでぇす!」 「ばっかじゃねええの、こいつぅぅぅぅっ!?」 ● 「最初に謝ります。ごめんなさい。だけど、これは俺の意志とは何の関係もないというか、見たくて見たんじゃねえって言うか……そこだけ分かってくれると、とっても嬉しい」 ぶつぶついいながら資料を配る『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)は、怒っているというか、照れているというか、無理矢理テンション上げないとやってられないというか、微妙な顔つきをしている。 「え~、ぶっちゃけます。海外から痴漢フィクサードが入ってきたので、殴って送り返します。以上」 わ~、わかりやすい。 「最初は下着ドロだったんだけど、こいつがほしい下着ってなかなか条件厳しくて、日本に来たらあるかもと思ったら、今度は別の方向で厳しくて、結局ぶら下がってるのじゃなくてジャストサイズっぽい人から直接奪おうと痴漢にランクアップしたところで万華鏡に引っかかりましたマル」 非常に嫌そうにぼっきらぼっきらスナック菓子を噛み砕いている。 で、その条件が厳しい下着って何。 「え……」 口ごもる四門。さあ、早く言え。恥ずかしがらずに口にするのだ。 「ブ……」 何、仕事なんだから気にするな。顔が赤いぞ、わざわざ意識するな。 「ブラジャー……――」 この言わされた感がたまりません。涙目ごちです。 ブツっと何かが切れた。四門の堪忍袋の緒が切れた。 「――それを、ネコミミにするのが目的だとさ」 はい? 「『頭に載せてホックをつけてジャストフィット、更にカップがネコのお耳のごとくぴんと立ち、でかすぎて本来の耳のとこまでカップがずり落ちてくるようなのは論外』 だとさ! なんなの? これ、なにが楽しいの!? 俺は全然わかんない!」 うわああぁんと泣き出す四門。 イロモノ引き当てることに才能があるようだ。カワイソウネ。 「――という訳で、抵抗できない一般人のヤマトナデシコを守るため、囮作戦にご協力下さい。もういっそ、俺的には細身の野郎に詰め物して歩かせてもいいような気がする。こいつ、女の生身に興味ないし。あくまで目的は下着だし。つうか、店で買えよ。行けない恥ずかしがりやさんなら通販で取り寄せろよ。そうすりゃ、俺、こんなの見ないで済んだのに」 四門が机に突っ伏してべそべそ泣き始めた隙に、この部屋から出て行こうと思っても、リベリスタ悪くない。 ガキン。開かない。電子ロック。 「――この手の依頼はリベリスタが逃げようとするから、事前に鍵かけろってイヴちゃんが言ってた」 グスグス鼻をすするな、大学一年生。 後輩にきちんと傾向と対策を伝授するとは。やるな。新高校二年マジエンジェル。 「という訳で、これが条件に合うサイズのブラジャーだって。サイズ合わなければ、詰め物するなりなんなり好きにして。おとりを野郎にするなら、こっちにそれ用の準備してあるし」 えぐえぐとしゃくりあげる四門。 「あ、忘れてた。提供は、三高平市商工会議所」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年04月15日(月)23:26 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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