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【地方】不審な男性が女性に白くてべたべたしたものを掛ける事案が発生

●ホワイトデー
(沈痛)


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ EXタイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年04月06日(土)22:55
 YAMIDEITEIっす。
 ホワイトデーですから記念シナリオをですね!
 三月三本目。理由諸々で予約開始時刻後ろ倒しです。
 全年齢ですってば。以下詳細。

●任務達成条件
 ・えっちっち(早撃ちミック)の撃破

●どうでもいい戦場
 大阪の何か人通りの無い路地とかこう。
 日の落ちた後のそういう所。

●えっちっち(早撃ちミック)
 同名のアザーバイドやエリューションが過去に確認されていますが、便宜上、そういう名で呼ばれているだけです。このアザーバイドは寄生型アザーバイドでボトム・チャンネルの人類(フィクサード)である三久田次郎に寄生する事で活動を拡大し始めました。えっちっち寄生タイプに寄生された人間は白く濁った毒液をばら撒く能力を手に入れます。実は毒液そのものがえっちっちの一部である事は言うまでもありません。
 GOGO! 僕等のえっちっち。イタリアでも僕等のえっちっち。

・男の人は歩いてると無意味にダンプカーが突っ込んで来るかも知れません。
・(外見が)若く綺麗なおねーちゃんが大好きです。
・十二歳以下の少女には倫理的、紳士的に行動します。
・まるで白いプールみたいだぜ!
・他人事みたいな顔をしても必ずヤられます。
・四季折々のえっちっちを貴女に。
・でも、全年齢です。

 以下攻撃能力等詳細。

・やる事全てやるまで宿主を永らえさせる都合の良い強化
・発生した毒液がそれぞれクリーチャーに変化します
・べとべとプール
・えっちっちのヤミー風~触手ホワイトを添えて~
・EX 春めいた陽気に漂う白色は寝坊して慌てた三月の雪(ベーゼ)

●三久田次郎
 どうでもいいっす……

●備考
 男の子は役得かも役損かも知れません。
 PC男の子とPC女の子の組み合わせについて強めのドキドキ! 描写する場合、両方がプレイングでその人とならいいよ! と希望している場合のみ行います。私がやるセクハラは諦めて下さい。仕様です。
 後、極々ライトな軽めの場合も同じです。


 全年齢です。(六回目)
 参考までに。参加者全員が『男』だった場合のえっちっち(早撃ちミック)の強さは悲しみ怒髪天をつき、キース・ソロモンに比肩します。
 宜しければご参加下さいませませ。
参加NPC
 


■メイン参加者 10人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
クロスイージス
★MVP
新田・快(BNE000439)
スターサジタリー
リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)
ホーリーメイガス
臼間井 美月(BNE001362)
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
スターサジタリー
街野・イド(BNE003880)
覇界闘士
桜乃 彩音(BNE003884)
ホーリーメイガス
平等 愛(BNE003951)
ナイトクリーク
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)
覇界闘士
滝沢 美虎(BNE003973)

●おおさか
 この世界には何時でも冷たい――まるで三月の雨が降っている。
 しとしと、しとしと、しとしとと――
 視界の全てを濡らすかのような悼みの音色は誰にも平等に、誰をも逃さぬ『無慈悲』な世界の選択を知らしめようとするかのようだ。
(嗚呼、何て……)
 理想という名の死神に憑かれた青年はひんやりと冷たいアスファルトの感触を噛み締めながら、声にならない声で呟いた。
(何て、酷い事件が起きる街なんだ。こんな街でオフ会だなんて、タイムキーパーが遅刻するレベルでは済まない大惨事の予感じゃないか……)
 足元から絡みつく檻が胡乱と濁った意識を沼の水底に引きずり込もうとしているかのようだった。
 青年を――『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)の頑健なる肉体を撃ち抜いた『不幸な事故』はフェイト復活とか関係ねーぞってレヴェルで如何ともし難い程に盤上より『不要なる駒』を消し去る事に余念が無かったのである。
 まるでそれはこの世界が――或いは哀れなる子羊達にフェイトなる寵愛を与え給うたネ申がそう望んでいるかのように。
「に、新田さん!? 新田さああああああん!」
『From dreamland』臼間井 美月(BNE001362)の悲鳴はまるでBGMのようである。
 ミックにチンを撃ち抜かれ、空高く舞い上がった快の元に今脈絡無くダンプカーが突っ込んできたのは果たして偶然なのだろうか?
「……危ない所だった。ギャグ依頼じゃなかったら、死んでたぜ……!
 チッ、生きてやがる……じゃなかった。
 それでもゆらりと起き上がった彼が案外頑丈で案外余裕めいているのはさて置いて。
 快を含めた十人のリベリスタが今日訪れたこの街――大阪の某所にはある種、至上の緊張感が立ち込めていた。
「かつてオレは『罪』を犯した……
 不可抗力とはいえ、幾人もの女性をこの手で辱め、心に深い傷を負わせてしまった……
 いかに謝罪しようとも、彼女たちに刻まれた傷は、そう簡単に消えはしないだろう。
 この罪を償うために、オレはこの依頼に志願した。
 破廉恥な目にあおうとしている女性を、一人でも多く救う。それこそが唯一の贖罪の道だと信じて……!」
「楠神部員――ッ!」
「うげぁ!?」
 KUSUKAMIAUTO先生の次回作にご期待下さい!
 ……今更説明する必要があるのかどうか正直私は分からない。
 この上の解説が必要なのかどうかも然りである。
 しかして敢えて状況を整理するならば――リベリスタ達の前には敵が居た。
 虚ろな目で佇む『人型』のそれは――『三久田次郎』なるフィクサードをヨリシロ、器とした怪異であった。
「寄生型、ね。あんまりフィクサードを助けようって気にはならないのだけど、被害を出すわけにもいかないものね。
 何より……楽しめそうだもの。ふふ」
 戦々恐々とする代わりに不敵に――何処か楽しそうに微笑(わら)った『百花乱舞』桜乃 彩音(BNE003884)が赤い唇を幽かに舐めた。口元から覗く発達した犬歯――牙が何となく彼女の性質を現しているかのようだった。
「どうしても覆せない、運命っていうものがあるのよ。各々、やりたいようにやったらいいと思うわ。ふふ」
 まさに彼女の言う通り事ここまでは『どうにもならない結論』でしかない。
 異界よりの侵略者は季節が春になったからその能力をもって彼の体を制圧したのである。
 大凡四季の移り変わりと共に発動する『コレ』は実際の所、沼の妖精さんのライフワークなのだから仕方ない。
 外見はただの人間に違いない。さりとてそれはアザーバイドであると言っても過言ではない。
 リベリスタ達にとって幾度と無く争い、戦いを繰り広げ――多大なる被害と犠牲を生みながら撃退を繰り返したそれを、
「さ……さあ、来るがいいえっちっち!」
 人々は畏怖を込めて呼ぶのだ。『えっちっち』と。
「き、貴様の汚らわしい粘液、一滴足りとも女性たちには届かせはしない!」
 知り合いのシスターから借りた赤い修道服に身を包む『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 風斗(BNE001434)は重傷の身にも容赦なく加えられた暴行に口の端から赤い血をだらだら流しながらかなり悪い顔色を隠せずに見得を張った。既にフラフラになりながら如何にも健康状態が悪そうな彼の様子を見れば――見なくてもこれまでのデータを知っていれば何が起きているのかは明白なのである。女子には最初から最後まで徹頭徹尾セクハラを、男子にはかのバロックナイツにも匹敵せんかという加虐を与えるそれは、昨日も今日も明日もずっとその先まで――タールのように煮詰められた『理不尽』それそのものなのである。
「白いべたべたとえっち……関連性がよく分かりませんが、六道と楽団とほもとえっちなものは赦し難い存在です。皆殺しにしなくては」
 軽くカマトトした……じゃなかった少なくともPCはとっても清廉な『蒼き祈りの魔弾』リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)が表情を凛と引き締めた。
「さあ、『お祈り』を始めましょう。両の手に教義を、この胸に信仰を!」
「みんなの様子がおかしいから過去のえっちっち依頼の報告書を読んでみたんだけど、わたしはとんでもない依頼にきてしまったのかもしれない……」
 いまいち『理解』していない純粋培養しすたぁなリリ(※でもちょっとナチュラルにえっちぃ)は兎も角。
 日頃の快活な少女の顔を些かの不安に染めた『魔獣咆哮』滝沢 美虎(BNE003973)の反応は年頃の女の子としては当然のものだと言えるだろう。
「で、でも! わたし、十二歳と十一ヶ月なのでせーふ! 超せーふ!
 敵の攻撃対象外になるわたしの性別、年齢はえっちっちに対する大きなあどばんてーじ!
 だめーじそーすになるためにばんがるぞ!  出発が一週間後じゃなくってほんと良かったです!」
 首から『滝沢美虎(満十二歳と十一ヶ月)』なるプラスチックのプレートを堂々とぶら下げた美虎は実に腰が引けていた。
 とは言え、来てしまったものは仕方ない。えっちっちに名を連ねる存在が未来ある少女に手を出さない紳士協定の持ち主(十三歳未満の女の子にはセクハラとかしないんだよ!)である以上、この美虎の発言と対処は全く『もっとも』に違いないのだが……
「あの時の俺は無力だった。何も知らぬ純真無垢な子猫ちゃんのようだった。
 気がついたらやられていたんだ。そう、なんの抵抗も出来ずに。
 だが、かつての俺はもう居ない! 数々のぺろぺろちゅっちゅが俺を鍛え上げた……!
 俺は、いたいけな少女たちを守るために起つんだ!」
 ……逆を言えば大仰に語る『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)他、何故か好き好んで大枚のLPを握り締め、ハイライト無き夢遊病患者の目でこの依頼に並んだドM共……じゃなかった男性諸君の方は大概も大概である。この依頼に貴様等が活躍出来る余地等無い! いいか、貴様等が辿る運命等、やる前から決まっているのだ! 変態番付的に考えて大関位は取れそうな早撃ちミックでも、お前とかお前とかお前とかには用は無いじゃないか。つまりもし用があったとしたらそれは大関ではなく横綱を襲名出来るのだから言うまでもない! いいな、分かったな!?
(……目立ったら殺られる。それがえっちっちでの男の扱い。
 息を潜めて空気に徹することこそが吉。だが、空気に徹しても気づいてたら死んでた的な事にしてくるのを俺は知っている。
 故に! 美少女人形に抱き枕によくわからないものを用意した!
 存分に汚すがいい、えっちっちよ。俺は影潜みで隠れてるから。
 あ、音声が欲しいなら、俺が声あてしてやるから感謝しろよ!
 アアーン、ウフーン、バカーン、イヤーン、エッチーン! くっくっく、俺の熱演にかかれば誰であろうと大興奮さ……)
 面白いヤツだな。殺すのは最後にしてやる。
「って言うか指差すなよ!? そういう事言うなよ!? メタるなよ!」
 フラグのバッチリな竜一の一方、ナレーションに器用な突っ込みを入れたのは『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)。
 新田()とかアウトさんとか竜一(笑)に比すれば幾らかは同情の余地もあろう彼がこんな任務に赴いてしまったのは麗しい兄妹愛の賜物か。それとも非情苛烈なる中の人の芸人精神の賜物か。からあげなのか。

 ――ふしゅるふしゅる――

「効果音からして……な、なんて嫌な感じの神秘なんだ……!
 妹や女の子達をこんな奴の毒牙にかける訳にはいかない。
 その為だったら普通のフェイトも社会的なアレでも、喜んで支払うよ
 その為に僕はここに来た。ここへ来たんだ! そうだろう? 男子の皆!」
「楠神部員! 傷は浅いぞ、しっかりするんだ!」
「……すまん、俺はここまでかも知れない」←まだあんまり始まっていない
 しかして、目の前に広がり始めた惨状に気を吐くロアンはたった今、「応」と答えた風斗が二回目の錐揉みを見せるシーンを見てしまった。ブロック塀に頭から突っ込んでお尻を道路側に突き出した格好で動かない風斗に美月が必死に呼びかけている。
「兎に角、女の子を守るんだ!」
 半ばヤケクソにも見えるテンションで叫ぶ彼に彼らしい姿は望めない。
 蒼褪めた眼鏡の口の端には何時もの余裕めいた微笑ならぬ引き攣った何かが浮かんでいた。
 ……何をどうしてどうなったら『それでいい』と思えたのかは筆者には大変疑問であるが――修道服の風斗だの春めいたお嬢様風のワンピースだのを身に纏うこのロアンだのは『女の子に対しての盾になる決意が為』か女装してこの現場に望んでいた。立ち居振る舞いからしてどうにも男が抜けない仁王立ちの風斗は兎も角としてこのロアン等は実は中々様になる『美人』に化けてはいるのだが――
「……皆、恥ずかしいのを我慢して……
 感動した! 今の皆は最高にカッコ良いよ!
 これで……こんなに素晴らしい仲間が揃って無様を晒したら嘘だ! 今度こそ。今度こそ完全勝利だよ!」
『もぐもぐ、たこやき美味しいです』
「君ちょっと自由過ぎやしないかな!?」
 ――何かピントのずれた感激をする美月や我関せず諦念の極みたる式神のみにはアレだけども。
「まー、もうちょっとかな? 結構いいセンはいってるかも知れないけどね!」
『本職』の『ナルシス天使』平等 愛(BNE003951)に言わせれば『意義』の方さて置いて、もう少しといった所であるらしい。
「くぉらーっ! えっちっちー! うちの商品の練乳入り水あめ(しろくてねばねばしたもの)に似てる毒液を撒き散らすんじゃないよ!
 迷惑だ! 慰謝料払え! 体で! どうせ本隊は男子でしょ! それで勘弁してあげるから!
 はよ! はよ! はよ!!!」
 まるでやかましいスピーカーのように声を張る愛をえっちっちが上から下まで眺め回した。
 先程、交通事故で重体になった男性(経験些少・24)の耳をふーしてた『彼』は空から降ってきたヘリに巻き込まれるも、
「……運転手が見惚れてたんだよね。それならしょうがない運転手に食べられてあげるよ。他の子たちは頑張ってね!」
 やけにポジティブ・シンキングで洒落にならない事故にも実に笑顔のままなのだった。
「私はヒトではなく『物』。アークの、世界の為に振るわれる武器。殲滅対象の性質を確認。危険、敵性神秘と判断します」
『アンデファインド』街野・イド(BNE003880)の二色の瞳が酷ぇ光景を無機質に映していた。
 運命が唸りを上げて乱気流を作り出す――魔都・大阪。何故か沼の妖精さんの作品における舞台設定としては結構不名誉な名指しをされるこの土地はかのフィクサード黄泉ヶ土その他を生み出した日本最強の土壌である。

 ――TUUKA OTOKO IRANEEEEEE!!!

 アザーバイドの奇妙な声が雑音(ノイズ)となって響き渡る。
「それって絶妙に日本語じゃないのかな!?」
 相変わらず突っ込むロアン。
「……兄が、何となく……こう、兄が……」
『美人過ぎる』兄に複雑さを禁じ得ない妹(リリ)。
「……フッ。はからずもシュヴァイヤー(妹)さんとお揃いのシスター服か。
 行きましょうシュヴァイヤーさん、今日は、オレと貴女でダブルシスターだ!」
「楠神様と私でダブルシスター……」
「えっちっち依頼がエロ必須だと思っているのなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」
『尊敬する』風斗さんは勿論、若干引いてるリリさんの反応には気付いていない。だってアウトさんだもの。
 三久田次郎の全身から無数の――白っぽい触手が噴き出した。それは毒液にしてアザーバイドの本体である。
 今、始まる戦いの予感は――リベリスタ達に至上の試練を課さんとするもの!
「ドキドキきゅんきゅんがんばります!
 女子なら誰でもいいので役得はよ!
 具体的には、粘着性の白い液体に女子と一緒に絡まってくっついて離れられずにぴったんこな状況になって実は白い液体は溶解性もあり互いの服も溶けだして半裸になりながらも肌を見られるのがいやだからという理由でぎゅっとさらに密着し互いの鼓動が高まりそして(自主規制)そんな感じで! フェイト使用!」
 面白いヤツだな。殺すのは最後にしてやる。(二度目)

●あれは嘘だ。
「竜一――ッ!」
 悲痛な快の叫びが虚しく大阪の路地に木霊する。
 電柱に早贄のように引っ掛かった竜一が『何故』そうなったかを聞くのは野暮というものだ。
 痛みと困難に満ちた戦いは早々に死屍累々の状況を作り出している。
 ぶっちゃけ一章で芸人共にはたっぷり出番も与えたからもういいよな! な!
「ああああ!? 楠神部員また吹っ飛ばされた!? 隕石!? 隕石なの!? なんで!」
 美月の悲鳴が虚空(そら)に響く。
「イドは、そういう問題では無いと判断します」
 お嬢ちゃん、世の中には大人の事情ってものもあるんだよ。
「大人の世界は、ずるいものだと理解しました」
 オーケーザッツライト。そろそろ、本番いってみましょーか!


・リリの場合

「コマ送りの世界で、どんな攻撃が来ようとも全て見切り――見事、撃ち抜いてみせましょう!」
 凛然と声を張り二丁拳銃を構えるシスターの姿はまるで神が作り給うた『寵愛』の偶像のようである。
 彼女のしなやかな肉体は黒い修道服に包まれたその肢体は――皮肉な程に女性的に、華やかに女性めいていて。『戦う者』たるリリ・シュヴァイヤーとも『神の使徒』であるリリ・シュヴァイヤーとも違う確かな魅力を秘めている。
「私は神の魔弾、撃ち合いは望む所です――神罰執行、致します!」
 脱ぐと凄いらしい彼女を恐らくいーよーにしている男、そうだお前だ。ござる男。ちょっと体育館裏に顔貸せ! な!

 ――という極めて個人的な事情はほっといて。

「……くっ……!」
 意気軒昂に呪弾でミックを撃たんとしたリリはその腕を白く伸びた触手に絡め取られていた。
 何せこれはえっちっち。彼女の出目は都合良くファンブル値を下回り、ミックのクリティカルは馬鹿馬鹿しい程に余念が無い。
「……っ、これが、例の……べたべたして気持ち悪いです……!」
 腕に絡んだ触手は身を捩るリリを嘲笑うかのようにそこから無数に枝分かれしてあっという間に彼女の四肢に絡み付いていた。
「……ん、くっ……ふ、らちな……」
 その身を厳重に覆う戒めの修道服の隙間から肌に直接這う生暖かい感触に思わず溜息に似た声が零れれば、
「……ひゃあっ!?」
 続く『いい声』のバーゲンセールは約束された勝利の剣。
 芋虫のように突っ伏して動かなくなった竜一の笑顔が大阪の空にサムズアップする。
 幻想をぶち殺すと喚いた風斗さんは青いゴミ箱に犬神家したまま完全に沈黙しているのは言うまでも無い。(※言え)
(い、いけません。この怪物の深淵を覗き、その性質を探らねば……!)
 撃破の為になるでしょう、と。好き好んで深淵を覗いたなら、リリの顔は途端に茹でたように赤くなる。
「…こ、こ、こんなものをかけてくるのですか……!
 我が身は常に尊き教えと共に在り! こんなもの、かけられても何とも思いません!
 折れたりしません。折れるものですか……! 折れる時、折れれば!」
 いただきまーす。
「やっ、ぬるぬるべとべとして気持ち悪い、のに……っ!
 何だか、変な感じが、します……変です……熱いっ、身体が……!
 えっ、そ、そんな事……! こんなの、誰にもされた事な、っ……んん、っ……!
 すぐ近くに兄様達が居るのに、こんな……い、嫌、見ないで下さい……! こんな私、恥ずかし……っ……
 だめっ、あっ……ごめんなさい……神様……兄様……腕鍛様……」

 はいとく!


・美月の場合

『僕達は負けない!絶対、絶対、絶対に負けたりなんかしない!』
 その台詞がダブルピース業界においてどれだけの呪いを秘めているのか――純真な少女は知るまい。
 此の世に生まれ落ちたその日から、弄ばれるに適していると言わざるを得ない彼女がそれを知る事は無かっただろう。
「なんでっ!? どうして!? やだ! たすけて、たすけ――みに――!」
 故に。
 少女が――臼間井美月が式神の確信していた所の完全敗北を喫したのは何ら不思議の無い必然だったと言えるだろう。
「だ、大丈夫だ。しっかりするんだ僕!
 この日の為にしっかり準備を、まずは治療して……わぷっ……
 ぢゅあああ!? 毒液かかった! 顔に!
 あわわ髪に絡んで……にぎゃっ!? にぎゃい! 毒液苦い! ひたにからまる! のどにひっかかるよ!?」
『何故、毒と分かって口に入れますか』
 冷静や落ち着きやしっかりからは程遠い反応で早晩混乱の極みに落ちた主人をみにの冷たい一言が射抜いた。
「ベトベトして気持ちわる……ひっ!?
 や、やだやだやだ! は、入って来る!? 服の中に入って来るよう!?
 て言うか動いて……蠢いて! ……だ、駄目! だめぇっ!!
 そこは駄目だよ!? そんな所に入れちゃやだ!
 そこは何かを入れるトコじゃないのに……!?
 痛、痛い! 痛い止めて痛いよ、奥に来ちゃ……!
 ……おねが……お願いだから鼻の穴に入らないでー!?」

『言葉もありません』
 どっとはらい。


・イドの場合

 或る意味、無表情で無機質で――酷く冷静な機械めいた少女から瑞々しい反応を引き出すというのは男の夢でロマンである。
 彼女の反応が冷淡であればある程、簡単に攻略が難しい存在であればあるほど。その達成感は素晴らしいものになろう。
 つまる所、人は何故山に登るのか。そこに山があるから登る――単純なる事実にそれ以上の理屈は全くもって不要なのである!
「……その、大仰な演説が今のイドにどう関わるのか、理解が及びません。コンピュータ」
 後方で比較的真面目に戦っていたイドもミックの猛攻の前に晒されればピンチに陥るのは必然だった。
「……未解明のBSによる射撃攻撃はとても有用であると判断します。
 その原理・法則を各種センサにより記録。被弾時、ラーニングの可否を評価。
 次回以降の戦闘行動への経験とします……」
 宙に吊り上げられ戒めを受けて尚、顔色一つ変えずにじっと状況を見つめるイド。
 彼女には通常羞恥心は薄く、彼女にはこの非生産的な攻撃を繰り返す敵の本質は恐らく見えていなかっただろう。
 さりとて街野イドがどれ程に街野イドであったとしても――逃れ得ぬくびきは確かにあったという事だ。
「……ン……」
『滅多に聞けない』声色がその薄い唇から零れたのに気付いた人間が果たして何人居た事か。
「……ん、くっ……んん……」
 もしその声を聞いたなら。声はイドらしからぬ酷く艶かしく、無機質から程遠いものだった事にきっと誰もが気付いただろう。
「毒液の効力を確認。外部・内部センサのモニタリングを行います。
 エラー。センサに異常な値が入力されています。不要データを削除処理できません。
 神秘増幅されたスーツに毒液が浸透しています。レベルレッド、防御能力の再判断が必要です……」
 ぶつぶつと口から零れる『レポート』の一方で少女の白い頬は紅潮し、体は素直過ぎる程の熱を帯びていた。
「エラー。センサの、んんっ……切断に失敗しました。生体センサを無効にできません。
 外部入力による生体反応をっ、無効にできません。戦闘行動の継続に……障害が起きています……っ」
 それは全て初めての感覚で――
「エラー! I、私はこの感覚を……感情を知りません。
 未知のセンサ入力による内部温度の上昇、体液の分泌、生体部分の硬化。
 私はこの記録を、感覚をどう処理すべきでしょうか。
 私は……この状況に関するっ、くん……っ、判断ルーチンを持ち合わせておりません」

 唇を戦慄かせ、泣きそうな顔のイドは仲間を――特に楠神風斗に視線をやった。
(たすけ、たす、たすけて、ください、リベリスタ! イドは、イドは――)
 ちな風斗はゴミ箱で犬神家。


・彩音の場合

「悪戯したいんでしょ? いいわよ、楽しませてちょうだい」
 堪えないという意味でバラエティ豊かに華やかなりしこの現場を彩るのは――名が体を表す彩音その人だった。
 阿鼻叫喚たる現場は既に混乱に混乱を重ねていた。涙目になった少女あり、目のハイライトが消えそうな少女あり。
 しかして彼女にとって『この程度』はどうという事も無い。
「あん、がっつき過ぎ――」
 最終的に話が片付かないという事もあるまい、と判断したならば。
 こんな機会は『捕まった』彩音にとっては楽しみの現場に過ぎない。
「がっつき過ぎ」とはいうものの、絡みつく粘体の触手にかえってぴったりと身体を押し付ける彼女は余裕めいていた。
「ほら、いらっしゃい。でも私、されてるだけじゃいやなの。楽しませてあげるわ。ふふ――」
 むしろどちらが主導を奪うかをゲイムのように楽しむように彩音は迫る触手を捕まえた。
「――いいわよ、何本でも相手にしてあげる」
 覇界闘士の技は『敵』の一部を引き千切る事は無い。ぺろりと舌を出した彼女は伸びる敵の魔手に口付けをするように甘く噛む。決していかがわしい内容ではなくスキルリストにおける『吸血』を遂行する彼女は舌を絡めて興味津々に――
(――さて、この『毒』はどんな味がするのかしら。ふふ、危ないからいいのよ)
 ――何処か危うく刹那的なゲイムを楽しんでいる。
 目を渦巻きにしてぐるぐるでぶっちゃけバリバリ泣き出した美月の一方で銀糸を引いた彩音は微笑む。
「どうするのが一番イイ? どうされたいのか、どうしたいのかしら? 私より先にバテちゃダメよ、ふふ」
 アクションは集中の演出です。壱式迅雷だからしようがないね!


 えっちっちは基本的に男の子を認めないというか。
 こう、男とかいらねーし、取り敢えず速攻で排除するのが王道かなーとも思ったんだけど。
 昨今のブームとか需要とか色々考えた時っていうか、指差して笑ってあげようかなーと思って。
 折角なので番外的に君達も的にしてみる事にしました。あらすじおしまい。

 before

「そんな理由で――」
 ロアンは叫ぶ。
「――白くてべたべた……!
 ……いや、これでいいんだ…僕が犠牲になる事で、女の子達を守れるなら
 くっ……えらくやりたい放題だね……この程度で、この僕が……っ!
 こんな奴に、こんな事……くっ、すごい屈辱だ……! 後でミンチにしてやる、覚えてなよ……」

 after

「女の子達を守る前に、僕のハイライト、守れなかった……な……
 え? ピース? うん、じゃあピ―――ス――」
 そんな理由でロアンが結構展開の犠牲になってみたり、
「さてと、うちの商品の練乳入り水あめでもばら撒いておくかな……
 ほら、なんやかんや言ってもえっちっちに似てるじゃん? せっかく女装してる子が少しでも擬態になるように配慮してるんだよ!!
 あと食べ物で遊ばないのが信条だからね! あとで全部舐めとるからね! 覚悟しろ男子達!」
 水を得た魚のように生き生きとした愛が目を欲望に輝かせていたり。
「早打ちみっくちゃんだっけ? 男子だよね? よし、任せろ。
 皆がうっぷんとかぶつけ終わった後に、時間をかけてたっぷりねっぷり、男子の良さを教えてあげよう。
 そうすればもうえっちっちとどうかする事なんかないよね!
 あっても次狙うのは男子にできるよね。わーい。と言うわけで覚悟してね!!!」
 その的が暴威を振るうミックに向いていたりした事は置いといて。
 戦いは大体やる事を終わったので佳境に差し掛かろうとしていた。
「みんな、こいつの抑えはわたしに任せて!
 攻撃を集中させて一気に倒そう! 喰らえ必殺、滝沢美虎十二歳あっぱー!」
 当然最も活躍を見せていたのは技の一つ一つに安全圏のアピールの余念が無い美虎である。
「十二歳です! 十二歳です! 十二歳でーす!」
 小柄な身体をばねのように沈めては躍動させ――帝王リスペクトのカチ上げ土砕掌をお見舞いする。

 ――KODOMO HA GENNKI DE IINAA! ATO IKKAGETU SITARA MATAKITENE!

「お断りだ!」
 アザーバイドの『鳴き声』に咄嗟に応える美虎。
 へろへろのべたべたになってしまった『お姉ちゃん』達、血反吐をはいた男共の惨状は敵の恐ろしさを告げていた。
 されど、無傷。圧倒的安全。美虎の万全過ぎる戦いの寄る辺は最初からきっと一つだけだった。
 何せこのミック『本家』とは違って十三歳未満の少女には決して不埒を働かない。彼女に殴られようと蹴られようと毒液の一滴も浴びる事が無いように配慮に配慮を重ねる姿は紳士的という言葉を超えて美学すら感じさせるものだった。
 決着は近く。追い詰められ始めたミックに声を張った『男』が居た。
「――『早撃ちミック』!」
 それは作品の都合上まだ動けたらしい快だった。
「俺の身体をお前に貸すぞ! 『その人』を解放しろ!」
 新田快という男の『理想』は恐らく遠い日から何一つ変わらない一だったに違いない。
 そこに救える誰かが居るのなら、救うべき誰かが居るというのならば。我が身さえも盾にして。
 溺死しろと呪いを与えられたその心は、本来ならば相容れぬ――三久田次郎という人物さえも例外には取らなかったのである。
(このえっちっちが寄生生物なら、より強い『器』を求めるはず。
 俺はアザーバイドのその習性に賭ける。これが俺の起死回生だ。
 バベルなんて無くても、言葉など通じずとも、理解してみせろえっちっち!)
 弱ったミックが口元をゆがめた気がした。
 仲間達が快の言葉を理解するよりも早く――白い濁液が次郎の口から吐き出され、快の姿を飲み込んだ。

 ――運命を燃やすことを恐れるな。運命を擲つことを恐れるな。

「そう、社会的な意味で――! お前もついでに酷い目に遭え! ばーかばーか! らると!」
 どう見てもとばっちりの黄泉ヶ土さん!
 がくりと次郎の体は崩れ、目の色がおかしくなった快がふしゅるふしゅると触手を吐き出す。
「折角倒せそうだったのに!」
 美虎、ガチ抗議。
「あら、もっと楽しませてくれるの?」
 彩音は相変わらず余裕で。
『アークの誇るリベリスタがこのざまですよ』
「イドは今、思考回路が、ショート寸前です」
 みには毒を吐き、イドは相変わらず煙を吐いていた。
「あれ、貰っていい? 両方」
 愛もまた、何一つ変わっていない。
「……か、かみの名のもとに……」
 リリの拳銃が割とガチにえっちっち(童貞)を照準に捉える。
 ええと、もう収拾がつかないので……



 ……新田快はスタッフが美味しく頂きました! 完!


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 YAMIDEITEIっす。
 圧倒的全年齢シナリオをお送りします。
 壊れた正義かっこいい!

 でも私思うんだ。
 自分の社会的フェイトも大事にしなければいけないと。

 シナリオ、お疲れ様でした。

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(もちろん)追加重傷
新田・快(BNE000439)