●オムザックの焦り 車椅子の振動に揺られながら、『楽団』のメンバーであるラッパのオムザックは焦っていた。というのも、決戦が近いからだ。 敵の本拠地への強襲――その名誉ある先発隊のメンバー。といえば聞こえはいいが、敵の集中攻撃を浴びて捨石になる覚悟が必要である。 とはいえ、先陣を切るのは突撃ラッパだ。楽団の中でも最初に鳴り響かせなければならないのは、確かだろう。それはオムザックにとっても名誉なことだ。 前回の戦いで参加しなかったオムザックを気遣っての配役、とすら思えた。 「確かに危険であるが――」 車椅子を激しく揺らしながら、焦りを見せる。眼の前にあるのは、骨で作られた人形の山。準備期間の問題から、質は前回よりも落ちているが――それでも、十分な数が揃えられている。 その数は、100。 100体もの骨人形たちはそれぞれカタカタと知性なく笑っており、手に持った槍で命を奪いたいと主張している。 「美しくはないが」 その姿を見て、オムザックはため息を1つ。美学に反するような、失敗作も中には含まれる。 だが、それでも。戦力としては十分以上だろう。先陣を切るには、十分な数だ。 「……フフフッ」 焦りから来る汗を顔に浮かべつつも、オムザックは穏やかな老人のように笑い、余裕を見せる。 「安らぎ。そう、ラップのオムザックの音楽は安らぎ――」 ラッパを手に、オムザックは一瞬だけニヤリと顔を歪ませる。それは、心の中に邪悪があることを意味していた。 「死は永遠の安らぎ。この素晴らしき安らぎを、あの若造どもに与えてやらねばな……」 こうしてオムザックは数百の死者の大群を引き連れて動き出す。 三高平市へ――。 ●ラッパが鳴り響く戦場で アラームが鳴り響くアーク本部の中で、会議室に集まったリベリスタたちは状況を確認していた。 今、三高平市は攻めこまれている。間違えようもない緊急事態と言えるだろう。 「『楽団』による攻撃が始まったみたいね。ここを攻める戦力は十分、と言ったところかしら……」 状況を確認するリベリスタたちの前に現れた『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)は、補足をするように情報を口にする。 「ここが大規模な戦場になるのははじめてね。みんなはよく知った場所だから、少しは有利になるけど……相手の数は多いわ。気をつけて」 ホワイトボード上には、三高平市の全体マップがある。ケイオスの能力を看破したアシュレイによれば、アークの中枢であるこの三高平市の占領こそが目的であり……当然、リベリスタたちはそれを阻止することが目的になる。 ケイオスが占領に踏み切った理由は、『楽団』の構成員の少なさにあるという。一人一人が一騎当千と言っても、それでもアークに対して数に劣る彼らは消耗を嫌い、更にアークのリベリスタがしつこいことを知ったためと推測されている。 もう二つ、理由が推測されている。ケイオスがその身に宿したという魔神……これが空間転移の一種を持つと予測されるため、ケイオスの能力と合わせて『軍勢』を三高平市に送り込めるかもしれないからだ。 そして――、 「保管していたのよ。『あの』ジャック・ザ・リッパーの骨を。……研究のため、だと思うけど」 乃亜は言葉を濁す。研究職に付いている乃亜でも、最近になって知ったことらしい。 ともかく、それが敵の手に渡れば最凶の死者が生まれるかもしれない。それだけはどうしても避けたいことだ。 「それから、アシュレイの提案もあったのだけど……。ともかく、まずは敵の先陣をなんとかしなきゃね」 ごほん、とわざとらしく咳をしてから、乃亜はマップ上にある居住地区の一区画を指す。 「この戦場でオムザックと呼ばれる楽団員と戦いが始まるわ。あなたたちより先に何名かのリベリスタがここに赴く予定だけど……もちろん、あなたたちの力も必要よ」 数えてみれば100の骨人形の大群が相手だ。しかも、報告によれば物理攻撃が通じにくい敵だという。その上、再生能力まであるとか……。 「ラッパのオムザック……最初に会った時は逃したけど、今度は本気みたいね。逃げる気は、ないみたい」 戦う覚悟を決めたらしい車椅子の老人は、この居住区の一区画を占領するつもりのようだ。もちろん、それは敵を有利に運ぶための動きだろう。 「敵の先陣……。目的はこちらの戦力を削ることだろうけど――居住区を放っておくわけにはいけないわね。それに、仲間も苦戦しているし……気をつけてね」 そう言って、乃亜はリベリスタたちを送り出す。 開戦を知らせるラッパの音は刻一刻と近づいている。 戦いは、もうすぐだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月13日(水)23:43 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●街を埋め尽くすモノ いつも見ている街の向こうから、異形の音が聞こえてくる。同時に聞こえてくるラッパの音は、おかしさを煽った。 異形を見据え、リベリスタたちは武器を構えて戦場へと飛び込む。 「此処は住宅街だよねぇ……。予測はされてただろうから、避難は完了してるだろうけどぉ…こんなところも戦場にするなんてぇ……」 ねむねむと目をこすりながら、戦場に辿り着いた『夜行灯篭』リリス・フィーロ(BNE004323)は寝不足の充血した目で敵を見渡した。100と聞いているが、実際に見ればそれ以上居るかと思えるそれの迫力に、リリスは咥えたタバコが一瞬だけ落ちそうになった。 「……此処を守るためにも、骨人形は出来る限りバラバラにしておかないとぉ……」 それから、こう思ってタバコを咥え直す。楽団とリベリスタたちの勝負は、今から始まるのだ。 「あの車椅子のご老人……。また相見えることになるなんて」 聞き覚えのあるラッパの音に黒い猫耳をひょっこりと動かしながら、『プリムヴェール』二階堂 櫻子(BNE000438)は味方に向けて翼の加護を与えていく。今回は支援に専念することを決めており、皆からは一歩引いた位置にいる。 「今度は住宅街、しかも骨人形が100体付き……。本当に迷惑なご老人ですわ」 防衛ラインを敷く仲間たちを助けるために、次はマナの力を操り安定化を測っていく。目の前にいるのが視界を覆い尽くすような数であっても、信じている人がいるからこそ……櫻子はため息1つだけでこの戦いに望める。 「随分と久しいなオムザック。前は逃げられたが今回はそうもいかん」 そんな櫻子の大切な人……『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)はウルフカットの髪を掻き上げて、サディストらしい蛇のような目つきを始めた。もちろん、その眼光が望むのは……オムザックと、 「どうにも此処最近は退屈な戦いが多くてな、久しぶりに本気で事に当たれそうだ。貴様の骨人形と、俺達リベリスタのどちらが勝つか、精々競うとしようか楽団?」 中性的で整った顔つきに、野獣のような凶暴性を持って櫻霞は両手の武器を放つ! 目標は眼前に広がる骨の群れ! 目的は――、 「ここからは俺達が進む道だ。道を……切り開かせてもらおうか」 ハニーコムガトリングと二丁拳銃によって発生した弾丸の嵐は骨たちを削りとりながら、火薬と衝突の衝撃で光を放ち道導を作っていく――。 「まさかアークが襲撃される日が来るなんてな。ここに入ったときは夢にも思わなかったぜ。けど、ここには俺達がいる。フィクサードの好きになんてさせねーぜ」 翼の加護で空に飛び上がった『スーパーマグメイガス』ラヴィアン・リファール(BNE002787)が両手の拳を合わせて力を集約し、ハニーコムガトリングを受けた骨の群れに追撃するために力を溜める。 「アークは守り抜く! 一発目! ブラックチェイン・ストリーム!」 そして、溜まった力を手を開いて開放! 葬操曲・黒が放たれて黒の衝撃に巻き込まれた骨の内数体は体の崩壊を始める! 「やったぜ! ターンエンド!」 しかし、崩壊し始めた骨は最後の力で動き、槍を手に突撃してくる! 「……っと、相手のターンもあるんだったな!」 ジャンプして飛び上がってきた骨の槍を肩に受けて、傷を負って血を流しながらもラヴィアンはひるまない。むしろ不敵に笑って、最後の力でここまでやって来た相手に自分の勝利を見せ付けた。この辺りが、バトルマニアたるラヴィアンらしさなのだろう。 「あのように、倒れても動き出すので気をつけてくださいよー!」 手を振って、先発隊のりベリスタたちに伝えるのは『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)の仕事。翼の加護もあって真っ先に先発隊と合流できたイスタルテは指示を飛ばしながら、優しく皆に微笑みかけているのだ。 「メガネブロック。……ではないですよ?」 そのままイスタルテは前に飛んでいき、壁を作るようにしてブロックを始める。その瞬間にメガネが光った! が、特に意味はない。 「やーん、さすがに100体は厳しいですし……。指揮するオムザックを倒せれば、少しは楽にならないでしょうか」 前衛でブロックしながらも、その数の多さを前にして少し弱音を吐く。民家を背にして戦いを始めているから、飛びかかってくる骨の群れが少し少なくて済む。それでもやはり多いのだ。攻撃の回数が。 だけど、後ろに通すまいとイスタルテは気合を入れてブロックを続行! その背を見て、先発リベリスタたちも大いに勇気づけられた。 「大怪我、しないようにね」 次に先発リベリスタたちと合流した四条・理央(BNE000319)は先発リベリスタたちを下がらせながら、道を開くために軽く攻撃を自分たちに向けていく。愛嬌があるその顔には心配が浮かんでおり、理央が持つ情の深さが見て取れた。仲間を心配し、お人よしなところが出ているのだろう。 「ここは、ボクに任せてね」 敵を引き付けつつ、エルバリアなどで支援を行う理央の伊達眼鏡の下はまっすぐに向けられており、一歩も引かないという覚悟が感じられた。 「少しだけでも、戦況を良い方向に……」 そして理央の目が目指すのは、その一点だ。 「お待たせ。傷が深い人を内側にして、翼の加護がかかるように寄って」 次に到着した『不機嫌な振り子時計』柚木 キリエ(BNE002649)は死者を出さないことを第一に考え、下がった先発リベリスタたちの誘導を始める。戦闘不能者は抱えて、オムザックの位置から遠距離攻撃を受けないように計算して動きを始める。 それからキリエは大天使の吐息を使って皆の傷を癒していき、防衛ラインを動かすために高所を目指す。骨は飛びかかってくるとはいえ、そこならば包囲されずに戦いやすいだろうという判断である。 「ご老体が体を張るなら、決意は固いのでしょう。降伏を勧めるのも、失礼というものか」 ちらりと空を覗くキリエが考えるのは、老人の姿。今戦場中に鳴り響いているラッパの持ち主であり、この骨たちを指揮するその姿は遠いためにまだ見えないが……その覚悟は知識として頭の中で知っている。それだけの覚悟があるのだから、正面から打ち倒そうとキリエは思ったのである。 だから、キリエは帽子を深く被り直し、冷静沈着な頭脳をフル稼働させて今の状況を変えていく手を探していく。 「ほぉう。何時ぞや出会った事のある者だな。まぁ宜しい」 同じくオムザックについて考えている『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)は、まず以前にも聞いた音色が耳を刺激していることに気づいた。オムザックがそう言った通り安らぎを与える音なのだが、どこか強制力がある。 「安らぎなんぞいらん。ただ永劫たる闘争を寄こせ。荒れ狂う波を。闘いを!」 だが、それを鬱陶しいと横にどけて、シビリズは牙を剥く。それは動物的なものではなく、狂人の牙である。普段は柔らかな印象を与える白い歯なのだが、戦闘においてはシビリズ自身の闘争本能を表すようである。 「さぁ行くぞオムザックとやら。貴様の演奏がどれ程素晴らしかろうが知った事か――」 ラグナロク――最終戦争を告げる名を持つスキルを使い、先発隊を含む皆を強化しつつ、シビリズは翼の加護によって空を飛ぶ。 そして、背に空を浮かばせながら不敵に笑った。 「アンコールは無しだ。永遠にな」 ここで、すべてを終わらせる。それは、オムザックだけではない。リベリスタたちもだ。 「皆の住むところ、リリスも守るのを手伝うよぉ~。――ん、目が覚めた」 髪を束ねると共に大きな胸を揺らし、目を開いたリリスはその勢いに乗ってエル・ブースト。目を見開いて、目覚めた力を振るい始める。 「戦況を左右する力は無いのは確か、その上で何が出来るかだよね。……さあ、行こうか」 やはり大きな胸を張った理央の号令のもと、戦いは激化する。百の軍勢は既に欠けているが、まだ数での優勢を失ってはいない――! 対してリベリスタたちもそれぞれの技を駆使して、道を開き、陣形を整えた! ここからが、勝負どころだ! ●オムザック出陣 戦いは進む。 激戦の中であっても、リベリスタたちは民間人を巻き込む訳にはいかない。だから、骨の動きを出来る限り注意して見ているのだが――、 「できるだけ巻き込まないようにしないとねえ」 高さに注意しながら位置取り、回復の技を味方にかけていくリリス。だが、そんなリリスに向かって飛び込んでくる幾つもの影! その正体は、もちろん槍を持った骨だ! ブロックしている前衛……イスタルテたちを飛び越えた彼らは、後ろに居たリリスたちも攻撃し始めたのである! 「んっ……くう……痛い」 一撃をまともに受けてしまい、眠そうな目が怯んでしまったところにもう一撃の攻撃が入る。 薄い防御のリリスはこれによって一度倒れてしまう……。 「フェイトを使ってでも立ち上がらないと……」 それでも、フェイトを使って立ち上がって、リリスは後方に飛び上がる。 「厄介だね、自分が死んだことも気付かないでまだ動き回る骨というのも」 そんなリリスに大天使の吐息を使いながら、キリエは少し不機嫌そうな顔をした。眼下では行動を終えたところをラヴィアンが葬操曲・黒によって吹き飛ばしているが、もう一方では櫻霞がスターライトシュートによって倒した相手が最後の一撃で反撃をしていたのである。 「フラッシュバック……最後の煌めきか。有象無象をかき集めるだけでなく……此処までするか、連中も本気だな」 「櫻霞様! あなただけは、守ってみせます!」 そうして怪我を負った櫻霞を巻き込むようにして聖神の息吹を使い、味方の傷を癒すのは櫻子だ。 「あぁまだまだ闘える。さぁ行こう。煩わしい演奏を止めに行こうではないか!」 戦場はリベリスタ側に傾いている。今もシビリズのギガントスマッシュによって一体の骨が沈黙した。 「砕けろ。操られし意思亡き骨共よ――これ以上、望まぬ生を続けるな!」 確実に、しかしこうした動きによって有利に運べているのだ。 「でも、油断はできないね。まだオムザックがいる」 「ですねー。そしてこれはメガネビームじゃないですよう」 理央がマジックブラスト。そしてイスタルテの神気閃光によって骨の群れを蹴散らし始めており、マンションの上でラッパを吹いていたオムザックも焦りの表情を見せてマンションを降り始めた。 「来やがったなラッパ野郎。前回は逃げられちまったが、今回は覚悟決めてきたみてーじゃねーか!」 それを見た二人……。腕の甲を合わせてラヴィアンは音を鳴らし、同じくシビリズは牙を鳴らして歓迎した。これが、彼らなりの音楽なのかもしれない。 オムザックが降りてきた頃には、骨は半数もの数が破壊されていた。戦闘不能のリベリスタたちもかなりの数であったが、死傷者はなく危ない者はキリエに運ばれて後方へと避難していた。 「……ここまでやるとは、さすが。と言ったところかな」 先陣を切り、住宅街を攻めた張本人……オムザックも大きなヒゲを触りながらどこか諦めに似た表情を見せている。……だが、武器であるラッパを構え、死者を率いている様子から降伏などはあり得ないということが分かった。 「今回は逃げるなよ? まあ逃がしてもやらんが…」 「どうぞ、存分にお使い下さいませ……」 オッドアイの瞳を向けて、ニヤリを笑う櫻霞は二丁拳銃を構えて櫻子のインスタントチャージを受け取り……。 「雑魚が邪魔だな、諸共ひき潰してやる」 まず最初にぶっ放す! ニーコムガトリングだ! 骨の群れに弾丸の嵐、更にオムザック本人にも弾丸の雨を浴びせていくが……オムザックはそんな中でも車椅子を走らせ、反撃の一撃を吹き鳴らす。 その反撃はハニーコムガトリングで倒された骨の群れと共に櫻霞へと襲いかかり……。 「……っ!」 「櫻霞様っ!」 櫻霞の腹を貫き、多量の血を噴水のように吹き出させる。そのままダメージによって櫻霞は倒れ、戦闘不能となった。 「次は俺だ! これが俺の演奏だ! ブラックチェイン・ストリーム!」 だけど悲しんでいる時間も、助けを呼ぶ時間もない。ラヴィアンが攻撃を再開! 葬操曲・黒がオムザックごと骨の群れを巻き込み、破壊の嵐によって集まった骨を吹き飛ばしていく! 「……破壊の音色。やはり、……アークは危険、ということか」 その嵐に巻き込まれ、ダメージを受けながらオムザックは頷く。頷きつつ反撃の霊魂を飛ばすが、それはイスタルテによって防がれる。 「リリスさぁん!」 「はぁーい!」 そのまま後方のリリスに声をかけて、エル・リブートを使って回復を受ける。回復役同士連携して、このように攻撃を受け流そうという作戦だ。 「……陣形はまだ崩れていない。みんな、相手の動きに惑わされないで」 その間理央は空から見下ろして、うまく狙いを定めた陰陽・星儀を使って周辺の骨を攻撃。 「ボクも、がんばろう……」 伊達眼鏡を指で押し上げて、理央は手を握る。焦りを見せないように、自分の中で熱くなる血を抑えこむように。 「神は気紛れな数学者、全てはその掌の上に……。いや、なんでもない」 理央の攻撃によってダメージを受けた骨をキリエはピンポイント・スペシャリティに巻き込んでいく。あくまでも冷静に、これよって骨を次々に灰塵に変えていく。 そんなキリエも帽子に手をかけて、何かを抑えこむようにしている。それを見て、理央も微笑んだ。 「……さてさて、ここからどうなるか。じゃな」 そこで残った骨……もう30ほどにまで減ってしまった骨たちを率いたオムザックはラッパを吹き鳴らし、一斉に攻撃を始めた。その音色は、不思議と音楽の教養がない者でも焦りを感じられたという。 「……まだ、俺は闘えるぞ。オムザック!」 前に出て正面からその一斉攻撃を受けても、シビリズは倒れない。確かにダメージは蓄積し、戦闘不能が近いとはいえ……むしろ、この逆境に笑う。 「……ここからが本番だ。我が至高はここからだ!」 そしてそのままオムザックに近寄り、狂気のまま武器を振り下ろす。 「さぁ行くぞオムザックッ!戦場の誉れを抱いたまま砕けるが良いッ!! ギガントスマッシュ! これによってオムザックは車椅子から投げ出されて、マンションの壁に叩き付けられる! 頭から血を流し、朦朧とした表情となるが……オムザックはまだ諦めない。攻撃を始める! フラッシュバックによって動く骨の群れも、攻撃を開始! 狙いは……櫻子! 櫻子の胸に槍が突き刺さり、櫻子は倒れる始めるが……、 「……櫻霞様を守るためにも、ここは倒されては!」 櫻子は体に突き刺さった槍を振り切り、フェイトによって立ち上がる! 更に聖神の息吹も使って仲間と自分の傷を癒す! 「お爺さん、貴方は楽団にしては良心的だったと思うよ。だって作るのは骨人形だけで、生きている者からは手駒を作らなかったから」 「……ふむ」 「まあ、私の勝手な基準だけれどね」 ヒゲを手で整えてから、ラッパを鳴らして攻撃を始めようとするオムザックに対し、キリエはピンポイント・スペシャリティを抜き放つ! 「……ワシの、負けかあ」 放たれた糸に貫かれ、オムザックは息絶える。……その直前に、ラッパを吹き鳴らした。 安らぎの音色が、戦場を支配する。 残りの骨人形たちを先発リベリスタやラヴィアンたちが蹴散らしていく。 「ふぁ……これで、終わりぃー」 リリスもまた、エル・フリーズによって骨を消し飛ばし、フラッシュバックによる最後の攻撃はシビリズやイスタルテの守りやキリエの回復によって止める。 「終わったよ。これで」 最後に理央が残りの骨を吹き飛ばして、戦闘は終わる。結果的に見れば、怪我をした者は出たものの……なんとか死者を出すことなく戦闘は終わった。 敵も倒し、住宅街のこの戦いは無事に終了したといえよう。 しかし……、 「骨も死体も暫く見たくない気分ですぅ……」 「どうなることやら、ね」 ぺたんと座り込んだ櫻子は怪我をした櫻霞を介抱しつつ、街並を見た。 まだ、他の場所での戦いは残っている。 しかし……、 「ふぁぁぁ……お疲れ様ぁー」 ひとまずは、リベリスタたちの勝利だ! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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