●ムーン!! ムーン。それは月の事である。 地球を回る唯一の衛星にして、地球に最も近き天体。 他にもルナやらセレーネやらといった呼び名もあるが、まぁそれは良いだろう。 ともかくだ。夜の空に浮かぶ巨大なソレを、人はムーンと言う。言うったら言う。 そして。今、このボトムに。 上位世界の“ムーン”が訪れていた―― ●ムーン!? ムムーン?! ムーン……!! 「おい、ちょっと称号含めてなんか色々おかしいんだが誰かなんとかしてくれ」 知らんわ。と、にべもない言葉を返されたのは『ただのムーン』睦蔵・八雲(nBNE000203)だ。 「ええいおのれ……! クッ、まぁともかくだ。今回諸君らにはとあるアザーバイドを退治してもらう。標的は、これだ」 八雲がモニターを操作すれば、そこに映るのは月だ。 しかし妙だ。月と言えば宇宙にある存在である。だというのに、その月の周囲は宇宙では無く森の景色が見える。なんだ。お月さまは何時の間にそんなに小さくなって引っ越ししたと言うのだ。 「アザーバイドだ。識別名、ムーン。その名の通り月の様な形をしているな…… 大きさとしては大体二メートルぐらいか? 宙に浮いて、地味に移動をしている様だ。人のいる街へとな」 それは大変だ。つまり、これを退治して来いと? 「いや、一定上のダメージを与えれば勝手に上位世界に帰る様だ。退治、というか撃退か? まぁともかくそう言う事だから最大火力を常にぶちこんで来たまえ。 向こうに攻撃手段の類は無い様だから、然程難しい依頼でもないさ。ただ、な……」 八雲が唐突に、言い淀む。なんだ。何があると言うのだ。 「うむ……ムーンは、自身の周囲に居る生命体をどうやら自分の特殊空間に引き摺りこむ。そんな性質があるとの事だ。故、戦闘をする場所は森の中では無く、ムーンの特殊空間内と成るな」 逆に言えば周囲の被害などを考える必要は無いと言う事か。 変な空間に引き摺りこまれる、と言うのは本来避けたい事態だが、 「ま、これも無害だ。空間内は所謂月面……その様な場所を再現しているらしい」 重力は? 「ある。だからジャンプしても大丈夫だぞ。宇宙空間に放り出される様な事は無い。 言わずもがな空気もな。何も問題無いぞ。“月面に居る様な空間”というだけだからな。 後……何やら空間内では小さな“ムーン”が排出される様だが一応無害らしい。詳しくは資料に記そう」 ここで一息。 疲れた様に息を吐き、一拍置いてから、 「そう言う事で頑張って来たまえ。 あぁ、というか、なんでこんな事になったのだ……! 名前、名前が……!!」 意味の分からない事を呟くんじゃない! ともあれ。上位世界からの影響を無視するわけにはいかない。 リベリスタ達は、上位世界の月を上位世界に戻すべく準備を始めるのだった―― 「月じゃないムーンだ!!」 どっちでも良いわッ!! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月06日(水)23:06 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●月はそこにある 「月は、出ているか……?」 目元を覆う黒いサングラスを身につけて『┌(┌^o^)┐の同類』セレア・F・アレイン(BNE003170)は月に降り立つ。出ているどころか正に今居る所が月だが、気にしない。 「まぁ……お月様の表面って、こんな感じだったのですね……一つ勉強になりましたわ。 ……結構硬そうなのが、ちょっと不安ではありますが……」 一方で『陽だまりの小さな花』アガーテ・イェルダール(BNE004397)は、降り立った月の表面に興味津々だ。あくまでもここはムーンの作り出した空間である為、実在する月の表面と全く同じとは限らないが――まぁ貴重な体験であることに違いは無い。 更にはフュリエたる彼女にとってはボトムでの闘い自体が初めてだ。そしてそれは、 「やれやれ……ボトムに成れぬ私の心は今現在孤独感と怖さがマッハで心を満たして行く。 故に八つ当たりさせてもらうは」 『白銀の鉄の塊』ティエ・アルギュロス(BNE004380)も同様にである。 なぜか某すごい騎士風の口調だが、それは己の“臆病”を誤魔化す為。フュリエで無き者の心は分からず、むしろ“分かる”事が普通であった彼女にとってその感覚は恐怖を呼び寄せた。 されど退く訳にはいかない。幸いな事にこの敵は然程凶暴では無い様で。故に、 「壁殴り代行――もとい、月面殴り代行として全力で行かせてもらおう」 若干の安堵を心の片隅に。黒き刀身を武器として、彼女は決意を改める。 地を薙ぐ前に天を見上げれば擬似的な星々が美しく視界に。ボトムの景色そのものが彼女にとって複雑怪奇極まっていたが……この様な光景はその中でも滅多にない経験だと思考して。 「ふむ。こいつはまた、幻想的な空間に迷い込んでしまったな……一応場所的には地球なんだろうが」 さすれば『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)も似た様な感想を抱くものだ。 メイス片手に。空間侵入からの僅かな自由落下を利用して、 「ま、悪気があろうが無かろうが放っておくわけにはいかないんでな。 ――早急にこの世界から立ち去って貰うぞ」 眩い光と共に、地面を抉る。 回避はおろかそもそも“防御する”という発想すら浮かばないムーンに直撃したそれの被害は甚大。通常よりも遥かに高い威力が月面を襲い、砕かんとすれば、 「しかし……これだけの大きさの敵じゃあ手間は中々掛りそうだな」 キャロライナ・ノードリー(BNE003242)の溜息にも似た声が口から漏れた。 無抵抗の相手への攻撃。彼女にとってはあまり気の乗らないフレーズだが、仕事である以上仕方ない。それにこれが初仕事。尚更逃げる訳にもいかず。 「まぁ、剣の練習だと思えば丁度良いか。壊すだけと、口にするだけなら簡単なんだけど――ねッ!」 闘気を身体に漲らせる。そうして抜くは己の刀。 月光。青白い刀身を晒せば、そのまま月面に対して垂直に。大振りの形で振り下ろし――ぶち込んだ。が、 「全く……力任せに打ちつけるなんて駄目よ。女の子はあくまで優雅でいなくちゃ」 その様子を見ていた『blanche』浅雛・淑子(BNE004204)が言う。それでは駄目だと。 女の子であるのならば優雅に。それが彼女の口癖である。常日頃から意識している彼女にとっては豪快に攻めた今の一連の流れは納得できぬ面があったのだろう。で、あるが故に。そう。手本を見せるかのように斧を振り上げて―― 「――せぇぇぇいッ!」 超強引力任せに叩き込んでやった。 地鳴りが響き、月面が揺れる。余韻を持たせ、一拍の後に斧を構え直せば、 「――さ。これが優雅よ」 「待て待て待て待てッ! 異議を申し立てるッ!」 「え? やあねぇ、今のは確かに優雅よ――ただちょっと思いっきりいきたかっただけで」 どうも彼女は最近BS解除の動きに専念していた様で、その反動がここに来たようだ。 斧を力の限り振るったその顔は晴れ晴れと。ストレス解消、とは少し違うが久々の全力に幾らかの満足感を得て。 「ふっふっふっ……この私が来たからには好きな様にはさせないわよムーン! 月に代わって、月に御仕置きしてあげるわ! ……あれなんか今の言葉、変!?」 と、その時。やたらテンションの高い『貧乏くじに愛されて』シヅキ・ユノ・ユーナ(BNE004342)も現れた。彼女もまたこの依頼が初戦闘の為か、ハイテンション。普段とは若干キャラが違う様だが―― 「ふふふ! まぁ多少の言動間違いなんて匙よね! とりあえず初っ端から本体へフレアバースト行くよッ――!! どりゃあ――! 私の右手ごと真っ赤に燃えろぉッ!」 存分楽しそうでなによりである。火柱を生み出せば更にテンションが上がった様で。 「ムーンは殴る」 同時。影が走る。 その人影は剣を片手に。己の速度を、ギアを変える様に上げて行く。その人物の、名は。 「ムーンは殴る。ムーンは蹴る。ムーンは斬る。ムーンは倒す。ムーンは絶滅させる……! 全てのムーンを、俺は殴ってみせるッ!!」 親の仇の様にムーン破壊を目的とする『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)であった――って、なんでそんなやる気出してるんですか止めて下さいよッ――!! 称号のやる気はどうしたの! 「うぉぉぉぉお、死ねむっつりーにィ――!」 ムーン! ムーンが敵だから、ね! ねっ!? ●←ムーン セレアはサングラスを外す。 ゆっくりと。天を見上げながら。余韻を持たせ、 「月が……綺麗ですね――」 誰とも無しに、呟いた、 直後。 「――ってどっかのイケメンに言ったら靡くかなぁ! ん? 贅沢は言わないよ? ただ、あたしよりちょっと年上で、年収2000万ぐらいあって、すっごい優しくて、でも不器用で、それでもどこか男らしい感じの人なら文句無いね! あ、身長は180cmぐらいでお願いします!」 「げんじつをみろよー」 子ムーンにツッコミをいれられるセレア。高望みどころかもはや一周回って妄言である。さっきまでの雰囲気が台無しだよ! 最初から色々台無しではあったが! まぁそれはともかくとして、言いたい事言ったら次は行動である。サングラスを適当に投げ捨ててから、 「こら! 月! 何とか言ったらどうだ! このムッツリ! スケベ! 叩くぞ! それとも何! ええんか! これがええんか――!!」 とりあえずとばかりに四色の魔光をムーン本体へと放つ。叩くぞ、と言う前に既に放っているのは流石の理不尽だ。まるで居酒屋で即ジョッキを頼むかの様に自然に。彼女は魔光を放って。 また、そのセレアに負けじとばかりに義弘も光を伴う一撃を放ち続ける。 メイスを地に。腰から力を入れて振り下ろし続ける。地を抉る勢いで順調に攻撃をおこなっていた――が、 「……しっかしいいのかねぇ。 この状況、傍から見ると地面を殴り続けている変人に見えたりしてねぇだろうな……」 一抹の不安が彼の頭を過る。 やっている事はメイスを振り下ろすのみ。それが最も効果的なのだが……さりとて、他者から見ると気合いと共にメイスを振るう変人に見えない事も無い。幸いにして特殊空間内なので事情知らぬ一般人が見たりはしないだろうが。 「ま、そいつは今更だな。気にする方が負けだ…… それより重要なのは、出し惜しみせず俺の全力をぶつけ続ける事のみ……!」 頭を振るい、不安を押しのけ。 心機一転。再度メイスを振るってムーンを殴る。 成れぬ重力の強度に戸惑いと、一寸の興味を抱きながら。 「ナイトが使う暗黒は闇とか光とか色々混ざって強力。 むしろナイトが使うからこそ闇と光が備わって最強に見える。不思議だが事実」 ティエも往く。己が身を削り、暗黒の力を生み出しながら月面を襲う。 しかしこの技。光は混じっていない気がするのだが…… 「混じっていると言ったら混じっている。謙虚なナイトは嘘付かない――そんな汚い事をするのは忍者だけ」 すっかりボトムの文化に毒され、もとい、慣れているティエである。 暗黒のオーラを放ち、月面を削り取る様に攻撃すれば、 「ふぅ……中々難しいですね。でも、これも練習です……!」 ソレに巻き込まれぬ場所でアガーテも攻撃を繰り返していた。 放つは光球だ。己から離れた場所へと放ち続けているのは、 「折角の機会ですもの。こうやって丸に当たる様に狙い打てば、ちゃんと攻撃できているか分かりますしね。 早めに気付けて良かったですわ」 そう、練習だ。実戦経験のまだ乏しい彼女にとってここは絶好の練習場所。 最初はやっていて狙いが確かであったか分からなかった為、狙いの場所に丸を書く事で対処した。数十秒に及ぶ集中の末に放たれた一撃は、鋭い精度をもって着弾。満足気な笑顔を浮かべる。 が、いや、まぁ、しかし。 「えっ、ちょ、な、なによあんたたち! か、数の暴力反対! 民主主義の悪意はんた――いッ!! って、やー!? ちょっと! 止めてえええ!」 シヅキは上手くいっていない様であった。 厳密に言えば彼女が悪いのでは無く、纏わりつく子ムーン達が原因だ。攻撃に集中し過ぎた為か彼らの接敵に気付かず、周囲を見渡した時には既に囲まれていた故に。今現在シヅキは子ムーンに群がられている訳である。 ……あれ? 考えると接近に気付けなかったシヅキが悪いのだろうかこれ? 「い、いいから誰か助けて――」 瞬間。シヅキの服の首根っこが掴まれる。 そのまま群れから引っ張り出される形で退避と成したのは――翔太だ。 「この小さい連中マジうざいな……ちょっと離れてな! 一気に片付けてくるッ!」 子ムーンから離れた場所にシヅキを置いて、即座に方向転換。 見れば奴らも来ている。故に“待てー♪”と無邪気に追ってくる子ムーンに対して、 「俺の運命を燃やしてでも……殴る事は止めねぇ……!」 まるで決戦の様な心意気で、往く。 時を刻む様に。時と時の間に滑り込む様に。子ムーンの眼前から掻き消えるかの如く、 十の剣線を秒の間に発生させた。 「きゃー♪」 斬撃を受けた子ムーンが消える。倒せたのか。あるいはただ消えただけかハッキリしないが。 「そろそろいい加減――帰りやがれッ!」 そのまま地を駆け続ける。先の技は範囲的な意味で味方を巻き込んでしまう恐れがあるのだ。故、シヅキを万が一にも巻き込まぬ様に離れる意味合いを込めて、跳ぶ。 まるで一瞬の内に転移するかのように遥か彼方へと。そして身を回し、剣を垂直にムーンへと抉りこませれば、 「ムーンは殴るムーンは殴るムーンは――」 呪詛の様に紡いで拳を握り、 「殴るッ!!」 月面へと言葉通りにぶち込んだ。 何。なんでこんなに敵視されてるのこわい。ひぎぃ。 「しかし……よくよく考えてみたら、地面を攻撃するという戦闘状況もあまり想定できないな…… 強いて言うなら飛行している時ぐらいか?」 キャロライナの疑問は尤もである。 真下、地上への攻撃というのは本来の戦闘ならばあまり無い。飛行している時か、あるいはモグラ叩きでもしていれば話は別かもしれないが。 「まぁ物は考えようか。空中での姿勢制御の修練も兼ねると思えば――悪くない」 攻撃の反動で僅かに浮き上がりそうになる身体。 四肢の体重移動を繰り返してその影響を抑えるべく動けば、 「後……恨みは無いけれど邪魔は邪魔。叩かせてもらうわよ」 群がる子ムーンを居合で一掃する。これ幸いと狙い定め、刀で薙げば見事に討ち減らして。 瞬時に消えるのが難点だが、まぁ、そこは仕方ないと自答すれば。 「ふふ。可愛いわねこの子達。なんていうか、こう、小動物を愛でる感覚に似ている様な……」 「きゃー♪ なでられたー♪」 一方で淑子は子ムーンを撫でていた。月には兎が住むと言う話はよく聞くが、まさかこんな小さなお月さまが住んでいたとは。戯れに撫でれば恥ずかしがるように子ムーンは寄って来て。どことなしに可愛い。 「はぁ。でも、こうやって遊んでばっかり居られないのは残念ね。大事な任務の途中だもの。投げだす訳にはいかないから……さ、離れていなさい。巻き込まれたら痛いわよ?」 同時。はーい、と言って退いて行く子ムーン達。 ……あれ? 言葉は通じても会話は出来なかった筈……気が通じたのだろう。うん! ともあれ再び斧を構えて振り下ろす。相手を殺すレベルまでいかなくても良い為か、気が楽な点もあるのだろう。子ムーンは巻き込まぬ様にしながら全力を放ち続ける。そう言えば小さなお月さまが此処には居たが、本当の月に生物がいるならどんな生物だろうか。なんとなしに思考すれば。 「いつか――機会があるなら行ってみたいわね。本当のお月さまの所へ」 「そうだな。費用とか気兼ねなしに行く為にむっつりーにに金を出させよう。うん。それが良い。そうしよう」 返す様な翔太の言葉に、どこかで青髪の男の“えっ”という声が聞こえた気がするが、幻聴だろう。金を出させるのは確定である故。 「そう言えば説明の時の睦蔵さん、随分とお月様の名前に拘ってたわね。それとは関係ないけど、四と月ってなんとなく似てるわよね――ええ、なんの関係も無いけど」 子ムーンを見ながら過去を思考する淑子。四と月……一体何零四と関係があると言うんだ……! しかして度重なる攻撃は段々と蓄積し、月が揺らぎ始める。限度が近いのだろう。だから、 「もう、ばつ牛ンの破壊力を誇るヘビースマッシュでなぐるわ。 ……決して反動が痛くてひよったわけではにぃ。これは確定的に明らかな事」 暗黒を放つ為に身を削りすぎたティエは膂力による攻撃に切り替えて、 「月じゃねーくせにムーンとか名乗りやがって、この詐欺師が! ムッツリ詐欺師! どうせ年がら年中えろい事ばっかり考えてるんだろ! て言うか私はこんな所にまで来てなにしてるの! イケメン、もしくは可愛い女の子どこ――!?」 どっちでもイケるセレアは雷撃を叩き落として子ムーンを薙ぎ払いつつ、美男美女に飢えていた。しかし酷い風評被害だ。訴訟も辞さない! え、逆に訴えられる? こわい。 「くっ……思ったより中々やるじゃない! でもこの程度で私に勝ったなんて思わない事ね! 私を倒せたとしてもいずれ第二・第三の私が――ってうわあああまた来たああッ!」 「あらあら。そんなに叫ばなくても、大人しくて可愛い子達なのに……おや、ふわふわしてますわね。何も悪い事をしないのだったら連れて帰りたい所ですが……」 そしてシヅキは何故か疲弊している。無害だから本来ダメージなんて無い筈なのだが……むしろ凄い。 対象的に、そんな横でアガーテは子ムーンと遊んでいる。 人懐っこい彼らに好意を抱いたか、出来得るなら持ち帰りたいと一瞬思いが芽生えたが、 「あー、まぁ一応持って帰るのだけはしないように、な? 無害そうに見えても、一応はこれアザーバイドだし……フュリエ達とは事情が違うしなぁ」 「ええ、分かっております。ちゃんと皆さんの様にムーンを壊す……壊す? ……はい。まぁ、壊す、ですね? とにかくそのお手伝いに専念しなければ」 翔太の言に、僅かながらの未練を抱きながらも、再度ムーン撃破に気を取り直す。 残念ながらフュリエ達と違い、ムーンを見逃すことは出来ない。故にと、想いを弾いて、攻撃を繰り返せば。 「――」 月面が一度、大きく揺れた。 さすれば同時。リベリスタ達はこの空間から弾かれる様な感覚を得て。 「これは……やっと終わったと言う事か」 己が刀を握りしめたキャロライナが周囲を見て、呟く。 ムーンの限界が来たのだろう。自らの世界に帰るべく、異物を排除する動きを見せているのだ。 やがて全てが弾かれ、主は消える。元の世界。ムーンの存在した上位世界へと―― ●ノシ 「ふぅ……手強い相手だったわね、アザーバイド。初めて闘ったけど、なんて恐ろしい敵なの……!」 「全くだ……いや、まぁ。今回はあんまり怖くは無かったが、今後はそうとは限らないのだろうな……」 ほぼ自爆に近かったが、シヅキは見事激戦を乗り越えた様だ――自爆だけど。 満足げな顔で任務達成を自覚し。ティエもまた、今後の未来に不安を抱きつつもムーンの撃破安堵感を得ていた。 「ま、なんだ――とりあえず飯でも食いに行くか? こっちの世界が初めての奴もいるだろ?」 「あら。それは良いですね。帰って水を浴びてゆっくり休む前に、美味しい物を食べるのも一興ですか」 そして義弘が交流にと、食事に誘えばアガーテが同意する。 闘いは終わったのだ。ならば後はゆったりと過ごしてもなんら構いはしない。 和気藹々と、一路アークを目指すリベリスタ達―― の、途中で。 「さてしかし。次に出てくるのは何だろう。巨大な“お茶”か、あるいは“零”でも出てくるのか……? いや、何の事だかよく分からないけど、何かにそんな様な事が書いてあった気がしたんだ」 「へぇ奇遇だな。俺もなんとなく、さっさと“シ”に直せよ! って思ったぜ…… ん? “ヨン”が正確? 知らねーなそんな事」 キャロライナと翔太が何か話している。 何か、そう。次元が一つ違う場所の話な気がするが、気のせいだろうか。きっと気のせいだろう。うん。 何はともあれ。ムーンはたしかに退治したのだ。これで全て解決して―― 「だがむっつりーに、テメーはダメだ。アークに戻ったら覚えておけよ最後のムーン」 …………あ、あれ? 戦闘は、戦闘は終わったよね、ねっ!? |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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