●突撃の角 ある程度の質量を持った物体が、高速で動けばそれは一種の凶器となる。 その現象を体現した攻撃がタックル……要するに体当たりという原始的な攻撃だ。 原始的故に単純。だが、その威力や命中率はスピードと質量に比例するから、強力で大きい生き物がそれをすれば十分な攻撃手段となるだろう。 ――今回生まれたエリューション・ビーストは牛をベースとしていた為、タックルが得意だった。 しかも厄介なことに、それは早くて大きい。 小山に珍しいキノコを探しに散策をしていた少女は、一緒に山登りに着ていた仲間とはぐれて、戸惑っていた。 「あれ~……。みんな、どこに行っちゃったのー?」 あたりを見渡して、完全に迷ってしまったことに気づくと少女は来た道を戻り始める。 「んうー。こっちだったかな」 うろ覚えで進んだ先にあったのは……。 「ひゃっ!?」 血まみれになった友人たちの姿。その姿は、交通事故の被害者にそっくりで……こんな山の中に自動車でも走っているのかと混乱した頭が誤解した。 「し、しっかりして。今、救急車を……」 混乱はまだ収まりきっていなかったが、少女は慌ててバックから携帯電話を取り出して救いの手を求めようとする。血まみれになっているとはいえ、まだ息はあるから、助かるかもしれない。 震える手が、ボタンを1つずつ押し進める。 緊張で汗が噴き出て、指を滑らせてしまう。 「あっ、うっ、えっと……!」 頭で分かっていても、動きが付いて行かない。 そんな時だ。木々を破砕する音が聞こえてきたのは。 「何……?」 その音に反応して少女が振り向くと、そこには――突進する塊。 ●突撃する猛牛 ブリーフィングルームにやって来た『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)は、大きな網のような物を持って来ながら集まったリベリスタたちに説明を開始した。 「今回の敵は、これ。この丸っこい弾丸のような生き物ね。エリューション・ビーストに分類されるわ」 映像に写っているのは、突進によって吹き飛ばされる少女。人体からすればあり得ない方向にへし曲がってしまった体からはもう助からないことが簡単に想像できるだろう。 「それでも、私達なら未来を変えられる。そうでしょう?」 と、ウインクした乃亜が言うように、これは未来の映像だ。この不幸な少女とその仲間たちを生まないために、リベリスタは動くことができる。 「さて、改めてエリューション・ビーストについて解説するわね」 ということで乃亜はホワイトボードに特徴を書き連ね始める。 元は牛であるが、その体は巨大化して異常なタフネスとパワーを手に入れたこと。猪突猛進を絵に描いたような性格であり、目の前にいる動くものに対して突撃する習性を持っていること。それ故に単純だが、野生の本能からか戦闘はある程度うまいこと。 これらの特徴を持つ敵ということで、単純ながらも荒ぶる野生が厄介そうなイメージをリベリスタたちに植え付ける。 「ネットは一応用意してきたけど、たぶんこれは簡単に破られるわね。パワーはトラックを軽く吹き飛ばすレベルみたいよ」 それはパワーもそうだが、そういう特殊な力を持っているからのようだ。あらゆる障害を突破する能力を持っているという。 「単純なパワーとスピードはすごいわ。でも、突進しかできない……そこに突破口が見えるかも」 豊満な胸が目立つように腕を組み、考えるポーズを取る乃亜。実際に考えるのはリベリスタなのだが、一緒に考えるポーズだけはしておきたいということらしい。 「ともかく、皆が無事に戻ってくることを願っているわ。その上で未来の女の子を助けられたら、みんなハッピーね」 それからウインクをして、乃亜は手を振りながらリベリスタたちを送り出す。きっと無事に帰ってこれるように、祈りを込めて。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月06日(水)23:17 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●走り出す心 目標の山は街から程近い距離にあり、山登りはそれほどする必要がなかった。それ故に、放っておけば被害者が増えてしまうだろうという不安をリベリスタたちに抱かせたのである。 「リベリスタになって色々やってきたけどマタドールは初めてだ」 山を進みながら、拳を握って力を込めているのは『スーパーマグメイガス』 ラヴィアン・リファール(BNE002787)だ。ロリロリな容姿とは裏腹に、イケイケにまっすぐ進んでいるラヴィアンは、突撃娘だ。相手が突進する猛牛だろうと、やりあうつもりである。 「スペインのスターになったみたいで燃えてきた。正義のヒーローの力、みせてやるぜ!」 とは言え、今回の戦闘スタイルはスペインの闘牛士を目指す。まっすぐ行くだけではなく、派手に動き回ることもまた得意な突撃娘である。 その目は燃えており、やる気が見て取れた。 「まるっとお見通しだぜ。ラヴィアン・アイ!」 しかも、その目は燃えているだけではない。透視を付けた鷹の目によって周囲の位置関係を把握し、敵の位置を探り出すという器用なことまでこなしているのである。 それによって見つけ出された敵の方向へラヴィアンは一直線! 直線的なその性格がよく出ている。 「障害物を突破とは、壁である私にとって、実にいやらしいお相手!」 一方で、そんなラヴィアンを見ながら可愛らしい装甲に包まれている胸に手を当てているのは『超守る空飛ぶ不沈艦』姫宮・心(BNE002595)だ。直線的なラヴィアンから連想したのは、もちろん今回の敵である牛だ。 牛はあらゆる障害を突破して走り抜ける力を持っているという。ブロッカーを自負する心には、厳しい戦いになるだろうことが予測された。 「しかし、境界最終防衛機構-Borderline-の名にかけて!」 それでもポジティブに、自分の所属を叫びながら力強く胸を張ってやる気を見せている。 「ここに防衛線、構築してみせましょうなのデス!」 敵がいる方向に指を向けて、頑張り屋さんらしい必死な顔で頬も張る。その辺りはどこか子供っぽい自称騎士らしさなのだろう。 「直上直径、猪突猛進。妾の知り合いにも、似たようなのが居るが……」 そんな子供らしい二人……ラヴィアンと心を眺めて『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)は妖しく笑う。シェリーも身長は高くなく、年齢も同じぐらいなのだが、そこは雰囲気の問題。 「その者と比べて、如何せん、機知が足りぬなおぬしは……。軽く足らってくれる」 ここで言う“おぬし”とは、今回の敵である牛のことだ。思い浮かべた仲間の姿でくすりと笑ってから、シェリーは山をゆらりと進んでいく。その姿はどこか妖艶で、もしこの場に何も知らない人がやって来たらこの山には魔女がいるのだと勘違いするだろう。 実際、魔女なのだが。 それでも仲間思いなのは確かなようで、何かお土産に持って帰ろうかと頭の中で試算していた。 「しかし、食べれそうにないのが残念じゃの」 元がメス牛とはいえ、エリューション化したことで全身が変質してしまったのだろう。ちょっと食べられそうにない。なので、残念そうに肩をすくめるのであった。 お土産には向いてなさそうだ。 「最近やたら動物を相手にしてる気がするけど……うん。これはでかすぎだね、よくそだったね」 4mという高さを腕と目視で図りつつ、『死刑人』双樹 沙羅(BNE004205)は敵の大きさを確認する。沙羅自身は年齢相応……14歳の背丈の為、その大きさは相対的に大きく見えた。 だから、沙羅はギラギラとした目で歯を噛み締めながら、身長よりも大きい大鎌を取り出す。そして、その大鎌を手にニヤつくのだ。 「牛肉にしたら何人前かな? でもちょっとあれはたべるき無くすくらいだよね」 ニヤつきながら頭の中で試算するが、やはりシェリーと同じ結論になる。 はぁ……とため息をつくのであった。 「乳牛だから絞れば出るのかな? いつかノアちゃんのおっぱいももみた……」 一方で、男の子らしく沙羅はそんなことも思う。でも、妄想だけでも顔が真っ赤になった沙羅だから、きっとその夢は叶わないのだろう。 「ふむ、牛ですか。今夜はビーフカレーですな」 首を傾げつつ、今晩の食事を考えるのは『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)である。カレーは好物であり、ビーフは……、 「いえ別に相手を食べようと言う訳ではないですぞ。ふとした切っ掛けに、思いつくことってあるでしょう?」 これから牛を見るからだろう。怪人らしく眼光を光らせながらも、どこかほのぼのとしたその口調は、周りを妖しくさせた。シェリーとは違う意味で。 結界と共に一般人を威嚇し、遠ざけるためのその衣装はやはり不気味で、仲間からも少し距離を置かれている。さっきの発言も、表情が見えない故に怖がられている。 だが、それでも九十九は長年やってきたリベリスタだ。少し怖がられているが、仲間たちからはそういう人間(?)なのかと理解されている。 「ビーフカレーは私も好きですよ。具が沢山あるのがいい」 特にアークでの戦いも長い『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)はまともに返答をしつつ、自分の考えを示している。……単に、食い意地の張った天然なのかもしれないが。 「ふむ、早くて強くて丈夫とな、典型的な狂戦士タイプですね。しかし、4mの牛か……喰いでがありますね」 「えっ」 そんな声が出てくるレベルで、アラストールは食い意地が張っている。……というか、敵を食う気満々なのはこのアラストールだけだ。 「……?」 何かおかしなことでも言ったのか、というクエスチョンマークを頭上に浮かべる騎士様であった。その顔は非常に整っていて、顔だけ切り取れば凛々しい騎士そのものと言えるだろう。……直前のセリフがなければ、全身でも騎士らしさを発揮できていたのだが。 それはともかく、リベリスタたちは牛の元へと近づいていく。折れた木々が痛ましく、敵の力強さを伝えていた。 「……この大きさでスピードも持ち合わせて居るとなると、驚異的だ」 そんな痛ましい森の中で、『金雀枝』ヘンリエッタ・マリア(BNE004330)は真面目にその威力を考える。突撃する質量、というのは獣らしいといえば獣らしい攻撃方法だが、やはり単純故に難しい……と、考えるのであった。 男という存在に憧れてリベリスタになったヘンリエッタにとって、この力強さに男らしさの秘密があるのではないかと、少し興味を持ったのである。 「乙女たちの休日を無粋から護る任務となれば、重大極まるね」 だけど、乙女の休日……つまり、女らしい休みをぶち壊すエリューションには、容赦しないと決めるのである。だから結界を張りつつ……少し考えてからガッツポーズをするヘンリエッタだった。男らしいポーズだ。 「気配が近付いて来ました。皆様、よろしくお願いいたします」 メイド服に赤いストール、それに安全靴を装備した『レディースメイド』リコル・ツァーネ(BNE004260)はメイドらしく丁寧にお辞儀をしてから、戦士の顔をした。急な雰囲気の変更は、戦士の血筋がなせる技なのだろう。 マタドールの格好の上に、持ち込んだネットは戦うためのアイテム。これを使ってなんとか一撃を防げないかと考えたのである。 「では――参りましょう!!」 大きな声を出して、リコルはクラッカーを鳴らす。これによって敵を呼び寄せようとしたのだ。 その効果はあったようで、茂みの中から爆音が聞こえてきた。それは、大きな何かが突撃してくる音――。 「今です!」 その音に向けてネットを放り投げるリコル。しかし、その音の主……4mほどもある巨大な猛牛はネットを物ともせず、一瞬で突き破って突撃してきた! 「可哀想ですが、人に害し世界に害すモノに成り果てたなら」 「私は世界を守るのデス!」 「デュエル、開始だぜ!」 猛牛との戦いが始まる! ●走り出す猛牛 魔陣が展開し、加護の翼を広げるリベリスタ。 「――魔道士との戦いは、それ即ち“機知の戦い”と知れ――」 対して、まっすぐ走り始める猛牛。 「こっちデスよー! ひらひらー!」 「しっかりの、心。なんなら受け止めても構わんぞ?」 その突撃の前に出たのは心であり、そんな心に対してエールを送ったのはシェリーだった。その心遣いに嬉しくなりながら、心は両手を広げ――、 「赤いふよふよ! 羽がぱたぱた!」 心は最初の一撃を受けきる。 とはいえ、その衝撃を受けて心は吹き飛んでしまう。自慢の鎧もヒビが入り、その破壊力を実感させる。 「すごいパワー……でも、ここからは大丈夫なのデス!」 HPが削れていくのが感覚的に分かりながらも、パーフェクトガードを使って鉄壁の構えをとる心。ここからのダメージは抑えこんでみせるという守りの心意気だ! 「オーレィ! なのデス!」 とにかく目立つのも、味方を守るための動きだ。ちょっと……アホっぽいけど。 「今日の主役様がおこしでございますね! 僭越ながらわたくし共がマタドールを勤めさせて頂きます!」 そんな心が戻る前に、リコルが出てくる。やはり赤い布をひらひらと動かしており、目立とうとしていた。もちろん、囮をするためだ。 「オレも力を貸すよ。少しは硬くなると……いいな」 そんなリコルにエル・バリアを使いつつ、無事を祈るヘンリエッタは翼の加護で飛び上がっている。攻撃を避け、木々の枝に止まるためだ。 「いくぜっ!」 さて、喧嘩っ早い沙羅は先に心を吹き飛ばした猛牛に向けて飛び込んだ! 「誰かロデオを試すモノは居らんかの、妾には無理じゃが」 「も、もちろんっ!」 シェリーの期待通り、翼の加護の助けを受けた沙羅は見事な飛行! 声が上ずったのは、シェリーの顔を見てしまい、赤くなってしまったからである。 だが戦闘は真剣に。その背に乗った沙羅は……激しい動きで振り落とされそうになる。 だが、その体勢から顔を近づけて血を吸う! 吸血攻撃だ! 「うま……くはないなこれ」 しかめっ面をしつつも、まだ振り落とされてはいない。とはいえ、猛牛は暴れ回る! 「こちらでございます!」 その暴れ回る一撃を受けきったのは防御を固めたリコルだ。吹き飛ばされつつも、一撃を受けきったことで仲間を守れたと胸を張った。 「でかい割にすばしっこいの、ま、適度に当て甲斐があるのはいいことじゃ 退屈せずに済みそうじゃ。……体を張ってくれてる連中には悪いがの」 くすりと笑いながらも、木の幹に張り付いたシェリーが攻撃を始める。足を張り付け、魔曲・四重奏を放つ。 「闇が統べる世界へ、誘ってやろう」 杖から放たれた神秘の攻撃は猛牛に直撃し……ダメージとなる。 だが、猛牛は荒ぶる野生によってダメージと共に与えれた痺れを跳ね飛ばし、再び突撃開始! 「のわっ!?」 木の上で待機をしていたラヴィアンを木ごと攻撃して叩き落としに来た! 「いてて……。だけど、その速度が命取りだぜ。縛れ、ブラックチェイン・シーリング!」 フェイトの力を使って立ち上がり、痛む頭を抑えつつも自分の力を開放するラヴィアンは、次の目標……囮役へ突っ込もうとする猛牛に向けて必殺の黒鎖を放った。 黒鎖は罠のように猛牛を包み込み、黒き力がその肉体を穿つ! だが、猛牛は痛がりながらも突進を止めない! 「フフフ……こちらですよ」 そこで、激しく動きつつ目を狙って1$シュートを使って注目を集めようとしたのは九十九だ。フェイトを使ったラヴィアンを連続で攻撃されないように、自身に攻撃を向けさせようとしたのである。 その狙いは成功し、猛牛は目を撃たれた怒りを九十九に向けようとする! 九十九はそれを見て手を動かして、挑発! 「このステーキめ。私の仲間を倒させはしませんぞ」 その言葉の直後、九十九が吹き飛ばされる! それでも、九十九は不敵に笑って立ち上がって魔力銃を構え直した。まだまだやれる、という意思表示だろう。 表情は見えずとも、不敵な男だと印象付けた。 「思った以上に直線的な動きです。まっすぐ並ばぬよう、注意してください」 アラストールは赤い布をひらひらとさせながら、仲間たちに向けて助言をしていく。自分も立ち位置を確かめつつ、ジャスティスキャノンを使って攻撃の目標を自分に向けさせた。 「こちらですよ。我が食卓に上ってもらおうか」 びしっと指を向けたアラストールに怒りを覚えた猛牛は急加速して攻撃! 弧を描いて走ってくる! 「……さすがに、パワーがある。肉の締まりもよくて、美味しそうだ」 それを受け止めて、吹き飛びつつもアラストールは表情は変えない。食べようというスタンスも変えない。 「やはりステーキですね」 九十九はそれを見て、やはり……と深く頷き、木の影から針穴通しを使って猛牛を攻撃した。 このダメージによって更に猛牛は怒りだし、これまでの比ではなく暴れ始めた! 「うおっ!?」 そのため、沙羅も背から落とされる。その際に突撃も受けてしまい、吹き飛ばされつつ、これ以上背に乗るのは難しいと判断。フェイトを使いながら戦闘不能の体を立たせ、体勢を整えようとする。 ……だが、それ以上に猛牛は早い! 赤い沙羅を狙って動く! 「まーもーるのーデースー!」 そこで現れたのは心! かばうように前に立ち、ジャスティスキャノン! 怒り狂った猛牛は心に突撃! 心は吹き飛ばされ、鎧もボロボロになってしまうが……それによって沙羅は避けることができ、無傷! 「し、謝謝……」 「チャンスを逃すわけにはいくまい。左右から挟撃じゃ」 「お、おう!」 不器用にお礼を言いつつ、やはりどもりながらシェリーの攻撃に合わせる。 「Dust to dust」 「死刑人自ら断頭しにきてやったから覚悟して」 マジックブラストと疾風居合い斬り、二つの攻撃が合わさって猛牛の巨体を逆に吹き飛ばした! 大ダメージだ! それを示すように、猛牛もふらつき始める! 「そろそろ死になよ、迷惑なんだってさ」 そう沙羅は言うが、それを断るかのように猛牛は走り出す! 狙いは――、 「オレか!」 ヘンリエッタの防御が薄いのを見破ったのか、それとも偶々前にいただけか。それは分からないが、突進が始まる。 「本日のゲストに傷はつけませんよ!」 それをカットするかのように、リコルが乱入! 突進を受けて吹き飛ばされながらも、ヘンリエッタに慎ましく一礼。どんな時もメイドスタイルを忘れない、リコルらしい動きだ。 「まだまだ未熟だけど……、未だ戦闘への恐れは消えないけど……、それでも出来る事をすると決めたから!」 「俺も手伝うぜ! エルフ耳を守るぜ!」 それを受け取ったヘンリエッタと、ラヴィアンが力を合わせて、それぞれ攻撃の動作を取る! 「ブラックチェイン・シーリング!」 「エル・レイ!」 この二人の攻撃を受け、猛牛は沈黙した。 最後の瞬間まで動き出そうとして九十九たちを驚かせたのは、野生の維持なのかもしれない。 結局、2人が食べた。 「これ、食べれるんですかね?」 「エリューション化しても牛肉、むしろエリューション化した結果美味しい牛肉になっている可能性もあります」 「4mの牛さん。じゅるり」 アラストールと心、二人は九十九の助けを借りつつバーベキューの用意を整えて、焼いて食べた。 ……意外と美味、だったらしい。 その準備を整えた九十九はというと……、 「危ないから、もう離れてはいけませんぞ?」 付近に居た、迷子の少女を助けだしたという。その際怖がられたのは、また別のお話。 「メス牛だけどでかい乳はなかったんだな……」 と、少し残念そうな沙羅は横をちらりと見る。ストンとした体型のリコル。 「なんでございましょう」 「……なんでもない」 「これも男らしい感情、ということなのかの」 やれやれ、と肩をすくめるシェリーだった。 「おおー。これがエルフ耳か! すげー! ぴこぴこしてるー!」 「触るくらいの事は一向に構わないよ。少しずつ触れ合って、分かり合って。そうしてオレたちフュリエを受け入れて貰えたら嬉しい」 一方で、ヘンリエッタのフェリエ耳をハイテンションに触りまくるラヴィアン。これも、異世界間交流。 「みなさんも、食べませんか。バーベキューですよ」 「おいしーですよー!」 更に交流しようと勧めるアラストールだったが、皆に首を横に振られて心と共にクエスチョンマークを浮かべるのであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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