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何かその、すっげぇ黒いアレ。

●←これ
 それがどれだけ大きいかは、その羽ばたきを聞いた鳥達が逃げ出したことから察することが出来よう。
 それがどれだけ凶暴かは――そのうち不幸な何羽かが、それに為す術なく襲われた事から察することができよう。
 さて、それがどれだけ危険かって?
 僕達のすぐ近くまで迫ってきているのに見えやしない、その黒さにこそあるのさ!

                          ――某地方に伝わる民謡の一節

●←だから、これ
 ばさばさと羽ばたく音だけは聞こえるのだ。異常なまでに大きな音が。
 そして寒気だけはするのだ。恐ろしい存在が近くに居ることに。
 だけど、見つけることは適わない。暗闇の中にいるのだろう。光を当てれば見えるのだろうか?
 ……解らない。子供の頃に山の中を歩いたあの時の恐怖のような。頼りない光を山の闇に当てても一寸先を照らすだけで心もとないことこの上なかった、あの情景を。
 感じているのだ。怯えているのだ。だから絶対近づきたくなくて、それで――

●←これっつってんだろ!
「えー…………と。若干ノってる雰囲気の中すっげえ言い難いんですけど、これってアレです。テラーナイトのテのエリューションです」
『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)がやや顔を背けて言葉を告げるまでもなく、リベリスタ達は薄々気づいていた。
 そうだよな、お前は何時だって俺たちが振り上げたシリアスと言う名の拳の置所を迷子にするんだ。
 それで、申し訳程度に表示された映像は、これまたグロかった。
 フォルムは、よく知るところ――ガの一種だろう。その、すげえでかい。あとすげえ黒い。
 これでは夜で見えるわけがないだろう。わかる。
「メラニズム、という言葉はご存知でしょうか。アルビノの反語として知られており、極端に黒い体組織を持つ生物を生み出す要因です。どうやらテラーナイトは」
「いや待て、メラニズムもアルビノも昆虫で起きるわけ無いだろ、っつーか起きてたまるか」
「シャラップ」
 シャラップじゃねえよ。居合わせたリベリスタ達は心中で突っ込んだ。もう何か何言ってもあの虫野郎相手じゃ無駄なのだ。だいたいわかった。

「まあ、基本的に……黒いので闇に溶け込みますし、ちょっとやそっとの光を当てても吸収し、反射しません。神秘の光であれば多少はてらせるでしょうが、その場に残像が残って余計危ないです。全く見えないわけではないですし、羽音は大きいので位置判別は可能ですが……」
「が?」
「正直、割と強いようです。一体ならまだ分かりましょうが、複数体居ると聞きますし。逃げられたらコトです。早急な対処を」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年02月26日(火)22:23
 男は(生物学的に)黒く染まれ。

●達成条件
『クロガ』全撃破

●エネミーデータ
 クロガ×3:メラニズム(を基礎理論としたテラーナイトのあれこれ)によって黒く染まったヤママユガのエリューション。
      やたらでかく、黒く、そして凶暴。
 メラニズム(P):闇に溶け込むため見えにくい。一部非戦スキルが無い場合命中力低下・強。
 フラッシュブランク(遠全・ダメージ0・混乱。特殊):戦場にて光を伴う攻撃スキルが発動し、命中した場合発動。残像が発生し位置が捉えにくくなる。
 鱗粉(近範・死毒)
 ガンナーストロウ(遠貫・Mアタック・失血)
 ウイングブロウ(近複・流血・致命・ノックB)

●戦場
 郊外、人気の少ない通り。
 簡単な照明はありますが、クロガの闇を暴くほどの光量ではありません。

 見えにくく、暴けば悪化する悪循環の解決を期待します。
 ご参加、お待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クリミナルスタア
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
ホーリーメイガス
神谷 小夜(BNE001462)
プロアデプト
アーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)
★MVP
ソードミラージュ
カルラ・シュトロゼック(BNE003655)
クリミナルスタア
式乃谷・バッドコック・雅(BNE003754)
ソードミラージュ
ヘキサ・ティリテス(BNE003891)
ソードミラージュ
鋼・輪(BNE003899)

●彼の闇は病みて
 恐怖の根源とは無知と不理解にある。
 人間は理解できないものを恐れ、知ることが出来ない物を畏れ、到達できないものを怖れる。
 つまるところは、相容れないものは等しく恐怖の対象なのだ。
 理解できるか否か、理解できたとして己が到達し得る地点にそれはあるのか、返す返すに、それは己の手に余るものなのか。要するに判断基準はそこである。
 理解できなくても手に余るならばさした問題ではない。恐怖よりも先に攻撃性が来よう。
 手に余らずとも理解出来たなら対策もとれよう。無為に戦いを挑むことが愚かであると理解できる。
 知識と理解は異なる――つまりは。『テラーナイト・コックローチ』なるフィクサードはそこが異常なのだ。

「また奴か……」
 彼の『作品』の噂は、『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422)の耳にも強く響くことは多かっただろう。それだけ執拗に、そのフィクサードは世界に対し敵であることを示し、強要してきたのだ。
 そして、彼女の懸念は対峙する相手よりもその創造主である彼自身にあった。既に幾度となくリベリスタの前に姿を晒しているにも関わらず、或いはリベリスタにエリューションをけしかけているにも関わらず、その正体が掴めないのだから異常だ。
「テラーナイト……? 聞いた話だと、虫テロフィクサードだっけか」
 噂半分程度に理解している『Spritzenpferd』カルラ・シュトロゼック(BNE003655)だが、彼の認識としてフィクサード殺すべしである以上、その作品はフィクサードの一部であるが故に明確な殺意を顕にしていた。
『Das Nachtpfauenauge』の標本みたいに砕いてやろう……そう決意する彼は預かり知らぬことかもしれないが、彼の作品の改稿版は実は日本でしか読めぬ現状だったりする。
 何にせよ、彼にとっては慈悲無く倒すただの一個の対象に過ぎないのは間違いない。だからこそ、覚悟できている。
「なんつーかさー、デカけりゃいいってのは安直なんじゃないの」
『下剋嬢』式乃谷・バッドコック・雅(BNE003754)の言葉は尤もである。
 米国のB級映画に殊更見られる傾向ではあるが、大きければいいものというわけではない。小さい虫が群れる様の方が、不気味で不快で不安ということもあろう。だが、それは恐らく、テラーナイトにとってはその辺りはどうでも良かったのだ。
 美学を愚弄しているわけではなく、ただ主義主張に即して作られた存在にその辺りの機微は通用しないものだ。彼は彼なりに美学があるのだろう……理解したくはない、そんな者が殆どとしても。
「虫キライだぜッ! ゴキっぽい黒! キメェ!」
 ……と言った感じで、大きかろうが小さかろうが嫌悪感をむき出しにする『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)が居る以上、彼の『作品』が減るとも思えないのだが。
 然しなんというかヘキサの嫌がり方たるやとんでもない。黒にどれだけ恨みあるんだお前。白がいいのはわかるけど凄い化学反応めいた嫌悪だな。
「やっぱ男は白しかねーよ、キレーで清潔だし」
 まあ、染まりやすい色でもあるけどな白。
「クロガって……ううん……あんまり考えるのはやめようね……」
 考えてクロガ真実に到達したら明らかにSAN値下がるね。戦闘中は見ることになるから否応なしに錯乱してしまいかねないわけだけれども。『ゲーマー人生』アーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)がこういう時、若干可哀想だと思ってしまうのは俺の何かこう、間違いなのだろうか。
 数少ない常識的な怯え方(?)をしているもんだから普通だと思うんだけど、どうなんだろうこれ。常識枠の少なさに涙がでるよ。寧ろ涙しか出ないよ。彼女の周囲とかそんなもんじゃないし。
「これは……これは……これはいい蛾、ですね!」
 異常な興奮状態に入った『純情可憐フルメタルエンジェル』鋼・輪(BNE003899)だが、しかし暗視程度ではあの存在は見えない(見えにくい)筈なので、きっと一部妄想で補完しているのだろう。といってもこの少女のノリは完全にイッている気がしないでもない。
 妄想で保管したら現実以上の状況を視認してちょっと意識がぶっ飛んでしまったような、そんな印象を受ける。隣に居るアーリィがドン引きしているからやめなさい、そういうのは。
 不要にビビらせて連携に穴が開いたら嫌でしょう!?
「昆虫で起きるわけないと仰られましてもね……気にしたら負けです」
 既に革醒者界隈が科学的にも遺伝学的にも有り得ない髪色のオンパレードでどこのコスプレ会場だという勢いなのに、今更何をか況やと言うのも頷ける。なので、『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)にとってその状況は至極どうでも良かったのだ。
 だってテラーナイトだし。だってエリューションだし。今更神秘の世界で常識を引っ張りだすことこそが異常なのだ。
 ……そりゃあ、その当人が質量にしてありえない銃器というか重機というか、そんな異質なもの取り回して居る時点で突っ込むべきではなかった。
 しかし、彼女なんてまだマシな方だ。加えて言うならば、クロガ程度に興奮している輪などまだカワイイものなのだろう。
「私、ホーリーメイガスなのもあって、まだ直接、この手でフィクサードやアザーバイドを倒したこと、ないんです」
 もじもじと身を捩らせ、まるで恥ずべきことを告白するように語り出した『Dreamer』神谷 小夜(BNE001462)(ドジとかじゃなくなっているので罰ゲーム明けなのだろう)の雰囲気は最早常識とか恐怖とか嫌悪とか、そんな生っちょろいもんは前座であるかのように淀んでいた。歪んでいた。
 その姿は幽鬼のように揺れ、放つ気配は既に殺気なんてもんじゃなかった。
 愛を。
 尋常ならざる愛を、感じるのだ。
「でも……。テラーナイトさんになら、私の初めてを捧げられるかな、って。そのためにも、彼からの色々な試練に打ち勝って、強くならないとって思ってるんです」
 私の初めて(の殺害)。可笑しいだろうが! なんだそれ! 巫女にあるまじき言葉出てきたぞ! 袴が染物じゃない赤に染まるだろう!(※染まりません)
「どうあれ、●は見た目通りに黒星にして差し上げませう」
 民謡にすら姿をあらわすそれの実際を知りたいとも思ったが、敵を前にして感傷に浸る訳にも行くまい。エナーシアは思考を素早く切り替え、眼前の存在に視線を向けた。
 全ては、早急に処理するために。
 あと、小題みたいになるからその略は……アッハイ、大体俺のせいです。

●←大体これが相手
 日用品の改造、と口にするのは割と簡単だが、実現させようとするとなかなかの苦労が付きまとう。
 特に、排出量が一定のものを調整しようとなると多大な努力が必要なわけで……まあ言ってしまえば、木箱の孔のサイズは一歩間違うと彼らの望む限りにはならないということである。
 で、小夜とアーリィが行った結果がどうなったかというと、些か煙の量が多く、逆に視界を遮る結果となり得たのは悲しい話である。だが、その分煙を裂いて飛ぶクロガが僅かばかりながら見えやすくなったのは、皮肉な話でもある。
 クロガのメラニズムほどではないにしろ、命中補正は決して良きに傾いたとは言えまい。じゃあどうしろ、という話なのだが……。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
 その白煙の中を突っ切ったのは、カルラ。目に滲む煙など知ったことか。憎むべき対象が前方に居るならばそんなもの気にする訳もない。ゼロ距離からの乱打戦に持ち込むことこそ彼の意思。強引と言われようと、それを最適と理解するからこその行為なのだろう。
 それに返された返答は、正面から放たれる鱗粉に他ならない。距離感を誤るまでもなく至近で身に浴びた彼に、その毒の濃さが理解できないはずもない。
 同時に前に出た輪とヘキサとて、それは同じ事だった。展開してのブロックではなく、近接域での密集になってしまう以上、最低二体の近接攻撃に巻き込まれる可能性をそれぞれ孕む。相手方からすれば絶好のダメージ効率であり、凶悪なまでに不利になりうる状況。
 決して楽ではない役割を請け負っていることになる。観察に意識を割こうとする輪だが、決してそれが安易な選択ではないことも知っている。避けられなければ被害は増える。
 ならば当たらなければいい、というのはヘキサの認識である。そして、彼にはその認識に足る能力を持つに至っている。範囲を覆う鱗粉を十分なマージンを持って回避出来る意志力は、それだけ積み上げてきたということに他ならない。
 隙あらば蹴りこみたいという攻撃性を、手元のペイント弾を打ち込む役割で相殺し睨みつける表情に、陰りなどあろうはずもない。
「間近で見るとやっぱただのバケモンよねこれ……蟲っぽくないっつーか」
 目に見えぬ速度と勢いで銃撃を放つ雅の視界には、薄っすらとだが煙を裂く存在が見え隠れする。確実ではないが、ないよりはマシ程度の精度。だが、やはりあれは『蟲』と呼ぶには大雑把すぎるし異形すぎると思う。
 銃弾が煙の向こうに消えるのは視界に収めたが、それがどの程度ヒットしたかは視界には映らない。明らかに変動はあるはずだが、それも確実とは言い難い。
「全くもって、この手の相手は面倒なのだわ……弾幕戦にしてしまえば楽なのだろうけれど」
 当たるを幸いに打ちまくり、勝利へと強引に引き寄せる。確かに、エナーシアであれば不可能ではない行為である。だが、彼女だけが可能であっては意味が無い。全員が等しく状況に即した行動を取らない限り、勝利できようはずもない。
 引き金を引き、ペイント弾を打ち込む軌道は正確に、吸い込まれるように闇を貫いて……弾く様な音と共に、闇に不釣合いな染みを生み出した。
「では、私はマーキングついでに臓物でもぶちまけて頂きましょうか」
 銃口、というよりは砲口を闇の中にポイントしたモニカは、一切の躊躇無くその引き金を引き絞り、砲弾を吐き出させる。マーキング効果のある弾丸として慮外の質量と加速を与えられたそれは、ペイントの効果を以って弾けるどころか、その肉体の一部を千切って爆ぜる勢いだ。
 ……或いはこれが能力によりブーストされていれば、ペイントどころか彼女の言葉通り臓物をブチ撒ける可能性もあったというのが恐ろしい。
「ちょっと余裕……は、有りそうでないよね……」
 後方からの攻撃に拠るペイント効果を考えれば、やや余裕が出来つつあるのではと思わせるが、それまでに前方でブロックしている面子は決して楽ではない。隙を見せれば、自らの方へその口吻がつきつけられない保障は無い。
 出来るだけ前方を安定したブロックをさせない限りには、絶対安全という位置は無い。
 小夜の準備が整うまででも構わない。回復の暇を繋ぎ、魔力を出来る限り潤沢に保ち、戦場を均一化しなければ優位には立てないだろう。
「ああん、もっとよく見た……っ」
 見たい、と身を乗り出した輪の胴を、するりと伸びた口吻が貫く。既にモニカの砲撃でペイントされていたとはいえ、後翅からの位置推測でしか理解できない位置からの攻撃は、彼女にとって避けるには些か難しいものだったと言えよう。
 癒しの光が届くより早く、続けざまに別のクロガが放った前翅の刃が腕に食い込む。機械化された身でなければ、否、革醒していなければ確実に切り飛ばされたであろう一撃は深くその身に刻まれ、重々しい異物感を与えてくる。
 近付けは、しない。だが、近くにいるのならば構わない。前翅による斬撃は、同時にそれを食い止めていたカルラをも切り裂き、抜ける。我武者羅に前進を続けた彼にも、決して軽い傷が刻まれているわけではなかった。
「調子ノってんじゃねえぞこの野郎……!」
 だが、その危急を劈くように放たれたのは雅の怒りが混じった声。銃弾を限りなく放つことが出来ればあるいは優位に立てるのだろうが、前衛の余裕を考えればそんなことを言っている場合ではない。
 肉体の異常を出来るだけ早急に取り除かねば、慢性的な不利が目に見えているというのだ。
「ふふふ……『あの人』の子達らしいですね……本当に、嫌らしい……」
 だから愛おしくもある、とでも言いたげに。小夜の弓を媒介として癒しの光が乱舞する。だが、既に準備を整えた彼女の瞳に映る光は無い。あるのは、前方の光景か、はたまたクロガを見て、なのか。果てしない闇に染まるのみ。
 回復の波長、その精度こそ高いものの、受け止めた者にとって底冷えのする『意思』を感じさせなくもない。
「テメェ……!」
 他二人ほどでは無いにしろ、幾ばくかの攻撃を受けていたヘキサは、溜め込んだ苛立ちをぶつけるかのようにペイントボールを全力で放る。
 蹴りのみで戦う己の主張を捨ててまで、投擲に賭けたのだ。外すわけには行くまい。
 ――果たして、彼のそれは叶えられる。見紛うことなき胸部、中心部にたたきつけられたペイントは確実にその全容を捉え、存在感を導き出す。

 小夜の翼の加護で僅かに浮き上がった状態で、カルラは眼前のクロガを睨みつける。この状態なら、互いに満身創痍の今なら、やれると理解した。
 僅かに浮いた足で空気を蹴り、仮初の翼で上昇する。追い縋ろうとしてきたのを理解したクロガは、不利と悟り距離を取り、結果として離脱を狙おうとするが……遅い。
「とった……!」
 クロガの前翅に、カルラの足が乗り、離れようとしない。下方から振り上げた拳を、全力で口吻へ叩きつける。
 返す刀で打ち込まれたそれが腕の中心に突き刺さるが、構うものか。勢いさえあれば押しきれる。
 みしりと軋む手甲を無視して顔を殴りつけ、捻り潰す。
 バランスを崩し落下するそれに対し、飛来するのは射手達の弾丸、あるいは砲撃。その断片をいくばくも残さぬ勢いで、殺到し粉砕していった。

「テメエみたいなしょうもない蟲にいつまでもかかずらってらんねえんだよ!」
 流れ弾気味に掠めた口吻に脇腹を貫かれつつも、しかし雅の勢いは衰えない。
 寧ろ、その傷が彼女の意識をブーストさせたが如き勢いだ。
 当たるを幸いに撃ちまくる。速射の勢いから頭部へとポイントし、叩きこむ。
 倒れないなら繰り返す。それだけの勢いで。
「う、へへへへ……」
 既に倒れかねない程度の負傷を負った輪が、そのクロガに追い縋る。指をかける。ぎろりとした視線を向ける。
「行かせないからね!」
 アーリィの気糸が、確実にその中心部を貫いて抜けていく。
 電柱にクロガを縫い付けるそれは、或いは早贄にも似た悪意を感じさせもした。

「きったねぇな……!」
 ヘキサの蹴りが、連続してクロガにたたきつけられる。既に衣類は血と体液で汚れてはいるが、彼の意思は些かも汚れが見られない。
 苛立ち混じりに蹴り上げ、叩きつけ、吹き飛ばす。回復が追いつかない負傷が徐々に彼の意思を蝕み、表情に狂気を与える。
「もうムリ、限界。―――ブチ切れてンだよォ!!」
 悲鳴とも怒号とも付かない声を上げ、ヘキサの蹴りの勢いが上がる。ブースターが全開になり、ともすれば制御できない挙動を見せながら次々と突き刺さる。
 草を食むべき兎の牙は、既に敵を貪る狂気へと変化して。
 最後の一片まで残さず、食い散らす。

「……うがいと手洗いは必須だな、これ」
 カルラが各々の頭部に散らされた鱗粉を払いながら、自分の身を眺めため息をつく。
 ここまで汚れるとは予想外だった、というか。

「本当に独創的ですよね、昆虫を改造、って。うふふ」
 寧ろ、小夜の言動不一致(やってることは冷静)が、彼にとってちょっと怖かった、というか。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 あからさまな罠にひっかかりに行く人なんていませんでしたね!(笑顔
 個人的には、ペイント担当多すぎじゃねとか思ったりしましたが、まあ……アリっちゃアリなんでしょうか。

 MVPはなんて言うかこう、その考えはなかったわっていう。