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豊乳セーター


 夕暮れの街を寒風が吹き抜ける。
 聡美は出掛けに懐炉を忘れてしまった事を悔やみながら、家路を急ぐ。
 吐く息は白い。昼間はもう少し寒さもマシだったのに。
 自販機を横目で見ながら、其れでも立ち止まると余計に寒くなりそうな気がして聡美がホットドリンクを我慢した、その時だった。
「もし、申し訳ないが其処のお嬢さん」
 兎に角寒いのだ。本当は出来れば立ち止まりたくなど無かったけれど、聡美は声を掛けられて無視するのが苦手だった。
 街頭のチラシ配りだの何だのを避けるのにも苦労する性格なのだ。
 しようがなく、それでも其の気持ちを表に出さずに、振り返れば其処に居たのは高級スーツに身を包んだ人の良さそうな壮年の紳士。
「はい、どうされました?」
 道にでも迷ったのだろうか?
 これは仕方ない。ああ、どうせ止まってしまったのだから、案内が終ったらコーンポタージュでも買って飲もう。
 そんな事を考えながら返事をした聡美。
 でも、其れこそが大きな間違いの始まりだったと気付くのは、ほんの少し後のこと。
「私はこう言う物を作る者ですがね」
 聡美の考えとは裏腹に、紳士が取り出したのは一目で高級品だと想像のつく1枚の柔らかそうなセーター。
 人が良さそうに見えたけど、もしかして物売りだったのだろうか。だとしたら随分と今日は不幸だ。
「あの、私、今持ち合わせが無くて……」
「いえいえそうでは無く、お嬢さん、このセーターを着て、その大きな胸に私の顔を埋めさせて戴けませんかな?」
 …………え?
 物売りと勘違いし、断りの言葉を口に仕掛けた聡美は紳士の次いでの言葉に絶句する。
「あ、勿論下着は外していただかねば、hshs出来ませんからな……では宜しくお願いします」
「え、あ、その……」
 確かに聡美の胸は平均よりも少し、そう、少しばかり豊かで柔らかいが、いやだからといってそんな事に付き合う義理は無い。
 胸に突き刺さる紳士の視線から逃げんと、聡美は踵を返して走り出そうとするが……けれど、足が、身体が動かない。
「おっと、逃げれませんぞ。もうお嬢さんは私の糸に捕まっている。この糸は柔らかく強靭な、このセーターと同じ素材で出来てましてな。まあ、では下手に抵抗されても面倒だ。折角なので着替えさせてもあげましょう」


「………………はぁ」
 深い、溜息。
 でも良いから仕事してください『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)さん。
「ごきげんよう、諸君。私の機嫌は麗しくない。さて、諸君等は胸は好きかね? 鳥の胸肉などでは無く、人間の女性の柔らかな、しかもふかふかのセーターに包まれた胸だ。……畜生、諸君の性癖なんてどうでも良いんだ」
 言う人や受け取り手によってはセクハラ其の物の発言だが、発言者の逆貫の表情は渋面だ。
 コツコツと机を指で叩きながら逆貫はリベリスタ達を見回し、非常に気まずそうに顔を顰めながら本題を切り出した。
「女性を裸に剥いた後に自作のセーターを着せてその胸に顔を擦り付けるフィクサードが現れた」
 最低である。
「フィクサードの名は苅谷五郎。私と同程度か少し上くらいの年齢で、少し前までは縫製等を生業にしていた男だ」
 

 フィクサード:苅谷五郎
 E能力を私欲に使うフィクサードではあるが他者への肉体的な暴力は好まない。
 ボビン、フライヤー、そして糸や毛糸のアーティファクトを所持し、以下の能力を発揮する。
 1:彼は攻撃の代わりに相手の身に付けた衣類を一枚脱がせます(下着や薄手のシャツなら纏めて1回で脱がせます)。
 2:彼は攻撃の代わりに相手に衣類を一枚着せれます。
 3:彼の自作のセーターを着た者は、一切の身動きが取れなくなります。
 4:彼の近接範囲に入ると、糸に身を縛られ麻痺呪縛状態となります。この麻痺と呪縛は近接範囲にいる間は常に付与され続けます。
 セーター等は何処からとも無く取り出します。一杯持ってます。
 ちなみに其れとは別に非常に逃げ足が速いです。


「彼は仕事に対して真面目な男だったのだが、ある日自分の作った衣服を着た女性の魅力に気付いてしまってな、まあこうなった訳だ」
 投げ遣り過ぎる説明である。
 根からの悪人と言う訳では無さそうだが、しかし此れを放って置く訳にも行かないだろう。
「さて、彼は乳の薄い女性が相手でも毛糸のパンツをはかせて尻をもふもふすると言うオプションの性癖もあるので安心だ。男は知らん。さあ、諸君等の健闘を祈るぞ。仕事の時間は終了だ。今日の夕飯はなんにしようか」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:らると  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年02月20日(水)22:57
 セクハラ依頼です。他の性癖もあるかも知れません。まあ割りと気楽に。だが男は知らん。
 バレンタインを前に、彼女を眼前で他の男にもふもふ堪能されてみるのとかも良いかも知れません。

 ところでぱふぱふって死語?

 餌が無いと頑張って逃げます。なんかすげえ怖くなっても必死に逃げます。
 とは言えリベリスタ達が本気になると割りとあっさり終りそうなので、まあ出来たら遊んでやってください。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
風歌院 文音(BNE000683)
スターサジタリー
リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)
ナイトクリーク
マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
マグメイガス
ティオ・ココナ(BNE002829)
ホーリーメイガス
御厨・忌避(BNE003590)
プロアデプト
御厨 麻奈(BNE003642)
ホーリーメイガス
六鳥・ゆき(BNE004056)


「不埒な真似はやめなさい! こんな事して何が楽しいんですか」
 怒りの声をあげるも、身に絡む糸は彼女の、『蒼き祈りの魔弾』リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)動きを許さない。
 否、それどころか、体に力を篭めれば篭めるほどに、食い込み彼女を縛る。
「楽しいとも。……敬虔なシスターである君には理解出来ないだろう、罪深い楽しさではあるがね」
 麻痺、呪縛に縛れど諦めぬリリの抵抗は、男にとっては寧ろ極上のスパイスであった。
 男はその気になれば彼女の法衣を一気に剥ぎ取れるにも関わらず、嬲る様に、ゆっくりと彼女の胸元へと手を伸ばす。
 汚らわしいとばかりのリリの視線に、男の背筋をゾクリと快感が走り抜けた。
「嗚呼、罪深い。本当に私は罪深い。けれど君も悪いのだ。服で覆い、隠していても、私の目は誤魔化せない。この男を惑わし誘うこの身体が私を惹き付けてやまないのだよ」
「や……っ」
 ぶちりと、毟り取られるボタンに、リリの口から一瞬悲鳴が漏れかけた。
 リリの反応に男の笑みが深くなる。しかし、だ。何時までもスパイスばかりを楽しんでいても仕方が無い。
 不意に、リリの身体を冷気が襲う。法衣が、下着が、男の手によって奪われる。
 羞恥が彼女の肌を赤く染め、唇を噛み締めるリリ。彼女が出来る唯一の抵抗は、手の内に握り締めた銃を離さぬ事のみ。
「矢張り想像通り素晴らしい。これは隠してしまうのが惜しい程に、嗚呼、此れなら私のセーターもさぞや映えるだろう」
「変態です、変態です! 貴方はけだものです!」
 神の教えも、銃も、言葉も、何一つ彼女を助けはしない。
 其れ等はただ男を喜ばせるだけで、
「か、神様……! 腕鍛様……っ!」
 彼女が最後に助けを求めたのは、誰より愛しい婚約者。リリの頬を涙が伝う。
 リリの心を何より傷つけたのは、男の行為に僅かであれ快楽が伴っていた事。
 せめてはじめては、あの方と心に決めていたのに。


「この糸、くすぐったい……、けど、耐えられない程じゃ……」
 どう言うカラクリか、服の内側にまで入り込んで身体を縛り付ける其の糸に、痒みと擽ったさを感じた『薔薇の吸血姫』マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)が身を捩る。
 ナイトクリークである彼女とて、気糸を用いて他者を縛る術は知っているが、……其れでもこの身を縛る糸の緻密さには舌を巻かざる得ない。
 だがマーガレットは少し思い違いをしていた。
 敵の技に捕らわれた身でありながら其れを考察する冷静さは褒め称えるべきだが、しかしその余裕は、彼女がまだ年齢的に幼い自分は敵の嗜好の対象とならぬであろうとタカを括っていたが故。
 けれど実際には、男の魔の手は彼女にも容赦なく伸びた。
「くっ」
 服を剥がれて零れ落ちるは、やや低めの身長、年齢からは意外な程に豊かな双丘。
 そして其の胸を包む黒いブラジャーに、男の唇が笑みに歪んだ。
 強気に男を睨みつけていたマーガレットではあるが、更に男の手が自分のブラジャーに伸びるにあたって、漸く身の危険を意識したのだろう。
「って、ちょ。本気でボクにっ!?」
 喚きたてるがもう遅い。引き千切られるブラジャーに、マーガレットの声が震える。
「無論だとも。君も覚悟はして来たのだろう?」
 動けぬ彼女の背を、男の手が這う。糸だけの拘束は身を捩っての抵抗も出来たのだが、遂には其れも、セーターを着せられ封じられた。
「やめ、てっ、ボクなんか狙っても、しょうがない、でしょっ!?」
 マーガレットの言葉にもう男は答えない。しょうがないわけが無い。見逃すはずが無い。
 男は恐怖に揺れるマーガレットの胸に顔を埋め、其の感触を貪り始めた。
「そんな、コト、しないで……変な、感じが、だ、めぇっ?!」
 彼女の悲鳴に、けれども救いは訪れない。


「この服着てください、は手編みのセーター作った女子が言うセリフじゃないの? わたしそんなの作れないけど!」
 女子力(笑)。
 其れはさて置き、男の糸が次に捕えたのは『すもーる くらっしゃー』羽柴 F 壱也(BNE002639)であった。
 壱也は非常に、外見も、そして面白可笑しい内面も含めて、可愛らしい少女であるのだが、……しかしどうしようかなこの子。
 男は首を捻る。無論彼女の乳は男にとって問題外だ。
「おっぱいあるよ! あるでしょ! あるって言えよ!」
 ねえよ。どのイラストみても無かったよ。ひんにうって言うより絶壁だったよ!
 しかし、しかしである。其れでも男はやらねばならない。セクハラによりFとか付いてる彼女の心を折らねばならない。
 其れが困難な道である事は判っている。けれども、リベリスタが挑んで来た以上は応じるのがフィクサードの役目。
 まあもっとも、彼女のウィークポイントもまた、判っていた。尻を攻めれば良いのだ。
 薄紅色に熟れた桃の様な壱也の尻に毛糸のパンツを穿かせ、思う存分にもふれば彼女の心にある程度の傷をつける事は可能だろう。
 だが、しかし、けれどもだ。其れだけで良いのだろうか。そんな予測され切った結末で少しばかり彼女にダメージを与えて、其れで満足して良いのか?
 答えは断じて否である。
 さて話は変わるがこのフィクサード、苅谷五郎は暴力を好まぬ男である。ぶっちゃけあんまり攻撃スキルを習得して無い男である。
 つまり、SPは大量に余っているのだ。
「うわああああ絶対顔うずめさせないって誓ったのにいいいい!!! 離せえええええそして忘れろお!!」
 叫ぶ壱也の尻に顔を埋め、男は新たな力を希う。彼女の隅々までをも嗅ぎ取れる猟犬の力よ、どうか此の鼻に宿り給えと。
 ちなみに尻の匂いを嗅ぐと言うのは、犬の求愛行動であるという。
 くんくんはあはあ。


 さてさて、お次はえっちな水着の『無自覚のR指定』ティオ・ココナ(BNE002829)。もう一度言おう、『えっちな水着』のティオである。
 此の寒空に、ほぼ紐の様な水着で、にこにこと笑顔で両手を広げ、満足行くまで好きにして良いよと、ティオが誘う。
 けれど獲物の予想外の反応は、男に戸惑いと警戒を抱かせた。美味しい話の裏を疑るのは当然であるし、正直少しばかりは羞恥や抵抗のスパイスが欲しかったりもするのである。
「フィクサードさんの好きな格好になってあげるね?」
 しかし、だからと言って眼前で誘う美味そうな肉の誘いを断る事が出来ようか、……断じて否だ。
 スパイスが無いならタレで食べれば良いじゃない! 焼肉じゃなくてステーキならステーキソースでも良いじゃない! 大根おろしだってポン酢だってありなんだよ!
 つまり肉の質が良ければ其れで全て良いのだ。童顔で無邪気で巨乳なティオは極上のお肉である。
 貪るように飛びついた男を、ティオは笑顔で受け入れながら、リーディングで其の思考を探り出す。彼の好みを知り、彼の望む反応を取り、彼の注意を自分一人に集める為に。
 邪気は無いのだろうけれど、其れだけに本能的にあざといティオの行動は、けれども主導権を握りたがった男に強引に遮られた。リーディングは探られる対象に其の行為を知られる事が大きな欠点の一つでもあるのだから。
 抱えあげたティオの尻にわざわざ毛糸のパンツを穿かせた上で、男は振り被った掌を彼女の尻にぶつける。
「きゃん?!」
 悲鳴ほどに痛みは無い。寧ろ毛糸のパンツが衝撃の殆どを吸収した為、ティオが受けたのは驚きだけだ。お仕置きであれど、男は暴力は好まない。
 彼女があげた悲鳴さえも、きっと男を誘う無意識のメスの本能で……、ティオは僅かに尻を振る。それが更なる男の行為を誘発すると無自覚に知りながら。


 では姉妹丼である。全く持って最低の単語が飛び出したが、それ以外に言い様が無い。姉妹丼である。
 どうしてそうなってしまったのか。
「まあ、きぃの胸には来ないでしょ。だからこそ此処にいるんだよ!! 別に悲しくないし? いや来たらむしろ喜んじゃうし? やっべーきぃ天才、超秀才。よし、これできぃの安全は守られたフラグを踏んだも同然、もう、何も怖くないよお姉ちゃん、お兄ちゃん」
 きっと全ては此の娘、『愛に生きる乙女』御厨・忌避(BNE003590)がフラグ踏みまくりなのが悪いのだ。
 故に、忌避の姉である『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)には申し訳ないが、一緒に餌食となって貰おう。きっと彼女とて、眼前で妹が辱めを受けるのを黙って見ている位なら、一緒に辱めを受けた方が、気持ちの上ではまだマシな筈である。多分、きっと。
 嗚呼、素晴らしきかな姉妹丼……、じゃなくて姉妹愛。

 糸に囚われた二人の姉妹。姉である麻奈は妹の忌避を庇うかの如く前にと立っていたのだが、けれども彼女達を捕まえた糸に射線は関係ない。効果範囲に入った者を、そう、正に蜘蛛の巣の如く絡め取る。
 囚われの二匹の蝶は、巣の主に弄ばれ、貪り食われる運命を待つばかりだ。
 くつくつと笑いながら近付く男に、麻奈はエネミースキャンで男の手の内を探りつつ隙を窺う。もう自分が犠牲となる事は避けられない。だが忌避だけは、後ろに居る妹だけは助けてみせる。
 強い意思を篭めた瞳が、男の能力を解析して行く。無論、麻奈とて年頃の娘である。今から己が身に降りかかる災いが怖くない訳が無い。
 スタイル抜群の麻奈の身体に伸びた手が、解析不能の動きで彼女の服を一瞬にして剥ぎ取る。理解出来た事は、恐らく其れがアーティファクト由来の力であろう事だけ。
「こんにゃろう、きぃのお姉ちゃんになんてことしてくれやがるか!!」
 寒風に晒された姉の肌に、忌避が怒りの声を上げる。
「きーちゃんあかん!」
 しかし其れを遮ったのは心配される当の麻奈本人。彼女が恐れたのは、男の矛先が妹に向く事。
 自分の身が辱められる事を完全に受け入れれた訳では無いのだが、其れよりも彼女は強く思う。『妹ぐらいは守らなあかん』と。
 妹は姉を案じ、姉は妹を想う。けれど二人の関係が深ければ深いほど、其の肉の味わいは増すのだ。
「心配せずともお二人ともご一緒に可愛がって差し上げますよ。ほうら、ねえ?」
 笑う男の手の内に握られるのは、何時の間にか剥ぎ取られていた忌避の下着。あまりの早技に、忌避は其れを見せられてから、己の下半身が妙にスースーと寒い事に漸く気付く。
 ちなみに乳では無く尻を狙われる乙女の葛藤はもう前の子でやったので省きます。
 セーターを着せられた姉と、毛糸のパンツを穿かされた妹、姉妹の身体は、今やフィクサードの思うが儘であった。

 此処で豆知識ですが、犬がお尻のを嗅ぐのは肛門周囲腺と言う其の個体特有の匂いを分泌する部分が存在するからで、犬は此の匂いで相手の体調や性別、気性などのこと細かい情報を知るそうです。
 男がその胸に吸い込むは、姉妹を襲った悲劇の香り。


「ほんとうに、お可哀想な性癖ですこと。……ふふ、可愛らしいわ。遊んで差し上げましょう」
 己に絡み付く幾重もの糸を気にした風もなく、女、『哀憐』六鳥・ゆき(BNE004056)が笑みを溢す。
 そして実際に其の糸は彼女にとって何ら障害とはなりえないのだ。ちきしょう、石化とかつけとけば良かった。
 止む得ない。非常に残念な話ではあるのだが、戦うより他に無い。全ては麻痺無効が悪いのだ。
 手癖の悪い獣を躾けんとばかりに放たれたゆきのマジックアローを、男は髪を焦がされながらも掻い潜り、彼女の上着に手を伸ばす。
 ばさりと剥ぎ取られたは、厚手のコート。
「触れても良いと、申し上げた覚えは御座いませんけれど……?」
 ゆきの言葉に、けれども男の動きは苛烈さを増した。撃ち込まれたマジックアローを、今度は己が身で受け止めながら、強引に服を脱がしにかかるフィクサード。
 その理由は唯一つ。ゆきがコートの下に身に纏っていた、白い縦セーター。一目で安い品では無いと判る其れに、男は強い嫉妬を覚えたのだ。
 どんなに高級な品であれ、着ているのがマネキンであれば嫉妬などはしない。しかし目の前にある極上に熟れたホルスタインの様な身体が己以外の作品を身に纏う。其れは男にとって到底許容出来ない事だった。
 嫉妬の火は欲望に燃え移り、大炎と化す。此の男の本来の性格からすれば、自らの能力が通じない相手からはとっくに逃げ出していても可笑しくないのだが、身を焦がす炎の様な衝動に突き動かされ、彼はゆきを襲う。
 暴力を嫌い、厭う彼にしては珍しく、力で、強引に、押し倒す。彼を見るゆきの目が、憐れむ様な、見下げる様な、其の視線が男を更に加速させる。
 けれど其れは本当に、彼女の言葉通りに己を律せぬ獣の様で、嵐が過ぎ去った後に訪れるのは虚無感と嫌悪感。
 全ての事が終った後、押し倒された女は、己の胸から顔を上げた男に向かい、
「もうお気は済みまして?」
 冷ややかに問うた。


「清く自分に正しい風歌院文音さんですよー!」
 先生、意味が判りません。
 唯一人空を舞い、難を逃れた『アークの鴉天狗』風歌院 文音(BNE000683)。
「ここにいない野郎達の為に私がやらなきゃ誰がやるというのです!」
 とか言いながら他の女性達が男の餌食になる姿をカメラに納め続けた彼女。……って言うか配る気なのか。
 いやはや実に酷い話である。彼女には是非お仕置きが必要である。理屈ではなく、魂が、文音にセクハラをしろと叫んで止まない。
 と言う訳で仕方が無いのだ。だって彼女も割とスタイル良いし。何より其のもち肌は、是非すりすりもふもふして味わうべきであろう。
 その為に越えねばならぬ障害は二つ。文音の飛行と気配遮断である。
 気配遮断はまあ良いだろう。偶然にも先程習得していた猟犬が、獲物の匂いを捉える。
 だがもう一方の障害、飛行のハードルは兎に角高い。攻撃して叩き落す事は可能だが、其れは今回の趣旨に反してしまう。
 傷付けずに文音を捕えるには、何らかの妙案と努力、そして運が必要不可欠だ。

 しかしそんな事に割く尺も無いので文音は何らかの妙案と努力、そして男の豪運によって、或いは文音の不運によって、地上で糸に囚われた。
「はてはて、どうしたことでしょうか」
 己の身を襲った事が理解できず、呆然と言った風に呟く文音。だが其れを説明する義理は男には無い。
 重要なのは、今から文音の身体が此の男に弄ばれると言う事実だけだ。
「いやぁ風歌院さんまじ薄幸の美少女。テンション下がるわぁ」
 迫る男に、文音がおどける。けれど其の言の葉に混じるは、僅かな諦め。
 そう、確かに彼女は薄幸の美少女だ。薄幸かどうかは自業自得の面もあるのでさて置き、まごう事なき美少女だ。
 この美少女との出会いを神に感謝して、それでは、
「いただきます」 



 ↑
 理想

 理想と現実大分違うから夢から覚めなさい。

 現実
 ↓


 こんな話が理想だったが、現実はそんなに甘くない訳で……。
「ねえ、おじさんなんだかブツブツいってるよ」
「ほんとうに、お可哀想」
「エッチな夢でも見てるんやろか?」
「えっちなのはめっ、ですよ……!」
 血溜まりに倒れた初老のフィクサードを囲み、乙女達は好き勝手な言葉を吐く。
 現実は理想に届かない。
 だって、麻痺呪縛無効とかいるし! 行き成り銃とか撃たれるし! 八対一だし! 本気出したら一瞬で終るって言ってたし!
 今日もアークは平和を守る。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 に、にいさあああああん><。

 さて置き、皆可愛かったですね。
 特に言うべき事も無いですが、そうですね。
 ごちそうさまでした。