●全世界に類を見ない最悪の頭防具 世界で最強の防具とは、なんだろう。 最高位の付与術師が調整した魔具? 最先端の科学技術で作り上げられた合金? ミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネ。 違う。なにひとつ正しくはない。正解はこれだ。それこそが正解だ。 それに魔的な要素などひとつもない。科学的な局地など一切ない。ましてや金属ですらできていない。 布。布だ。ただの布に過ぎない。だが、ひとたびそれを装備しようものなら、害意者はこちらに近寄ろうともせず、怖れ遠のいていくだろう。そして湧き上がる勇気。そう、勇気だ。これを身につけると勇気が湧いてくる。 もう自分は誰にも負けないのだと確信できる自己で満ち溢れている。 素晴らしい。嗚呼、しかし悲しいかな。 この局地に達することのできる人間は極僅かだ。誰もが誰も、装備できるわけではない。選ばれたものだけがこれを身につけることを可能とするのだ。 真に、勇者。 だから、これを集めてみようと思う。空前絶後、歴史に類を見ない大祭となるだろう。 奪い合え、競い合え。集う勇者の中でも最強の座に君臨せんと。 君にこれを与えよう。嗚呼、だから早く。 その凄絶さを見せておくれ。それだけを、とみに請おう。 ●今日は皆さんに被り合いをしてもらいます 「はい、じゃあこれがその最強防具ですニャー」 『SchranzC』キャドラ・タドラ(nBNE000205)がモニターに映し出されたそれに、リベリスタは刹那の硬直を禁じえなかった。 画面の向こうでは、曰く最強の防具を身につけた青年が立っている。金髪、碧眼、長身、バランスの取れたシルエット。どこをどう見ても見目麗しいと評されるべきだろう。 だが、そんなことは問題ではない。本編とも一切関係がない。否、むしろその際立った優位性が逆に異常性を強調するスパイスとなっていた。 画面に、イケメンと、いちごパンツ。 何故、頭にかぶっている。 「んむ、勇ましいニャ。まあそれはそれとして、これ見るニャ」 そう言って、猫は一枚のチラシを差し出してくる。 紙面端に『提供:冥時牛乳』という不安にしかならない一文を捉えつつ、本内容に視線を滑らせた。 『勇者求む:女児用下着頭部装着愛好者によるバトルロワイヤルを行います。優勝者には伝説のアイテム『すとろべりーしょーつ』をプレゼント。ルールは―――』 「で、それがアーティファクトなのな?」 嫌な汗が吹き出てくる。馬鹿だ、きっと馬鹿だ。ここにはきっと馬鹿しかいない。 「だからそれの回収がおみゃーらの仕事。冥時牛乳とは対立したくにゃーから、まっとうな手段以外なっしん。おーけー?」 ノットオーケーだ馬鹿野郎。こんな、こんなものに出た日には品性を疑われてしまう。自分が今まで築き上げてきた社会性が崩壊してしまう。 「うん、じゃあどのぱんつにする? こっちで用意したからニャ」 話聞けよ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:yakigote | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年02月22日(金)00:22 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●人の尊厳を社会的に抹殺する 必要なものは真摯さである。自分の欲求に対する直向な姿勢こそが、己を次の段階へとシフトさせるのだ。 恵観区。複合商業都市であるここ、その中心に近いイベント会場。平日、休日の区別なく種々の祭騒ぎで賑わうその場所で。今日は一際、目立つそれが開催されようとしていた。そう、イチゴ狩りである。 「オーケイパンツの貸出は不要だ」 『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)は自前の下着を取り出し、アーク側の支援物資を断った。手持ちの女児用下着は純白しかなかったが、こんな時の為と、妹に刺繍をお願いしておいた。あの汚物を見るような視線は、今思い出してもゾクゾクする。おずおずと差し出された手。一瞬の触れ合いに「ひっ」とか言われたけど問題ない。大丈夫だ。 「だてに『ぱんつといえば僕』とか不名誉なことを言われてない」 誰かこいつを捕まえろ。 「最強の勇者。無二の高みを競わずして、何が武人か。戦場ヶ原舞姫、武門の誇りに賭け、いざ推して参る!」 『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)を誰か正しい方向に導いてやってくれ。威風堂々とはまさにこの事である。舞姫は自慢のブロンドを両側頭部で括り、下着の穴にその両房を通し被っていた。なんというか、極めて触覚に似ている。 「イエス! ジャストフィット! この凜とした若武者ぶりに、居並ぶ歴戦の猛者たちも息を呑むことでしょう」 引いてんだよそれは。 崩界。それに至る万象を食い止めることが、『生還者』酒呑 雷慈慟(BNE002371)にとっての全てである。故に、危険なアーティファクトを俗世間の下に放出するなど絶対に避けねばならないものであった。聞けば、女児用下着を頭部に装着せねばならないとか。自分にそんな趣味はないが、任務とあれば是非もない。あれよ。 「……問題があるのか?」 不思議なものだ。他者に迷惑をかけなければ、趣味に不都合など無い。 「世の中……いや人間という個体にも、まだまだ神秘が満ち溢れているモノだな」 客観的に思考して。何故、この変態的なイベントに『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)が參加しているのか。 「まさか、あたしが変態だから、というわけではないはず」 とりあえず、誰にというわけではないが主張しておく。 「とにかく、"あたしたち8人"が残れば、アークとしての目的は果たせるわけよ」 ちらっと横にいるちっこくてピンクなやつを見ながら『8人』であるところを強調する。 「なら、一般人"達"を優先的に狙っていきましょう!」 「この世のいちごはあたしのもの! それがたとえおぱんつであっても!」 引用、『怪盗』ストロベリー・キューティ・ベリーズ(nBNE000602)の言葉より。誰か、後世に残してあげてください。 「イチゴ狩りというからわざわざきてやったのに。おろかなりべれすたどもにまただまされたですぅ……」 マジでイチゴ狩りだと思って依頼確認した人何人いるんだろう。ちょっと気になる。 「こうなったらりべれすたともどもいちごぱんつを全部うばいとってやるです」 読みにくいなこいつのセリフ。 「ごめんなさい」 『へっぽこぷー』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)は素直に頭を下げた。 「取り放題食べ放題、エリューション化したイチゴを食べつくす依頼と勘違いしてました」 だから自分は場違いなんですさようなら。 「それじゃ……え、両手捕まえられて連行される宇宙人状態? ふえ~ん帰りたいよー!」 そんな言い訳が通用する筈もなく。泣こうが喚こうが仕事は仕事である。 「でもね、ぱんつは履くもので被る物じゃないと思うの。むぅイチゴのパンツなら有るけど、頭に被るのってきちゃなくない?」 「参加する以上狙うは優勝っ! めざせいちご好きの中のいちご好き! モーストいちごパーソン」 略してMIPだそうだ。『ムエタイ獣が如く』滝沢 美虎(BNE003973)は強く拳を握る。別にこれいちご好きを競うものではないのだが。自前のいちごパンツを深く被り、その両穴からツインテール化した髪房を出す。さっきも見たぞこのスタイル。流行ってんのか。女児用下着頭部装着愛好家の最新ファッションなのか。 「わたしの行く道を邪魔する奴ぁ、なんぴとたりとも許さないのだー!」 「『これがその最強防具ですニャー』って貴女そんな」 恐ろしいことをいう猫が居たものだ。しかし、『必殺特殊清掃人』鹿毛・E・ロウ(BNE004035)は現状幸福である。話に聞いていたキャドラ・タドラをようやくその眼で見ることが叶ったのだから。こんなクソ猫で良ければ一日二日預けても良いくらいだが。 「なるほど……コイツが三高平に鳴り響くツインピークスですか。いや実に立派なモンです」 なお、触れたら有料である。 「よし……と。目の保養料代わりに、ひとつ働いて参りますか!」 「私の知ってるイチゴ狩りとはちょっとちがうなー」 『天晴』高天原 てらす(BNE004264)のちょっとは、田舎のおじいちゃんが言う「すぐ着くよ」と同じ物を感じる。 「イチゴ食べたかったなー! 残念だなーっと!! まぁ! 楽しければいいんじゃねーかな!! なーんにももんだいねーだろう!」 ポジティブである。 「パンツを頭にかぶる機会なんて滅多にねーし、かぶってる人間をみるきかいもそうそうねーよな。いや! 貴重な経験をさせていただきアークには感謝なんだぜ!」 ポジティブである。 参加者集合の場内アナウンスがかかる。楽しみにするもの。辟易するもの。仕事と割り切るもの。まあ各々の思惑は別として、それでも世界は回るのである。例え弾き出されたほうが世の為であったとしてもだ。 ●ここに集うは選ばれた勇者 そこに卑猥さは存在しない。性的な要素などなにひとつ介在しないからである。彼らはただ、心からそれを装着していたいだけなのだ。そこに社会的道徳的某かがインターセプトしようと、それを跳ね除ける覚悟をも併せ持つのである。 うわぁ。 そういう言葉が相応しい。 会場に集った彼らは、それぞれがやはり女児用下着を頭部に装着している。当然だ、そういう集まりであるのだから。それ以外が居るわけはない。 老若男女。将来が心配になりそうなお子様からおばあちゃん流石に捕まっとけよ的なご老体まで、種々様々である。 誰ひとり、顔を隠すような真似はしていない。社会的制裁など欠片も恐れてはいないのだ。われ、かぶるがゆえに、われあり。その境地に至った変態ばかりである。 緊張のボルテージが高まる中。今、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。 ●お前(の下着)が欲しい 正直、そろそろ適当なことぶっこくのも限界なんだが。 「ストロベリーはMIPの称号知らないわけじゃないんだろ? イチゴ好きならだれもが憧れる称号の一つだぜ?」 「MIP? も……もちろん知ってるですぅ! 『もっといちごをぱくぱくしたい』のりゃくですぅ! え……『モーストいちごパーソン』? そ……そうともいうですぅ!」 「正々堂々闘ったものにのみ送られる称号だぜ!! この称号があればイチゴ食べ放題だ!!」 「いちごたべほうだいですぅ!?」 驚くストロベリーから一歩後退。いちご食べ放題という魔法の言葉に惚けた怪盗のぱんつを掠め取ろうとしたてらすであったのだが。 「そこのおぱんつ! あたしによこせですぅ!」 もう一歩の所で走り去ってしまった。まったく、相変わらずの幸運度極振りである。 まあ、行ってしまったものは仕方がない。自分の責務を全うするとしよう。まどろっこしいのは苦手だ。正面から。正々堂々。そうして勝ち得てこそ意味がある。感慨もわこうと言うものだろう。 「さぁかかって来いよ!! 私のパンツが欲しいんだろ!! 奪って見せろよ!!」 ここだけ切り取るとすげえ発言である。いや、全部見ても一緒か。 開始当初、レイチェルはその頭に何も被らず立っていた。 紛れ込んだ部外者だろうか。そんな視線を向けられる。この恵観区では日々多数のイベントが並列して行われている以上、そうした『会場間違い』は珍しいことではなかった。 それに、服装が服装である。冬なのにキャミソール。とても動きまわる衣装には見えない。大方、我慢大会かどこかの参加者なのだろうと。 無論、その予想は大外れである。レイチェルは、ミニであることなど気にもとめず、両手を差し入れ自分のそれを脱ぎだした。 手早く、ではなく。もたもたと、でもなく。それは男どもの劣情を掻き立てる。気のせいか、屋外であるのに衣擦れの音まで聞こえてくるようだ。 誰かが生唾を飲み込む音がする。女児用の、幼い装飾でしかないはずのそれ。それが、嗚呼それがなんと艶かしいことか。視線がそこに釘付けになる。 冷たい風が吹く。それにはためいたスカート。そんな嬉しい幸運にも、中がけして顕にならないのは、これが全年齢対象だからだろうか。いかん、一瞬正気に戻った。 そしてそれは、温かさを残したまま頭部へと。 「正々堂々神秘の力を使わない。了解だ、誰かを助けることより簡単なこと」 なんか良い事言いながら、夏栖斗のやることは勿論パンツハントである。 「己がパンツを守るため戦おう。アークのために失われる社会性は。既にもう暴落しきっている。ストップ安だ」 つまるところ社会的な信用性に置いてマイナスをぶっちぎっているのである。自覚があるので最悪だ。 「変態とののしられようが、選ばれし勇者の誉れを享けるのは僕だ。すとろべりーしょーつ。狙うは優勝の二文字」 華麗な体捌きで名も無き一般人の頭部からショーツを奪う様は、まさに圧巻である。ああはなりたくないものだ。 「誰にも負けない自分。そうだ、誰かを守るためには切り捨てなくてはいけないものが在る。それは今まで痛いほどに、解っている」 痛いのはお前だと、誰かが言った。切り捨てているのはモラルであり、振り切っているのは人間性である。人間性を捧げろ。そんな意味じゃない。 「何かを捨てて守れるものがあればそれは、僕が目指すヒーローなのではないだろうか」 いいのか、これでいいのかヒーロー像。 「やはり残ったのは、手練ればかりですね」 舞姫は、ひとりの猛者と立ち会っていた。 興味本位、羞恥心、社会性への未練を残すような雑魚など早い段階で倒れている。ここに至って残っているのは、練達の集団ばかりであった。 「ならば……、わたしも本気を見せましょう。こんな借り物の下着など、もはや不要!」 自分の頭に被ったそれを脱ぎ捨てる。馬鹿な、勝負を捨てたか。そう訝しむ敵の前で、舞姫は己の着衣が中に手を入れる。 そして、脱いだ。公衆の面前なんのその。今しがた脱ぎ取ったばかりのそれを頭部に装着する。 「メットオォォォォォン!!!」 その年齢に合わぬキッズインナーを無理矢理穿いていた。そして、その拘束を破り捨てたことによる解放感。 「イチゴレディ……颯爽登場ッ!!」 そこには、とうとうクソ猫と同じ領域に達してしまった勇者が、立っていた。 「ぱんつと己は一体。梵我一如!宇宙開闢の境地に達した時、ぱんつを奪われることなどない!」 境地に至る。例え百錬の猛者といえど敵うものではなかった。 「良い、勝負でした。グッドストロベリー!」 「ふむ……この装着法が一番合理的か……」 雷慈慟は、支給された下着の足を通す両部位を目開け穴とするかのように被っていた。主流ではないものの、古式ゆかしいスタイルとして今なお現存する、『前被り』である。 「……顔の大部分を覆う為、保温保湿にも優れるな。確かに性能が悪いとは言い難い」 しかしお前、それとあるマスクマンとまるで同じ格好だぞ。首から上が。 「一先ず、我々意外に敵は居ない状態が望ましいな」 「まかせるですぅりべりすた! わたしにかかれば一般人などもののかずではないのですぅ!」 畜生、読みづれぇんだなひらがなって。 張り切るのは良いが、戒めねばならない。一般人に向けた神秘の秘匿性。民草は日常の中にこそ身を委ねていなければならないのだ。その幸福を脅かしてはならない。 「良いか嬢。ソレは苺好きとして最低の行為だ。締めるべきは締める……大事な事だ」 それがあくまで能力あるものの義務なのだと。諭す。子供と侮らなければ、聞いてくれるだろうと信じて。 雷慈慟は、下着のせいで表情がまったく読み取れない面持ちのまま、そう言った。 メイは会場の隅で丸くなっていた。 その姿を目に止めた男が、彼女に近寄ってくる。頭に女児用下着を被った大人が、小さく身を隠した子供ににじり寄る姿。それも狙いは下着ときたものだ。犯罪臭しか漂わない光景であるが、しかし目標のそれが頭部にあるのであれば。滑稽というかシュールであった。 にじり寄る男。それに気づいたメイが、一層身を竦ませて目に涙をためた。 流石に罪悪感を感じたのか、男の挙動が一瞬、停止する。それが命取りである。激戦をくぐり抜けてきたリベリスタにとってすれば、その刹那が大きかった。 素早く交差し、頭のそれを奪い去る。男の目には写りもしなかっただろう。日々培った実戦の差であった。 「あ~でも本気で泣きたいかも……ボクたちと違って喜んでパンツ被る変態さん達だもん。できればお知り合いになりたくないよね」 その『ボクたち』ってどんな範囲だろう。リベリスタ全体だろうか。ここにいる8名だけでも、何人か踏み外している気がするが。 「たぶん無いと思うけど、ウッカリ優勝したら、変態さんの称号もらえるよね……」 フラグです(嘘)。 美虎のターゲットは、一般人ではない。仲間でもない。迷うこと無く、その矛先を怪盗ストロベリーに向けていた。 この苺娘には、以前いちごのヘタだけを送りつけられたことがある。その恨みをはらさでおくべきか。 「くいもんの恨み、思い知らせちゃるー!」 ややテレフォン気味なニーキック。手練同士の戦いでは、到底当たるものではない。そんなことは美虎にも分かっている。この膝蹴りを囮にして、頭部にある下着を奪い去ろうとしたのだが。 「ぷぎゃ!!」 あたってしまった。 腹部の割といいところに膝を受け、そのまま転がっていくストロベリー。すごく、痛そうだ。何十人もがひしめきあう会場を、その人混みの中を。ころころと転がっていく。 「おのれりべりすたー!!」 恨み事のドップラー効果。しかし距離が離れてしまったのでは仕方がない。あれは後回しにして、他を優先させるしか無いだろう。 「いっちごっ♪ いっちごっ♪」 余り過ぎた力を解放する。けして立ち止まらず、しなやかな猫科のように。 「よっしゃ! またまたぱんつげっちゅ! 次はどいつだー!!」 戦いも、終盤に差し掛かろうとしていた。 当然ながら、残ってくるのはいずれも強者ばかりである。幾人かイレギュラーも見受けられるが、そのほとんどはロウの見知った顔であった。つまりは、仲間らである。 そのイレギュラーも含め、おおよそ一般人と主観できる者らが頭部の下着を奪われた時点で、ロウは行動を開始する。 そそくさと、ストロベリーの背後に近寄ると。その膝裏に自分の膝を当てる。自分よりはるかに小さな子供に向けた膝カックンはいささか窮屈に過ぎたが、効果はあったようである。いや、ありすぎた。 「ほわぎゃ!」 頭のそれを狙ったのだが、大きくのけぞられた為に目測を誤った。まったく、運のいい。警戒心を強めたのか、「おのれりべりすた!」とか散らしながら逃げていく。 ああなっては追えやしまい。となれば、残る相手は知る人ぞ知る戦士達。昨日の友がなんとやら。しかし、尻尾を振る気にはなれなかった。 「うおおおっ、キャドラさんのためにー! って駄目だわあの人はかない主義者じゃん! 馬鹿なっ、ぱんつが!? 僕は……絶対生き延びて! グワーッ」 ●優勝者に授けられる真の変態称号 どうしてこうなった。 怪盗ストロベリーは気がついたら居なくなっていた。 きっと本物のいちごの元へと帰っていったのだろう。だってイチゴ狩りの季節だし。書いてて合ってるか不安だけど。 ともあれ、リベリスタらの手にはひとつの布切れが収められていた。言うまでもなく伝説のアイテム、『すとろべりーしょーつ』である。 勝った。勝ったのだ。社会的な対面をかろうじて保つ為にあえて優勝者が誰とは言うまい、後で仲間内でこっそり決めてくれ。つまりはこの中に、勇者の中の勇者。変態オブ変態。モースト変質者の称号を頂いた真の女児用下着頭部装着愛好家が誕生したのである。 おお、それは誉れ。どうかアークを歩いていて、下着を頭部に被った誰某が居れば尊敬の眼差しで見てやって欲しい。彼はないし彼女は、この聖戦に勝利したのだから。 けして、叫んで通報しないでやって欲しい。 了。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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