●フィクサード 「九条のヤツ、捕まったか」 「新兵を集めた程度のアークに返り討ちとは。その程度の腕っ節だったとはな」 「ちょうどいい。アイツが抱えていたシマ、ごっそりいただくとするか」 「ついでに『九条ははアークの戦いで無様に命乞いをして、捕虜になった』と噂も流しておくか」 「そりゃいい! あのハゲアタマの信頼を根こそぎ落とせる。無駄に人徳があったからな、あの野郎」 「……畜生! あいつ等、九条さんに世話になった恩も忘れて!」 ガン、と机を拳で叩く音が、寂れたバーに響いた。 九条徹。ここにいる七人のフィクサードは、かつてその男と共に美術館を襲撃し、アークと呼ばれる組織を誘い出した。アークに対する威力偵察である。 その戦いにおいて敗北し、九条は捕らえられた。それ自体は戦いの結果だ。悔しいと思うがアーク憎しと思うほどではない。ケンカはかくあるべし。九条の理念を彼らも受け継いでいた。 憤怒を感じるのは、九条がいなくなったことによりこの町一体のパワーバランスが崩れたことだ。 暴走しがちな者たちを九条の実力と人徳で抑えていた人間関係だったが、押さえるべき蓋がなくなり一気に噴出したのだ。上から押さえ込んでいた分、解放されたときの暴走は大きく、それを止めるものは誰も存在しなかった。 否、いないわけではない。頼れる人はいるのだが……。 「蝮原さんに話を持っていけば……」 「あの人は『あの計画』のために手一杯のはずだ。チンピラの勢力争いなんぞに構ってる余裕はないさ」 おちる沈黙。足りないモノはパワーとカリスマ。それは一朝一夕で身につくものではなく、そして事態は刻一刻と悪いほうに転がり落ちていく。まさに袋小路。それでも誰も逃げようとしないのは、九条に対する恩義ゆえか。 「手段は、ある」 しかしその恩義ゆえに。逃げることを諦めない思考ゆえに。 「『雨四光』と『猪鹿蝶』を使おう。 アークを誘い出して捕らえ、そいつらを人質に九条さん解放をアークに願うんだ」 「なに……!? アレは使うなと九条さんが言ってただろうが!」 「だけどこれ以外に手段があるか? 『あの計画』のためにアークに対する戦力を求められているこのときこそ、チャンスだ。 『雨四光』でアークを誘い出し、『猪鹿蝶』でたりない戦力を埋める。これ以外に手段があるのか!?」 それに答えられる人間はいない。その恩義ゆえに。諦めない思考ゆえに。彼らは戦場に身を投じる。 それがアーティファクトによる破滅の道と知っても、それを止めることはできなかった。 ●リベリスタ 「蝮原の手のものと思われるフィクサードたちが動き始めた」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は告げる。新たな戦いの始まりを。 「『雨四光(うしこう)』と『猪鹿蝶(いのしかちょう)』。そう呼ばれるアーティファクトをもってダムの近くで陣取っている」 イヴの言葉に合わせてモニターに出て来たのは、まっすぐな一本の杖と、三対の手甲。皆の視線がそちらに言ったのを確認した後で、杖が拡大される。四枚の札が張ってある以外は、目立った特長のない木の杖だ。 「これが『雨四光』。効果は単純。地面に突き刺すと周囲の雨雲を空に集める。局地的な大雨を発生させるアーティファクト。フィクサードたちはこれを使い、ダムに雨を溜めて決壊させようとしている」 そうなれば被害はダムのみに留まらない。川下にある町も災害をこうむるだろう。 「この手甲が『猪鹿蝶』。これも効果は単純。はめた人間の能力を上げる。代償としてその人間は命を削られる」 「命を?」 「文字通りの意味。手甲をはめ続けるかぎり着用者は生命力を手甲に奪われ、いずれ死に至る。その代償として、並の覚醒者を超えた力を得ることができる」 モニターからアーティファクトが消え、映し出された七人のフィクサードたち。 「今回の任務はフィクサードの打破と、ダム決壊防止。『雨四光』は地面から抜けば効果を失うから、フィクサードを戦闘不能にしたあとで回収すればいい。 あと『猪鹿蝶』を着用した相手は、下手に相手にしないほうがいい。能力が増幅されていることもあるけど、放置すればアーティファクトの効果でいずれ倒れる」 そのほうが、戦闘の危険度は下がる。イヴはそう言葉を続けた。 「『猪鹿蝶』の効果からも察することができるけど、今回のフィクサードは前回よりも戦意が高い。目的まではわからないけど、みんな気をつけて」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年06月30日(木)02:05 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●雨四光 しんしんと降る雨は何時からかざあざあと。 雨具もさほど意味を成さないほどの雨。天気予報は予想外の雨に戸惑い、慌てて臨時ニュースを流すほど。 それが神秘現象と知るのは、一部の人間のみ。『雨四光』――雨雲をあつめ、一箇所に局地的な雨を降らせるアーティファクト。それをダムに設置し、貯水の限界を超えさせようというフィクサードの計画の為だ。 濡れる地面を踏みしめリベリスタは進む。そこには、七人のフィクサード。 その顔ぶれに見覚えのある『わたくさひめ』綿雪・スピカ(BNE001104)は口元の手を当ててくすくすと笑いながらいう。 「あらあら。ガチンコ対決の次は、総力戦? しかも、秘密兵器投入……って感じ?」 スピカが見るのはフィクサードの所持する杖状のアーティファクト『雨四光』……そして三対の手甲型アーティファクト『猪鹿蝶』。 「さすがアーク。アーティファクトのことまで『視』えるのか」 「全く、最近の若いもんは死に急ぎ過ぎなのじゃ」 『泣く子も黙るか弱い乙女』宵咲 瑠琵(BNE000129)が嘆息する。彼らには生きていてほしいから彼らの頭は自らを囮にしたのだ。その彼らが命を懸けるとは。 「死に急ぐだけの事情があるのさ。付き合ってもらうぜ、アークのリベリスタ。 いろいろ有名どころが集まってきているみたいだしな」 『雨四光』を守っているフィクサードの一人は雪白 桐(BNE000185)のほうを見る。視線をむけられた桐は、 「私は桐でも鬼ぃさんでも鬼ぇさんでもなく力の一号ですよ? こっちのさめらーはりりすさんじゃなく技の二号です」 こちら、と紹介されたさめらーこと『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)は雨で濡れたタバコを咥えながら「なんでだ」と突っ込みの手を入れる。さめらー、ってなんやねん。ああ、サメビーストハーフのソードミラージュですね。 「だって知らない人から名前呼ばれるとか怖いじゃないですか?」 「因みに其処の男の娘の正体は、たーんぱんつの鬼ぃさんだよ」 りりすいつかシメる。桐は心に誓う。その言葉は心にしまいこみ、 「で、全力を出せる事を期待してきましたがいいのですよね?」 まんぼうをそのまま薄くした形状の巨大な剣を構える。 「ああ、全力できな。今回はこちらも引けない事情があるんでな」 フィクサードの一人が手甲の止め具をはめる。アーティファクトの神秘が発動し、装着者の生命を奪い能力を増幅させていく。 雨降る森の中、死闘が始まる―― ●猪鹿蝶 さて。戦場はフィクサードが待ち受けていただけあって、リベリスタ側に不利である。 雨は視界を制限し、ぬかるんだ地面は動きを制限する。 フィクサード側は降る雨粒を透視能力である程度クリアにし、それをテレパスで仲間に伝える。ぬかるんだ地面に足をつけず、面接着で木を足場にして戦う。戦場の悪条件を巧みにカバーしていた。 「よく考えたほうですわね……結果は変わりませんが」 状況は事前に『万華鏡』から知りえた情報ではあるが、『甘くて苦い毒林檎』エレーナ・エドラー・シュシュニック(BNE000654)は改めて感心する。そしてそれでもなお勝てる、と断じた。気の糸を打ち出し、フィクサードの手甲『猪鹿蝶』を狙い、穿つ。 「難儀な商売ね、どちらも」 リベリスタは世界を守る大儀で動き、フィクサードは別の仁義で動いている。ともに守るものがあるのに戦わなくてはいけないのはなんと難儀なことか。 『トリレーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)はそんなことを思いながら、エレーナと同じくフィクサードの手甲を狙い気の糸を放った。相手の場所を熱源を感知して察し、ぬかるむ足場を重心移動させることで安定させながら、糸を放つ。 「何……っ? まさか『猪鹿蝶』を砕く気か?!」 「そういうこった。九条のおっさんならこう言うだろうよ。 『お前ら、自分の力に依らないそんな喧嘩して、恥ずかしかねえかっ!!』ってな」 『雷帝』アッシュ・ザ・ライトニング(BNE001789)はニヤリ、と笑い体内のギアを上げて加速する。自分の役目は後衛組がアーティファクトを破壊するまでの足止めだ。 「命を懸けて何かを貫くって気持ちは凄いけど」 『ガンスリンガー』望月 嵐子(BNE002377)は重心をおとして、足場を安定させる。そのままアッシュが足止めしたフィクサードに意識を集中した。雨粒すら止まってると思えるほどの集中力で狙い、トリガーを引く。弾丸はイメージどおりに『猪鹿蝶』に命中し、その神秘を失わせた。 「倒すべき敵の気持ちなんて考えないよ。ワタシたちにもいろんな事情や思いはあるもんだからね」 「なら何故『猪鹿蝶』を砕く? 知っているのだろう。コイツの特製を。 おれたちが疲弊するのを待つほうが有利とわかっているはずだ」 「命を懸けてまでアークに喧嘩を売る事情の方が気になったんじゃ。 その後ぶちのめすことのはかわらんのじゃが」 瑠琵は前衛と後衛の間に位置取り、印を結ぶ。リベリスタを守る不可視の盾が顕現し、経戦能力を上げる。 桐は体内に気を充実させながら『猪鹿蝶』の砕けたフィクサードに切りかかる。後ろの木ごと切り裂こうと言う一撃だ。が、 「さすがに無理ですか……」 渾身の力を込めても、木を一本切り倒すには相応の時間と力が必要になる。仕方ない、と桐は諦めた。 「君達に騙る言葉も、かける言葉も今は無い。力ずくで『僕』を解らせる」 りりすは『猪鹿蝶』が砕けていないフィクサードに近寄り、腰を落とす。ソードミラージュ特有のスピードを生かした動きではなく、一手一手を丁寧に捌く戦い方だ。ぬかるんだ足場を完全に解決できるわけではないが、それでも地力の高さが攻防を可能としている。 (ミネとカズはイネのフォロー。俺たちは一斉に姫カットの娘に――) 「おっと。毒電波びびび……って♪」 透視能力を持つフィクサードが戦場を見極め、テレパスで指令を放つ。それをスピカがテレパスを妨害した。一糸乱れぬ連携は、このジャミングにより崩壊する。 しかし最初の指令は伝わったのだろう。後ろに控えるフィクサードが一斉に瑠琵に弾丸を放つ。しかし持ち前の防御力に不可視の結界も加味され、傷はさして深くはない、まだやれる、と瑠琵は傷を確認した。 そして『猪鹿蝶』を持つ二人が桐とりりすに肉薄する。木々を渡るように飛び交い、煙が消えるようにその姿が消える。背後に回り、『猪鹿蝶』で殴りかかる。 その動きに反応できたのは勘か戦闘経験か。しかし避けるまでには至らず飛んで来る拳を受けて、たたらを踏む。揺れる視界を頭をふって治しながら、額から流れる血を自覚する。 「ひゃあ、すごい威力。まさに、フィクサードの技術さまさま?」 その威力にスピカが感心したような声を上げる。口調こそ軽いが、その一撃で状況が変化したことを察していた。あの攻撃を三度まともに食らえばおそらく立って入られないだろう、と。 そして『猪鹿蝶』が壊されたフィクサードも戦意を失うことなく目の前のアッシュに襲い掛かる。神秘含んだ視線でアッシュを睨み、その精神を直接穿つ。気力をそがれ恐怖で体が震える。ガタガタとなる歯を勘で抑えながら、アッシュは見栄を張るように叫んだ。 「喧嘩してえならよ、ダムなんざ盾に取らず真っ向勝負で来やがれ!」 返事は返ってこない。反論したくとも反論できない。そんな表情だ。 雨はまだ、止まずに振っている。 ●猛攻 『猪鹿蝶』を1つは解されたとはいえ、フィクサードのダメージは軽微である。 逆に『猪鹿蝶』に攻撃された桐とりりすは瑠琵の回復を受けるも、全快とは言いがたいダメージだ。 彩歌、嵐子、エレーナの狙い済ました一射が『猪鹿蝶』を穿つ。余分な情報をそぎ落とし、脳内の活動を際が威厳まで活性化させる。相手までの距離、風速、雨を含んだ空気抵抗。全てを緻密に計算し、放たれた一撃。三つの弾丸が『猪鹿蝶』に吸い込まれるように放たれ、神秘の手甲はその効力を失う。 しかし。 「……これ以上は難しいかな」 彩歌が前衛の疲弊を見てそう判断する。『猪鹿蝶』を破壊してもフィクサードがそれで止まるわけではない。『猪鹿蝶』を全て破壊している間にも、相手の攻撃でこちらへのダメージは蓄積されるのだ。ここが潮時だろう。 「さぁ、一気にいきますわよ」 バイオリンを構え、旋律を奏でるスピカ。その空気の震えに魔力を載せて炎が爆ぜる。後ろにいるフィクサードたちは互いにある程度距離を離していたので全てを巻き込むことはできなかったが、『雨四光』をもつフィクサードとその近くにいた一人が巻き込まれる。 「てめぇ!」 その一撃に頭に血が上った後衛が銃を持ち出しスピカに放つ。スピカの肩口に衝撃が走り、鮮血が待った。 ジャミングにより統制が取れなくなれば、フィクサードはその場その場で判断し攻撃する。あるものはりりすを、あるものは彩歌を。あるものはエレーナを。 「後ろにいるからといって……あまり油断してはいけませんわね……」 エレーナは弾丸が命中した部位を抑えながら、自分に活を入れる。ここは戦場。どこにいても傷をつけられる可能性はあるのだ。 「こんな喧嘩じゃあよ、おっさんも報われねえだろうがっ!」 二刀のナイフを振るい、持ち前の素早さで切りかかるアッシュ。地面のぬかるみが彼の最大の持ち味をつぶすが、それでもナイフはフィクサードを切り刻んでいく。 「それでは宣告どおり、全力でいきますわよ」 桐が大剣に稲妻を纏わせて振り下ろす。制御できない電力が彼女を苛むが気にはしない。スパイク靴で地面をしっかり踏みしめ、適切な重心を確保する。地面から伝わる力が足、膝、腰、肘、そして剣に伝わり、それをエネルギーとして叩きつけた。その雷と剣戟がフィクサードを深く傷つける。 (気に入らないね) りりすは声に出さず憤慨していた。 (死ねば泣く人間がいる奴が格好つけて。生き死に決める前にする事があるだろうに) 数回手を合わせれば、相手の癖もなんとなくわかる。『猪鹿蝶』で強化されたとはいえ、それを扱うのは人間なのだ。良くも悪くも決まった動きがどこかにある。それさえわかれば動きは最小限でいい。今はただ、攻撃を最優先に。 幻影を帯びた一撃が最後の『猪鹿蝶』に放たれる。手甲の上を滑るような感覚。しかしダメージは確実に蓄積される。 「りりすさんっ?! 『猪鹿蝶』破壊はもういいって!」 「ゴメン。今回はわがままさせてもらうよ」 返すりりすに含まれる感情は、怒り。馬鹿なコトをしている相手に対して、一発殴ってやらなくては気がすまない。 「甘いな」 『猪鹿蝶』をつけたフィクサードが瞳に魔力を込めてりりすをにらむ。フィクサードの魔力が瞳を通じてりりすの脳に届き、意識を奪っていく。糸の切れた人形のように地に伏した。 「まずは一人」 「いいや。言ったろう。力ずくで『僕』を解らせる、と」 りりすは運命を燃やし立ち上がる。『僕』を通す為にまだ倒れてられない、と。 瑠琵が立ち上がったりりすを癒す。『猪鹿蝶』を持つフィクサード相手には些か心もとないが、それでも動けるまでには回復する。 雨はまだ、止まない。 ●昼に雨降る仁義道 『猪鹿蝶』が砕かれたとはいえ、フィクサードもけして弱くはない。 消えるような動きで桐とアッシュを傷つけ、少しずつ二人を追い込んでいく。回復担当である瑠琵は、『猪鹿蝶』を壊そうとするりりすに専念することになり他への回復にまわれないでいた。 無論リベリスタたちも易々と倒されるほど弱くはない。 『猪鹿蝶』の動きを封じる為、エレーナが気の糸を放つ。糸はすぐに相手にちぎられたけど、わずかな時間を稼ぐことができた。その隙に『猪鹿蝶』へと攻撃を加えていくりりす。 「邪魔はさせないわ、彼らはわたし達の生命線ですもの。燃えよ、燃えよ!」 そして継続的に後ろから攻撃を放ってくるフィクサードにはスピカの炎が跳ぶ。炎熱がその体力を奪っていく。 「そっれー!」 嵐子が戦場全てを多い尽くす弾幕をはり、フィクサードを攻め続ける。狙いは甘いがそれでもいくつかは命中し、少しずつフィクサードに傷をつけていた。 彩歌は機械の眼球でフィクサードに狙いを定め、マジックガントレットから放たれる神秘の弾丸で一体ずつフィクサードを狙っていく。急所は外しているが、それでも無視できる傷ではない。一人、また一人と倒れていくフィクサード。 もちろんこちらのダメージも時間とともに積み重なる。幾度目かの攻撃でフィクサードの攻撃に桐が倒れた。しかし、 「まだ楽しみ足りないのに倒れるわけにはいかないでしょう」 秘められた運命を削り起き上がる桐。お返しにとはなった一撃が、前に立つフィクサードを襲う。雷撃を伴った一撃が、フィクサードの意識を絶った。 そしてりりすの意地が通じたか、最後の『猪鹿蝶』が砕ける。アーティファクトに体力を奪われ続けたフィクサードの声からもれる苦悶の声。それは事実上の決着がついたことを自覚してのことだ。 「……物語には終幕を……これでおしまいです……」 エレーナが魔方陣を描き、神秘の矢を放つ。それがフィクサードの胸に突き刺さり最後のフィクサードも崩れ落ちた。 ●リベリスタとフィクサード 「やぁね、こんな物騒なものまで持ってきちゃって」 りりすが微笑みながら『雨四光』を回収している間に、リベリスタたちはフィクサードたちを縛って拘束していた。 「事情を話せ、話ぐらいは聞いてやれるのじゃ」 瑠琵がフィクサードの傷を癒しながら尋問をする。「引けない事情」とやらに興味がわいたのだ。 「……話してどうなるものでもないがな」 『敗者のルール』という彼らなりのルールに従い自分達の状況を話す。先の戦いで捕まった自分達の頭不在の為、生じている自分達のシマの状況を。 それを聞いたりりすは鼻を鳴らす。 「こんな回りくどい事しなくても、菓子折りの一つも持って遊びにくりゃ、シマの護衛だろうが、何だろうが手伝ってやるさ」 「その後にでも『喧嘩』する分にはいいんじゃない?」 「……お前等。リベリスタだろうが」 りりすと嵐子の言葉に呆れた声を出すフィクサード。 「楽しい喧嘩ができるのなら、それでいいんですよ」 「リベリスタにもいろいろいるということよ」 桐がその後に続き、彩歌がそれを補足した。 「とにかく……救護部隊を待ちましょう……。もう……限界」 エレーナの言葉どおり。気力体力全てにおいてギリギリの戦いだった。地面に寝たまま動けないものもいる。 雨は少しずつ止み、雲の切れ間から日が射してきた。 その後、瑠琵がアークに連絡して彼らのリーダーを釈放するように申請を出した。 結果は――彼らの想像すらしなかったことになったという。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|