●名無しの覚悟 かつて「すごい怖い」と称されたヤニ臭い事務所も、すっかりパソコンが並ぶインテリジェンスな場所になってしまった。世間ではそういう事務所のヤクザをインテリヤクザ、というらしい。昔気質の連中も残っていることには残っていたが、大抵実力が伴っていない。実力があったやつは、昔に起こった大きな戦で皆死んでしまった。 そんな場所に、ひとりの小男がいる。事務所の中で居場所のない、電子タバコを口に咥えているこの男は、少し前に銀行強盗という大きなことをやってのけた。 だが、そんな彼に対する評価はまったく変わらず、彼は事務所の中で暇をしているのだった。 小男は事務所の外から見える空を見上げている。 自分がこうなのだから、大アニキも苦労しているのだろう。今頃は――。 と、想像を巡らせていたところで、相方がやって来た。地面を揺らし、建物も揺らす音は、とても分かり易い。 「あ、アニキ! アニキ! 作戦!!」 「ああ、次の指令か。今回は本気で行けばいいんだってか?」 「アニキ! よく分かったね! すごい!!」 巨漢は子供のように喜び、跳ねる。こうやって跳ねるこの巨漢がパソコンを使えるはずもなく、彼もまた事務所の中では損な役回りだった。ヤクザの言う損な役回りといえば、鉄砲玉である。 彼らは実力があったので、ここまで生き残れたが、今回はちとヤバいかもしれないな。と小男は思う。アークとやらの実力はある程度絞れたし、カレイド・システムとやらの仕組みもだいたい分かった。 「俺たち鉄砲玉も、数撃ちゃ当たる……か。ハハッ、らしくなってきたな」 「アニキ?」 「カレイド・システムなんざ怖くないってことだよ」 「うん!!」 ふたりは手を突き合わせて、ニヤリと笑う。討ち入りの前はいつもやっている、儀式めいた小芝居だ。こんなものの効力はない、と現実を知る身だけれど、小男と巨漢はこの瞬間が好きであった。 自分たちは所詮鉄砲玉。名前など、大層なものは要らない。 だからこそ、行ける。汚れ仕事でも、人から指を刺されるようなことでも、何でもやれる。この身に忠誠心がある限り。 「大アニキに拾ってもらった恩を返さないとな」 「そうだね、アニキ! 俺たち、大アニキに恩返しする!」 ふたりはお互いに笑い合ってから、お互いの覚悟を確認する。だが、小男はここで巨漢に宣言した。 「今回は俺ひとりと、俺の部下たちでやる。お前は留守番だ」 「ええー! お、俺もアニキと一緒に行きたい! 俺も、俺も大アニキに拾われた!」 「それは俺も分かってるっての。ただ、俺が本気出すのにお前のでかい図体は邪魔だ」 小男は、興奮した巨漢のでかい腹に何度か軽いパンチを叩き込む。 「う、うん……。分かった、アニキが銃使うの、久しぶり」 「そういうこった。……じゃ、この事務所は頼んだぜ。すっかり変わっちまったが、ここは俺達の帰るべき場所だ」 「うん!!」 子供のような無垢な笑顔を向ける巨漢に、小男は薄い笑みを浮かべた。 ●遊園地に放たれた弾 モニターに映るヤクザな軍団を見渡しながら、リベリスタたちは“挑戦”を感じ取っていた。 「敵の数は五。この前、銀行強盗をしていたグループみたい」 不安そうに、ぎゅっとポーチを抱き締めながら『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言う。場所は街の校外にあるPUPUアイランドという遊園地。少し前に起こったエリューション事件の影響で客数も少なく、深夜になれば人はほとんど居ない。 そして、ヤクザの軍団はロケットランチャーを装備しており、それを遊園地の施設に向けて構えている。この遊園地を破壊するつもりなのだろ。その行為が、どう彼らの利益につながるのかは分からない。だが、リベリスタとしても、アークとしてもそれは見逃せない事件である。 「お願い。遊園地は、人の想いが詰まった大切な場所だから」 真白イヴはリベリスタたちの目を見つめて、真摯なお願いをする。リベリスタたちがそれに頷くと、顔色を明るくしながら、説明を続けた。 「敵のリーダーは、この前銀行強盗をしていたフィクサード。だけど、装備は二丁拳銃に変わっていて、もうひとりの大きい人はいないみたい」 前回から、不可解な動きをするフィクサードである。リベリスタたちはこれにも頭を捻る。しかし、分からないものは仕方ない。まずはこの状況を打開しなければ。 「他にも、フィクサードによる事件は多発しているみたい。また何かが起こっている」 真相は、相手の狙いは未だ闇の中だ。だとすれば、少しでも事件を解決して光をもたらさねば。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年06月30日(木)02:08 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●それぞれの本気 遊園地前のゲート。そこを、リベリスタたちは跳び越えていく。戦うためにだ。 「前回放っといた人が再びかー。これなら取って返してでも撃破しとくべきだったかな? せっかくだし因縁は因縁、私がいかずに誰が行く。ってかんじだねー」 小男との戦いを思い出しながら、『サマータイム』雪村・有紗(BNE000537)はトレードマークのポニーテールを結い直す。前回、小男は巨漢と共に銀行強盗を行い、それをリベリスタたちによって阻止されたのだ。最も、今回は本気の様子だが、それならばここで決着を付けようと、有紗はポジティブに思考を切り替える。 「気に入らねーな。遊園地をぶっ壊そうってのも、名無しの矜持ってのも。全力で事件を潰して、とっ捕まえて更正してやらぁ」 有紗と同じく、前回小男と戦った『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)は、帽子の中で犬のようなウルフカットと耳を立たせながら、両手を体の前で合わせる。 「なんか憎めないんだよな、あの小男と巨漢」 そう言いながら、鉄槌を構えた。できることなら、殺すよりも捕縛をしたい。 「うん! 俺もそう思うよ!」 静の言葉に、『天翔る幼き蒼狼』宮藤・玲(BNE001008)が合わせて何度も頷く。玲の元気の良さを表しているような、勢いのよい尻尾が可愛らしく振られた。 「おっと油断できる相手じゃない、手を抜かずに頑張るぜ」 「おー!」 ふたりは握った手を合わせて、コツンとぶつけ合う。……きっと、小男と巨漢もこんな関係だったんだろうな、と玲は思った。お互いのことを思いやり、お互いのためにがんばる。それがどこで間違ってしまったのだろう。 「オレが……。いや、オレたちが助けなきゃいけないな!」 静のそうした想いに合わせて、玲のヘビーレガースに包まれた足がぴょんぴょんと跳ねた。 (彼らが何を考えているのかは知らないけど、好きにさせるわけにはいかない) 遊園地への進入を拒む柵を跳び越え、『薔薇の吸血姫』マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)は獲物のカードに軽い口付けをしながら、戦いへの決意を固めていく。色々と背景がある戦いだろうが、この戦いの目的はたったひとつで、とても単純。 「止めてみせるよ、フィクサード」 黒を基調としたゴシックドレスの服が闇に沈み、銀のツインテールが闇の中に浮かぶ。 「この任務、向こうの目的は陽動か何かだと思うけれど……。だからって遊園地を壊されるのはちょっと困るのよね。今回お留守番になったあの子のためにも、ちょっと今回は大真面目にやらせてもらおうかしら」 味方を助けるため、敵の小男を足止めする予定なのは、この『サイバー団地妻』深町・由利子(BNE000103)だ。その言葉を表すように、右腕の義手も物々しく、威圧的なものに変わっており、天然そうな柔和な笑みとアンバランスを生み出している。また、闇の中ですいかな胸は揺れているが、本気の由利子は表情が硬く、いつもなら目立つその胸もどこか目立たない。 「ヤクザの義理人情など飾り文句でしかないと考えていたが。良く無い方向にそれを向けるヤツがいるようだな。遊園地は子供達の場。そんな場所に物騒な物を持ち込むなど」 そんな由利子の胸と違い、闇の中でも目立つものがある。普段から物静かな『夜より暗い闇』八雲 蒼夜(BNE002384)が発した言葉は、どこか重く、静かな声だったというのに夜闇によく響いた。 「その捻じれた忠誠心とやらは、俺達の想いの力で叩き伏せてやらなければ」 想いの力を念じて、蒼夜はカタールを構え直す。 「今回は、本気で来る……か。良いね、面白ェじゃねえか。意地でも、今回の作戦成功させたくなったぜ。喧嘩上等、極道との戦いなんざ楽しすぎらぁ」 ハンッ、と高く笑って腰を深く落とし、『蒼き炎』葛木 猛(BNE002455)は両手に力を込める。引き締まった体に集中力が宿っていき、闘志が湧き上がる。 「ビビったら、負けなんだよ。喧嘩ってやつぁよ。……うっしゃあ! 派手に行くぜ!」 勢い良くガントレットを嵌めて、気合いと共に猛はダッシュ。それに合わせて、リベリスタたちも走り出した。共に目指すは勝利の二文字のみ。ここで立ち止まっていられない。 ライトもなく、ただ暗闇にだけ包まれた遊園地の施設を見上げながら、小男は電子タバコを吸っていた。誰かと待ち合わせをしているような体で、何度か足でイライラとしたリズムを取っている。どこか緊張している風でもあった。 「遊園地ってのは子供の夢だな。ま、俺もガキの頃は憧れたもんよ。……誰にとっても、壊されたくないところだ」 闇を見つめながら、小男は誰に聞かせるでもなく、虚空に向かって呟いている。どこかで聞いたようなセリフである。 「さぁ、来るなら来いってんだ。俺たちは、遊園地を破壊しようとする悪者はここに居るぜ」 迷いを振り切るように、勢いよく自分の左胸を指で叩きながら、小男は気配を探っていく。それに釣られるように、ロケットランチャーという物騒な得物を構えた黒服たちが周囲を警戒していく。 その警戒網に、何かが引っ掛かった。小男はやって来るその気配に気付き、電子タバコをポケットに仕舞ってから二丁拳銃を構え始める。黒服たちはサングラス越しにそれを見つけることができなかったが、とりあえずはロケットランチャーを構えた。 その先にある闇の中からゆらりと現れたのは、デスサイズを逆手に持って接近してくる『ナーサリィ・テイル』斬風 糾華(BNE000390)だ。彼女も由利子と同じく、小男の足止めをする予定である。 「また会ったわね。貴方が出てきたということは、またあの蝮とか言う人絡みで何かが起こるというわけね。それが、何かわからないけれど、良いわ。相手をしてあげる。あの時中断したダンスの続きを踊りましょう。銀行強盗さん」 小男はそれを察し、両手の拳銃を使って糾華に二発の弾丸を連続発射。この放たれた弾丸を、糾華はデスサイズを前方で回すことで弾き飛ばし、回避した。 「いえ。……そうね、ここはマナーとして、聞いておきましょう。ダンスパートナーの貴方の名前はなにかしら?」 「残念ながらお嬢さん。俺に名前はないのさ」 小男はバク転をしながら自身の後方を撃ち始めた。一直線に突撃してくる糾華は目の前にいるというに、何をしているのか。と黒服たちは驚いたが、その銃弾の先に、同じく距離を詰めていた由利子の姿を確認すると、更に驚いた。 「ッ……。まだ、ダンスはこれからよ」 しかし、由利子も堅い。何発かの銃弾を体で受け止めると、オートキュアを自身にかけながら、ヘビーアームズを構えた。 「さあ、社交ダンスに付き合ってもらうわよ!」 「ふぅん。ま、今は名無しでもいいわ。よろしくね、名無しのフィクサードさん」 糾華はヒラヒラとした服の裾を掴んで、舞踏の開始を宣言する。同時に糾華たち以外のリベリスタたちがロケットランチャーへと突っ込んでいく。 こうして、戦いの幕は上がった。 ●火の海、炎の海 ロケットランチャーが火を吹いて、黒服ごとリベリスタの体を焼いていく。これしか攻撃手段を持たない黒服たちは、お構いなしに味方を巻き込むロケットランチャーを連発してきた。これによって、戦闘時間こそ短くなったものの、リベリスタたちにダメージは蓄積してしまう。 「……あぅっ!? 静さん!」 「大丈夫だ、玲! 打ち合わせ通り、黒服を一人ずつ潰すぞ!」 ロケットランチャーの範囲攻撃にふたりで巻き込まれてしまったのは静と玲だ。ふたりは爆炎に照らされ、その傷を浮かび上がらせた。静は大丈夫というが、痩せ我慢である。 「残念だけど、そちらは勘弁なのさっ」 流れ弾のロケット弾を叩き落とし、爆炎の中から傷を負った有紗が飛び出る。流れてしまった向こう側には遊園地の観覧車があり、有紗はこれを庇ったのだ。しかし、直撃となってしまったその一撃は重く、フェイトの力を使わなければこうして飛び出てくることも難しかっただろう。 「戦いはまだここから、ここからっ!」 有紗はそのロケットランチャーを放った男にバスタードソードをスイングし、剣の腹に当てて見事に吹き飛ばした。メガクラッシュである。 同じ頃、玲の蹴りを受けて怯んだ黒服に、鉄槌のメガクラッシュが放たれた。こちらは静のスキルだ。だるま落としのように吹き飛ばされた黒服は、先の黒服と同じ所まで飛んで行く。 「猛! 後は任せたぜ!」 「おうよ! なんでも巻き込むのはそっちだけの十八番じゃねェってなあ!」 そこに猛のフレアバーストが叩き込まれ、炎を体に受けた黒服たちは倒れていく。 「ナイス連携!」 静と有紗に親指を立てて、撃破を確信。彼は更に機動し、黒服に接敵。 「悪ィけど、お前ら全員ボコしてアークに連れて帰るぜ。ウラァッ!」 猛が放った業炎撃での一撃が、黒服の鳩尾に命中。ロケットランチャーを持っているだけに、動きも遅い。それならば、 「脇ががら空きだよ」 集中攻撃も容易だ。マーガレットのハイアンドロウが致命的な部位にダメージを与え、その一瞬で黒服の体は倒れ伏した。 しかしそこに、ロケットランチャーが叩き込まれ、マーガレットの体を吹き飛ばそうとしてくる。小柄なマーガレットの体は爆風によって吹き飛ぶものの、四つん這いのような体勢で地面にしがみ付いて、吹き飛ぶ勢いを殺した。フェイトの力による復活である。 「まだだ……っ」 ボロボロになってしまっていたゴシックドレスから肌が覗く。しかし、マーガレットの目にはまだ輝きは残っている。その輝きを闇の中で浮かび上がらせながら、牙を剥き出しにして、黒服へと突撃した。 「さて、キミの血はどんな味がするのかな?」 吸血の牙が黒服の肩に突き刺さり、体力を奪っていく。 「いい年こいた大人が、そんな玩具で遊び惚けるとは……。恥を知れ」 そこに、集中を重ねていた蒼夜のピンポイントが、黒服の腕を直撃。ロケットランチャーは手放されて、黒服は痛みに悶えた。 「これで終わりだ」 そしてその隙を蒼夜は逃がさない。一歩踏み出し、飛び出しながら最後の黒服をカタールで切り裂いた。 「子供の夢があるこの場所で、こんな血生臭いことをしなければならないとは。悲しい事だな」 カタールを眼前で回して、スタイリッシュにポーズを決める。こうして、黒服たちは全滅。残るは小男のみとなった。 ●ダンスの終わり 一方、糾華と由利子のコンビは小男に苦戦を強いられ、黒服を倒した仲間たちが駆けつけるまで一度戦闘不能にされてしまっていた。しかし、倒れる度に立ち上がり、ふたりは小男を阻止し続けている。 「あの時、私達の力量を見ていたみたいだけれど、私も、あの時のままじゃないわ」 「そっちも本気ってことかい。ならば!」 啖呵を切りつつ、両手の銃を構えながら小男は跳ぶ。そして上空で狙いをつけて、ピンポイントに糾華の足を狙ってきた。達人! それに対して、糾華はデスサイズを構えて全力防御。鎌を使って風圧を起こし、銃弾の勢いを殺していく。それでも命中した銃弾によってダメージは負ってしまうが、由利子のオートキュアによって回復した体はそれを受けきる。 「こう見えても負けず嫌いなの、私。それに、死ぬっていうのは、ナンセンスだと思うもの」 「いいわよ、糾華さん。この調子で、引き止めてあげましょう」 構えた腕から放たれたジャスティスキャノンが、着地の瞬間を狙って小男に飛んでいく。これに対して小男は超高速のブリッジをすることで回避しようとしたが、掠れるように命中。 「……ちっ。厄介な攻撃をしてきやがる」 歯を食いしばり、自身の中に湧いてくる怒りを抑える小男。 「さてさてお待たせ、小さいお人。前回の決着、しっかりつけていこうかなっと!」 そこに、黒服を倒した仲間たちがやって来た。挨拶がわりとばかりに放たれた有紗のオーラスラッシュは、小男に傷を与え、追い込んでいく。 「アナタに特別恨みがあるわけじゃないんだけどね。諦めて捕まるか、帰ってくれないかな。待ってる人がいるんじゃない?」 「そうそう。死ぬんじゃねーぞ。あのでっかい相棒が待ってるんだろ? 二人でアークへ投降すればいい。アンタ達のこと、憎めないんだ」 続いて静のオーラスラッシュ。そうやって攻撃をしながらリベリスタたちは囲い込み、それぞれ想い想いの言葉を投げかけていく。この場に相棒と言える人間を連れて来ず、ただ一人で戦いを挑んだこの小男に対して、思うところもある。 「パートナーと一緒に居られないのって、辛いんだよ!」 小男はこれに対して、囲い込みの輪から抜けだそうとしたが、玲が速度を活かして回り込んだために失敗した。 「極道の世界じゃ、面子も大事だろうがよ……。てめェ慕ってる奴置いて先に行くってのはなしだぜ?」 そこに、猛の業炎撃が飛んで行く。小男はそれに対応するように、身を捻って二丁拳銃を至近距離で放ち始めるが、その弾丸は気合いを入れた猛がフェイトを使いながら耐え抜く。 「喧嘩はよ、ビビッた奴が負けんだよ……!」 「往生際が悪いよ!」 結局命中した豪炎檄によって怯んだ所にマーガレットのギャロッププレイが入り、体が締め付けられる。しかし、それでも、小男は止まらない。叫び声を挙げて、フェイトの力によってその攻撃から無理矢理立ち上がる。 「ウォォォォォォ!!」 そして、転がりながら二丁拳銃を連射し、リベリスタたちにダメージを与えて行った。 「他人の足元を見るのもいいが、少しは自分の足元も気にする事だ」 しかし否。その体に蒼夜のピンポイントが直撃し、再び動きが止まる。 「イタッ……。でも、ここまで」 先に発射された銃弾を受けつつも、フェイトを使って立ち上がった糾華は最後の一撃と宣言し、デスサイズをくるりと一周させる。その後斬りつけた箇所は爆発し、小男の体が爆炎に包まれた。 「言ったでしょ? 死ぬっていうのはナンセンスだって。自己満足で死なれたら、色々と報われないでしょ。死なれた方だって」 しかし、その中でも小男は生きていた。リベリスタたちが捕縛を望み、戦闘不能にまで抑えたからである。 こうして、抵抗する力もなくした小男は無事に捕獲されることになった。 「PUPUちゃん人形……。うん、お土産はこれでいいかな?」 それぞれの思いを胸に、リベリスタたちは帰還する。クタクタな体と、捕獲した小男の体を引きずって。 一先は、勝利だ。この先に何が待っているのかは分からないが、それでも……この遊園地は救えた。きっとこの名無しの小男だって、救えるだろう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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