●甘いミルクを零したような 辺り一面の、雪景色。汚れて黒ずむ箇所も無い、ふわふわの真っ白だ。 まるで綿菓子、砂糖菓子。そして零れて広がるようなミルク。 まるで女の子の甘い夢。そうだ、それ、現実にしちゃおう! 口にすれば広がる優しい甘み。それが一面に広がるの。 ねえ、それってとっても素敵。そう思わない? 貴女も、“女の子”なら。 ●白の世界に、夢を見る 「甘い誘惑、って言い得て妙」 自身もじっとモニターに映る雪景色を眺めながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はぽつりと呟いた。 「これ、皆ミルクキャンディーみたいな味がするんだって。……夢みたい。でも、現実」 イヴも女の子。だけれどその前に、アークのフォーチュナ。 それを判っているから、彼女は唯、伝えるべき事柄を、言葉にしてリベリスタ達に示し導く。 「白菊まどかと言う一般人の女の子を捕まえたアザーバイドの群れが、彼女の体力を削って雪に味を付けている。それだけ。だけどこのままじゃあ、まどかって子も危ないし、崩界も進むから。止めてきて欲しい」 数は20体。近くにD・ホールは存在せず――既に閉じているのだろう――撃破するより他にまどか救出の術は無い。 しかし、このアザーバイド『ミルキー・ベル』。かなりすばしっこいのだと言う。兎に角危険を感じたら異様なまでの俊敏さと回避率を見せる難敵だと言う。 体力・攻撃力・防御力は然程高くないらしい、というのがリベリスタ側にとってはせめてもの救いか。 「アザーバイド達は結晶化した砂糖に眠らせて閉じ込めたまどかの周囲を浮遊してる。結晶はアザーバイドが全滅した時点で崩れるから、壊して救出、とかは考えなくて良いけど……此方が攻撃を当ててしまったら、中のまどかにダメージが入る可能性があるから、其処は注意して」 つまり、今回の目的は、まどかの体力が尽きる前にアザーバイドを全滅させ、彼女を救出する事。 如何に工夫し、或いは能力を高め、早々に傍迷惑な異世界の妖精達を討ち取るか。 それが、鍵となるだろう。 「それじゃあ、行ってらっしゃい。労いに有名パティスリーのミルクミルフィーユ、用意しとくから」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:西条智沙 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月30日(水)23:46 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●現実に侵食する夢を見て 踏み締めた銀世界。きつくなり過ぎない、ふわりと甘い匂いがそれだけで漂う。 現場に着いたと悟ったリベリスタ達は、改めて正面を見据える。 水晶クラスタの如き甘き砂糖の檻の中、一人の少女が封じられ眠る。その周囲を、白き光の飛沫を散らして小さな悪戯者達が舞っていた。 「女の子ってのはこう、甘いものとサプライズが好きなのが多いよな。そーいう意味じゃプレゼントにぴったりなんだけどさ、これ」 『住所不定』斎藤・和人(BNE004070)が苦笑する。経験からして女性はそういうものに弱いと知っているが故の発言なのだが、流石の彼とてこれは許容範囲を超えている。 「人の命削って作ってるってのは頂けねーなあ」 恐らく、本人達に悪気は無いのだろう。それでも、それは免罪符にはなり得ないから。 倒さねば。そして、救わねば。無垢なる眠り姫の命を。 「甘いものね……」 ぽつり、呟いたのは『孤独嬢』プレインフェザー・オッフェンバッハ・ベルジュラック(BNE003341)。 次いで、やれやれ、といった具合に肩を竦めて。 「どっちかって言うとソレは苦手だ、って女の子もいるんだぜ?」 ニヒルな笑みと共に、傍迷惑な妖精達に告げる――が。 次の瞬間、何故か自嘲する様な笑みが彼女の表情に浮かんだ。 「……ゴメン、嘘ついた。あたしは、『女の子』なんて、フワフワして可愛くて華やかな種族からは程遠かったわ……」 何処か遠くを見遣るプレインフェザー。そ、そんなに卑下しなくても。 ともあれ、プレインフェザーの様な例外とて居るものの。 「甘くて優しいおとぎの世界。なんだかんだで嫌いじゃないんですけど」 無害でさえあれば、と。『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)が何処か切なげに目の前の幻想を見つめる。 それは確かに夢の世界。けれど、それを誰かを危機に曝してまで実現しよう、等と。 「寧ろ可愛さ余って憎さ百倍、って感じかも知れませんね」 可愛い悪戯と片付けるには、悪戯が過ぎるから。 (辺り一面に広がる雪の白。砂糖菓子の、甘い夢) 『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)にも判る。そう、これは確かに。 (ええ、確かに女の子が夢見る世界でしょう) ――それでも。 「御免なさい」 夢は夢であるからこそ美しい。そしてこの世界は、何処まで行っても現実だから。 「悪戯好きの妖精さんね。そういうメルヘンチックなのは嫌いじゃないし、甘い物は大好きよ」 だけど、と。『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)もまた、微かな微笑みの後にその表情を真剣なものへと変えて。 きりりと、悪戯妖精を睨み付け。 「だけど、度を越す悪戯には必ずお仕置きが待っているの。それが躾という物よ。世界に見初められず共存出来ないとなれば……」 愛らしくとも、彼女達が取るべき答えはひとつ。他に無い。 「二度と帰れない御伽の世界へと誘う妖精さん。二度と帰れないのは、貴女達の方よ!」 「任務開始。さぁ、戦場を奏でましょう」 ――それは夢の終わり。少女に目覚めを、妖精にお仕置きを。 ●夢に惑わず、世界を救え 「おーおー、あっちこっち飛んでやがる。まー元気の良い事。ぱっと見は絵に書いた様な妖精って感じだよな」 やってる事ぁなかなかにエグいが――と独りごちる、和人よりやや離れた位置。 「まどかさんを囚えている結晶に気を付けて!」 「ああ、判っているよ。一分の傷たりとも負わせるものか」 ミュゼーヌの注意喚起。そう、敵の動きは素早いが、それに翻弄され我を失えば囚われのまどかに危害が及ぶ可能性があるのだ。 頷く『ヒーリングアンバー』クレイグ・キリアン(BNE003237)によって、全員の背に神秘の翼が齎される。 「小生、今日は女の子のき・ぶ・ん。てへぺろ」 そう、一見すれば可憐な少女である『続・人間失格』紅涙・いりす(BNE004136)――本当の所は少なくとも此処に居る者の中では本人以外に知る者は無い――が茶目っ気たっぷりにウインクひとつ。 同時に、その手に携えた名も無き太刀と、血色のナイフに黒が収束する。闇が、舞い来たる。 「冗句はさておき、お仕事とイこうか。甘いものは好きだけど、甘いものばかりだと飽きてしまうからな」 そして、斉射。闇の色した瘴気が、白を侵して包み込む。 それでも、殆どの個体が、無傷。しかし、二体の身体が僅かにぐらりと傾ぐのを、『陰陽狂』宵咲 瑠琵(BNE000129)は見逃さなかった。 「流石に寒いのぅ。こんな日は炬燵でだらだら過ごしたいのじゃがまあ、仕方有るまい。左から二体!」 瑠琵が指し示す敵を、リベリスタ達は一斉に見遣る。動きは素早いが目で追えない程ではない。 しかし同時、また別の数体が、何処か愉しげにその小さな杖を振り上げる。 「右の何体か、何か仕掛けて来るな――」 『玄兎』不動峰 杏樹(BNE000062)の警告に、皆、一斉に身構える。 流星と波が。飛ぶ。可愛らしく、しかしそれは確かにリベリスタ達の身を苛む。 しかし、お返しとばかりに、全員から離れた位置に立っていたミリィが。 「御機嫌よう、異界の妖精さん。コッチを見て。私と一緒に遊びましょう?」 その言葉に、誘いに。ふらり、何体かが誘われて見る。 「これしきの子供騙しで、私を止められると思わない事です!」 金平糖の様な流星を振り払って、『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)が前へ。いりすの闇で疲弊した敵に打って掛かる。 象牙色の牙が如き手甲から雷撃が奔る。一体逃すが一体墜ちた。また、近くに居たもう一体が巻き込まれて表情を顰める。 「おら、身内同士で仲良く踊ってる時間なんかねーぞ!」 身体の痺れに不覚にも動きを止めたミュゼーヌ、そして波に呑まれて我を失い同士討ちし掛けていたレイチェルとプレインフェザーを、和人の浄化の光が救う。 すかさず杏樹が追撃。神速の連射が二体の身体を貫き穿った。 それでも、敵は未だ多くが健在。しかし、救出すべきまどかの命が真に尽きるまでは、まだ1分と50秒の猶予が有る。 ――否、それしか無い、と言うべきか。 ●現実は、そんなに甘くない 「……どんなに素早くても、小さくても。動きさえ読めていれば、結構当てられるものなんですよ?」 「ん、だな。……じゃあ、行きますか。この夢を終わらせにさ」 超頭脳演算による集中力の底上げを済ませたレイチェルとプレインフェザーも、攻め手に加わる。 前進から解き放たれる光の気糸の乱舞、その共演。立て続けに三体が力無く地に墜ちる。 いりすの呑み込む闇でももう一体。和人を庇いつつも、瑠琵も無数の式符の鴉を嗾ける。 「傍迷惑なアザーバイドにはこの世界からお引き取り願うのじゃ」 逃げる者が多いが、逃げ切れず身を啄まれた者も確かに居る。敵は確実にその数を減らし、弱ってきている。 どんなに素早い身の熟しに優れていても、それは絶対ではない。焦らず攻め手を緩めずにいれば、殲滅は出来る筈だ。 だが――時間も無い! その上、先程ミリィに挑発を受けた三体とは別に、一体がまた杖を振り上げる。 杏樹へと金平糖の星が向かう。盾の飾り布で何とか往なす。 (甘い雪か。女の子は素敵なもので出来てるっていうけど、これはエゲツナイな。全部終わったら女の子も一緒にミルフィーユだ。私は雪よりこっちがいい) 女の子なら、偶には甘い誘惑に負けたって良い。けれどまずは、この理不尽な夢を終わらせてから。 不意にまた数体がふらりと別方向へ向かう。その先に居たのはミリィ。 もう少し受け切れる。攻撃を誘い、敵の手数を減らしてゆく。 その隙に引き続き彩花が追撃。ミリィの負傷はクレイグが癒す。 「さぁ、60口径の蜂達よ。甘い蜜を喰らい尽くしなさい!」 群蜂の襲撃が如き連射を差し向けるのはミュゼーヌ。それは複数体に被弾しその内の一体を墜とす。 それでもまだ敵残数は少なくない。杏樹が再び弾丸の雨を降らす。 更に打ち合う事暫し。残り時間は一分を切った。 「やれやれ、時間制限有りとか名前ほど甘くない依頼じゃのぅ」 瑠琵が軽く溜息を吐くも、残り八体。減っている。十体を切った。その事実に希望が見える。 しかし、それは的が減っている事と同義でもある。リベリスタ達の攻撃は決して下手な鉄砲等ではないのだが、数を打っても捕えられる数とて確実に減ってきている。 「ところで、妖精って美味しいのかしら。なんか見てると美味しそうよな。虫とか結構喰えるみたいだし」 やっぱり甘いのかしらねーと、暗黒放ちながらもじっとその的の一体を見つめてみるいりす。殺気を感じたかその一体は怯えた様な表情を見せた。 「虫、ですか」 いりすの言葉にレイチェルが改めて敵の群れを見遣る。 (もしかしたら、この行動も善意から来るものなのかも知れないけど。この世界や人には、害でしかない) 独善で強引に夢を創り上げ世界を侵す存在を、レイチェルは『夢を叶える妖精』だ等と認めない。 だから。 「……さっさと消えなさい、害虫」 柔らかな雪とは正反対。氷の鋭さを伴った言葉と同時に、黒猫の身体から眩い白の光が爆ぜる。 「お主等には仕置きが必要じゃ。悪ふざけが過ぎたのぅ」 この日再び、攻守を同時に熟す機会が回ってきた瑠琵が、鴉を生み出し群がらせた。飛び回る相手には御誂え向きだ。 「……っ、敵攻撃全て出し切らせました!」 今の今まで挑発からの攻撃とそれにより齎される不利益に耐え続けてきたミリィが声を上げた。 刹那、彼女の瞳が明確な鋭さを持って目の前の妖精の一体の身を、裂いた。後はもう敵の攻撃に怯える必要は無い。完全に攻勢に打って出られるのだ。 ●甘い甘い夢の終わり 更に、戦いは続く。 残り30秒。敵残数四体。 「もうちょい、だな。正念場、気ィ引き締めて行くとしますか」 プレインフェザーが、前へ。結晶の牢獄に当たらぬ様立ち位置に気を配りながら、思考の奔流を解放。 逃れ切れずに一体が弾け飛んだ。敵残数三体。 辛うじて逃れた個体には、攻め手に転じた和人が発砲。その羽を貫いた。 残り20秒。敵残数三体。 レイチェルの、猫の妖精の名を冠した黒き刃の斬撃を、瑠琵の、鴉の追撃を、掻い潜った個体に、しかしその移動後の隙を突いて、眼差しが射抜く。 (見た目は可愛い妖精さん。……攻撃するのは躊躇われますが、崩界を……何よりまどかさんの命を危険に晒す訳にはいきません) だから、ごめんなさいと。胸中で謝罪するミリィの目の前でまた一体、墜落した。 そして、彩花の気配そのものを捉え叩き込む掌打と、クレイグの魔力で描き放つ魔矢による一撃が、また一体、消し飛ばして。 残り、10秒。敵残数一体。 その時、最後に残った一体が、形勢不利と見たかその身を翻す。 「む、逃げる気かえ」 瑠琵がその柳眉を顰め――しかし、すぐに平素の余裕を取り戻す。 いりすが、ふわりと宙を蹴って。その前に躍り出たから。 「あーでも、逃げたら雪国が、すごい事になるんかしら。それはそれで見てみたいけど。まぁ、我慢しよう」 想定外の出来事に動きを止めた妖精。其処を狙って――杏樹とミュゼーヌが、銃口を向ける! 「その子はお前たちの玩具じゃないんだ。返して貰うぞ」 「針の穴すら通すこの一撃……的には十分よ!」 今度こそ逃げ場を失った哀れな夢の住人は、声にならない悲鳴を上げて、消えていった。 長くもあり短くもあり、甘くもあり惨くもある悪夢が、終わりの時を迎える。 夢の残滓は薄れ、消えてゆく。世界が静寂で満ちる。 ひとつの命が、救われた。 残り、2秒の事だった。 「!」 ぱき、ぱきぱき。 何かが割れる様な音がして、リベリスタ達ははっとした。 音は、確かに砂糖の結晶から聞こえる。見れば、明確にヒビが入っていた。 砕け散る。少女は解放され、崩れ落ちるように倒れ込む。 その華奢な身体を、クレイグが受け止めた。閉じ込められていたとは言え、パジャマのまま寒風に曝されて身体は冷え切っている。 それでも、慌てて駆け寄ったミリィが容体を確認すれば、青褪めてこそいるものの、本当に唯眠っている様に、表情も呼気も穏やかだった。 「……良かったです」 ほっと溜息が漏れる。護り切れたのだ。それは確かな事なのだ。 けれど、このままだと確実に凍死する。彩花が急いでまどかに防寒ジャケットを羽織らせ、瑠琵がその下、パジャマの上からカイロを貼っていく。 其処で、まどかの目が覚めた。 「……ぁ、……う? ええと……」 ぼんやりと、まだ眠たげな眼は緋色。そう言えば彼女の髪色は新雪の様な純白だ。アルビノなのだろうか。 肌も白く――青褪めているから余計に――不健康そうに見える。本人は判っていない様だが、下手をすると本当にあのまま死んでいただろう。 そんな彼女を、瑠琵はぎゅっと抱き締めてやった。 「良く頑張ったのぅ」 温める様に、そして讃える様に。まどかは、ぼんやりとした表情ながら、少し照れ臭そうに、ぼそぼそと告げた。 「……良く、判らない……けど。……有難う……」 ●現実を楽しむ、ちょっとしたコツ 念の為、まどかは一旦時村系列の病院に入院する事となったらしい。 「無事……まあ全くの無事とは言えないかも知れないが、命があって良かった。……さて」 「甘くて優しいミルフィーユの時間。とっても楽しみです」 一仕事終えて人命も救えた。使命を果たしたリベリスタ達。帰ればご褒美タイムが待っている。 杏樹とレイチェルは、イヴが用意してくれていると言う有名パティスリーのミルクミルフィーユに思いを馳せた。 そう、現実はそんなに甘くない。けれど、一切の甘さも無い訳じゃない。そしてそれを味わえるのも、現実だからこそ。 その一方。 「ホントにミルクの味すんのかな」 積もった雪の綺麗な部分。ひとつまみして、プレインフェザーは舐めてみた。 「……甘っ」 どうやらなってしまった分は戻らない様だ。こればかりは溶けるのを待つしか無いだろう。 幸い人里からは離れた場所だ。わざわざやって来て、あまつさえ舐めようなんて輩は居ない筈だ。 瑠琵は、ちゃっかりAFに一部回収している様だけれど。 そんな二人の様子を見て、和人は相変わらずの、緩い笑みを口元に浮かべ。 (プレゼントもサプライズもさ、相手を喜ばせる為にするもんだからねー。いい反面教師になりましたっと) 自己満足では誰かを心から満たすのは難しい。その事実を改めて再確認して。 「そろそろ行きましょうか? 折角ご褒美が待っているのだもの」 「さて、帰ったらミルクミルフィーユをたっぷり奢って貰わねばのぅ♪」 ミュゼーヌが促せば、瑠琵は勿論、甘いのは苦手だと言っていたプレインフェザーも頷いて。 (……ま、確かに、甘いものは好きってワケじゃない。でも、食えないワケじゃねえし、仲間が美味しそうに食べてるとこ見たら、自分も美味く感じる位には 嫌いじゃないかな) だからきっと、帰ってからのご褒美は美味しく頂ける事だろう。それを素直に口に出すのは、少し気恥ずかしいからしないけれど。 「さぁ、帰りましょう。イヴさんが用意して待ってくれていますよ」 「小生、ラーメンが食べたくなった。塩らーめん」 「あはは」 まあ、確かに敵も戦場も甘ったるかった事だし、お腹一杯になるのも仕方無いとは思う。 そんないりすの言葉にミリィは笑って、それから。 (彼等の行為は確かに迷惑だったのかも知れません。それでも、言いましょう) それは間違い無く、女の子の夢であった事は確かなのだから。 「少しでも夢を魅せてくれて、ありがとう」 その言葉は寒空の下、少しだけ、温かな響きを持っていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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