●たとえ年越しに夢を見ても、初夢とは言わない 1月1日、神社ですれ違った『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は『あなた』に言った。 「あけましておめでとうございます」 別れ際に和泉は会釈して、 「いい初夢が見れるといいですね」 ――さぁ、あなたはどんな初夢を見るのだろうか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月16日(水)23:18 |
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● 「トロン」 優しい声でぐるぐの名前を呼ぶ男性に、笑顔で挨拶を返す。 そうだ、今日は一緒に買い物に行く約束をしていた。 手を繋いだ彼が、ぐるぐに向かって騙りかける。 「おっぱいいっぱい嬉しいな。おっぱいの良さはそもそも柔らかさで世界の女子がみんな巨乳になったら眼福過ぎて生きているのが辛い」 そんな彼にぐるぐは答える。 「だけど僕別に貧乳は貧乳で趣があっていいと思うんだ。だって小さいけどだめとか上目使いで言われたらマジできゅんきゅんくるわけですよ」 二人は町を歩きながらそんな話をしていた。 「マジカルラジ狩るポップンらいよん☆なのだ」 ひらひらでふりふりの服を着た雷音がいた。 「ふはははは。よくきたな、ポップンらいよん」 富士山の火口の上で仁王立ちする徹。スキンヘッドに初日の出が光る。 「お前は九条! 因縁の対決をつけてやる!」 「15歳の魔法少女はイタイということをとくと教えてくれるわ!」 掛け声と共に富士山が爆発し、鷹を茄子を抱えて飛び立つ。 「あれはEビースト『ニタカサンナスビ』!」 「勝負はお預けだ。ブリーフィングルームで相談しよう」 「一番エンジェインヤン、ポップンらいよん☆。よろしくなのだ」 そして富士山の上で鷹と茄子を焼いて食べる為の相談が始まったのであった。 「もうご持しないのだ」 「いきなりか」 夏栖斗のセリフに突っ込みを入れたのは、女神のコスプレをした徹だった。頭が光って神々しい。 「ああ、泉の女神のコスプレか」 なぜか納得する夏栖斗。 「あなたが落としたのはこの普通のチャプスィですか。それともこの綺麗なチャプスィですか」 「ちょ、おま!」 女神に首根っこをつかまれ、猫のように丸まったロリチャイナがウィンクする。 「やあぼくは きれいなチャプスィ」 「誰だよテメェら! 一人称も口調もぜんぜん違うじゃねーか!」 「仕様です」 「ねぇねぇ、かずとん。ちゃっぴー、胸に穴が開いたみたいな感覚なの。コレって、恋?」 「物理的に穴開いてるよ! あ、チャイナ服の穴からおっぱい見え」 ――ここで目が覚めた。 「って、そあら男の体になってるです!」 服を脱いだわけではないけど、そあらは自分が男だということは分かった。 「どうしたんだ、そあら」 そんなそあらに近づいてくる愛しの彼。そあらを見つめる目はいつもより優しく、そして手を引いてエスコートしてくれる。うれしいんだけど、複雑な気分。 「そあらに似合いそうな服、たくさん買ってきたぜ」 そあらにやさしいのはいいけど、女性として見られていない。むしろ男に優しいさおりん。たしかにらぶらぶだけど。だけど、これは。 「もぅ! もぅぅぅぅ!」 目が覚めてもうれしいやら悔しいやらのそあらさんでした。 「……俺の求めるもんじゃねぇ……死ね」 昔の虎鐵が人を大量に殺戮してた。そんな自分の姿をただ見続ける虎鐵は……大小様々なぬいぐるみが満載された部屋でモフモフしていた。 「これはダイオウグソクムシでござる! そしてこっちは巨大ヒヨケムシ!」 もふもふもふもふ。 「極彩色のハルキゲニア!」 もふもふもふもふ。 「天井まで届くエクスィス世界樹!」 もふもふもふもふ……。 「ってキモいでござる! なにこれ拷問でござるか!?」 触手が生えたり、足が多かったり。そんなぬいぐるみに囲まれて虎鐵は絶叫していた。 気がつけば徹と咬兵が現れ、一緒にもふもふしていた。 虎鐵はただ心の中で謝り続けるしかなかった。 杏樹は子供を抱いていた。 父親は……まぁ誰でもいい。小さな掌が杏樹の指をつかむ。その感触が愛おしく、そして浮かべた笑顔に反応して、息子が笑う。 息子は少しずつ成長していく。 初めて立ち上がり、ゆっくりと自分の元に歩いてくる。 自分の名を初めて口にしたあの日。 小学校入学。学校に向かう子供の背中を見送った。 中学校入学。反抗期にはいって、大喧嘩をした。 高校卒業。お金を気にして進学せず働くという息子を、それぐらい払ってやると今まで稼いだお金を使って進学させた。 そして―― 「私はアークに行く。リベリスタとして世界を守る」 杏樹はそういって、家族と別れを告げる。 霞のように消える息子の姿。ああ、もうその顔を思い出すことはできない。 「むぅ、アレは富士山」 うさぎは三高平から富士の山を見ていた。 「そして気がつくと富士山の中腹です」 無表情のまま吹雪の山中にテレポートするうさぎ。 「まずいですね。遭難しました。残りの食料はこれひとつだけです」 ポケットから卵を取り出して、近くの岩で殻を割った。そうするとそこから鷹がばさばぁ、と羽ばたいて空に飛んでいく。吹雪だけど。 「しまった。ヤキトリの材料が」 指を鳴らすうさぎの耳に、馬のひづめが聞こえてくる。いや、それは馬のひづめではなかった。 「ぱからっぱからっ、ひひーん」 自分でぱからぱからいう変な茄子の馬だった。 「寝たら死ぬぜ」 「帰る」 うさぎはテレポートした。 竜一は勝負下着をはいていた。 三高平の商業区に似たビルの立ち並ぶ道路。その交差点のど真ん中で何故か突っ立っている夢。 「夢の全ては性的欲求不満。フロイト先生が、そう語っていた」 勝負下着のまま交差点の真ん中でポーズを取る竜一。 そんな竜一の頭の上に何かが落ちてくる。白いもふもふした……。 「猫か」 空を見上げると大小色もそれぞれの猫が。にゃあにゃあ叫びながら降ってくる。降り続く猫はやがて足元から腰辺り、さらには首と自分の身の丈以上に降り積もっていく。 「にゃー」「にゃー」「にゃー」「にゃー」「にゃー」「にゃー」…… 最後には完全に猫に埋もれてしまいました。勝負下着のまま。 アリステアは今日も元気にアークへの道を歩いていました。おじさまと素敵な出会いがあるといいなぁ、と思いながら足取り軽く……。 「あれ? あれ?」 気づくと迷路の中に迷い込んでいました。 「ええええ!?」 ひのきの棒を手に歩いていくアリステア。そして向こうの角から脅威のアザーバイドが現れます。跳ねるたびにどりーん、どりーんと言う擬音が響いた。 「このダンジョンをクリアして私はおじさまに会いにいくのっ!」 「どりーん」 どりーんは仲間になりたそうな目でアリステアを見ている! 「いくよ、どりん!」 「どりーん」 アリステアのダンジョンの旅は続く。 「初夢、今日見る夢が初夢なのよね。何かいい夢見れると良いわね」 そんな事を言って糾華は眠りにつく。 「……あれ? 朝なの?」 目を覚ます糾華。夢を見てないけど仕方ない。まどろむ意識のまま扉を開けると、 「たわし!?」 床一面にたわしが転がっていた。 たわしを避けながら歩いていくと、廊下から雪崩のようにたわしが流れてくる。 「何でたわしが……昨日あれだけ売ったのに」 糾華はたわしを売る商人だ。このたわしを全部売らないと死んでしまう。だけどその前にたわしの海の中で死んでしまう。 「逃げないと、三高平がたわしに埋もれる前に」 糾華は富士山の上からたわしに飲み込まれる三高平を見下ろしていた。さようなら、アーク。 「……あれ?」 目を覚ます糾華。そして扉を開けると……。 ● エナーシアは日本にやってきてもう二年である。なので日本の文化もある程度は知っていた。 なので空に浮かぶ船が『七福神の乗る宝船』だという事を理解できた。 「あらまぁ。縁起のいい夢ね」 「YES。こんなハートも凍えるナイトによく集ってくれた箱舟の戦士達」 「……どこかで聞いたことのある布袋さんね」 「一番、坊さん神様。ホテイ。クールにいこうぜ」 「二番、四天王神様、毘沙門天。前衛なら任せろー!」 「三番、ごった煮神様、弁財天。リア充爆破しろ」 「四番、老人神様……ごふぅ!」 「寿老人が死んだー!(訳:重傷になった)」 「ああ、八人いるから」 エナーシアはどこかで見たことのある点呼に納得して、いつもどおり答えた。 「一般人のエナーシアよ。今年もよろしくなのだわ」 「え? データが全部吹き飛んだ!?」 快の正月はこんな一言から始まった。 被害状況を聞くだに、ただ事ではない。電話越しに担当者は淡々と語るが、その無表情な声が被害の甚大さを伝えてきた。 「あの……俺の、正月休み……」 電話越しだが、快の言葉は確かに言葉は伝わったはずだ。担当者が悲痛な声で今後の仕事を告げてくる。 快はすべてを諦めた。正月休みが仕事に忙殺されるデスマーチに変わる。復旧に必要な手順とそれにかかる時間を計算し、休みのスケジュールを塗りつぶしていく……。 「……良かった。夢か」 目覚めた快は、着信ありの電話を見た。そこにリダイヤルする。 「え――?」 (目覚めよ、私の潜在能力! ……ッ! これは、この感覚は!) 虚空に浮かぶ瞳との戦いでピンチに陥っていたブリリアントは、極限の中何かに目覚めつつあった。 「ついに目覚めちゃったこの感覚! そうそれはBL! 男と男の熱いぶつかり愛!」 唐突にブリリアントは叫ぶ。 『仲間っていいよな。やっぱ安心して背中任せられるし』 『……』 『どうしたんだよさっきから黙って』 『K斗が、僕以外に背中を預けるなんて言うから』 『なーんだ、ヤキモチ?』 『……ち、ちがうよ……ッ』 『Y里、以外とかわいいのな!』 『だ、だから、ち、違うって……!』 『大丈夫、俺の特別はY里だけだから』 『K、K斗……』 「これでかつる!」 ブリリアントのHPが、かいふくした。 「さらばー、みたかだいらよー」 そんな歌を歌いながら比翼子は空に浮かぶ赤い月を見ていた。 「あれが闇黒猫魔殿(ダークネコパレス)……」 「あそこに暗黒猫魔神とその四天王が……!」 「地球を守るため、四重大冥破砕 (カルテットディザスター)を止めるため!」 「勇者の手には女神モモコスモスの加護を受けし聖剣プラムブレイザーがあります。この戦い、もはや勝ったも同然!」 「やめろ、それは負けフラグだ!」 「勇者比翼子よ、準備はOKですか?」 ニア はい いいえ 比翼子は「なのだわー」と叫ぶ剣を手に、闇黒猫魔殿に歩を進めた。 「比翼子の勇気が世界を守ると信じて!」 「ご愛読ありがとうございました!」 彩歌は町を歩く。 何か買い物をするつもりだった気がする。確か南極無人探査の……まあ、いいや。 耳に響く日本語ではない言葉。それが喧騒だということは分かる。 足元を跳ねる弾丸。それを避けながら手にした骨董品を見る。伊万里の皿。ただしモルの絵が描かれていた。思わず購入してしまう。 肩から落ちる血で少し汚れてしまっている。ハンカチを取り出して傷口を拭いている間に同じ服をきた男がたくさん並ぶ。その動きは訓練された警官の動き。 近くにあった川に呼び込んで、教会の中に落下した。 教会のステンドグラスに目を細める。彩歌の背中には羽がある。体は20の羽になっている。 そうか。これは夢か。 「そうだ。目的地は月だ!」 そんな目覚めの言葉。 影継はモルにまみれていた。 「もるもるもるもる」 どうしてこうなった! 「最初は一匹だけだったのだが」 影継の足元にモルがやってきたのは、少し前。少し目を放した隙に、二十匹になっていた。驚いて周りを見回しているうちにどんどん数が増えて……床いっぱいのモルを前に身動きが取れなくなっていた。 「ちょっと、とおしてもらう、よっ」 モルを踏みつけないように歩く影継。その耳に響いてくる足音。まさか……。 「これはモルの雪崩! 略してモル崩!」 もるもるもるもるもる! 「フェイト復活して即戦闘不能! ぎゃー!」 そんな叫び声と共に影継の意識はモルのなかに埋没していった。 綾兎は苦悩していた。 力が欲しい。自分の好きな人を守れる力が。 ああ、どうかこの人が傷つきませんように。傷つくことがあったなら、その傷は、俺が負うから……。 こんなこと口にはしない。だから俺は黙って隣にいる人を見る。 広い背中をぎゅっと抱きしめて。抱きしめて貰って。一緒に冬の一日をすごしている。何気ない一日が過ぎていく……。 分かっている、これは夢だ。現実はリベリスタ。いつ戦いの中命を落とすか分からない。 だから力が欲しい。自分の好きな人を守れる力が。 綾兎は夢の中で愛する人に手を伸ばす。せめて夢の中ぐらいは、気持ちに素直になってみよう。 「ふふ,初夢ですし良い夢が見たいですね」 亘は布団にもぐり、 『ぼうけんのしょはきえてしまいました』 いきなりバッドエンドだった。 「まさか……レベル1に戻ってる!」 そんな亘に近づいてくる男達。 「われら、ゲーム四天王!」 「ふ、むだなあがきを。全てのゲームはわれわれの力量にかかっているのだ! 原画担当マン!」 「キャラクターデザイナーなど、四天王最弱。シナリオこそがすべて! シナリオクリエイター!」 「売れないゲームなど必要ない! 売れているメジャータイトルの続編を量産していればいいのだ! ゲーム会社社長!」 「……あれ? 四天王なのに三人?」 亘の問いかけに、男達は声を合わせて叫んだ。 「四人目は君だ!」 「全力で断ります」 「怖い夢や焦る夢を見ないといいなっ。いい夢見ていい一年のスタートを……むにゃ」 ニニギアがこっそり願望をこめて布団にもぐりこむ。 「赤(ルージュ)」 チリン、とチップが緑色のマットの上をすべる。ルーレットを前に、チップが行き来していた。 「20の一点賭けよ」 「一点賭け、だと!?」 ルーレットディーラーの声。にやりと笑うニニギア。 カラン、と音を立ててルーレットに転がるボール。サイは投げられた。もはや神でさえ触れられぬ領域。 ボールは20のポケットに入る。その結果に驚くディーラー。 「あなたのイカサマ、利用させてもらったわ」 チップがニニギアの周りに集まる。ギャンブルの熱は収まらない。 「一月のモルは和服着てるモル」 「二月のモルは鬼の仮面をかぶっているモル」 「三月のモルはひな祭りみたいに階段で沢山ごろごろしているモル」 ツァインは目の前に広がる大量のモルたちを呆然と見ていた。 皆同じ顔だが様々な格好をしている。そしてツァインの周りを飛び回っているのだ。 「牡羊座のコスプレモル」 「牡牛座のコスプレモル」 「双子座の……」 「いや、それ単に二匹並んでいるだろうが」 正直どこから突っ込めばいいのか分からないが、とりあえず目に付いたところからツァインはツッコミを入れる。悲しいかな、これがツッコミ体質だ。 「そうか、ここは、きっとここはモルが居るっていう異世界なんだな! ってそんなわけあるか!」 びしっ、と虚空に突っ込みを入れるツァインであった。 ● 悠里は初詣の神社の片隅でおとなしく三角座りしていた。 手が震える。拳をしっかり握ることができず、頭をかきむしった。こんなプレッシャーは今まで経験したことがない。ベリハのときは仲間が一緒だった。しかし、今は一人だ。 何度も繰り返し練習したあの動作。しかしそれはあの大観衆を前に消し飛んだ。 「悠里! 悠里! 悠里!」 アークの仲間達のコールが響く。 「ユーリ! ユーリ! ユーリ!」 赤肌の異世界の戦士達が足踏みし、地響きが床を揺らす。 この一年の吉兆を決める儀式。これをはずせば、外すと天は裂け地は割れミドルネームはDTになるほどの大惨事が起こってしまう。 逃げるわけにはいかない。悠里は立ち上がり、両手を構えた。 「キャッシュからの――パニッシュ☆」 虎美は魔法少女になって―― 「お兄ちゃんとはもちろん一緒だよお。兄ちゃんと私が一緒じゃないなんてことはありえないよ」 え? 魔法少女とらみんは……。 「ちゃんといつも通り一緒にまったりいちゃいちゃラブラブしてるよ具体的に言うとぎゅーっとか膝に乗ってテレビ見たりとかしてるんだよペロペロお兄ちゃん今日のご飯は八宝菜だよ喜んでくれて嬉しいよオ兄チャン大好きだもんね食べたら一緒にお風呂入ろうねそれで一緒に寝ようすごく安心するから一緒に寝るの好きキスしてくれたら最高だけどそこは我慢してあげるお兄ちゃんと合体したいあさまでずっと一緒だよお兄ちゃんのんびりしようね女なんて他にいらないよねここに私がいれば満足だよね?」 あ、はい。さーせん。 「私おにいちゃん大好キあの女こロす」 「初夢はモルに囲まれる夢!」 気合をいれた木蓮は、気がつくと野原にいた。 「おー。なんだあれ?」 はるか遠くから走ってくる何か。まさかモルが! わーい。尻尾を振りながら駆けていく木蓮。 「わんわんわん」 「いぬー!?」 そう。木蓮が見たのは画面いっぱいの犬の群れだった。画面てなんだよ。 「やめろ。かわいいけどやめろ。モフモフできるけどこれはちがうんだー!」 木蓮は尻尾を振りながら擦り寄ってくるわんこたちに気圧されていた。モルをモフモフするつもりだったけど、逆にモフモフされている。 「ああ、アレルギーで涙出ちゃう!」 そんな言葉で目が覚める木蓮。記憶を封印し、お年玉をもらうためにベッドをでた。 終は新しいゲームを買っていた。わくわくしながら起動させる。 『宇宙暦2079年。 宇宙に進出した人類だったが、太陽系の外に住んでいた宇宙人と利益が衝突。人類vs宇宙人の戦争が始まったのだった』 宇宙船が爆発する映像共に、複数の飛行機が宇宙空間に舞う。 「あ、シューティングなのか」 『ハイパーマシロンドで巨大要塞ギガンテスに挑む。 さぁ、合体――』 長くなりそうなので飛ばしてゲームスタート。 『きみは てきに かこまれた! どうする?』 「RPGかよ!? しかもホットスタートだな!」 そして終はコマンドを見て、さらに叫んだ。 「『自爆する、自爆です、自爆しかない!』……自爆しかないのかよ!」 どれを選んでもゲームオーバー。そんな地雷な初夢でした。 「今年こそはマトモな夢だと良いが……」 しかし美散が見た夢は、神社で膝を抱えて座っているところからはじまった。砂利がお尻に痛い。 「俺は今年も恋人もいない、友達もいない。ないない尽くしでキリがない。ネバーボッチングストーリーだよ」 どこからともかく子牛を売られる歌が聞こえてくる。むなしい。砂利の数を数えて気を紛らわせよう。ふふふふふ。 「あ、テメェ。俺が砂利数えているのに踏むんじゃねぇ! 数わからなくなったじゃねぇか!?」 「あら」 美散の視界に移ったのは青と黒のドレスを着て日傘を差した女性。時が止まる。 土下座してあやま――る前に凍りつく美散。 「今年も悪夢か……」 美散よ、幸あれ。 「我、BLの波動に目覚めし者なり!」 いつでもぶれない壱也は、夢の中でも男達の友情を脳内変換するため気合をいれて布団にもぐりこんだ。 「フハハハハハハ! 我が料理を食らうがいい!」 目の前には大量の料理。そしてスーツを着た男。 「貴様が料理を残した時、世界は有史以来人々が残してきた残飯の重量に押し潰され破滅するのだ!」 「なんですってー!?」 「私は貴様らが残飯と卑下し、私へ打ち捨てた食材達の無念を晴らさなければならないのだ!」 「萌えるわ!」 「は?」 壱也の言葉に目が点になる男。 「設定はバカだけど復讐に燃える男! そして主人公との戦いで目覚める愛! やがて二人は背中を預けあい……キター!」 「えー」 どんなものでも自分色に染める壱也さんでした。 「色々あってバロックナイツも皆やっつけたわ!」 「うわー、陽菜様にはかなわないー。負けたー」 「残るはR-TYPEのみね!」 「ふっふっふ、良く来たな陽菜よ」 「おまえはR-TYPE!」 「色々あった気がするが、俺は一回フェイト復活しただけで死ぬぞ!」 「私も生き別れた猫と戯れないといけない様な気がするけど、別にそんな事はなかったわ!」 「さあこい陽菜!」 「うおおおおおおお!」 陽菜の勇気が未来を切り開くと信じて! ご愛読ありがとうございました。 リンシードがソファーでボーっとしていると突然ドアが開いた。 「あかんわー。ちょっと酔ってもーたわ」 白い蛇がにょろっとドアからやってきた。 「……白い、蛇……? 胸板ないので……斬ります」 「ちょまちーや! 胸やったらお嬢さんもないやん」 「ソニックエッジ」 「ぎゃー!」 ざっくり切られる白い蛇。リンシードはソファーに座る。 「ひどいわー。ところで朝ごはんまだやろ?」 「ラ・ミラージュ」 「弱点はやめてー!」 「ひどい夢……」 「ふはは。そうや、わいは夢に巣食う夢魔や! 夢と気づいたからには起こすわけにはいかへんでー!」 「ソニックエッジ、出目04、03、07、35」 「まさかの四連撃ー!」 SAN値がごっそり減りそうな小説を読んだ後、七花は布団にもぐる。 「遅い時間になってしまいましたが、無事初夢みられるかな?」 布団にもぐった七花の視界に移るのは、視界いっぱいの赤い液体。 どこかで何かを切る音がする。ごとり、音とを立てて何かが倒れる。恐る恐る視線を向けると、本を持った一人の女が立っていた。 「あ……あ……」 血に塗れた、ただひたすら無表情に虚ろな瞳で魔術を放っているのは……七花だ。何かを試すように呪文を唱え、今度は爆発音と共に何かが倒れる。 魔に魅入られている。自分の力をどこまで高めれるか。ただそれだけの魔術師。 そして倒れているのは、七花の知った顔だ。 『あっちの』七花と視線が交わる。本が開き、呪文を唱える。 そして呪文が完成し―― ● シビリズは槍を手に神経を研ぎ澄ましていた。 場所はどこかの館の中。誰もいないように見えるが、しかし歴戦のクロスイージスの感が敵の存在を伝えてくれる。 摺り足で動く。わずかな重心のずれが、わずかな遅れを生む。そしてヤツに対抗するにはそのわずかが致命的なのだ。 ――目の端に影が走る。 体重移動と共に足を動かし、槍を突き出した。その穂先に、やつを捕らえ……ることができなかった。黒の残像が霞のように消える。あたかも『残像+絶影』を活性化している如く。メタだな。 「おのれGめ!」 黒く光るヤツを倒す。それができるのはシビリズの槍だけだ! どうしてこうなったと冷静に思いつつ、黒光りする昆虫を穂先が追う。 セラフィーナは水着になっていた。 「なんで!?」 いや、そのダイス様のセレクトというかですね。 「おしくらまんじゅう、押されて泣くなー!」 そして水着を着た男女とおしくらまんじゅうをしていた。周りは一面の雪。つまりここでおしくらまんじゅうをやめて離れれば凍死してしまう! そんな状況だから仕方ないよね。セラフィーナは納得した(確定ロール)。 「人はみんな甘えん坊なんじゃー!」 「夢の全ては性的欲求不満。だからセラフィーナも」 そんなことを言い合いながら押し合う水着の男女達。 「名誉毀損で訴えますよ、どくどくST!」 セラフィーナが怒りの声と共に、布団を跳ね除ける。 くしゅん、と朝の寒さでくしゃみをした。 真澄は夢の中で徹とタバコを吸っていた。 このタバコが尽きたとき、この休戦状態が終わる。 そして最後の灰が、落ちる。音もなく二人は動いた。 徹は背中を向けてしゃがみ。 真澄はよくわからない薬品を布に染むこませ、徹の頭を磨く。 「うおおおー、磨けェー! キュキュキュー!」 布で磨くたびに光が増してくる徹の頭。 「さすが『キュッキュッキューの』九条と呼ばれただけのことはある。磨けば磨くほど、輝く!」 「それが俺のEXスキルだ」 「三高平の初日の出は、まさか!」 「ばれちゃしょうがない。そう、俺だ」 「なら今年のアークを輝かせるために磨かないとな!」 「ダヴァイッ!」 真澄は一心不乱に徹の頭を磨いていた。そんな悪夢。 「キャッシュからの、パニッシュ!」 どこかの壇上でいつもの決めポーズを決めた翔護は、階段を下りて席に戻る。 待っていたのはテーブルいっぱいのケーキ。きれいな椅子と装飾品という乙女空間。 そして電子ロック。 「うそん!?」 要塞と呼ばれたブリーフィングルームの如く、扉を開けることができない。どうやらケーキを全部食べないと部屋から出れないらしい。翔護ピンチ。 「まぁ、少しずつ食べてればいずれ、って増えてるー!?」 一定時間経つと、どこかの落ちゲーみたいに上から降ってくるようだ。 口直しに紅茶を含みながら、SHOGOのベリハ依頼が始まった……。 「これ、成功時の報酬とかは」 イベシナと変わりません。 ベルカは部屋の中にある日記を手に取った。 『某月某日。海洋生物型アザーバイトと交戦後からだろうか? 部屋が磯臭くなってきたような気がする……』 『耐えきれなくなる前に本格的な消臭も考えるべきだろう。ふと、耳を澄ますと異音がしている。カーテンの奥、窓をやわらかい物が窓を叩いているような……』 パタンパタン。 ベルカの耳に響く音。それはまるで窓をやわらかいものが叩いているような……。 「まったく、こんな時間にだれだ?」 カーテンの閉じた窓を見た後で、ベルカは日記の続きを読む。 『カーテンなど開けるべきではなかったのだ! あぁ、窓に! 窓に!』 ぱりん。窓が割れる音。 ベルカは静かに日記を閉じ、窓に視線を向け……。 「ちょっと南極無人探査したいから新しく開発したプローブ操作用のプログラムの実験に協力してくれない?」 「なんだそれは」 シェリーは知り合いの社長に言われて、学校に向かった。まったく、生徒会長の仕事も忙しいのに。 電脳世界に閉じ込められたシェリーは、侵食する世界に記憶まで操作される前に脱出する事ができるのか。大事なのはレベルアップだ。校門の近くでレベルを32まで上げておこう。 ランダムイベントを終えてフラグを回収し、マスドライバーをジャックして宇宙へ。次のフィールドは月だ! シェリーはようやくのぼりはじめたばかりだからな。このはてしなく遠いBNE坂をよ……。 「蜜柑!」 シェリーはそんな掛け声とともに目を覚ました。 「新手のエリューション!? それともアザーバイド!?」 焔は空から降ってくる白い生物に困惑する。三高平の町に大量に降ってくるそれは、あるものは建物に張り付き、あるものは地面に叩きつけられるように広がり……。 「……おモチ?」 指で触れたそれの感触は、まさにお餅だった。ぷにっとしてやわらかく、それでいて糸を引くように伸びる。 「オモチストライク! これはバロックナイツのアークに対する攻撃ね。来なさい、すべて焼き尽くしてあげるわ!」 なんでだ。ともあれ焔はその手に炎を宿らせて、振ってくる餅を叩き続けた。炎が餅を焼き、いいにおいがする。 「アークの未来は私が守る!」 今年も忙しくなりそうである。 「一富士二鷹三茄子、なんて贅沢は言わんが、楽しい夢を見たいのぅ」 布団にもぐった魅ヶ利。 浮遊感。気がつくとその鉄扇で空を飛んでいた。大地から解放された感覚。落ちているようでしかし飛んでいるようで。 「ほほぅ。わし、空とんでおるのぅ」 大気の流れに飲まれるように、魅ヶ利の行く先は風任せ。だがそれが楽しかった。行く先の分からない旅。決定されていない未来。 上に。 ふと見上げた空に欲しいものがある気がした。衝動はその瞬間から。 この手には双鉄扇。この扇を使ってもまだ届かないほど上に何があるのだろうか。 天は高く、そして広かった。 「ラジ狩るキノ、なのデス」 語尾に星とかかわいらしい擬音とかつけそうな勢いで、キノはポーズを決めた。あれである。魔法少女。 ひらひらでふりふりの服を着て、年齢もちょっと若くなってたりする。 「小さな悪もみのがさナイ。すべての悪は全部全部滅殺しちゃうデス」 ちょうど目の前でタバコをポイ捨てする男が通りかかる。 「悪デスネ。死刑☆ ハイドアンドロウ」 ズシャア! 悪は滅びた! 「禁止場所デノ路上駐車。悪デス」 ズシャア! 悪は滅びた! 「そこのST、何となく悪デス。死刑」 「ぎゃああ! でもこういうフィクサードのシナリオはありかもー!」 ズシャア! 悪は滅びた! ナイトメアダウン。 たった一体の存在が引き起こした日本における神秘事件のひとつ。その被害は甚大で、その犠牲者も多い。 (ああ、この悪夢ですか) 海依音はナイトメアダウンで信仰を失った。助けてくれない神を呪った。初夢もまたこの悪夢か。 ただその悪夢の中にありえない光景を見た。 「クハハハハ! 我が剣を受けよ!」 バイデン。すでに滅んだ赤膚の戦士。もっとも海依音は直接見たことはないが。 「よう、生きてるか?」 九条徹。紺の作務衣を着たスキンヘッドの男。 バイデンがミラーミスに挑み、徹が海依音を抱えてこの場から離れる。 これは夢だ。現実に彼等に助けられたわけではない。 ああ、それでも。誰かが助けてくれたから自分は生きているのでは? 神様は残酷だけど、人が残酷じゃないから自分は生きているのだ。 (ああ、夢だからこういうのもありか) 海依音の意識が薄れていく。 そして夢から現へ。 今年もいい年でありますように。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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