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\おそば/

●\おおみそか/
 食堂入口の貼紙には、こう記されていた。


『年越し蕎麦、いかがですか?』





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年01月12日(土)22:07
●このシナリオはイベントシナリオになります。
イベントシナリオについては本部利用マニュアルなどを御参照下さい。


オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回はアークの食堂で年越し蕎麦食べませんかというお誘いになります。
気軽に、のんびりと、あるいは楽しく、あるいは感慨深く、物想いに浸ったりしながら。
誰かと、あるいは一人で。
おそばを食べませんか?
そんなイベントシナリオです。
もちろん、お蕎麦以外でも構いません。
雰囲気、食堂等について気になる方は、宜しければ自分のシナリオ『\ごはん/』の方を御参照下さい。


●食堂
余裕を持った広めのスペースがあります。
さまざまな種類のお蕎麦がメニューにあると思います。
(もちろん、お蕎麦以外も)
自分で調理する人用のキッチンもありますので、作るのも問題ありません。

●備考
・参加者が多数の場合、内容を絞ったプレイングをかける事をお勧めします。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。
・グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。
(タグで括っている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCに話しかける場合、ID等は必要ありません。

マルガレーテを含め、他のリベリスタたちやアークに勤めている一般の人とかも利用しています。
御希望の方はそういった参加者と絡む描写をさせて頂きます。
(マルガレーテは様々な地域の年越し蕎麦が少しずつ盛合わされたセットを食べてます)
特に何事もなければ、背景描写以外では登場しません。


それでは、興味を持って頂けましたら。
どうぞ宜しくお願いします。

参加NPC
マルガレーテ・マクスウェル (nBNE000216)
 


■メイン参加者 65人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
インヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)
マグメイガス
ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)
ナイトクリーク
斬風 糾華(BNE000390)
クリミナルスタア
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
ホーリーメイガス
天城 櫻子(BNE000438)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ナイトクリーク
源 カイ(BNE000446)
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
プロアデプト
天城・櫻霞(BNE000469)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)

リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)
クロスイージス
ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
クロスイージス
祭 義弘(BNE000763)
デュランダル
遠野 御龍(BNE000865)
ソードミラージュ
富永・喜平(BNE000939)
プロアデプト
ベルベット・ロールシャッハ(BNE000948)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
ナイトクリーク
リル・リトル・リトル(BNE001146)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
マグメイガス
風宮 悠月(BNE001450)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
プロアデプト
如月・達哉(BNE001662)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
ダークナイト
山田・珍粘(BNE002078)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)
スターサジタリー
雑賀 木蓮(BNE002229)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
デュランダル
宵咲 美散(BNE002324)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
覇界闘士
葛木 猛(BNE002455)
ソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)

三島・五月(BNE002662)
クリミナルスタア
坂本 瀬恋(BNE002749)
スターサジタリー
雑賀 龍治(BNE002797)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
ナイトクリーク
六・七(BNE003009)
マグメイガス
風見 七花(BNE003013)
マグメイガス
斎藤・なずな(BNE003076)
ナイトクリーク
荒苦那・まお(BNE003202)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
クロスイージス
日野原 M 祥子(BNE003389)
ダークナイト
熾喜多 葬識(BNE003492)
ホーリーメイガス
メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)
覇界闘士
ミリー・ゴールド(BNE003737)
レイザータクト
ミリィ・トムソン(BNE003772)
レイザータクト
ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)

シェリー・D・モーガン(BNE003862)
スターサジタリー
巴崎・M・木市(BNE003867)
ホーリーメイガス
六鳥・ゆき(BNE004056)
スターサジタリー
取方・多汰理(BNE004202)
   

●今年から、来年へ
 そあらは天ぷら蕎麦の為にと、えびやたまねぎ、にんじん、三つ葉のかき揚げを作っていた。
 天ぷらが出来上がったら、お蕎麦をもって飲食エリアに向かう。
「あたしが作ったかきあげなのです。いかがです?」
 雷音、マルガレーテ、ヤミィを探し、その輪に加わって。
「2012年はお疲れ様でしたです」
(色々お世話になったのです)
 色々な事が沢山、出会いも悲しい事もあったけれど……充実した1年だったようにおもう。
「来年もよろしくおねがいしますです。良いお年をなのですよ」
 2013年はもっと良い年に、なりますように。
 そう、彼女は祈る。
「今年もいろいろあったのだ。二人と仲良くなれて嬉しかったのだぞ」
 盛り合わせセットはおいしそうだな?
 そあらに声をかけ、ヤミィとマルガレーテと一緒に……のんびりゆっくりと、雷音は年越しの蕎麦を食べていた。
「来年もあなたの傍にという言葉遊びで、年末にはそばをたべると言うが本当なのかな?」
(それなら、この友人たちとたべたのなら……ずっと傍にいれるということになるのかな?)
 それならうれしい。
 そういうのもあるんですかと感心した様子とヤミィと笑いあって。
 除夜の鐘の音聞きながら、新しい年に思いを馳せて。
 食べ終わったら、顔を見合わせて。
「ごちそうさまだ」
 雷音の言葉に、言葉が続く。

「ミーノはきつねそばっ! あぶっらあげ~♪」
 歌いながら、ミーノは自分のお蕎麦を用意した。
 あと、たまごをおとして、てんぷらものっけて、おねぎもたくさん♪
「できたっ!」

 \うるとらすぺしゃるわんだふるとしこしそば2013っ!/

 にふふ~と嬉しそうに言ったところで、彼女の鼻は向こうからいい匂いが漂ってくるのを感じ取った。
(かもなんばんっΣΣ)
「ミーノにもわけてわけて~」
 お願いして小分けしてもらうと、ミーノはむぅ~~~~~ん、と五感を集中させて。
 \いただきます/
(おいしい~~~~~~~っvvvv)
「やっぱりごはんのときは、ますたーふぁいぶでごかんをとぎすましてたべるにかぎるの~」
 満足げに言って、ミーノはお蕎麦をたいらげた。
「みんなよいおとしを! なの~」
(そしてらいねんもよろしくおねがいします、なの~)


●陽は沈み、新年は近付いて
 少し前、夕方。
 陽菜はキャリーバッグを牽きながら急ぎ足で食堂に入った。
 時間がないからお蕎麦の種類はお任せで!
(とはいえ、せめて冷やし系じゃありませんように……)
 携帯片手に電車の時間確認しながら、お蕎麦ちゅるちゅる。
「……あああぁぁぁ!!!」
(急いでるのに~!)
 おつゆを飲む際に横ポニーが丼の中に入ってしまう。
 慌ててハンカチで髪を拭き、匂いが付いてないか確認して。
(端から見たら怪しい人だよコレ……)
「ダイジョブだよね? 匂わないよね?」
 食べ終えた食器を片し、ご馳走様をして。
 陽菜は早足で食堂を後にする。

「わ~い、おばちゃーん、ボクねコロッケとから揚げのっけたやつねー♪」
 メイの注文に威勢の良い返事が響いて、すぐに彼女の前に蕎麦がきた。
 彼女の基準は関東系の立ち食い蕎麦である。
 てんぷらと言ったら海老ではなく、かき揚。
 つゆは黒くてしょっぱくなくてはいけない。 
 関西のうどんみたいなのは、これちがう、味がついてない、なのだ。
 食べるときは普通にがっつく。
 もちろん知られたもので、出てきた汁は関東系だった。
 フライエンジェなのに鶏のから揚げかよ! 等とのツッコミもない。
 まあ、メイが悪意なく関西系の味付けをディスりそうになるのを止めたりはするけど。
 無論メイは気にする様子もなく、蕎麦を元気よく啜ってゆく。

 いつもは寒くて外出たくないから、家でこたつぬくぬくしながらインスタントだけど。
(たまにはきちんと年越し蕎麦食べるのも良いね)
「うーん……そうだな……なめこおろし蕎麦にしよう」
 もちろんあったかいやつで。
「うむ、やっぱりなめこおろしは美味しい……」
 七は食堂で年越し蕎麦を味わっていた。
(今年一年の災厄を断ち切る意味もあるんだっけ?)
 今年はだいたい大きい猫をもふもふしたり、長い猫をもふもふしたり、ダニをもふもふしたり……
「……あれ、別に断ち切らなくて良いような気もする」
(まあ、来年もこんな感じで心も体も健康なまま、猫や色んな毛玉をもふもふ出来たらいいよねえ)
「あともっと温泉も行きたいなあ……」
 来る年に想いを馳せながら、七は温かい蕎麦をすする。

「せんせー。食堂にはテレビはありますかー??」
(年越し蕎麦はゆくとしくるとしを見ながら食べなきゃいけないってこれは法律にもかかr……)
(・A・)!!

 テレビの1つを見ながら、終は年越し蕎麦を食べていた。
 お蕎麦はねぎたっぷりでお揚げがのったキツネ蕎麦☆
 七味の替わりに柚子胡椒を加えてちょっと大人の味☆
(うまうま☆)
「おつゆもお蕎麦も美味しいけど、柚子胡椒が良い仕事してる……」
(やっぱり大晦日には年越し蕎麦食べないとだよね☆)
 だって日本人だもん(>▽<)

 食べ終わったらいそいそと蕎麦湯を貰いに行く☆
 蕎麦湯好き(>▽<)

 蕎麦湯を飲みながら、テレビから聞こえてくる除夜の鐘を聴き……
「来年は良い年になるといいなと思うよ……」
 終は小さく呟いた。


●食堂の片隅
 やはり年を越す時ならば蕎麦。
「来年も健康に生活していきたいものだな」
 食堂の隅で大もり蕎麦を前に、多汰理はパンパンと蕎麦に二拍。
「厄は断ち切れんな、大人の都合というやつだ」
 いただきますをして、静かに蕎麦を食べ始めた。
 ダシまで飲み干し食べ終えると、満足そうにお腹をぽんぽんと叩いて合掌する。

 年越し蕎麦は毎年、もり2枚。
 今回は、一人でしんみりと。
 隅の席で静かに、カイは盛を味わっていた。

 僕は強くなったのだろうか?
 納得のいく働きが出来ただろうか?
 今迄の自分を振り返る。
 まだまだ強さを実感していない、納得もしていない。
 己の未熟さ至らなさを、痛感する。
(けれど敵は僕らの成長を待ってなどくれない)
 より強くならねば……焦りや苛立ちを覚える事もある。
 何よりも、
(僕は何時まで戦える?)
「来年もこうして僕は存在しているのだろうか?」

「……こんな事考える自体、ダメだね」
(せっかくのおそばが不味くなっちゃう)
 カイは静かに息を吐いた。
 更なる理不尽に直面しても、決して怯まず挫けずに。
 全力を、尽くすのだ。
 より良い明日がくる事を信じて。


●お蕎麦の味わい
「今年はマルさんに一杯お世話になっちゃいましたね」
「いえ、先輩もお疲れさまです」
 一年間ありがとうございましたと、挨拶をしてから。
「えっと、いきなりなのですが……一緒に蕎麦を打ってみませんか?」
 亘はそうマルガレーテに切り出した。
 せっかくの機会。
(マルさんと一緒に蕎麦を打って食べたい)
「お互いにお蕎麦を作って交換して食べるのも楽しいかな、と思いまして」
 頷いたマルガレーテと、早速挑戦。
 お互い悪戦苦闘しつつ、参考にし合ったりして……
「……完成!」
(さて、出来はどうでしょうか?)
 顔を見合わせて、頂きます。
「……マルさんのお蕎麦はなんだかとても優しい味がします」
 そう感想を述べてから、亘は改めて挨拶する。
「……マルさん、来年も宜しくお願いします」

 年越しは蕎麦に限る。
「ほらあたしゃ江戸っ子だからぁ蕎麦は欠かせないのよぉ。こうツルツルーっとねぃ」
 ざる蕎麦を啜りながら御龍は説明した。
「やっぱり蕎麦といやぁざるだよざるぅ。この冷たくてのどごしがいいのがいいやねぃ。とろろ蕎麦なんかもぉ、好きだけどねぇ」
(本当ならお酒もあるといいんだけどねぃ。流石に食堂じゃぁ気が引けらぁねぃ)
「あ、蕎麦といやぁ落語にもなってるんだよぉ。マルガレーテちゃんは落語とか聞くのぉ?」
「あるって話は知ってますが、実際に聞いたことは無いです」
「面白いよぉ落語ぉ。今度聞いてみなよぉ」
 ハマるよぉっと御龍は蕎麦を啜りながら少女に勧めた。
「あたし、カーラジオで聴いたりするんだよねぇ」
 今度聞いてみてよと言い、御龍は蕎麦を食べ終えると。
「というわけでぇ」
 食堂のおばちゃんに蕎麦湯を頼む。

「寿命や家運はあまり必要としておりませんけれど、お蕎麦がなくては年は越せませんものね」
 例年に倣って、この時期食べ慣れた海老天の乗ったお蕎麦を。
「いただきます」
 そっと手を合わせると、ゆきは箸を伸ばした。
「……まあ、おいしい。心の芯まで温まるようね」
 汁と蕎麦を、そして海老天を静かに味わう。
(来年はもっと、死を近く感じられる戦場へ出る事が出来るかしら)
 すてきな死地と出会えますように。
 そう願ってから……
「あら、マルガレーテさんが召し上がっているのはなぁに?」
 フォーチュナの少女の食べている品に興味を惹かれ、声をかけて。
「……年越し蕎麦にも地域差が御座いましたのね」
(ふふ。おもしろいわ)
「来年は別の地域のものをいただいてみようかしら」
 どこか感心したような口調で、ゆきは呟いた。


●食堂の賑わい
「そうだ、そばを食べよう」
 そう思い立って、アラストールは食堂を訪れた。
 蕎麦を注文し、受け取って、席に付き、おもむろに頂きますと器と箸を持って。
 ずるずるずるずるずるずるずるずる
 ずるずるずるずるずるずるずるずる
 ずぞぞぞぞz-
 無言で蕎麦をすすり続ける。
「そばよ! 年越しよ!! 年越しそばよ!!!」
 遠慮なんて不要よね?
「大盛りで乗っけられるもの全部載せてきなさい! 全部の味をいっぺんに楽しんじゃえばいいのよ」
(私のお金じゃないしね!!)
 そんなやり取りの後、ソラの前に年越し蕎麦が用意された。
「美味しそうな天麩羅が山のように……!! ……え? ちょっと? なにこれ? なんで甘い香りがするの?」
 甘い香りや刺激のある香りが混ざり合って……品の方も……イロイロ混ざってまざりきらなくて分離して。
「あ、えと、ゴメンナサイ」
「……ダメです」
「……え?」
「食べ物を粗末にしたら……ゆるされませんよ?」
「さすがにこれは無理無理無理無理」
「無理が通れば、道理がひっこむって言葉もありますから」
 そんな風景を後目に、ちゅっちゅる。
「おかしい。このおそば食べても食べても減らないぞ」
 お蕎麦を食べていたぐるぐは、箸をとめて呟いた。
 もう何時間食べてるか解らないけど一向にへらない……そんな気がする。
(もうお腹一杯だー)
 思いつつ、彼女はちゅるるるると蕎麦をすする。

 一方、ベルベットの前に置かれた器、天ぷらそばの上には……赤い山ができあがっていた。
 唐辛子容器のフタがゆるんでいたらしい。
 結果、下を向けて降った際にフタが外れ、中の全てが出てしまったのだ。
「……………………」
 彼女と向かいに座っていた女性の職員は無言だった。
 少し前まで、年越しの準備等について色々話しなどもしていたのだが、そういった雰囲気はもう一切ない。
「………………ふむ」
 ベルベットは両手を合わせると、箸を取った。
「いただきます」
 そう言って、器に手を添え箸をのばす。
 ……………ずるる。
「……大丈夫ですか?」
 職員が心配げにたずねた直後。
 彼女は、無言無表情で悶絶する。
(はん、どいつもこいつも年の暮れだ新年だって浮かれちゃって。ただ今日が明日になるだけじゃないの)
「とくに毎日働いてるアルバイターには全く無関係ね」
 それなのに多くの店が休み、電車の時刻表も一部変わり、テレビもいつもと全く別の特番ものばかり。
(ま、何はともあれ頂ける物は頂くわよ)
「ああ、関西風の出汁にしてね? 関東風のは醤油が辛くてたまらないわ」
 杏は蕎麦を受けると、さっそく箸をつけた。
「やっぱりてんぷらは海老よね!」
 スーパー等で売っている品とは一味違う、さっくりとした衣と中のエビを味わい、続いて蕎麦を、そして汁を。
「ぷはー! やっぱり日本の年越しは蕎麦ね!」
 そしてハッピーニューイヤー!


●いろいろ、と?
「おそばを啜る姿、素敵です。私の心のメモリーにしっかり記録しないと!」
「……あの、先輩?」
「あ、どうぞ私のことは気にせずに美味しく食べて下さい。私はその姿を見てるだけで幸せなので」
 食事するマルガレーテを見ながら蕎麦を食べていた珍粘は、笑顔で言った。
「だって私は……可愛い子が大好物ですから!」
「……そ、そうですか……」
「話は変わりますけれど、抱きしめてもみくちゃにして良いですか?」
「ダメです」
「駄目ですか。そうですか。ああ、こんなに思ってるのに伝わらないなんて。私、悲しいです」
 でも大丈夫!
「こうして思ってるだけでも幸せですから」
 うふふふ、可愛いな~とか言いながら。
 珍粘は嬉しそうに食事を続ける。

「良いお年だった? 蕎麦長すぎたら切ってあげるよ」
「!? びびび、びっくりしましたよ! 先輩!?」
 葬識に後ろから首元に鋏をあてられたマルガレーテは、動揺しつつ挨拶した。
「ああ、これちゃんと綺麗にしてるよ。錆だらけだけど消毒してるし☆」
「……や、錆だらけってちょっと……」
「遠慮しなくてもいいのに~」
 そう言いながら葬識は、天ぷら蕎麦を細かくぶつぶつ切ってゆく。
「殺人鬼常に何か切ってないと落ち着かないし、あとズルズルすするのって好みじゃないから」
「でも……それ、美味しいんですか?」
「ん? 美味しいよ、ほんとほんと」
 疑問形の少女に、葬識はそう笑顔で応える。

 歯触り、喉越し、汁の旨味。全部素晴らしい。
(麺類は好きだからいつでもウェルカムだけど、折角食べる日があるのだから)
「2杯目はなんか乗っけようかな~、マルガレーテは何か好きなものあるか?」
 ツァインは、自分は月見コロッケだなとお勧めについて説明した。
 コロッケがサクサクのうちに麺と一口、黄身は半分食べた頃に潰し味の変化を楽しむ。
「汁でひたひたになったコロッケでまた一口、黄身と混ぜてもう一口……」
(たった一杯でいくつの幸せが味わえるというのだろう……)
「あぁ、珠玉の一杯……」
「年越しそばが王道でしょう……しかし私はあえてラーメンを食べる!」
 そこでハガルが乱入した。
「食べて悪いかー! ラーメン好きなんですよ♪」
 もちろん醤油ラーメンね、味噌は好みじゃないと付け加えて。
「マルガレーテもラーメンどうですか? 毎年蕎麦じゃ味気ないですよー♪」
 ふふふふふ、この食堂でナンバーワン人気麺類はラーメン!
「異論は認めないwずるるるるー」
「や、まあ……どっちも美味しそうと思いますけど」
「はぁ、あったかくて美味しいですよ! そこの人もどうですか? 年越しラーメン?」
「ソッバソバ~♪」
「オヤジ! 替え球一丁!!」
「……何がどうして、こうなったんでしょう?」
「細かい事はまぁいいか! 良いお年をッ!」
 騒がしくしつつも賑やかに、一行の食事は続いてゆく。


●重ねるジカン
「どうしてお蕎麦を食べるの?」
「私も今まで知らなかったんですけど、今年一年の災厄を断ち切るって言う意味が込められているそうですよ?」
 ミリーの質問を推測していたミリィは、予習しておいた答えでしっかり応えた。
「他にも由来とかあるそうですが、食べながら話してると麺が延びちゃいそうですし」
 そう言って、ミリィは熱い麺に息を吹きかける。
 ミリィの言葉に頷きながら、ミリーは蕎麦をすすった。
「そういえばもう今年が終わるのだわ」
(ミリーが来てあんまり時間はたってないけど、それなりに色々あって……)
 その中でも一番お世話になったのは。
「ミリィ」
 傍らの少女の名が、自然と口から零れた。
 来年はたくさん闘って、いっぱい倒して、もっと強くなる。
 その為にも、
「もっとコイビトしましょうね」
 深く考えた末ではなく、蕎麦をすすりながら……ぼんやりと口から出た言葉。
 ミリーの言葉に困った顔になりつつも、ミリィは確り頷いた。
 コイビトという単語についてのミリーの理解が、色々と間違っている事は……ミリィとしては、充分に理解している。
 ただ、一度訂正に失敗したので機を窺っているのだ。
 彼女が自分でその意味を理解するまで細かいフォローだけに留めようというのがミリィの心算だった。
 だから。
「ええ。沢山、沢山お出かけしましょうね」
 彼女は言葉を紡ぐ。
 楽しい思い出が、縁が出来れば出来るほど、人は踏み止まれるから。


●双心
(今年も……これで御終い)
「早いものですね、前に初日の出を見た時からそんなに経ったなんて」
 少しだけふり返ってから、悠月は心を此処に戻した。
「……さて、俺はどれにするか」
 メニューを見つつ悩んでから、拓真はざる蕎麦をと頼む。
(……年越し蕎麦か、そういえば最近は蕎麦を食べていなかった気がする)
「有難く、この機会に頂戴させて頂こう」
「それでは……私もざる蕎麦をいただきます」
 続いて悠月も注文した。
 暖かい蕎麦は別として夏場ほど食べる機が無いのは確か。
(……私的には冷たい御蕎麦が好きなので、特に冬場はそれこそ縁が遠くなりますが……)
 品が届くまで、ふたりは暫しの時をゆるりと過ごす。
「色々と揃っているけれど、冷たい御蕎麦の用意があるのは嬉しいですね」
 悠月の言葉に、拓真は肩の力を抜いて頷いた。
 自分達には定期的な休みなど存在しない。
(ならば、息抜きを出来る時に行っておかねばな)
「……と、蕎麦が来たか。ありがとう」
「ありがとうございます」
 揃って礼を言い、揃っていただきますと手を合わせる。
「うむ……美味い。暖かい物も良いが……やはり、俺はこれが好きだな」
「私も冷たい御蕎麦の方が好きです。この時期でも美味しいですね」
「また、こうした時間を過ごしたい物だな」
 笑みを浮かべる拓真に、悠月は頷いた。
「来年もこうして御蕎麦を食べられるよう……頑張りましょうか」


●贈りたいキモチ
 キッチンの一角を借りて。
 木蓮と龍治は蕎麦を作る練習をしていた。
 クリスマスに婚約したので、木蓮の祖母に挨拶にいきたい。
 両親は既に他界しており叶わないが、祖母には手作りの蕎麦を御馳走したい。
 そう考えての事である。
「ご挨拶、か」
(アークに来るまでは、まさかそんな状況になるとは思っていなかった)
「正直……任務の時よりも緊張する」
「ん…! 当日は頼りにしてるぜ、未来の旦那さま!」
 こう言われれば、後は腹をくくるだけである。
(当日までには、覚悟を決めておかねばな)
 蕎麦よりも其方が気になってしまいそうだが……先ず、蕎麦だ。
 作り方は事前に調べ、知っている者に助言も受けた。
(時間には限りがある、効率良く行いたい)
「茹でるだけ、って訳でもないんだよなぁ……」
 呟く木蓮に、龍治はいろいろと質問してみた。
(お祖母様の事は、よく知らない)
 だから、基本は木蓮に任せるとする。
「具は何にしよっか、ばーちゃんの名前にちなんで紅葉型のかまぼことか?」
 覚醒して嘴が付いたから固いものは平気だぜと木蓮は笑ってから、天ぷらをのせるなら揚げ物の練習もしないとと考え込んだ。
 そんなこんなで色々苦労しつつ、試作品が完成する。
「……ど、どうかな?」
 ふたりで緊張した様子で味見をして……
「俺様的には普通に美味いけど……」
「……悪くはない、と、思う」
 木蓮の言葉にそう龍治は答えて。
 ふたりは顔を見合わせると、頷き合った。


●ふたりでひとつ
「こうして一緒にいる間は、ひと時たりとも離れたくないからね」
 出来る限りくっついていたい。
 そんな訳であえて! 竜一はユーヌを膝の上に乗せて!
 ふたりは大盛りの蕎麦を一緒に食べていた。
 ユーヌとしても、竜一の膝に乗せられるのは嫌いではない。
 胸元に寄りかかった方が落ち着く。
 が、食べにくいというのもあって横座りになろうとした処で。

「なら仕方ないな、お姫様」
 竜一は支えるように、彼女を横抱きにした。
「お姫様抱っこっぽいな? 蕎麦を前にしては雰囲気も何もないが」
「うむ、これはこれで、ユーヌたんの顔が良く見えるのでいい」
 頬をつんつんしながら満足気な竜一へ。
 ユーヌはふーっと蕎麦を冷ますと、汁が落ちないように手を添えて、あーん、と竜一の口元に差し出した。
 あーんと受けた竜一は、満足気に蕎麦を味わう。
「美味しいか?」
「んふー! ユーヌたんと一緒に食べる年越しそばは格別だね!」
「うん。食べにくくなければ良いが、こうするのに蕎麦はあまり向いてないな?」
 竜一の口元を拭き、今度はスパゲティのようにくるくる箸に巻いてあーんと差し出す。
「よしよし、今度はこっちから、はい、あーん!」
 頬張った竜一が、ユーヌに蕎麦を差し出して。
「なかなか難しいな?」
 頬張ったユーヌをなでなでした竜一は、今日も可愛いなあと頬ずりする。
 そんな彼の姿に苦笑いしつつ。
「不自由こそが楽しいのかも知れないが」
 ユーヌは差し出された蕎麦をほお張った。


●ふれるココロ
 ふたりで作った年越しの蕎麦を手にリルと凛子は席についた。
(まだ冷えるッスからね)
 凛子さんが寒くないようにと、リルはブランケットを膝にかける。
「今年も色々とありましたね」
「大変だったッスね。いただきますッス」
 リルの言葉に凛子も応えて、ふたりは静かに蕎麦を食べ始めた。
 話は、食べ終わってからゆっくりと。
 そう考えて2人は食事に、蕎麦を味わう事に集中する。
「今年も大変だったッス」
「お粗末様です。どうぞ」
「頑張ったッスもん」
 食べ終えると、凛子は温めの御茶を用意して……ゆっくりと今年を振り返った。
「アークに来る前より来てからくぐった死線のが多いんじゃないッスかね」
「今年も戦いの連続でしたが、私は戦場にいる頃よりは何かとゆとりもできました」
 リルの言葉にそう答えてから、少し間を置いて。
「今年の一番の驚きはリルさんに告白されたことですが……」
「照れるッスけど、今年一番は好きって言えたことッスね」
 凛子の言葉に、リルは答える。
(まだ一歩踏み出しただけッスから、来年はもう一歩)
 そんなリルの背に回って抱っこして。
「来年もよろしくお願いしますね」
 凛子は頬にそっと唇付する。
 ふり返ったリルが、口元近くにキスをして。
(二度目はまだ勇気足りないッスね……)
「蕎麦の味がするッスね。来年もよろしくお願いしますッス」
 驚いた表情で頬を染めた凛子に、リルは短く挨拶した。


●フタリのジカン
「美味しいお蕎麦で年越しも良いですね♪」
「蕎麦なんざ久しく食ってなかったな」
「でも、何のお蕎麦にしようか悩みますぅぅ……」
「……ふむ、お前が好きなのは海老とかか?」
 猫尻尾をフサフサと左右に揺らして悩む櫻子に、櫻霞はさり気なく助け船を出した。
 結果、彼女は大きな海老天が二本乗っかった天ぷら蕎麦とそばがきを注文する。
 櫻霞が頼むのはシンプルに、揚げ2枚入りのきつね蕎麦。
「海老さんの天ぷらは大好きですにゃ~」
「年越し蕎麦なんて何年ぶりだか……」
「櫻霞様も海老さんを召し上がれ~♪」
「ん、ほれ……お返しだ」
 並んで席を取って……櫻子が海老天を一つ櫻霞の器に入れれば、櫻霞は櫻子の椀に揚げを一枚移す。
「にゃん♪ 櫻霞様優しいですぅ~♪」
 嬉しそうに腕に抱きつく櫻子の頭を優しく撫でて。
「抱きついてるのはいいが、ぼーっとしてると伸びるぞ?」
 そう櫻霞が言えば、櫻子は頷いて。
 小さなお椀に移して冷ましながら食べ始める。
「普通のお蕎麦もいいですけれど、そばがきも美味しいですね」
「火傷するなよ、猫舌なんだから」
 そう注意もしつつ……終始、嬉しそうにゆらゆらと尻尾を揺らす彼女の姿を見て。
 櫻霞は目を細め、表情を微かに綻ばせた。


●約束
「色々あるんですね……地域によって違いがあったり」
「色んな蕎麦があるなあ。どれにするか悩むが」
 リセリアと猛はメニューを眺めながら考え込んだ。
 悩んだ末に猛は、折角だしと色々な地域の年越し蕎麦の盛り合わせのセットに決める。
「それじゃ、俺はこれ一つと……リセリアはどうする?」
(各地域の年越し蕎麦盛り合わせセットなんてのもあるんですね……)
 猛の選んだものを見て、素直に感心して。
「……ん、じゃあ、私も同じ物にしてみます」
 注文してから、暫しの時を。
「……年越し蕎麦は、今年一年の災厄を断ち切る、だったか? いい加減、リセリアに言う様な雑学も無くなっちまったな」
 それだけ一緒に過ごした時も積み重なって来た、という事なのだろう。
「あはは……江戸時代でしたっけ。所謂……えっと、町人文化」
 お蕎麦じゃなくてうどんだったりするとか……バリエーション豊富。
(まあ、そういう地域による同じ文化の姿の多様性は日本に限った話しではないけど)
「面白いものです」

 話す間に蕎麦が出来上がって。
 いただきます、と。ふたりは声を揃える。
「ん、こりゃ美味いな。リセリアはどうだ?」
「……美味しいですね、お蕎麦って」
「来年もまた、一緒に蕎麦食べような?」
「来年……というか、夏にも食べてみたいですね」
 猛の言葉に、リセリアも真っ直ぐに頷いて
 また今度、必ず。
 ふたりはそう、約束した。


●年越しの縁
「祭さんのバイト先って和菓子やさんなの? それならお正月はお餅の注文で忙しいんじゃない?」
「和菓子屋、というか甘味処だな。流石に年末年始くらいは休みでな」
「あたしはお餅もお団子も餡子が一番好きなのよね」
「餡子をたっぷりのせた餅や団子、いいよな。俺も大好きだよ」
「お酒は何が好きなの? あたしは甘いのじゃないとまだ飲めないな」
「酒はビールだな。銘柄にこだわりはないが、な。甘いお酒には縁がないが、例えばどんなものを飲んでるんだ?」
 他愛のない雑談に興じながら、祥子と義弘は一緒に年越しの蕎麦を食べていた。
「大晦日といえば年越しそばだよな」
 言いながら義弘は蕎麦を啜る。
(女の子からの誘いとはうれしいもんだ)
「祥子の姉さんみたいな女性なら、なおさらだがな」
 そんな義弘と、ゆっくりと……食堂のテレビへと視線を向けつつ話す祥子の方はというと、内心ちょっぴりどきどきだった。
 前からずっと話してみたいという気持ちはあったのだ。
(職員食堂で年越しそばを食べるってあんまり色気ないし、デートと呼べるのかよくわかんないけど)
 依頼の時は相談で忙しくて世間話などできないから……ゆっくり話ができる事が、すごく嬉しい。
「あまりこういう機会はないから、な」
(仲間とワイワイやりながら年を越すのもいいが、こういう年の越し方も悪くないよな?)
 新たな年を迎えると改めて、義弘は祥子に挨拶した。
「明けまして、おめでとうさん。今年もよろしくな」


●其々のひと時
「よし、張り切ってそば食べるぞ!」
(蕎麦の汁吸ったエビの天ぷらおいしい!)
 なずなは、エビ天とシソの揚げたのが乗った天ぷらそばを注文した。
「昔は大晦日は家族で蕎麦だったけど、ひとりになってからは全然だったなあ……」
 蕎麦を受け取り、大勢で賑わう食堂を見渡して。
「べ、別にさみしいとかそんなんじゃないんだからな!」
 誰かに言い聞かせるようにして席に着く。
「でも、みんなと食堂で蕎麦食べるのって何か……」
(賑やかで楽しくて良いよな……)
「とか全然思ってないんだから!!」
 そう言って、この一年と来る年に想いを馳せる。
「今年もいろいろあったけど、来年もいっぱい燃やせるといいなー」
(今年はあんまり思いっきり燃やせなかったし……)
 ゾンビとかフィクサードとか不穏な単語を発しつつ、彼女は楽しみだなと天ぷらそばを頬張る。

「蕎麦よりはうどん派なんだがね、だが年越しはやはり蕎麦だよな」
(それが日本の伝統ってやつだしな)
「近頃じゃ年越しうどんも売り出してるが流石にな」
 餅入り蕎麦に玉子を落とし七味を振ると、烏は器を手に箸を取った。
 覆面をした状態で、である。
 食べてる様子なのだが、食べている姿は見せない。
 覆面を取らず、気付けば蕎麦や汁が減っている。
 誰からも見られぬ隙をつくようにして食べてでもいるのか?
 そんな謎めいた食事は、とある人物の一言で中断された。
「大晦日」と書いて「おお、つごもりの日」
 そんな誰かの言葉に、烏は盛大に啜っていた蕎麦で咽、噴出す。
「誰だ、巫山戯た事言いやがって」
 覆面を取って悪態をつけば、ふと耳に除夜の音が聞こえ……年が越える。
「ま、色々あったが今年も宜しくだな」
 烏は口元を拭いつつ、誰に言うでもなく呟いて。

「今年一年、色々ありましたがなんとか無事年越しできそうです」
 七花が食べるのは、おっきなえびのてんぷら入りの天ぷらそば。
 ぷりっぷりのえびに舌鼓を打ちつつ、のんびりと。
 七花は年越しの蕎麦を味わう。

「おかわりお願いしますっ!」
 何度もおかわりするのはお手間かけちゃうので、いちばん大きな器でお願いします。
 そう言った後でニニギアは気が付いた。
(はっ、つい、食べっぷりにつられて、いつも以上に食べてしまう……!)
 大晦日といえばおそば。
 トッピングもして、思う存分。
 そうは思ったものの……食べっぷりがあまり目立たないようにと、よく食べる人たちの傍に座ったのが原因だった。
 途中からはもう開き直ったというべきか、気にせずはりきって、思い切り食べ尽くす。

(ああ、大満足!)
「ごちそうさまでした」
 周囲の皆とおいしかったねと話して、厨房のスタッフさんにお礼を言って。
「ランディの作ってくれたおそばで締めにしましょう」
 ほくほくしながらニニギアは呟く。

 除夜の鐘が聞こえてくる中で、ランディは唯……ひたすらに蕎麦を打っていた。
 トレーニング用の石臼を背負ったまま、力を込めて、叩いては伸ばし。
 風味を損ねぬよう、素早く刻む。
「年末に負けちまったからな、ワイワイ騒ぐ気分じゃねぇ」
 調理場の奥で、外から談笑する楽しげな声が聞こえるのをよそに。
 ひたすら蕎麦を打って、切り分ける。
 それを均等に分け、さっと茹でた後はぬめりを取る為に冷水で洗う。
 器に入れ、熱い出汁と薬味をかけて脇目も振らずに提供していく。

 一区切り付いた処で手を止め、一食を手に外へ出た。
 蕎麦の肴は、天の月だ。
「さて、これ食ったらまた訓練だ。休んでる暇は無ぇ」
 呟いてから、響く声に、
(お前達も良いお年をな)
 青年は静かに呼びかける。

 達哉も食堂でヘルプをしていた。
 自分の店はファミリーの部下たちに任せてある。
(アークも世界各地から集められてるからな)
 帰省で人手が微妙に足りなくなっているかもしれない。
 見慣れた食堂スタッフと一緒に彼は蕎麦を作っていた。
(リベリスタだろうがノーマルだろうが関係ない世界だからな)
「娘か? VTSで遊んでるよ。おやつの取り合いでガチ喧嘩になってな。僕は放任主義だ」
(娘マジエンジェル! 分かるだろう! 子を持つ親ならば!)
 スタッフと子育て談義をしたりしながら。
「はーい、鴨南蛮一丁ー」
 達哉は皆と一緒に蕎麦を茹でる。
 最後にみんなで、年越し蕎麦を啜れるようにと。


●大晦日の
 日本に居ついてもう2年越。
「随分と年中行事にも詳しくなってきたのだわ」
 郷に入りては郷に従え。
(九条さんとか季節ごとに酒宴開いてそれに付き合ってきたのだからね)

「……オオソウジ? 何処の言葉なのでせう」

 ……
 エナーシアとウラジミールは、蕎麦を手に大晦日を迎えていた。
 エナーシアが注文したのは、にしんそばである。
 かけそばの上に身欠きニシンの甘露煮を乗せた品だ。
「拉麵とかだと魚をドンと載せても合わないけど、御蕎麦には良く合うのよね」
(油が少ないからかしら?)
「其れでは除夜の鐘を聞きつつ食べると致しませうか」
 薬味にと、祇園七味をふりかけて。
「裏さんはいつも付き合って貰って悪いわね」
 私には2年近い付き合いは長いけど裏さんの感覚だとまだまだかしら?
 エナーシアが切り出し、ウラジミールが応えて……
 今年の締めくくりに蕎麦をすする日本の風習。
「郷に入りては郷に従えという日本の諺に従い、皆と一緒に大晦日を過ごそうではないか」
 共に蕎麦を啜りながら。
 ウラジミールは今年一年を振り返り、あった出来事について語り……来年の抱負を語る。
「来年もこの世界の平和のために尽くすのだろうが……」
 気持ちを新たにすべく、改めてそのことを言葉にして。

「今年一年有難う」
 そう言って、エナーシアは言葉を続けた。
「裏さんからでも長い付き合いにしていきませうか」


●ひと時、ひと味
 年の瀬なら、そばを食おう。
 天ぷらそばがいい。
 最初はサクサクの食感を。
 次に汁を啜り、蕎麦を食む。
 そうしてる内、天ぷらの衣が汁を吸い、具の旨味と蕩け合う。
 其処に齧り付くのだ。

「という経緯とパーフェクトなプランを携えて来たのだよ、如何よ!!」
 そんな感じでバババーン!! と。
 喜平は馴染みのアーク職員に語っていた。
(仕方あるまい、今日は食堂に人が多い)
 こうでもしてないと待ち時間の内に餓死してしまうような……そんな気になるのだ。
(腹が減ったな)
 もう少し、といったところか?
 順番を待ちながら喜平は他愛のない話を楽しむ。

 如何でもいい事を、如何でもいい時間に語れる幸せ。
(来年もこんな日が在ればいい)
 心から、そう思う。

「やはり年越しといったらこれでござるよな!」
(アークだからきちんと生そばも用意あるでござるよな!?)
 そんな期待を叶えられた虎鐵は、ざるそばを注文した。
(あの喉越しはたまらないでござるし)
 あとは、蕎麦をつける汁の方。
「ふむ……薬味とあとはこれを入れて食べるでござる」
(汁の中にトロロをいれると更にのどごしがあがるでござる!)
 ネギと刻み海苔も、ぱらぱらっとかけて。
「それでは……いただきますでござる」
 一気に、ずるずるとすする!!
(ああ……こののどごしが本当に堪らないでござぁ……)
 無言で口福を味わい、食べ終えつゆにそば湯を入れて、ほっと一息。
「ああ……やっぱこの食べ方が…一番でござぁ……」
 満足気な声が、自然とこぼれる。

 年越しそばか、うまい天そばが食いたい。
「かけそば、天ぷら、やまかけ、月見、花巻……ふむ、一通り揃ってるな」
(これだけ種類があると選ぶのも楽しくなってくる)
 しかし。
「ここは初心を貫いて天ぷらそばを」
 注文し間もなく。
「きたぞきたぞ」
 木市の前に天ぷらそばが到着した。
「これだよこれ」
(天ぷらの厚い衣)
「天そばの天ぷらはこうじゃないと」
 さっそく箸を伸ばし、天ぷらを味わう。
「うん、油っこくない」
 見た目に反して重くない。
 それに……天ぷらとそばつゆが上手くなじんでいるとでもいうのだろうか?
「『天ぷら』と『そば』を食べてるんじゃなく、ちゃんと『天ぷらそば』を食べてるって感じがする」
 そばも、うまい!
 風味に合う、濃いめのそばつゆ。
「口の中が幸福だ! 体が温まる!」
 嬉しそうに木市は口福のひと時を過ごす。

 一方で。
 義衛郎が注文したのは、葱だけたっぷり入れた蕎麦と、天ぷらの盛り合わせだった。
 天ぷらは海老、大葉、茄子、玉ねぎ、椎茸、さつま芋、等々。
 最初は海老天の入った天ぷら蕎麦にしようとしたのだが、眺めてる内に他の天ぷらも旨そうに見えてきてしまったのである。
(かと言って食べたい天ぷらを全部乗せると、天ぷら蕎麦なんだか、なんなんだか分からない食べ物になってしまうし)
 悩んだ末に、こういう結果となったのだ。
(ちゃんと蕎麦も食べてるけど、本当に蕎麦とどっちがメインなのやら)
「まあ旨いから仕方ないよ」
 そう言って、蕎麦つゆを一口啜る。
(……はー、落ち着く)
「やっぱり大晦日には、蕎麦が必須だなあ」

 そんな言葉が自然と口から零れた。


●師走の縁
「やっぱり年越しはお蕎麦という事で」
「なんかタダ飯食えるって聞いたんで」
 レイチェルと瀬恋は一緒に食堂を訪れた。
 先日の任務で一緒だったという縁もある。
(何度か会った事はありますが、いつも戦場だったから)
「こうやってゆっくり話す機会は初めてですね」
 レイチェルの言葉に瀬恋は肯定を返すと、この前はお疲れさんと任務の話を軽く出した。
「ま、ちっとばかし不甲斐ない結果になっちまったけどね」
(思い出すとちっと腹立つけど、ガナってもしょうがねぇ)
 そう口にする瀬恋に頷いて。
「……ホント、まだまだ甘いって事を痛感されられましたよ。」
 お蕎麦をふーふーしながら、レイチェルは続けた。
「だけど今そう思えるのは、帰ってこられたのは、坂本さんのおかげですから。」
 ありがとう。
 そう言えば、
「たまたま、結果がそうだったってだけさ。別に助けようとしたわけでもねぇ」
 気にもしないという様子で瀬恋が口にする。
「ま、このままではすませねーだろ? そういう顔してるぜ、レイチェルのネーサン」
「ふふ、そういう坂本さんこそ、まだまだ殴り足りなかったって顔してますよ?」
 意外と似た者同士、という事なのかも知れない。
「あ、私の事はレイでいいですよ」
「オッケー、んじゃアタシのことも瀬恋って呼んでくれよ」
(何にしても決着は来年だろうさ?)
「それまでしっかり準備しとくとしますか」
 食事を終え、席を立つ。
「戦い続けてると、変な因縁とか積み重なっちゃいますけど」
 そう言ってから、レイチェルは瀬恋に微笑んだ。
「こんな縁なら、歓迎ですね」


●年を越えて
「なんだかんだで年越しかぁ」
(年の瀬もまた騒ぐのかねぇ?)
「悪くねぇなぁ? そういうのも!」
「ここに来てから時がすぎるのがすごく早く感じるよ」
 火車の言葉に、悠里はそう応えた。
 2人に夏栖斗を加えた3人は、一角で蕎麦を味わっている。
 火車は鴨南蛮を大盛りで。
 悠里は天ぷらそばを。
 夏栖斗は遠目に女子を眺めながら、わんこそばを。
「そういえば火車きゅんジナリアンだけど、わんこそばにも一家言あるの?」
「次男坊と蕎麦は別モンだわ。なーんもねぇよ? ま、年の瀬のお決まりってヤツだなぁ」
「ラーメンとお蕎麦じゃあねぇ。ま、美味しく楽しく食べるのが作法ってとこじゃないかな?」
「せっかくだしさ、ここで火車きゅん! 一気! 一気!」
「するか阿呆! 黙れ、年の瀬くらい荘厳にできねぇのかスカタン」
 そう言われ夏栖斗は、瞬間、黙った。
 本人の体感10分くらい、現実時間3秒程度。
「はー……温まるね……」
 火車の言葉に悠里が頷き、友達とこうやって馬鹿な話をしながらご飯を食べるのって楽しい、と話した直後。

「そば食べてる女の子ってなんかエロいよね!!」
 稲妻が空間を切り裂きでもしたかのようだった。
「え? なにそれ? 本気?」
「え? なんで悠里わかんない?!」
「こいつマジか?」
「ごめん、それはないよ」
 悠里はドン引いた。
「何言ってるか意味が解らんがクソだわ」
 とりあえず火車は殴った。
「あいたっ!」
 殴られた。
「ひどい! ちょっと騒がしいくらいが楽しいだろ? なんか黙って食ってたらさみしいじゃん男三人で」
「黙る必要はねぇが、不必要に騒ぎたてる必要もねぇだろ」
「もー、二人共静かにしろとは言わないけど暴れないでよね~」
 夏栖斗と火車に笑いながら、そう言ってから……

「色々あったね。本当に」
 悠里は呟いた。
「今年もいろいろあったなあ」
「まぁこんな仕事してりゃあらぁな」
 夏栖斗も呟き、火車も頷く。
「これからも間違いなく大変なことが沢山あるけど、こうやって揃って馬鹿な話をしたいな」
「来年もまあ、よろしくしてよ」
「勿論! 来年もよろしくね!」
「嫌でも宜しくしてやらなきゃ仕事になんねぇよ」
 夏栖斗の言葉に悠里は笑顔で、火車はフンと鼻を鳴らしながらも頷いてみせる。
「んで来年もまたこうやってそば食おうぜ?」
(来年もねぇ)
「まぁ……ソレも悪かねぇな」
 夏栖斗の言葉に、火車はそう返した。
「毎年の恒例ってのは迎えてこそ、だしな」


●鴨南蛮と一期一会
(去年はこの時期なにしてたっけなあ?)
「ともあれ、こうやって皆で年越しそば食べるってのは楽しくていいね!」
 そう言ってからウェスティアは、ちょっとだけ考え込んだ。
「年越しそばって、細く長く生きれますようにって意味だっけ?」
 太く短くなりそうなリベリスタとはあまりに相反するからちょっと面白いね?
 そう尋ねれば、糾華が思い出すような仕草をしながら説明する。
「長寿を祈願するためであったり、一年の厄を早く切るためであったり……諸説は様々あるけれど」
(リベリスタって厄が溜まりそうな稼業よね……)
「家に帰っても食べるでしょうけれど、折角の機会だし頂きましょう」
(見知った顔が皆鴨南蛮食べてるって、何だか不思議な状況だけれど)
「楽しそうだから私も鴨南蛮にしましょう」
「鴨南蛮って食ったこと無いんだよー」
 岬もそう言いながら周囲のテーブルを見回した。
(天麩羅そばの次ぐらいに高いよね? 鴨が高いのかなー?)
 だけど、今日は人数不定で鴨南蛮を食べる一味が居ると聞いて。
(何だっていい、高いおそばを食べるチャンスだー!)
「ヒャッハー! かもねぎだー潜り込めー^^」
 そんなこんなで鴨南蛮注文。
「また来られるとは嬉しいぞ」
 もちろんベルカも、注文するのは鴨南蛮である。
「匂いたつ蕎麦の香りを殺すことなく、上品な肉と脂が私を誘うのだー!」

「って訳で……いっただきまーす」
「いただきます」
「さあ、皆食べよう! いただきます!」
 ウェスティアとベルカに続くように、快も元気に口にする。
 鴨肉の脂が溶け込んだ熱々の汁を一口啜れば、鰹出汁とカエシに鴨肉の甘みが加わり、噛み締めればじんわりと旨味広がる。
 葱は鉄砲仕込み。アクセントは柚子皮と七味で。
「糾華ちゃんもウェスティアさんも、熱いから気をつけて」
 一頻り味わったら、皆と会話を楽しみながら。
「鴨南蛮って、こう、癖になる味だよな」
 何ともいえぬ表情で味わいつつ、フツが呟いた。
(そばなんだけど、鴨の脂が出てきて食べごたえがあるっつーか)
「ウム、ネギもウマイ」
「鴨南蛮おいしー! 鴨って普通に売ってる鶏肉の薄味と違って味がいっぱいだねー」
「鴨って食べた記憶が無かったのだけれど……鳥だと思って食べると何だか不思議な感じ」
 岬に続くように、糾華が感想を口にした。
「美味しいのだけれどちょっと硬くて癖があるのね」
(濃いめの出汁も美味しいし……)
「うん、嫌いじゃないわ」
「おっきく切ったネギもお肉にもそばにもあってるー」
 ただ飯だから美味しさも格別だねーと、岬があっけらかんと口にする。
(白いソースのかかったからあげ(チキン南蛮の事)も、すっぱいお汁につけたお魚の天ぷら(南蛮漬けの事)も、このおそばも全部南蛮が付いているのですね)
「とっても不思議だとまおは思いました」
 蜘蛛の顎で器用におそばをずずずと啜りながら、猫舌なので気をつけながら。
 鴨南蛮を味わっていたまおは、不思議そうに首を傾げた。
「南蛮ってどういう意味なのでしょう? マルガレーテ様はご存じですか?」
「唐辛子とか長ネギを使った料理、みたいな感じらしいですよ? 昭和初期くらいまでは南蛮=舶来とか外国みたいな。スペインやポルトガルとの貿易を南蛮貿易なんて呼んでたらしいですし」
 そんな話をフォーチュナの少女としてから、美味しかったのでおかわりをお願いして。
「うまいけどやっぱり……あまじょっぱい」
 何ともいえぬ表情で、ベルカが呟く。

(鴨は冬場が最も脂が乗っている季節だ。新田が持ち込んだ酒との相性も格別だろう)
 美散は熱い蕎麦を啜り、快と日本酒を酌み交わした。
 差しつ差されつ……話題はいつしか、とある任務の話となって……
 文字通り、命を賭けた美散に救われて。
(誇りと覚悟を知っているから……)
 逝くな、と言えなかった。
(だから俺から言えるのは「ありがとう」って言葉だけだ)
「気にするな。俺は俺が出来る事をしたまでだ」
 快の言葉に美散は短く返し、続けた。
 命を賭けて運命を歪曲させようとしたのは、事実。
「だが、それは仲間の為でもアークの為でもなく、俺が俺自身である為に奇跡を願っただけの事」
 そう言って杯を空けて。
「おかげで氷璃さんには大目玉を喰らったがな」
「ああ、氷璃さん。怒らすと怖いよな……ご愁傷様」
「今のは聞かなかった事にしておく」
 お互い命拾いしたな、と美散は口にしてから軽く肩を竦めた。
 暫く戦わずに養生しろと禁戦令まで出されたが、新田の迂闊な一言まで耳にしたら如何なる事か?
「まあ、今年も色々合ったが……今こうして年越し蕎麦を啜り、新たな年を迎えようとしている」
 それだけで十分だろう。
「まだ一緒に戦える幸運に感謝を」
 美散の言葉に、快がそう続ける。

「こうしてみんなでソバ食べてると、一年も終わりだなァって感じするぜ」
 皆を、食堂を見回しながらフツは呟いた。
 食堂に集まってるだけでも沢山いて、それ以上の人がアークにいる。
「オレも結構な数の依頼に参加したつもりだが、初めて見る人もいるもんなァ」
(一緒に戦うリベリスタだけじゃなくて、E能力者じゃない人たちも何百人といて、オレ達の戦いを支えてくれてるんだよな)
「この時期って、なんか慌てちまうが、大事なことを改めて感じられる、良い時間だな」
 そんな風に感慨に耽るフツの近くでは……
「くくくくく、リベリスタたるものいつ何時も油断してはならないんだよ」
 隣の芝は青い。隣の蕎麦は美味い!
(って訳でこっそり他の人のもつつきつつ、わいわいがやがややりたいね!)
 ウェスティアが虎視眈々と鴨を狙う。
(この辺りでミーノが一時的に乱入しました)
「ゴチになりやしたー」
(すぐにネクストチャレンジャーのおせちが待ってるからさっさと帰って寝るのだー)
 そして岬が、一足先にと退出。
(また来年も皆で年越し蕎麦を食べれるようにがんばらないとね)
「ごちそうさまでしたー」
「ウム、ごちそうさま! アークの皆、いつもありがとう!」
 来年もよろしく! と、ウェスティアに続いてフツが皆に挨拶する。
「皆一年お疲れ様」
 また来年もよろしくねと挨拶してから。

「命、大事に使わないと、ダメよ?」
 糾華は言葉を紡ぎながら、強く祈った。

 いつか消えそうな人達が、本当に消えてしまわないように。



■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
御参加、どうもありがとうございました。
好い大晦日のひと時だったと少しでも感じて頂けましたら、嬉しく思います。

それでは、また。
どこかで御縁ありましたら宜しくお願いします。