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ゴリラ!!!!

●あっち向いてゴリラ
 激しいドラミングの音が、動物園の中に響いた。様々な動物を配置し、自然との調和をモチーフにしたこの動物園は今、異常事態となっている。
 ドラミングの音を聞いた小鳥たちは興奮しながら、逃げ出そうとケージの中で暴れ始め、小動物たちは目が届かない場所に隠れる。残った中型と大型の動物は檻に体当たりを敢行した。
 そして悲鳴が上がる。この動物園は、敵によって襲撃されているのだ。生命を奪う無慈悲なハンターが。
 続いて、ネコのような悲鳴が上がる。何かが侵入した敵によってやられたのだろう。チーターか? ライオンか?
 その答えが出る間もなく、悲鳴は続く。動物の悲鳴に混ざって、人間の悲鳴も幾つか聞こえてくる。この動物園の職員も、ハンターによって狩られているのだろう。ただ殺戮と暴力を重ねるだけのハンターによって。
 檻は次々に破壊されていき、台風のような暴力の嵐は止まらない。隠れていた動物たちも、見つけ出されては殺される。
 一匹の象が、檻を飛び出てハンターに突撃する。怒りを乗せて放たれた象の体当たりは、土の地面を巻き上げるほどの一撃だ。
 しかし、ハンターはその突撃ごと象を殴り飛ばした。凄まじいパワーで、強引に象の力を捻じ伏せたのだ。
 ハンターは敵を倒した興奮から、ドラミングを始めながら、空に吠える。力は際限なくハンターに降り注ぎ、ハンターの目からは理性が消えていく。……かつて、この動物園の人気者だったゴリラの姿はもうない。そこにあるのは、力に溺れ、ただ物を壊すということだけを考えている、殺戮マシーンゴリラだ。
「ウホホホホホ!!」
 そう吠え猛るハンターゴリラの目にも理性の光は消えており、凶暴性を感じさせた。
 彼は、この動物園の中に生命が残っていないことを確認すると、のっしのっしと歩き始めた。その先にある動物園の入場ゲートであり、そこから見えるのは人の街。ハンターゴリラの目には、それすらも獲物の入っている檻としか映っていない。
 だから、彼は興奮しながら進む。これから起こる惨劇の予感に、胸を躍らせて。

●ゴリラパワーは危険の証
 ゴリラである。少し大きくて、かなり凶暴なゴリラがモニターの中で暴れているのである。もちろん、ただのゴリラではない。エリューション化をした、エリューション・ビーストだ。だからこそ、ただのゴリラにないような異様な力を持ち、ゴリ押しによって破壊活動を行っているのである。
「この未来はまだ起こっていない。だから、彼らを倒すことによって防げるよ」
 動物園のパンフレットをポーチから取り出しながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言った。パンフレットの中には動物園内の案内図があり、ゴリラの森という場所に赤いクレヨンで丸が描かれていた。なんだか、動物園に行くのを楽しみにしている小さな子供のようにも見える。
 しかし、彼女が見たのは悲劇の未来だ。それを防ぐために、リベリスタたちはブリーフィングルームに集められた。
「それで、どうして怒っているんだ」
「大好物のバナナをとられたから」
 何とも言いがたい。としか言い表せない表情を顔に浮かべながら、真白イヴは言い切った。何ともゴリラな理由であり、質問をしたリベリスタも頷くしかなかった。
 確かにモニターをよく見れば、暴れているゴリラは何かを探しているようにも見える。バナナを奪った相手を探しているのか、それとも単にバナナを探しているのか。
「でも、この動物園の中にバナナはない」
「どうしてそんなことに?」
「動物園のサルにほとんど取られちゃった」
 ついでに言えば、残ったバナナは自分たちの攻撃に巻き込んで吹き飛ばしてしまったらしい。つまり、エリューション化によって理性はほとんど消えていると見ていいだろう。
「このエリューション・ビーストを相手にする時、気をつけることはふたつ。ドラミングをすると、攻撃力と防御力と魔法防御力が上がるみたい。そうやって自分を強化してから、正面から攻撃してくるよ」
 戦いのスタイルもゴリ押しらしい。
「もうひとつ。戦場は動物園の、ゴリラの森で行われるよ。ここはそれなりに広いけど、木と緑がいっぱいあるから、視界と移動に気をつけて」
 ゴリラのために逞しく育てた木がいくつも存在するらしい。そういうのは慣れない人間にとっては移動の障害物になるだろうし、視界も防がれてしまうのは遠距離攻撃の狙いが定めにくい。対してゴリラはこの森で普段住んでいるのだ、大した障害にはしないだろう。これは注意せねばならない。
「ウホホホ」
 モニターの中で、力強い声が聞こえてくる。このパワーに対抗し、動物園の破壊を防ぐには……。
 リベリスタたちは、頭を使う。それこそが、人間とゴリラの違いなのだから。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:nozoki  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年06月17日(金)22:37
 nozokiです。
 ゴリラ。とっても力強いですよね。パワーですよね。大好きです。

●勝利条件
 エリューション・ビーストの撃破

●舞台
 動物園内にあるゴリラの森です。動物園には夜中に侵入し、結界を使えば、人目は心配ないでしょう。
 ゴリラの森はオープンな施設であり、戦闘に耐えられるほど大きい場所です。動物園側もゴリラが大好きなのでしょう。
 木々と緑が生い茂っており視界が非常に悪いです。リベリスタたちには障害になりますが、普段から暮らしていたエリューション・ビーストには大した障害になりません。

●エリューション・ビースト
 エリューション化によって大型になり、パワーが強化されたゴリラです。攻撃力と防御力の高さを生かしながら接近し、単体攻撃を仕掛けてきます。さらに、ドラミングをすることによって能力を上げてきます。
 現在、怒り狂っており、目の前のものをひたすら破壊しようとします。
 また、フェーズは2です。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
インヤンマスター
神喰 しぐれ(BNE001394)
覇界闘士
神代 凪(BNE001401)
クロスイージス
★MVP
内薙・智夫(BNE001581)
ソードミラージュ
アンリエッタ・アン・アナン(BNE001934)
ソードミラージュ
蘇芳 菊之助(BNE001941)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
デュランダル
真雁 光(BNE002532)

●夜の帳にゴリラが降りる
 夜の動物園。人が来ることを想定していないその時間は、闇によって不安が生まれるような場所であった。
「ゴリラの森のパネルはこれだね。……動物園の人、少しだけお借りします」
 施設の制御室を見つけ出した『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)によって動物園内の電源パネルが操作され、ゴリラの森に照明が灯る。また、同時に展開した智夫の強結界によって、戦場に人が近寄る、という危険は回避された。
「ゴリラさん、バナナが食べたかったんだろうね……」
 照明の淡い光に照らされたことによって、ゴリラの森も動物園のケージなのだということが否応なしに感じられる。
「ここの動物も、アイドルみたいなものなんだねー」
 自身もアイドル活動を行なっている神代 凪(BNE001401)が、ゆるゆるとしたたれ目でその光を見て感想を漏らす。動物園もここに力を入れているのだから、ここのゴリラはいわばトップアイドルグループといったところか。
「それにしても……。食べ物の恨みは恐ろしい、とは言うけどねー。出来る事ならバナナでも上げて終わりたいところなんだけど……。かわいそうだけど、しっかり止めてあげないとね」
 よし、と手を握って小さくガッツポーズをすると、凪の持つたわわな果実のような胸が揺れる。
 それを羨ましそうに眺めているのは、『空蛇』アンリエッタ・アン・アナンだ。黒い長袖Yシャツに黒い長ズボン、それにポケットが付いたベストというゴリラファッションで挑んでいる彼女は、一抹の不安を覚えていた。
(胸は関係ありません……よね?)
 気にしている胸に手をやって、ゴリラを釣る作戦に支障はないはずだよね、と思う。果実は果実でも、こちらの果実はバナナだもの。
「わかるのじゃ」
 そこに、お仲間の『白面黒毛』神喰 しぐれ(BNE001394)の声がアンリエッタに聞こえてくる。アンリエッタはハッとしてしぐれの方に振り向くと、しぐれはどうやら相方である凪に話しかけているようで……。
「好きなおやつを誰かに取られたら、悲しいし怒るのじゃ。とても切ない事なのじゃ……。でも、わらわたちはリベリスタ! 悲しみを乗り越えて、ゴリラさんを倒さねばならんのじゃー!」
 ランプを持っている手を広げて、能天気な笑みを浮かべている。アイドルらしく人を惹きつける、かわいらしい小動物のような笑みを浮かべていて、見ているアンリエッタも少しは気を楽にした。冷静に考えれば胸の大きさは関係ない……はずだ。
「前回は仲間に重症をさせた上に、失敗を喫してしまいました……。今度こそ誰にも怪我を負わせません……」
 改めて、アンリエッタは今回の依頼に対する心境を口にする。その声は美声であり、小声だというのに動物園内によく響いた。
 その頃、しぐれを見て顔を赤らめているのは『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)だ。彼が好きなのはゴリラではなくロリだ。ゴリラにはむしろ対抗心を持っている。
(頑張るでござる)
 虎ゴリラと言われている自分のプライド。そしてロリのためにも、彼は戦う決心を固めた。
「ウホー!! ウホウホ!」
「うほうほ!!」
「うほうほっ! うほほ!」
 そこに、三人のゴリラ・ランゲージが響いた。発言した順に『リトルダディ』蘇芳 菊之助(BNE001941)、『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)、『勇者コス少女』真雁 光(BNE002532)だ。皆、ゴリラが大好きなのだ。大好きだからゴリラなのだ。ゴリラなのだ。
「ぼくゴリラ大好きだから、こんなことになって悲しいよう……!」
 菊之助の悲しみに、ふたりも頷いて同意する。同情もする。
「バナナを取られたり、エリューション化したりちょっと可哀そうですね。でも被害を食い止めるのボク達の仕事なのです」
 だけど、動物園の動物たちと人々を守るのはリベリスタの仕事である。
「ごりらなのです! つよそうなのです! ここはゆーしゃとして、動物園の破壊をそしして、住民もまもるのですっ!」
「勇者たるもの時には涙をのんで仕事をこなさないといけないこともあるですよ!」
 そして、勇者の仕事でもあるようだ。

●ゴリラの合言葉はバナナ
 ヘッドライトを用意して、懐中電灯を用意する。智夫とアンリエッタ、凪が調べたところ、照明を灯したとはいえ、森は広く深い。それ故に戦いやすい場所も分かったのだが、同時に照明が行き届かず暗いところも分かったのである。
 だからか、光はぷるぷると小動物のように震えていた。
「人が来ることを想定してない状態の夜の動物園はちょっと不気味ですね。こ、怖いとかそんなんじゃないですよ! 勘違いしてもらっては困るです!」
 ふん! と、向けられた視線から顔を逸らしながら、教科書のようなツンデレセリフを言ってみせる。年齢こそ17歳ではあるが、小中学生にしか見えない光のそれを見て、虎鐵は深く頷いた。
(なるほど、こういうのもあるでござるか)
 一度だけではなく、何度も頷いて確認する。よし。
「そろそろ森も深くなってきたし、警戒しないとねー」
 凪の言葉だ。戦いやすい、広い広場これには全員が頷き、警戒を強めた。特に言い出しっぺの凪はタヌキの耳をぴこぴこと動かし、周囲を警戒する。
「あっ!?」
 そんな凪をあざ笑うかのように、突然目の前を通る影! これは!?
「なんだ、ただのゴリラだね」
 全員が一瞬身構えたが、すぐにホッとした。ただのゴリラはリベリスタたちを興味深げに眺めると、「ウホホ?」と首を捻る。
「ん。怖くない、怖くないよー。でも、ここは危険になるから早く離れたほうがいいよー」
 と、そんな普通のゴリラに対して前屈みになった凪は、目線を合わせ、優しげな声で語った。……それが通じたのか、通じなかったのかは分からないが、それを見たナチュラルゴリラは先の虎鐵のように何度も頷いてから去って行った。
「凪は動物……いや、ゴリラにも人気者なのじゃのう」
 それからは何事もなく、リベリスタたちは広場に辿り着いた。ここからが本番。作戦開始の時間だ。
「さて、誘導作戦じゃ! 地の利を得るのは、へーほー……へいぽー? んー……っ!? 兵法! の基本だって、おばあちゃまも言ってたのじゃ!」
 喉に刺さった小骨が取れたような、そんな表情を浮かべつつ、しぐれは満面の笑みを浮かべた。
「拙者が囮をするでござるよ」
 任されよ、と胸を張って虎鐵はバナナを手に持つ。ゴリラといえばバナナ。バナナといえばゴリラだ。
 アンリエッタも無言で頷いて、バナナを持つ。仲間に怪我はさせたくない、せめて傷つくなら自分に、という覚悟を持ってバナナを持つ。しかし……、
 にゅる。
 ちょっと力を入れすぎて、バナナの中身が出てしまった。

●ゴリラと踊る、ゴリラの時
 ゴリラのような肉体を持つ虎鐵がバナナを持っていたからか、それともアンリエッタがバナナを食べていたからか、真相はわからないが、囮の作戦自体は確かに成功した。
 途中、虎鐵とアンリエッタは何度かゴリラのエリューション・ビーストによって殴られてダメージを負ってしまったが、広場にまで連れていくという作戦を見事完遂させたのだ。……ただ、アンリエッタは途中に攻撃が直撃した為に、一度倒れてしまい、立ち上がらざるを得なかった。
「は! おぬしの攻撃はこんなものでござるか!?」
「私はしっかりと仕事をこなせた……。後は、仲間の為に……」
 ふたりの体を張った挑発もあり、ゴリラは興奮状態で広場までやって来た。ここならば、多少の木々があるものの、存分に戦えるだろう。
「悪さをする子には、おしおきだぞ!」
 そんなゴリラの前に、真っ先に立ったのは菊之助だ。ハイスピードを駆使し、チーターのような俊敏性をもってゴリラをかく乱しようという戦法である。……とはいえ、少しある木が邪魔で回避に多少の支障は出るが。
「ウホホッ! いっくよぉー!!」
 それでも、気迫で負けるわけにはいかない。ゴリラシャウトを混ぜつつ、飛び込んで来るゴリラに警戒する。
「ウホホホッ!!」
 すると、ゴリラも負けていられないのか、その場でドラミングを始めたではないか!
「うぐぐっ。そしができないのです。でも、こういうときは……どーん! すーぱーいーりすなのです!」
 爆砕戦気。イーリスも体中の闘気を高めて、ゴリラとの正面決戦に準備する。それらの自己付与に加えて、しぐれからの援護も飛ぶ。
「わらわの慈悲を有り難く受けるのじゃ! お礼はお菓子でいいのじゃー!」
 ゴリラの一撃を防ぐ、守護結界の力だ。
「はーい! いーりすもほしいのです! お菓子ほしいのです!」
 イーリスが元気に手を挙げたのを見て、しぐれは「む」と、目を丸めて耳をピコピコさせた。そして、「むむむ……」と、少しだけ悩んだ後、結論に達する。
「後でわらわと一緒に食べるのじゃー」
「わーい! いっしょにたくさん味わうのです!」
「あはは、洋菓子は用意してあるからねー」
 相方とイーリスの掛け合いを見ていた凪は、ふたりの無邪気な笑みと同じく、笑顔を浮かべながら言う。
「ツッコミ不足……でござるな。さて、そろそろ闘気が溜まって来たでござるな」
 体に流れるそれを確認し、虎鐵は爆砕戦気を発動する。
「よっしゃ!! 攻めるでござる!!!」
 そんな風に仲間たちとゴリラが自己強化をしている間、光はグレートソードをドラミング中のゴリラに叩き付けていた。ゴリラの硬さはなかなかのもので、ダメージは通り辛かったが、それでも確かにダメージを与えていっていた。
「……かたーいっ!」
 同じく、アンリエッタの幻影剣と智夫の式符・鴉が飛んでいき、ゴリラの体を傷つけていく。しかし、ゴリラはまだまだ元気という様子だった。
「ウホホホホホホッ!!!」
 ゴリラがドラミングを終え、元気いっぱいに跳ね始める。それは、戦いの長期化を予感させた。

 予感通り、長期戦となった。しかし、幸いにもゴリラは単体攻撃しかできなかった為、全力防御と回復の組み合わせによって被害を抑えることができた。
「しっかりするのじゃー! おぬしはまだ倒れる時はきておらぬのじゃー!」
「よっ……と。これで大丈夫だよ」
 しぐれと智夫の傷癒術がゴリラの一撃を貰って傷付いたイーリスに飛び、その傷を癒していく。
「いーりすふっかつなのです! やーーーーッ!」
 こうして、ゴリラの攻撃は何度か防いできた。
 しかし、それでも防ぎきれないほどの一撃を貰うこともある。
「うっ……。ぐぅ……」
 直撃してしまった場所。派手に凹んでしまった腹を抑えながら、菊之助は血反吐を吐く。しかし、それでも、
「ウホウホ、ゴリ押しスタイルなら、ぼくだって負けないしねぇ!」
 フェイトを使って復活。ダメージを受けながらも、ゴリラの手を掴み……そのまま幻影剣を直撃させた。
「ゴリラ!! 次は拙者が相手でござる!!」
 そこに、虎鐵が続く。帯刀している太刀に手を添えて、挑発をするように自己を誇示してみせる。
「うりゃあ! くらうでござるよ!」
 そして、そこから放たれたのはオーララッシュ。見た目こそ細いものの、マッチョな体を活かした力押しの一撃は、ゴリラすらも怯ませた。
「ん……。ここだねー!」
 尻尾や耳を動かしながら、炎と共にダンスめいた動きで近づき。そこに炎の纏ったガントレットが毛皮ごとゴリラの肉を貫き、焼く。
「ここで、私が決めれば……」
 コンビネーションは続く。アンリエッタの幻影剣がゴリラを切り裂き、その堅牢な防御越しにダメージを蓄積させた。
「ウホホホホホッ!」
 そこでゴリラは胸板を使って攻撃を止める。好き勝手はここまでだと言わんばかりの咆哮を上げて、木から木へと飛び移り、そこから攻撃の姿勢を取る。危険な兆候だ。
「ウホーッ! アーッ!」
「く、ここは一時耐えるでござる」
 そして急降下してのダイビングアタック! それの標的となった虎鐵は、両手と鞘を構えて、その攻撃を見事に受けてみせた!
「あっ、隙が――。……状況によって上手く立ち回るのが勇者というものです! イーリスちゃん!」
「!!」
 攻撃によって隙はできあがる。その隙に飛び込んでいくのは、光とイーリスの勇者コンビだ。まずは光がメガクラッシュを放つと、その先にはイーリスがハルバードを構えて待っていた。
「いくですよっ! 天獅子(ヒンメルン・レーヴェ)ッ!」
 イーリスは空を飛ぶ。そして、天獅子は更に高く飛んだ。
「必殺のっ! いーりすまっしゃーなのです!!」
 上空からゴリラに叩きつけられた天獅子の一撃――ギガクラッシュは、ゴリラを地面に叩きつけ、そのままの勢いで地面にクレーターを作った。派手な決着である。
「やったね! イーリスちゃん! 流石は勇者を目指す同志!」
 勝利を確信し、差し出された光の手を取って、握手をしながらイーリスはその最後を見届ける。何故ならば……、
「できれば、こんな形で出会いたくなかったのです。だがわたしはゆーしゃ! それはいうまい! なのです! ごりらさんはっ、強敵(とも)だったのです!」
 イーリスは天獅子を地面に突き刺し、強敵への言葉を送った。
 こうして、怒れるゴリラとの戦いは終わり、動物園に平和が訪れるのであった。

●深いゴリラの安らぎを
 ゴリラの墓。
 しばらく後、智夫の申請もあって動物園内に作られたお墓である。動物園の人気者だったゴリラを弔うために作られたそこでは、多くの子供達と大人が悲しみにくれていた。
「ウホウホ……ゴリラくん、バナナ食べたかったよね……。おうちからコッソリ持ってきたバナナ一房、あげるよ。ちょっとお高いヤツだから、今度はサルに取られないように持って行くんだぞ……。次はいーっぱい、バナナ食べれるといいね……!」
「僕も持ってきたよ。次はお腹一杯バナナが食べられるといいね」
 菊之助と智夫はその墓に、バナナを添えていく。エリューション化してしまったことは不運だっただろう。怒れるだけの存在になってしまったことも、不幸だった。だけど、リベリスタである自分たちが止めなければもっと被害をまき散らしていただろう。それはゴリラにとっても、嫌なことのはずだ。
 だから、今は、
「どうか、安らかに」
 目を閉じて、手を合わせる凪。そんな凪の元に、奇妙な歌声が聞こえてくる。
「うっほうっほ、うっほっほー。なのじゃー」
 凪の相方のしぐれだ。何を歌っているのだろうと、首を傾げると、しぐれは言った。
「ゴリラの歌じゃよ。力強く、雄々しいものの歌じゃろう?」
「うん。そうだねー」
 納得するようにふたりで頷いてから、ふたりのアイドルは歌い始めた。
 歌われるのはゴリラの歌。鎮魂の歌であり、その強さを称える歌だ。
 うっほっほー、うっほっほー。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 うほほほほ。うほっ!
 うほほーほ、うほほっほっ! ほっほっほっ!
 うほー! のぞきほー!!

(訳:まず、最初にプレイングを見て、皆様のゴリラパワーに圧倒されました!
 みなさんゴリラ大好きなんですね! 僕も大好きです! ということで、ゴリラゴリラしたシナリオをお送りました。
 たぶん一生分の「ゴリラ」って書いた気がする。nozokiでした。)