●闇で作られし砲台 二人の女が、闇の中で儀式を行っていた。 「♪」 女の一人は黒いゴスロリの服に身を包んでいて、クスクスと薄笑いを浮かべている。その表情はとても嬉しそうで、まるで飴玉をもらって喜ぶ幼い娘のようでもあったという。 「♪」 もう一人の女は白いゴスロリの服に身を包んでいて、やはりクスクスとした笑いを浮かべている。こちらも嬉しそうなのだが、体をゾクゾクと震わせているその姿は見た目の幼さとは裏腹に妖艶な印象を抱かせる。 ナツキとフユミ。双子であり、共にフィクサード集団黄泉ヶ辻の幹部だ。 その二人が何をしているのかといえば、やはり儀式だ。彼女らの専門は神秘の力を持つアーティファクト関連の研究であり、その力を引き出すことで様々な事件を起こしている。 「……さて、準備は完了したわ」 今回の研究は長かった。それだけに、色々と準備をしてきたし、戦力もある程度揃えられた。 「後は、私たちの計画を進めるだけ……ああ、なんて楽しみなのかしら」 「ふふふ。昔から遠足の前の日は寝付けなかったものね」 双子は儀式を続ける。その中心にあるのは星座の形を模したアーティファクトであり、アストラルポンプという。これは88星座のうち、ポンプ座を模して造られたものであり、異世界の怪物――つまりはアザーバイドをこの世界に呼び込むという性質を持っていた。 「さあ……あなたの力を、私に頂戴」 「ええ、姉さま……」 双子はお互いの手を優しく掴むと、ダンスのように舞い踊り呪言を紡ぐ。これが儀式の正体であり、これによって神秘の力をポンプ状のアーティファクトに流し込むことで起動させようとしているのだ。 そして、アストラルポンプは起動する。 「現れなさい。異世界の軍勢」 現れたのは、当然アザーバイド。全身に目を持つ球体の生物故に、生理的な嫌悪感を催させるような形状であった。しかも、その目は怪しく光っている。 「まあ、力強い」 現れたアザーバイドは二人の姿を見るとそちらに向かって攻撃を始めた。目から破壊の光を放ち始めたのである。……元より、異世界からアザーバイドを呼び込むだけのアーティファクトであって、制御するという能力はない。 しかし、それを見て双子は満足げな表情を浮かべていた。これを待っていたと言わんばかりに。 「さあ、暴れなさい。世界を変えて見せるのよ」 「皆の目を目覚めさせて頂戴。そして、我らの同志を――」 双子が企みは分からない。だが、混乱を起こさせることは確かなようである。その企みのために、彼女らは攻撃を続けるアザーバイドの横で儀式を続けている。 まともではない。 「お姉様。私は先に行かせてもらいますわ」 「ええ、ここは任せて頂戴」 だけれども、普通の姉妹のように笑顔を浮かべて朗らかに会話を交わす。ナツキはこの場に残り、儀式を続けるつもりのようだ。 ●目玉を持つ砲台 目玉の浮かんだ球体の群れをモニターで確認しつつ、『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)は訝しげな顔を浮かべた。 「……さて、資料でも説明をしたけれど、今回出現したこのアザーバイドは人為的に発生したものよ。厄介なアーティファクトもあったものね」 球体の生物は目玉がありすぎてどこを向いているのかは分からないが、ともかく邪悪なものだとひと目で分かる。理性もなさそうだ。 「起動をさせたのは黄泉ヶ辻の幹部……この子ね。今はアザーバイドの群れの中にいるけど、すぐに逃げるつもりみたい」 予想ではリベリスタが到着した段階で撤退をするようである。 「つまり、リベリスタのあなたたちや他の組織にこの始末を付けさせたいみたいね。厄介なものだわ」 とは言っても、混乱している今の時期に他の組織がこのアザーバイドの群れを進んで排除しようとは考えにくい。となると、真っ先に情報を得たリベリスタたちが始末をつけるのが正しいリベリスタとしての行動なのだろう。 「……さて、今回の目的はアザーバイドの殲滅とアーティファクトの回収ね」 こほん、とわざとらしく咳をして乃亜は続ける。問題はこのアザーバイドだ。 「アザーバイドの名前はアイボールと決定したわ。そのままね。この目を使って攻撃をしてくるみたい」 目を光らせ、そこから怪光線を発射して攻撃するらしい。怪物らしい攻撃方法といえばそうなのだが。 「この怪光線が厄介なのよ。マヒ効果に石化効果に、挙句の果てには死の力も持っていると分析されたわ」 どれも低確率なようだが、これがあるから迂闊に近寄ることも難しいらしい。言葉通り厄介だ。 「厳しい戦いになるけど、よろしくね。黄泉ヶ辻は何を企んでるのやら……」 乃亜の言葉を飲み込みながら、リベリスタたちはそれぞれ準備を始めた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年12月25日(火)23:06 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●機能美的な球体? 駆けつけたリベリスタたちは不思議な感覚に襲われると共に、石化している木や石を見かけて戦慄をした。 被害は既に広まっている……。この行動に意味があるのかは分からないが。 「このような情勢の最中に厄介事を起こすとは……」 すらりとしたスタイルと僅かな光の中であっても煌めく銀の髪を闇の中で目立させている『銀騎士』ノエル・ファイニング(BNE003301)は凛とした表情を浮かべて、黄泉ヶ辻の蛮行に目を細めていた。今の日本は“楽団”のこともあって混乱しているというのに、目の前の公園に数体並んでいるアザーバイドを使って混乱を引き起こす、というのは悪でしかない。 故に、ノエルはまっすぐとそれを見据えて刃を振るい、冷酷さを声に乗せて宣言する。 「わたくしは“正義”を貫くだけです」 正義の為に。 だが、そこに怒りも憎しみもない。 ノエルの銀髪が風に揺れて、ふわりと舞い上がる。 「彼等の企みを考えることも重要ですが、今は目の前の目玉オバケさん達を何とかしましょうか」 それに合わせたように、『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)の金の長髪が続いて闇の中で煌めいた。髪を指で払って、まっすぐに前を見つめるこの少女が闇を恐れ、怖がっているのはその立派な外見からは想像もできない。 「気を抜いていられるほど、優しい相手ではなさそうですし」 だが、ミリィは怖がりだ。今回だって、お化けと称する敵の外見的怖さもさることながら、情報で得た強さも恐ろしい。 それでも、 「――任務開始。さぁ、戦場を奏でましょう」 自分を保って、戦うことができる。正しき戦場の歌を奏でることができる。 だって、仲間がいるから。 「め、目玉だらけの怪物がたくさんいるなんて……駄目かも」 一方で、本気で怖がって木に隠れつつ首を傾げて指を咥えているのは男性の『やわらかクロスイージス』内薙・智夫(BNE001581)だ。どうしようもなく怖いものは怖い性格らしく、内気と中性的な外見も合わさって保護欲を刺激するような格好だ。先の女性二人とは違う。 「助けて、ミラクルナイチンゲール」 だから、助けを呼ぶ。自分の心にある何かに。 「……」 それが何かわからないが。 「たとえ困難な状況でも、諦めずに正義を成すのがミラクルナイチンゲールの務めです!」 ナイチンゲールは本当にいたんだ! 要するにパニックによって別人格に切り替わっただけなのだが、それはともかくここから智夫はミラクルナイチンゲールだ。しっかりと魔法の看護婦をやるぞ! あくまでも看護婦なので、スカートを気にしつつも自信満々でやってきた智夫について仲間は何も言わなかった。 「これ以上日本を混乱させてたまるかよ」 なので『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は仕切り直すように改めて目的を顕にする。サングラスをかけ直し、敵のいる公園を見据えて歩き出す。 スキンヘッドが闇の中でも僅かな光で輝いて、少しシュールではあるが逞しく、頼りになりそうな背中が特徴的だった。 「行こうぜ、混乱を止めるのも俺達の仕事だ」 口調はワイルドだが、その言葉の中から優しさや思いやりが受け取れるフツの言葉は、より一層仲間たちの心を和ませた。 「何を考えてるかは知らないが、忙しい時に面倒な」 無表情ながらも少しダルそうにその背中に付いて行っているのは『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)である。黒の長髪がだらりと闇に溶けるようにしてスレンダーな体を張っていて、色白な顔と併せて幽霊のようにも見える。場所と時間的に。 それでも、彼女はおそらく普通の少女だ。年末年始は忙しいし、リベリスタとしても事件続きだからこの時期は忙しい。 「全く空気を読むのか読まないのか。自爆して襲われ消えればいいモノを」 毒づくのも余計な仕事を産んでくれた黄泉ヶ辻への恨みだ。あくまでも無表情無感情に淡々と言葉を紡いでいるので、まるで呪詛を唱える魔女のようでもある。 「後始末をするのは面倒だが仕方ない」 やることはやる。そういうのも、普通の少女だ。 「黄泉ヶ辻が何を企んでおろうと叩き潰すのみじゃて」 にこりと笑う幼女、のように見える『陰陽狂』宵咲 瑠琵(BNE000129)は天真爛漫に、しかしこの世界を混乱させる黄泉ヶ辻は叩き潰す対象である。 それが何故かは分からないが、 「ふふん、なんとでもしてやるのじゃ。ちと、気味の悪い相手だがの」 指を口元に持って行き、考えるポーズを取ってから今回の敵を思う。たくさんの目……というのは想像するだけで気味悪いものだ。瑠琵はくすくすと笑っているが、それでも内面では真面目に考えている……かもしれない。 「愉快犯と言うだけで黄泉ヶ辻の幹部は務まらんじゃろう。姿を現すのは2度目らしいし、聞ける時に聞いておくのじゃ」 ウインクをして一先ずの目的を語っているのは、一族を纏める彼女の気質だからだろうか? 幼女の体に見合うような無邪気さを持っていながらもやるべきことはやるのだろう。 「まだまだやっていない楽しいことがあるからの♪」 単に、自分の楽しみの為に戦っているのかもしれないが。 「相変わらず気味の悪い組織ね。忙しい時期に性質が悪いわ」 はあ、とため息を付く来栖・小夜香(BNE000038)は純白の翼を広げて、白い肌と共に闇の中でも輝いているようにも見える。……というのも、実際に発光しているのだが。 この闇を照らす光は翼と共に現れたもので、この光によって暗い公園の中での戦いをスムーズに行うことができるようになった。 「それにしても妹の方は何処に行って何をするつもりなのかしらね? 余裕があれば聞いてみたい所だけど……。まあ、敵の排除が最優先」 瑠琵同様、小夜香もやはり今回の敵が不可解なことが気になる。任務的には敵をすべて倒して混乱を起こさせないことが大事なのだが、逃げる敵というのはやはり気になるものだ。 「頑張りましょうか」 とはいえ、人々を守ることは小夜香にとっても大事なことだ。人々の間に悲劇を起こさないためにも、力を尽くそうと暗に宣言する。 「さてと、当たるも八卦、当たらぬも八卦だ。尤もこの場合は、当たらない事を願うしか無いわけだがな」 今回の敵が持つという攻撃を警戒している『足らずの』晦 烏(BNE002858)は義手を調整しながら、皆の後ろを付いて行っていた。一撃でこちらの動きを止めてしまうマヒや石化、それどころか戦闘不能にすることすらあるという。 「運任せじゃ無く、当たらぬ努力も精々してみますかね」 隠された顔でニヤリと笑い、懐から取り出したタバコに火をつける。ずっとタバコを吸っている烏は、戦闘中でもタバコを吸う。だから、この一本は戦闘のためのもの。 それほど、敵に近付いている。 水平線上の暗闇に、浮かび上がってくる異形のシルエット。 「異形ながら、ある種の機能美とも感じられるな……」 攻撃用と索敵用を兼ねる目を球体の体にこれでもかと付けている姿は、戦闘用の造形としてすばらしいと『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)は思う。気味が悪いが、ある種の進化の結果なのだろう。 「洒落た照明に良さそうだが、少々灯りが強すぎるか。いや残念、造形は嫌いではないんだがな?」 一方で、その造形自体を評価……というより欲しがっているユーヌもいた。 それでも普通の少女ですよ。 「例え奇怪な存在が相手でも、平和の為、引かずに戦うのがミラクルナイチンゲールの勤めです!」 ピースサインの決めポーズと共に前に出ている少年も居るのだから、問題はない。 ……ともかく、リベリスタたちは目標と接敵した。 ●撃ち貫く光 リベリスタたちの影が感じられると、ナツキは儀式を早々に切り上げて帰り支度を始めた。素早い撤収は、元々戦う気がないからだろう。 「あら、もう来た」 そんな中戦場に到着した瑠琵は懐中電灯でナツキを照らし、手を追い払うようにしながら問うた。 「破界器使って彼是やってるようじゃが、何が目的かぇ?」 もちろん、問いかけるのはこの行動の目的。世界を混乱させて何がしたいのか。 「何を企んでいるのですか? ただ混沌を望んでいるだけなのでしょうか」 「黄泉ヶ辻の目的は何なの? 妹さんも動いているみたいだけど……」 続いて、と小夜香も問いかける。謎めいた黄泉ヶ辻の動きを少しでも聞き出そうという行動だが……、効果はあまり期待していない。話とも思えないからだ。 だが、 「フユミは別の場所でアーティファクトを探しているわ。後であなた達にも詳しく教えるから、ここで生き延びたら来て頂戴ね」 あっさりと教えて、更にカードを投げ渡して来た。ある意味での挑戦状なのかもしれない。カードにはICチップが仕込んである。後で解析をしろということなのだろう。 「――御機嫌よう、フィクサード。貴女達は何を考えて……いえ、何を目覚めさせようとしているのですか?」 「それと、私とフユミの目的は一つ。この世界をもっと楽しくしたいのよ。そのためには……ね?」 それから、ミリィの問いに曖昧ながら目的も語りながらゴスロリ娘は去っていく。周辺にアイボールたちが集まってきて、ナツキにも攻撃を加え始めたからだろう。 「……まあ、今は事を構えるつもりはありません。いずれ、また」 「じゃあね。よいお年を」 ナツキはビームで傷を負いながら、リベリスタたちから離れていく。そんなナツキに代わり、アイボールたちはリベリスタたちを標的に定めていく。 「黄泉ヶ辻の幹部でも厄介と思う相手、ということじゃな。おっ始めるとするかのぅ」 まずは符と銃弾をばら撒き式符・影人を作り出していく瑠琵。 「さて、踊ろうか。踊る文化や知能があるかは知らないが」 そして真っ先に前に出るのは囮を買って出たユーヌだ。相変わらず無表情で前に出て、低空飛行で3次元移動をしている。普段隠していた羽を開いて何とかして直撃を避けようとしている。 更にアッパーユアハートを使って怒りを押し付けて、ランダムに動くアイボールたちの攻撃を自分に集中させようとしたのだ。 アッパーユアハートの直撃を受けた数体のアイボールたちは怒りに任せるままに、攻撃を開始した。目が光ってビームがユーヌを襲う。 「……元気なことだな」 アイボールの体を蹴って宙返りをし、ギリギリのラインで一撃目を避ける。しかし、二発目が足に受けてしまって足が痺れていく。次に三発目が羽に当たって、体ががくんと重くなって地面に落ち始めた。 石化し始めているのだ。 「死の力か。害虫駆除には良さそうだ」 「祝福よ、あれ」 その体を小夜香の大天使の吐息が回復していき、正常に戻して癒していく。再び低空飛翔を始めたユーヌを見てから、ミリィは喋り始める。 「便利屋扱いは気に入りませんが、今は貴女の目論見に応じましょう。ベルカさん、行きますよ!」 ベルカのフラッシュバンがアイボールの目眩ましをして、全体指揮を始めたミリィはそれに続いて動き出す。 「――目の多さが仇となる事を、貴方達に教えてあげましょう」 こちらもフラッシュバンを使い、ユーヌが引き寄せたアイボールの攻撃を少しでも抑えることに尽力した。 「早めに確保させてもらうぜ!」 一方で烏と共にアストラルポンプに向かって飛び込んでいくフツは強結界と発光によって味方を助けている。 烏はビームによる攻撃をできるだけ避けるために上体を低くして、アストラルポンプを確保する。 「……来たか!」 しかし、そこに攻撃も飛んでくる。元々はアストラルポンプを狙ったアイボール達の攻撃だ。 光線からアストラルポンプをかばう烏は、そのまま直撃を数発受けてしまう。 それによって烏は倒れてしまう。ダメージが深刻な値になり、戦闘不能になってしまったのだ。 「ま、役割を任じられたなら倒れようとも意地を見せねぇとな。まだ……死ねねぇけどよ」 しかし、フェイトを使ってゆっくりと立ち上がりアストラルポンプにもたれかかった体を立ち上がらせる。 「ミラクルナイチンゲールがお助けします!」 ミラクルナイチンゲールこと智夫が烏の要請を受けてインスタントチャージを使って失った力を回復させていく。あわあわとせずに、力強く笑う智夫はやけに頼りになった。 「私も、助けます!」 それに併せて『大雪崩霧姫』鈴宮・慧架(BNE000666)は烏に向けて集中的に攻撃をしていたアイボールにひっそりと近づいて、大雪崩落によって投げ飛ばしていた。投げ飛ばされたアイボールもダメージを受けるものの、ゆっくりと浮かび上がって健在をアピールした。 「吹き飛びなさい!」 フラッシュバンに巻き込めないぐらい孤立しているアイボールをメガクラッシュで吹き飛ばして纏めつつ、ノエルは短期決戦になることを予感していた。ノエルを含むリベリスタは最初からそのつもりなのだが、実際にこのアイボールたちは攻撃が激しく一撃が致命傷になりかねない。 「……」 息も付かず、ノエルは次の目標に向かって走りだす。 予想通り、次の攻撃も激しかった。フラッシュバンによって目眩ましをし、フツの結界縛によって動きを鈍くしたのは確かだが、再び動きだした個体もいたからだ。 「必殺! 三年殺し!」 大きな胸を張ってフラッシュバンを続けるベルカだが、それでも集団の攻撃は続く。 一発や二発は瑠琵の影人が受けて消滅させたが……、 「死の力か」 その内の一撃が直撃し、ユーヌは落ちていく。一撃で戦闘不能になってしまったのだ! 「害虫駆除には良さそうだ。生憎羽根虫ではないし……やりかけの仕事を残して死ぬほど無責任ではないが」 しかし、フェイトを使って立ち上がったユーヌは智夫からインスタントチャージを受けて陰陽・星儀を使い自身を倒したアイボールに攻撃する。 「奴を倒せば、少しは有利になるかのっ!」 併せて瑠琵が陰陽・星儀を重ね、二つの攻撃によって一体目のアイボールは沈む。 「取るもの取ったことだし、おじさんもやるとしますか」 アーティファクトの回収を終えた も影人に庇われつつ、B-SSを使ってアイボール集団へのダメージと目潰しを狙っていく。 飄々としているが、確実にアイボールたちに命中しておりその身を削りに行っていた。ノエルや慧架の攻撃によってHPが減っていた一体はそれによって倒された。 それでも、アイボールの攻撃は止まらない。 「……ひゃう!?」 被害者は増える。次に智夫がビームの直撃を受けて石化してしまい、そのまま連続で攻撃を受けて戦闘不能になってしまった。 「でも、ミラクルナイチンゲールは……負けませんっ!」 しかし、精神的に強くなっている智夫はまだ生き残る。フェイトの力を借りて魔法の看護婦は再び戦意を高めて、ナイチンゲールフラッシュ……つまりは神気閃光を使って敵の動きを止めてみせる。 「今度は私が相手です。さぁ、踊りましょう?」 続いてミリィも神気閃光によって闇を切り裂く光を生み出し、アイボールたちを攻撃。二つの光は二体のアイボールを砕いた! 残りは二体! 「この世界は貴方達の居場所ではありません。帰れぬのならば、還しましょう」 その内、ダメージを特に負っているアイボールに向かって飛び込んだノエルはそのまま武器を突き刺し、デッドオアアライブを仕掛ける。 「無害な塵へと」 そして、貫いた一撃を振り払ってアイボールを解体した。 「それじゃあまあ……終わらせるか!」 残り一体。それにはまずフツが向かって攻撃を行った。通常の攻撃であるが、既に傷付いているアイボールにダメージを与えるのには十分である。球体を凹ませた体に魔槍が突き刺さる。 だが、その状態からアイボールは光を放ち攻撃をしてきた! それによって小夜香が石化していく! 「……くっ!」 「大丈夫です!」 そこに慧架のブレイクイービルが入り、石化を解除! 回復した はにこりと笑ってお礼を言ってから……翼を広げ光を放ち、構えた。 「魔弾よ、撃ち抜け」 放たれた魔法の魔弾――マジックアローは球体の体を撃ち貫くことに成功して……消滅させる。 こうしてリベリスタたちは勝利を収めることができた。損害は少なくないが、守るべきものを回収できたので確実に勝利と言えるだろう。 瑠琵がブレイクゲートによって無理矢理開きかけたゲートを打ち破ると、リベリスタたちの仕事はひとまず終了を見せた。 「――どんな企みにも糸口は必ず存在する。彼等が混乱を招こうとするのなら、私が止めてみせます。絶対に」 戦闘の影響によって破壊されてしまった公園を視線の中に収めながら、ミリィはぐっと手を握って決意した。黄泉ヶ辻の蛮行はまだまだ続くだろうし、目的が曖昧だから放っても置けない。 「……」 新しいタバコを取り出して、無言で烏は聞いていた。その心中は誰にも測れないのかもしれない。 「常識は大事だ。自重しろ非常識どもめ」 吐き捨てるように言ったユーヌの言葉は、どこに向けて言っているのか。恐らくは、この世界を混乱させる者だろう。 世界の混乱はこれからも続くだろう。 「我が運命は世界の為に。我が槍は世界の敵に。憎しみや怒りではなく、ただ世界の為に」 それでも、リベリスタは立ち向かう。 一本の槍のように、真っ直ぐに。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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