●vezzoso 鳴り響く音色はあまりに陳腐なものだった。 黒のゴシックロリータのドレスに身を包んだ少女――フュリは三ッ池公園の西門に佇んで笑みを漏らす。 叫び声が、聞こえる。遠く、何処からか。 骨が折れる音が、臓腑が抉れる音が、人が死に逝く『音』が聞こえた。 フュリは嗤う。握りしめたリコーダーが奏でるのはオーケストラには似合わない、幼く素朴な音色であった。 「ホント、ホントね。モーゼスさまの言っていた通り。何て素敵な音色なの」 囁く少女の目の前には、惑うリベリスタ。この三ッ池公園を守護するリベリスタ達を突如襲う『奏者』達。 自身達が『殺してきた』敵が、実体をもって襲い来る。フィクサード達が、その怨念が襲い来る。 もう駄目だ、と直感した。 共に居た仲間達の数も減ってしまっている。脳裏にちらついた『死にたくない』が頭の中でリフレインする。 「くすくす――怯えないで。大丈夫だから、あたしの所に堕ちておいで?」 響き渡る縦笛の音色はその場に似合わない。 リベリスタは目を見開く。そんな、と乾いた唇は小さく紡いだ。 目の前で、死んでしまった自身の友人がふらりと立ち上がるだなんて、悪い夢であればいいのに。 背後から迫りくる死の気配にふるりと身体が震える。目前に迫りくる友人を避ける事も出来ないまま―― ぐちゅり。 何かを、抉る音が聞こえた。 少女は月夜に笑う。 ――くすくす、くすくす。声に滲むのは幸せ。 「ふふ、うふふ。手っ取り早く沢山の『玩具』をあたしにくれるなんてモーゼスさまったら、素敵! ほら、大丈夫よ。あたしと一緒に遊びましょ?」 ●unruhig 『あ、ああ……良かった、行き成りごめんなさい。緊急連絡なので電話で失礼するわね』 突然の電話主は『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)。 焦りの色を感じさせる口調に少量の安堵を混じらせて、出てくれてよかったと彼女は小さく呟いた。 電話という特殊な方法で連絡をとってきた時点で急を要するのは明らかだ。昨今の噂になっている歪夜十三使徒の一つに数えられている『福音の指揮者』が率いる楽団の話しかと身構えれば電話口でフォーチュナはゆるく笑う。 『ご想像の通り『福音の指揮者』関連の話よ。楽団のフィクサードの対応をお願いしたいの。 三ッ池公園で暴れている楽団員に現在対応してくれてるリベリスタが数名。――それも長く持たないわ』 落ち着きを払いしっかりと言葉を紡ぐ予見者の声が急に震えた。 『公園に存在しているオバケ……失礼、怨霊が実体化して操られているの。 蘇り。ネクロマンシー。エトセトラエトセトラ……。簡単にいえばそんな感じね。 其れにプラスして対応してくれていたリベリスタで亡くなった人も――』 息を、吐いた。 現在、三ッ池公園ではフィクサードが暴れ回っている。その場に居合わせたリベリスタが対応を続けていたようだが、彼らの戦いも虚しく幾人かは命を落としてしまっている。 命を落としたリベリスタは『死体』だ。ネクロマンシー。死者を操る技術。リベリスタであろうとフィクサードであろうと生命活動をとめた身体は『死んでいる』のだから、其処に違いはない。 今まで友人であり、自身と共に戦ってきた戦友が死に、突然敵になる。戦況の想わぬ悪化は其処にも原因があるのだろう。 電話口、電子音混じりに少女の様な声音でフォーチュナは此処からが本題よ、と囁く。 『……皆に向かって欲しいのは三ッ池公園の西門よ。 楽団員の一人であるフュリという少女が其処でリベリスタ達を殺しては操っているようなの。 到着時点でまだ10人助けられる。勿論疲弊しているし、足手まといでしかないと思う。 半数で良いの。助けられる命なのだから、見捨てるわけにはいかないでしょう?』 リコーダーを片手に、奏でるは陳腐な音楽。幼さの残るかんばせにうっとりと浮かべた死への憧憬は少女の歪さを表していた。彼女一人であれど、彼女の周囲に存在する怨霊達が彼女を補佐し、彼女の『玩具』として月夜に遊ぶのだろう。 危険に送り出すのは心苦しいのだけど、とフォーチュナは言葉を詰まらせた。 もしもこの戦いで死んでしまったら――其処から先は語らずとも分かるだろう。迷いの色は濃い。その迷いは声を揺らす。 あの、と澱んだ言葉を呑み込んで。 ゆっくりと、紡ぐ言葉は戦場に送り出す覚悟を決めたかのようにしっかりした声音だった。 『死なないで。お願い、これだけは約束してね……。どうぞ、ご武運を――』 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年12月06日(木)22:16 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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●lacrimoso この音色を何と喩えようか。 飾り立てる訳でもない、静かな夜には似合わない素朴な音色は月夜に響くのみ。 喪いました。 そう言葉にするのは何と簡単だったのだろう。頭がぼんやりと理解した事実はどうやら簡単には胸の奥には沁み渡らないようだ。 鮮やかな瞳を伏せて、告げられたその声は、やはり常の通り『情報』として片付けられてしまっていた。 此処からどうしよう。 まずは作戦を立てて――頬を伝うのは何だろうか。 友人だった。そう言えば簡単なのだろうか。リベリスタ。アークで共に手を取り合った彼ら。 覚悟していたのに。覚悟は、できていた筈なのに。 少女は咽喉を枯らす。 心が、身体が、酷く痛む。両手を広げる。叫ぶ。 「――もう、誰も、奪わせない!」 ●con amore 何時か、死闘を繰り広げた場所だった。 『あの日』とは違う金に煌めく月は公園内から鳴り響く楽器の音色と合わさって神秘的な舞台を作り出していた。 闇に溶けいりそうな黒いゴシックロリータのドレス、フリルを揺らして、長い銀の髪を揺らし、浅黒い指先がリコーダーを這う。 「ふふ、うふふ」 くすくす。くすくす。 怯えを浮かべるリベリスタ。震える唇が紡ぐのは赦し。恐怖は判断力を低下させるという。足が縺れて動けない。逃げ場がない。少女の声とは思えない程にねっとりとしたソプラノは鼓膜に張り付いて離れなかった。 くすくす。 「ああ、モーゼスさまの言う通り。とっても、とっても楽しいわ。此処には沢山玩具があるのだもの」 少女はその場から動かない。 『音楽』と、芸術と称するには余りにも幼稚で陳腐な音色をただ、響かせるのみ。 「むむ……むぉーっ!」 気合いの一言か、それとも困惑なのか。どちらともつかない『おかしけいさぽーとにょてい!』テテロ ミーノ(BNE000011)の唸り声は三ッ池公園西門近くでのものだった。 踏み入れる前から、全身に危険だという気配が伝わってくる。研ぎ澄ませた五感が、総動員した自身全てが此処から先は危ういと、踏み入れない方がいいと告げていても彼女は瞬きを一つしてから拳を固める。 「やることたくさん! さあ、うってでるの!」 振り仰いだ先で、頷いた『続・人間失格』紅涙・いりす(BNE004136)は赤と黒で覆った視界の向こう、月明かりのステージを見据えて灰色の瞳を細める。 死に濁るかの如き虚ろな瞳は、強者の気配を感じては段々とその『本性』を表に表し始める。自身の『タガ』が外れた時こそがいりすのショータイム。 自身の一族の本質が、『自身』が告げる。此処から先は楽しめるのではないか、と。 「それじゃあ、小生たちも討って出ますか」 ミーノの言葉を借りて、へらりと笑って見せる。未だ虚ろな瞳は月の光を受けて、何処か赤く血の様に濁った様にも見えた。 耳に掠めたリコーダーの幼稚な音に『棘纏侍女』三島・五月(BNE002662)は紺の瞳を細めて、唇を噛んだ。 嗚呼、『楽団』と言う奴は如何してどの楽団員を見てもこうして随分と腹立たしいのか。 「好き勝手な演奏を行わないでほしいものです」 元は他国のフィクサードである『楽団』。来日した厳かなる歪夜十三使徒の一人、『福音の指揮者』ケイオス・“コンダクター”・カントーリオが率いるこの楽団の演奏が無害なものであればどうぞご勝手にという話しだが、そうはいかない。 「死者を操るなんざ、腹立たしい」 五式荊棘に包まれた両手を見つめる。敵を多く傷つける為のソレで今すぐにでも此処で叩き潰してしまいたい。聞こえてくるこのリコーダーを奏でている少女を殴りつけて、此処で終いにしてしまいたい。 「……悔しい」 護る事こそが、最優先であるから。嗚呼、早く、潰してしまいたいのに。 「ほら、いこう! ミーノのちかくにいればぜーんぶおっけいなのっ!」 明るく笑顔を浮かべて、頑張ろうねと励ます様にミーノが仲間達に与えた翼。悠長に笑い合っている時間はなかった。 覚悟は完了している。 『ブラックアッシュ』鳳 黎子(BNE003921)はとん、と地面を蹴る。長い黒髪を揺らして、黒衣をはためかせた。 赤と黒の双子の月を抱いて、薄らと浮かべた笑みに、脳内でちらつく記憶に、消えない火を抱いたままに。 ミーノ、いりす、黎子、五月は死者の群れに突入する。頭上をすり抜けて、護るべき者の所へ行くとするその身に齎される痛み。腿のあたりに走った激痛に、そろりとミーノは視線を下ろす。 「ひゃあ! おばけっ!」 驚きを孕んだその声は、状況を理解させるには一瞬だったのだろう。 この場に居る怨霊も死体も『普通』ではない。リベリスタ達と同じく神秘に愛された死体たち。彼らが翼を得れる様に其れと同等のスキルを持っている死体なのだ。 遊びを邪魔されたと憤るでもなく新しい玩具の登場にゆるく瞬きを繰り返していたリコーダー奏者『組香ロリータ』フュリ・アペレースは幸せそうに笑う。 「おばけ! そう、そうよ。お化けなの。ご機嫌麗しゅう。あたしの新しいお友達!」 「お友達。それも構わないわね。遊んで下さるかしら?」 こてんと首を傾げて、『告死の蝶』斬風 糾華(BNE000390)は周囲に蝶を纏わせた。常夜蝶が周囲を舞う。投擲されるナイフはまるで蝶々が激しく飛び回るが如く、可憐。 地面をとん、と蹴って回転。ワルツを踊るが如き手捌きで、ミーノの足元に居た死者の手を切り裂いた。 痛みに呻く怨霊の声に眉を顰めて、一息ついてから糾華は『綺麗』に笑う。 「お名前、教えて頂ける?」 「――フュリ。フュリ・アペレース」 ドレスの裾を持ち上げて、一礼。演奏を始める舞台の上で、月をバックに少女は笑う。 リコーダーの音色は止まっている。蠢く死者の顔を見て、『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)が息を飲んだ。 ――死んだの。 脳内で繰り返される予見者の言葉。は、と息が詰まった。うまく呼吸ができなくて、頭が真っ白になる。 震える唇から飛び出した言葉が「え」だけだったのはまだ救いだったのだろう。 覚悟はしていた、理解出来ていた筈だった。戦いに身を投じるなれば誰かを喪うことだってある。 『いつだって、そうだったじゃない』 ミリィの頭の中に流れる言葉。 そうだ、何時だって犠牲は付き物だったのに。如何して、こうも心が苦しいのか。どうしてこうも、息が詰まるのか。 『ミリィ、今日は頑張ろうな』 名前を呼んで背を押してくれた彼が居た。何時のことだったか、もう忘れてしまったけれど。 怖くて泣いていた自分を、どうする事も出来ない無力さに打ち拉ぐ自分を優しく抱きしめてくれた彼女が居た。――それも、何時のことだったか、忘れてしまったけれど。 予見者は再度、告げたのだ。 ――亡くなったわ。 リベリスタとして、正義として、大義名分を貼りつけた『正義』が剥がれた気がした。未完成品(しょうじょ)の心は、壊れるのみ。 咽喉から漏れだしそうになる悲鳴は、嗚咽になった。ひゅ、とだけ息を漏らした。 ――まだ、助けられる。 告げられた言葉を想いだして、ミリィは金の瞳を煌めかせる。涙で視界がぼやける。けれど、俯いている暇はなかった。 「もう、誰も、誰も奪わせやしない――今宵奏でる曲はお分かりですか?」 その言葉に少女は首を傾げて笑う。フュリの指先がリコーダーの上を滑る事を止めた。決められた楽譜(スコア)はない。 タクトの様に杖を振るい、少女は笑った。 「指揮者は私、戦奏者が務めさせていただきます。 ――さぁ、戦場を奏でましょう?」 ●con brio 楽団員と出逢うのは二度目だった。じっと見据えた『灼熱ビーチサイドバニーマニア』如月・達哉(BNE001662)は肩から掛けたキーボードに指を滑らせる。 「なあ、フュリ。この場所が、何処か知ってるのか」 その問い掛けに少女は首を傾げる。彼女は只、従ったのみ。木管パートのリーダーであるモーゼス・“インスティゲーター”・マカライネンがこの三ッ池公園で『資源』を集めると言うので楽しそうだとその西門で遊んでいるだけ。 「此処は仲間が眠ってる場所だ。その死を穢し、眠りを妨げる者を僕は許さない」 「穢してるつもりはないのだけど」 む、と唇を尖らせてフュリは達哉を見つめる。彼女は遊んでいるのだ。其れを『冒涜』だと言ってしまえばそれだけだが、楽団員である少女にとっては其れが普通なのだろう。 サングラス越しに少女を見据える男の目は、彼女ではない、何処か他を見つめていた。 彼女が所属する楽団でタクトを振るう指揮者。その優美な姿をフュリの背後に見る様に達哉は震える拳を抑え付ける。 「ケイオス……、同郷の出身であり同じ求道者としてお前のステージは必ずぶっ潰す! その為なら何度でも邪魔してやるさ」 「ケイオス様を潰したい? 嗚呼、あたしと遊んでくれる訳じゃ――ないんだ」 少女の顔色が、変わる。笑みを浮かべ、状況を楽しんでいた少女はリベリスタが『自分と遊ぶ為』に出てきたのではないと知った。彼女は『少女』なのだ。 少女――未完成。その肉体も、知恵も。何もかも含めた上で未完成品。奏でるリコーダーが激しさを増す。 「遊んで欲しいなら、いくらだって。でも、死者を玩具扱いするだなんて許せないッ!」 ほわりと明るく周囲を照らしだした『勇者を目指す少女』真雁 光(BNE002532)は緩く浮かびあがりながらゆうしゃのつるぎを天へと真っ直ぐに突き出した。 蒼い瞳を一度閉じる。攻撃を行う等、したくなかった。胸が締め付けられるような思いが浮かぶ。 「そんなこと、言ってられませんよね」 自分が攻撃を行う相手は元はリベリスタ。自分たちの仲間だ。まだ離脱が終わっていない保護対象である仲間達の友人。 ごめんなさい、と小さく呟いた。手荒な方法で、ごめんなさい。其れでもその手しかないのだから、仕方がないと点に翳したゆうしゃのつるぎを振るう。降り注ぐ雷光は死者達を劈く。 その身を刺す痛みに呻き声を上げる死者が少女へ群がり始める――其処へ神速の抜き撃ちが繰り出される。 「ひでぇ光景だな……こんなの地獄だろ?」 GANGSTERから幾度となく弾丸を撃ちだしながら『ヤクザの用心棒』藤倉 隆明(BNE003933)は唇を噛み締める。遠くから聞こえる戦闘の音に、この公園その物が地獄になっているのだと気付かせた。 「耐えれるかよ、こんなのが……耐えられねぇ。耐えられねぇよな、コレはよ……」 黒い瞳が見詰めた少女は優しく笑う。嗚呼、確かに可愛い女の子は大好きだが、其れとこれとは話が違うだろう。もしも目の前で笑う少女が敵でなければ楽しく仲良く遊んだだろう。だが、彼女は紛れもない『敵』だ。 「クソガキが……っ」 「あら、お兄さまはあたし達の五重奏、お気に召さない?」 木管五重奏――元はと言えば、木管楽器として有名なフルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットにホルンを合わせたそれ。フュリの所属する楽団は『普通』ではない。 ちぐはぐなオーケストラは『冷たい口付け』と称される女奏者のフルートと、ダブルキャストで己を隠す男奏者のファゴット、双子が奏でるサックスに彼女のリコーダー、そして彼女ら木管パートのリーダー格の『インスティゲーター』の奏でるコールアングレで奏でられる五重奏。公演を占拠するソレは全て標し合わされた何らかの運命なのだろうか。 其れだけの五重奏を隆明は芸術だとは思えない。此れが芸術だと称されるのであれば、自分はもう二度と芸術には携わりたくはなかった。 「五重奏だか何だか知らねぇが舐めた真似してくれてんな! 玩具だ!?」 「玩具、彼らはあたしのお友達で、玩具よ?」 「ふざけんじゃねっ!」 殴りかかりたい衝動がその身を突き動かそうとする、そっと、肩に置かれた『Manque』スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)の白い指が制止を声にすることなく告げていた。 「……後回し、だよな。まずは救出しねぇと」 「ええ。助けましょう」 彼女の背後にはミリィが立っている。押し寄せる死者の群れから彼女を庇い、その身を捧げる。空色と月色の瞳を細めて、スペードはdarknessを纏った胸を押さえる。 奏でられるリコーダーの音色が、酷く心地よく思えた。まるで奏者そのものを表す様な素朴な音色。 「こんばんは、フュリさん。素敵な音色ですね」 素朴で、素敵な音色。きっと少女は『少女』故に、無垢なのだと思った。 静かな音に優しく笑って彼女は自らを名乗り上げる。心優しき闇の少女。ダークナイトという己を削り命を救う騎士は目の前の少女が敵でなければ友人になろうと手を差し出したのだろう。 「スペード、さん」 「ええ。ねぇ、フュリさん? その人達を、見逃してはくださらないかしら」 ――意味が分からない、と少女が呆けたようにスペードを見つめる。 「さあ、遊びましょう。代わりに、私が退きませんから」 リベリスタを玩具にしたいと思っているから、もし叶うなれば自分が玩具になろう。 嗚呼、これは駆け引きだ。フュリが『スペードのみ』を狙うように、と彼女が仕掛けた駆け引き。だが、フュリは首を振る。一体だけじゃ面白くない。スペード一人が玩具になった所で結局終着点は同じだ。 終着が同じものにどうやってそれ以上の『執着』を見せれるのか。 「貴女、それでどうするの」 「――え?」 「あたしと遊んでも一人なら直ぐに終ってしまうのでしょう」 死者が襲う。リコーダーの音色に紛れて、中衛地点に立っていたミリィはスペードの背後から顔を出す。心中は嵐の様だった。襲い来る衝動は、今すぐにでも少女を倒してしまいたいもの。 「一人じゃないですよ。古い玩具より、新しい玩具の方が好きでしょう?」 幼い子供は新しい物に目移りする。そんなの『こども』である自分がよく分かっている。ミリィは息を吸い込んだ。誘い文句は夢見る子供の其の侭に。 軽やかで、其れで居て目を離せなくなる誘惑。 「ほら! 今度は、私達と遊びましょう? きっと、その方が楽しいわ」 誘う言葉に怨霊は釣られて行く。フュリの奏でる音色に誘われて増える其れの合間を縫って、ミーノ達突破組は保護対象の前へと到着していた。 回復役のミーノを庇いながら進んだ其れは耐えず彼女が送る癒しで傷つきながらも保護対象の元へと何なく到着出来ている。これも、本隊として遺してきた仲間達が意図せずともフュリの意識を引いていた事が幸いしたのだろう。 「だいじょうぶ?」 抱きしめた『ミーノのえほん』に綴られた幸せを分け与える様に彼女は仲間達を癒す。背後のリベリスタ達は混乱している。今この状態で逃げて、と送り出せば『最悪』が起こるだろう。 じっと見つめる。判断材料は己の感覚だ。リベリスタ達が怯えているという事に気付く。動けるのか、そう言われれば答えはノーだろう。 「これがミーノのさいじゅーよーぽいんと!」 「見ててくださいねえ! ねえ、皆さん。状況はわかってますよねえ……!」 とん、と足を踏み出して、背に得た翼を揺らして黎子は怨霊達の群れの中へと突撃する。 ブーツの踵を鳴らす、一歩。腕を振るい身体を反転させる、二歩。バトルドレスのフリルを揺らす。腿を掠めるレースが持ち上がる、三歩。切り裂く様に、舞い踊る。 大型の赤と黒の双子の月が彩りながらも切り裂き続ける。彼女の視線が、ミーノたちと交わった。 唇は紡ぐ。無差別に切り裂く彼女が黒い瞳を細めながらもその心を燃やす。 「絶対に、死なないでくださいね」 貴女もだ、と小さく笑みを漏らしながらも放たれる黒き瘴気。死を厭わない一族のいりすは首を傾げて笑った。 隠した肌に入った横縞をなぞる様に自身の体へと指を這わせる。にたりと笑った唇の間からナイルワニの牙が覗く。獰猛な生き物は本性を曝け出そうとけたけたと笑いながら魔力剣の切っ先を怨霊へと向けた。 「死なないでくれは、貴女も含むさ。 でもね――紅涙の一族は死を厭わない。恐れない。さぁ、楽しい夜を始めようじゃないか」 いりすのショータイムの幕開けは黒き瘴気と共に放たれる。さあ、遊ぼうと誘う様な暗黒は死者を呑み喰らう。 死者を挟む。あちらとこちら。挟撃の姿勢は出来あがった。けれど、何処から怨霊が増えるのか、なんて分からない。もしかすると後ろかもしれない、前かもしれない。何処にだって居るのだ。 それでも、分からないから、今はただ、目の前の敵を倒すのみ。 ミリィの誘い文句に乗せられて怨霊や死体が彼女へと襲いゆく。けれど、前に立って彼女を庇いながらも懸命に耐えしのぐスペードが一人でその攻撃を受け流すには少し厳しいものがあった。 サポートするように立ち振る舞う糾華が放つナイフは弾丸が如き勢いで鋭く切り裂く。 もしもこれが普通の死体たちであれば話しは早かったのだろう。元はフィクサードの死体であった『怨霊』達。 「――神秘と言う者はどこまで悪辣した状況を創り上げてくれるのかしら」 幾度も幾度も常夜蝶を投擲して、白い髪をなびかせながら糾華は唇を噛み締めた。 戦いに赴く事が日常だ。それはアークのリベリスタなら誰だって一緒だろう。戦いに赴いて、世界の為だと大義名分を振りかざす。其れが『リベリスタ』だ。 その中で、運命が燃え尽きる可能性だって常にある。けれど、死ぬなれば―― 「まだ死んではやらないわ」 ぽつり、零した台詞。彼女の胴へ向けて放たれる遠距離攻撃が、怨霊を傷つけるたびにリベリスタと同じように齎されている回復が。この身が危険なのだとひしひしと感じさせる。 鳴り響くショルダーキーボード。ミーノの回復で間に合わない分を達哉は懸命に取り返そうと謳う。けれど、死者ほ数が増えるごとにじりじりとその間は広がっていく。死者を挟んだ事によって二つの班が分断される――希望の距離をとって行動する等、理想でしかないのだ。 「家族も待ってるんだよ……」 指先がキーボードを滑る。フュリのリコーダーの音色を止めるが如く鳴り響く其れに、少女はぴたりと演奏を辞める。彼女が奏でる事を辞めても死者は蠢いた。 この力は『演奏』の力ではない。少女が大事そうに握りしめているリコーダー……アーティファクトの『コン・センティメント』の力である。彼女が奏でようがそうで無かろうが怨霊や死体は平気で動き続けるのだ。 「貴方、その演奏にどんな思いを込めてらっしゃるの? 遠くにいるケイオス様に向けた敵対心? それとも、何も考えてらっしゃらない?」 首を傾げるフュリの瞳は笑わない。少女は『こども』だから、自分の舞台にでは自分を見て欲しかったのだろう。自身を視ることなく奏で続ける達哉に何処か拗ねた様に唇を尖らせて、どちらでもいいのだけど、と興味なさげに視線を揺らした。 ●beherzt リベリスタの戦線離脱は危険なのではないかとミーノの五感は告げている。そもそも、戦場から『飛んで』離脱するというのが危険なのではなかろうか。いっその事自分も共に逃げれば――嗚呼、それでは他の怨霊と出逢った時に太刀打ちできない。 \ ぶ れ い く ひゃー ! / 懸命に癒し、与えるミーノの表情にも段々と疲れの色が浮かび始める。死体が放った氷雨が、紅き擬似的な月が。その身を苛んではリベリスタ達を苦しめる。確かに数は減っている。減ってはいるけれど、増え続ける。 「だいじょうぶ、ミーノにまかせて!」 振り仰ぎ、笑いかけたリベリスタに向かい、遠距離スキルがひゅん、と飛ばされる。 ミーノの瞳が見開かれる。え、と瞬時に漏れた声。癒しも間に合わずに血が、流れ出す。傍にいるいりすと前線で死体の相手をしていた五月と黎子が振り向く。 リベリスタ達は死に物狂いだった。其れをきちんと言葉にするなれば、死んでもおかしくない状況だったという事だ。今まで攻撃が当たらなかった事の方が寧ろ良かったのだろう。 動かなくなったリベリスタにミーノは駆けよる。 「みんなは、ぜったい、ミーノがおたすけするの……!」 大丈夫、と駆け寄っても動く気配はない。傍にいるいりすが駄目だ、と声をかけて手を伸ばす――間に合わない。 「え」 とん、とミーノの胸を一突きするのは倒れていたリベリスタのナイフ。虚ろに濁った瞳が最早『護るべき対象』でなくなった事を告げていた。 「ミーノさん!」 黎子の声に振り仰ぎ、地面を蹴り上げて五式荊棘をリベリスタに――死体となった友人へと振るう。引き抜かれた其処から流れる血を見てもミーノには大した混乱はなかった。 「死者とはいえ、元仲間を目の前で潰せばいい気はしないですよね。自分たちの手でやるよりはましだと、思ってもらえれば」 五月は視線を揺らがせる。誰だって、そうだ。自分だって、もしかすれば。ちらりと脳裏に母親の顔が浮かんだ。 私を、殺そうとした母親。 けれど、それでも愛情は失わなかった。母親を、この手で殺すとなれば自分は如何するのだろう。 「死人を操るだなんて……」 それってといりすが小さく笑う。 「面白いよね。それじゃ、君は小生が好きになっても死なない人?」 茶化す様に笑う。嗚呼、ほら、もうすぐすれば頬を撫でる雪だって振ってくるだろう。真白に周囲を染めてしまう優しげな雪が。 「もうすぐクリスマスなんだよね。ほら、小生もさ、素敵な出会いが欲しいなって。で、どう?」 にたにたと、笑う。唇の端から牙が覗く。 何故だろう、好きになった人が皆死んでしまう気がするのだ――そんなこと、無かった筈なのだけど。 あれれ、と首を傾げて、灰色の死に魅入られるが如く濁った瞳を向けられた少女は、笑った。 「あたし、これで居て中々しぶといの」 まるで不死身が如く装って、少女は笑う。 ――あたし、愛されていても構わなくてよ? 運命を燃やした。タイミングを見計らいミリィの庇い手として立った糾華だって、今までの戦いで傷ついている。 まだ、ミリィの指示はでない。誰も逃がせていないからだ。 ――また、一人死んだ。 ミリィの心が悲鳴を上げる。 「本当に悪辣。楽団――貴方達が最も悪辣で厄介なのね。死んだ後までこき使われたくないわ」 「遊んでるだけなのにっ!」 拗ねた様に言う少女には未だ攻撃は送られない。糾華が放つ蝶々が全てを切り裂いて、ミーノ達が懸命に補佐してリベリスタ達の逃走を援護しようとしても、うまくはいかない。 遠距離スキルが厄介なのだ。与えられる身を蝕むものを癒す光の表情も段々と暗くなる。 「ボクは勇者になるのですよ……!」 『勇者』は人を守るものだから、笑顔を守るものだから。 光、その名前の通り誰かの『光』になれる様にと懸命に雷を落としていく。嗚呼、手荒なまねをしている、胸が痛む。ごめんなさい、と吐き出したくなるのを堪えた。 「ボクは、全員無事に帰還したい……、今から、誰も喪わせない!」 癒しを与える彼女の身だって、もう十分に傷ついている。背後でキーボードを鳴らす達哉の表情にも焦りは浮かんでいた。後衛位置で少女達に守られる彼が与える癒しも追いつかなくなってくる。 くそ、と悪態を吐いた。本隊は人数も多いが、増え往く怨霊の遠距離攻撃、彼らが回復できる事に対する対応がうまく出来ていなかった事が戦線を混乱させていたのだろう。 アッパーユアハートで呼び寄せられた死者たちを全て受け流す事に対してスペードは彼女の出来るだけを尽くしたのだろう。 運命を燃やし、膝をついた。 嗚呼、月夜。スペードは傷つく体を奮い立たせる。両手を広げる。 怖い――けれど、負けるわけにはいかない。 もしも、命を落とすならば、もしも、楽団の駒となるなれば。 「私、その時は皆さんに――仲間に倒してほしいと、そう願います」 ふわり、水色の髪が揺れる。今は闇に隠された明るい空色は風に靡く。 「これで……、終わりにしましょう……?」 記憶の片隅、月へと手を伸ばす少女を想いだして、色違いの瞳を細める。 奇跡は起こらないから奇跡なのだ。 運命は未だ、歪まない。暗闇が呑み込む。死者たちを想いながら、安らかな祈りを願う様に、Manqueを握りしめて祈るのみ。 「我が剣は、弱きの為に――私は、誰かが為に」 誰が為か。そんなもの、己が一番分かっているではないか。 あの日救えなかった『あの子』の為、あの日恋に生きて逝った『あの子』の為、あの日誇りに殉じて散った『あの人』の為。 自分が立っている理由なんて、ハッキリしていた。 膝が震える。決めたのだ。恥じぬ様に生きると。それでも、怖くて、怖くて堪らなくて。弱虫だと自覚していた。誰かの為になりたいと、そう思っても。怖くて、怖くて堪らなかった。 ――優しい、貴女はまるで天使様みたいだね。 嗚呼、何時かの声が。鼓膜を打つ。 「誰一人欠けることなく、無事に帰るのです」 その言葉に頷いて、落ち着いた様にミリィは息を吸う。彼女の声はアクセスファンタズムを通してこの場に居るリベリスタ全員に響き渡った。 「――さあ、子供の遊びは、もう終わりです」 ●fervore 保護対象のリベリスタを庇いながらの突入組たるミーノ、五月、いりす、黎子の体力の限界も近かったが、そこはミーノの賢明なる癒しでなんとか持ちこたえる事が出来ていた。 「皆さんには、あまり不吉な事が訪れない方が嬉しいですが、私の様な人間には」 ひゅん、と大きく鎌を振るう。二つの顔を見せる鎌が、赤と黒に煌めいて、血に塗れながらも月に踊る。 「不運と、悪運が、お似合いですよう」 微笑む、浮かんだ笑みは自身への嘲笑。運命を燃やして、踏み込んだ。死者が少女を庇う。 走り寄る、庇い手を含めてフュリをも飲み込んだいりすの黒い瘴気は愛情。 「ほら、小生に愛されてみない? 一人って寂しいんだよ」 怖い、とフュリの胸中を恐怖が侵食する。遊びの時間は終わったのだ。 彼女はリベリスタ達と遣り合うつもりは毛頭なかった。最初から戦意はほぼ無かったと言えるだろう。善悪混ぜ込んでどちらの意味でも『こども』だったのだ。 ただ、遊びたかっただけ。 少女は良い意味でも『少女』だった。誘い文句に乗って、楽しい遊びを教えて貰って居ただけ。 無垢なる音色を震わせて、彼女は逃げ惑う。 その背中に向けて放たれるのは隆明の早撃ち。咄嗟に反応した少女の腹を掠める弾丸に目を見開いて、フュリは息を吸い込んだ。撃ちだされた霊魂の弾丸が隆明へ向かって放たれる。 「っ――俺らと遊んで無事に済むと思うなよ?」 怯えの色が、不死身を装うその身そのものが。少女を包み込む。 其処に勝機があると糾華には思えなかった。増える怨霊達はしぶとくリベリスタを攻撃してくる。自身の運命だって削った。自身を鼓舞してくれていた光の運命も燃えていた。 「私ね、死体遊戯にはもう飽きてしまったの」 命、生と死、戦いに生きて散る、その矜持。全てが全て。 「貴女がそう思わなくとも、踏み躙った事に違いはないわ」 幻想纏い「夜光蝶」が少女の周りを舞う。その背には蝶々の羽が背負われる様にも錯覚した。月夜のパーティー会場。ダンスホールにしてはその場所はあまりに汚らわしい。血に塗れ、欲に濡れ、ただ貪欲に遊ぶだけの舞踏会。 「報いを受けて沈んでみなさい」 放たれる攻撃が少女の頬を掠める。浅黒い肌から流れ出る色はリベリスタ達と同じ赤。 怯えの色が、深くなる。 「あたしは、ただ、遊びたいの――邪魔、しないでっ!」 怨霊が糾華へ向けて攻撃を放つ。いけない、と脳裏にちらついた。 「糾華さんっ!」 ――とん。 背中が押された。 あ、と思うと同時に糾華の背を受け止めた隆明が、武器を構えて祈るスペードが、名前を呼ぶ。 ミリィさん、と。傷つきながらもこの戦場の指揮をとっていた少女が意識を手放す。まだ、生きていると、そう分かる。 喪いたくないと、その決意だけで動いていたなれば、今頃フュリの『玩具』になっていたのだろう。唯、其れを支える様に存在した仲間達が彼女を護る様に布陣する。 「さあ、私の棘に削られてしまいなさいっ」 踏み込んで、その想いと共に運命と共に燃え上る五月の意思が、突き刺す様に怨霊達を襲う。 「――火葬代わりの炎です。焼け潰れなさい」 燃え上る炎が、鮮やかに三ッ池公園の西門を照らしだす。焦げる匂いがした、身が、何かが。――死体が? 己の心で燃え盛るものを、身をも焦がすものを感じながら黎子はフュリへと笑う。 「貴女も私と同じ不運に苛まれてはどうですかあ」 踊る様に死者を傷つけ、抉る。ぐにゅ、と気色の悪い感覚が武器から伝わってくる。けれど、止まらない。黎子は止まらない。過去のことなんて『忘れた』。語ることなんて何もない。 だから、今を追い求めるのみ。今を、今だけを求めて、今の為に戦う。 「みんながちゃんとかえれるように、ミーノはいのちをけずっても」 「その心配はないよ。君も生きてなきゃ意味がないから」 ミーノの肩をたたいたいりすの瞳はやはり死に魅入られたままに濁って、想いを孕んでいる。 恋情。そんな綺麗なものじゃない。もっと、濁って、澱んで、汚らわしい程の愛情論。 「ミーノは、みんながわらってかえれるのがいいの。だって、ミーノはわんだふるさぽーたーなの!」 たどたどしく紡ぐ。運命を歪ませるには未だ遠い。 それでも、少女の決意は固く、戦場を支援する事を一番に願って、癒しを続ける。彼女の背後のリベリスタは随分と落ち着きを取り戻したように思える。 けれど、亡くなった数名の事を思うと表情は暗かった。 「だいじょうぶ、これいじょうは『こわく』ないから!」 幼さの残った笑顔は、励まし続ける。その声は離れた本隊側に聞こえたのだろうか。頷き、光が落とした雷。 同じ事を思っていると表すが如く、真っ直ぐと輝く其れは死者を穿ち、数を減らす。 肉の焦げる匂いが、鼻につく。 「覚悟はあるんだ。帰るぜ、全員で」 だから、もっと早く。誰かを失う前に早く早く、と自身の力の限りを尽くす隆明が撃ちだす弾丸が、少女の腹を抉った。 一息。リコーダーの音色が小さく響く。 「お嬢さん?」 「あたしの、負けね。もう、お時間だわ。おうちに帰らなくっちゃ」 ――夜のお散歩は、もう終わりでしょう? 逃げ惑うでもなく、黒いゴシックロリータのドレスを揺らす。 これ以上深追いしなくとも彼女に戦意はないのだろう。怨霊はもう増えない。ただ、遊んでいただけ。 「ああ、モーゼスさま、とても、とても楽しかった」 傷ついた体を抱きしめる様に彼女はステップを踏む。楽しげに響くリコーダーの音色はやはり、こんな月夜に似合わない陳腐な音色。 武器を構えたままの隆明へと目配せし、フュリは楽しげに笑った。 そして、少女は月に溶けた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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