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ナビ子たちとハンバーガーショップでだらけるだけの一日

●ハンバーガーショップ『Rumor Rumor』
「あー……暇だなあ……チーズ蒸しパンになりたいなあ……」
「チーズ蒸しパンですか? わかりました、やってみましょう! 分子レベルにまで分解すればあるいは可能かもしれません!」
「やめて死ぬ」
 ハンバーガーショップ的な服(つまりいつもの恰好)をしたアイワ・ナビ子(nBNE000228)が、ショップのカウンターにエビぞり姿勢のままひっかかっていた。
 物干しざおに折りたたまれるように干されたツナギとかを想像してもらえると分かりやすい。
 なぜそんな意味不明なことをしているのかと言えば。
「暇だ」
 からだ。
 そんなナビ子を励ましたいのか遊びたいのか、ガッツポーズで呼びかけるメタルフレームの女性がいた。
 元フルメタルフレーム7号・七栄。
 色々な騒動に振り回されてあっちこっちぶらついた結果何をトチ狂ったのか売れないハンバーガーショップのバイトに落ち着いたというヘンなリベリスタである。
「詳しくは『フルメタルファイト』シリーズと『決戦、九美上興和会!』のリプレイをご覧ください」
「どこの時空に話しかけてるんですか?」
「だって過去登場したキャラは所見さんにも分かるようにちゃんと説明しろって偉い人が」
「そうですか……」
 ファジーすぎる説明に何故か納得する七栄。
「でもさあ、元気な美少女キャラで行くのやめてよね、私のキャラと被るっていうか」
「お前はゲロ吐く性別不詳キャラだろうが」
 カウンター席のすぐそばでハンバーガーを食う男、天道烈斗がやたらダルそうにツッコミを入れた。
「あああなたは、六道の武闘派集団『鉄拳』チームに所属していたがアークとの激戦で気持ちよくなっちゃってリベったという『鉄拳一番星』天道烈斗さん」
「なんで説明口調なんだ……ってオイ適当言うな。途中で飽きただろお前!」
「詳しくは『鉄拳』シリーズのシナリオをご覧ください」
「投げやがった!」
「だって九美上興和会戦で助けに来るかと思いきや一瞬たりとも出てこないし……てっきり引退したのかと」
「現役だよ馬鹿野郎。まあフェイト一ケタ台まで減ったから、今はスポーツジム運営してるが」
「実質引退してんジャン……」
「っていうか真面目に働いてんの、その人?」
 烈斗の隣のテーブルでコーラ啜ってた少女が彼以上のけだるさで話しに入ってきた。
 いわゆるヤマンバファッションに眼帯アンドギプスという意味の解らない恰好である。
「……ギャルだ」
「せめて名前言えよ。初富ノエルだよ」
「……キラキラネームだ」
「だから名前言えよ!」
 テーブルを叩き、全身にはしる痛み(反動)に悶絶するノエル。
「詳しくは『ギャル戦争』シリーズのシナリオを見て下さいっ!」
 説明そのものに飽きてきたナビ子に代わって、七栄が『右手をご覧ください』のポーズで言った。
 そんなグダグダ空間の真ん中でポテトをもりもり食べていた大切断鉄鎖が、ふと顔を上げた。
「って言うかアタシら、何でここに呼ばれてんの?」
「って言うかオマエ何でここにいんの!?」
「リベった」
「リベった!? いつだよ!?」
「あー……『鉄鎖鋸暴走団、V8チェンソー大活劇!』とかを……読んで……」
「ナビ子が復活したと思ったら一瞬で投げた……」
「まあ、アレさ」
 ナビ子はしゅるしゅると、器用にカウンターから起き上がって突っ伏し体勢になると、顎肘ついたまんま喋った。
「『懐かしのあの人いま何してんの』みたいな話ってよく聞くから、いっちょハンバーガーショップで駄弁ろうぜっていう、そういう企画?」
「『あの人は今』みたいなことを平然と……」
「まあ、アークの人達にも伝えまくってあるからさ、その内来るんじゃない? ごっそり」
 そう言って、ナビ子はオレンジジュースをストローからちゅるちゅる啜ったのだった。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年12月06日(木)22:10
 八重紅友禅DEATH。
 NCPを呼びまくって駄弁ろうぜの会です。
 アイワ・ナビ子を初め、松戸七栄、初富ノエル、天道烈斗、大切断鉄鎖といったNPCが集まっています。一緒にご飯食べましょう。
 他に会いたいNPCが居る場合はプレイングに書いてみて下さい。
 八重紅友禅のシナリオに登場するリベリスタNPC限定ですが、連絡つけば来ます。

 あとはまあ、それなりにマナーを守ったり空気を読んだりカオスを呼び寄せたりブレイクアウトしたり脱いだりしたらいいんじゃないでしょうか。
参加NPC
アイワ ナビ子 (nBNE000228)
 


■メイン参加者 45人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
デュランダル
ラシャ・セシリア・アーノルド(BNE000576)
ナイトクリーク
桜 望(BNE000713)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
デュランダル
ジャン・シュアード(BNE001681)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ソードミラージュ
安西 郷(BNE002360)
デュランダル
蜂須賀 冴(BNE002536)
ホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クロスイージス
ヘクス・ピヨン(BNE002689)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)

烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
クリミナルスタア
ミーシャ・レガート・ワイズマン(BNE002999)
ナイトクリーク
宮部・香夏子(BNE003035)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
プロアデプト
離宮院 三郎太(BNE003381)
クリミナルスタア
曳馬野・涼子(BNE003471)
ダークナイト
熾喜多 葬識(BNE003492)
ダークナイト
クリスティナ・スタッカート・ワイズマン(BNE003507)
クリミナルスタア
禍原 福松(BNE003517)
ダークナイト
鋼・剛毅(BNE003594)
ダークナイト
スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)
ソードミラージュ
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)
レイザータクト
伊呂波 壱和(BNE003773)
レイザータクト
恋宮寺 ゐろは(BNE003809)
スターサジタリー
靖邦・Z・翔護(BNE003820)

ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)
スターサジタリー
街野・イド(BNE003880)
覇界闘士
滝沢 美虎(BNE003973)
ダークナイト
茜日 暁(BNE004041)
ダークナイト
紅涙・いりす(BNE004136)
   

●ハンバーガーショップ『Rumor Rumor』の一日
「こんにちは、経験値下さい」
「50LPになりまーす」
「はい」
「アリャッシター」
 紙袋に経験値(的なもの)を入れて帰って行くモニカ。
 ナビ子は耳ほじりながら彼女を見送った。
 若干死んだ目でそれを見つめるラシャ。
「い、今の何……」
「経験値の為にイベシナ来てるんだよっていうスタンスをまるで隠すことなく正直に述べて帰って行くのにそれでキャラが立ってるモニカさんだよ」
「思った以上に分かりやすい説明ありがとう……」
 レジに立ってから早くも30分でガタが来始めているラシャである。
 なぜなら。
「千葉炎上事件で誰も救えなかった俺には、もうこうすることしかできないんだ……」
 とか言いながら竜一が足元で首ブリッジしているからだ。
 とりあえる竜一は軽く蹴り殺していく。
「店長になれるって聞いたのに」
「なれるなれるー。時給二百円で一日やれるって、そこのチラシに書いてあるじゃん?」
「あるんだ……」
「ほら、エビカツバーガー売って売って」
「くっ、売上がマイナスになったら自己負担なんて聞いてないよ! ば、バーガーいかがですかー!」
「今日はエッチな下着できまし――へぶしっ!」
 などと順調に竜一を蹴り殺していると。
「あ、厨房(勝手に)借りるですよ」
 とそあらがレジをぽいーんと飛び越えて行った。
「ちょ、ちょっと待って! ハンバーガーひとつ開発するのにもお金かかるんだから!」
「まあ細かいことは気にするななのです」
「気にするわ! 私のお財布だぞ!」
 しがみ付くラシャをずるずる引き摺って厨房に入って行くそあら。その間ナビ子は『パンツを覗く時パンツもまたこちらを覗いている!』とかキメ顔してエビぞり前進してくる竜一を蹴り殺していた。
 すると、カウンターに現れる鬼。
 いやバンディ。
「ランディだが、ハンバーガーを貰おうか」
『さおりんが好きな肉は……レバー……?』
『やめてぇぇぇぇぇ! 食中毒が起きるぅぅぅぅ!』
『じゃあナマレバ挟んでレタス巻いて、あ、できたのです』
『首になるうううう経済的責任を負わされるうううう!』
「………………」
 ナビ子は張り付いたような笑顔で頷くと、後ろから差し出された『試食』とかかれたバーガーをランディに差し出した。
「うむ……」
 とりあえず(カウンターで)食べ始めるランディ。
 そして間もなく床に叩きつけると、劇画調になって叫んだ。
「このハンバーガーを作ったのは誰だ!」
「そあらです」
「まずレタス、レタスは新鮮な水を三割程満たしたタッパーで――」
 猛烈に美味しんぼ的説明をし始めるランディ。彼の前に平謝りするラシャと何も聞いてないそあらを配置すると、ナビ子はそそそーっと客席の方へ移動した。
「あ、久しぶりナビ子さん」
 チーズバーガー片手に手を振る新田快(シュゴシン)。
「千葉炎上事件の時は弾除け係だったし、特に縁らしい縁もないからナビ子さんとだらけに来たんだよ」
「ああ、あの守護神の割にプレ薄かったから役どころに困って最終的にかっしゃんの盾にしたあの」
「聞きたくなかったその話!」
 涙目で耳を塞ぐ快。
「それはそれとして……この店ビールも置くべきだと思うんだよね。チーズバーガーと相性いいし」
「えー、でも酒置くとヘンなクレーム増えるんですよねー。缶ビールだとハンパだし、ビールサーバー置くとやり過ぎになるし……」
 と言いながら缶ビールカシュってやるナビ子。
「それは……」
「裏メニュー」
「嘘だ!」
 突っ伏す快。その横で、三郎田が眼鏡をキランとやった。
「全く何をしでかすか分からない人ですね……興味深い観察対象です」
「え、いつもこの人こんな感じなん?」
 フォーチュナだったよね? と困惑の眼差しできょろきょろする桜望。
 そしてエビカツバーガーを齧って、もぐもぐと咀嚼した。
「そう言えば料金って……及ばれだからタダやよね?」
「うん、『返されることのないツケ』は店長が払うって決まりだから」
 張り付いた笑顔で言うナビ子。後ろで聞こえるラシャの悲鳴。
「あ、じゃあチキンとテリヤキ追加ー!」
「ほう、そこは当たり前のようにかわすと……」
 などとやっていると、剛毅がトレー片手にがっしょがっしょとテーブルに寄って来た。
 どうでもいいが、全身鎧の男がハンバーガーショップ歩いてることに誰か突っ込め。そのストローつきのコーラどうやって飲むんだよとか。
「がっはっはっは、俺が来たぞー! ってか。フルメタルな店員はどこだ? 見た所普通のメタフレしかいないんだが……」
「ああ、七栄ちゃんならカウンターでラディ原雄山をにこやかに相手してるけど?」
「ふむ、お前はナチュラルに仕事をしてないんだな……」
 と言いいつつもトレーをテーブルに置き、もしゃもしゃとバーガーを食べ始める剛毅(いまあなたの想像力が試されている)。
「そう言えば俺は色んな連中と関わった気もするんだが……皆はどうしてるんだ」
「ああ、それはねえ」
 ナビ子はくるりと振り返り、そして……。

●拳で生きることの意味
「フ、久しぶりだな天道烈斗。まずは例の戦いで雷音たちを庇ってくれたこと、そして生きていてくれたことに感謝する」
 パチンと指を鳴らす優希。
 カレー持ってくるナビ子。
 ポニテ引っ張ってはうって言わせる優希。
 慌ててハンバーガー持ってくる七栄。
「今後は戦うことが無くなって残念だが……まあいいだろう。進めぬ者の代わりに道を切り開く」
 優希は椅子から立ち上がると、テーブルに背を向けた。
「貴様の分まで『ホワイトマン』の顔を殴ってくる。じゃあな」
「ちょい待て」
 キメるだけキメて帰ろうとした優希の背中を、烈斗の言葉がひきとめた。
「俺は一度も、『ホワイトマン』を憎いたぁ言ってねえぜ」
「……どういう意味だ?」
「お前は俺を理由に都合のいい敵を見繕ってねえか、という意味だ」
「…………」
 目を細める優希。
 烈斗はハンバーガーを二口くらいで食べてから、肩を回しつつ立ち上がった。
「あの人のチームは基本的に『部下の我儘叶え隊』だ。戦うことしか生甲斐の無かった俺にそういう場を与えたのもあの人だしな。だから鉄拳チームもそう言う連中の集まりだ。でもって、俺が六道抜けるにあたって『もうこいつは用済みだ』もしくは『手出し無用だ』っつーことを対外的に証明するためにチームの連中が魔剣化してくれた。魔剣化には本人の自由意志が要るからな、あいつら自身がそうするべきだと思ったんだろう。と言うわけで……」
 ぽん、と。烈斗は優希の肩を叩いた。
「お前の目的は終了だ。ご苦労さん」
「な……」
「もう他人に理由を求めるのはよせ。単純に『殴りたいだけ』だったお前は、最高にイカしてたぜ」
「ねー、話終わった?」
「そしていつの間にか俺の技をラニってたお前は最高にイヤな奴だよ」
 ぐるりと振り返る烈斗。
 そこには、大量のハンバーガー(優希のおごり)をぱくつくぐるぐの姿があった。
「はろはろー。ね、もう戦える?」
「戦えるは戦えるが……」
「じゃあ絶頂拳見てよ、コーチしてコーチ! 組手に最適な鉄壁ヘクスさん読んだからさ!」
「ヘクスです。ぐるぐさんの技の持ち主だということで文句を言いに来ました……というのはさて置いて」
 めがねをくいっと上げるヘクス。
「サンドバッグだろうが組手相手だろうがなんでもしますよ。必殺技が通用しなかった時の絶望が、ヘクスの好みですから」
 サディスティックに微笑むヘクス。
 にんまりと笑うぐるぐ。
 それを横でつまらなそうに眺める烈斗。
「そうか。なら俺から言うことは一つだ」
 食べ終わったバーガーの紙を丸めて言う。
「『勝負』がしたいなら絶頂拳は使うな。それは戦いの最後にお互いぶっ倒れて、勝ち負けを無効にするための技だ。俺は戦うことだけが目的で戦ってる。だから勝敗なんてもんを混ぜ込むと下らねえ小細工持ち出されてバトルが濁るんだよ。それが嫌で開発したのが絶頂拳だ。その鉄壁っ娘をオトしたいなら土砕掌打て。もしくは撫で回せ。そう言うヤツ程撫でに弱いから」
「何の話をしてるんです」
 チーズバーガー片手に振り返る凛子。
「あと、二人とも。店内で暴れてはだめですよ。そう言うことをすると、出入り禁止になるのです」
「……う」
 基本的に常識をスルーしているぐるぐとヘクスだが、仲間から言われるとちょっとやりずらいものがある。
「天道さんも、けがは多そうですがお体は大切にですよ。聞けばフェイトが一桁になったとか……それ、自覚できるんですか?」
「自覚も何も、お前らみたいに健康診断してるんだよ。エネミースキャンで」
「……ああ」
 その手があったか、みたいな顔をする凛子。
 そして紅茶を手に取って、優雅に唇をつけた。

●鋼の乙女心
「いらっしゃいませ! 本日のおすすめは焼秋刀魚定食でございます!」
「ここ、ハンバーガー屋だよな……?」
 カウンター越しに顔を合わせる七栄と福松。
 福松はカウンターに轟太鼓と書かれた紙袋を置いて、台の上に肘を置いた。
「あ、お久しぶりです。福松さん」
「ああ、顔を合わせるのは何度目になるかな……」
 何か言いづらそうに口の中で飴を転がす福松。
「まあ、その、なんだ……おかえ――」
「ああっー! 七栄さん!」
 そうしていると、セラフィーナとミーシャが手動ドアを潜ってカウンターへと小走りにやってきた。
 とりあえずわーいとか言いながら手をぱたぱたやって軽く戯れた後、適当にメニューを注文し、カウンター席に座るセラフィーナ達。
「フィクサードの所に行っちゃった時は凄く心配でした。だからこうして普通に働いてる所を見ると安心できるんです」
「そうですか? それは良かったですね!」
 食器を洗いながら応対する七栄。会話中も仕事をするコである。
 ミーシャはバーガーを片手にしゅんと顔を俯けた。
「でも……他のフルメタルシリーズは助けられなかったので……」 
「それは……私もです」
 同じように目を伏せるセラフィーナ。
 七栄はちらりと斜め上を見てから……。
「なるほど、許さん! 今すぐ全財産を以下の口座に振り込むのだ!」
「ええ!?」
「足りない分は身体で払ってもらうしかないなあ、げへへへへ!」
「えええええっ!?」
「……なんて」
 ぱちんと手を合わせる七栄。
「私達はそもそも記憶がありません。全て『詳細な伝え聞き』です。そんなデータですら、交渉戦の直後で止まっていますしね。正直に言えば、FMF-Bの事件はとても他人事なんです」
「要するに、気にするなと?」
 少し遅れてカウンター席にやってきたクリスティナが、トレー片手ににやりと笑った。
「どうだ七栄。これを機会に遊びに行くか。動物公園も有名だが、千葉公園もいいスポットだ。のんびりできるぞ」
「夜は魔境ですけどね」
「それは言うな」
 クリスティナは苦笑すると、カウンターにトレーを置いた。
 と、その隣へ同時にトレーが置かれる。
「I、私は松戸七栄に会いに来ました」
 イドはどこかぎくしゃくとした足取りで椅子に座ると、カウンターに両手を置く。
「あなたはイドさん……子供会以来、でしたか?」
「Y、私は子供の抱き方を覚えています。これは記録であり記録。あなたと共有するもの。あなたは二度人格を失いながら今こうして話している。驚異的な、参考にすべき事例です。私は興味を覚えました」
「はあ、えっと……」
 もじもじとする七栄に、イドはまっすぐ見つめたまま続ける。
「私は生まれつき与えられた一連の命令に従い判断して行動しています。あなたはどうして松戸博士につき従っていたのですか。命令ではないのですか。ベルカは私の相手をしてくれる。私は何をすればいいのか判断できません。あなたはどう決定しているのですか七栄」
「ええと……」
 七栄は指を暫くもじもじとやってから、ぽつぽつと話し始めた。
「博士はかなり初期の段階から、私達に愛情のなんたるかを教えました。曰く、自分がされて嬉しいことを目に見える全員にしなさいと。二和センパイや六実センパイは和やかに生きていけるようにと気配りを覚え、三咲センパイや豊四季センパイは愉快に生きていけるようにと娯楽提供を覚えました。それはとても心地よい生き方だったので、それを教えてくれた博士に感謝ができるように、博士に奉仕しました。……ええと、これでいいですか?」
「……ありがとうございました」
 イドは緩やかに頭を下げ、そして席を立った。

●ただ生きているだけの幸せを
 やや大き目のテーブル席。
 松戸博士とSHOGOがポテトを摘まみ合っていた。
「脂物大丈夫なの? 俺ドクターストップかかってるけど(あとモテる機械下さい)」
「ワシもじゃ(このモテモテの腕輪を今なら五万で売ろう)」
「あ、あとフッ君? あそこで七栄ちゃんのためにタンカ切るとかもう本物だと思うわけよ(その腕輪モノホン?)」
「そこはワシ見とらんのう(キャバクラの女の子を一週間で落としたという研究結果がある)」
「あ、でもノエルちゃんにもカッコつけてたけどアレはノーカンで(ガセじゃないの? 何万つぎ込んだの?)」
「ワシにそれ話す意味ないんじゃないかのう(しめて二十万じゃな。二十万で女の子をオトせると考えると……?)」
「買った!(また七栄ちゃんたちと遊ぼうぜ!)」
「じゃあここにハンコを押せい(ふむ、よろしく頼む)」
「ねえ、さっきから何の話してんの? 脳内会話?」
 椅子をずりずり引き摺って葬識が近寄ってくる。
「そういえばさ、十倉ちゃんってどうしたの?」
「報告書になかったか? 鎌ヶ谷に爆殺された筈……じゃと思うが確証ないのう。そもそもあれは鎌ヶ谷が手掛けたものじゃったから」
「そっか。俺様ちゃんさ、あの子に殺(あい)しあおうって言われたんだよね。会いたくて仕方ないんだ……」
 ぺたんとテーブルに頬をつける葬識。
「みんな運命に翻弄されてる。君もそうだよね。ねえ、今幸せ?」
「……さあな」
 言って、ポテトをごっそりと頬張る松戸博士。
「ジャンクフードばっかり食って大丈夫なのかよ」
 片手にバーガー一個だけ持った烏がだらだらとした足取りでやってきて、松戸博士の肩に手を置いた。
「ふむ、お前は確か……」
「晦烏だ。あんた、アークの研究開発室で働く気はないか」
「無いのう。興味が沸かん」
「だろうと思った。まあ、今のは挨拶みたいなもんだ」
 そう言うと、烏は松戸の隣の席に腰掛けた。
 煙草を取り出し、禁煙マークを見てポケットにしまう。
「爺さん、『他殺幇助』。オレに託しちゃ貰えねえか」
「……ふむ」
「九美上の技を活かすも殺すも人次第だぜ」
 ちらりと彼の顔を見る烏。
 松戸はぼうっと天井を見つめた後、彼の顔を見て言った。
「断る」
「どうしてだ。爺さんが持ち腐れにするよりは、世の中の役に立つ筈だぜ?」
「じゃろうな。だから断る」
 SHOGOの分のポテトを奪ってがさがさと口に放り込むと、飲込んでから息を吐く。
「お前さんが使うなら、色々工夫して有利に扱えるじゃろ。敵を思うさま翻弄して勝つ作戦を幾つも考え付く筈じゃ。しかし……他殺幇助はそうやって『賢く勝つ』ための技じゃあない」
「……」
「あれは『潔く負ける』ための技じゃ。自爆装置と原理は一緒。いざとなったら全てひっくり返して、全部の責任を自分で被って終わらせる。そういう技じゃ。じゃから、アークで活動しとるお前さんにはやれん」
「……そうか。邪魔したな」
 烏はそう言って、喫煙ルームを見つけて歩いていく。
 その途中、蜂須賀冴と初富初音の姿を見つけた。

「先日はお世話になりました。今日は……九美上善三のことを、聞きに参りました」
「……そうですか」
 お茶を両手で囲うように持ち、初音は華の様に背筋を伸ばして座っている。
 同じく、両手を膝に置き、背筋を伸ばして語る冴。
「彼は、九兵衛の何なのでしょうか。九奥義を受け継いだ者達が名に数字を冠している……ナンバーズとは奥義を継ぐために集められた存在なのですか。彼は――」
「何故、そこまで知ろうとするのです。貴女にとっては、他人事でございましょう」
 すっと話を閉ざされ、冴は口をぱくぱくと動かす。
「……わかりません。ただ、知りたいと」
「そうですか……」
 初音は唇を茶で僅かに濡らし、数拍を挟んでコップをテーブルへと置いた。
「九奥義は、三人の達人がお互いに影響し合ったことで産まれたものです。技には其々のこころざしが込められ、次世代へと受け継がれていく筈でした」
「善三も、その一人だったと。しかし彼の上の名は……」
「それは秘密です」
「何故です。ここまで話しておいて――」
「御納得頂けないのでしたら言い方を変えましょう」
 初音は、立てた人差し指を唇に当てて、ほんの少し首を傾けた。
「乙女のひみつです」
 美しい微笑みに、二の句が継げられる冴ではなかった。

 そんな彼女達を通り過ぎ、烏は喫煙ルーム……の手前にあるテーブルに座った。
「よう、ノエル」
「あ、おっさん………………誰だっけ」
「誰だっけはねえだろう」
 そこには初富ノエルの他に福松やSHOGOたちがわらわらと居て、それぞれ思い思いにだらけていた。
「見事にボロボロになってるな。この機におばあちゃん孝行でもするんだな」
 烏はノエルのギプスに油性ペンで落書き……しようとして全力の左フックで沈められたりしていた。
 その様子をコーラちゅるちゅるしつつ眺める恋宮寺ゐろは。
 両腕で顎肘を突きテーブル直置きしたコップからストローを咥えている。
「なんだ、元気なんじゃん」
「まーね」
「つーかマジ死に過ぎ。何回死んだの」
「生まれて通算四回かな。まじウザい。っていうかその人誰?」
「ん?」
 ゐろはとノエルで同時に視線をスライド。
 優雅にストロー齧ってる暁が今更のようにこちらを向いた。
「僕? 僕は幼児ないんだけど、ゐろはちゃん一人じゃ嫌だって言うか――うぐっ!?」
 脛を抑えて蹲る暁。
「千葉炎上事件の時とか? やたらピリピリしてて一緒に行けばいいのにって思――うぐあ!?」
 両膝を抑えて蹲る暁。
 理由は問うまい。
 暁はテーブルに顎を乗っけたまま、ノエルの方をちらりと見た。
「所でさ、聞いていい?」
「何」
「御両親、どうしてるの?」
 ノエルはコーラの中身をズズッーっと鳴らしてから、数拍を置いて言った。
「死んだけど?」

●ぶった切りライフ
「よう久しぶりだなぁ! 相変わらず自分の正義を貫いてるか? 最近俺らの網にかからない所を見ると大人しくしてるみたいだな!」
「……うぜえ」
 大切断鎖が、安西郷のにこやかなサムズアップに目をそむけた。
 が、特に跳ね除けるでもなくテーブルに肘を突いている。手元にはホットコーヒー。
 郷はそれを受け入れの姿勢ととって話を続けた。
「最近も大きな事件があってな。風紀四条っていうんだけど、彼女は一般人の犯罪を許さないコでさ。人を集めて犯罪の抑止力になろうとしてた。その気持ちは、分かるんだ」
 郷もまたコーヒーカップを手に取り、回るミルクを眺める。
「ただ、俺達は殺しまではしちゃいけねえ。ほんの少し進む道を変えさせてあげれば……彼女がまだ生きていれば、導いててやれるのかもしれねえのにな。アーク嫌いでも、いいからさ」
「はあん……」
 興味なさそうにコーヒーを掻き雑ぜている鎖。
 郷は彼女の顔を覗き見た。
「俺は甘いかな」
「んー、クッソ甘いね。普通の人なら吐くよね」
 ガムシロップを四つ程いっぺんに開ける。そしてコーヒーに全部ぶち込んだ。
 ギザギザの歯をして、にやりと笑う。
「でもアタシ、甘いの好きだよ」
「なるほど……」
 すとん、と彼女の横にリンシードが座った。
「あ、ナビ子さんスマイルひとつ」
「二千八百円になります」
「…………」
 にひゃっとした怖い笑いを浮かべてナビ子を追い払うと、鎖の方を見やった。
「ええと……」
「……誰だっけ?」
「ええ、私も名前が思い出せません。断頭台ギロチンでしたっけ。あれから五か月ですからね。安西さんと進展は?」
「ありそうに見えるのか?」
「いえ……」
 迸る微妙な空気。
 と、その時。
「おねーさん良い匂いがするね。むしゃむしゃしていい?」
 リンシードと鎖の間を割るように、ひょこっと紅涙いりすが顔を出した。
 手にはなんやか沢山挟まったハンバーガーを持っている。
「誰、アンタ」
「いりす。小生、もう少ししたら名を上げるつもりだからさ。そしたらヤろうよ……何なら、今でもいいよ?」
「……」
 ゆらゆらと殺気を漏らすいりすを横目に、鎖は静かにコーヒーに口をつけた。
「暴力はんたーい」
 それはなんとも、空々しい逃げ口上であったという。

●それぞれのフリータイム
 二人掛けの小さなテーブル席が並んでいる。
 普段はがらすきだというこのエリアも、今日は満席だ。

「ほら竹槍、こうやってみんなで食べると美味しいんだよっ!」
 美虎は広げたナプキンの上にポテトを山にした。
 彼女の横で、乱叉竹槍は身を小さくして辺りを見回していた。
「は、はあ……すみません。こういう場所は初めてで」
「地元に無いんだ? じゃあ丁度いいよね。ずーっと気が張ってたんでしょ。今日はリラックスしていこーよ!」
 そんな彼女達の横では涼子が無表情な少女と向き合ってもそもそとハンバーガーを食べていた。
 『613番』という、名前のない少女である。
「おいしい?」
「普通よ」
 どこか壊れた……と言うか、不自然に整った子供だ。涼子はそう思っている。
 そんな彼女が、思い出したように涼子の目を見て言った。
「この前、頼まれごとをしたわ」
「…………」
「八人分の人格を、頭の中に泊めてあげて欲しいって」
「……それで、どうだったの」
「煩かったわ。今はいないけど、煩かった」
「それで?」
「……」
 少女は瞬きをする。
 瞬きをして、こう言った。
「キャンディーが、食べたくなったわ」

 その隣……の隣。
「…………」
「…………」
 アンナとガタイのいい欧米風の男が向き合っている。
 その両脇を固めるように、角刈り白人とスキンヘッド黒人の巨漢が突っ立っていた。
 一時期誤植があったが、彼等の名前は順にチャールズ、カニンガム、ボブである。
「さてこの度アンンタたちを呼び出したのはほかでもない!」
 テーブルをぶっ叩くアンナ。びくっとする巨漢二人。
「一体貴様等はどこまで『エンジェル』の名前を広めたのか! 私はねえ、自分で名乗ったことは一度もないのよ!」
「だが自作したあの装備は似合っていた」
「やかましい!」
 再び台ドン。びくつく巨漢。
 アンナはチャールズの首に掴みかかった。
「なんで本来の称号よりこっちの方が多く呼ばれる始末! どこまで吹聴したんだ、吐け! 吐かんか!」
「お、落ち着けエンジェル!」
「うるさい!」
「私はただ、純粋に、そして正当に……!」
「正当に……?」
「駅前でティッシュ配りをしていただけだ」
「…………」
「この世界では自警活動をしているが、その宣伝のためアークから頂いた装着時の写真をティッシュ裏に挟み道行く人へ地道に宣伝を」
「地道に宣伝するなああああ!」
 テーブルごとチャールズを蹴倒すアンナ。
 その横では、スペードが顎肘ついて微笑んでいた。
「ゆったりとお喋るを楽しめる時間というのは贅沢なものですね。ねえ、一万円あったら何してみたいですか? そうですか、お話を聞いてくれてありがとう……人形さん」
 スペードの前に置かれたガニマタの人形が『チドリィ!』とか言って返事した。
 スペードは泣いた。
 本当にすまないと思っている。

 スペード程ではないが、特に目当てな相手もおらず、とりあえず感抜群で顔を突き合わせていた男達が居た。と言うか風斗と夏栖斗である。並べて読むと古い漫才コンビにすら思える語呂の良さ、実にのいるこいる並。
 彼等はチキンナゲットを取り合いつつ、だらっとした雑談に花を咲かせていた。
「懐かしい面々みて思い出したんだけど、洞子ちゃん今どうしてるんだろうな」
「斑目洞子か。マスタープラトン事件以降は例の港町に帰ったとは言われているが……」
「嫌いとか言われてたけどな! ざまあ――はぶっ!?」
 オレンジジュースを吹き出す夏栖斗。風斗の頭を掴むとそのまま机に押し付けた。そして自分も突っ伏す。
「おいどうした」
「今洞子ちゃんいた気がした」
「いやそれはないだろ、リベリスタだらけのハンバーガー大会だぞ。だがまあ、生きているなら何よりだな」
「だな。会わない方がいいだろうけど」
「あの……」
 横から声がして、二人は首を90度捻った。突っ伏したまま同じ方向を向く。
「全部聞こえてるんですけど……」
「「…………」」
 首、180度回頭。
 相手に後頭部を向けると、二人は『いやー最近寝てねーわー』みたいなことを言って死んだふりならぬ寝たふりをし出した。
 そして反対側で携帯電話片手にポージングするナビ子を発見。
「空気を読んで、呼びました(交通費七万五千円実費負担だそうです)!」
「「何してくれてんだ!」」
 その後、ナビ子の携帯電話はフライヤーの底へと消えた。

 ゆうても。こうして二人連れでハンバーガー屋に来るのがエロ本の隠し所に悩む青少年どもばかりではない。
 華やかな、と言うと語弊があるが、ジャンと壱和は丸い二人掛けテーブルで向き合っていた。
 小柄な壱和は足をぶらつかせて、やや背の高いジャンは顎肘を突いて目線を合わせるという、そんな構図である。
 ジャンはチーズバーガーとコーヒーをよそに、やたら大口で(お約束の様に両手で持って)食べる壱和をにこにこと眺めていた。
「ぁぅ……見られてると恥ずかしいです」
「あら、ごめんね。言いたっぷりだからつい。こういう所はあんまり来ないの?」
「買ってきてもらうのは多いですけど、あんまり」
「じゃあまた、今度一緒に来ましょうか」
「はぃ……」
 やや控えめにパンズに噛付く壱和。
 ジャンは苦笑して、コーヒーを手に取った。
「もっとがつがつ食べて、いいのよ?」

「カレー下さい」
「へいカレー一丁! 780円になりマス!」
「スマイル下さい!」
「へいスマイル一丁! 2800円になりマス!」
「うっ、つい払ってしまいそうな金額を!」
「スマイルがどこも無料だと思ったら大間違いだゾ☆」
 両手の人差し指を両サイドに持っていき、自分を指差しつつウィンクとかしてみるナビ子。
 普段ゲロ吐いたり鼻血吹いたりしてる子なのにあにゅ絵師の力が加わった瞬間途端に美少女になるマジック。
 香夏子はスプーン咥えつつぼやーっとした手抜き顔をした。
「ていうか、ナチュラルにカレーあるんですね。出てくるの早いし」
「現代のレトルト技術舐めるなよ?」
「現代の接客業を舐めるなよ?」
 などと。
 やたらどうでもいい会話をしつつ、本日もお店は平常運行である。
 亘はカウンターによりかかりつつ、メガネをきりっとあげて見せた。
「じゃあ自分はオススメセットを下さい」
「『店内のおいしい空気』850円と『サバの味噌煮定食』1580円があるけどどうする?」
「ここ何食べさす店なの?」
 隣で注文待っていた鴉魔終がどこかにこやかに釘を刺しに来た。
「というか、マックなの?」
「スマイルが3200円する時点で気付こうよ」
「さりげに値上げしてるし。時価なの? じゃあもういいや、ポテト100個完食に挑戦しようよ! 大丈夫ナビ子ちゃんならいけるよ!」
「そうだね、プロテインだね」
「お願いちょっとは会話して!」
「俺はただの眼鏡でいい。一個の眼鏡で――ばぶしりゃす!?」
「私はハンバーガーとシェイクとポテトでいい」
 未だに床と仲良くなっていた竜一を蹴り殺しつつ、ユーヌがカウンター席に腰掛ける。
「所で急に話題を普通のラインに戻すが、五段重ねのバーガーって、分解した方が食べやすいと思わないか?」
「あれ実は単品ごとは美味しくないんだよ。人間が心理的に美味しく感じる比率でできてるんだってさ。顎の力的に」
「ほう……」
 目を細めるユーヌ。その向こうで岬とレイラインがカウンターにぺたんとほっぺをくっつけた。
「所で最近チェーン店のメニュー無くなってるのはアレどういうことなの」
「さり気に効率化がなされてて、レジ前にメニュー敷いてる方がそもそもの間違いだと気付いたらしいよ。定着したから無いとヘンに感じるけど、ちゃんと脇にメニュー表のチラシ沢山置いてあるしね。今まではそのチラシ代ケチってただけとも言えるし」
「え、じゃあメニューあるの?」
「うん普通に。だから揚げ足撮るみたいな気持ちで店内で言うと恥ずかしいよね。昔のミミズバーガーみたく」
「仮にもハンバーガー屋で言うセリフじゃないのう……」
 もしゃもしゃフィッシュバーガー齧りながらぼやくレイライン。
「そう言えば、ウナギゼリーバーガーとやらを姉様が作ってやったから感謝しろ的な顔で出してきたことあったのう……今考えたら嫌がらせだったんじゃろうか……」
「ウナギエキスはそもそも栄養素が高いからゼリー状っていうか『煮凝り』にしたら美味しいよね。作り方間違うとゲル状の何かだけど」
「……えっ」
「あとそんだけエキス出せるって時点でウナギ一匹市場から買ってることになるからすげえ手間かかってると思う。一匹捌くだけでもかなり大変だしね。成田とか行くと見れるよ両方」
「ナビ子、大丈夫か? そ、そんな真面目なことを言って……」
「え、ダメ?」
 ハンバーガー齧りながら首をかしげるナビ子(店員)。
「…………」
 そんな中で、さりげに話しに加わっていたリサリサは、ポテト片手に窓の外を見やった。
 なんというか、その、あれだ。
 血で血を洗う戦いばかりの日常にほんのひと時の和やかさを感じ、時々蘇る胸の痛みや過去の悲しみとかそういうものを若干過らせてしんみりしようとしてるのにこの人らなんでここまでカオスなん? という気持ちである。
「母は元気にしているのでしょうか……」
 と、想うべきところはちゃんと想っておくリサリサである。
 そんな彼女等のもとへ、ツァイン(普段着)が現れた。
 キメポーズで自動ドアを潜り、カウンターへとやってくる。
「ダブルチーズバーガーセットとてりやき単品そして……」
 今日一番のキメ顔で、彼は言った。
「スマイル下さい!」
「……」
「……」
「……」
「え、何だこの空気」
「今日ツァインさんで何人目だと思ってんだ?」
「え、や、違うんだ。芸人のリアクションをな、見たかっただけで!」
「39800円になりマス!」
「昔のバリューパソコンか!」
 カウンターをぶっ叩くツァイン。
 そんなこんなで……。
 今日もハンバーガーショップは平常運行。
 リベリスタたちもまた、いつも通りのダラけた日々を送るのだった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 全く関係ありませんが、以前しなっとしたフライドポテトを復活させるには場バター塗ったアルミホイルを敷いたオーブンに等間隔にならべて何分か焼いたあと十分に乾かして塩振ったらいいみたいな話を聞いたんですが、そこまでするなら新しく買ってくるよって話ですよね。