●イケメンのアンデッド 街灯の光すら届かぬ闇の中でそのエリューション・アンデッドたちは生まれ始めていた。その場所は街の郊外にひっそりと存在する墓場であり、地中に埋まっていた死者たちがエリューション化することで動き出したのである。 動き出したアンデッドたちはまず自らの体に付いた汚れを落とし、次に清潔な服を求めて街をさまよった。 さまよった彼らはその内に服屋のコートを見つけて奪い、身なりを整えて自分たちの腐った体を隠した。 次に彼らは服屋のコートに合うように髪型を整えたが、それでも腐った頭を隠しきれなかったので帽子を奪いに行った。 帽子を手に入れたことによって頭や顔を隠すことができたが、体から出る腐臭はどうしても拭いきれなかったため、香水を奪うことにした。 そして彼らは香水を奪い、それを使うことでなんとか誤魔化すことに成功したのだ。 ここまでに、アンデッドたちは自らの体を馴染ませ、それぞれ神秘的な成長を手に入れフェーズ2まで能力を強化した。ここまで偶然にも見逃されていたのが原因だろう。 さて、彼らがどうして見た目や匂いを気にするのか? それは、彼らが生前プレイボーイでイケメンたちだったからである。エリューション化によって体が蘇った彼らは、再び花を咲かせようというつもりなのだ。 もちろん、花を咲かせるといってもただ女性を誘うだけではない。彼らはエリューション化によって手に入れた吸血の力によって、若く美しい女性の血を吸うことに歓びを見出したのである。 その能力から、彼らは贋吸血鬼(ヴァンパイア・フェイク)とアークに名付けられた。この迷惑な紛い物を倒すことは、やはりアークのリベリスタがやるべきなのだろう。 世の若く美しい女性を護るのは、ヒーローの役割なのだから。 ●レッサーなイケメン吸血鬼 顔写真が載せられた資料を机の上に叩きつけながら、『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)はため息をついた。 「この写真は今回戦うことになるエリューション・アンデッドの生前の写真よ。みんなカッコつけてるわねえ。イケメンっていうのかしら?」 首を傾げて顎に手を当てる乃亜は、悩んでいるようにも見える。目線は写真に集中しており、疑問符を浮かべていた。……どうやら、乃亜はそういうイケメンというものに興味がないようだ。 「イケメン。イケメン……。私にはよく分からないけれど、やっぱり女性の中には言い寄られたら弱い人もいるみたいね」 まあいいわ、と小さく口元で動かしたのをリベリスタたちは見た。ともかく、こういう相手に寄ってしまう女性が居るというのが前提であるらしい。 「今回は町中ね。このエリューション・アンデッド……吸血能力と若い女性を誘うところから贋吸血鬼(ヴァンパイア・フェイク)って名前が付いているけど、彼らは町中に潜んでナンパを繰り返しているわ」 ナンパ、といえば柔らかい表現であるが、彼らのそれは暴力や恐喝じみているという。そして路地裏など人目につかない場所に連れ込んで……吸血し、その命を奪う。 「要するに、女の敵ってやつね。うまく誘って、叩きのめしてあげて」 誘う時はやはり女性がやればうまく行く可能性が高い、とデータを乃亜は提出する。虎穴に入らずんば虎児を得ず、ということなのだろう。 「敵の攻撃は噛み付いての吸血と……誘惑攻撃だけね。数は5人。誘惑は女性にしか効かないけど、不利になるから気をつけて。まあ、あなたたちならやれるわよね?」 豊満な胸を張りながら、乃亜は自慢げにリベリスタに言う。 やれやれ、期待をされているのだなとリベリスタたちは感じるのであった。 「ね?」 その期待に応えるためにも、リベリスタたちは武器を手にとった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月28日(日)22:44 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●男とか女とか関係ないよねっ! 街を歩く前に、リベリスタたちは準備を始めていた。 「吸血鬼も色々ですが、この相手の場合……別の意味合いもついて来そうな気もします」 服装は男性のものであるが、『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)は中性的な顔立ちで、ひと目見ただけではスレンダーな印象もあって女性にも男性にも見える。実際どうなのかと言えば、不明なのだが。 「イケメンさん、ですか。ナンパってよく分からないですけれど、暴力や脅しで連れこもうなんて、とてもイケメンじゃないです」 一方、アラストールと同じく性別不明である『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)の尻尾はびくびくと怯えており、手を半分だけ学生服の袖から出して頬に当てているというかわいらしいポーズを取っていた。 しかし、怯えながらも壱和は憤りを感じており、ぐっと手を握りしめてその意思を示していた。何といっても、壱和が考えるかっこいいイケメン像とイケメンを名乗る敵の落差は許しがたい。 「集団で声を掛けられるのも怖いのに、力でなんて。懲らしめてやりましょう」 怖がりでかわいらしいけれども、壱和は喧嘩っ早い性格だ。震えていた尻尾を立たせて、口を広げてからがおーと吠えた。 「行きましょう。準備です!」 それから壱和は深く帽子を被って服装を着替えに行った。というのも、囮役をするためにワンピースに着替えるためだ。 「そうね。行きましょうか」 その壱和と一緒に準備に出かけたのは纏めていた髪を解いた『騎士の末裔』ユーディス・エーレンフェルト(BNE003247)だ。普段は騎士として戦うため、動きやすい髪形にしているのだが、今回はしおらしい女性を演じなければならないので金の長髪を広げてみせた。 整った金の髪がふわりと揺れる。 「しかし、殆ど知性が残らない筈のエリューション・アンデッドになってもナンパしてるなんて……。しかも衣服に香水に……とは」 今回の相手であるアンデッドたちを思い、少しユーディスは感服してしまう。呆れも入っているが。 「……何でしょうね、本能なのでしょうか……」 騎士の末裔として剣の道を進んできたユーディスは、この日本に来てから色んな男性たちと触れ合ってきた。イケメンと呼ばれるような人も知っている。だから、そういうことに疎いわけではないのだが……今回は、さすがに少し頭を抱えるような遭遇であった。そんなにナンパがしたいのか。 「……意識してしおらしく心掛けてみましょう」 そして、自分はそんな奴らにナンパさせられるのかと思うと少し頭が痛くなるのであった。 「ちょっとはずかしいですが、女の人の格好です」 中世的な顔と繊細な体つき。スカートから覗く美脚と白タイツの絶対領域がまぶしいが、『祓魔の御使い』ロズベール・エルクロワ(BNE003500)は男だ。つまりは女装である。今回のエリューション・アンデッドはそれでもいいのだ。 「ロズ、異性装をしてしまいました。主よ、罪をおかしたロズをお赦しください」 両手を天に掲げ、許しを乞う。いつもの格好はシスター服を模したものだが、それは異性のものではなくノーカンなのでセーフ。 「いやあ、見事なものだから芸術扱いで大丈夫だと思うよ。僕は不良神父だけどね」 その乞いに答えたのは神父の服装をしている『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)だ。実際には独自の信仰を行っているのでロズベールとはまた違うのだが、それはそれとしてかわいいからセーフだとフェミニストなロアンは思う。年下に対して甘いのもあるが。 「いやしかしイケメン、ねえ……。僕は下卑たナンパとか、女性をモノのように扱うのが大嫌いでね。女性とは一人一人しっかり向き合って、丁寧に扱うべきだろう?」 フェミニストであるが故に、女性に対する扱いの信念をロアンは持っている。遊びも色々と知っているが、そこにはルールがあるべきだとも思う。 「僕と同じヴァンパイアを名乗ってるのも、まったく不愉快だよね。世界の為もあるし、跡形も残さずにブチ殺してやらないと」 それを汚すようなやつらがヴァンパイアを名乗るのも、ロアンは許せない。表情は変わらないが、静かな怒りを周囲の者たちは感じた。 「罪もない人をむりやり襲うの、とても罪深いですね。悪魔はとうぜん裁きますが、彼らも欲望という罪に突き動かされただけなのかもしれません。ならばロズ、せめてその罪をいただきます」 ロズベールはそんなロアンの怒りを感じながらも、自らの信仰と合わせて戦うことを示す。それは純真で、とても清い裁きの宣言だ。 「主よ、罪にそまり、罪をおかすことをお赦しください」 格好もあり、そう祈るロズベールは熱心な修道女のようにも見えた。 「やーん、イケメンさんです♪」 そんな雰囲気とは裏腹に、『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)はくねくねと動いて今回出会うはずのイケメンを想像していた。 「イケメンねぇ……。カッコいいのは好きよ。でもカッコつけてるのは嫌い。それにアンデッドとか対象外でしょ」 それに突っ込みを入れつつ、頬に肘を当ててため息をついているのは『自堕落教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)である。普通にイケメンならカモンプリーズだけど、今回は全然ダメだなとソラ先生は思う。 「え? アンデッドなんですか……」 アンデッドだということを思い出して、めそめそと眼鏡を拭くイスタルテであった。イケメンには人並みの興味があるし、イケメンさんならメガネが本体とか言わないだろうと思っていたのに、アンデッドなら望み薄だ。 「メガネメガネと言わない男性との出会いが欲しいです」 それはそれとして、囮になるためにイスタルテは準備を進めている。まずは服装を白系統のおとなしめのものにして、ポニーテールを解いて髪を下ろす。それから翼を超幻視によって隠して準備完了。こういう時でもメガネは外さない主義。 「私的には自然体でカッコいいのじゃなきゃね。プレイボーイとかダメね。軽い男とか最悪。2股3股……10股とか意味が分からない」 メガネはともかく、ソラは誠意を求めている。自分のやる授業などはだるいのでまあ怠けることもあるけど、自分を見る男性には真摯に向き合ってほしい。 「天然ものがいいわ。何もしなくてもかっこよさがにじみ出てる。本物のイケメンを私にプリーズ」 そしてイケメンが欲しい。何はともあれ天然もののイケメンが欲しい。そんな思いが滲み出ているソラであった。 「生きてる相手だったら軽く教育的指導ってところなんだけど。エリューションだから全力で跡形もなく吹き飛ばしちゃいましょ」 ともかく、戦うことは決まり切っている。エリューションの力によって蘇ったものなら倒してしまうことも決定済みだ。 だから潔く諦めて待機する準備を始める。 囮はしない。 「ほら、私が囮なんてやったら別の一般人男性もひっかけちゃうし? おとなしく囮をやっておくことにするわ。決して私に誘い出すほどの魅力がないとかそんなんじゃないのよ」 ……という理由でソラは小学生のような胸を張っている。 「なんですか、ちょっとかっこいいからって。卑劣です。外道なのです」 そんな風にイケメンイケメンと言われるエリューション・アンデッドに対してぷんすかと憤る『羊系男子』綿谷 光介(BNE003658)は、イケメンとは程遠い童顔でかわいらしい顔つきをしていた。 普段は滅多に怒ることがない光介であるが、今回ばかりは別だ。 「うー……」 自分は背伸びしてもどう工夫してもかわいいと見られイケメンとは見られない。なのにイケメンな相手は卑怯なことをやっている、という個人的なところで怒っているのだが、光介自身にとっては大問題だ。恋人もいるのにイケメンと見られないのは辛いのだ。 それはそうと、光介は過去のデータを見て敵がどう動くかを確認していく。 「ふー……。襲いやすい場所とか、あるかもしれませんしね」 そうして絞り込めば、少しは楽ができるはずだ。ニット帽を被り直して、仲間の役に立てるように光介は努力を始める。 「では、逆ナンパ作戦を決行しましょう。幸運を」 凛々しい騎士らしく、真面目にアラストールは言った。昔の記憶はないが、現代になじんできたので逆ナンパぐらいは知っている。 「……どうしたのですか?」 真面目に言うとシュールなのは知らないが。 ●逆ナンパ作戦決行 まずはイスタルテとロズベールの方から囮作戦を見てみよう。 「うーん、お店見つからないですねー」 とはイスタルテ。携帯電話を片手に、道に迷っている風を装っているのだ。これなら声をかけやすい。 「ロズも分からないよ、お姉ちゃん」 髪色も同じだし、気弱な妹をロズベールは装っている。もじもじと手を擦り合わせてみたりと、演技に余念がない。本当に演技かどうかは分からないが。 「ヘイ! 彼女たち! 何かお困りかい!」 と、これはイケメンのセリフ。見事二人の囮に引っかかったのか、三人のイケメンが笑顔で近づいて来ている。何重にも服を着こんで更に香水が香るその身からは、異様さが隠し切れていない。 「……あの、お兄さんたち、何ですか?」 かかった、と確信したロズベールはハイテレパスで味方に状況を伝えつつ、上目遣いでそう言うのだった。 「やーん、イケメンさんです」 同じく敵と確信したイスタルテも動く。くねくねと。 そんな二人を優しく案内すると諭したイケメンたちは、イスタルテから店の場所を聞きその場所へと連れていくのであった。 その途中、背中に手を回してきたりしていたのでロズベールは内心バレないかと不安だったという。 「……きた。動きましたよ」 集音装置と透視を使ってその様子を見ていた光介が、気付く。もう一方の囮も同じくナンパを受けていることに。 イスタルテとロズベールがイケメンを引っ掛けているのと同時刻。ユーディスと壱和もイケメンたちと接触していた。 「……ふう、これで何人目でしょうか」 関係ない人からも声をかけられ続けていたため、少し焦燥していたタイミングであったのは、イケメンたちがその瞬間を狙っていたからだろう。 「あう、あう……」 やはり怯えている壱和は、そのイケメンたちから異様な雰囲気を感じてきゅうっと隠した尻尾を震わせた。 「怯えなくてもいい。俺たちは優しいからな」 「……ふむ、あれが口説き文句と言うヤツですかね、良く判りませんが」 遠くから様子を見つつなんとなく納得するような様子を見せるアラストールであったが、横で見ていたソラは「うわあ」と言っていた。 「えっと、その……」 それに対して、ユーディスも怯えたような様子を見せ、敵を誘った。気弱な所を見せて、怯えながら誘導するという算段だ。 「だから、怯えなくてもいいんだぜ?」 そして、それはうまく行った。調子に乗ったアンデッドたちは、追い詰めるようにしてユーディスと壱和を追いかけたからだ。 ●誘惑との戦い ちょうど二組の囮が同じタイミングで戦闘場所に誘い込んだところで、待機していたリベリスタたちも前に出て戦闘は始まった。 「待ちなよ?」 最初に飛び出したのはロアンだ。自分の影を立たせつつ、軽蔑するような目線を向けて前に出る。 「か弱い女性を食い物にするクズ共ね……懺悔の時間だよ。言い残す事はあるかな?」 そして、囮となった壱和たちの前に出て手の甲を向け自分の側に扇いだ。 「……お前は何者だ」 「そうですね、さしずめ。騎士と言ったところでしょうか」 更に、アストラールも前に出て守りを固めている。長い髪を翻し、剣と鞘を凛として構えるその姿は格好が付いていた。 「くっ、こんな奴に……やっちまえ!」 その格好良さに恐れや危機感を抱いたのか、牙を剥いてアンデッドたちは突撃してくる。その姿は野蛮そのものであった。 「誘惑ねぇ……。誘惑される前に纏めて潰してあげる」 そんな姿で誘惑なんて本当にできるのかと疑問に思いながら、ひょっこりと路地裏に顔を出したソラがチェインライトニングを放ち、アンデッドたちを痺れさせていく。 「続いていきます! 神気閃光!」 そうして電流が迸る攻撃に続いて、イスタルテがメガネを光らせ閃光による攻撃を始める。 「なにっ、メガネビーム!?」 「メガネビームじゃないですよぉ……」 がくり、と項垂れるイスタルテであるが、神気閃光によって目を奪うのは効果的だった。 「ならば、俺たちのフェロモンで!」 「……? 何か、されましたか?」 「暴力や恫喝なんて持っての他です。ロアンさんの方がずっとイケメンさんです。格好いいですし優しいです」 「こんな奴らに誘惑されてもうれしくなーい! 生きてるイケメンプリーズ!」 なぜなら、次に行われたアンデッドたちの誘惑攻撃はほとんど通じなかったからである。ロズや壱和が目標に入っていた、ということもあるが。 「イケメンだからって……そんな好き勝手、許しませんっ」 誘惑を受けてしまったユーディスにも、光介のブレイクフィアーが飛んでいくことで誘惑は解除される。 「助かりました。……さあ、覚悟はいいですか」 大人しい演技をやめにして、ユーディスは剣と盾を取り出してイケメンたちに肉薄。そのまま剣を振るって、リーガルブレードによって切り裂く。 「しゃ、三味線弾きやがって!」 「受け継いだものを――護り、育て、受け継がせて往く為に。こんなところで、止まっていられません!」 振りぬき、バラバラに切り裂く。 なりふり構わないイケメンたちは牙を使って積極的に吸血を仕掛けてきた。そのこともあって、戦闘は長期化している。ロズベールがある程度阻害しているため、体力を減らすことには成功しているが。 しかし、幾度ものアンデッドの攻撃により、リベリスタたちは少しずつ削れて言っていた。 「君らの何もかもが気に入らないんだよね。エリューション化していなくても同じ、女性の敵は滅びなよ。……褒めてくれた壱和くんのためにもね」 吸血牙を肩に食い込ませながらも、それを腕で掴みロアンはフェイトを使って立ち続ける。 「女性の敵は僕の敵、死の刻印を受けて貰う。高くつくよ!」 メルティーキスを使い、掴んだ牙ごとアンデッドの体を貫く。 「どうだい、これが本物のヴァンパイアの力だよ」 貫かれたアンデッドはそのまま崩れ落ち、消滅。ロアンは肩の血を払いながら、アンデッドたちを侮蔑する目を止めない。 「香水で匂いを誤魔化せても、口がダメダメです! 画竜点睛を欠くをはまさにですねッ。偽物は偽物ですッ!」 次に前に出たのは、囮としてここまで誘い出した壱和だ。女の子らしい格好であるワンピースを力強く振り回し、アッパーユアハートを使ってアンデッドたちを薙ぎ払っていく。薙ぎ払われたアンデッドたちは服や帽子を破壊され、隠されていた醜悪な外見をさらけ出す。 「貴方達の罪、ロズがいただきます」 そうして醜悪な外見を晒したところにロズベールが行き、中性的な顔に似合わぬ重いソウルバーンの一撃を叩きつける。叩きつけられたアンデッドはそのまま潰れて砕け散り、ぴちゃりとロズベールの体に血を残した。 「やっちまえ!」 しかし、ここで残された2体のアンデッドたちも動く。身を焦がす怒りに任せて、牙を連続して壱和とロズベールに噛み付いてみせる。 「……番長見習いとして、これぐらい!」 「ロズはその罪を裁くまで、突き動きます」 体力は吸い尽くされたが、決して膝は付かない。二人はフェイトを使って立ち続け、眼光は眼前の敵を見据える。 「術式、迷える羊の博愛!」 そうして傷ついた壱和たちを助けるためにも、光介は魔導書を開き聖神の息吹を使って味方を癒す。 癒され、回復した体に吸血の牙が襲いかかる。だが、それをまともに受け止めながらも、アラストールは剣を抜いた。 「――愛する者を一人にしろとは言わんが、情も無くただ食い物にする輩にくれてやる慈悲は無い」 そして、力いっぱいに叩きつける。ヘビースマッシュの一撃が、アンデッドの体を砕く。 「それじゃ、これで終わり。残念イケメンだからダメだったのよ、あんたたちは」 最後に残ったアンデッドは逃げようと背を向けて走りだしたが、ソラのマジックミサイルがそれを追い、背中から順に体の節々を砕いていった。 「また生のイケメンに生まれ変わったら相手してあげるわ」 ニヤリと笑って、最後のマジックミサイルを一発。神秘の爆発と共に、最後のアンデッドは消滅していく。 こうして、エリューションのナンパ軍団は消えたのである。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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