● ざわざわと金色の絨毯が揺れる。其処でひょこりと顔を出したのは小さな少女だった。 ぼんやりと浮かぶ狐火は橙色を灯している。 何故だか一つだけ浮かびあがった其れは何かを探す様に、ぼんやりと灯って、ふわりと消えた。 ふさふさの尻尾を揺らし、白装束に赤い大きな帯をまるで大きなリボンの様に揺らした小さな狐は周囲を見回す。 ぴょこりと耳を揺らしては、か細い声で、見つからない、と泣いた。 ● 「――運動会の季節、よね?」 何故か輝く笑顔でリベリスタへと詰め寄った外見中学生の『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)の右手は小さな少女と繋がれている。 「この子の落とし物を探してくれないかしら? あ、場所は大体予知したんだけど……私とこの子じゃ捜しきれないわ」 「え、ええと……?」 狐のお耳をぴょこぴょことさせながら世恋と手を繋ぎリベリスタを不安げに見詰める幼子。瞳は大きな藍色をしていて、髪はふんわりとした黒髪。白装束に赤い帯をしめた小さな少女。 「この子はアザーバイドの……ええと『亜紗』ちゃん。小さな狐の女の子なの。 宝物箱を持って歩いてたんだけど、立ち寄った廃墟に置いてきちゃったの。中身もね、鴉さんとか猫さんとかに色々捕られちゃった……みたい」 視線を逸らす予見者。彼女の第一声である『運動会の季節』はまさかこの失せ物探しを指しているのではないか。嫌な予感に背筋に汗が流れ出す。 「危険性はないわ。フェイトは得てるの。唯、お父さんの所に帰りたいというから――お願い、協力して?」 嗚呼、やっぱり、とリベリスタは外見は中学生のフォーチュナ(23)と狐のアザーバイドを見つめる。 視線が、一瞬交わった。 「大丈夫、行ける行ける! 嗚呼、因みにね。失くした物は三つよ。 どこら辺に在るのかだけは私、頑張って捜したわっ! あ、あのね、……安全なんだけどエリューションとか居ないんだけど、大きいお屋敷なのね、廃墟なのね。怖い、のね……」 嗚呼、つまり一緒に行きましょうという事だろうか。 手鏡と、花の髪飾りと、小さな赤い毬。指折り数えてからフォーチュナは笑った。 「ほら、探偵気分ってのも楽しいでしょ? ね、幸せな夢をご一緒に見ましょうよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月17日(水)22:10 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●名付けて『あさのたからものしょうしつじけん』 不安そうにお耳が揺れた。へんにゃりとした尻尾から読みとれるのは大切な宝物を落としてしまった事へのショックだろうか。 何にせよ異界の小さな少女に『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)の赤い瞳は輝く。 (か、可愛い……!) 思わずぎゅ、と抱きしめると、アンジェリカの腕の中で狐耳のアザーバイド――亜紗は驚いた様に耳をぴん、と立たせる。 「大丈夫だよ、ボクが、お姉ちゃん達が絶対に見つけてあげるからね」 にっこりと笑って宝物箱から読みとるのは『たからものばこ』に込められた記憶。其処から伝わる亜紗の宝物への想いに絶対に探し出さなければ、笑顔を与えなければ! と決意を新たにする。 形状を聞きながら探偵の助手Aこと『闇狩人』四門 零二(BNE001044)は口元に手を当てて悩ましげに眉を寄せる。 「蒸発してなくなる訳もなし……難解な事件だね、これは」 悩ましげな彼の表情を見るたびに、亜紗は少々怯えた視線を見せる。おずおずと「おじ、おにい、さん?」と呼びかける亜紗に先ほどとは打って変わって優しげな表情を向ける。 「オレは四門零二。よろしく、亜紗。オニイサンでもオジサンでも、呼びやすい呼び方でいいよ」 じゃあ、おにいさん、と亜紗なりの気づかいか、それともたんにそう思ったのかはさて置いて亜紗は零二へと緊張したように笑う。このアザーバイドの少女は中々肝が据わっているのか、八人のリベリスタと一人の不思議少女に囲まれても泣き出す事もせずににんまりとしている。 ――これは、決め台詞その1を言う場面だ。 「真実はいつも一つ!」「そしてもしかすると二つ!」 零二に合わせて『紺碧』月野木・晴(BNE003873)が笑う。探偵ごっこには何時も一つか二つの真実があるんだと渾身のドヤ顔をして見せる。これは凄まじいドヤ顔だ。 「俺は晴。よろしくね! にしても、女の子らしい可愛らしい宝物だね」 お花の髪飾り――フラワァッの髪飾りであるだとか、\てかがみ/だとか、毬――転がすとリンリン言うものであるだとか、可愛らしい物ばかりだ。まんまるお目目を向ける亜紗に一緒に探そうね、と視線を合わせて晴は微笑む。 「さて、偶には息抜きになるかねぇ」 疲れたよぅと間延びする声で言う『外道龍』遠野 御龍(BNE000865)は亜紗へと微笑む。色違いの瞳を細めて、今日は戦闘狂も運転手さんもお休みで一人の御龍という漢女になって探偵ごっこに勤しむ様だ。 「でも、捜し物ってとっても楽しそうね」 夜の帳を映す様な瞳は輝く。『帳の夢』匂坂・羽衣(BNE004023)は胸で揺れる記憶を封じ込めたロケットに触れてからにっこりと笑う。 「今日の羽衣は名探偵世恋☆ の助手なのよ!」 お供します、と本日の名探偵(ご指名)こと『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)に向き直る羽衣と御龍だが、名探偵は驚き、桃色の瞳を瞬かせている。 「そ、それじゃあ、行きましょう?」 ●宝物箱 「こんにちは、亜紗ちゃん。頑張りましょうね?」 柔らかな挨拶を送る『似非侠客』高藤 奈々子(BNE003304)の後ろでは「うへへ」等と少しばかり怪しげな笑みを漏らす『神秘探求同盟第六位・恋人の座』那由他・エカテリーナ――『残念な』山田・珍粘(BNE002078)が緑色の瞳を細めてにやにやとしている。 「亜紗ちゃん、ですか。可愛らしいですねー。家に連れて帰っても……」 「あ、亜紗はパパの所に帰る!」 「駄目ですか、そうですか」 慌てて返答する亜紗に少々つまらなさそうな那由多。この那由多、外見はとてつもない美少女なのだが、どこかしら残念なのだ。曰く、名前。本名の珍n(以下検閲)も彼女からすると余り宜しくない『残念』の部類らしい。性格面についてはひと癖あるが素敵だと同行者たる世恋は思うが、他の人間からするとどうなのだろうか――これについては言及しないでおこう。 「世恋さんもご苦労様です。二人と一緒に遊べてとても、とっても嬉しいですよ」 可愛い子は大好物ですから、なんて怪しげな台詞は聞かなかった事にした名探偵世恋☆なのであった。 「……先生方、まずは現場百篇、宝箱のあるところへいきましょう」 なんて言葉を漏らす者だから、名探偵は頷くしかない。 そんなことをしているうちに目の前には大きな洋館が姿を現す。蔦に覆われ、何処か怪しげな雰囲気の其れを前にして、スケッチブックと筆記用具を手にした『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)は常の如く気の良いお兄さんの笑みを浮かべる。 「起きた事は、災難だったけどさ、素敵な想い出に出来る様に頑張っていこうぜ」 よろしくな、名探偵の言葉は誰に向けられた言葉か。本日の名探偵と襷でもつけられた感覚のする世恋の表情が亜紗よりも不安げに染まった事はさて置いて、見つけられるのかな、とエルヴィンを見つめる亜紗。此処まで沢山の話しできただけでも少女からすると楽しい出来事なのだろうが、探すとなると不安が胸に過ぎるのだろう。 「大丈夫、俺達が必ず『たからもの』を見つけるからさ」 ぽんぽんと優しく頭を撫でつける掌の暖かさに亜紗は頷く。本当に気の良いお兄さんだ。一見、何処かしら強面ではあるが、今回の探索には人一倍気合が入っているのだろうか、簡単な地図を作るそうだ。 「探偵らしく、頭を使って効率的に探していこうぜ」 「地図作りってすげー! 手作りだよね! 俺も手伝うっ!」 きらきらと輝く瞳。晴の言葉に嬉しそうに笑ったエルヴィン達は広間を拠点に其々がカメラを片手に一度バラける。どうしよう、と世恋へと目を送っていた亜紗の頭を撫でつけ、にこにこと微笑むエルヴィンはスケッチブックと筆記用具を手渡す。 「亜紗には別の仕事を頼みたい。失くした物がどんな見た目か絵を描いてもらえないかな?」 良かったら世恋も手伝ってあげてくれ、という言葉に名探偵は瞳を輝かせる。お仕事だわ、と言わんばかりの勢いで頷く23歳に苦笑を禁じ得ないが二人は広間に座り込み、一緒に失くした三つの宝物をスケッチブックに描きだすのだった。 「お花なの」「うん、お花ね」「お花、可愛いのよ」「きっと可愛いだろうなって」「お花!」 ――余談だが幼稚園児位の知能である亜紗と夢見がち予見者の世恋ではスケッチは凄まじくメルヘンチックになっていた。エルヴィンが話しを聞きながら書きなおしたという事は言うまでもないだろう。 全員が集合し集まった写真を奈々子は整理する。猫や鴉、リスなど可愛らしい動物ばかりが存在している其れをアルバムに挟み、容疑者リストとラベルを張った。 「それじゃ、回りながら捜しましょう。沢山写真も撮りましょうね」 にこりと微笑んだ奈々子が容疑者リストが手渡されるのはやはり世恋。表情が、凍った。 ――え、私、え? やっぱり名探偵なの? ぐるぐると思考が可笑しくなっていっている中、悩ましげに表情を歪めていた御龍がねえ、ねえ、と亜紗の頭を撫でつける。 「ねぇ、クマでも出ないぃ?」 さっと亜紗の表情が凍る。けらけらと笑って冗談だと告げる御龍。戦闘があまりないと何処かしら調子が狂うのだ。腕に龍鱗の刺青がある彼女の外見は長身もプラスして威圧的な空気を与えるがそんな彼女が取り出したのは棒付きキャンディ。 「ほら、二人には良い物をあげようぅ、飴ちゃんだよ。ホームズ世恋ちゃんとワトソン君亜紗ちゃん、頑張ろうね」 改めて微笑んだ御龍にこくこくと亜紗は頷いた。さて、探偵ごっこを始めようじゃないか。 ●探索開始 「さてと、世恋は亜紗をよろしくな、怖くないように安心させてやってくれよ」 「え、ええ!」 お任せあれと輝く笑顔を浮かべるが、実のところこういっておけば終え寝さんの意地で頑張ってくれるだろうというエルヴィンの狙いであった。一応は心配なのでちょくちょく声掛けを行おうかな、とも思う彼であった。 あの、エルヴィンさん、その人、貴方より4つ年上ですよ。 「ねえ、世恋、亜紗。一緒に探しましょう? あの、羽衣とも仲良くして貰えるかしら」 あまりお役に立てないと思うけれど、と俯く羽衣の手を握りご一緒にと誘う亜紗と世恋。羽衣も子供っぽい性格をしている為、エルヴィンお兄さんの心配は尽きないままだった。 視線を逸らすと何故か大広間で踊る珍……那由多。アンジェリカの手をとって、幸せそうにくるくると。 頑張れ、エルヴィンお兄さん! 図書館の中で、かしゃり、と音が聞こえる。廃墟だという事もあり、雰囲気は十分だ。 かしゃり、かしゃり。 響くシャッター音と背負った梯子を擦る音が何処かおどろおどろしく響き渡り、世恋の表情が曇る。 「お化けはいねぇよ」 嘘よ、と視線を向ける予見者に困った様にエルヴィンは笑う。でも、と晴はサスペンスを演じる。そう、これは探偵ごっこ。ミステリーにちょっとした余興のホラーはつきものだ。 「あっちから変な音が!?」 その正体である奈々子はくすくすと笑う。嗚呼、なんて楽しいのかしら、と。彼女の耳に聞こえる鈴の音。 「ねえ、名探偵さん。遊ぶのが大好きな動物さんがここに一人なんて、おかしくないかしら?」 かしゃりと下ろしたシャッター。映しだされた一匹の猫にリベリスタは頷きあう。嗚呼、もしかしたら。 「先生、足跡です……!」 探偵助手Aの胸がざわめく。何故か地べたを這いずるその様子に亜紗がオニイサン変な人、と笑った。犯人の遺留物――足跡を発見し、単独か、それとも否かと考えるその姿は正に探偵助手Aだ。 いえ、零二さん、その、貴方がナンバーワン探偵ですよ。 「ハッ……、単独犯です、先生。あそこに!」 犯人(?)らしき猫の姿を見つけて彼は追いかける。抜き足差し足。ばっと近寄って猫の体を掴んだ。推理を手伝う助手Aは闇狩人の面影を残さない。 ズサッと滑り込んで手に入れる。地味でも、汚れても、肉体労働でもそれは自身の仕事だと。 凄いぞ! これぞ、助手の鏡だっ! 「いったい、どういう事なんだ……!」 自分の用意した物ではだめなのかと手にしたティアラを見つめる。あの、貴方が持つと凄まじいですね。 ふるふると震える彼らの下へそっと那由多は歩み寄る。 「ほら、ほら」 渡しましょうよ、と近寄る。猫は、何に怯えたのだろうか、怯えた様に毬をころころと転がした。 「そうだ、暇ですし、日本の御伽噺をお話ししましょうか」 にこりと笑って、那由多が語るのは桃から生まれたお話しや月のお姫様の話し、幸せそうに微笑んだ亜紗は素敵だね、と那由多へと笑う。 少しばかり壊れた子供部屋で那由多はきょろきょろと周囲を見回して、壊れた壁を見上げてはうへへ、と微笑んだ。 「疲れてきましたよね? ねえ、疲れましたよね」 ――嗚呼、なんだろうか。 「おんぶや肩車はどうですか? 遠慮はいりませんよ」 気づかいが、怖く見えるというのも凄いところだろう。 「あら、探偵さん、あそこにリスが……」 奈々子が指差す先には何かを大事そうに抱えたリスがいる。亜紗達の描いたスケッチブックを思い出しエルヴィンはアレは、と名探偵世恋ちゃんへと声をかける。 エルヴィンお兄さんも苦労性だ。見つけたよ、と手を繋いで走っていく予見者と亜紗の背中を見つめてやれやれと笑って見せる。 「ほら、このお花と交換しようよ!」 晴や零二の差し出す花飾りを手にしてリスはそっとその髪飾りを亜紗の手へと乗せる。 二つ目をゲットして、幸せそうではあるが、残る一つが見つからない。お父さんからもらった手鏡なのよ、と寂しげな亜紗の頭を奈々子はゆっくりと撫でた。 窓に近寄ってアンジェリカは目を輝かせる。噴水のある中庭を眺めては凄いねと息を吐いた。鴉がいる。 いってみよう、と彼女達は階段を駆け降りる。亜紗と共に一緒に歌う。 らんらん、と楽しげに。良ければ覚えて帰って欲しいな、と歌いながら噴水のある中庭へと辿りついた。 「ねえ、世恋、晴、一つお願いしたい事があるの」 そわそわと、不安げに曇る亜紗の表情を見つめながらも羽衣は晴と世恋へと向き直る。翼の生えた三人は顔を寄せ合って、微笑む。 「ねえ、亜紗、お空を飛びましょう。羽衣たち、お空を飛べるのよ」 「ほら、一緒に飛ぼうね!」 ふわり、手を繋いで舞いあがる。亜紗の背にはアンジェリカが作ってきた可愛らしい付けばねがある。小さな狐は自分の背中の羽で空を飛んでいるようだと瞳を輝かせた。 ――晴の視線の先でちかちかと輝くものがある。眩しさに目を細め、晴の表情が輝いた。 「あ、ほら、あさちゃん、あれっ!」 亜紗野言っていた手鏡が其処に在る。購買で買ってきた手鏡。とん、と足をついて晴がもう一度飛びあがる。其処に存在する鴉に晴は語りかける。 無理矢理でも奪う! だなんて言わない。タダで返してとは言えない、お願いと手を合わせて、晴は鴉へと語りかける。 「それね、あさちゃんの超大事なものなんだって! ずっと探してるんだよ」 \カァ/ 鴉のご返答に亜紗と羽衣が首を傾げる。緊張の一瞬である。交換用のビー玉を手にしてどきどきと高鳴る鼓動を抑える。上手くいけますように、と手を組んでお祈りする。 「返してあげてくれないかな? お願い! マジお願いします!」 \カァ/ 手鏡を渡し、羽衣のビー玉も鴉へと渡す。晴曰く、仕方ないから返してあげる、と言うところだろうか。 ほっとして、全部揃ったね、と微笑んだ。 「どう、みつかった?」 ぽん、と肩にかかった手に大げさに世恋が驚き目を見開く。ちょっとした意地悪――という訳でもないだろうが、あまりの驚きに奈々子はくすくすと笑った。 動物達と遊びながら、緊張した様にリスへと手を伸ばす亜紗と共に奈々子は遊ぶ。 震える指先で、触れて嬉しそうに笑った亜紗と奈々子は微笑みあう。嗚呼、童心に帰ったみたいと目いっぱい楽しむ。其処に下ろされるシャッター。 どんな場面でも記念になるから。 じゃり、と砂を踏みしめる。 「くっくっく……。 フ……ご苦労だったね」 苦労せずしてお宝が手に入ったよ、と現れるのは助手――ではない、黒幕だ。 其処に晴と那由多が飛び付いて、黒幕を倒す。だっと飛び付いて、其の侭尻もちをついた彼は「ウボァー」と叫び声をあげた。 昼食を食べよう、と共に集まった所で、御龍お手製の料理がふるまわれる。晴の持ってきたクッキーなどの軽いお菓子も亜紗の口には合った様で美味しい、美味しいと笑った。 レジャーシートの端に座って、羽衣はお茶を飲む。ふと、楽しそうな仲間達の様子を見て、しあわせだな、と思った。 「ねえ、世恋。羽衣はね、戦わない人助けってすごく素敵だと思うわ。みんながしあわせになれるんでしょう」 幸せの夢を追い求めて。夢の中なら幸せだから、と紡ぐ羽衣に微笑みを返す。幸せ、と問われた言葉に頷き返して。 「羽衣もね、すごく、しあわせだわ」 戦わないで、救えるなんて、なんて幸せなのかしら。 ●想い出箱 「亜紗ちゃん、こんな物しかないんだけど」 よかったら、と差し出されたのはアンジェリカの瞳と同じ色の綺麗な透き通った石。手のひらサイズの其れを見て、亜紗の大きな瞳が輝く。アンジェリカちゃん、と名前を呼んだ。 「いいの?」 「うん、今日の想い出だよ」 「俺からも、美味しいって言ってくれたから。お土産ね」 ちょっとでもいい想い出になります様に、と余ったお菓子を差し出す。甘いお菓子に微笑んで、嬉しいな、と幸せそうに狐の耳を揺らした。 かしゃり、とシャッターが下ろされる。全員での集合写真。折角の記念だから、探索の証に。 真ん中に亜紗と世恋を配置して、羽衣は満面の笑みを浮かべる。 「また、遊びましょうね?」 ぎゅっと抱きしめる。大切に、お別れの前だから。探し物が見つかったら帰ってしまう事は分かっているから、寂しいけれど、お別れは笑顔でしよう。 狐のお耳を揺らして、尻尾をふわふわとさせながら亜紗は微笑む。またね、と手を振って。 「じゃあな、楽しかったよ。もう、失くすなよ」 ひらひらと手を振ったエルヴィンは写真を亜紗へと手渡す。全員が微笑みを浮かべた其れ。楽しかったですか、と聞こうとした那由多(本名:珍粘)は聞かない。そんな物、写真を見ればわかりますね、と笑みを浮かべる。 「また逢う日まで健やかに。ほら、探偵小道具もプレゼントだ」 黒幕(笑)であった零二に手渡された余った小道具を手に亜紗は微笑む。ありがとう!と今までにない位ん元気良い声を挙げて手を振って。 その背中が見えなくなるまでアンジェリカは手を振った。あんな妹がいればいいのにな、なんて少し思いながら。 また、会えます様に。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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