● にゃー。 僕は偉大な帝王の名を継ぐ、アレキサンダー9世である。 アレキサンダーとは、何か凄い帝王だってご主人のしょーたろーがいってたので、つまり僕は偉いのである。寧ろ様付けでも良いかも知れない位なのだ。 僕様爆誕。 あ、駄目、謙虚謙虚。僕様はえー、騎士であるからして謙虚でもある。 僕様、血統書付きのアメリカン・ショートヘアーらしいので、騎士なのである……、ってパパさんが言ってた。 アメリカンなのになんで騎士? ってママさんが言ったけど、アメリカンの前はドメスティックで、其の前はブリティッシュ、更に前はヨーロピアンなんだよってパパさんが言ってたのである。えっへん。 ところで、血統書って何だろう。 まあ兎に角、僕様は騎士! 騎士のご主人は王様になるから、しょーたろーは王様! 僕様が様々な苦難を乗り越えて、ご主人のしょーたろーを王様にする『涙あり、笑いあり、感動のストーリー!』。 こう言う謳い文句に無知蒙昧な一般市民は弱いってパパさんが言ってた。パパさん博識。僕様パパさん好き。でも餌をくれるママさんはもっと好き。しょーたろーは一番大好き! ……あれ、パパさんそんなに好きじゃない? あ、そう、兎に角、しょーたろーを王様にする為に、偉い人の娘としょーたろーを結婚させるのである。 ママさんが言ってた偉い人はふたり。ぴーてぃーえーなんとかの所の『あつしくん』は男の子だから駄目。だから、僕が迎えに行くのは町長さんちの『ふうかちゃん』! ● 「さて諸君に集まって貰ったのは他でもない。諸君はこの間の猫探し、正太郎君とアレキサンダー12世を覚えているだろうか?」 集まったリベリスタ達の顔ぶれを見渡し、『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)が問う。 逆貫の言う猫探しとは、ある付与術師『ラトニス』の遺産である失敗作のアーティファクトを着けた猫を追い掛け回した任務の話だろう。 「実はあの時の飼い主である正太郎君とは、母親を介してではあるが文通をしていてな。……次は9世が行方不明になったらしい」 おい。 「さて、まあ私がごにょごにょの手段で調べた所……、また彼のラトニスの遺作『Cait Sith』を着けている姿を捉える事が出来た」 このおっさん、また予知の力を猫探しに使ったのか。 Cait Sith、ケットシーとは、長靴を履き、マントを着用したスコットランドやアイルランド地方に伝わる猫の妖精の事だ。 「このアーティファクトはラトニスが長靴を履いた猫が主人公の童話に影響されて作ったものらしくてな。……着けた猫が主人を好いていた場合、恩返しか何かは知らんが其の地域の王に据えようと主人の意思は関係なく勝手に動いてしまうのだよ」 資料 猫:アレキサンダー9世 つよくない。はやい。えらそう。ぼくさま。 使用技例↓ 『ある・にゃんぱーにゅ』 舞い散る光の様な肉球パンチの連打は、防御を無視して衝撃を体内に浸透させる。\あざとい/ 連 麻痺 魅了 防御無視 ダメージ0 『Cait Sith』 とある付与術師が作成した長靴とマントがセットになった猫専用装身具のアーティファクト。 このアーティファクトを装着された動物は擬似的な革醒状態になりフェーズ0の擬似E・ビーストとして人間並の知能を得、尚且つ身体能力も強化され、ついでに二足歩行と人間の言葉を理解して話せるようにもなる。 アーティファクトが外された場合はこの擬似的な革醒状態は解除され、知能も失われてしまう。 このアーティファクトは付与術師がある物語に感化されて作ったものだが、一つの欠点がある。 其の欠点とは、このアーティファクトを装着された猫が主人に好意的であった場合、その好意が忠誠心へと変じ、何故か主人を王にしようと暴走してしまう事。 「アレキサンダー9世の狙いは、町長の孫娘の風香君だ。町長は別に世襲ではないのだが、猫の頭で其れを理解するのは無理なのだろう。飼い主の正太郎君とは同じ幼稚園の同じ組の子供なので放っておいても大きな問題になる可能性は低いので気楽に挑んで欲しい」 まあ、とは言えアーティファクトが絡む事件である以上放置も出来ない。 「既にアレキサンダー9世によって風香君は拉致……、と言うよりも自分からついて行った様だが、ああ、うん。兎に角宜しく頼む」 ● 「あ、二本足で歩くネコさんだ! きゃーーーーーーーーかわいいいいいいいい!!!」 ぎにゃあああああああああ!? くびがしまるうううううう……。ぐにゃ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月21日(日)22:28 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 夢か現か幻か。 薄ぼんやりとした意識の中、聞こえて来るは少女の声。 「ねぇ、お爺様。私にも猫さんを抱かせてくださいな」 優しく暖かな匂いが鼻孔をくすぐる。嗚呼、お日様の匂いだ。 「勿論構わないとも、可愛いフローテ。でも何時までもそれでは仲良くはなれないぞ。今日は自分でお願いしてごらん」 ふしくれた、でも優しい手が背中を撫でる。 「猫さん、猫さん、起きて此方にいらっしゃい」 心地良さと呼び声に目を開ければ、可愛らしい金髪の少女が両手を広げている。 戸惑うように上を見れば、自分を膝に置き、背を撫で続ける初老の男と目があった。 自分と目の合った男が笑う。 「ねぇ、お爺様。駄目よ。来てくれないわ」 残念そうに、頬を膨らませる少女の姿に、ちくりと心が痛む。 「そうだねぇ。でもフローテ、諦めるのは少し早いね。まだ君は彼の名前をちゃんと呼んでない。友達になる為にはちゃんと名前で呼ばないと、寂しいだろう?」 自分の気持ちを察したのだろうか? 男はトントンと指で2度背を叩く。 頷く少女の為に、膝の上に立ち上がる。 「ねぇ、此方においで、アレキサンダー」 ………………。 ――――――――――――はっ!? や、やっべぇにゃ。今完全に意識飛んでた。あ、あれがパパさんの言ってたサンズ・ザ・リバー? ふぅ、僕様無事生還。まさか出会って早々ふうかちゃんに締め落とされるとは流石の僕様も予想外。 ……でも、あのおじいさんしょーたろーと同じ匂いがしたなぁ。 よし、頑張ってふうかちゃん連れて帰ってしょーたろーに喜んでもらうぞー。 ところで其れは一旦置いといて、 「ふーあーゆー?」 あなただあれ? ● 「あたしはエレーナ、貴方の行いを見守っていた、猫でも分かるように言えば天使なのよ。貴方に祝福を与え、貴方に付いて行きましょう」 「こんにちは、私はスペードです。ようこそお姫様、不思議の世界へ!」 「こーんにーちは。ね、そのにゃんさんあなたのにゃんさん? 立ってあるいてるよ、かっわいーねぇ……!」 oh……、三者三様。寧ろ君等が可愛いわ。 一斉に喋りだしたリベリスタ達は互いの食い違いに気付き顔を見合わせた。 「「「ちょ、一寸だけ待ってね」」」 何故か此処だけ息もぴったりにタイムを要求し、額をつき合わせて相談に入る『蒙昧主義のケファ』エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)、『Manque』スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)、『囀ることり』喜多川・旭(BNE004015)の3名。 割とグダグダな滑り出しだが、それでもアレキサンダー9世と風香は呆然としつつもリベリスタ達の相談をぼんやりと眺めて待つ。 中に一人でもおっさんが混じっていたら警戒されてアウトだっただろうが、彼女達は3人とも見目可愛らしい女性!であったし、不思議と心安らぐ空気を身に纏っていた。 それになにより! 旭が休憩中に振舞おうと用意していたドーナツと、……なんと諭吉さんが討ち死にしても尚足りない本マグロ使用の最高級猫缶(自腹出費)が遺憾無く威力を発揮したからである。 これって限定100個生産とかじゃなかったっけ? 「にゃー、ふうかちゃん……」 「あー、ねこさん開けれないの? ふうかが開けてあげるね」 ベンチに腰掛け、足をぶらぶらさせながら其々に口を動かす一人と一匹。 「よし、決まったわ」 ベンチで和む風香達を振り返るリベリスタ達。まあ実際今更感はあるが、此処をきっちとはじめねば全体に響く。 「ふぉーなふふぁふぃふぁふぉ」 もぐもぐもぐもぐ。 「駄目よ行儀が悪いわ。ちゃんとごっくんしてから喋りなさい」 はーい。 エレオノーラに叱られ、ごくりと口の中身の飲み下す一人と一匹。 さて、では改めて自己紹介だ。 「こほん。こんにちは、私はスペードです。騎士様には従者が必要な筈、私を供にお加え下さい」 胸に手を当て、ベンチの前に膝を付くスペード。その頭部にはぴょこんと立つ猫耳。 「わたし、旭っていうの。詩人よ。よろしくねぇ。騎士様、お姫様、冒険を詩にする為に」 スペードから借り受けたティアラをスッと風香に着ける旭。 こっそり片目を瞑り、感謝の意を飛ばす彼女に、スペードが唇を綻ばせる。 「お供していーですかー?」 しゃがみ、差し出された旭の手をアレキサンダー9世が握り返す。肉球ぷにぷに。 「最後に、あたしはエレーナ。貴方達に祝福を与え、旅を見守る天使よ」 行き成り天使を名乗っても信じられまいと、幻視を解いて背中の羽を見せるエレオノーラに、風香の目が輝いた。 美少女天使エレーナ()。 再び幻視を纏って羽を仕舞い、本当は人に見せては駄目だから今回だけ特別と念押しする事も忘れず……、さて、じゃあそろそろ出発しようか。 ● ところで話は変わるが、猫と言うのは狩猟をする生き物である。 肉食であり、狩りをするのに適した肉体を持つ。大型のものにはライオン、トラ、ジャガー、チーター、ピューマ、ヒョウ、言わずと知れた猛獣達。小型の物でもヤマネコ等は天性のハンターだ。 つまり何が言いたいのかと言うと、可愛いからって舐めたら駄目だよ? 『全日本暴猫連合 なめんなよ』 ……ともあれ、騎士に姫、従者に詩人に天使と一行がやって参りましたは裏山。 途中の神社で神主が不思議そうにアレキサンダーを見てたけど何も言わなかったのでセーフ。結界効かないとか神職ぱねえ。 だが順調に進んだ旅路も此処までだった。 「しばし待たれよ御一行! 我等はトキムラー王国に仕える騎士、ウォーレス4世! そしてこちらは相方の――!」 「ザーンスザンスザンス。吾輩はノワール!」 現れる、ライバル役の白騎士に扮したツァイン・ウォーレス(BNE001520)とちょび髭黒銃士こと『黒太子』カイン・ブラッドストーン(BNE003445)の二人。 物語の障害役に成り切る二人の登場に、一行に走る緊張感。 「あ、あれは伝説のトキムラー王国にその人ありと謳われた黒銃士と白銃士ッ! こんな所で目にするとは……」 何故か通りすがった旅人、『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)が驚きに補足クサイ台詞を発する。 まあだが大丈夫。所詮猫と園児なので多少わざとらしくても気付かない。でもね……? 「トキムラー王国のサオリーン王子の妃として風香様をお迎え「うっにゃらぁっ!」ごぶほぁっ!?」 全く口上を聞いていないアレキサンダー9世の肉球パンチがツァインの頬に炸裂する。 其れも一度では無く、右の次は左、左の次は右と左右の連打が舞い散る光の様に、次々にツァインを捉えていく。 にゃんこみらーじゅ奥義『ある・にゃんぱーにゅ』。ぷにぷにの肉球ビンタの感触で相手を魅了し縛る……、恍惚の表情を浮かべるツァインの顔を見ればわかる通りの、非常にあざとい技である。 アイルランド出身のツァインはケットシーになにやら思いれがあったらしく、この出会いは、このビンタは彼にとって本望なのだろう。恍惚の笑顔のまま、ツァインは大地に転がった。 ……けれど、だ。先も述べた様に猫とは本来狩猟する肉食獣である。動きを縛って其処で終ろう筈が、無い。 チャキ、と出て来る前足の爪。猫の前足の爪は出し入れが自由であり、其れは武器である爪の鋭さを保つ為だといわれている。 「ちょ……っ!?」 ざしゅっ。 「まっ」 ばしゅっ。 「やめええええええ」 バリバリバリバリバリバリ。 飛び掛ったアレキサンダー9世の前足が、ツァインの顔を掻き毟る。 絶叫が辺りに響き渡った。……ちなみに風香の目はスペードが、耳は旭が塞ぎ、残るエレオノーラはただツァインの冥福を祈っている。 「う゛み゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛」 力尽きたツァインから降り、アレキサンダー9世が黒銃士ノワールことカイン……次の獲物を振り返った。 ゾクリと、カインの背を怖気が走る。 カイン・ブラッドストーンは勇敢なリベリスタだ。鬼とも戦ったし、異世界に赴いては世界樹や変異生物相手にすら恐れず己が才を振るった。 しかし、だ。本来可愛い筈の生き物が殺意を剥き出す姿に感じる恐怖は質が違う。 「ちょ、ちょっと待つザンス。落ち着くザンス。謙虚な騎士は、戦いに対しても謙虚であるべきザン……ぎゃああああああ!?」 この後に及んでも演技を忘れない心がけは立派だが、その演技も次いでの悲鳴に掻き消された。 ―――非常に凄惨な行為が行われていますので、暫くお待ち下さい――― 「うにゃー」 爪の返り血を呆れたエレオノーラに拭かれながら、アレキサンダー9世は心地良さげに鳴く。 戦闘行為にすっかりご機嫌のアレキサンダー9世だが、一方、其の傍らでガタガタと震えるは計都。 「あ、あ、あ、あっしはじゃあこの辺で……」 今は旅人に扮する彼女だが、話の後半ではオークの王様として敵方出演の予定なのだ。 アレキサンダー9世の敵対者に対する容赦なさ……、無論本気で抵抗すればリベリスタの相手ではないのだろうけれど、そう言う訳にも行かないこの状況に、計都は己の運命を儚む。 ● 「あれ、ふーかちゃんと……、あ、きゅーだ!!」 驚きの声をあげたのは、『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)と手を繋いで帰宅する最中の正太郎。 本来ならばもっと早く合流する予定だったのだが、其処は雷音に大きな誤算があった。 正太郎は幼稚園に居るだろうと、急いで迎えに行った雷音。しかし、考えてみて欲しい。同じ組の風香が公園で遊んでる時間に、果たして正太郎が幼稚園に居るのだろうか。 勿論答えは否である。 街中で遊ぶ正太郎を延々と探し歩き、しかも何故か以前の事件で顔見知りとなっている雷音と出会った正太郎は、鬼ごっこで遊んでくれる物だと勝手に勘違いして逃げ回った。 此処では到底語り尽くせぬほどの苦労を重ね、謎を解いて冒険を乗り越え、漸く正太郎を連れ帰った雷音。まさかアレキサンダー1世の正体がゾウガメだったなんて……。 子供の体力に付き合わされ、雷音の目は既に半分死んでいた。 「しょーたろー!」 駆け寄る正太郎の胸元に飛び込んで行くアレキサンダー9世。ひしと抱き合う一人と一匹。 離れていた時間は少しでも、一杯心配した正太郎と、其の正太郎が大好きなアレキサンダー9世にとって再会は特別だ。 しかしこの冒険はまだエンディングを迎えていない。 何より、最後の障害、ラスボスが未だ姿を見せていないのだから。 「ブッヒッヒィ!」 厭らしい鳴き声と共に現れるは、……遂に覚悟を決めたのかオークの王に様扮した計都。 しかし妙に豚の姿が堂に入ってるのは何故だろう。 「ブヒヒヒヒ、こいつぁ感動的だ。でも男共はさておいて、お嬢ちゃン、あっしと遊ぼうか、ブッヒッヒィ!」 計都が扮するオーク王は三高平に住む実在の人物をモデルにしているらしい。 「良いか? あっしは、何にでも化けられるぞ? だけど、ちっちゃいネズミに化けたりしたら、ピンチだぜ!」 自分の力を見せ、さり気に弱点をも教える涙ぐましい努力をする計都。 けれどやっぱり炸裂するは、そんな台詞を一切聞かないアレキサンダー9世の『ある・にゃんぱーにゅ(物理)』。 ―中略― この世に悪の栄えた事は無い。悪は必ず滅ぶのだ。 三高平出版、絵本『洞窟に住む豚王様』、完。語り手は囀る吟遊詩人、旭。 そうして物語はエンディングを迎える。 ● 「ブエエエエェェェェェン! ロッテやっと出番きたぁ~」 お待たせしました。 正太郎の家の扉をがちゃりと開けると、余りに出番を待たされ過ぎて一寸涙目の『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454)が皆を迎えた。 突然騒いだロッテに驚き、彼女や其の愛猫Sleepyと遊んでくれていた12世がママさんの足元へと逃げていく。 12世を抱き上げ、ママさんが皆のお茶とお菓子を用意しに行っている間に、全ての事を終らそう。 ママさんに見つからない様、抱いて居た9世をスペードが下す。 「でははじめますぅ! 元気よくお返事してくださいねぇ!」 神父の姿に扮したロッテが進めるのは、結婚式ではなく、正太郎と風香、2人がずっと仲良しで在れる様にと願いを籠めた仲良し式。 子供のお遊戯、ママゴトの域を出ない其れではあるが、9世はロッテの提案に頷いた。9世はただ正太郎の喜ぶ顔を見たいだけなのだから。 「正太郎君! 風香ちゃん!」 ロッテの呼び掛けに、大きく返事をし、手を繋いで前に出る二人。けれども、大勢の大人達に見守られて何かする機会などそうそうない子供達は、其の表情に緊張感が浮かんでいる。 「せーのでがんばれーだよ。良い? せーの」 がんばれー。旭が、スペードが、エレオノーラが、此処までの冒険を共にて来た3人が、9世と共に声援を送る。 彼女達だけではない。少し気合を入れた雷音が、こっそりと合流した引っ掻き傷だらけのツァインとカインが、そして計都が。 「汝等は~……、えー……、これからも仲良しでいることを誓いますか~?」 答えは勿論大きな声で。正太郎と風香、二人だけじゃなく、此処に居る皆が、ずっときっと仲良く在れる様に。 後日、逆貫の手元には一枚の写真がリベリスタ達から届けられた。 リベリスタ達と、正太郎、風香、アレキサンダー9世。皆でとった記念写真。 彼の仕事机には、Cait SithにFamiliar spirits、二つのラトニスの遺産が並んでいる。 本来ならばアークに回収された欠点を持つアーティファクトは力の抽出にと回されることが多いのだが、雷音からの要望に逆貫は其れを少しだけ待って貰うようにと上申書を作成していた。 其れに意味があるとは感じないけど、届けてくれた写真の礼に、出来る事をと。 写真の中の9世の背には、ツァインが騎士としてのライバルにと贈った、新たな彼のトレードマークであるマント。 映る誰もが笑顔の写真に目をやり、唇を緩ませた逆貫は湯気立つマグカップを口に運ぶ。 蜂蜜を溶かしたホットミルクの優しい味に、彼等の未来に幸あれと願う。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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