●助けて、ヒーロー 「そこの君……」 角を曲がろうとしたちょうどその時。 振り返ると、サラリーマン風イケメンが立っていた。 困った顔をしている。 道に迷ったか? この辺は割りと道が入り組んでるので、慣れてない人がよく迷うのだ。 そいつは、やけに緊張した感じで公園の方からやってきてオレに言った。 「た、助けると思って、この半ズボンをはいてみちゃあくれないかなぁっ!?」 「………っ」 こういう時って、声出ないんだな。 のどの奥に空気の塊が詰まって、前に出て行かない。 このままでは窒息する。 頭の中で、黄色い救急車と白黒パトカーが併走する。 誰でもいい。誰か助けろ。 おまわりさーん! 変態でーす! ●今回はドレスコードがあります。 リベリスタ達は、がたがたと席を立って、我先にブリーフィングルームから出て行こうとした。 しかし、扉はがっちり電子ロックがかかって開かない。 「覚悟を決めて欲しい。この依頼、是が非でもあなた達にこなしてもらう」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、椅子を指差し、座って。と促した。 「そういうのは、おまわりさんにっ……」 あったかくなってきたし、世の中スーパークールビスだしねっ! 露出度上がるし、布も薄くなるからね! まったく変なの増えて、おまわりさんは大変だ! 「こういうのは、リベリスタに。フィクサードだから」 イヴちゃん、無表情だけど、表情が厳しいぞ。 「フィクサードというか、それ以前に大問題があるような気がするけれど、とにかくこの蛮行を止めてほしいの」 「なぐればいいんだなっ!?」 殴って簀巻きにして、いつもの人たちに引き渡せばいいんだな! いいと言え。 言ってくれ。 いえ、すいません、言葉が過ぎました。おっしゃって下さい。 「半ズボンはいて、この男めろめろにして、ふんじばってきて」 変態くさい台詞をしゃらっと言う幼女、今日はマジキツイ。 「この男、男のフトモモが大好物。ジャストミート18歳プラス25歳、マイナス5歳まで守備範囲」 うわ~。その微妙な守備範囲設定、困っちゃうなー。 「幸い今から行けば、ギリギリこの男子高校生はこの男と遭遇しないですむ。ものの10秒も引き止めればOK。その隙に、この男を誘惑して」 なんで誘惑しなくちゃいけないの? ねえ、なんで? 「この男、基本プロアデプトなんだけど、色々他のこともかじっていて割と有能。困ったことに、女子には情け容赦なく、全力で戦闘する」 何か、つらいことでもあったのかな……。 「ただ好きなものを目にすると、一気にお脳の回転が止まる。そして、この男が好きなのは、男のフトモモ。厄介なフィクサード集団が横行する今、リベリスタの損耗率を下げるためなら、どんなことでも採用するべき」 リベリスタの心が損耗すると思います。 「まあ、ジョギングパンツもありだから、そう変な格好はしなくていい」 いやだー。おかーさーん。イヴちゃんがひどいこと言う~。 「ただ、この男、吸血するけど、ポイントはフトモモって決めてるから」 何、その吸血鬼!? いやすぎるんですけど!? 「今、チームを結成して現場に急行しないと、いたいけな男子高校生が、夕方の路上でズボン切り裂かれて、パンイチで帰りたくなければこれを履くんだと強要され、あらわになったフトモモかまれて、心に深い傷を負い、それが引き金になって拡散型革醒現象により、エリューション化したら、とりかえしがつかない」 そんな畳み掛けるように言ってくれやがらないで下さい。 「しかも、リスクが高いと分かっているのに女子チームを組むのはどうかと思う。それくらいなら、全部男子にする。と言うか、他の依頼では色々女子が恥ずかしいのこらえて体を張っている。男子も脚くらいさらすべき。減る訳じゃなし」 イヴさん、男の子にも優しくしてください。 「これ、支給品。好きなの選んで。返さなくていいから」 せめてものボーナス。 イヴは、そう言って、各種サイズデザイン取り揃えた半ズボンがぎっしり詰まったダンボールをテーブルの上に置いた。 提供:三鷹平市商工会議所。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年06月10日(金)23:21 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●武装完了、脚部装甲20%以下! 『七色蝙蝠』霧野 楓理(BNE001827)は、涙目だった。 ジョギングパンツの上に、ボタンを全部留めた白衣。 その裾を、爽やか女子マネ的ジャージの『腐ってない全然腐ってない』後鳥羽 咲逢子(BNE002453)が無言で引っ張っている。 今回の捕縛対象のフィクサード・狭山健彦は、 ターゲットのフトモモが半ば以上露わになるまでナイフで衣服を切り刻む変態さんなのだ。 この状態を放置していては、楓理が危ない。 咲逢子の行動は心配からであって、断じて邪な意図はない。 「ボタンは外すから! 今は! 勘弁して!」 裾を押さえて必死に懇願していた姿に、咲逢子はようやく手を離した。 『ラテン系カラフル鳥』カイ・ル・リース(BNE002059) は、上機嫌だった。 (いよいよ来たのダ。我輩のAFが活躍する日ガ!) 黄色いズボンが、彼の幻想纏いである。 (今までコッソリ使っていたのニ……さぁみんな良く見るのダ! 我輩のAFが火を噴くのヲ!) いや、ズボンから火が噴いたら、色々大変だから。メインはフトモモであることを忘れないで戴きたい。 (とはいエ、大事なAFを華麗に切り裂かれたラ堪らないのダ) カイは、ズボンの裾はちゃんと捲り上げた。 『うめももFC(非公認)会長』セリオ・ヴァイスハイト(BNE002266)は、真っ当だった。 (どうせなら……梅子・桃子姉妹のショートパンツ姿とかが見たいんだけどな?) 健全だ。まったく健全な思考だ。見せてくれるかは別問題だが。 (まぁコレも仕事だ仕方がない。女装なんかに比べればずっとましだろ……) OBっぽい格好と、デニム生地の短パンに赤いベスト。夏だし麦わら帽も被るって、ほにゃらら王に俺はな……おや、誰か来たようだ。 『太ももマイスター』武蔵・吾郎(BNE002461)は、面白がっていた。 (人間いろんな趣味の奴がいるモンだが、コイツの場合は太ももフェチってとこだな? 世の中にはおっぱいがどうこうって奴らもいるし、ちょっと目の付け所が違うだけだろうが。折角だから見せつけてやるがな、クハハッ!) 半ズボンの上を行くホットパンツいっちょがまぶしい。って、いっちょって何? 上は? 上は? お、おまわりさーん! 『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)は、すでにおうちが恋しかった。 (なんていうか……その……特殊な性癖は拙者もあるでござるから仕方ないでござるが…… いや……任務だからちゃんとやるでござるよ……?) これから何が起こるかと思うと、足取りも重い。義理の娘の幼馴染もいたりするし、いたたまれないのはよくわかるけど、お仕事だから仕方ないねっ! (……早く済ませて帰って寝て忘れるでござる) そして、運命の分かれ道。 何も知らぬいたいけな男子高校生が、姿を見せた。 行け、リベリスタ。 戦いのゴングは、すでに打ち鳴らされた。 Tシャツの袖を肩まで捲り上げ、胸元をがばぁっと開け、白衣のボタンを全部開放し、当然アンヨも8割以上露出して、公園の陰に潜む変態さんをぐるんぐるんにふんじばるため、誘惑するのだ! ●運命の曲がり角 「そこの君……」 角にスーツの二人組が立っていた。 困った顔をしている。 道に迷ったか? この辺は割りと道が入り組んでるので、慣れてない人がよく迷うのだ。 「すまんが、大通りに出るのはどちらの方向に行ったらいいのか、教えてくれんかのう」 年かさな方が、地図を片手に近づいてきた。 「なら、公園の前通って……」 身振り手振りで教えている横を、どっかの運動部が駆け足で通り過ぎた。 あ、いいな。女子マネまでついてる。 「助かりました」 若い方が頭を下げて、二人組が公園に向かって歩き出した。 なんとなく見送って、角を曲がった。 それにしても、やけに大人が多かったけど、強化選手かなんかかな。そんなスポーツ盛んなとこ、この辺にあったっけか? 首をかしげながら去っていく男子高校生が小さくなっていくのに、スーツ姿の二人は胸をなでおろす。 『弓引く者』桐月院・七海(BNE001250)と『眼鏡っ虎』岩月 虎吾郎(BNE000686)は、 頷きあうと、公園入り口に急いだ。 一見部活動中な集団の最後尾を走っていた楓理が振り返り、大きく頷いた。 人目をごまかした蝙蝠の耳が、無事に男子高校生の足音が遠ざかるのを確認していた。 どうにかするべきやつはそこの茂みに潜んでいるはずだった。 ●楽園と書いてパラダイスと読む いたいけな男子高校生の心は守られた。 代わりに傷を負うことをいとわない勇者達がいた。 称して、リベリスタと人は言う。 「あは、お仕事ご苦労様です、いい天気ですね」 (うっかりブリーフィングルームに入ったらこうだよ) 『いつでも右で受けて立つ』御厨・夏栖斗(BNE000004)は、ファイオーとかいいながら、脳内涙雨状態。ポニーテイルのうなじがまぶしい。 (まあいい、任務は任務。本気でやるしかない) 見た目チャラいけど、決めるときはきっちり決めるのだ。 「チュース!」 日頃は墨染めの衣に身を包み、禁欲的な姿が別方向に人気なお坊様、『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054) まったく動揺を見せない辺り、さすがに精神修養が出来てらっしゃる。 今日は、タンクトップに短パン。超サービスサービス。 こんがり焼けた頬が健康的でまぶしいね! 「夏栖斗! 気合が足りてないでござるよ!! もっと必死に走るでござる!!」 精神崩壊させることを選んだ虎鐵は、赤銅色の太ももさらしつつ、コーチ役を熱演。 「ホラどうしたみんナ! もっと声を出すのダ! イチ・ニ! イチ・ニ!」 カイは、タオルを首に巻いて。袖が緑、身頃が白のTシャツ(ちょいピチ)がおズボンの黄色を引き立ててるよ!! 狭山とて、馬鹿じゃない。 植え込みの中にしゃがみこんでる奴って不審じゃね? それに向かって、普通に声をかけるやつって明らかにおかしくね? 頭が狼とかインコとか、どう考えても普通の人間じゃなくね? でも、それにつられて、ふらふら立ち上がっちゃうんだから、やっぱり男のフトモモって魔力があるんじゃね!? 部活な人たちはストレッチ。 開脚して、体を前に倒しましょう。あ、角度、大事だよね。ちらリズム的に。 「ほら、もっと腰を深くおとせー」 とか言ってるOBさんのフトモモの後ろの筋肉の動きとか、本人が意識してない分たまんないよね。 目があったときの笑顔が爽やか。 「ほら、もっと動けー」 ああ、コーチッ!そんなに大きく開脚させるなんてっ。 しかも、目算股下5センチ以下。ツワモノ仕様のホットパンツをお召しだなんて、熱すぎますっ。 「ん?どうした?」 ずっと強調される太もものライン、ボク一生忘れません。 「君も一緒に爽やかな汗をかかないカ?」 と、外国人のコーチっぽい人がニコニコと。 あ、ボクのことは気にしないで下さい。通りすがりの会社員です。 「お時間あれば参加してみませんか?」 ストレッチしている後輩の背中を押す君の白衣の裾からちらちら見える静脈が透ける系の白いフトモモもまぶしいです。 目が合えば呼びかけてくれる、はにかみっぷりもナイスです。 「さっきから思ってたんスけど、カッコイイッスよね。芸能人やモデルさんだったりします?」 君の焼けた肌と坊主頭と白い歯のコントラストが目にしみます。 「スーツ姿だからちょっとわかんなかったんスけど、すげえいい体ッスね。何か格闘技とかやってます?」 いえ、そういう訳じゃないんです。ある日起きたらこんな感じになって、世界の真実を知ってしまったら、なんか全てが吹っ切れただけなんです。 「あ、太もも、怪我しちゃった」 あぁ、君。そんな何かを求めるような視線で、ボクを見ないで下さい。 そんな目をされたら、ボクは、ボクは……。 いうなれば、山海のご馳走が陳列され、男の色気むんむんだったり、爽やか無防備だったり、ちょっと恥じらい気味だったり、まったくノンけっぽかったりして、趣向もさまざま。 おまけに、総じて自分に好意的。 人それを指してこう称す。 ぱーらだーいす。 狭山とて馬鹿ではない。 世の中そんなに甘くない。 そんなに簡単に極上のフトモモさんに会えるくらいなら、夕暮れの公園の植え込みに身を潜めてたりなんかしない。 意図的な匂いがぷんぷんする。本来ならば、ここできびすを返して逃げるべきだと理性が言う。 しかし。 ここでこの極上フトモモパラダイスを逃がしたら、生涯後悔するに決まってる。 この先の人生、寝しなに枕を悔恨の涙で濡らすくらいなら、ダイブして果てるぜ、アミーゴ! 「ス、ステキです、学生さーん!」 アイ、キャン、フラーイ。 一人のヴァンパイアが、宙を舞った。 ●君を守る盾になる カイには事前に心に決めていたことがあった。 (恐らく、青少年を狙ってくるだろウ。彼らの心が一生消えない傷を負ったラ、一大事なのダ。それは何としても阻止せねバ! 我輩は自分を盾にしてかばうのダ!) 夏栖斗の上に覆いかぶさるようにして、ダイビング。 (彼らの方がレベルが高いとカ、HPもあるとカ、そんな事は関係ないのダ! これは中年リベリスタとしての使命なのダ!) 年少者を守る為。 彼も一人の父親なのだ。 シロガネモコガネモタマモ、ナニセムニ、マサレルタカラ、コニシカメヤモ! 先細り気味の未来を担う人材を大切に! そういう訳で、カイさんのフトモモに、がぶっ! 「あッ……ちょッ! そこハ!」 (そんなに上の方を噛まなくても良いと思うのダ~!!) もごもごと狭山が口を動かす。うわ~、聞いてはいたけど、ホントに吸ってる~。 (えっとぉ、ボクとしては不可抗力というかぁ、あ、なんか噛み心地がみっしりって感じで嬉しいかも……) 誰かがハイテレパスでも持っていれば、そんな知りたくない狭山さんの内心が知れちゃったりしたかもしれない。 つうか、不幸なのは、そんな二人の下敷きになっちゃった夏栖斗クンじゃないかなって、ちょっと思う! 燃える男の激しい闘気が、夕暮れの公園を戦場に変える。 「おぬしの欲望にはつきあってられないでござるよ!」 虎鐵さん涙目っぽいですが、夕日が目にしみましたかそうですか。 「テメーの所為で! 俺達の精神が!」 楓理さん、そんなにナイフ投げたら、カイさんに当たります。 「この……! 俺の目の前から失せやがれっ……!!」 セリオさん、そんな渾身の力をこめて剣を叩き込んだら、下の夏栖斗クンまで潰れます。 「ひどい……あんまりだっ!」 ここまで「われわれの業界ではご褒美です!」的恍惚とした顔で「お仕置き」を受けていた狭山が叫びながら、飛び退る。 狭山の視線の先には、全身ふっくらもこもこ、フトモモ何それおいしいの? 的モルぐるみをお召しになったフツがいた。 「そんなかっこするなんて、あんまりだ!」 狭山さん、ナイフ抜いた~! フツに向かって、ダーッシュ! 「あの素晴らしいフトモモを……」 もう一度なんて、言わせないよー!? 砂にまみれて、精神の死とか覚悟した少年の逆襲。 「同族が変態とか、僕泣けて来る!」 食らえ、怒りの右ストレート、頭冷やせよ氷込みーッ! 「ああ、どうせなら、ぶつんじゃなくて、蹴ってッ!」 ブッツリ。 「なんか!一発!! 当てないと!!! 気がすまないでござる!!!!」 今の今まで我慢に我慢を重ねていた虎鐵さん(短パン)が、溜まりに溜まった鬱憤を己の大太刀に込め、狭山に叩きつけた。 「うわ~い、躍動する30代のフトモモ~……」 飛んだ。狭山は飛んだ。物理的にも、ぶっちゃけHP的にも、レッドゾーンを振り切った。 しかし、狭山は、フィクサードだ。 繰り返す。フィクサードだ。 「ボクは、もっと、ぱらだいすを、満喫するんだ~っ!!」 世界は、こんな男も愛している。 繰り返す。愛している。 吹っ飛んだ先、そこにはもふもふもるぐるみ。 切られちゃうっ!? モルぐるみ切られちゃう!? 「コイツを見ろ! 俺の太もも……どう思う?」 吾郎さん、超高速移動、すてきです! 「すごく……おいしそうですっ」 「そーかい」 ああ、筋肉質でふとましいフトモモが、涙でにじむ……いえ、幻です。 ざっくん。 「ボクは、君の……」 カー。 フツのカラスが、狭山をつついた。 つんつん。 そこが、狭山の限界だった。 ものの数秒後、ロープ団子狭山入りが出来上がっていた。 1ターンかからなかったんだぜ。 ●僕らの闘いは終わらない! 体はともかく、心に異様な疲労感を抱えたリベリスタがアーク支給のジャージに足を突っ込み始めた頃。 咲逢子は、上機嫌だった。 戦いは、人知れず公園に入る前から始まっていた。 (狭山さん、そして短パン男子を愛する全世界の皆様。私は沢山の人達の思いに支えられてるんだな……) 胸熱だね。 男子の精神的及び物理的死角を縫い、手にしたタオルの隙間から、デジカメで撮影を続けていたのだ。 (今後のアークの為に必要なデータを撮るだけなんだからねっ!) もちろん、腐った人などいない! その戦いも、今終わった。 後は、各人にスペシャル編集して送りつけるだけ。 大丈夫、データは消去するから。残念だけど。残念だけど。 (彼らの悶える姿を想像するだけで……私は満足だ) 笑顔を浮かべ、地面に潜りこもうとする咲逢子の足首を、一人の少年が魂を削る勢いのジャンピング土下座しながらつかんだ。 「それが出回ったら、僕マジ生きていけない。全部消して下さい。おねがいしますっ!」 御厨 夏栖斗、15歳。今後の人生かかってるんだぜ。 「仕方ないなぁ」 咲逢子が、あっさりぽっきんとメモリースティックを折った。 「もっとあるだろ、一個じゃなくてっ」 「なんのことだか、さっぱりだ」 その背後で。 ピロリン♪ 楓理の携帯が可愛い音を鳴らす。 ガングロ夏栖斗の顔色が紙のように白くなった。 「まさか、いまのっ!」 「頼まれたからしょうがないだろ!」 居直った。 あるんだね、いろんな事情が。あえて聞かないけど。 画面には「送信中」のメッセージ。添付ファイルの容量大きかったみたい。 「まだ間に合うだろ、キャンセルしろぉっ!!」 アイ、キャン、フラーイ。 一人のヴァンパイアが宙を舞った。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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