●火 水 木 金 土 月…………あれ? 日曜日……日曜日?! どうしたんだ日曜日! 応答しろ! 故郷で恋人が待ってるんだろ! 日曜日ィィィィイ――!! ●犯人は月曜日 「日曜日が倒されるそうだ――だからその前に月曜日を倒してこい諸君ッ!!」 いや、どー言う事なの?! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月30日(日)22:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●日曜日いぇあ! 日曜日とはいわゆる安息日である。実際は土曜日だとかいうツッコミは気にしてはいけない。 そんなこんなで日本に、日本人にとっての貴重な意味を持つ日曜日。ソレを倒そうと言うのか。宜しいならば、 「――戦争だ。 日曜日と言う仮定を飛ばして月曜日を得る……そんな能力を放っておくわけにはいかない」 『黄昏の賢者』逢坂 彩音(BNE000675)が前を見る。 情報にあった戦場だ。アザーバイドが、月曜日が現れる場所。 ――Dホールが開く。 球体だ。綺麗な円、と言う訳では無く、クレーターの様な凹凸がある為でこぼこした印象を受ける。同時、どこぞで聞いた事があるかのような音楽が流れてきた。そこいらの詳しい描写は諸々の事情で省くが、これは危険の証だ。故に、 「開・幕・即効ッ! 死ねぇ月曜日ィ――!!」 日曜日二十四時きっかり。日付変更と共に現れたアザーバイド:月曜日を『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)が渾身の一撃で殴り飛ばす。十秒前に顕現させた影の従士の援護も含めれば更に威力は増して。 「君みたいな奴がいるから……君みたいな奴がいるからこの世から(月曜日に対する鬱的な意味で)哀しみが無くならないんだ――ッ!」 「ええ全く……今まで色んなタイプの敵と会ったけれどね、一番許す事の出来ない敵だわ…… 史上最凶の敵じゃないかしら」 ロアンの叫びに続いて、溜息を吐きながら『自堕落教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)も往く。 時計は見ていた。故にタイミングは完璧だ。事前詠唱で魔力の活性化を済ませておけば、作り出すは魔法陣。“敵”の出現と共に魔力の弾丸を作りだし、 「当たって、滅びて、朽ちて、果てて、地獄に落ちて、もっぺん滅びよ! 二度とこの世に姿を現すなあ――!」 指差し同時に撃ち込んだ。 弾に含められるは単純な感情に非ず。怒りや憎しみ、さらには愛や正義が含まれている。後半の感情はどっから来た。とにかくソラはこの球体を撃ち滅ぼさんと全力である。 とは言え皆が皆必死と言う訳では無い。例えば、 「俺ニートだしなぁ。日曜日が吹き飛んでも……あんまり変わんないだよ」 『九番目は風の客人』クルト・ノイン(BNE003299)。彼がその一人である。えっ、理由? 今言った通りだよ! 「日本来て、アーク加入して、それから半年ぐらいかなニート歴? リベリスタとしての任務以外は全く働く気無いし……一ユーロの稼ぎすら無いと断言できるね! これだけは自信持って言えるようん! 親の財産目当て生活万歳ッ! ニート楽しいです!」 敵である月曜日もドン引きである。戦闘初っ端からニート宣言。どうしてこうなった! まぁ本人楽しんでいるのならなによりである。それに、だ。 「私も先程はああ言ったがね個人的な事を言わせてもらえば、私はディレッタント…… ま、とにかく無職な訳で。月曜日に向かって加速してもあまり問題は無いな」 クルトだけでは無い。彩音もそうなのだ。 ディレッタント。いわゆる学問や芸術を趣味として愛好する者の総称である。が、趣味の範囲だけでは仕事と言えない。どんな趣味を持っていようが無職は無職なのだ。悲しい。 まぁリベリスタと言えどそれぞれ事情が違うのは当然だ。アークに所属している以上、日夜緊急的に任務が発生する事もある故、時間の決まった職には就きにくい者もいたりする。無論それも“それぞれの事情”であるので一概には言えないが、 「その点、私の職場は快適で良い。出勤日が不定期だからな」 『ヤク中サキュバス』アリシア・ミスティ・リターナ(BNE004031)の様な者もいる。 神秘に理解のある会社と言うか企業と言うか集まりと言うか、とにかくソコに所属する彼女にとっては出勤日が不定期であるらしい。上司に確認したので間違いない、とは彼女の言。 「リベリスタシフト、副業オッケーで助かった。 今日も勤務扱いでここに来れたしな。あぁ真に社畜万歳――では行こうか」 月曜日への不安は無い。後方にて銃を構え、狙いを定めて引き金を絞り上げる。 銃撃音。 呪いの弾丸が空を切り裂き球体へと突き走る。着弾すれば鉄に当たったかのような音と共に銃弾が跳ね返って、 「貴方……“覚悟して来てる人”ですよね……?」 声が響いた。 場所は月曜日の背後……いや球体なのでどっちが前とか分からないが、多分背後だろう。 で、だ。そちらにドドドドドドという効果音が付きそうな体勢で『いとうさん』伊藤 サン(BNE004012)がいた。彼の口からは言葉が続いて。 「日曜を“始末”しようとするって事は、逆に“始末”されるかもしれないという危険を常に“覚悟して来ている人”って訳ですよね……日曜を吹っ飛ばす?」 一息。 「貴様――そのテーマソングで一体いくつの日曜を吹っ飛ばしてきた?」 お前は今まで過ごして来た日曜の数を覚えているのか? と、月曜が返答出来たなら返答しただろうが、あいにく口が無いので伊藤は無視して拳を叩きつけた。 「――月曜日の運勢です」 続く声は『下策士』門真 螢衣(BNE001036)。 放送するかのように淡々とした口調で綴るのは、彼女の星占いの結果だ。ただし、 「運勢が悪いのは牡羊座です。特に健康運、怪我や病気に気をつけましょう」 内容は不幸にのみ限るものだ。 そして言い終わるが早いか、言の葉の区切りを起点として影が浮き立ち球体を覆い尽くして。 「――!」 されど月曜も動く。 身を振るわせ、影を振り払い、音色を響かせ終焉を告げるのだ。 日曜よ終われ。彼方へと吹き飛ぶが良い――と。 ●夢か現か、ツッコミ放棄ッ 彼との出会いは遥か過去。 二十三時。公園の片隅で泣き声が聞こえたのだ。 人々より嫌われし月曜日――彼との初の邂逅はそこだった。 「彼は……優しい人なのです」 『月曜日からのシ者』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)は語る。 それから己は“月曜日からのシ者”になったのだと。月曜日に対する誤解を解く為、毎週日曜の夜に各家庭の自宅を巡り歩き、月曜日と共に月曜の到来をお知らせする様に成ったのだ。何それ怖い。 ともあれその行動はさながら絨毯爆撃訪問販売。知り合いの家に片っ端から襲撃、もとい訪れて、月曜を中に入れて欲しいと頼み込んだのだが、 ――間に合ってます。 ――お帰り下さい。 ――月曜はお休みだから大歓迎よ。 と、およそ三分の二がツンデレなだけで絶好調であった。ツン、デレ……? しかしそれだけの人数が好意的(?)に受け止めてくれても世界は変わらない。そして何より、長く共に居る事でシエルは気付いた。月曜日は、日曜日の事を、日曜日への、想いを…… 何時の日だったか彼は言っていた。 ――いいかシエル……“月曜”を担うは茨の道、修羅道を歩むに等しい事だ。 ――心は摩耗し、やがて怒りと争いの感情だけが月曜日を支配するように成るだろう。 ――故に、だ。もし俺が月曜としての道を誤ればその時は躊躇わず……いや、止めておこう…… 「あの時は分かりませんでしたが……今なら月曜日様の言いたかった事。分かります」 魔法陣を開く。 青白い光が紋章として輝き、陣として形成せば思う。 あの日々は夢だったのか現だったのか。全ては私の心の中で、 「いずれでも成すべき事に変わり無く、私が果たすべきは全力を尽くす事」 故に、 「月曜日様――貴方様を全霊賭して止めさせて頂きます」 魔力の矢を撃ち放った。 全力を込めている。手抜き、知らぬ。加減も知らぬ。 己が身に宿る熱は外に出さず内に溜めて燃料とし、それをもって静かな決意とする。 月曜を、止める為に。 「ぉぉお……! 復活なんて、させない……! 必ず殺すッ!」 殺る気全開。ロアンは依然として月曜日を殴り続けていた。 死の爆弾を月曜日に植え付けて、反動すら気にせずに倒すことだけを考えて殴る。殴る。殴り続ける。 「君を倒す為ならこんな程度の反動安いものさ…… 人々が、罪無き人々が毎週受ける痛みを知るが良い! 君の所為で一体何人の安息が奪われ、今なお怯える人がいると思ってるんだ――!」 「そうだ、その通りだ……だがロアンさん。“必ず殺す”……そんな言葉は使う必要が無いよ」 伊藤だ。ロアンの打撃に重なる様に月曜へと炎を纏いし一撃を繰り出して、 「“ブッ殺す”と、心の中で思ったならッ! その時既に行動は終わっているんだッ! 覚悟は良いか? 僕は出来てる!」 既に暗かった周囲は打って変わり、明るくなっている。 妙な感覚だ。吹き飛ばすと言うか自分達だけが遅くなっていると言うか…… しかしやる事は変わらない。月曜日を、一刻も早く倒す目的は。 「第一防衛ライン(7:30)は超えてしまったか……? 出来るなら第二防衛ライン(19:00)までになんとかしたい所だ……無人島を開拓する御話は面白そうであるし、な」 「くっ、日曜のテレビ番組は貴重なのに……ええと、今は何をやってるんだ!? ニュースか、ニュース番組か? それとも朝の料理番組辺りか!?」 引き金を絞りつつアリシアが言えば、追随する形で彩音が現時刻の番組表を思考。 いくつか(テレビ欄を参考に)想定した最終時刻防衛ラインを割らなければまぁ問題ない。今の所攻めは順調だし、まだ焦る必要は無いだろう。だから、 「では、火曜と水曜の運勢です」 このままの調子で攻めれば良い。螢衣もまた、星占いは継続しながら影を操る。 「火曜の運勢が悪いのは射手座です。金運が危険です。賭け事は控えましょう。 水曜の運勢が悪いのは蠍座です。恋愛で修羅場が発生しやすいです。刺されない様に気をつけましょう」 占われる不幸もやたら種類が多い。 健康、怪我、金運、恋愛、それから、 「木曜日の運勢で悪いのは魚座です。仕事や勉強に障害があります。思い切って休むのも選択です。 金曜日の運勢。不運は山羊座です。他人からの理解が得られにくいです。 会議や根回しなどをするのは危険でしょう。大人しくしてるのが最も低被害かもしれません」 仕事に勉強、理解すら不幸の内だ。 そして彼女が占う度に影が蠢く。波間の様に揺れ動き、影は実となりて球を縛る。 月曜の体は徐々に、徐々にではあるが瓦解を見せ始めていた。 「――!」 その時だ。月曜日が体を一段強く振るわせ、休日の終焉をリベリスタらへと伝達する。 先程から目一杯月曜日が行っている攻撃である。通常であれば多かれ少なかれこれでダメージを受ける筈なのだが…… 「えっ学校? 仕事? 何それ。俺にとっては明日も曜日が違うだけの何事も無いいつも通りの日なんだけど…… はい? 定職? あぁ近所の店で出るA定食なら好きだけど。それが何か?」 駄目だクルトを早くなんとかしないと! 月曜日が本気でドン引きしてる! まさかのノーダメージ! し、しかしだ。月曜日も阿呆では無い。いくらノーダメージ者が何名かいようと、まだ手はあるのだ。 「――♪」 どこからともなく音楽が流れ始める。これは、時間の加速を早めるスキル発動だ。諸々の事情で音楽詳細は述べにくいので、比喩で例えると、どこぞの猫が魚を咥えてどこぞの主婦が追いかけてる感じである。 「ハハッ! 良いぞ、もっとやれ! こうして時が過ぎ去るだけで家の光熱費が節約中……俺ニートだけど引きこもりじゃないんで、その関係はやっぱさ気になるんだよねー。節約は大切だよホント。お金ってのはやっぱ全額趣味に使わないと」 働けクルト(談:月曜日)。 しかしこれはチャンスとも、ピンチとも言える事態だ。加速が早まりリミットが近くなる代わりに月曜日の限界も近い合図。果たしてリベリスタ達は月曜日を仕留め切る事が出来るのか。 「そ、そろそろ後半戦かしら? ようやく終わりが見えてきたのね……ともあれ後半へ続く!」 ソラ先生。そろそろ後半じゃなくて終盤です。 ●月曜日「いくぞおらあああ」 攻撃も加速する。追加された音楽に彩音が即座に反応。 「そのテーマソングは確かに日曜の終焉を伝えるモノかもしれない」 でもね、と彼女は言い放ち、 「それは同時に――日曜日の象徴でもあるんだ! 月曜日たる者の使う技じゃないね!」 吠える。精神的な揺さぶり、効けば御の字程度に考えていたが、どうも効き目はあったようだ。 動揺、だろうか。若干月曜の動きが鈍くなったように感じる。 「チャンスだ! じゃんけんは最初にグーを出しつつ……そのまま抉る様にグーパンが基本!」 その間隙を突いてアリシアが後方から近接へと走り抜ける。 距離を近接に。銃口を零距離に構えれば、呪いの弾で穿つ。 ――月曜の体が大きく揺れた。 「今日は良い天気でハイキングも出来たのに――! 月曜日なんて来るな! 滅べ! バーカ! 私は日曜日とずっと一緒にいたいの!」 明日が学校で仕事だからか、随分ソラ先生は御立腹である。 愛する日曜日を奪うなど許さない。私が法だ。月曜日などそこいらの塵にも劣る。 全てを掛けて彼女は月曜を抹殺する気である。 「ハッハッハ! ねぇねぇニートには無効と言ってたらホントにニート来て今どんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち?」 ……凄く……攻撃叩き込みたいです…… しかもクルトも棒立ちで無く速度を生かした武舞を叩き込んでくるので尚タチが悪い。なんで戦闘ではニートじゃないんだ! 「では、土曜日の運勢です。運勢が悪いのは双子座です。失せものが出るかもしれません。 こまめなチェックを推奨です。そして――」 螢衣だ。月火水木金土の占いはこれにて終了。終幕、日曜の星占い結果は、 「……日曜はあっという間に過ぎ去ってしまうかもしれません」 ですが、 「月曜もまた同様です。私が占い、貴方が傷付きましたから。 そしてそれは次なる日曜の到来を意味し……確かに来るのですよ。次なる日曜は」 明けない夜は無い様に。朝日が必ず登る様に。 「人間の希望は――常に残ります。休日への希望も、人々が望み続ける限り」 影が動いた。 数度と行った不吉の影だが、ここに来てそれは最高の純度を持って月曜に襲いかかる。 絡めて捕えて数多の不を球体に伸しつければ、瞬間。 「日曜を……諦めてたまるかッ! 明日って“今”さ!」 伊藤が、 「毎日が日曜たる“覚悟”とはッ! 暗闇の荒野にィ! 進むべき日曜を切り開く事だッ!」 炎を両腕に漲らせる。そして、 「いいか……この業炎撃は日曜の分だ……そして次のも日曜日の分だ…… その次もッ日曜日の分だッ! その次も、次も、次も、次もォ――!」 殴る。殴る。殴る。殴る。殴るッ! 連撃などでは無い。だが彼の一撃で月曜日に亀裂が走り、それは全身へと広がっていって、 「日曜ォ――! 仇は、取った、ぞ……!」 亀裂の中心へと拳を抉りこませて――正真正銘、文字通りに月曜を砕き割った。 リベリスタらの勝利である。 ●日曜は救われた 「月曜日……確かに強敵だったが、教会関係にはあまり休日の意味が無いからね。 むしろ日曜の方が人多いし。人多いし。人多いし! だから僕は御酒を飲もう!」 ストレス溜まってるんだろうか。ロアンが愚痴る勢いで酒を求め始めた。 時刻は夕刻――いや、まだギリギリ昼と言って良いだろうか。そんな時間帯だ。日が落ちるよりも早く倒せたのは幸いと言うべきか。 「おお神父様お疲れ様。実はこの近くにヲサレなバーを見つけたんだが――どうだろう。時間があるなら一緒にどうだ?」 「それは良いね。何より一杯引っ掛けようかなと思っていた所なんだ。付き合うよ。 どうせ明日は寝坊だ!」 休日の魔力とは恐ろしい。 人を容易く酔わせる力を秘めている……まるで悪魔の様である。天使とも言えるが。 「よっし、よっし! よっしゃあ――!! 終わった、終わった!? 終わったわよね!? まさかこの後第二形態に変身とかそんな事は無いわよね?! 私は休日を貪るわよ……明日の事なんて知らないわ! 寝坊も遅刻も私を止める材料にはならないのよ!」 ソラ。休日の闘いから解放されて御満悦のご様子。 明日が大変そうなテンションと行動だが、まぁ、多分、きっと、大丈夫だろう。うん。 そして、シエルが砂と成って消えて行く月曜日の残骸。その比較的大きな部分を抱きしめて、 「何故でしょうか……貴方様の事、私は――」 一息。 「嫌いじゃ、ないです……」 感慨深く“月曜日のシ者”は呟いた。その目端には涙も見えて…… ともあれこれにて月曜日のテロはお終い。 ……そうだ。日曜の最後と言えば、締めはこれである。 じゃん けん ぽんッ! うふふふふ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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