●夜の街に現れた八人の男たち 夜の街には悪徳が蔓延る。神秘があろうとも、神秘がなかろうとも、それはこの世の理だ。 今日もまた、一つの街を舞台にマフィアたちが争っていた。地元のマフィア同士の戦いで、戦いの理由は大したことではない。それでも今まさに銃弾は飛び交っており、夜の闇に隠れた抗争という体を成している。 「オラッー!」 マフィアの一人が叫び、自動小銃のトリガーを引く。死を意味する銃弾が敵対マフィアの体を貫いて血の海を作る。 「グワーッ!」 マフィアの一人が叫ぶ。一人が死んだぐらいではこの戦いは終わらない。決着が付くまでこの殺し合いは続く。……そのはずだった。 この戦いを終わらせたのは、突如その場に現れた男たちだ。ホッケーマスクで顔は分からなかったが、ひと目でイカれているとマフィアたちは分かった。 その男たちの手には釘バットが握られていたのだ。そして、彼らは黒いコスチュームに身を包んでいる。 男たちの存在に、マフィアたちは恐れおののいた。見るからに正気ではないし威圧感もある。 男たちはマフィアたちの元へと歩いてくる。銃を向けたところで彼らは止まらなかったので、マフィアの一人は怒号を挙げた。 「ヤンノカコラァ! ッスゾコラッー!!」 だが、男たちは不敵な笑みを崩すことはなく、釘バットを手に近寄ってくる。まるで銃など怖くないと言うように。 「イカレテンノカ?」 マフィアが放ったその言葉は、ある意味真実である。彼らは正気ではない。 だが、彼らはこういった。 「俺たちは、ヒーローだ。その名も……エイトマン!」 「エイトマン!」 その後も何人かが続けてエイトマンと叫ぶ。マフィアたちはその叫び声と共に気付く。酒臭い。 「アッ? ヨッパラッテンノカ?」 「酔っ払ってなどいない!!」 だが、しかし。明らかに酒臭いし、目の前の奴らは釘バットだけでなく一升瓶も抱えている。顔も赤い。 それだけ見れば宴会から抜けだしてきたような奴らだ。 「言い訳はそれだけか! 正義の鉄槌を受けよ!」 だが、彼らは銃弾を恐れずに向かってきた。一升瓶と釘バットを掲げて――マフィアの脳天をかち割りに。 マフィアはこれに失笑しながら銃弾を放った。先までは異様な雰囲気に飲まれていたが、ただのイカれた酔っ払いだと分かればこの一発で黙るだろうと考えたからである。 その考えは甘かった。 彼らは、エイトマンは神秘に守られたフィクサードだったのだ! 結果、二つのマフィアは壊滅。逃げようとした者も、追いかけてきた男によって脳天を割られた。瓶のカドで。 「正義はかならず勝つ!」 被害は甚大である。 ●酒臭い厄介な奴ら 空の一升瓶を眺めている『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)の姿があった。前屈みの体勢で、じろじろと角を見ている。 「うーん、一定の硬さと一定の長さ、それに角度があれば十分に武器足りえるのね」 なにやら納得をしているところを見ると、乃亜の研究癖が出ているようだ。白衣から分かる通り、彼女は研究職なのである。 だが、フォーチュナだ。キミたちに気づくと、乃亜は慌てて資料を取り出して皆に配った。 「と、ごめんなさいね。今回の相手はこういう相手よ」 資料に書かれていたのは、酔っぱらいのオヤジたち。奇妙な黒いスーツに身を包み、ホッケーマスクをかぶっているが手に持った一升瓶と千鳥足でふらつく姿は明らかに酔っぱらいだ。 「場所は街の裏路地。ここを根城にしているスリの常習犯が、この男たちに殺される未来が見えたのよ」 カレイドシステムによれば、この男たちは自分勝手な正義を振り回し“私刑”を行なっているのだという。そして今回もその私刑を行うつもりなのだが……、 「当然止めなければいけないわよね。……今回は特に、女の子が狙われるみたいだから」 写真を見せる。そこには女性の姿があった。その胸は豊満である。 「もちろん彼女が悪いことをしたことには変わりないわ。だけど、それで関係ないフィクサードに殺されるのは理不尽よね。……だから、お願いね」 また前屈みになりながらも、今度はリベリスタの方を見ながら乃亜は親指をぐっと立てる。 グッドラック、とでも言いたいのかもしれない。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月27日(木)22:48 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●酒臭く胡散臭い敵 暴走をしているフィクサード集団エイトマンを倒すため、街を往くリベリスタの胸中はそれぞれ違ったものであった。 確かにエイトマンは暴力的でおかしなことをしている。だが、今すぐに対応すべきことか? 「世界をエリューションから守るだけなら、エイトマンなんて放置すればいい」 そんな疑問から、前述の結論を呟いているのは『エンジェルナイト』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)だ。少女らしく小さな体を一生懸命に振り上げながら、一生懸命に世界を案じているのである。 「けれど、私はやっぱり見過ごせないよ。理不尽な暴力に泣く人を助けてあげたい。できるだけ多くの人を救ってあげたい」 だけど、やはりそこは全てを守ろうという目標を立てているセラフィーナだ。使命感に燃えて、腕をぎゅっと掴んでいる。 「それが私の正義」 きっと色んな正義がこの世の中にはあって、それをセラフィーナは知っている。 「傷つけることが正義じゃねえ! 目の前の誰かを助けてこそ正義だろーが!」 同じく正義に対して思うことがある『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)は中性的なツリ目を険しく引き上げて、足を振り上げながら心の中を吐露していた。そんな中でもウサギのような耳がピコピコと可愛らしく動いているのが、少しシュールだ。 「エイトマンっつったな、酔いと一緒にテメェらの目ェ覚ましてやるよ!」 虚空に向けて何度も足を蹴り上げながら、真っ直ぐな目はまだ見ぬエイトマンへと向かっている。 「神秘界隈でも節度を弁えない酔っ払いが迷惑なのは変わらないですね……」 頭を抱えて、これから戦う相手を考えると脱力したくなっているのは『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)だ。ため息を一つついてから、拳をじわりと震わせる。 「まさか、マフィア組織を潰したから正義だなんて思いませんよね? 裏社会には裏社会なりのルールがあるんですそれを徒に乱せば結果として苦しむのは何の罪も無い人々なんですから」 それから、長い黒髪をなびかせ、Gカップな胸を揺らして気合を入れる。自分なりのルールに従って、自分なりの怒りをぶつけるためだ。 「まあ、正義など口だけの自己満足に浸った相手に言っても無意味でしょうけれど」 だからこそ、力を込めて鉄の拳を振り上げる。可愛らしくも凛とした顔は、豪快ながらも真っ直ぐに前を見ていた。 「色々変り種の任務も多かったですが、よもや酒飲みと戦闘する事になるとは思いもよりませんでしたね」 いつも通りの無表情ながらも彩花の言葉を聞いて答える『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266)は、過去に起きた事件のデータを頭の中で整理していた。色んな敵が居たが、ほとんどただの酔っぱいな相手は珍しい。 「普通に考えれば相手の思考が朦朧としている上に、千鳥足などではロクな回避行動も取れないでしょうから、こちらがかなり有利に思えるのですが……。まったく何故あの様な飲料を好むのか理解できません」 その為、酒についてリーゼロットは腕を組んで少し考察してみる。だけれども、答えは見つからずに悶々とするしかない。その考察で何が起こるかといえば、首を傾げ、腕を組む力が強くなって巨乳が強調されるぐらいだ。 「さて、自分は何時も通りアークの障害を排除するのみです。アークの敵に風穴を開け、アークに利益を」 それはともかく、武器を構え直し、耳のAFをセットしなおして戦いに備える。リーゼロットのやることはいつも一つだ。 「すべき事を、歯車のように」 帽子をかぶり直し、無表情に進む。 「殺さないならマフィアを懲らしめるのはいいよ。殺さないならスリをした子は叱って説教をするのもいいよ」 先のリーゼロットと同じように、腕を組んで大きな胸を持ち上げているのは『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)はやはり考え事をしていた。題材はやはり、エイトマンの独善について。 「お酒に酔って普段の理性が消えちゃうってのもあるかもしれない」 食堂の看板娘として働いている凪沙にとって、酒で酔っ払う人間というのは珍しいものではない。そして酒に溺れて理性を飛ばしてしまっている人間もたまには見る。 だから、理解はできる。それでも、 「でも、あんたたちは立派な殺人フィクサード! アークでお説教してから罪を償ってもらうよ!」 許せないものは許せない。誰であろうと人を殺してしまうということは、その未来や運命すら奪ってしまうということだ。 「なんでフェイトはこんな奴を選ぶんだよ……」 だから、運命とは何かという点に行き着く。それでも、肉まんを食べながら凪沙は襲われている少女を助けたいと強く思う。 「ブッダの上で踊るマジックモンキーということだな」 それに応えたのは以外にも眼鏡を指の腹で上げる『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)だ。何を言っているのかは分からないが、なんとなく励ましてくれたんだなと凪沙は感じた。 「裏路地めいた空間で、酔漢が少女に襲いかかる、か」 戦場となる場所の状況を考えて、ベルカはぴこぴこと犬耳を動かしながら頭をひねる。そうすることでベルカの大きな胸も弾む。 「実際チャメシ・インシデントだろうし、それだけならマッポの出番だろうが……」 マッポとは警察機構のことだ。酔っぱらいの対策といえばそれが一番なのだが…… 「今回は神秘の絡みだからな。我らの出番だ。ガンバルゾー!」 バンザイをするベルカだった。 「エイトマンの……飲み過ぎてえーとマンってところかね?」 だいたいの理解を口に出して示しながら、『√3』一条・玄弥(BNE003422)はタバコを吹かしてる。 「酔っぱらないなんぞ他人の迷惑以外のなもない。地獄いきでも仕方なしでさぁ」 下品な笑いを浮かべて、手の中で賽を転がす。卑屈に腰を低くして、他のリベリスタたちと距離を取っているのは彼らの正義や理念と自分が違うことを自覚しているからか、それとも単に面倒を避けているからか。 「あっしも飲みたいのに先に飲み腐って死にさらせ。くけけっ」 玄弥を表す奇妙な笑い声。 「タバコの次は酒だなぁ。女は後でいい」 先を行くリベリスタたちの後姿を三白眼を使ってどこか卑しくいやらしく見つめながら、玄弥はそう言い切る。何かを感じたのかもしれないし、単に面倒だと思ったのかもしれない。 さて、状況は進む。酒臭い路地が見えてきたところで、リベリスタたちは皆警戒を始めた。 この先にはエイトマンがいるだろう。 「……さて、行こうか」 だからこそ、リベリスタたちは足を速めた。待っている人がいるから。 ●性別不明の王子様 エリという女子高生がいる。彼女は今、酒臭い男たちに迫られていた。“そういう”身の危険は何度か感じたことはあるが、今目の前にいるのは明らかにこちらを殴打しようとする男たち。 「ひっ……! 来ないで……!」 口々に妙なことを口走りながら、酒瓶を振りましてやって来ているのは、恐怖以外の何物でもない。 「まずはフラッシュ・ジツだ。イヤーッ!!」 そこに投げ込まれたのは閃光。ベルカのフラッシュバンによる目暗ましがエイトマン達に投げ込まれたのだ。 「少女を巻き込むわけにはいかなかったか。同志たちよ、後は頼むぞ」 投げ込まれたフラッシュで動きを止められたのは一瞬。しかも、エリの近くのエイトマンは止められなかった。だが、ベルカは閃光を浴びて少し泣きそうになりながらも仲間を信頼した。 「ギリギリ無事みてーだな、助けに来たぜっ!」 「先には行かせないよ。生活指導する前にちゃんと素面に戻ってもらうからね」 エリとエイトマンの間に割り込んでいったのは、ヘキサと凪沙だ。更に、振り下ろされようとしていた強気に酒瓶を受け止めて見せる。 「わたくしの名は大御堂彩花! あなたたちの蛮行! 神秘が許そうとこのわたくしが許しません!」 威風堂々。彩花は名乗りによって目立つことで男たちの注意を向けさせる。大きな胸もこういう時に役に立つ。 「正義は人の数だけある、有名な言葉ですよね。悪事の大小に関係なく死を与えるのも、その人なりの正義だと思います」 そうして彩花に注目が集まったところで、力いっぱい突撃して酒瓶を狙った攻撃を始めたのはセラフィーナだ。刀は見事にエイトマンの一人が手に持っていた酒瓶に直撃し、音を立てて驚かせる。 「……キリエさん!」 「ありがとう。……失礼。逃がしてあげる、しっかり掴まって」 そうして開いた道に満を期して現れるのが、『不機嫌な振り子時計』柚木 キリエ(BNE002649)である。片手で帽子を押さえながら、片手でエリの手を掴んで一目散に逃げ出す。 「……あっ」 エリは一瞬何が起こったのか分からなかったが、美形で整った顔が目の前にあって、その人が自分を救いだしてくれたということは分かった。 「あっ、あっ」 だから、何かお礼を言わなきゃと口をもごもごと動かして見せるが、それよりも早く。 「あんな所で寝泊りしてて、怖くなかった? ガッツあるね。でもこれ以上は危ないから、家にお帰り。可哀想に、髪もばさばさだよ」 それよりも早くイケメンだった。ぼさぼさになったエリの髪を直して、にっこりと笑いかけている。まるで王子様のようだと、エリは放心した。 「意志が強いのは良い事だけど、それと意固地になる事とは違うよ。子供に見られたくないのなら、冷静に一人の人間として、ご家族と向き合ってみたらどうかな」 それに、自分の事情を見透かしたような意見も目の前のイケメンは言っている。頭の中は混乱したままだけれども、なぜだかその言葉は従わないといけないと思った。王子様の言うことだし、まだ夢見心地のような気もするから。 「……は、はいっ」 いつもは強気なエリだが、この事件の最中はしおらしかった。頭が混乱しているのもだけれど、王子様が王子様過ぎたから。 「次はもっと素敵な場所で会えるのを期待してるよ、お嬢さん。またね」 そう言って王子様ことキリエはエリの背中を押して見送る。中性的で落ち着いた雰囲気だけど、どこか力強いその顔に従うのが正しいと思ったから、エリは走り出した。 「まぁ……オレも前にやったことあるし、あんまり強く言えねーよ。けどなんつーか、うまく言葉にできねーけど……。スられた相手も、アンタの親も…アンタ自身も結局は不幸にしかならねーんだ。助けたオレたちも……その……悲しいし、さ」 ちょっと子供っぽいウサギくんにまで言われてしまっていた。なので、エリはこの生活を考え直そうと思った。 「……逃がさないよぉ~」 そこに、酒瓶を持ったエイトマンの一人が迫る。なんとも空気の読めない。 「どやどや」 そのエイトマンに飛びついたのは玄弥だ。くけけっと笑いながら、思う。 (おっぱいなぱんぴーのねえちゃん命拾いしたなぁ) 一般人を軽視している玄弥らしいといえばらしい。それはともかく、奪命剣を使って押し倒したエイトマンをいたぶっていく。 「これがええんかぁ~ええのんかぁ~」 ちょっと過激にやっているのも玄弥らしい。 「……ともかく、キリエさんはお疲れ様です」 結界を張りつつハニーコムガトリングの銃撃によって逃げ道を確保するリーゼロット。 そのお陰でエリは見事に逃げ出すことに成功するのだが、途中、過激な行動を無表情でするリーゼロットに驚いて二度見した。 「……私の知らない世界があるんだ」 エリはそう思うことにした。 「そういうことですわ。今回の事を少しは教訓にしてもらいませんとね」 更なるエイトマンの攻撃からエリを庇いながらも、人差し指を可愛らしく口元に持っていく彩花。お口にチャックなポーズから暗にこのことは秘密と伝える彩花が放つ無言の迫力に、エリは頷いて去って行った。振り返らずに。 「ふう。……さて、ここからが本番だよ」 キリエは慣れないことをした疲れを大きく息を吐くことで誤魔化してから、天使の息を使って自分と味方の傷を癒していく。 エイトマンはまだ健在で、まだ戦う気がある。 「本当なら、投降して欲しいんだけどね」 やれやれこっちも厄介だと、帽子を深く被り直すキリエだった。 ●決着も酒臭く 戦いは続いている。凪沙が観察したところによると、エイトマンたちは単純な近接攻撃してこない相手だと分かった。だけれども、その攻撃の威力と数の多さが厄介だ。 「ひゃははっ、昼間から酒とかええ身分やんけ。殺す……」 適当に酔拳っぽく対応しつつ、飲んでいることへの妬みをいれた玄弥が魔閃光を使ってエイトマンの一人をぶっ潰してみせたが、それを恐れない男たちに囲まれて酒瓶や釘バットで殴られ吹っ飛ばされてしまった。 「……金を置いてけ! でも、殺す!」 くけけっ、と笑いながらフェイトを使い立ち上がる。エイトマンも恐れがないが、そのエイトマンに対する恐れがないのが玄弥だ。 「どうせ、酔っ払ってないとか言うんでしょ。でも、それダウトだよ」 臭い息を掻い潜りながら壱式迅雷によって集まってきたエイトマンを蹴り飛ばしていく凪沙。しかし、そんな凪沙にもエイトマンたちはゾンビのように迫っていく。 「あわっ! そんなところ掴まないで!?」 服の裾を引っ張られ、バランスを崩したところに釘バットと酒瓶が叩きこまれる。 「うーあー……。防具が酒臭くなったよぉ……」 泣きそうになりながらも胸に迫った手を力強く弾いてフェイトを使って復活。いろいろと辛い凪沙だった。 「セクハラも酔っ払いのスキルですか。気をつけましょう」 そんな様子を見ながらしれっと距離を取るリーゼロット。そうしながらもきっちりとハニーコムガトリングで追撃をし、凪沙が蹴り飛ばしたエイトマンを戦闘不能にしていく。 「酒に酔ったうえでの私刑行為、ほとんど違法にして実際卑劣である。その正義感は間違っていないが、力の使い方が成っていないぞ! ノーカラテはノーフェイトである」 そこで挑発によってエイトマン達の動きを止めるのはベルカだ。でも何言っているのか酔っていてよく分からないのでエイトマンたちは首をかしげた。 「たとえ貴様らが世界に愛されていたとしても、見過ごせん。大人しく暴力行為を止めて我らの話を聞けば良し、さもなくば……ハイクを詠ませる事になるぞ。イヤーッ!!」 「グワーッ!!」 だけれども、フラッシュバンの閃光は見事に受けてのけぞるエイトマンたち。 「さて……。酔い醒ましに少々キツい一撃をお見舞いしてあげましょう!」 のけ反ったエイトマンたちを狙い、壱式迅雷によって雷となった彩花がなぎ払っていく。先のフラッシュバンが見せた閃光のような連続攻撃が、エイトマンたちを戦闘不能まで一瞬で追い込んだのだ。 「……本当は正義を免罪符にして暴れたいだけなんじゃないですか?」 残ったエイトマンたちに問いかけるようにしつつ、セラフィーナは刃を構える。その問いかけは的を射ていたのか、エイトマンたちに少しの動揺が見えた。 「お酒に飲まれ、集団で殺人行為をするに至った犯罪者。それが貴方達、エイトマンです!」 そして、言い切る。反省をしてもらう為に、刃を構えアル・シャンパーニュによって一体を撃破。美しく舞うその動きに気を取られているところを――、 「歯ァ食いしばれぇッ!!」 ヘキサのソニックエッジが入って蹴っ飛ばす。さっきからエイトマンが蹴り飛ばされてばかりである。 「“ウサギ”の一撃は……これで終わりじゃねえぜッ!」 それでも倒れなかったエイトマンに、もう片方の足を振り上げてソニックエッジを叩きこみ、完全に地面に倒れさせた。 「……さてさて。これで残りはあなた一人だ」 天使の息で仲間たちを回復しながら、キリエは淡々と投降を進める。脅し、というわけではない。割と天然でやっている。 「投降しない? 貴方達はやり過ぎた。けれど貴方達が過ちを認めて二度と行き過ぎた私刑をしないと誓うなら、私達もここで貴方達の命を奪う事はしない」 「あなた達のお仲間は、すべて捕縛しましたわよ」 「世界について分からないことがあるなら、私たちが答えよう」 キリエの言葉を裏付けるように、彩花とベルカが補足する。 「貴方達が本当に善き事を望んでいるのなら、互いに傷つけあう事は無意味でしょう?」 キリエの説得は続く。圧倒的に不利な状況に酔いも冷めてきたのか、最後のエイトマンは説得に頷いた。それを見てキリエはほっとする。 「きちんと罪を償ってください。それに加えて、今後一生禁酒です! いいですね!」 「塩ラーメン作ってあげるから、それで我慢してね!」 そういう罰が決定して、戦いは終わった。後処理はリーゼロットの呼んだ処理班がうまくやってくれるだろう。……当のリーゼロットはまた酒という飲料について腕を組んで考え込んでしまっているが。 「ふう。随分とお酒の匂いが染みついた王子様になっちゃったね。これもハッピーエンドの代償かな」 キリエは変化した自分の匂いを感じながら、なんとも言えない気持ちになっていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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