● 夜の帳と雲に包まれて、それはそっと降りてくる。 誰もいない廃れた公園。 そこには、誰も手入れしないままの大きな椿の木が群生していた。 濃い緑、つやつやしたはっぱ。 花も終わり、愛らしく実った椿の実は、緑から赤のグラデーション。 身長一メートルに満たない「小人さん」は、アザラシのような姿をしている。 つるりと油をまとった毛足の整った表面。 顔のところだけ開いていて、人のような顔をしている。 むっちりとしたほっぺが3D。使命感に燃えたまなざしと口元はきりりとしつつ、あどけない。 小脇に抱えて、かいぐりしてやるってなもんだ。 そのちょっとむっちりしたフォルムは、まさしく浜辺に打ち上げられたアザラシ。 もしくは、歩く寝袋。 いや、さすがにこんな小さいサイズはないだろうが。 足は二股に分かれていて、なんととっとこ走れるのだ、すごい。 椿の木に、熱く激しいヘッドバッドをかました。 どっしーん。 ● 「アザーバイド。識別名『しーるず』。おててあるけど、ないないしてて使わない。異文化は尊重するべき」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、無表情。 「この世界の椿油がお気に入り。そのため、世界のどこかに現れて、木にヘッドバッドや体当たりをかまして、実を落として、拾って、去っていく。短時間だし、規模も大きくないし、必ず帰るし、去年も放置したんだけど」 モニターに現れる椿。 かなりの古木らしい。 「この椿、そろそろ椿の精――E・フォース――を形成させてもおかしくない程度に古い」 それに、熱く激しいヘッドバッドですか。 「仏の顔も三度まで。それを過ぎると、E・フォース、識別名「玉椿」、及び「太郎冠者」が発生。『しーるず』を殲滅。その後なにもしなくても、E・フォースである以上、放置は出来ない」 要は、発生させずに椿の実を頂けばいい訳だ。 「ヘッドバッドしようとする『しーるず』をブロック。もしくは椿をかばい、『しーるず』のかわりに椿の実を穏便に採取。『しーるず』に渡す」 イヴは、モニターの椿の枝に丸をつけ、「これをとる」と手書きキャプションをつけた。 「止めるためには、むぎゅっとしちゃうのが一番早いかな。油でぺとぺとになるかもしれないけど」 寝袋の毛皮の手入れに椿油。 「目標、200個。がんばれば、1ターンに一人10個行ける。どういう人数構成にするかは、チームに任せる」 今回は、攻撃はしないで。と、イヴは言う。 「めぐり合わせの問題だし。攻撃したら、ショックで死ぬし。あ、雷も厳禁。音だけで、すごく弱るよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月12日(水)23:12 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● そのまんまるいのがほしいの。 触れた思考はとても幼かった。 それをもってかえって、ぐちゅぐちゅして、ぎゅうぎゅうして、ぺとぺとするの。 その姿も幼子のようだった。 どうしてもいるの。 きりりとつりあがった眉毛も、まなざしも、引き結ばれた口元も、高潮した頬も。 覚悟ににじみ出ていた。 だれかひとりでもかえれればいいの。 それが当たり前と思っているようだった。 だから、じゃまをしないで。 ● 『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)は、時折河川に姿を現す海生哺乳類を思い浮かべていた。 (アザラシさんは可愛いのです……見ていて癒されます……) そして目の前にいるアザーバイドの集団を凝視する。 (良き隣人であるしーるず様達も負けず劣らず可愛いのですっ) ぐっと握りこんだ拳は、拳骨の準備ではない。 かわいらしさに取り乱さないためだ。 (さりとて椿の木もお見事の一言……ええ……緑を大切に……でございますっ) ぐっと握りこんだ拳は、自然保護の心の現われだ。 「何とか事を穏便におさめたいものでございますね……」 全くです。と応じるのは、『下策士』門真 螢衣(BNE001036)だ。 「厳しい生存競争は神秘の動物の世界にも影を落としているのですね。 神秘だからこそ厳しいのかもしれません」 次元を超えての油の奪い合いだぜ、いえぁ。 「とはいえ、被害が少ないに越したことはありません」 大丈夫と、『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)が請合う。 「今回の報告署には、何も事件は起きなかったと書かれる事でしょう。 難しい作戦になるでしょうが、私達ならきっと出来ますよ」 ああ、なんだかとっても胸が熱くなって闘志を掻き立てるお言葉です。だがしかし。 「ねえ、皆さん?」 素直に相槌が打てないのは、なぜだろうなぜかしら。 知り合いだと思われるのに一瞬躊躇したくなるんですけどなんで毒々しい赤に黄色の水玉なきのこの着ぐるみ着てくるのかな今回の案件にきのこ関係あったかな趣味なのかな怪人だからかな教えて九十九さん! 「なんとも可愛らしいヤツらだな」 『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)さんは、対友好的アザーバイド接触担当として実績を積んでいる。 「この世界をより素敵だと思ってもらえるように。頑張ってこうか!」 素敵な世界。 『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)は先ほど見上げた背後の椿を思い出した。 (こんな立派な椿さんを、枯れさせる訳にもいきませんよね。これから少しお騒がせして しまいますが、どうかご容赦を) 「自分の身を痛めてでも集める必要のある実ですか……生死に関わるとの事ですが、私達が信頼を得られるまでは必死で向かってきそうですね」 『空中楼閣』緋桐 芙蓉(BNE003782)は、きりりとしているしーるずの様子に思案げな表情を浮かべる。 思慮深さとは釣合いを欠く幼女態は、革醒が彼女に間たらした肉体変化によるものだ。 「最初こそ誤解されるかもしれませんが、実を集め終えるまでにはなんとか誤解を解いておきたいところです」 ふんすふんすとあどけなくも鼻息荒いしーるずに、芙蓉は小首を傾げる。 「……誤解が解けたら、頭を撫でても良いでしょうか……?」 しーるずのいとけなさは、別れて暮らすことを余儀なくされた孫の幼い頃のようだった。 いいんじゃないかな。いいんじゃないかな!? ちょっとつつけば死んでしまうしーるずを倒すのではなく、さりとて椿が枯れるに負かすでもなく、リベリスタ達は両方を守ることを選択した。 しーるずをブロックしつつ、代わりに椿の実を収穫するのだ。 決して、しーるずと束の間だきゅだきゅコミュニケーションしようとしている訳ではないので、その辺は誤解の無いようにしてもらいたい。 ● 「俺は椿狩りの男、シャドウブレイダー!」 びっくりするほど厨二臭。びっくりするほど厨二臭。 背中にかご背負って、高枝切りバサミ片手に、特撮的ポーズとってるこの人どうしたらいいの。そっとしておくのがいいの? 椿の樹によじ登り、背負いカゴに、もいだ実を次々と放り込む。 樹を傷つけないように、なるべく葉も落とさないようにする。 「手の届かない枝にはコレ! このアーク購買部謹製高枝切り鋏を使えば簡単に実をもげるんですねーっと」 この日のために買い込んだのだ。 果物キャッチブレードって、使うとこんな感じなんだぁ。 「灯りは、懐中電灯よりもランタンの方が全体を照らせて良さそうですね。奥まで照らす必要はありませんし…今回は木の実探しですから、一度に広範囲を照らせる方が見やすそうです」 つやつやした緑の影に埋もれるように、実がなっているのが見て取れる。 同じく、高枝切りバサミを使っている芙蓉と目が合い、えへへと笑う。 なんか楽しくなってきた。 影継と芙蓉は、椿の実を回収すると、一度手を止め、夜の梢の中に目を凝らす。 「暗視で色が分かるから、夜でも安心だ」 「椿油は熟して落ちた実の種からの方が良く取れるという話も聞きましたが……しーるずさん達は体当たりをして落とした実を求めているようですし、まだ木に生っている実を探したほうが良いのでしょうか?」 芙蓉は、疑問を口にする。 「じゃ、できるだけ赤いの採ることにするか」 「その辺り、しーるずさんと会話の出来るエルヴィンさんに確認した方が良さそうですね」 芙蓉にとっては、影継など孫みたいなものだ。 「よし、今ので15個行ったぜ。まあまあだろ?」 採りすぎて時間を無駄にしないよう、必要な数を採集したらすぐに体を張って足止めしてくれている仲間の下にはせ参じられるよう、報告してくれていると分かっているが、なんだか芙蓉にはほほえましい。 「そうですね。私は十二とりました。影継さんはお上手ですね。これならしーるずさんをあまりお待たせすることはなさそうです」 螢衣は、ふかふか天使君という名のぬいぐるみを宙に放つ。 本体と比べてもやたらと大きな羽根なのは、実際に飛ばすことを目的としているからだ。 木々の梢をぱっと見羽根が生えた新生児が付与付与富んでいるのは、なかなかシュールな光景だ。 「一緒にしっかり働きなさい」 そう言って聞かせる慧は、若い母親の風情だ。 (シンクロして効率化とも考えましたが、高枝切りバサミは用意してませんでしたからねぇ) 自力で行くしかあるまい。 紅葉のような手で椿の実を持ってくる式神に、螢衣は満足げに笑みを浮かべた。 ● 「私はいずれでもなく……回復支援に徹します」 これほど巨大な古木を頭突き三発で枯死の危機に晒す衝撃、生身で受ける仲間のことを考えられると、そうした方がいいだろう。 大好きな単純反復作業を放棄する程度に、シエルは緊迫感を持っていた。 「「癒しに特化した我が身なれば……東西の魔力生成術……惜しみなく用いて只管癒してみせましょう……」 東方、丹田にて練られし気より沸く魔力。 西方、詠唱により体内から湧き出る魔力の泉。 身の内に神秘の機関を有する鋼の眷属さながらに、シエルの魔力は練成される。 「ご存分に」 静かな決意とともに、僅かに宙に浮いた和装の少女態が、ちょうど椿の実を摘む最前線と、しーるずを防ぐ最前線の中程で、高貴なる福音を召喚しようとしていた。 うおりゃ~。 とととととととととっ! ――どすっ。 しーるずは、九十九のビア樽的きのこの着ぐるみ軸部分に文字通り突き刺さるように飛び込んできた。 一見きのこの串刺しだ。 「ふくおおおおおおおおぉ――」 九十九は苦悶の声を上げつつも痛みを受け流し、しーるずをがっちりつかもうとするが、毛皮の表面に塗られた油でつるんと滑って今一つホールドがおぼつかない。 というか、着ぐるみごしっていうのがだいぶハンデだ。 ここは腕全体で抱っこせねばなるまいベアハッグ。 むぎゅっ。 (前に進ません) じりじりじりと、、そのまま見た目よりずっと重たいしーるずを抱えつつ、仲間たちから距離を置く。 人攫い、いや、しーるず誘拐じゃないよ? そんなこと考えてないよ? (味方の攻撃に巻き込まれて死亡とか、可哀想ですしな) 九十九さんは、常識的で義理人情に少し厚い普通の人です。 本人が言ってるから、間違いないよ。 「くっくっく、このキノコの着ぐるみに詰まった綿が、どんな衝撃も吸収しますぞ。私はこの技で、多くの格闘家を無力化してきたのです……まあ、実際の所は単に回避してるだけなんですけどな」 九十九は、巧みに急所をずらし、しーるずのじたばたをあらかた封殺してしまう。 「ごふ……っ」 時折通る一撃が、いい感じにいい感じのところをえぐるだけで。 「大丈夫です。私、怪人ですから……」 夏の名残。 濃密な緑の中に、漆黒の点、 光を飲み込む黒が、惟の武具となる。 暗視ゴーグルをかけて、闇と一になり。 (格好のせいで怖がらせてしまわないだろうか……?) しかし、備えを解くことは出来ない。 仲間が十分な椿の実を集めきるまで、しーるずに椿を傷つけさせないのが、惟の仕事だ。 騎士としての勤めに相応しい。 椿の前に立ちふさがる惟に、意を決してしーるずはおぽんぽからダイブした。 (可能な限り完全回避した方が痛くなさそうだが……大丈夫か?) 僅か、眼を動かし、背後の様子を伺う。 だめだ。よけたら椿が傷む。 ならばと、あえて腕を広げる。 傷つけぬように注意しつつぎゅっと抱きしめようと。 特に警戒していた腹からの衝撃波に、奥歯を食いしばる。 (急所は外して麻痺を受けないように注意しなければ――) 気を抜いたら、背中から腸ぶちまけそうな勢いだ。 「危害を加えるつもりはない。少しだけ時間を頂けないだろうか?」 それだけを口に上らせるのが精一杯だ。 念の為、滑り止めに手袋を用意しておいてよかった。 ● 「しーるずの説得、よろしくお願いします」 螢衣は、そう言い置いて椿の中に入っていった。 それは、確実に言葉が通じるエルヴィンに託されたと言ってよかった。 「やあ、こんばんは。君達はどうしてこの世界に来たの? どうして、どしーんと木にぶつかろうとするんだい?」 エルヴィンは、簡単な言葉で、優しくゆっくり丁寧に。何より根気良く、伝わるまで諦めずに何回も、しーるずに語りかけていた。 警戒の色の濃いしーるずの3Dほっぺたは見事に膨れている。 少しずつ、怖がらせないように間合いをつめた。 「でもさ、ぶつかったら痛いよね?君達も痛いし、ぶつかられた木も痛い。木だって一緒さ、痛いのは嫌だよ。もしかしたら、怒って君達に仕返しするかもしれない。そんなのは君達も嫌だよね?」 共感。 そう。痛い。痛いのいやだけど、仕方がないの。 「だからさ、ぶつからなくても良いやりかたを、考えてみよう?」 喜び。分かってくれる存在の出現。喜び。 ごく単純な好意への転換。 「――――――」 エルヴィンがその言葉を言ったとたん、じたばたしていたしーるずが動きを止めた。 「うん、皆良い子だね」 優しく頭を撫でながら。 仲間に攻撃がやんだことを伝えたエルヴィンは気づく。 下生えが、夜露とは別のもので濡れていく。 (い、痛いのは我慢! 痛みに耐えてむぎゅってしたりかいぐりしたりもふったりするのが、 一流モフリスタだって誰かが言ってましたから!) ミリィ、その道は割りと茨だ。 (そして優しくむぎゅっと抱きしめちゃうのです! その、嫌そうにしてなかったら、ですけど) 恐る恐る様子を見る。 繊細な生き物なのだ。窒息している訳ではないのに胸をなでおろす。 抱きつぶされてはかなわないとおとなしくしているようだが、3Dほっぺがぶんむくれているので、この状況はよくないらしい。 どうしたものか。 「こんにちは、しーるずさん。先ずは突然の事、御免なさい。しーるずさん達が可愛くて、ついつい」 言葉が通じるかどうかも分からない。 だが、とにかく言葉をつむがずにはいられない。 「私達はしーるずさん達に意地悪をしに来たのではないのです」 エルヴィンは、気づく。 しーるずに渦巻く感情。 わかってくれたとおもったのに。わかってくれたとおもったのに。わかってくれたとおもったのに。 やっぱり、わからないんだね。 それは、諦観。 ほんとに、わからないんだね。 ● 「ごっつんだけが、方法ではないのですよ」 と、ミリィは言う。 「ほら、俺の仲間達をよく見てみて。……どうやって実を取ってる?」 と、エルヴィンが椿の梢を指さす。 木によじ登って、手でもいでます。 高枝切りバサミを使っています。 式神を使って、採取しています。 「はじめは難しいだろうね。だけど俺達も手伝うから、ちょっとずつ頑張ろう?」 エルヴィンから流れ込んでくる情念は、本当に厚意だけだから、しーるずは余計に悲しい。 だって、この世界でおててを出したら死んじゃうんだもの。 頭でごっつんして落ちてきたの、お口やあんよで拾うしか思いつけないの。 痛いのはいやだけど、木が痛いのも申し訳ないけど、でもそれしかできないの。 だから、ほら、あんな風に。とか、言われたら、悲しい。 だって、出来ないんだもの。絶対無理なんだもの。 いつのまにか。 異能に目覚めた者が忘れがちになること。 個体進化と言える程、目の前に出来るようになることが広がっている者が忘れがちになること。 革醒者であろうがなかろうが、能力資質には限界がある。 誰かさんには、絶対にできないことがある。 善意だけで言った言葉も、突き刺さる。 したしたしたしたとこぼれる涙。 怒りも何もなく、ただ悲しい。 急におとなしくなってしまったしーるずは、リベリスタの腕の中で微動だにしない。 リベリスタの袖を濡らす露も、しーるずの毛皮はころころ弾く。 リベリスタの心を受け入れられない、しーるずの心の壁のように。 ● 仲良くなれなかったからと言って、椿の実を渡さないという選択はない。 彼らのために、集めたのだから。 影継は、刺激しないようにゆっくりと近付き、カゴごとヒモでしーるずに結わいつけてやる。 「手を出せなくても、これなら大丈夫だろう」 影継の言葉に、紐で結わえてくれる指に、今まで唇を引き結んでいたしーるずが、声を上げて泣き出した。 ありがとう。ありがとう。 あなたは、わかってくれた。 まともに動けない防護服に身を包んだしーるずのもどかしさをわかってくれた。 あ~んあ~んと幼児のように泣きじゃくりながら、かごを背負い、よちよちとD・ホールの向こうに消えていく。 ありがとう、ありがとう。 みんなかえしてくれてありがとう。 椿に怒られないようにしてくれてありがとう。 椿の実をくれてありがとう。 おててをだせなくてごめんなさい。 おしえてくれようとしてくれたのに、そのとおりにできなくてごめんなさい。 泣き声から読み取れる言葉は、粗相を謝る子供のよう。 最後の余韻が消えるまで、ありがとうとごめんなさいばかりを繰り返していた。 「攻撃されれば一撃即死の世界に命の油を求める異世界の隣人か……。あれ? 実は、あいつら決死隊?」 深く深く開いた次元の穴の向こうに消えていったしーるずは、何も答えてはくれなかった。 ブレイクゲートで、D・ホールをふさぐ九十九が、一同を振り返る。 蜂の巣模様の面から、彼がどんな顔をしているのかは分からない。 「いやー、しかしお互い油塗れですなー」 しーるずを抱えていたブロック班はもとより、実をもぎ取っていた三人もなんとなく手がぺとぺとする。 「当分、椿油はこりごりだよーってやつですな。はっはっはっは!」 快活な笑い声は、座を盛り上げようとしてくれる気遣いが読み取れる。 もう、声も届かない。 リベリスタが守りきった古椿さえ、何も答えてくれはしない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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