● 始まりは終わりだ。終わりは始まりだ。 始まれば終わらねばならぬ。終われば始まらねばならぬ。 繰り返す。プロローグが存在するのならば、既にエンドロールは存在する。 巡り続ける。回って巡って。終わりなど無い。始まりなど無い。引き伸ばす。回り続けるカセットテープ。 変わらない。世界は回る。始まり終わり始まり終わる。 それ以外など、必要ない。 ――そして、世界は全てを淘汰する。 ● 「今日の『運命』。……割と深刻だから、どーぞ宜しく」 少しだけ早口に。『導唄』月隠・響希(nBNE000225)はモニター前で話を始めた。 「敵はアザーバイド。……ただ、普通のアザーバイドじゃない。とあるアーティファクトと共鳴を起こしてる」 資料が手早く配られる。何時に無く機敏な其の行動に、ブリーフィングルームの空気が徐々に張り詰めていく。 操作される、モニター。 「識別名『世界の欠片』。アーティファクトは『世界の輪郭』。……この2つは、偶然にも非常に高い親和性を持っていたのよ。 で、共鳴し、非常に強い力を持った。……因みに『輪郭』の方は、今、世恋が細かい事を話してると思う。 今回の件では、互いの行動が成功を大きく左右すると思ってくれて良い。心配なら、あちらの話も確認した方が良いと思うわ」 淡々と。話しながら操作され続けた端末に表示されたのは、黒い靄の様な、何か。 「これがアザーバイドの『原型』。でもまぁ、此処にいくあんたらには同じものは見えないと思う。これは、触れた人に合わせて姿を変えるわ。 まぁ、こいつはあんたらの心、に反応すんのよ。――あんたら、消されたくない『過去』とか『未来』とか『可能性』って、あるでしょ? どんなものでも良い。もしかしたらこうなるかも知れない。其の事実を、このアザーバイドは喰らうわ。それが良いものでも、悪いものでも。 食われていくの。生死も、成功も失敗も、そうでない何かも、続くはずの日常も。これは、『昨日』と『明日』を喰らうのよ」 淡々と、言葉が重ねられる。 これの影響が強まれば、下手をすればひとつの街程度軽々と『先も前の無い』街に変えてしまえるのだ、と溜息交じりの声がした。 「それで、更に間の悪いことにね。……世恋の見たアーティファクトの影響で、先の無くなった世界は、繰り返しを始めるの。 始まれば終わる。終われば始まる。エンドロールとプレリュードは常に共にある。……終わらない『今日』が続くのよ。 こいつらは互いに影響を与え合ってる。だから、両方が無くならないと、また『始まって』しまうわ」 性質が悪いでしょう。肩を竦めた。 具体的な内容は、と問う声。資料を捲る音。 「あんたらには、戦闘でこれに勝ってもらう。ただ、普通の戦闘は出来ない。これは『先』も喰らうから。 あんたらの攻撃は高確率で喰われてしまう。倒れても、アーティファクトの影響でまた『始まって』しまう。 しかも、これはあんたらの『前と先』も喰らおうとするわ。幸いにも革醒者には其処まで強い影響を与えられないから……正確には、食われかける。 あんたらの心が負けなければ食われない。一定数勝てれば、その喰らう力を弱められる。世恋の方が上手く行っていれば、更に弱められるかもね。 それを踏まえて、戦闘して頂戴。因みに戦闘中もずっと、食われ続けるからね」 大体そんな感じかな。資料をざっと片付けて、フォーチュナは座り直す。 「前も後ろも無いってどんな気分かしら。幸せな一日を繰り返し続ける、何てまるで夢みたいだけど」 夢みたいだから、綺麗なのかもしれないのにね。そんな一言だけ残して、其の瞳はリベリスタを見送るように細められた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:麻子 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月29日(水)22:18 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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