●ぷにょぷにょ 神奈川県立三ツ池公園は、神奈川県横浜市鶴見区にある総合公園である。 近隣では言うまでもなく県下でも有数の桜の名所であったこの地は、けれど昨年末より閉鎖されて久しい。 全ては生ける都市伝説。『The Living Mistery』ジャック・ザ・リッパー(nBNE001001)が、 その身を賭してこの地に拓いた閉じない世界の穴、が原因である。 さて、この閉じない穴。現在その一部が異世界『ラ・ル・カーナ』へのリンクチャンネルとして固定化されている。 これは勿論異世界の騒動に巻き込まれると言う難事をアークに突きつける事になったが、 一方でフュリエと言う隣人を彼らに与える事にもなった。一概に全てを災いで片付ける事は出来ないだろう。 しかし穴は広大だ。『ラ・ル・カーナ』とのリンクを為ていない部分は未だ不安定なままである。 そして、如何なる世界と繋がるか分からない以上は間違いも無く災いと呼ぶしかない物が毀れ出て来る事も有る。 勿論ある。当然ある。例えそれが、異世界で大きな騒乱が巻き起こっている最中であろうとも。 「ぷにょ」 ぽろん、と零れ落ちてきたのは青く透明な。そう――世間一般で考えれば“スライム”と言うのが 最も馴染み深いのでは無いだろうか。但し本格ファンタジーのそれではなく、某有名RPGに於けるそれ。 つまり何かゼリー状ながら形は丸っこく表面は固形化している感じのあれなそれである。 緑に融けていたり金属化していたりすると毒を持っていたり経験値が大幅に増加するあれである。 そんな物がどこからともなく。 「ぷにゅ」「ぷにょ」 どこからともなく。 「ぷにゃ」「ぷにゅ」「ぷにょ」 どこから……ともなく。 「ぷにぇ」「ぷにゃ」「ぷにゅ」「ぷにょ」 大量に、それはもう大量に沸いて出て来たりもする。世界は今日も実に不安定だった。 ●と言う事なんだ。 「何時だって、手で触れられる物何てのはほんの少しだよ。 本当に大切な物には触れられない。臆病で恐がりなリトルキャット。道の端で震える姿は人に見せたくない。 わかるぜ、それでも心だけは爽快に吹き抜けるサバンナの風でありたいって事なのさ」 わかりません。 アーク本部内ブリーフィングルーム、何事かと問うまでも無く、すっかり慣れた風のリベリスタ達。 普段の調子で語るのは『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)である。 「まあ、厄介なアザーバイドが三ツ池公園に出現したんで対峙してくれって事なんだけどね」 どうして最初からそう言えないのか。思わずイラァっとしたリベリスタの心境など何処吹く風。 正しく自由気侭な猫の如く。いや、猫に謝れと言いたくなりそうな我らがNOBU。絶賛平常営業中。 「アザーバイド『ぷにょぷにょ』ネーミングは勿論イヴだ。なかなかロックだろ?」 わかりません。 「4種類居て性質が異なる。詳細は資料に纏めておいたよ。 ただどれにも共通して言える事は、普通に倒すのはかなり面倒だ。 こいつらを完全に退治するには一つちょっとしたプロセスを踏む必要が有る」 嫌な気配がする。アークの任務と言えば容易と言える物の方が少ない。 であればその上更に念押しするプロセスとはどんな物か。集められたリベリスタ達の眉が露骨に寄せられる。 「同じ色を4つ集め」 えー 「ると消えるんだが、そうすると透明な『ぷにょぷにょ』が」 えー 「残るんでこれを他の色を消す時に放り込むと一緒に」 えー 「消えるって訳だ。ほら、簡単だろ?」 ね、簡単でしょう?的慈愛顔で全てをつまびらかに明かすNOBU。でもスリーアウトチェンジでございます。 「きちんと連s……連携を意識しないと全部消すまでに押し切られる。まあお前達なら大丈夫だろうけどな」 何か危うい発言をガンスルーしながら方々席を立つリベリスタ達。 けれどこんな事件すら、世界を守る事に直結するのである。頑張れ、負けるな僕らのリベリスタ! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:弓月 蒼 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月02日(木)23:22 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●すーぱーぷにょぷにょ 地を埋め尽くす、色取り取りのスライム状の生き物達。 「すーぱー、ぷにょぷーにょー」 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)が叫ぶ。 万感の想いを込めて、その光景を前にただ無心に叫ぶ。其処に意味は無い。其処に意味は、無いのだ。 「要は同色を効率よく集めるというパズルゲームのようなものでしょうか 実に平和的な来訪者ですね。ビジュアルも中々可愛いですし」 しかして現場到着早々周囲を一瞥した『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)は 何やらぶつぶつと呟きながら自身の愛用の重火器の手入れをしている。 その視界の中うぞうぞとうごめく謎生物が近付きそうになる度に目元に殺気が灯るのはきっと気の所為だ。 「少なくともただケンカがしたいだけの物騒な人とか 売られたケンカを赤の他人になすりつける人よりは随分マシだと思いますよ。ええ、本当に」 言葉は止まらずモノクルスコープが光を反射して不気味に輝く。 「しかしこれだけ大勢いるとハニコぶち込みたい衝動に駆られますね。やりませんけど」 ぽろりと漏れた言葉には何処か危うい色が混ざり。 「でもいっそ開き直って思いきり増殖させたら面白そうですよね。まあやりませんけど」 何故かやると書いて殺ルと読ませる勢いでフラストレーションが溜まっている気配等、勿論。 三高平の代表的クール系号砲ロリと名高いモニカさんに限って有る訳がない。 「イラついてなんかいませんよ?」 あるわけがないのだ。 「同じ色が4つ揃うと消えるとか、不思議な生物だなぁ」 「……ぷにゃだかぷにょだか知らないが、4つそろえれば消えるというのは群体の存在としてどうなのか」 他方、興味津々、と言った風に周囲を見回す『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)と、 何処か怪訝な色を浮かべたリオン・リーベン(BNE003779)。 どう考えても明らかに異種。敵性の存在である可能性も十分あるだろう彼らを前に、 けれど『ぷにょぷにょ』らは何も考えてない様に彼方此方を闊歩するのみ。 この警戒心の無さは野生の生物としては到底あり得ない。世界観の隔差を感じリオンが手で額を押さえる。 「消えてしまうと分かっていてもなお、仲間のそばにいたいのかな? 「いや……まあ何でも良い。それならそれで有効に使わせてもらうだけだ」 何か和んだアウラールと対比するかのように、ぷにょぽにょと闊歩するそれらへ怜悧な眼差しを向けるリオン。 シチュエーション的に如何にも締まらないのはこの際どうしようもない。 「ぷにょぷにょしていて半透明デ……何だか美味しそうなのダ」 勿論ぽつり、と呟く『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)の言葉とか聞こえない。 赤ぷにょ=イチゴ味 青ぷにょ=ブルーハワイ 貴ぷにょ=レモン味 緑ぷにょ=メロン味 お邪魔=タピオカ とか不可解極まりない連想をしていたり、カキ氷のシロップとして潰してかけられそうとかまさか。 そんな思ったり何て、しませんよ……ね? 「わっしはこういうのを計算して積み上げたりは苦手やなぁ。 適当に積み上げてすっと消すと連鎖しまくってウハウハな感じなんが好きぜよ」 『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)に至ってはどうも眼前のぷにょぷにょの向こう側に 何か別の何かを見ている気すらする。ばよえーんとかそんな不思議な呪文は聞こえない。 公園にうごめく無数のぷにょぷにょは鳴きすらしない、静かな物だ。明らかに幻聴である。 ――とはいえ。閉じない穴が有る以上はこのまま放置しておいて良い筈も無い。 唯でさえアザーバイドの存在は世界へ悪影響を及ぼすのだ。 そうこうしている間にもぽにょっと穴の隙間から赤と青のぷにょぷにょが追加で毀れて来る。 さっさと始末しなくては、笑い話で済まなくなる可能性も無いでは無い。 「普通に倒すのはかなり面倒って言われたんだけれど、どの程度かしらね」 市販品のノートとペンを手に、『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)が抜けそうな気合を入れなおす。 例え一見無害そうに見えても、決して簡単な相手では無い。 「さあ、チェインライトニンガーの力を見せてあげるわ!」 掻き鳴らされる弦楽器を模した重弓の弦。されど彼女が危惧し、伸暁が宣告した様に。 この生き物、見た目ほど愛嬌の在る性質の持ち主では、無い。 ●ぷにょぷにょ痛 「……うん、無理だな」 「ぷにょ、クワエレナイ、タベレナイ、ルー、カナシイ!」 あと一歩で顔に凍傷を作る所だったアウラールがすっぱりと結論を出し、 同様の結末を辿ったルー・ガルー(BNE003931)が目元を凍らせながら悲鳴を上げる。 さりとて流石に顔は重要器官が多過ぎる。其処が放電なり凍結なりを浴びたらどうなるかは推して知るべし。 例え痛覚は遮断出来たとしても、万一鼻腔を塞がれたら呼吸が出来なくなる上、前も良く見えない。 効率的とは到底言い難い事を理解してか、止む無く両手にずっしりとしたそれを抱え込む。 「青はあんずさんが頑張ってくれるはず! 残りを集めて行けば良いよね!」 とは言え、リベリスタ達の方針は至極単純である。毎手番確実にぷにょを揃えて消す事で、 好き勝手に動く敵の動きを抑制し、その間に全体攻撃で一気に蹴散らす。 その案に従い投げたり蹴ったりと言った風体の割に至極荒っぽい動きで、 目に付いたぷにょぷにょを片っ端から運ぶティセ。けれどその選択はある意味正解だったろう。 視界の端、カイの居た辺りでなにやら盛大な火柱が立つ。 「触るとプルプル震えてひんやリ……ッテ、アッチーーのダ! 火を吹くナー!」 確かに、真夏にひんやりとするスライム状の生き物はけっして忌み嫌われはするまい。 ただ残念ながら彼らぷにょぷにょは愛玩するのはかなり難がある。何せ触れれば攻撃してくるのだから。 「攻撃し無い為に青以外は仲間だと思いましょう」 それに敢えて挑戦する杏の覚悟は、もしかすると賞賛されるべき物なのかもしれない。 が、別段無理矢理仲間だと思わなくとも攻撃の対象に取らなければ全体攻撃から省く事は出来るのだが…… 「赤は仲間……黄色は仲間……緑は仲間……」 しかし虚ろな表情でそう呟く彼女の姿は非常にシュールであった為か、 この場の誰もそこに突っ込みを入れられない。デストロメイドすらスルーである。何でこうなった。 「ぐっぐぐー」 そんな仲間達の惨上はさておき、踊る黄色い生物。ではなく仁太。一体何をやっているのか。 様式美らしきそれは、おじゃまぷにょを運ぶ役割。と言う明らかに一番楽な役を配された、 彼なりのエールである。多分そう、きっとそう。遊んでる訳では断じてない。 実はいずれ自身の力が必要になる時に備えて集中もしているのだ。ぐっぐぐー 「な、なんのこれしキ! 吾輩、焼き鳥にはならないのダ! でも早ク! 早ク、赤を持って来てくレ~!」 抵抗虚しく焼き鳥になりかかっているカイの悲鳴も、踊る仁太には届かない。焼き鳥(もも)一本追加。 「同調を開始する。動きを合わせろ!」 好き勝手動いている仲間達に、が鼓舞の声を上げるもどうも浮いてる感が半端では無い。 「とりあえず、赤を揃えましょうか……一掃出来れば楽なんですが」 と言うより、青を揃えるアウラールとルー。赤を揃えるティセ、カイ、モニカ。 踊る仁太、と言う様に彼らの行動は酷く一貫性が無い。その分至極当然に時間を消費する。 ごちゃごちゃとしたぷにょ達に触らない様に目的の色を引っ張り上げるだけでも一苦労である。 他方レーザータクトであるリオンの助勢は彼らの能力を確かに底上げしているが、 さりとて至近距離から放たれる攻撃を避けると言うのは生半可な技巧で成る物ではない。 最大の盲点は狙った色を集める。と言う行為の難度を低く見積り過ぎていたという1点に尽きる。 「青! 敵!」 電撃を放ち青ぷにょを攻める杏の頑張りも、流石に一撃で倒せるほどぷにょの耐久力は乏しく無い。 文字通り“普通に倒すのはかなり面倒”なのである。 「なんだか運ぶだけでもとても大変……」 とは言え、ティセとアウラールが協力し合った結果として、赤か青。 どちらかは1組は毎手番どうにかこうにか揃えられている。 「ナ、なかなか無くならないのダ!」 この間癒し手であるカイにずっしりと負担がかかる物の―― 「長丁場になる。しっかり頼むぞ」 その辺りはリオンがきっちりフォローしている為、危うげと言う程の事は無い。 言うなればただ只管に面倒なだけである。 「緑ぷにょ……お前、毒ばかり吐いてると嫌われちゃうぞ?」 他の面子から見向きもされない緑のぷにょを突いては、毒を吹き掛けられるアウラールや、 「ぷにょ、クッツイタ! 見ル、ハガレナイ!」 同色2匹のぷにょを近付けるとくっつく。と言う大発見をしたルーが大騒ぎする最中。 淡々とチェインライトニングを放ち続ける杏の背に孤独感が漂う。 「お邪魔! アンタも駄目よ! って言うか――ああもうっ!」 言語化しなくとも、漂うオーラは何であたしだけこんなに頑張っちゃってんのよ、である。 尚、気付けばぷにょの中央で踊っていた仁太が、 周囲に集まったぷにょらに触りまくってばたんきゅーしていた事をここに記す。 ●ぷにょぷにょSAN 「何だ、普通に倒せるんじゃない」 実に2桁に渡る雷撃の鎖に晒した結果、弾けて消えた透明なぷにょぷにょに、 肩で息をした杏が胡乱げな眼差しを向ける。拍子抜け、いやいや冗談では無い。 視界に映っているぷにょぷにょ等全体の半数にすら満たないのだ。 それを倒すのに十手番を超えるとか非効率にも程がある。倒せ無い訳では無い。倒せ無い訳では無い、が―― 「あ、揃った! ふぁいやー!」 ティセが蹴り飛ばした赤ぷにょが積み上げたぷにょの塔を崩し一度に8匹が消滅する。 その際に透明なおじゃまぷにょも出ていた様だが、連続して消えた為出現したのは1体である。 「させんぜよ、相殺!」 そして降ってきたそのおじゃまもティセに接触する前に仁太に撃ち抜かれ吹き飛ぶ。 向かった先でアウラールそろえた青ぷにょと共に消えるおじゃま。 事前にティセが揃えて消している以上は、おじゃまは出ない。綺麗に消失である。 「どうも、倒せなくは無いが揃えて消した方が早い、と言う代物の様だな」 リオンが各所に指示を飛ばしつつ独語する。そうと分かればやる事は然程難しくは無い。 「あー、ぷにょヒンヤリして気持ちいい……」 「そこ、次は緑ぷにょだろう!」 状態異常さえ無ければ丸きり無害なおじゃまを抱いて涼んでいたアウラールに、指示を振るリオン。 「……」 手が余ったのか運ぶのに飽きたのか、緑ぷにょを無言で打ち抜き続けるモニカの瞳が常以上に寒々しい。 「……だんだん自分との闘いになってゆく気がするのダ」 カイがそう口に出した頃には、けれど全体の凡そ半数が駆逐されていた。 では何故そう思ったのか。言ってしまえば疲れて来たのである。 何故か最初からカキ氷とか連想してしまったのもそも状況の悪化に拍車を掛ける。 「お仕事が終わったらカレーを食べようよ! 暑いけど!」 「ぐっぐぐー」 拳を握り黄色ぷにょを引き摺りながら断言するティセに、 また一匹おじゃまを吹き飛ばした仁太が同意らしき物を返す。と言うか彼は先ほどからそれしか言っていない。 何が彼を其処まで掻き立てるのか。それは誰にもわからない。 とは言えその尽力の甲斐も有ってか、おじゃまぷにょは常時1体以上に増える事は無い。 後はある意味ルーティンワーク。馬車馬の様に働かされるカイ以外はせっせとぷにょ運びである。 「毎ターン揃えることがあたしの使命! 存在価値! あいすすとーむ!」 魔氷拳を使う訳でも無いのに何故かそんな声を上げながら、ティセが最後の赤ぷにょを消滅させる。 「電気、ルー、通ジナイ」 黄色ぷにょによる放電も、何する物とルーが戦場を駆け回る。 「違う! 黄色はそっちではない! 連鎖が途切れるだろう!」 コツを掴んだリオンからより具体的な指示が飛んだりもする。 何故かどうにも錯覚しそうになるが、別に彼らは遊んでいる訳ではない。本当である。 「……1度消しさえすれば次からは幾つ揃えてもおじゃまが降って来ないなら、 いっそ目一杯増やすのも有りだったかもしれませんね。いえ、やりませんけど」 広域制射を生業にしているモニカがイラァッっとする戦いは、けれど10分近くにおよび、 その間チェインライトニングを放ち続けた杏は精も根も尽き果てて地に両手を付く。 「簡単な仕事だと思ったのに……ああ、とりあえず帰って冷えたビールが飲みたいわ」 本音だだ漏れであるが、戦術レベルでは明らかに余計な手間を食った感がある。 カイが居なければ下手をしなくとも瓦解していた可能性が高い。 だが、もしかするとその方が幸せだったかも知れない長期戦。けれど制したのはリベリスタ達である。 「よし、最後は全消しに、賭ける……!」 方々の協力あってか綺麗に積み上げたぷにょぷにょ達。 その最初の1組を消したアウラールの上へ、降ったおじゃまぷにょを射程圏に捉える仁太。 「安心せぇ! ひゃっぱつひゃくちゅうじゃけぇ!」 如何にも失敗フラグなその叫びは、けれど今回に限っては巧を奏す。 打ち抜かれたおじゃまぷにょは山に突っ込み、続けて消える黄色、緑、そしてまた黄色。 「ぱよえ(中略)」 モニカが思わず何か呟いたりした気がする物の、 3つ1組に纏められたぷにょぷにょ達が一度に消える様は中々壮観である。 「これがくろぬこの言ってた “本当に大切な物には触れられないそれでも心だけは爽快に吹き抜けるサバンナの風でありたい”ってやつか」 うん、そんなロックは嫌だ。と、断言したアウラールの眼前。 彼らを散々に苦しめた謎の不定形生物達が1つ残らず……消える。 ●おっしまーい 「か……かったわ!」 登っても居ない夕陽へ向けて拳を握る杏。 「次はずっと触っていられるぷにょぷにょが来てくれないかなぁ」 何処か寂しげに呟くティセに、疲れ果てたカイがもう勘弁なのダ、とグロッキーを告げたか。 まだ余裕のあるモニカに至っては溜まったフラストレーションの行き場を求めてゲーセン直行の心境。 「ぷにょヨリ、モット歯応エアル、ルー、嬉シイ」 食用として見た場合、野生児たるルーには余りに物足りなかったか。 何処か不完全燃焼な様でそう口にするも、大凡他の面々は良い加減お腹一杯の体である。 「まあ、何にせよ無事任務完了――」 けれど、纏めに掛かったリオンの語を阻む様に、仁太が拳を振り上げる。 「それより、カレーを喰いに行かな! これで終わりとかそりゃ無いぜよ!」 「はーい、行っきまーす」 すっかり身も心も黄色い生き物と化したその提案に、諸手を挙げてティセが跳び付く。 こうして、深い理由など全く無い、ぷにょぷにょによる脅威は去った。 しかし、彼らは去ったままと言う訳では無い。 なぜなら、リベリスタ達の戦いはこれが最初でもなければ、終わりでもないからだ。 ぷにょ地獄へのゲートはきっとまた開かれる。それを望んだとき、心の中に。 ……いや。ひょっとすると…… |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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